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バットマン「グランド……オーダー?」 マシュ「その2です」
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488 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/07(水) 22:47:50.29 ID:6odfkc8I0
………………
所長「……」コツ、コツ
自動ドア「」ウィー……
所長「……」コツン……コツン……
蒼い球体「」ポゥン……ポゥン……
所長「……」ピトッ
所長「……」プルプル
バットマン「オルガマリー所長」
所長「……」ピクッ
489 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/07(水) 22:48:17.44 ID:6odfkc8I0
バットマン「……こんな夜中に、地下へ降りて何をしている」
所長「……」
バットマン「……カルデアの施設を案内された時には、こんな部屋は紹介されなかったと思うが。秘匿の必要があるのか?」
所長「……」
バットマン「……どうなんだ、所長。この秘密を暴かれる事が、お前にとってそれほどの恐怖なのか」
所長「……ええ、そうね。恐ろしい。怖いわ」プルプル……
バットマン「……それは……」
バットマン「それは、自分達が造りだした『マシュ』という人間が、自分達に復讐するかもしれないという恐怖か?」
490 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/07(水) 22:52:06.61 ID:6odfkc8I0
バットマン「2000年。初代所長『マリスビリー・アニムスフィア』による計画……
『英霊を人間に』。このコンセプトの元、最適な身体で造りだされた赤子に英霊を融合させる実験が続いていた」
所長「……」
バットマン「この赤子はデザインベビーと呼ばれ、寿命は長くとも30歳ほど……だが、この実験の唯一の成功例であるマシュの場合は、更に短い。英霊との融合実験段階で、その寿命は更に十年ほど縮んだ」
所長「……」
バットマン「2000年、マシュに英霊が憑依……彼女に憑依した英霊の真名は不明。だが誇り高い英霊だろう。この施設の非人道的なやり方に怒り、協力を拒否。今はマシュの中で眠っている」
所長「……」
バットマン「これらは全てカルデアのデータベース最深部に収められていた。これは本当か? 全て、真実なのか?」
所長「……」グッ、プルプル……
所長「……ええ、本当よ」
491 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/07(水) 22:52:52.37 ID:6odfkc8I0
バットマン「……」
所長「全て事実よ。父はそういう男だったの。裏で非人道的な実験を繰り返し、悪びれない男だった。私はそういう男の、実の娘なのよ。私の事、軽蔑した? 怒ってる? ……信用できなくなったわよね。どうする? ここからつまみ出す?」
バットマン「……勝手に話を進めるな。お前の事は信頼しているし、敬意を持っている。お前の優しさと誇りは知っている」
所長「……なら、どうするっていうのよ」
バットマン「マシュを恐れる必要はない。そう伝えに来た」
所長「……」
バットマン「彼女は純粋だ。憎しみを抱いて育ったなら、ああはならない。彼女はお前の事も信頼している……それは分かっているだろう」
所長「……っ……」
492 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/07(水) 22:53:26.90 ID:6odfkc8I0
所長「……のよ……」
バットマン「……」
所長「怖いのよっ、たまらなく怖いの!! あの子の目を覗き込むのが怖いの! 父が犯した罪が、私に降りかかってくるのが怖い!」
バットマン「……」
所長「あの子がいつか私を殺しに来るって……運んできてくれたお茶だって飲めない、一緒に話だってできるわけがないっ!! だって、だって、殺されるから! 父がたくさんの赤子を殺して来たのと同じように、私も!!」
バットマン「オルガマリー所長」
所長「私は結局……」
バットマン「所長!」
所長「っ……」ビクッ
493 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/07(水) 22:54:18.73 ID:6odfkc8I0
バットマン「……恐怖に飲まれるな」
所長「ごめん、なさい……」
バットマン「……謝る必要は無い。だが、恐怖と戦う事を諦めるな。父親の行いが間違いでも、自分は正しい行いを選択できるはずだ」
所長「……」
バットマン「選択に自信が無い時は、頼れ。共に考える事ができるだろう。正しい決断が下せなくても、責任は共に負えるだろう。ただ……ひとりで悩むのは無しだと、自分で言っていたぞ、所長」
所長「っ……」
バットマン「たとえ恐怖を理解する事が不可能でも、歩み寄る事は可能なハズだ。手を伸ばせ、オルガマリー所長」
所長「……」
494 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/07(水) 22:54:49.74 ID:6odfkc8I0
所長「……なんで」
バットマン「……」
所長「なんでそこまで、言ってくれるの」
バットマン「……私に勇気を思い出させてくれたのは、所長。お前達だ。なら、今度は私も手を伸ばす」
所長「勇気……」
バットマン「そうだ……敬意を持っているというのは、本当だ。私はお前を尊敬している」
所長「……そう。貴方、嘘をつかなくなったのね……」
バットマン「……誰かに言われてな」
所長「……分かったわ」
495 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/07(水) 22:55:49.19 ID:6odfkc8I0
所長「けど、いきなりは無理。怖いもの」
バットマン「分かっている。だからこそ、少しずつ、慣れていってほしい。きっとマシュも、それを望んでいる」
所長「きっと……か」
バットマン「……? 何だ」
所長「いいえ」
所長(……マシュには、心を開いてるのね)
バットマン「……さあ、戻るぞ。もう真夜中だ」
所長「ねえ、ブルース」
バットマン「どうした」
所長「……いいえ、何でもないわ」
所長(私も……欲張っても、いいのかしらね)
496 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/07(水) 22:56:16.06 ID:6odfkc8I0
………………
マシュ「……」ムムムム……
ブルース「マインドセットだ、マシュ。精神を慣れさせろ」
マシュ「……」ムムム……
ブルース「……」
マシュ「……」ムム……
ブルース「……少し休憩にするか。これは難しい訓練だ、一気にやってもあまり効果は無い」
マシュ「っふぅ……これ、かなり……体力を使いますね」
ブルース「よくやっている方だ。……確か、この前の紅茶がまだ残っていたな……」カチャカチャ
コツ、コツ……
所長「……あ」
マシュ「あっ、オルガマリー所長」
ブルース「……」
497 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/07(水) 22:56:46.70 ID:6odfkc8I0
………………
マシュ「……はい、どうぞ所長。紅茶です」コトッ
所長「あっ、ありがとう……」ビクビク
所長(これは無害これは無害これは無害……)プルプル
マシュ「……?????」
498 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/07(水) 22:57:14.42 ID:6odfkc8I0
ブルース「……」バシッ
所長「え?」
マシュ「え?」
ブルース「……」ズズッ……
ブルース「……」コトッ
マシュ「あ、あの、それ所長の紅茶のつもりだったんですが……いえ、注ぎ直しますけど」コポポポポ……
ブルース「……そうだったのか。すまない、気付かなかった」スッ
所長「え、ええ……?」パシ
所長(ちょっと!? ブルース!?)ヒソヒソ
ブルース「……」サラサラサラ……ペラッ
紙『大丈夫だ。お前も飲める』
所長「え……?」
所長(ま、まさか毒味のつもりで……?)
499 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/07(水) 22:57:40.72 ID:6odfkc8I0
マシュ「はい、所長……あれ? マスター?」スッ
ブルース「ありがとう」パシ
マシュ「え、ええ。良いんですけど……え?」
ブルース「……私が紅茶を注ごう。座ってくれ、マシュ」
マシュ「はい……え? 今日、何かおかしくないですか?」
ブルース「脳を酷使した直後は違和感を覚えるものだ。休ませろ」
所長「……」チラッ
紙『大丈夫だ。お前も飲める』
所長「……」ゴクリ
所長(だ、大丈夫よね。ひ、ひとくちだけなら……)
所長「……」ズズ
所長「……あっ、美味しい」ズズ、ゴク
500 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/07(水) 22:58:23.92 ID:6odfkc8I0
ブルース「……」チラ
所長「……」モグモグ、ゴクゴク
ブルース「……」フッ
マシュ「……??????」
マシュ(何かおかしい……何かが決定的におかしいですよ……?)
所長(っていうかこれ間接キスじゃないの?)ピクッ
所長「ぶっふぅはぁ!?」ビシャーッ
ブルース「!?」
マシュ「!?」
501 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/07(水) 22:58:51.34 ID:6odfkc8I0
その後。
マシュへの態度は普通になったが、ブルースに対してはしばらく挙動不審になった所長だった。
502 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2018/03/07(水) 22:59:48.52 ID:6odfkc8I0
今回の更新はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました
503 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/07(水) 23:09:01.49 ID:G+ziA+3To
乙
504 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/07(水) 23:23:45.21 ID:wKAg8uGIo
乙
無自覚でもプレイボーイ
505 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/08(木) 00:30:51.53 ID:QdYhjTWSo
乙乙
506 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/08(木) 11:52:11.23 ID:PQLUUKj90
乙だで
507 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/08(木) 19:48:14.41 ID:ew7FmIBDO
ウブなネンネじゃあるめぇしww
508 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 01:52:02.63 ID:z9IWeJy60
踏み込みが床を砕く。私は身体を捻り、豪速で迫る拳を躱す。
「動きが甘いぞ」
敵は直前の重い動作からは想像もできないような軽やかなステップで軸をずらし、反撃を封じるチョップを繰り出す。私は盾でそれを防ぎ、何とかスピードを見極める。
(必然的対応をさせる)
その動きから学ぶべき事は多い。既に彼はマントを翻し、こちらの視界を潰している。
五感を駆使。私は盾を構えつつ、裏でカウンターの拳を構える。だがいつまで経っても攻撃が来ない。
後方、質量が空気を裂く音。裏拳でバットラングを弾く……爆発。爆破ジェル塗布済み。爆風に体幹が揺らいだその瞬間、足払いが足元を刈った。
「きゃっ……」
完全にバランスを崩したところへ、強烈な背負い投げが……
「……しゅ……マシュ」
「反撃を……反撃を……え? あれ?」
509 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 01:52:40.56 ID:z9IWeJy60
マシュ「あれ? ここは? すごく強くてズルいマスターは……?」
ブルース「……ズルではない。常に打てる手を打っているだけだ。
その様子から察するに、どうやら想像の世界へ入り込んでいたようだな」
マシュ「想像……あ、そうでした。イメージトレーニングしてたんでした」
ブルース「……良いかマシュ、想像が自分の世界を侵食する事はままある。だが、この場合はその限度を定めるべきだ」
マシュ「限度……ですか?」
ブルース「そうだ。マシュ、お前はよくやっている。常人より遥かに飲み込みが早い。だからこそ、その弊害がある」
510 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 01:53:07.33 ID:z9IWeJy60
ブルース「想像で現実が見えなくなってはならない。逆もまた然りだ。適度な集中、そして自己を分析する計算。戦いの中では不可欠だ」
マシュ「う……」
ブルース「……立ってみろ、マシュ」スッ
マシュ「は、はい」スクッ
ブルース「……良いか、大事なのは原因と結果であり……」
511 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 01:53:37.48 ID:z9IWeJy60
ブルース「たとえば……拳をこちらへ打ち込め」
マシュ「はい……え?」
ブルース「打ち込め。対処する」
マシュ「で、でも……」
ブルース「……では、軽く、ゆっくりと拳を突き出せ」
マシュ「は、はいっ。えい」ソォーッ
ブルース「……この時点で、反撃の方法は数パターンある。人間である私は、おそらくテコの原理で投げ飛ばすのが一番だろう。
では投げられた時、マシュ。お前はどうする?」
マシュ「え、えーっと……受け身ですか?」
ブルース「……気を遣うな。もっと攻撃的で良い」
マシュ「手を掴み返して勢いで倒れ込んで腕ひしぎに……」
ブルース「そうだ。思考のパターンを作れ。攻撃する時は攻撃の『結果』を、防御する時は防御の『結果』を想像しろ。惰性で考えていては理想の戦場は作れない」
512 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 01:54:07.52 ID:z9IWeJy60
マシュ「……」
ブルース「……考えろ。お前は今、どうしたいのか。どうしたらその結果へ持って行けるのか。そのために打てる手はなんだ」
マシュ「……」
ブルース「……そのためのイメージトレーニングだ。想像とは、自分が持ち得るもうひとつの世界だ。世界の理想に合わせるな。世界を理想に合わせろ」
マシュ「……よし、やってみます!」
ブルース「その意気だ。……よし、組手といこう」
マシュ「はい! ……え?」
ブルース「組手だ。戦いながら結果を想像しろ」
マシュ「え? え? 無理です無理!!」
ブルース「……無理と断じるのは、一度やってみてからだ。いくぞ」
513 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 01:54:35.21 ID:z9IWeJy60
………………
マシュ「……」
ブルース「……」
所長「……言い訳があるなら、今の内に聴いておくけど……!」プルプル
ブルース「……少し、戦闘訓練に熱が入り過ぎた」
所長「少し。少しね。へえ、少し熱が入り過ぎたと」
ブルース「……」
所長「じゃあアンタ達は、少し熱が入っただけで壁のパイプを何本も叩き折ったり!」
パイプ「」ボロッ
所長「シミュレーション装置を叩き壊したりするワケね!」
装置「」ボロボロ
所長「見なさい! パイプなんて蒸気が噴き出しっぱなしじゃないの! これもう!?」
レオナルド「あっ、良ければ私が直す……」
所長「黙ってなさい、今叱ってるでしょう!!」グワァッ
レオナルド「はい」
ドクター「ま、まあまあ。そんなに怒らなくても……」
所長「」ギロッ
ドクター「と思ってたけど気のせいでした、存分に叱ってやって下さい」
514 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 01:55:02.66 ID:z9IWeJy60
………………
所長「だいたいアンタ達はねえ……」ガミガミ
ブルース「……」
マシュ(あ、脚が痺れてきました……)ピクピク
ドクター(なんで僕まで……なんで僕まで)
レオナルド「なんで私まで……」
所長「黙って聞く!!! アンタもねえ!!」
レオナルド「はい」
レオナルド(うーん藪蛇。口を挟んだら説教が長くなるタイプだコレ)
所長「マシュ! アンタも……」
マシュ「は、はいっ!!」ビクゥッ
ブルース「……」
ブルース(……よし、マシュにも話しかけられているな。態度は普通になったようだ)
515 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 01:55:39.64 ID:z9IWeJy60
………………
所長「……であるからして……!!」ガミガミ
職員C「あ、あのー……」
所長「何よ」キッ
職員C「ヒッ……いえ、あの、晩御飯できたって知らせに来ました」
所長「あ、え? もうそんな時間?」チラッ
時計『19:00』
マシュ「……四時間みっちり、お説教でした……」グッタリ
ドクター「ごめん、正座のせいで足の感覚ないから立てない……」プルプル
ブルース「……膝に悪いな、この姿勢は……」スクッ
レオナルド「私なんて、『パイプから漏れる蒸気のせいで部屋が霧掛かってきたから』って、パイプの修理しながら説教聞かされたんだぜ? 気持ちはカオスのど真ん中さ」
所長「……続きはご飯の後で。良いわね?」
マシュ「まだやる気なんですね……」
516 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 01:56:07.32 ID:z9IWeJy60
………………
ブルース「……」
レオナルド「豆のスープも悪くないな、これ」モグモグ
ドクター「美味しいなぁ……みんなと何か食べてる時ほど幸せって思える瞬間はないよ」
マシュ「分かります……」
職員A「ですね。脳が休まります」
職員B「あ、わ、私もです……」
職員C「うめぇ……あったけえ……」
所長「……まあ、気持ちは分からない事も……」
ブルース「……」
ブルース(豆のスープか……アルフレッドが病気で動けない時は、こういう慣れない料理をしたものだった……)
ブルース「……ああ、いい味だ」
517 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 01:56:46.06 ID:z9IWeJy60
ピーンポーンパーンポーン……
スピーカー『特異点、特定完了。特異点、特定完了。所長、職員は結果の確認をしてください』
ドクター「ん“ん”っ、もう!? うちは職員のみならずAIも優秀だな……」
レオナルド「ん、AIの自動進行機能か。よし、丁度食べ終わったし確認に行こう!」
ドクター「ちょっと待って……ブルースくん、マシュ。召喚システムを試してくれ、きっと十分な量の電力が確保されているはずだ。僕たちはその間に協議を進める!」
ブルース「了解した」
マシュ「はい」
ドクター「うん、よし。それじゃあ行こう!」スクッ
レオナルド「よしよし、AIが出した結果の答え合わせもしてやらなきゃあな!」スタスタ
518 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 01:57:16.72 ID:z9IWeJy60
………………
ブルース「……食べたか、マシュ」
マシュ「は、はい。ごちそうさまでした」カチャ
ブルース「行くか。……召喚がうまくいけばいいが」
マシュ「大丈夫です。何があっても守ります」フンス
ブルース「頼りにしている」スタスタ
マシュ「えへへ……あっ、待って下さい」タッタッ
519 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 01:57:45.12 ID:z9IWeJy60
………………
バチバチバチバチ……ギュォォォォォォォオォォォッ
カッ‼
???「……ふー、やれやれ。海が終わったと思ったら今度はよく分からない施設か……おっと、そこに居るのは」
ブルース「ダビデ……お前か」
ダビデ「ブルースにマシュか。キミたちに召喚されるとは……奇妙な縁もあったものだね。けど、悪くないな」
マシュ「ダビデさん! お久しぶりです」
ダビデ「やあマシュ。キミがお望みとあらばいつでも竪琴を奏でよう……羊飼い、ダビデ。僕はやるよ。かなりやる」
520 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 01:58:11.12 ID:z9IWeJy60
ブルース「……すまないが」
ダビデ「なんだ? 遠慮なく言ってくれ」
ブルース「戦闘能力はあるのか?」
ダビデ「ホントに遠慮なく訊くなぁ、キミは!」
ブルース「……」
ダビデ「この前の特異点では『櫃』に力を奪われていただけさ! 単独で召喚された今、僕はあの時の数倍は強いと思ってくれていい! その辺の石ころを投げても砲撃レベルさ!」
ブルース「成程。期待しておこう」
ダビデ「乞うご期待だ。きっとキミも目を剥くぞ」
521 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 01:58:39.22 ID:z9IWeJy60
………………
ウィーン
ブルース「入るぞ」スタスタ
ドクター「やあ、ブルースくん。召喚は無事に終わったよう……だね……?」
ダビデ「やあ、どうもどうも」ヒラヒラ
ドクター「……ブルースくん、よりによってそいつを召喚しちゃったのか。前回の特異点で全く活躍してなかったじゃないか!」
ブルース「? ああ、そうだな……だがサーヴァントだ」
ダビデ「おいおいおい! なんだキミは、失礼な奴だな!? 出会って五秒で役立たず呼ばわりか!?」
ドクター「おあいにく様、僕はソロモン王のファンだけどダビデ王は嫌いなんだ!」
ダビデ「なんだって? あのろくでなしのファンとは、さてはキミは……」
ドクター「あっ……」
ダビデ「……キミもろくでなしだな?」
ドクター「ダビデ王よりマシだー! 生娘を毎晩侍らせるってどういう神経してるんだい!?」
ダビデ「モテない男のひがみか! そうなんだろ! 安心しろ、手は出してないぞ! 出さなくてもよりどりみどりだったし!」
所長「……なんなのコイツら」
レオナルド「さっさと話を進めよう。馬鹿二人は置いておいて」
522 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 01:59:09.55 ID:z9IWeJy60
所長「はい、静かに。今回のレイシフトの説明を行います」
ドクター「ふん……なんでダビデ王なんか召喚しちゃったんだ」ブツブツ
ブルース「……そこまで嫌いだったとは知らなかった。すまない」
ドクター「……」
ブルース「……?」
ブルース(ここまで気が立っているドクターも珍しいな……よほどダビデが嫌いなのか。異性が周囲に多く居ても、良い事など無いというのに……)
ブルース(……それにしても、ソロモン王のファンか。この事件の真相が、いつか全て明らかにされた時……ショックで倒れなければ良いが)
所長「今回特定された時代は……」
523 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 01:59:58.13 ID:z9IWeJy60
所長「時代は十九世紀後半。場所は産業革命真っ只中のロンドンです。相手の狙いは明らか、産業革命を阻止して我々の技術レベルを致命的に遅らせる……」
ブルース「決めつけるには尚早だが」
所長「ぐ……まあ、そうね。実際に赴いて真相を確かめてもらうのは、ブルース。貴方達レイシフト要員に任せます」
ブルース「……ああ」
所長「ロマニ! マシュとブルースの健康状態はどう?」
ドクター「……あっ、はい! 二人とも健康状態は良好です!」
所長「なら良いわ。レイシフト要員は解散とします、しっかり休んで明日のレイシフトに備えて。
次、サポート班! 明日の動きを確認するわよ!」
ブルース「……」スクッ
マシュ「あ、待って下さい」スクッ
ダビデ「あっちょっと待ちなって、僕も行くぞ」
ドクター「……」ムスーッ……
524 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 02:00:27.83 ID:z9IWeJy60
レオナルド「……なあ、ロマニ。嫌うのも分かるけど」
ドクター「分からないだろ」
レオナルド「……分からないけど、落ち着けよ」
ドクター「……」
レオナルド「……マシュもブルースもびっくりしてたぜ」
ドクター「………………
……はあ、だよなあ。気を付けないと……」ガシガシ
525 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 02:01:23.45 ID:z9IWeJy60
………………
ダビデ「ところでマシュ、今夜僕の寝床に……」
ブルース「……」ピクッ
ダビデ「……来なくても今日はひとりで眠れそうだな!」
ブルース「……そうか、何よりだ。どうしても眠れないようだったら私を呼べ。夜通し見張っておいてやる」
ダビデ「……勘弁してくれ……」
マシュ「??? え、えっと……では、私はこれで失礼しますね」
ブルース「……ああ。良い夜を」
マシュ「は、はい。また明日」
ブルース「また明日」
ダビデ「じゃあブルース、また明日に!」スタスタ
ブルース「お前の部屋はこっちだ」ガシッ
ダビデ「引っかからないかー!」
ブルース「油断も隙もない奴だ……」ズルズル
526 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 02:01:57.28 ID:z9IWeJy60
………………
ブルース「……19世紀頃、ヨーロッパでは大規模な産業の変革が発生……これを産業革命と呼び……」ペラッ
ブルース「……蒸気機関の発明、改良が進められ……手工業から機械工業への発展が……」ペラッ、ペラッ
ブルース「……この事が、消費者や生産者の立場をより強固に決定づけ……貴族、中流、労働者などの階級が……」ペラッ
ブルース「……」チラッ
時計『2:13』
ブルース(そろそろ休むか。レイシフトへ向け、体調は万全にしておきたい……)パタン
ブルース「……」
ブルース(……不安が、襲ってくる。何もかもが上手く行っていると、絶対に、その反動が来るという不安が……)
ブルース(今のこの瞬間、私は確かに幸せなのかもしれない)
ブルース(だが、心のどこかで、もう一人の私が冷たく嘲る。しょせん儚い夢なのだと)
ブルース(……破滅は、足音をたてない……)
527 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 02:02:25.62 ID:z9IWeJy60
………………
ソロモン「もう一度言ってみろ」
???「俺が向かう。お前の策だけでは上手く行く保証がない」
ソロモン「……虫けら相手に、策だと? 笑わせる。賢いつもりか」
???「そう言って、いくつの特異点を突破されてきた? 残りは四つ。お前の策は確かに上策ではあるが、万全を期しているとは言い難い」
ソロモン「……」
528 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 02:02:54.45 ID:z9IWeJy60
ソロモン「……お前にはバビロニアを任せる。そう言った」
???「奴らがそこまで到着する前に決着をつけるのが最善だ。俺は常に最善を好む」
ソロモン「だからお前が出ると? お前が消滅した時、誰が責任を取る?」
???「俺は死なない。少なくとも、人間の状態で一度は破った相手だ」
ソロモン「……何を恐れている?」
???「俺に、恐れはない。だが奴らに……植え付ける必要がある。道の先には破滅が待っているという恐怖を」
ソロモン「面白い。……実に面白いぞ」
529 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 02:03:22.00 ID:z9IWeJy60
ソロモン「良いだろう。せいぜい奴らを破滅の道へ誘い込め」
???「……朝飯前だ」
ソロモン「……」
ソロモン(……フン、何をするつもりかは知らんが……折角この私のサーヴァントとして召喚してやったのだ。ここで実力をハッキリみせてもらおうか……)
ソロモン「では、ベイン。お前をロンドンへ飛ばす」
ベイン「……」
530 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 02:03:52.54 ID:z9IWeJy60
………………
ブルース「っ」ガバッ
時計『07:00』ピピピ‼ ピピピ‼ ピピピ‼
ブルース「……」
ブルース(嫌な夢を見た……気がする。なんだったんだ……)
ポロン、ポロン、ポロロン♪
ダビデ「おはようブルース、爽やかな目覚めをお届けするダビデサービスだよ」ウィーン
ブルース「……成程、悪夢を見たわけだ……」ドサッ
ダビデ「ちょっと? 僕への扱いが全般的に酷くない?」
ブルース「いや……良い音色だ。とても癒される」
ダビデ「取ってつけたような感想だなー!?」
531 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 02:04:31.24 ID:z9IWeJy60
ピーンポーンパーンポーン……
レオナルド『おはようカルデア。外は生憎の吹雪だが、インドア派な我々には無関係だ。これより第四回レイシフト前、最後のミーティングを始める。管制室へ集合してくれ』
ダビデ「だってさ」
ブルース「……行くぞ」ムクリ
ダビデ「はいよ」スクッ
自動ドア「」ウィーン……
532 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 02:05:15.75 ID:z9IWeJy60
マシュ「あ、マスター、ダビデさん。おはようございます」
ダビデ「おはようマシュ。今日も綺麗だ」
マシュ「へっ!? あ、は、はい、ありがとうございます……?」
ブルース「……おはようマシュ。体調に異常は無いか」
マシュ「はい……いえ、奇妙な夢をみたような気がするんですが、忘れちゃって……」
ブルース「……そうか。まあ、所詮夢だ」
533 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 02:05:44.30 ID:z9IWeJy60
フォウ「……フォ〜〜ウ……」モゾモゾ
ダビデ「ちょっとタンマ。なんだこの獣、今どっから出て来た?」
マシュ「わわ、フォウさん。最近は隙があったら私の身体に潜り込もうとしてくるんですよ」
ダビデ「う……羨ましいぞ! 僕もその谷間にダイブ……」
ブルース「……」ピクッ
ダビデ「……するのはやめておくよ!」
ブルース「賢明な判断だ。流石は王だな」
ダビデ「いや、王ってのはやめてくれ……僕は羊飼いだから……」
534 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 02:06:14.55 ID:z9IWeJy60
………………
ドクター「……来たね」
ブルース「遅くなったか」
レオナルド「いいや、時間通りだ。おはよう」
ダビデ「おはよう! ところでキミの名前を聞いていなかったね、美しい人!」
レオナルド「ははは、私は中身がオッサンだから口説くのはやめとくんだな」
ドクター「見境がないな……これで偉大な存在っていうんだから歴史だっていい加減なものだよ」ブツブツ
マシュ「あ、あははは……」
所長「はい、無駄話はやめ! これより第四回レイシフト前、最後のミーティングを始めます! 全員居るわね?」
職員達「「「はい!!」」」
535 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 02:06:48.03 ID:z9IWeJy60
所長「今回のレイシフト先は19世紀後半のロンドン。解析していく内に、この特異点は霧に覆われているという事が判明しました」
ブルース「……霧?」
所長「ええ。とても濃い霧で……朝昼晩、晴れる事のないものよ。魔術の関与があるかどうかまでは判明しませんでしたが、その線も十分考えられる」
ブルース「ふむ……」
ブルース(……)
マシュ「五感、ですよね」
ブルース「……そうだな。視界が効かないとなると、音だ」
マシュ「はい!」
所長「レーダーも一応強化済みだけど、過信は禁物よ。令呪は三画まで。生身でのサーヴァントとの交戦はできるだけ避ける事」
ブルース「了解した」
所長「良いわ。じゃあ、サポート班!」
職員達「「「はい!!」」」
ドクター「はい!」
レオナルド「はいな」
536 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 02:07:27.65 ID:z9IWeJy60
………………
所長「レイシフト要員は09:00までに準備を整え、コフィンへスタンバイを済ませる事! では動いて!」
マシュ「……お先に失礼しますね、マスター」
フォウ「フォウ、フォーウ!」
ブルース「ああ、あちらで会おう」
ダビデ「えーっと、これに入れば良いのかい?」
ブルース「そのボタンは押すな。ここの赤いボタンだ」
ダビデ「えっと……おお!」
コフィン「」プシュー……
ダビデ「いいなあコレ! ワクワクするぞ……よーし。ダビデ、いきまーす!」
ブルース「……あちらで会おう」プシュー……
537 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 02:07:57.37 ID:z9IWeJy60
ブルース「……」ガチャリ、シュルッ。ガキ
ブルース「……」ガキリ、カチッ。スチャッ
マスク「」
ブルース「……」スッ
バットマン「……」
ドクター「……よし、全員スタンバイできたね」
538 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 02:08:26.53 ID:z9IWeJy60
ドクター「時刻、08:57。ブルース・ウェイン、マシュ・キリエライト、ダビデの三名がコフィンにスタンバイ完了」
職員A「存在証明式、稼働開始! 肉体観測、順調!」
職員B「電子機器類、異常なし! 電力量チェック……クリア!」
職員C「シバの時代特定も良好です! 19世紀後半、特異点のロンドンを捉えています!」
所長「では……ロンドンへのレイシフト、カウントダウン開始!」
職員達「「「了解、カウントダウン開始!」」」
ドクター「……」
レオナルド「……やっぱりダビデは嫌いかい?」
ドクター「好きにはなれない。僕には無理だ」
レオナルド「まあ、仕方ないけど……サポートの手は抜かないように」
ドクター「当然だ! ブルースくんとマシュを守らなきゃ!」
539 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 02:08:52.34 ID:z9IWeJy60
(((破滅は足音をたてない)))
(((ベイン。お前をロンドンへ飛ばす)))
バットマン(……いや、ただの夢だ)
ドクター『レイシフト10秒前! 9! 8! 7! 6! ……』
バットマン「……」
ドクター『3! 2! 1!』
バットマン「……」グッ
『0』
540 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 02:09:30.48 ID:z9IWeJy60
………………
バットマン「……」ムクリ
バットマン(硬い地面……いや、石畳か。レイシフトは成功したようだが)
バットマン「……マシュ。ダビデ。何処に居る」
バットマン(見えない……酷い霧のせいで、視界は3〜5メートルほどに制限されてしまう)
541 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 02:09:59.12 ID:z9IWeJy60
バットマン「何処だ、マシュ、ダビデ」スタスタ
バットマン(はぐれたか? レイシフトはランダム要素もあるらしい、こういう事も起こらない訳ではないのだろう……)
バットマン「……ドクター、マシュとダビデの位置を割り出せるか?」
通信機『ザザッ……ザザザザザザザ……』
バットマン「……駄目か……」スタスタ
バットマン「……?」チラッ
バットマン「……!!」ダッ
542 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 02:10:30.47 ID:z9IWeJy60
マシュ「……あ、ああ……」グッタリ
バットマン「マシュ。どうした。何があった」タッタッ
マシュ「ます、たー……私は、もう……」プル、プルプル……
バットマン「……!? 馬鹿な、どこでこんな傷が……」
バットマン(明らかに致命傷だ。何故だ? 誰が?)
強盗「……馬鹿な奴だぜ。お前を守るために俺に飛び掛かってきやがった」
バットマン「……!?」
バットマン(こいつは、あの時の……両親を殺した、あの……!)
543 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 02:10:58.80 ID:z9IWeJy60
強盗「大人しくテメェを差し出しときゃ良かったのによ」
バットマン「……どういう事だ……何故……」
マシュ「ますた……さよなら……」シュウシュウ……
強盗「ほら、またテメェのせいで人が死んだ。感想はどうだ?」
バットマン「……違う、違う! こんな……」
バットマン(齟齬だ。齟齬がある。銃声すらなかった。もみあう音さえ聞こえなかった。理性を失うな、ブルース……!)
(((……スター! マスター! おきて……)))
(((……不味いぞ、何かきてる……)))
バットマン「……!!!」
544 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 02:11:36.52 ID:z9IWeJy60
ドクター『ブルースくんのバイタルに異常が……なんだこの霧は!? 凄まじい毒性反応だ……今解析にかけてる!』
バットマン「……ばかな、……ありえない……」
マシュ「マスター! ドクター、マスターが急に倒れてうわ言を……」
ダビデ「霧の向こうからすごい量の足音だ! 何か来るぞ!」
マシュ「っ……マスター……!」
バットマン「マシュ……マシュ、マシュか!」ガバッ
マシュ「ま、マスター!?」
バットマン「……起きたぞ、状況を!」ムクッ
ダビデ「起きてくれてよかった! 何か来るぞ!」
ザン、ザン、ザン、ザン、ザン……
545 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 02:12:23.72 ID:z9IWeJy60
ドクター『毒の解析が完了した! これは……どうやら、脳に著しいストレスを与えるガスが霧に混じっているようだ。具体的に言うならば、対象に恐怖を体験させるガスだ! サーヴァントならともかく、人間が吸えばイチコロだぞ!』
バットマン「……覚えがある」
ドクター『そうか……ってなんでキミ、立ってられるんだ!? 常人なら発狂モノの恐怖がキミを襲ってるハズだぞ!?』
バットマン「毒物影響下の自覚はある。だが想像で世界を塗りつぶしはしない……」
マシュ「……!」
バットマン「やるぞ、マシュ、ダビデ。この状況に対処する……」
546 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 02:13:02.42 ID:z9IWeJy60
『ハハハハハハハハハハハハハハハ!! 苦しいか、バットマン!』
バットマン「……この声は……」
『チチチチチ、誤魔化しても駄目だ……お前の心臓は既に掴んだ。恐怖しているな? 身体の震えは隠せても、心の震えは決して隠せない……』
バットマン「……スケアクロウだ。全員構えろ、サーヴァントも来るぞ!」
『さあ、教えてやろう……この世のたったひとつの真実! 恐怖を!』
バットマン「……警戒しろ……」
マシュ「はい」スッ……
ダビデ「……」
ザン、ザン、ザン、ザン、ザン……
ロボット軍団「……」ザン、ザン、ザン、ザン、ザン……
マシュ「……な……」
ダビデ「冗談だろ、この量……」
バットマン「……」
「さあ」
スケアクロウ「恐怖しろ」スー……
バットマン「!!」バッ
547 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 02:13:31.86 ID:z9IWeJy60
第四章
死界魔霧都市 ロンドン
548 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2018/03/17(土) 02:17:25.03 ID:z9IWeJy60
今回の更新はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました
549 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2018/03/17(土) 02:20:37.93 ID:z9IWeJy60
スケアクロウ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%B1%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%A6_(%E3%83%90%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%9E%E3%83%B3)
ベイン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%82%A4%E3%83%B3
今回の悪役の参考資料です。
https://www20.atwiki.jp/nijiame/
550 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/17(土) 07:49:08.93 ID:05Z1wx48o
大物揃ってんなぁ
霧のロンドンてもうガス充満しちゃってるのか
それに加えてついにベイン
凄いハードモード
551 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/17(土) 09:49:14.72 ID:CElREEq8O
アズラエルかナイトウィング喚んだ方がいいな
552 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/17(土) 13:17:53.40 ID:g2JQeIBDO
ロビンやバットガールもサーヴァントになってる可能性があるんか…
アルフレッドも召喚できたりして
553 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/03/17(土) 15:44:04.48 ID:psC9fTs+0
バベッジに対してどんな反応示すか楽しみだな
554 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/24(土) 13:13:49.40 ID:KY2YvdpNo
ゴッサムバイガスライトのアニメ発売されたな
なかなか良かった
555 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/24(土) 18:56:53.10 ID:Y6mLoDQfo
Fateで思い出したけどDr.フェイトってどんぐらい強いんだっけ
556 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:04:28.58 ID:IA8vUwsQ0
………………
ベイン「……」ドシ、ドシ
ベイン「……」グルリ
ベイン(……霧が深い。それにこの気に入らない匂い……恐怖ガスが霧に混じっているのか)
ベイン(サーヴァントの身体というのは、どうやら毒物にも耐性が付くらしい……)
ベイン(それに、目や耳も実に良く利く)ピタッ
ベイン「誰だ。こそこそつけて来ているのは」
???「おやぁ? バレてしまいましたか、これは失敗! ワタクシとっても反省しておりますぅ!」
557 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:04:59.42 ID:IA8vUwsQ0
ベイン「……お前は」
???「申し遅れました、ワタクシはメフィストフェレスなる者でして。人の破滅を見るのが三度の飯より大大だーい好きなだけの道化師ですぅ!」
ベイン「ほう……フフフ。人を不快にさせるピエロならよく知っている。それで、そのお前がどんな用で俺の前に立ったんだ?」ゴキゴキ
メフィストフェレス「あぁいえいえ、決して敵意はございません。ただアナタ、破滅の匂いがとっても濃いので……ついつい来ちゃったんですよう。許していただけますかぁ?」ヘラヘラ
ベイン「……」
558 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:06:32.14 ID:IA8vUwsQ0
ベイン「……良いだろう。お前に役割を与えてやろう、ピエロ」
メフィストフェレス「ワタクシはメフィストフェレスですが……」
ベイン「俺が通った後を破壊して回れ。人が居れば特に残酷に痛めつけて殺せ。悲鳴を上げさせろ」
メフィストフェレス「……へえ」
ベイン「時には殺さず、瀕死の状態で道に転がせ。目印をつけていけ。そうすれば……」
メフィストフェレス「そうすれば?」
ベイン「……もっと面白い奴らが現れる」
メフィストフェレス「ウフフフ……なんだか、ワタクシよりよほど悪魔っぽいですねえ」
ベイン「では行け。俺は『準備』を整える」
559 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:07:33.93 ID:IA8vUwsQ0
ベイン「……」ドシ、ドシ
ベイン(連中のアジトまでの道中、まずすべき事は、バットマンの側に付きそうな野良サーヴァントの撃破)
ベイン(その後、それ以外の反抗勢力を各個撃破……まとまってしまう前の撃破が好ましいが、さてそう上手くいくか)
ベイン(『B・P・M・S』からの連絡によれば、サーヴァントによるレジスタンス団体は今のところひとつ……俺がバットマンを倒すのと、そいつらがバットマンに接触するのはどちらが早いか……)
ベイン「……やはりあのピエロを焚きつけたのは正解だったか」ドシ、ドシ
ベイン(事態は常に不利な方向へ進むと見た方が良い。バットマンの悪運の強さは天性のものだ)
ベイン(……だが、俺はお前の弱点を、恐怖をよく知っている。今回の特異点が今までのように簡単に行くと思うな、ミスター・ウェイン)
ドドォォォォォォ……ドッガァァァァァァァ……ヒャハハハハハハハハ‼ アヒャハハハハハハハハハ‼
ベイン「……」フッ
560 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:08:28.55 ID:IA8vUwsQ0
………………
バットマン「ダビデ! ロボット達を寄せ付けるな! マシュ! スケアクロウを抑え込め!」
ダビデ「了解……そらっ!」ヒュンッ
石「」ヒュォォォォッ
ロボットA「ガガガッ!!」ドガッシャァァァァァ、プシュー‼
バットマン(あのロボット……破壊された瞬間、蒸気が内部から噴出した? つまり蒸気機関で動いているという事か……?)
マシュ「やああっ!!」ブォン
スケアクロウ「フハハハハハ!! ならば、もう一度霧の中に身を浸そう……」ズォォォォ
マシュ「くっ……敵、視認不可能! ドクター、レーダーはどうですか!」
ドクター『……駄目だ、まともに機能しない! 霧が含む魔力がこちらの想定以上に高濃度だ、対応は急いでいるが……視野以上には広がらないと思ってくれ!』
マシュ「……っ……マシュ・キリエライト、これより敵の追撃に……」
バットマン「待て! 互いに目の届く範囲から離れるな、ここではぐれたら終わりだ!」
561 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:09:04.01 ID:IA8vUwsQ0
マシュ「ですがマスター! これでは……」
バットマン「……落ち着いて凌ぐんだ。戦況に変化が現れる瞬間は必ず来る。それまで絶対に焦ってはならない……」
マシュ「っ……はい」
バットマン「よし、ダビデ、マシュ。固まるぞ、このまま……」ドクン
(マシュの焦る心がこのまま膨らみ、いつか手の届かない場所まで行ってしまうのでは?)
バットマン(……くだらない想像だ……現実を把握しろ)
(手の届かない場所で、そのまま殺されてしまうのでは?)
バットマン(……集中しろ!)
マシュ「マスター! 敵ロボット、腕の武装を展開しました!」
ロボットB『ロックオン』ウィーン、ガチャリ……
マシュ「あれは……銃です!」
バットマン「マシュ、ダビデの防御を! ダビデ、そのまま攻撃を続けろ! 狙うのは足元だ!」
ダビデ「りょーうかい……フッ!」ビュオッ
562 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:10:00.38 ID:IA8vUwsQ0
ロボットB『発射』バババババババ
マシュ「くっ……」ガギギギギギギギギギギギ‼
ダビデ「そぉらっ!」ヒュンッ
石「」ヒュゥゥゥゥゥゥッ
ロボットB『ガガガガ!』ドガァッ
バットマン「良し……」ドクン
(あれは銃だ。私の両親を殺したのと同じ凶器だ)
バットマン(……違う。今はマシュも居る。守る盾だ)
(だが、その彼女を守るのは誰だ? あの夜と同じように、撃たれて倒れないのか?)
バットマン(……黙れ! 彼女は私が守る、そんな事はさせない……!)
スケアクロウ「恐れているな? 聞こえるぞバットマン」
バットマン「……!!」
563 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:10:51.41 ID:IA8vUwsQ0
スケアクロウ「私の目は誤魔化せない……見えている。今は堪えていても、この注射針を刺せばたちまち正体を現すだろう」カチャ……
バットマン「……」スッ
スケアクロウ「くくく……抵抗できるつもりか? 私は強大な身体能力を手に入れた……サーヴァントという身体は素晴らしい!」
マシュ「マスター! 下がってください!」ババッ
スケアクロウ「おおっとぉ、こちらでも忠実なコマドリを飼っているようだな。そろそろ一人では無力だと気付いたか」
マシュ「……」ガシャリ
バットマン「マシュ、注意しろ。奴の注射……あれは恐らく、恐怖ガスを濃縮させた液体だ……打たれれば、危険だ」
スケアクロウ「くくく……相変わらず恐怖には敏感なようだ。良いぞ、流石はバットマン……」
564 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:11:41.55 ID:IA8vUwsQ0
スケアクロウ「……さあ、恐怖を体験する準備は良いか」
マシュ「……」ジリッ
バットマン「……ドクター、地形の観測を……」
ガッシャァァァァァァァァン‼ オラオラオラァァァァァ‼
バットマン「!?」バッ
マシュ「え……?」
ロボットC『ガガガッ!』ドドッ、ガシャァァァァ
ロボットD『ギギゴゴゴ……』プシュー……
???「雑魚どもが、引っ込みやがれ! 俺の獲物はテメェらじゃねえ!」ブンッ、ガッシャァァァァァァァァ‼
ダビデ「おいおい誰だ、あんなに大量のロボットの群れを……うおっ!?」ドドッ
???「おら退けェ!!」ダダッ
スケアクロウ「……おっと、招かれざる客だ。流石に分が悪い……また会おうバットマン」ズゥゥゥゥ……
バットマン「待て!」ヒュンッ
バットラング「」ヒュォォォォォオォォォォォォ……スカッ
565 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:12:20.58 ID:IA8vUwsQ0
???「ああクソっ、また逃げやがったのか!
……なんで逃がしたんだテメェら!!」ガァッ
マシュ「ご、ごめんなさい!?」
バットマン「……」
???「チッ……腰抜けが。盾ヤロウも居るってのに、それを使いもせずに……」
マシュ「え……えっと、私ですか?」
???「お前以外に誰が盾を持ってんだよ……ああ、チクショウ、気に入らねえ奴の匂いだらけだ此処は!」
バットマン「お前は誰だ。ここで何をしている」
???「あん? 俺は……」
566 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:12:52.99 ID:IA8vUwsQ0
???「俺はモードレッドだ。アイツらと戦ってる」
バットマン「モードレッドだと? ……イングランド、円卓の騎士の……あのモードレッドか」キッ
モードレッド「そうだ。なんか悪いかよ」
バットマン「……」
バットマン(……モードレッド。最も勇猛な騎士とされた、騎士王の息子……)
モードレッド「……睨みやがって、やるってのか」ガチャリ
バットマン(……そして、騎士王を殺した裏切りの騎士)
マシュ「ご、ごめんなさい。その、マスターは……普通に見つめるだけで睨んでるみたいになっちゃうので……」
フォウ「フォウ、フォーウ」ピョンッ
モードレッド「うわっぷ!? ったく、なんだってんだ……」
567 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:13:22.27 ID:IA8vUwsQ0
ダビデ「……ブルース、あの凶暴そうなかわいこちゃんは味方か?」
バットマン「……さあな。今のところは警戒しておくのが妥当だ」
モードレッド「フン、どうもそっちの黒いのとはそりが合わなさそうじゃねえか」
バットマン「原因は自分がよく分かっていそうだが」
マシュ「ま、マスター……」
モードレッド「……あぁ?」ギロッ
バットマン「……」
568 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:13:51.52 ID:IA8vUwsQ0
モードレッド「……チッ、使えそうな戦力ならジキルのところに連れて行ってやろうと思ったのによ」
バットマン「……判断するのは私だ。使えるか使えないか……それを決めるのは単純な力だけではない」
モードレッド「力がねえヤツなんざ興味もねえな」チャキリ
バットマン「こんな挑発に乗ってやすやすと剣を構える、それがお前の弱さだ。力があってもそれでは先が思いやられる」
モードレッド「……」ピキッ
マシュ「マスター、それ以上は……」
ダビデ「おいおい、何か余裕がないなぁ。ブルース、もうちょっと大人の対応を……」
569 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:14:25.56 ID:IA8vUwsQ0
バットマン「……余裕……」
モードレッド「……」
(コイツが裏切って私達全員を皆殺しにする可能性もある)
バットマン「……いや、そうだな……すまない。少し……思考が偏っていた」
モードレッド「……フン、めんどくせえ奴」
マシュ「すみません、マスターはその……顔見知りというか……」
モードレッド「良いぜ、そっちが妙な動きをしたら叩っ斬ればいいだけだ。ついて来いよ」
バットマン「何処へ」
モードレッド「俺達の家へだ」
570 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:14:56.89 ID:IA8vUwsQ0
………………
ドクター『らしくなかったじゃないか、ブルースくん』
バットマン「……そうか? いや、そうだな……少し、過敏になっていた」スタスタ
バットマン(らしくないと言えば、ダビデに対するドクターの対応もおかしかったように思うが……)
バットマン「……常に最悪を想定してしまう。人の考えなど、ひと呼吸で変わってしまうものだから」スタスタ
マシュ「……」スタスタ
ドクター『……ひと呼吸で、か。確かにそうかもしれないね……』
571 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:15:23.48 ID:IA8vUwsQ0
ドクター『ところで、毒の影響はどんな感じだい?』
バットマン「理性的な恐怖とそうでない恐怖を見分けるようにしている。この霧が少しでも薄くなればまだマシだろうが……それこそ、呼吸の度に毒を吸入している状況だ。この対処法がいつまで持つか……」
ドクター『うーん……こっちで解毒剤を研究してみるよ。完成したら成分を表示する。そちらでも精製できるよう、出来るだけ容易に手に入る成分を選択してみる……』
バットマン「……そうか」フッ
ドクター『なんだい?』
バットマン「初めてドクターらしい言葉を聞いた気がしてな」
ドクター『そう!? ……えへへ、そうかなあ。プロっぽかった?』
バットマン「ああ。……ありがとうドクター、よろしく頼む」
ドクター『うんうん、任せてくれ!』
ダビデ「へえ、頼もしいな。優秀なドクターなんだ」
ドクター『うるさいぞ!』
ダビデ「ちょっと!? 対応が違い過ぎるだろう!?」
572 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:16:34.82 ID:IA8vUwsQ0
ダビデ「だいたいなんだってキミはそんなに僕に辛く当たるんだ!」
ドクター『自分の胸に手を当てて訊いてみたらいいと思うな! 無自覚たらしネグレクト王! 女の敵! モテない男の敵! 人類の8割を敵に回してるのを自覚しろよ!』
ダビデ「ちょっと待った!! なんだか不名誉な称号ばっかりだが、ちゃんとした功績だって残してるんだからな! 味方だってそれなりに多いさ!」
ドクター『昔の王様だったらどんなに少なくても何かしらの功績は残してる! それなりって言ってもどうせ味方は羊ばっかりだろう!?』
ダビデ「羊を馬鹿にしたな!?」
ギャーギャー‼ ワーワー‼
モードレッド「なんだアイツら」
マシュ「あ、あはは……け、喧嘩するほど仲がいいとも言いますし」
モードレッド「……どうでも良いけどうるせえんだけど……」
マシュ「それは……っ、構えて下さい。前方から何か来ます」
573 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:17:04.02 ID:IA8vUwsQ0
ガシャン、ガシャン、ガシャン……
自動人形A「……」ガシャン、ガシャン
自動人形B「……」ガシャン、ガシャン
自動人形達「「「……」」」ガシャン、ガシャン、ガシャン
マシュ「あれは……機械の人形でしょうか。マスター、指示を」
バットマン「……」
バットマン(……関節部分から噴き出す蒸気。これも蒸気機関か……)
モードレッド「オラァ!」ブンッ、ガッシャァァァァァァァァ‼
マシュ「も、モードレッドさん!? まだ敵と決まったわけじゃ……」
モードレッド「チンタラしてんのが悪りいんだろうが! 敵か味方か分からなきゃ、取り敢えずぶっ壊せばいいんだよ!」
バットマン「……」
574 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:17:32.90 ID:IA8vUwsQ0
マシュ「マスター、どうしましょう」
バットマン「……あの人形は敵だ。殲滅するぞ」
マシュ「了解しました!」ガシャリ
モードレッド「そぉらっ!」ブンッ、ゴッシャァァァァァァァ‼
ダビデ「せいっ!」ヒュンッ
石「」ヒュォォォォォンッ
人形D「ギギギギーーー!!!」ガッシャァァァァァァァァン‼
マシュ「……たああああっ!」タッタッ、ブォンッ‼
575 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:18:00.65 ID:IA8vUwsQ0
………………
???「……アリス、アリスは何処だ……これだけ広い図書館なら、本くらいあるハズだろう……」ガサゴソ
???2「全く、これだけの本の海の中から特定のものを探し出すだと! 本を元の棚に戻すマナーの良い連中ばかりではなかっただろうに、よくもまあ!」ガサガサ
???3「あら、おじさま達。そこで何をしていらっしゃるの?」
???「キミは……あぁ、キミも物語の一部か。手伝ってくれ、不思議の国のアリスが……時代脚色の極めて少ないモノがここにはあるハズなんだ」
???2「マッドハッター! 誰彼構わず声を掛けるのはやめろと……む、そこに居るのは……また、面倒な奴だな」
576 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:18:44.39 ID:IA8vUwsQ0
???3「めんどうなやつ……私の事かしら、小さな紳士さん」
???2「俺は小さな紳士などという間抜けな名前ではない。全く……」
???3「ごめんなさい、小さな紳士さん。でも、名前が無ければ、どう呼べば良いのか分からないの」
???2「……呼ぶならせめてアンデルセンと呼べ。お前はそこで何をしている」
???3「わたし? 私はありす(わたし)よ、アンデルセンさん」
アンデルセン「……はあ!?」
マッドハッター「なんと! キミがアリスだったか……!」バタバタ
577 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:19:25.13 ID:IA8vUwsQ0
アンデルセン「まっっっっっったくなんて事だ! この狂人に適当に付き合ってやっているつもりが、まさか本物のアリスに出会ってしまうとは……」
マッドハッター「はやくお茶の準備をするんだ、アンデルセン! アリス、ああアリス。キミと会いたかったよ、ずっと夢見てた!」
???3「……おじさま。これがあなたの夢だったのね。でもごめんなさい、私はありすだけどありすではないの」
マッドハッター「なんと……だが良い、アリス。僕はそんな事を気にしない。キミが誰かの為の物語であるならば……こうして共に紅茶を飲む事に、意味はあるのだ」
アンデルセン「……『誰かの為の物語』(ナーサリー・ライム)か。何故狂人はいつも詩的なんだ、世の中の皮肉を感じざるをえん」
???3「ナーサリー・ライム……すてき。私も、そうなれるかしら」
アンデルセン「……全く、さっきまで正体不明だった少女に名前まで付けたか。マッドハッター、お前さては相当頭が切れるんじゃないのか」
マッドハッター「はやく! 紅茶を用意してくれ、アンデルセン!」
アンデルセン「……そんなワケがなかったな」コポポポポ……
マッドハッター「さあ、聞かせてくれ。キミが知るアリスの全てを!」
578 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:20:13.83 ID:IA8vUwsQ0
………………
ベイン「……」ドシ、ドシ……ピタッ
ベイン(……)
ベイン「……」スッ
……、…………タンッ
???「っ」ギュォッ
ベイン「フン」ガシッ、ドシャァッ
???「いたっ……!」ドサリ
579 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:20:40.77 ID:IA8vUwsQ0
ベイン「霧を使って上手く立ち回ったつもりか? 足音をあれほど派手に立てているようじゃ……フフフ、甘いな」グググググ……
???「はなせ!」ジタバタ
ベイン「そちら次第だ。……さあ、名前を言え。その名に価値があれば、上手く使ってやる」ググッ
???「くぅっ……わたしは、ジャック……ジャック・ザ・リッパー」
ベイン「……ほう、切り裂きジャックか。史上稀に見る犯罪者……その正体がここまで幼い少女だったとはな」パッ
ジャック「っ」ババッ
ベイン「良いだろう。お前の事は見逃してやる。何処へなりと行くがいい」
580 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:21:18.41 ID:IA8vUwsQ0
ジャック「……どういうつもり」
ベイン「利用するまでもないという事だ。お前の恐怖は皆を巻き込む」
ジャック「……」
ベイン「フフフ、その目。そして後世に伝わるほどの犯罪。お前が何かにとりつかれたように人を殺して回った理由、それは執着心だ」
ジャック「……なにをしってるの」
ベイン「……」ジッ
581 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:22:58.94 ID:IA8vUwsQ0
ベイン「頬にはねた血液。血の指紋。つい先ほど殺人を犯したが、かなり抵抗を受けたようだな。初撃からこれほどに抵抗するのにはそれなりの体格が必要になる……つまり大人だ。
漂う香水の匂い、また女性をやったようだな」
ジャック「……」
ベイン「英霊は全盛期の姿で召喚される。全盛期が『幼い子供』? ……想像力を生業とする者ならともかく、アサシンでそれは考えにくい。子供時代が幸福の絶頂だったとも考えられるが、その線で行くと『その姿』で大量殺人鬼のように歪み果てる理由もない」
ジャック「……」
ベイン「つまりお前は不幸な子供、殺人のターゲットは女性。子供時代に死亡したか……それとも、まともに成長すらできなかったか。いずれにせよ、大人の女性、自分の母親に強い恨みを……」
ジャック「……」シュン
ベイン(……)
ベイン「……違うな。お前は捨てられたのか、物心がつく前に」
582 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:24:04.88 ID:IA8vUwsQ0
ジャック「っ……なんでわかるの」
ベイン「……」
(((父さんは何処なの?)))
ベイン「見れば分かる。そうか、成程……フフフ、面白い。どうやら俺は勘違いをしていたようだ」
ジャック「どういう事」
ベイン「行け。お前と同じ目をした男を知っている」
ジャック「……?」
ベイン「殺せ。お前にとっての『親』を探して回れ。そうすればきっと、目的がお前を見つけるハズだ」
ジャック「……」
ベイン「それとも、ここで俺と無益な闘いを繰り広げでもするか? 俺は全く構わんが」ゴキゴキ
ジャック「……」ジリジリ
583 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:24:47.16 ID:IA8vUwsQ0
ジャック「……」ジリジリ……ズォォォォ……
ベイン「……行ったか。賢明な判断だ」
ベイン(尤も、少し残念でもあるが……主を持たないサーヴァントというのは、あの程度のものなのか)
ベイン「……まあ良い。行くとしよう……鼻が利くというのは、良い事だ」ドシ、ドシ
………………
ナーサリー「それでね、ありすったら……」
マッドハッター「ほうほう……?」
アンデルセン「……待て。何か来るぞ」ピクッ
584 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:25:37.35 ID:IA8vUwsQ0
マッドハッター「アンデルセン、今良いところじゃないか。席を立つにはまだ早い」
アンデルセン「嫌な予感がする……おい、図書館の扉はきちんと閉めただろうな」
マッドハッター「勿論だ。カギを閉めて、誰も入れないようにしたとも」
アンデルセン「……クソ、なんだこの寒気は……特大の不吉がやってくる前触れのような……」
ドゴッシャァァァァァァァァァァ‼
アンデルセン「……!! 今の音は、正面玄関の……!」
マッドハッター「なんだ、誰だ!?」
585 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:26:57.93 ID:IA8vUwsQ0
ベイン「……俺の嗅覚によれば、此処に誰か居るハズだが」ボキボキ
アンデルセン「誰かは知らんが、お前の来る場所ではないぞ筋肉ダルマ!」ギュギュギュォッ
光弾「」ギュォォォォォォォォッ
ベイン「ほう」ドドドッ……シュゥゥゥゥゥゥゥゥ……
アンデルセン「……クソ、付け焼き刃とはいえこうもあっさり弾かれるとは!」
ベイン「いや、効いた。なかなか良い攻撃だったぞ、小僧」ドシ、ドシ
マッドハッター「騒がしいな、誰が……!! べ、ベイン……!?」
ベイン「ジャービスか。お前もこっちに来ていたようだな」
ナーサリー「……お、おじさまがもう一人? 随分、その……いかつい見た目ね」
586 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:27:43.91 ID:IA8vUwsQ0
マッドハッター「お逃げ、アリスの分身さん! アイツは危険だ、悪いドラゴンだよ!」
ナーサリー「わ、悪いドラゴン……とても怖いのね」
ベイン「フフフ、まだ物語に没入するクセが治っていないようだな。骨を何本折られるまでそうやっていられるか、数えてやろう」
マッドハッター「……! アンデルセン、お前も逃げるんだ」
アンデルセン「……マッドハッター」
マッドハッター「アリスを頼んだよ! 必ず生き延びてくれ、彼女は私の全てなんだ!」
アンデルセン「……分かった。陳腐な言葉になるが……また会おう」
マッドハッター「……」
587 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:28:34.12 ID:IA8vUwsQ0
ナーサリー「アンデルセン、駄目よ! このままじゃマッドハッターさんが危ないわ!」
アンデルセン「馬鹿め! 奴は危険を承知で時間稼ぎを引き受けたんだ、さっさと奥に潜り込むぞ!」パシッ、ダダッ
ナーサリー「おじさま! 乱暴は駄目、絶対に駄目よ! 私、怒るんだからあああぁぁぁ……」ズルズルズルズル
ベイン「……お前程度で時間稼ぎになると思ったのか、ジャービス」
マッドハッター「……ならないかもしれないな。でも、こうして……」チリン……チリン……
ベイン「……っ……しまった、マインドコントロール波か……その立ち位置も、計算して……」ヨロ
マッドハッター「……さあ、精神の世界へ旅立つとしよう。そこでなら、私もキミと対等以上にわたり合えるかもしれない……」チリン……チリン……
ベイン「……ぐっ……」ドシン……
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