バットマン「グランド……オーダー?」 マシュ「その2です」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

169 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:40:00.02 ID:U9kyoBCq0


バットマン「……行くぞ、ブーディカ」

ブーディカ「はいはい。それじゃ、行こうか」スタスタ

バットマン「……」スタスタ



ドレイク「……」

海賊E「姐御、どうします?」

ドレイク「……馬鹿野郎、まかせっきりにできるか。こっそりつけていくよ」

海賊達「「「あいあいさー!」」」



170 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:40:30.19 ID:U9kyoBCq0


………………


ピチャン……ピチャッ……


バットマン「……」ススス……

ブーディカ「……こりゃ、本当に迷宮だ。暗くて、じめじめしてて、入り組んでて……」コツ、コツ……

バットマン「血痕はこちらへ続いて……待て、止まれ」ピタッ

ブーディカ「……」スッ


ガサガサ、ドスドス……


???「くるな、かえれ!!」ワン、ワン、ワン……


バットマン「……」


171 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:41:03.27 ID:U9kyoBCq0

バットマン(迷宮の中、音が反響して……何処から声が発されている?)


???「かえれ! かえらないと、ころす!」ワン、ワン、ワン……

バットマン「……お前が海賊をさらったのか!」

???「こいつらは、えうりゅあれを、きずつけたから、ころす! この島のやつらは、みんなそうだ!」ワン、ワン、ワン……

バットマン「……エウリュアレ……」


バットマン(エウリュアレ……確か、ギリシャ神話の……前の特異点で会ったステンノの姉妹神だったハズだ。ならば、話が通じるかもしれない)

バットマン「話がしたい! 私達は戦いに来たのでは……」

???「だまれ!」グオッ

バットマン「っ」

ブーディカ「危ないッ!!」ガギィィィィィィン‼


172 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:41:30.63 ID:U9kyoBCq0

???「じゃま、するな!」ブンッ

ブーディカ「うっ!?」ズシャァァァ

バットマン「……!」


バットマン(キラークロックに勝るとも劣らない巨躯。頭から生えた巨大な角。手に持った巨大な斧。やはり、コイツは……)


バットマン「……ミノタウロスか!」

ミノタウロス?「うるさい!」ブンッ

バットマン「くっ!?」ババッ


バットマン(駄目だ、話が通じない……!)


173 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:42:01.01 ID:U9kyoBCq0

ブーディカ「く……なんだか、力が抜けて……」ヨロ

ミノタウロス?「うるぁぁあぁぁぁぁ!!」グオンッ

ブーディカ「あっぐぅ!?」ドッガァァァァァァン‼

バットマン「! ブーディカ!!」

ミノタウロス?「ああっ!!」ブォン‼

バットマン「ぐあっ!?」ギャリィ、ドシャァァァァ……


ドクター『不味いぞブルースくん! その迷宮は内部に迷い込んだ者の力を制限するようだ! このままじゃ、ブーディカもキミも……!』


174 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:42:33.98 ID:U9kyoBCq0

ミノタウロス?「……おまえ、つれていく。奥までつれていって、ころす」ガシ、ズルズル……

バットマン「……ぐ……」ズルズル……

ブーディカ「ぶるー……す……」


バットマン(……いや、むしろ僥倖。このままバットラングで痕跡を残しつつ、奥まで行く……)


バットマン「……」


175 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:43:03.32 ID:U9kyoBCq0

………………


ミノタウロス?「えう、りゅあれ。また、もってきたよ」ズルズル……

バットマン「……」

エウリュアレ「……アステリオス。いくら男とはいえ、そんな生贄は要らないって言ったでしょう。そこらへんに放っておいて」

アステリオス「ごめん。でも、また、おそってきたから」

エウリュアレ「……キリが無いわよ。放っておきなさい……いえ、待って。妙ね、その男……」

バットマン「……」


バットマン(紫の髪。ステンノによく似た見た目。やはり、間違いなさそうだ)

176 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:44:03.89 ID:U9kyoBCq0

バットマン「……」

エウリュアレ「……ステンノの匂いがするわね。立ちなさい」

バットマン「……」ス

エウリュアレ「……そうね、おかしな話。貴方、見た事あるわ。遠い世界、何処かの島で……また私(ステンノ)に会いに来たの?」

バットマン「……話をしに来た」

エウリュアレ「……ふぅん、ちっとも変わってないのね。……いいえ、少し変わったかしら? 妙な男ね」

アステリオス「……? どういう、事……? しりあい、なの?」

エウリュアレ「違うわ。もう一人の私と知り合いだってだけ。……でも興味深い。そう、それじゃあまだ世界を救う旅を続けてるのね」

バットマン「……力を貸してほしい」

エウリュアレ「残念ながらそれを決めるのは私達よ」


177 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:45:55.83 ID:U9kyoBCq0

バットマン「……だが、このままでは世界が……」

エウリュアレ「世界。世界ね。それが私達にどう影響するの? 世界が私達に何かしてくれたかしら?」

アステリオス「……」

バットマン「……」


バットマン(……以前と同じ言葉は通用しなさそうだ。いや……自分が、それを言えるだけの精神状態にない……となると、本音を見つけなければならない)

バットマン(……私は、本当に世界を救いたいのか……?)


バットマン「……私は……」


178 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:46:35.98 ID:U9kyoBCq0


バットマン「……」


バットマン(……だが、それは……)

バットマン(それは、おこがましいのではないのか? 覚悟はあるのか? 世界と一人を秤にかけるつもりなのか?)

バットマン(両親を殺した弾丸は、私の中で未だに進み続ける。いずれそれは、私の大切な者を殺すだろう。その覚悟はあるのか?)

バットマン(失う事を恐れず、大切なものを抱えられるのか?)

バットマン(その権利は、あるのか?)


バットマン「……私は……」

179 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:47:14.25 ID:U9kyoBCq0


バットマン「……助けたい者が居る。そのために、力を貸してほしい」

エウリュアレ「……へえ。面白い目をするのね。でも……」


海賊達「「「オラオラオラァァァ!!!」」」ドドドドドドッ‼

アステリオス「っ」ガシャリ

ブーディカ「ブルース! 無事!?」

エウリュアレ「……少し、遅かったんじゃないかしら?」

バットマン「……!」


180 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:48:02.44 ID:U9kyoBCq0

ドレイク「ほー、ほー。ここが最奥、迷宮の終わりってワケかい。案内ご苦労さん、猫野郎」パラララ……

バットラング「「「」」」バラララッ


アステリオス「やら、れた。ごめん、えうりゅあれ。ごめん、なさい」

エウリュアレ「構わないわ。……さあ、どうしようかしら」

海賊達「「「……」」」ジリッ


バットマン「……待て、待ってくれ。戦う為に呼んだんじゃない」

ドレイク「……あん?」


181 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:48:37.94 ID:U9kyoBCq0


バットマン「彼らに害はない。むしろ、味方になりうる」

ドレイク「はぁ? 何言ってんだい、襲われた海賊が大勢……」

アステリオス「っ、おそわれたのは、こっちだ! ぼくが、水と食料をもらおうとしただけで、銃を向けて来て……いっしょにいるってだけで、えうりゅあれまで!」

ドレイク「……おかしいねえ、この島の連中は怪物が襲ってきたって言ってたけど」

アステリオス「ぼくは、なにもしてない! えうりゅあれを、まもりたかった、だけ!」

エウリュアレ「……口を挟むつもりはなかったけど、アステリオスの言う通りよ。外見だけで襲い掛かって来たのは、そちら側よ」

ドレイク「……なんだいなんだい、旗色が悪いねえ。それじゃあホントに、阿呆共が勘違いして襲っただけかい?」

バットマン「……ドレイク」


182 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:49:16.72 ID:U9kyoBCq0

バットマン「この二人、そして私達も含めて……海に異常が起こっている事は、分かるはずだ」

ドレイク「だから何だい」

バットマン「協力が欲しい。黒髭を倒し、海を元通りにする」

ドレイク「……ったく、畳みかけてきやがるねえ。……ボンベは?」

バットマン「……」チラ

ボンベ「……zzz……」

ドレイク「……カーッ、さらわれといて呑気に居眠りこいてんだから世話無いね。
……分かった。いけ好かないけど、協力してやる」

バットマン「……助かる」

ドレイク「フン、せいぜい感謝しときな。後でがっぽり金を請求するからね」

バットマン「……悪党め」

ドレイク「褒めんじゃないよ」

183 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:50:10.66 ID:U9kyoBCq0


バットマン「エウリュアレ。お前達は」

エウリュアレ「勿論、ついていくわ。ここに居ても面白くなさそうだし、それに貴方に興味もある……悪くないものが見れそうね」

アステリオス「ぼくは、えうりゅあれが、よければ……」

エウリュアレ「何を言っているの。私を守るんでしょう、絶対についてきなさい」

アステリオス「……! はい!」キラキラ

バットマン「……なら、これからよろしく頼む。アステリオス、エウリュアレ」


184 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:50:39.99 ID:U9kyoBCq0


………………

マシュ「……?」パチ、ムクリ


マシュ(声が聞こえたような……でも、まだ夜中……)

マシュ(キラークロックさん……は、まだ寝てるし……誰でしょうか)



……〜〜〜♪ 〜〜〜♪ 〜〜〜〜……

マシュ「……?」


マシュ(歌声……? 森の奥から……それに、煙も……誰か、居る?)


185 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:51:05.09 ID:U9kyoBCq0

マシュ「……」ガサ、ガサガサ

〜〜〜♪ 〜〜〜♪


マシュ(声が近くなって……綺麗な歌……それに、これは……竪琴の音でしょうか)


???「〜〜〜♪ 〜〜〜♪」ポロン、ポロン……


マシュ「……」

マシュ(誰でしょうか……開けた場所に、一人……)ガサリ


???「〜〜……誰だい?」ポロン……ピタッ

マシュ「あ……」


186 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:51:43.32 ID:U9kyoBCq0

焚火「」パチ、パチ……

マシュ「すみません、その……お邪魔をするつもりは無くて」

???「ふぅん……そうか。良い声をしているね。キミ、アビシャグに似てるなぁ。本物だったりする?」

マシュ「あび……え?」

???「失礼、名乗りが遅れたね。僕はダビデ。羊飼いだ」

マシュ「だ、ダビデ!? 羊飼いじゃなくて王様ですよね!? イスラエルの……!」

ダビデ「ははは、リアクションの大きい娘は嫌いじゃないぞ。うーん、でも僕は王ってよりは羊飼いで居たい派だから、あんまり大きく扱わないでくれ」

マシュ「は、はあ……それで、なんでダビデさんがここに?」

ダビデ「それはね。……とある『箱』を守ってたんだ」

マシュ「はこ……?」


187 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:52:24.06 ID:U9kyoBCq0

ダビデ「ああ、世にも恐ろしい死の箱さ。触れるモノすべてに死を運ぶ、凄まじいシロモノ……大げさじゃなく、触ったら本当に死ぬんだ。誰だろうと関係なく、一発でね」

マシュ「そ、そんな恐ろしいものを守っていたんですか!?」

ダビデ「そうなんだよ、僕もひとりでは心細かった。だけど良かった、キミが来てくれたなら心強い。どうか一緒に箱を守ってくれないか?」

マシュ「……それは……そうしたいのはやまやまですが、私にもやるべき事がありまして……」

ダビデ「そうか……残念だけど、しょうがないか。もうちょっと歌を聴いて行くかい?」ポロロン

マシュ「いえ、私は……」


マシュ(そろそろキラークロックさんが起きて来る。居ないと、怪しまれるかもしれない……)

ダビデ「……ん、ちょっと待った。なんだこの音……」


マシュ「え? ……あっ!!」

188 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:53:13.61 ID:U9kyoBCq0


マシュ(船の音だ。マスターが……迎えに来てくれたんだ)


マシュ「み、味方です! 行きましょう、ダビデさん!」

ダビデ「ちょ、ちょっと待って。せめて焚火を消してから」ザッザッ

マシュ「ほら、行きましょう!」

ダビデ「走らないでくれ、頼むから……」


189 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:53:48.51 ID:U9kyoBCq0

………………

黒髭「……それにしても、明け方の空に煙を上げるなんてナイス判断ですぞ、キラークロック殿!」

キラークロック「……オレじゃねえ」

黒髭「へ? それじゃあ誰が……」


ガサガサ、ガサガサッ‼


マシュ「ますた……あー……」

ダビデ「ぜえ、ぜえ……アレがキミのマスターかい? ずいぶん、その……小汚い外見だな……」


黒髭「おやぁ? おやおやおんやぁ〜〜??」

キラークロック「……」

マシュ「そん、な……」

ダビデ「え? ナニコレ? どういう状況?」


190 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2018/02/18(日) 03:54:30.22 ID:U9kyoBCq0
今回の更新はここまでです、お付き合いいただきありがとうございました
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/18(日) 03:58:05.41 ID:1FunLc+c0
おつ〜
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/18(日) 10:09:08.14 ID:bi6jy8hlo
おつ
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/18(日) 12:15:11.16 ID:LhlDnSeBo
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/18(日) 15:10:00.27 ID:n/oPc4yt0
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/18(日) 20:31:58.80 ID:cUppMDNtO

名前聞くだけで弱点やら関係人物やら速攻浮かんでくる辺り流石天才
それだけ賢いと逆に人の善性にだけ頼った行動は相当難しいんだろう
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/19(月) 21:12:13.23 ID:EsqKQ0UCo
ザバットマンとかヤングジャスティス、レゴアニメのバットマンを見てると、
ロビン(というかディック)がいる時だけはちゃんと善性も信じられるというか、
誰かを信頼することが出来てる感じ
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/20(火) 17:20:12.35 ID:mvgUBHDpo
DKRバットマン良いよね……ロビンも
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/21(水) 00:41:53.22 ID:Ax1h7K0sO
お疲れ様でした
199 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:09:58.97 ID:UH/q//8r0

………………

ドレイク「休むんじゃないよ、さっさと運べェ!」

海賊A「あいあいさー……重いなあチクショー」ズシズシ

海賊B「釘くれー、釘」コンコン、コンコン

海賊C「げっ、船尾もひでえぞコレ。おーい、木ィもっと切り出せって」


バットマン「……船はもう少し軽量化した方が良い。ここと、ここの……船室を削る」

ドレイク「でもねえ……それしちまうと、野郎どもの寝る所が無くなっちまうからねえ」

バットマン「なら、ここの大砲を船首に移動させて……」

ドレイク「へえ、船首に。面白いねえ……良し、なら船尾と船首にそれぞれ大砲をつけるってのはどうだい?」

バットマン「悪くない。それなら少しウェイトを削れる」

ドレイク「決まりだね!」


200 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:10:24.61 ID:UH/q//8r0

ブーディカ「はいはい、切った木はアタシが運ぶよー」

海賊D「ええ〜? 流石のブーディカ姉さんでも無理っしょ!」

海賊E「そうそう、男の俺らが頑張るって!」

ブーディカ「あははは、平気平気」ガシッ、グォンッ

海賊D「……へっ!?」

海賊E「き、木を一本丸々……!」

ブーディカ「軽い軽い!」スタスタ


201 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:11:02.15 ID:UH/q//8r0


バットマン「黒髭の船は恐らくこちらを追跡してくるだろう。海上で接舷させてはならない」

ドレイク「……でも、こっちにもそこそこの戦力が集まって来たんじゃないかい? ほら、この小僧と小娘が居るだろ?」

エウリュアレ「失礼ね! 誰が小娘よ、この牛女!」

アステリオス「うし……ぼくは、おとこだよ?」

エウリュアレ「アステリオスには言ってないわよ!」

ドレイク「あーあー、悪かった悪かった。レディとボーイが居るけど、それでも負けると踏んでるのかい?」

バットマン「……万全を期した時、正面からの戦いだと勝率が少し低い。
あの時、レーダーで確認できただけでも、あちらの船にはキラークロック含め『5人』のサーヴァントが居る。できれば大砲でサーヴァントを一騎倒したい」


通信機『』ピピー‼ ピピー‼


バットマン「……すまない、少し離れる。戻って来たら続きを話そう」スタスタ


202 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:11:43.52 ID:UH/q//8r0

バットマン「もしもし、ドクター。何かあったのか」

ドクター『ブルースくんッ、大変だ! マシュが……』ブツッ

???『もしも〜し? 拙者、マシュのカレシなんですけどぉ〜〜〜wwwww ちわーっす、聞こえてますゥ?』

バットマン「誰だ」

???『おおぅ、怒らないでくれよ。俺は海賊、黒髭だ。アンタがマシュちゃんのマスターって事でいい?』

バットマン「マシュはどうした。何をした」

黒髭『だーいじょうぶだって、今のところはな。だからそんな怖え声出すなよ、ビビっちまうぜ。……なあ、大事なマシュちゃん、返してほしいよなあ?』

バットマン「……」

黒髭『今から指定する座標に来てちょ。あ、下手な抵抗や攻撃があったら、このコ容赦なく殺すからそのつもりで。メモ取る用意できてるぅ? それじゃ言いますよ〜ん』

203 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:12:09.51 ID:UH/q//8r0


………………

バットマン「……」スタスタ

ドレイク「お、帰って来た。おう、それじゃ続きを……」

バットマン「……作戦を変更する」

ドレイク「は?」

バットマン「黒髭に人質を取られた。作戦を変更し、救出作戦を立てる」

ドレイク「はあ? ちょっと待て、どういう……」

バットマン「とにかく作戦を変更する。絶対に見捨てるわけにはいかない人員だ」

ドレイク「……はー、はいはい。まあ、こっちも船員を助けられた借りがあるからねえ……」

バットマン「今晩には出航する。準備を急がせてくれ」

ドレイク「はいはい、今晩ね。……今晩だってえ!?」



204 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:12:36.03 ID:UH/q//8r0

………………

バットマン「ドクター。マシュは無事なのか」

ドクター『大丈夫だ、今も観測している。ひどい待遇は受けていないよ』

バットマン「状態は。怪我はないか」

ドクター『大丈夫、むしろ好待遇と言っても良い。あちらの……キラークロック? さんが、船長を脅してそうさせてるみたいだ』

バットマン「……海賊の船だ。何があってもおかしくはない」

ドクター『……ブルース、大丈夫だ。彼女だってタフだし、覚悟をしてレイシフトしている。何かあったら必ず連絡を入れる』

バットマン「彼女が死ねば……それは、私のミスだ」ググッ、プル……

ドクター『……』


205 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:13:07.26 ID:UH/q//8r0

バットマン(……私のミスだ、だと? 笑わせる。何もかも私のせいだ。マシュを傷付け、遠ざけ、殺そうとしているのは……結局は、私ではないか)

バットマン(……私の、大切な者になったから、マシュは……)

バットマン(昔からそうだった。私は何ひとつ変わらない。雨が降りしきる闇の中、両親を見殺しにしたあの頃から、なにひとつ……)


ドクター『……ブルース。これは躊躇っていたが、言わせてもらう。前の……キミを救出した特異点で何があったのか、マシュから聞いた』

バットマン「……」


206 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:13:37.99 ID:UH/q//8r0

ドクター『キミの気持ちは分からない。絶対に分からない。ご両親を殺されて、どれだけショックなのかも分からない。キミが人間の善い側面を……可能性を信じなくなってしまったのも、理解はできたって分かる訳もない』

バットマン「……」

ドクター『だけど……でも、これだけは言わせてもらうぞ、ブルース! キミがどれだけ疑っていようと、キミは紛れもない善人だ! 善人で、変人だ! そうでなきゃ、猫の仮装をして世界を救おうとしたり、人を遠ざけておきながら馬鹿みたいに心配したりするもんか!』

バットマン「……違う、私は……」

ドクター『違わない! キミは僕たちが信じるブルース・ウェインで、キミが疑うブルース・ウェインだ! 慎重で、計算高くて、人の気持ちが分からない馬鹿で、でもどんな時だって絶対にあきらめない男だ! だから……』

バットマン「……」

ドクター『……だから、自分だけの責任なんて、言わないでくれ。僕たちは、何があっても仲間だろう』

バットマン「……」


207 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:14:12.77 ID:UH/q//8r0

バットマン「……」


バットマン(……信じる事が怖くなったのは、いつからだったか……)


バットマン「……」

バットマン「……」

バットマン「……ドクター」

ドクター『……ああ』

バットマン「ありがとう」

ドクター『……ああ!』


208 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:14:47.04 ID:UH/q//8r0

………………

ザザァン……ザザァン……

ドレイク「風がきつくなってきたねえ……帆を畳みな! 漕ぐよ!」

海賊A「へええええ〜〜〜っ!? でも姐御ォ……」

ドレイク「なんだい?」

海賊B「疲れますぜ、手で漕ぐのは〜」

ドレイク「ぐちゃぐちゃ言うんじゃないよっ、アンタらのために命懸けようとしてた男の一大事なんだよ! 海賊にも矜持ってモンがあるだろ!」グワッ

海賊C「ひええっ、怒らせちゃまずいって。行こうぜ」


バットマン「……」

ドレイク「あん? 何だい」

バットマン「いや……」


209 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:15:18.52 ID:UH/q//8r0

バットマン「私は今まで、海賊というものを少し……誤解していたかもしれないと思ってな」

ドレイク「誤解ィ? どんな風に?」

バットマン「もっと……何も考えず、破壊活動にいそしむ連中かと思っていた。何にも構わず、突っ込んで行くような奴等かと」

ドレイク「ハッ、間違っちゃいないよ。向かう先が破滅でも、お宝があったら突撃するのがアタシら海賊さ」

バットマン「……人生の意味を、考えた事はないのか」

ドレイク「カーッ、辛気臭くて嫌になるね。人生の意味なんて後付けで結構。あとで見返して、自分なりに満足できりゃあそれで良いのさ。ただ、通す筋は通させてもらう。それだけだよ」

バットマン「……」

210 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:15:59.73 ID:UH/q//8r0

ドレイク「……そういうアンタはどうなのさ。人生の意味をグチグチ考える男かい?」

バットマン「どうだろうな。……考えては来たが、見つからない」

ドレイク「ふーん。ま、そんなモンだろうよ。猫のカッコしてうろついてんだし」

バットマン「これはコウモリだ」

ドレイク「はあ? それがかい?」

バットマン「猫は空を飛ばない」

ドレイク「飛ぶ猫も居るよ」

バットマン「それは……今後に期待しておこう」


211 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:16:28.19 ID:UH/q//8r0


バットマン「……少し、飲まないか」

ドレイク「はあ? アンタ、酒飲むのかい?」

バットマン「今日は飲みたい気分なんだ。聖杯で、出せるんだろう」

ドレイク「ふぅ〜ん、まあいいや。……サシで飲むのに覆面は無いだろ、脱ぎなよ」

バットマン「……」スッ

ブルース「ああ。飲もう」


212 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:16:55.56 ID:UH/q//8r0

ドレイク「何がいい? 色んな種類があるけど」スッ

ブルース(本当に、何もない空間から酒瓶が……やはり本物の聖杯だったか)


ブルース「そうだな。……オススメはあるか?」

ドレイク「そうだねえ、やっぱりラム酒とか王道だねえ! ほら、一本開けなよ」シュッ

ブルース「フ……有難くいただこう」パシッ


213 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:17:26.23 ID:UH/q//8r0

………………

ブーディカ「ブルース〜? 何処に……あ、居た居た! ……ってお酒くさっ!?」

ブルース「ブーディカ。よく来たな、飲むか?」

ブーディカ「……キミ、顔真っ赤なんだけど」

ドレイク「まだまだ飲んだうちにも入らないよ! ほらもっと飲め!」

ブルース「まあ焦るな。こう、栓を開いてだな……」ドバドバドバ

ドレイク「フゥーッ!! ラム酒の滝だー!!」パチパチパチ

ブルース「……ふ、ははは。どうだ、まさに浴びるように飲んでやったぞ」ヨロ

ドレイク「あっはははははは、いいねえ! アンタの事嫌いだったけど今気に入った!」バンバン


ブーディカ「……ちょっとブルース」ガシッ、ズルズル……

ブルース「?」ズルズルズル……

ドレイク「また来いよー!」ヒラヒラ


214 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:17:56.91 ID:UH/q//8r0

ブーディカ「……どうしちゃったのさ、ブルース。アンタってばそんなんじゃなかったでしょ」

ブルース「……酒を飲みたい時くらいあるだろう。私は今夜がそうだっただけだ」

ブーディカ「そういう事を言ってるんじゃないよ! 明日にはマシュを助けなゃ駄目なのに、どうしてキミがこうなの!?」

ブルース「……」

ブーディカ「……私が言いたくないけど、正直がっかりしてるし、見損なったよ。なんで……」


215 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:18:22.28 ID:UH/q//8r0

ブルース「……すまない」

ブーディカ「……もういいよ。ごめんね、私が期待しすぎたよ」スタスタ

ブルース「……」


ブルース(……なんで、か。それは、ブーディカ。理由は決まっている)

ブルース(明日が、32年前のあの日と同じになるかもしれないからだ。だからこそ、私は……)


酒瓶「」コロコロ……

ブルース「……もう、残ってもいないか」


ブルース(……だからこそ、打てる手は全て打つ)

216 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:18:54.11 ID:UH/q//8r0

………………


ザザァン……ザザァン……

マシュ「……」ジャラジャラ


マシュ(……この手錠……力が入りにくい姿勢なのもあって、力んだ程度じゃ外せませんね……こんな事なら、もっと清姫さんの縄抜けを……)


(((清姫は死んだ)))


マシュ(……何を考えていたんでしょうか、私は。戦場で、人の死を悲しんでいる暇なんか……無いのが、普通なのに)

マシュ(マスターの気持ちも考えず……未熟な気持ちのままで、人に悲しみを押し付けて……だから、これはきっと、罰なんだ……)ギュッ


ノシッ、ノシッ

キラークロック「……飯だ。生きてるか」スッ

マシュ「……キラークロックさん」


217 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:19:26.37 ID:UH/q//8r0

キラークロック「フン……捕まって気分が沈むのは分かるが、死にそうなツラはやめろ。こっちも飯が不味くなる」ドシリ

マシュ「すみません……ありがとうございます」カチャ

キラークロック「……」モグモグ

マシュ「……あの、すみません。こっちの羊肉のスープがキラークロックさんのご飯で、そっちのカビたパンが私の食事じゃ……」

キラークロック「お前の勘違いだ。黙って食え」モグモグ

マシュ「は、はあ……」

キラークロック「……食え。明日にはお前をあっちへ引き渡す。この牢屋も、それまでの辛抱だ」

マシュ「……はい」

218 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:19:57.16 ID:UH/q//8r0

???「あ、ワニさん。こんなところに居たんですのね」

???2「おや、囚人と仲良く食事かい? 楽しそうだね」

キラークロック「グルルルルル……何しに来た、アン、メアリー……!」

アン「まあ怖い。私達だって、囚人が年頃の女の子と聞いてお話してみたくなっただけですわ」

メアリー「キミこそ何をしにここへ? ただの囚人に、随分肩入れしてるじゃないか」

キラークロック「……関係ねえ。黙ってろ」

アン「へえ〜……」

メアリー「ふ〜ん……」

キラークロック「……」

マシュ「……?」

キラークロック「……チッ」


219 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:20:27.23 ID:UH/q//8r0

アン「うふふっ、囚人の貴女にはろくな食事が用意されないだろうと思って……はーいっ、ラム肉のスープを持ってきましたわ!」

メアリー「ふふっ、黒髭から奪ってきたんだ。あの時の間抜け面と言ったら無かったよ……って、あれ?」

マシュ「あ、あの……やっぱりこのスープ、船員用の食事だったんですか?」カラカラ

キラークロック「……」スン

アン「……あら、あらあらまあまあ!」

キラークロック「黙れ」

メアリー「これは興味深いね。コワモテ男の優しい気遣いってところかな?」

キラークロック「黙れ!」

マシュ「す、すみません! 食べてしまって……」

キラークロック「黙れ! お前も!」


ダビデ「あーあー! 僕にも羊肉のスープがもらえればなー!!」カンカンカンカン‼

220 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:20:55.64 ID:UH/q//8r0


<ギャーギャー‼ ワーワー‼


黒髭「……う〜む、スープ返してって言いに行ける雰囲気じゃないですなあ。うん、諦めてパンを食べよう……」モシャモシャ

???「あらら、スープ取られちゃったの? オジサンの、良かったらあげるけど?」

黒髭「む、ヘクトール氏。いえいえ、拙者はパンで大丈夫でござる。むしろカビの生命力を受け継いでパワーアップしますぞwwwwwwww」

ヘクトール「へ、へえ……まあ、それで良いなら良いけどよ。腹壊すなよ?」

黒髭「デュフフ、サーヴァントとなったこの身に心配はご無用。ヘクトール氏は明日の人質受け渡しに備え、英気を養ってほしいですぞ」

ヘクトール「……それこそ、心配ご無用ってね。俺の『不毀の槍』(ドゥリンダナ)は伊達じゃないぜ」

黒髭「……むふふ。期待しておきますぞ」

ヘクトール「へっ……」


221 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:21:46.42 ID:UH/q//8r0

………………

ザザァン……ザザァン……

バットマン「……」


バットマン(……そろそろ、指定された海域へ到着するか。……)


バットマン「……頼んだぞ」

海賊A「へ、へえ……努力します」

バットマン「……今は良いが、もっと背筋を伸ばして立て。それと、口元は引き締めろ」

海賊A「へい……」

バットマン「……そろそろ入れ替わるぞ。服を脱げ」

海賊A「へいへい」
222 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:22:22.27 ID:UH/q//8r0


………………

黒髭「……ってな感じに、入れ替わり作戦とかやってくるかも知れないから……その時はキラークロック氏、嗅覚での特定よろしく!」

キラークロック「……フン、任せろ」

黒髭「それで、そろそろ……おっ、見えた見えた。BBAのゴールデンハインド号ですな。よーし、人質受け渡し準備ィ!」

海賊達「「「ウッス!」」」


黒髭「むふふ、もうすぐ思い切り暴れられますぞ」

キラークロック「……フン」

メアリー「今回は」

アン「私達も出ますわ。退屈でしたもの」

ヘクトール「おじさんも暴れ回っちゃおっかなあ〜。暇してたしねえ」ゴキゴキ

黒髭「……これ、オーバーキルでは……な〜んて油断してると足元をすくわれるのが海賊の世界。敵戦力の確認にうつりまーっす!」


223 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:23:08.65 ID:UH/q//8r0

黒髭「んー、んー……!! 待った待った待ったァ!! あちらの船にエウリュアレたんを確認ンンンンンンンンンンンンンンンンン!!」

キラークロック「えう……何だと?」

ヘクトール「ほォ、あのエウリュアレが……なんだ、素直についていく奴でも見っけたのかねえ」

黒髭「おおっ、あの黒猫のコスプレ筋肉ダルマの傍に居やがる! ナイスですぞキャットマン! ロリをありがとう神よ! ……いや、ロリ女神よありがとう!! 合法万歳!!」

メアリー「キモッ」

アン「吐き気がしますわ」

黒髭「そーと決まったら早速マシュちゃんの引き渡し条件を引き上げますぞー!」


224 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:23:57.74 ID:UH/q//8r0


………………

ザザァン……ザザァン……


ボンベ「接舷しやすぜ!」

ドレイク「……イカリ降ろせー! 帆を畳めー! 船をとめろ!」

海賊達「「「あいあいさー!」」」


黒髭「おーい! 聞こえるー!?」


ドレイク「聞こえてるよ、髭野郎! 何が欲しいんだ、言ってみな!」


黒髭「BBA!! 我々の要求はただ一つ! 聖杯をこっちに寄越す事と、エウリュアレたんをこっちに渡す事! ……二つだコレ!!」


ドレイク「はあ!? エウリュアレを……」


225 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:24:23.06 ID:UH/q//8r0

ドレイク「……どうする、女神サマ。アンタも狙いみたいだ」

エウリュアレ「……どうするの」

アステリオス「だめ、いかないで。ぜったい、だめ」

海賊A「……だが、やるしかない」

アステリオス「きけん、だよ! えうりゅあれが、きずつけられたら……」

海賊A「……奴等には渡さない。約束する」

アステリオス「……っ」

エウリュアレ「信じていいのね?」

海賊A「策はある」


226 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:26:23.03 ID:UH/q//8r0


………………

黒髭「それじゃ、エウリュアレちゃんを頑丈な縄で縛って連れて来てちょ! こっちのマシュちゃんも縛ってそっち連れて行きますからね〜ん」

マシュ「……っく……」ジャラジャラ

敵海賊A「オラッ、暴れんじゃねえ!」

キラークロック「グルゥ……」


ドレイク「条件がある!!」

黒髭「なんじゃい!!」

ドレイク「こっちのエウリュアレと聖杯が板を渡る間、マシュも同時にこっちに渡しな! 信用できないんでね!!」

黒髭「……ふむ。オッケー、了解!」



海賊A「……聖杯は持った。エウリュアレ、準備は良いか」

エウリュアレ「やるしかないんでしょう。やるわよ」


227 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:27:04.95 ID:UH/q//8r0


ギィィィィ……バタン‼ バタン‼

黒髭「よしよし、二つの架け橋(板)完了。それじゃ、同時に渡ってもらおうか!」

敵海賊A「オラッ、お前が先に登れ!」

マシュ「う……」ソロソロ


マシュ(船が波で揺れて、バランスが……)


海賊A(……2船の手摺の間に板を架けたか。少しのよろめきで落ちる)

海賊A「エウリュアレ」

エウリュアレ「嘗めないでちょうだい。たとえ手が縛られていたとしても、問題にもならないわ」スッ


228 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:27:33.57 ID:UH/q//8r0


海賊A「……」スタスタ

マシュ「……」ソロソロ

エウリュアレ「……」スルスル

マシュ「……」ソロソロ

海賊A「……」


キラークロック「……?」


キラークロック(なんだ、コイツは……この匂い……クソ、アルコール臭がキツすぎるぞ)


229 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:28:03.19 ID:UH/q//8r0


マシュ「……」ソロソロ


マシュ(……戻った、ところで……どうしたら、マスターと……)


海賊A「マシュ」

マシュ「……え?」



黒髭「へ?」

ヘクトール「んっ?」

キラークロック「……!!」


230 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:28:41.63 ID:UH/q//8r0


ブルース「伏せろ」パシ、ブシュゥゥゥゥゥゥゥ


ヘクトール「煙幕ゥ!?」

キラークロック「撃て!」

黒髭「チィッ」パァン‼


マシュ「きゃっ!?」チュイン‼

エウリュアレ「私は気遣わないの?」スッ

ブルース「弾なら見切れるだろう」

エウリュアレ「……生意気ねえ」


231 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:29:08.96 ID:UH/q//8r0

キラークロック「ヴォオオオオオオオオオオオオオ!!!」ダダッ

黒髭「馬鹿、行くな! テメエが乗れば板が折れる!」ガシッ

ヘクトール「おじさんが行かせてもらおうか」タッ


マシュ「マスター!?」

ブルース「もうブルースさんとは呼んでくれないのか?」ニヤリ

マシュ「何を……なんで!?」

ブルース「助けに来た……ッ!?」ババッ


ガィン‼

ヘクトール「チッ、殺気で気付かれたか。やるねえあんちゃん」ヒュンヒュンッ

ブルース「……お前は……」


232 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:29:37.35 ID:UH/q//8r0

ヘクトール「なあに、ただのしがないオッサンさ。けど交渉決裂とは悲しいねえ、マシュの嬢ちゃんは引き続きこっちで預かるぜ」ヒュンヒュンッ……スッ

マシュ「マスター! くっ……」ジャラジャラ

ブルース「……そうはさせない。絶対に返してもらう」スッ


ブルース(煙幕も晴れ始めた。ここからが本番)


エウリュアレ「私も加勢しようかしら?」

ブルース「……船の制圧へ動け」


233 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:30:12.50 ID:UH/q//8r0

海賊達「「「うおおおおおおおお!!!」」」


ドレイク「飛び移れ飛び移れ! ロープも使って乗り移るんだよ! あっちの船を乗っ取りなァ!」

アステリオス「おおおおおおおおお!!!」ドスドスドス


黒髭「おいおい、結局こうなんのかよ! まーいいや、総員やっちまえ!!」

アン「ふふっ、血が滾りますわっ!!」

メアリー「さあ、誰からやるかな……!」

キラークロック「ヴォオオオオオオオオオオ!!!」ドシドシ


234 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:30:47.36 ID:UH/q//8r0

ブルース「ハッ!」ヒュッ

ヘクトール「うおっ、良い動きするじゃねえの!」タタッ、ヒュォンッ

ブルース「ッ!」バッ


ブルース(驚異的な平衡感覚。加えて槍という長リーチ。二つの板を飛び移りながら攻撃を繰り出してくる……)


ヘクトール「そら、そらそらそらっ!」タッ、タタッ、ヒュンヒュンヒュン‼

ブルース「くっ……」ザザッ、ジリッ、シュッ


ブルース(スーツが無い分も、こちらが遅れを取る……)


ヘクトール「とったァっ!」ブンッ

ブルース「!!」


ブーディカ「はッ!!」ガギィィィン‼


235 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:31:15.13 ID:UH/q//8r0

ブルース「……!」

ブーディカ「……はいはい。どうせキミの言う事だからね、どれもこれも計算の内なんでしょ」

ブルース「……違う。計算ではない」

ブーディカ「じゃ、何さ」

ブルース「信じていた」

ブーディカ「……ふん、ばーか。後で昨晩の乱れっぷりをマシュにも言いつけてやる」チャキッ

ブルース「それはやめろ」

マシュ「なっ、なんですか! 乱れ……とは! 聞き逃せません!」

ブルース「何もない。気にするな」


ヘクトール「あ〜あ〜、オジサンそっちのけで話すのはやめてくれないかなぁ……」ポリポリ


236 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:31:45.23 ID:UH/q//8r0

ブーディカ「フッ!」ヒュンッ‼

ヘクトール「ッ」ギャリリィン‼


グラ……


ブルース「うっ……」ヨロ

マシュ「あぶ、ない……」ヨロヨロ


ブーディカ「はあっ!」ギャギャ、ガァン‼

ヘクトール「ううぉっ!? ムチャクチャな攻め方してくるねえ!?」タタッ

ブーディカ「今度こそ守りたいモノ守るって誓ったからね! 髭オヤジ一人には負けらんないよ!」タッ、ヒュンッ

ヘクトール「滅茶苦茶に言ってくれるじゃない……のッ!」ヒュンッ、ガガァン‼


グラグラッ


237 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:32:16.07 ID:UH/q//8r0


キラークロック「ウヴォオオオオオオオオオオ!!!」ブンッ

ドッガァァァァァァ‼


海賊B「ひっ!?」

海賊C「怯むな、やっちまえ!!」ダッ

キラークロック「邪魔、だ!」ガシッ、ドゴォ‼


アステリオス「あああああ!!」ブンッ

キラークロック「!!」ガシッ‼

アステリオス「し、ね……しね、しねえ!!」グググググ‼

キラークロック「グルルルルル……!!」グググググ……


238 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:32:47.46 ID:UH/q//8r0

黒髭「にわかに怪獣大戦争じみた様相を呈して来ましたな! ヘクトール殿、さっさとケリをつけてくれたら嬉しいですぞ!」



ヘクトール「無茶言いなさんな! 本気のオンナは怖えんだよ!?」ガガッ、ギャリィ‼

ブーディカ「目ェ逸らしてんじゃないよッ!!」ギャリギャリガガァンッ‼

ヘクトール「ひえ……」タタッ



黒髭「ヘクトール殿、絶対女房の尻にしかれるタイプですよね。そうですよね」

パァン‼

黒髭「あっぶね」バッ

ドレイク「ほらよ、お望みの聖杯だ。アタシと一緒じゃちと不満だろうが、付き合いなよ」カチャリ

黒髭「……ドレイクめ、来やがったか」カチャリ


239 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:33:33.74 ID:UH/q//8r0


エウリュアレ「ほらほらほらッ!」シュパパパパパッ


アン「きゃっ! 全く、鬱陶しい小娘ですこと! 胸も板みたいに!」

メアリー「……アン、後で話し合いが必要だね」ズドンズドン、カチャリ

アン「あら、いやですわ。メアリーの事は言ってません」ズドンズドンズドン‼


エウリュアレ「悠長に談話かしら? のんびりしてるのね」ヒュパパパパパパパ


敵海賊B「ぐわああああ!! か、身体が……!」シュバッ

敵海賊C「があっ!? て、テメエ何しやがる!?」ドサッ


アン「……ちぃっ、あの矢には催眠作用でもあるみたいですわ。射抜かれた連中が同士討ちを……」

メアリー「矢に被弾したヤツは撃ち殺すよ」カチャリ


エウリュアレ「せいぜい手の届く範囲の仲間を殺しなさい。この戦場は掌握しつつあるわ」シュパパパパパッ


240 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:34:04.51 ID:UH/q//8r0


ブーディカ「そぉらっ!」

ヘクトール「うおっ!?」ガギィィィ‼


ヘクトール(ちっ、武器が長物だからなぁ。懐に入られりゃ弱い……!)

ブーディカ「容赦しないよ!」ググッ‼

ヘクトール「そりゃどうも!」ガッギャ‼


ブルース「フッ!」シュパッ

バットラング「」ヒュォォォォォッ


ヘクトール「ッチィ!?」ガガッ‼

ブーディカ「そこっ!!」ズバァッ‼

ヘクトール「うぐっ……」ヨロ、タタッ

ブーディカ「逃がすか……!」ダッ



241 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:34:30.57 ID:UH/q//8r0


ヘクトール(もう少し、もう少し誘い込む……)


ブーディカ「そらそらっ!」ヒュンヒュンッ‼

ヘクトール「っかかったァ!!」ガッ、ズォォッ

ブーディカ「なっ……」


ブーディカ(切っ先が、船の手摺に嵌まった……)グッ


ヘクトール「一瞬の隙が命取りだ、悪く思うなよッ!」グンッ

ブルース「そちらがな!」ヒュンッ‼

ヘクトール「っ!?」ガッ

242 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:35:08.23 ID:UH/q//8r0


ブルース「ハッ!」ヒュゴッ

ヘクトール「ははっ、一瞬ビビったが……嘗めないでほしいもんだ!」ガシッ、グルンッ

ブルース「フンッ!」グルンッ、スタッ

ヘクトール「ああ!?」

ブルース「シッ!」ヒュドッ

ヘクトール「っ……ああそうか、嘗めてたのはこっちって事か! 良いぜ、なら認めて……全力で潰してやろうじゃないの!」チャキ、ヒュンッ

ブルース「くっ」


ブルース(しまった、避けられない……)



243 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:35:37.22 ID:UH/q//8r0



マシュ「ます、たー!」ドンッ

ヘクトール「なっ……」ザシ、ググッ


マシュ「っ」ズルッ

ブルース「……!!」


ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ、バッシャァァァァァ……


ブルース「マシュ!」


ブルース(助けなければ。海へ飛び込め。飛び込んで助けろ。彼女を、助けろ)

ブルース「……っ……」

ブルース(……だが。ああ、だが……)



244 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:36:06.96 ID:UH/q//8r0



ブルース(その権利は、あるのか?)



245 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:36:49.34 ID:UH/q//8r0


ブルース(二度も両親を見殺しにした私に、まだ大切な者を守る権利はあるのか?)


『ぼくのせいだ』


ブルース(計算ではここに残り、ブーディカと共に戦うのが最も勝率を上げる行為だ)


『お前は怪物だ』


ブルース(……ああ、そうだ。今更、戻るなど、なんと都合の良い話だったんだ。所詮、私は……)


ドシュッ

246 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:37:27.62 ID:UH/q//8r0


ポタ、ポタ……


ヘクトール「……」

ブーディカ「……」

ブルース「……ブーディカ……」


ブーディカ「……か、はっ……」


247 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:37:56.01 ID:UH/q//8r0


ヘクトール「……弱ってる奴を殺すのは、あんまりやりたくなかったんだが」グ……

ブーディカ「……抜か、せるか。この、槍はもう、アタシの、モノだ……」グググググ……ブシッ、ブシィ……

ヘクトール「……」グググググ……


ブーディカ「……ブルース、最期に、ね。話、聞いて」

ブルース「……令呪を……」

ブーディカ「……お願い、だから、聞いて。命と、引き換えの、呪いをかける」


248 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:38:45.06 ID:UH/q//8r0

ブーディカ「……アンタが、なんで悩んでたのか、分からない。けど、なんで立ち止まったのか、わかる。アンタ、ずっと、気にしてたもんね。権利が、どうとか」シュウシュウシュウシュウ……

ブーディカ「……あの、時は、否定、したけど。分かるんだ、アンタの気持ち。一度、失敗したら、もう戻れないみたいな、気がするの。でも……」

ブーディカ「でも、人には、チャンスがある。アンタにとって、これが、そうなんだ。ブルース」シュウシュウシュウシュウ……

ブルース「……!」

ブーディカ「……だから、お願い。マシュを助けて」シュゥゥゥゥゥゥゥゥ……



249 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:39:35.42 ID:UH/q//8r0

(そうだ。何を躊躇っていた、お前は)


 彼は目を見開き、消える彼女に背を向けて板を蹴った。波打つ海がどんどん近付き……その表面を突き破り、ブルースは飛び込んだ。


 沈むマシュから、気泡のしるべが昇ってくる。彼は強く水を掻き、深く、深く潜ってゆく。


 海の中はまっさらな闇を思わせた。ずっと上で響く潮の音。対して、水深が深くなればなるほど音は遠のき、光は消えてゆく。マシュが、大きな闇へと飲まれて行く。


(((大丈夫、闇の中には何も居ない)))

(違う)

 ブルースは過去の残響を否定する。違う。闇の中には恐ろしい魔物が棲んでいる。それは今日まで、幼いブルースの心を捕えたまま、ずっと離していなかった。

(((おとう、さん……おかあさん……)))

(今度こそ)


 清姫の涙がよみがえる。アルフレッドの死に顔が浮かび上がる。トーマスが膝から崩れ落ち、マーサが泣きながら倒れ伏すのが見える。頭を振り、幻覚を追い出す。

 自分の中にあるのは、両親を殺した弾丸だけではないハズだ。計算だけではないハズだ。疑心だけではないハズだ。不確定な自分を、信じろ。


 マシュが目を開き、何かを叫んでいる。気泡が大きく広がり、それを突き抜けてブルースが潜る。


(手を伸ばせ)

 どちらへ向けた言葉だったか。ブルースの腕が、マシュをとらえた。


250 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:40:29.33 ID:UH/q//8r0


………………

ヘクトール「……」

ヘクトール(……ったく、アイツらは死んだのやら生きてんのやら。にしてもまあ、ホントに覚悟を決めた女ってのは怖えな……)

ヘクトール「……いや、違うか」

ヘクトール(覚悟を決めた英雄ってのは、なんでこうも……)


黒髭「ちょっとー! ヘクトール殿、終わったならこっち!」

ヘクトール「あー、へいへい……」スタスタ


ヘクトール(……こりゃ、そろそろ潮時だなぁ。あの連中を呼んでおいてよかったぜ)


251 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:40:56.28 ID:UH/q//8r0

………………


バシャアッ‼


マシュ「げほっ、ごほっ、ごほ……」

ブルース「っは……はっ……マシュ……マシュ! 無事か! マシュ!」ジャブジャブ

マシュ「ぶ、じです……」

ブルース「拘束を解くぞ! 良いな!」

マシュ「はい……うぷっ……」ジャバジャバ

ブルース「良し……良し、良かった……!」ジャラジャラ

マシュ「……!」ジャバッ


252 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:41:23.21 ID:UH/q//8r0

マシュ「わたし、は……ごめんなさい、わたし……!」

ブルース「マシュ、聞いてほしい。言いたい事が、山ほどあった」

マシュ「……」

ブルース「……山ほどあった、はずなんだ。分からない。何を言えば良いのか分からないが、とにかく、言わせてくれ」

マシュ「……」

ブルース「私はお前が大切だ」

マシュ「……!」


253 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:41:56.63 ID:UH/q//8r0


ブルース「お前が大切で……恐らく、これからも、お前が目の前で危険だったら、考え無しに庇うかもしれない。それを、伝えておきたかった」

マシュ「……」バシャッ、ドッ

ブルース「……お前が大事なんだ、マシュ。お前を助けさせてくれ」

マシュ「……っ」ドッ、バシャッ

ブルース「……マシュ」

マシュ「っ! っ!」ドッ、ドッ

ブルース「マシュ、私に心臓マッサージは必要無い……」

マシュ「分かってます! 殴ってるんです!」ドッドッ

ブルース「……そうか」


254 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:42:25.10 ID:UH/q//8r0

ザザァン……ザザァン……


マシュ「私……」ドッ

マシュ「そんなの、私……!」ドッ、ドッ

マシュ「わたし、だって……!」ドッ

マシュ「私だって、大切に、決まってるじゃないですか……!」バシャ、バシャ……

ブルース「……すまない。マシュ」

マシュ「謝らないで、ください……」バシャリ……


255 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:42:54.17 ID:UH/q//8r0

マシュ「……私、強くなります」

ブルース「……」

マシュ「……強くなって、マスターを守れるようになります」

ブルース「……」

マシュ「……だから、待っててください」

ブルース「……」

マシュ「……待たずに、庇ったりしたら、ひどいですよ」

ブルース「……善処する」

マシュ「絶対です」

ブルース「ああ、絶対に善処する……方向で、検討する」

マシュ「……知りません」

ブルース「船へ上がるぞ。掴まれ」

マシュ「……」ギュッ

ブルース「……」シュポッガシッ


ギュルギュルギュルギュルッ


256 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:43:38.80 ID:UH/q//8r0


ドレイク「ちいっ、こんだけやっても劣勢か!」

黒髭「フフーン、所詮勢い任せの雑な作戦ですぞwwwwww拙者の敵ではござらんwwwwwwww諦めてエウリュアレ殿と聖杯を……!」


「マスター! 指示を!」


黒髭「ををおおおおお?」


バットマン「私は盾を取り戻す、マシュはエウリュアレを庇いつつ甲板を制圧しろ!」

マシュ「はい!」

黒髭「何だとぅ!? ついこの前までコンビネーション最悪だったのにぃ!?」

キラークロック「……」フッ


257 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:44:10.11 ID:UH/q//8r0


バットマン「ドクター、マシュの盾の位置を特定してくれ」ピッピッ

ドクター『待ってくれ……よし、その足元、直下の船室だ』

バットマン「良し……」プシュー

敵海賊D「やすやすと」ダッ

敵海賊E「行かせるかよォ!」ダダッ

ヘクトール「そういうこった!」バッ


バットマン「だが、行かせてもらう」ポチッ

ドドドドドォ‼
敵海賊D「ぐわあああっ!?」ドシャッ

敵海賊E「ひょえええええ!?」ドサッ


ヘクトール「なっ……」ズサッ


ヘクトール(甲板が円形に爆発しやがった……!?)



258 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:44:36.51 ID:UH/q//8r0


パラパラ……


バットマン「……レオナルド、爆破ジェルの威力を上げたな?」

レオナルド『報告が遅れてすまないね、すっかり忘れてた。上げたよ、爆発半径はそのままで衝撃を底上げした』

バットマン「助かった。……盾は……あった」ガシッ

盾「」ガシャリ

バットマン「よし、後はマシュへこれを届ける……」

「おーい! 僕も助けてくれー!!」

バットマン「……?」

259 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:45:17.01 ID:UH/q//8r0

バットマン「……誰だ」スタスタ

???「良かった、来てくれたのか! 僕はダビデ、お宅のマシュちゃんと一緒に捕まってた羊飼いだよ。ここから出してくれ、頼む!」

バットマン「……ドクター、解析を」

ドクター『うん、完了してる。マシュとのやり取りもある程度見ていたが、彼は一応こちらの味方みたいだ』

バットマン「……牢を開けるぞ。離れろ」

ダビデ「了解、優しく頼むよ!」


ヘクトール「そうはトロイアが許さねえって話だ!」スタッ、ヒュンッ

バットマン「!!」ガキィィィィン‼


260 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:45:53.40 ID:UH/q//8r0

バットマン「……トロイアの戦士か、お前は」ジリッ

ヘクトール「へっ、マイナーなオジサンだから名前なんざ意味ねえぜ。アンタは何処の英雄だ?」

バットマン「……」


バットマン(……槍……トロイア……駄目だ、浮かばない)


ダビデ「やっちゃえ! 負けるな黒猫くん!」

ヘクトール「名乗らねえなら、こっちから行くぞォ!」ヒュンヒュンヒュガガッ‼

バットマン「ッ!」ギギィ、ギャァン‼


261 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:47:14.88 ID:UH/q//8r0

バットマン「シッ!」ヒュンッ

バットラング「」ヒュォォォォォッ

ヘクトール「へっ、玩具だなあ!」バッ


バットマン「そこ……!」シュポッ

ヘクトール「遅いッ!」バッ、ヒュゥン‼

バットマン「!!」シュッ、ギュルギュルギュルギュルッ

ヘクトール「とどめだ……!」グワッ


ヘクトール(いや。不味い)


ヘクトール「ふッ!!」ダダッ


大砲「」ガラガラガラガラッ‼


ヘクトール「……」


ヘクトール(成程。一発目のシュリケンで大砲の固定具を破壊し、二発目のよく分からんロープ発射器具で大砲を引き寄せ……)


バットマン「ここで爆破ジェルだ」プシューッ、ポチッ

ドドォン‼


ヘクトール「大砲発射ってワケかい!!」バッ


ドッガァァァァァァァァァァ‼


ヘクトール「うぐ……!」ギュリィッ、ズシャシャシャシャシャシャシャ……


バギャ、ボッシャァァァァァン……
262 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:48:03.69 ID:UH/q//8r0


………………


マシュ「はあああっ!」ヒュンヒュンッ、タッ、ドドッ

アン「くっ……ただのか弱い女の子、というわけではなかったんですのね……!」ダッ、ババッ、ズドンズドン‼

メアリー「くっ、こんなに体術が……」ズドンズドン、バッ

マシュ「ふッ!」ヒュッ、タタッ


マシュ(盾が無くても、戦える……! それを証明してみせる!)ダッ


キラークロック「……ウォオオオオオオオオオオ!!」ドスドスッ

マシュ「!!」バッ

キラークロック「ナマイキな、小娘め。かかって来い!」ググッ

マシュ「キラークロックさん……!」スッ


263 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:48:33.66 ID:UH/q//8r0

アステリオス「……うぐ……」プルプル……ドサッ

エウリュアレ「アステリオス……!」


マシュ「……!」ヒュッ、ドドドッ

キラークロック「カユいぞ!」ドッガァァァァァァァァァァ‼

マシュ「くっ……」バッ、シュドッ

キラークロック「ウガアアアアアアアア!! ちょこまかと!!」ブォンッ

マシュ「ハッ!」ダッ、シュバッシィィィィン‼

キラークロック「うぐ……! 小娘……!」ガシッ、グググググ……


マスト「」メリ……メリメリメリメリメリ……バキャッ‼


黒髭「ちょっとキラークロック殿ォ!?」

ドレイク「なんだいありゃあ……!」


キラークロック「行くぞ!」ググッ

マシュ「くっ……!」


マシュ(マストの攻撃は素手では受け止められない! ここは……!)


264 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:49:17.71 ID:UH/q//8r0

「マシュ!」

マシュ「!!」

バットマン「盾だ!!」ブンッ

盾「」ヒュゥゥゥゥッ


マシュ「ありがとうございます!!」パシッ


マシュ(これなら……!)


キラークロック「ウオオオオオオオオオオ!!」ブォンッ‼

マシュ「はあああああああっ!」ドギャギャギャギャギャギャギャ‼


マシュ(駄目……これでも、受け止めきれない……!)ズシャシャシャシャシャシャシャ‼


キラークロック「……!!」ピクッ、ババッ

マスト「」ドッサァァァァァァァン


マシュ「え……?」

キラークロック「黒髭!! 奴等だ!!!」


265 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:50:03.53 ID:UH/q//8r0

黒髭「何ィ!? マジで!?」ダダッ

ドレイク「お、おい!?」

黒髭「……マジじゃねーか」


黒髭(ヘクトールは何処だ? 何処に……)


黒髭「……全員警戒しろ! 『アルゴナウタイ』が来やがったぞ!」

バットマン「……?」


バットマン(アルゴナウタイ……アルゴノーツ……確か、ギリシャ神話の、英雄達だったか)


スタスタ

ダビデ「すぅーっ……ふう、久々の美味しい空気だ。
……アレ、皆止まっちゃったな。僕が有名すぎたのが駄目だったか?」ポリポリ

バットマン「違う……アレは」

266 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:50:40.26 ID:UH/q//8r0

ザザァン……ザザァン……

ドレイク「なんだいあの船……バカでかい……」

バットマン「嫌な予感がする。ドレイク、船員の戦闘をやめさせろ」

ドレイク「あ、ああ。野郎ども! 戦闘やめ! 新しい敵に備えな!」

ボンベ「あ、新しい敵って……アレですかい?」

ドレイク「……分からないよ、まだね。でも……アタシも、凄まじく嫌な予感がするよ」タラ……


マシュ「マスター、アレは……」

ダビデ「おいおい、なんだよ。自由になってそうそうにこんな……アレは何だ?」

バットマン「分からない、油断するな。ドクター、解析を」

ドクター『……今やってる。新しく現れた船にはサーヴァント反応が四つ。気を付けてくれ、とても嫌な気配だ』


267 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:51:10.14 ID:UH/q//8r0


ザザァン……ザザァン……


???「ふん、それでおめおめと逃げ帰って来たわけか」

ヘクトール「……イアソン様は厳しいねえ。けど、俺だって孤立無援の中で気ィ張りっぱなしだったんだ、頑張った方だと思うよ」

イアソン「使えんコマの癖をしやがって、口だけは達者な事だな。まあいい、使えない奴は使えないなりに後で働いでもらおう。
……ヘラクレス!」

ヘラクレス「……」ズシ、ズシ

イアソン「黒髭の船へ行け。エウリュアレ以外、皆殺しだ」

ヘラクレス「……■■■■■■■!!」ダッ

268 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:51:38.41 ID:UH/q//8r0

バットマン「!! 何か跳び上がったぞ!」

黒髭「こっちに来やがる……!」


キラークロック「……ウォォォォォォォォオオオオオオ!!!」ブ ォ ン ッ ‼


マスト「」グォォォォッ‼


黒髭「あー!! 拙者の船のマストがーー!!!」


ヘラクレス「……」ズバァッ‼

マスト「」バキャッ……バッシャァァァァァン


黒髭「うおい。マジかよ」


ヘラクレス「……!!」ドシッ‼

キラークロック「……」

マシュ「……」

バットマン「……」

ドレイク「……」

エウリュアレ「……」


518.05 KB Speed:0.3   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)