バットマン「グランド……オーダー?」 マシュ「その2です」

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125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/11(日) 20:14:29.01 ID:xCzlrsKZ0
心が読めるアーラシュさんとかキャスギルにあったらどうなるんだろ
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/12(月) 08:16:46.76 ID:ksaWB435o
ジョーカー単体映画なんてやんのか
ヒースがもっと見たかったと思う反面、どんなジョーカーになるか楽しみだ
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/13(火) 12:31:39.59 ID:PM6jHNkDO
>>125
(ファミチキください)

(186円になります)

(200円で)

(14円のお返しになります、ありがとうございました)
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/02/15(木) 22:13:36.40 ID:jE6KOxBPO
続きまだかのぉ
129 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:15:23.29 ID:U9kyoBCq0

ピチャン……ピチャッ……

「はあ……はあ……くっ……」

「だい、じょうぶ? えう、りゅあれ」

「っ……ええ、私は平気よ。……貴方こそ、平気なの?」

「ぼくは、かいぶつだから。どれだけ、やられても、へいきだから」

「……馬鹿ね」


130 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:15:51.46 ID:U9kyoBCq0

………………

ザザァン……ザザァン……

マシュ「……」ピク

マシュ「う……うぅ……」ムク


マシュ(ここは……砂浜……小さい、島?)


ドス、ドス……

キラークロック「……起きたか、しぶとい奴だ」


131 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:16:20.44 ID:U9kyoBCq0

マシュ「……! 貴方は……!」スクッ

キラークロック「フン、いきなり立ち上がれるなら大丈夫だな。勝手にしてろ」

マシュ「……? まさか、貴方……」


マシュ(助けて、くれた……? そういえば、あの時も、砲弾から……なんで……?)

132 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:17:01.51 ID:U9kyoBCq0

キラークロック「何だ」

マシュ「何で、助けたんですか。私達は敵同士のはずです」

キラークロック「……知るか」

マシュ「し、知るか?」

キラークロック「知るか。いいか、お前はいちいち行動に『ああだ、こうだ』って理由を付けてるのか? 違うだろう」

マシュ「でも……!」

キラークロック「……」イラッ


133 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:17:29.88 ID:U9kyoBCq0


キラークロック「いいか、オレが助けたいと思ったから助けたんだ。だったら……黙って助けられてろ!」

マシュ「な……なんてひどい理由ですか! そんな計画性のない……!」

キラークロック「お前が目の前で死にそうだったのが悪いんだろうが!」

マシュ「それは……放っておけばいいじゃないですか! なんで皆、私なんかを……!」

キラークロック「思い上がるな! 誰がお前なんかのために!」

マシュ「そ、それは矛盾があります!」

キラークロック「オレの気分が悪くなるから、オレのために助けたんだ! 良いから黙ってろ!」

マシュ「なっ、だ、黙りません!」

キラークロック「グルルルルルルルル……!」

マシュ「ぐぬぬぬぬ……!」


134 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:17:56.93 ID:U9kyoBCq0


キラークロック「……」ザリ、ザリ

マシュ「……何をしているんですか」

キラークロック「この線からこっちは、オレの領域だ。入ってくるな」

マシュ「な……横暴です! 広すぎます!」

キラークロック「命の恩人だぞ!」

マシュ「自分のために助けたんでしょう!?」

キラークロック「グルァァァァァァ!! 頭と口ばかり回る小娘め!」

マシュ「く、口だけではありません! なんなら腕っぷしも……!」


キュルルルルルルル……

マシュ「あ……」

キラークロック「……」

マシュ「……///」カァァァァァ


マシュ(お腹、減りました……)


135 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:18:25.74 ID:U9kyoBCq0

キラークロック「……助けない。自分で何とかしろ」

マシュ「元からそのつもりです。余計な心配です」スタスタ

キラークロック「フン……」


キラークロック(……なんでオレは、あんな小娘を助けたんだ……)ジャラリ

ペンダント「」パカッ

キラークロック(……チッ、このペンダントの写真の小娘に似てる、とかなら自分でも納得がいくのに……かけらも面影がねえ……なんで助けたんだ、オレは……)イライラ

キラークロック「……」

キラークロック(……オレは……この写真の小娘の事も、ちゃんと覚えていないのに……なんで助けようと思ったんだ……)


136 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:19:08.62 ID:U9kyoBCq0

………………

ピチャン……ピチャッ……

バットマン「……ブーディカ。起きているか」

ブーディカ「は〜い、お姉さんは元気ですよ」ヒラヒラ

バットマン「ドクター、アレから何日経過した?」

ドクター『キミ達が船底に拘束されてから三日。健康状態は……うん、下降気味だな……そろそろ陽光を浴びた方が良い』

バットマン「マシュはどうしている?」

ドクター『……無事だ。いや、あちらの……「黒髭」側の、ワニみたいな人と一緒に居るが、今のところはうまくやっているようだ』

バットマン「……キラークロックと……」


バットマン(……今すぐマシュを迎えに行きたいところだが、拘束されている身ではそうもいかない。……さて、どうしたものか)


ガチャッ

ボンベ「ウーッス、掃除の時間だぜぇー。ブーディカ姉さん元気ぃ?」

ブーディカ「あ、ボンベじゃん。いらっしゃい」

バットマン「……」


137 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:19:35.73 ID:U9kyoBCq0

ボンベ「ったくよォー、ドレイクの姐御も人づかいが荒れえっつうかよー」ゴシゴシ

ブーディカ「大変だねぇ。ほれ、ちょっとモップ貸しなよ。牢屋から手の届くところは手伝うよ?」

ボンベ「えぇ〜、ホントに? そんじゃあ頼みますぜ、船底も結構広くてさぁ」

ブーディカ「はいはい、っと。それじゃあやってこうか」ゴシゴシ

ボンベ「あいよーっと」ゴシゴシ

バットマン「……」


138 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:20:15.74 ID:U9kyoBCq0

バットマン「……訊きたいことがある」

ボンベ「あん? なんだよ」ゴシゴシ

バットマン「……黒髭の、あの船。あの装甲は分厚いのか?」

ボンベ「あ〜? あ〜……いや、黒髭んとこの船はそうでもねえハズだぜ。だってあれほどの速力を常に維持できるんだ、あんまり分厚いと重くなるしな」ゴシゴシ

バットマン「……」

ボンベ「……うん? でもそうなると、おかしいな。俺達の砲弾を弾くくらいの装甲はあるハズ、なのになぁ……?」ピタッ

バットマン「……」


139 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:20:44.77 ID:U9kyoBCq0

バットマン「……ドクター。あの時、レーダーに映っていた反応を……故障と思しきものまで、全て報告してほしい」

ドクター『え? ……了解。あの時映っていたのは……』

バットマン「……」

ドクター『……黒髭の「船」全体からの、異常な魔力反応。キミ達の船の下のキラークロック。そしてキャプテン・ドレイクからの魔力反応だ』

バットマン「……」


バットマン(船全体からの魔力反応……いや、しかし、恐らくは……)


バットマン「……ヤツの船そのものが、宝具という可能性が……」

ドクター『……成程、確かにそう考えれば辻褄は合う。異常に強固だった船の装甲、そしてあの速力にも説明がつく』


140 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:22:03.42 ID:U9kyoBCq0

バットマン「……しかし、ドレイクからの魔力反応? 彼女はサーヴァントでは……」

ドクター『うん、これが故障かと思った一番の原因なんだけど……彼女から聖杯反応があったんだ』

バットマン「聖杯?」

ドクター『うん。でも、彼女以外にも聖杯反応があるから……観測結果が正しければ、この世界には二つの聖杯が存在することになる』

バットマン「……」



ピチャン……ピチャッ……


141 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:22:29.58 ID:U9kyoBCq0

バットマン「……ボンベ。ドレイクは聖杯を持っているのか?」

ボンベ「聖杯ィ? なんだそりゃ」ゴシゴシ

バットマン「……輝く盃のようなものだ」

ボンベ「ああ、アレか! こないだ『ポセイドン』とかいう髭面のおっさんを倒して手に入れたんだ、すげえ戦利品だぜ!」

バットマン「……という事は……」


バットマン(……という事は、ドレイクが所持している聖杯は……この時代に元々存在するモノか)


142 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:22:55.88 ID:U9kyoBCq0

ボンベ「アレを使えば、たちどころに飯やら酒やらが湧いて出る! どういうカラクリかは知らねえが、楽しけりゃあ問題ナシってモンよぉ!」ゴシゴシ

バットマン「……ふ、道理で牢に運んで来る食事の質も良いわけだ」

ボンベ「へっ、毎日似たようなモンでわりぃなぁ。おっとと、この穴も浸水しそう。釘と板持って来ねえと」バシャバシャ

バットマン「……」


143 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:23:21.29 ID:U9kyoBCq0

バットマン「……ところで、この船は何処へ向かっている?」

ボンベ「あぁ、今は海賊島っつうトコに向かってんだ。海賊ばっか集まる島で、名前も海賊島! 分かりやすいだろ?」

バットマン「……」

ボンベ「……そんな分かりやすく嫌そうな顔すんなよ。ホラ、海賊っつっても気のいい悪党が多いし。何より資材やら飯やらがいっぱいある! 女も居る! 最高だぜ!」

バットマン「……」

ボンベ「……ご、ごほん。まあ、そういう事だから。下船できねえアンタらには関係ねえかもだけど、ちゃんと土産も持って帰っから安心しろよな」ガチャ、バタン

バットマン「……」


144 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:23:50.96 ID:U9kyoBCq0


バットマン「……ドクター、マシュの……キラークロックの監視は頼む」

ドクター『ん……了解。何かあったらすぐ連絡する』

バットマン「有難う」


バットマン(……二度も両親を見殺しにしておいて……こうして心配する事も、おこがましいのかもしれないが……)

バットマン「……」


ブーディカ「ふぅっ! 掃除完了……ブルース? また凄い顔付きになってるけど」

バットマン「……問題ない」

ブーディカ「それはどうだろうね」


145 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:24:17.39 ID:U9kyoBCq0


バットマン「……考えていた。自分が傷つけてしまった者を心配するのは、許されるのだろうかと」

ブーディカ「……キミ、いい加減すさまじい思考してるね。……そんなに難しく考える、普通?」

バットマン「……いや、問題はそれだけではない。私は……私である事によって、少なくない人間の人生を狂わせてきた。それが、今更……戻ろうなどと」

ブーディカ「……」


146 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:24:47.16 ID:U9kyoBCq0

ブーディカ「……アタシ、ローマでキミを裏切って殺そうとしたじゃん」

バットマン「……」

ブーディカ「権利で生きてる人間は居ないよ。大切なモノを守ろうとするから、人間なんだ」

バットマン「……すまない」

ブーディカ「うん……ごめんね。できれば二度と、言わせないでね」


147 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:25:15.92 ID:U9kyoBCq0


バットマン「……」


バットマン(……権利で生きている人間は居ない、か……)

バットマン(私は、許可が要るのだと思っていた。人は他者の悪意から幸運で逃れ、生かされているのだと思っていた)


(((大人しくしねえから……馬鹿な連中だ!!)))


バットマン(……私は、間違っていたのだろうか。人には……私には、信じるに値する善性が残っているのだろうか)


148 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:25:47.59 ID:U9kyoBCq0


………………

焚火「」パチ、パチパチ……


マシュ「……」モグモグ

キラークロック「……」モグモグ

マシュ「……」モグモグ

キラークロック「……」モグ……ゴクリ。ポイッ

マシュ「……」モグモグ……ゴクリ

キラークロック「……」ザリ、ザリ、ザリ……

マシュ「……あの、聞いても良いですか」

キラークロック「……」ピタッ


149 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:26:24.29 ID:U9kyoBCq0


マシュ「その、ペンダント……」


ペンダント「」ジャラリ……

キラークロック「……」ジャラ……パカリ

少女の写真「」

キラークロック(……)


キラークロック「……知らねえ」

マシュ「……知らない?」

キラークロック「……覚えてねえ。多分、昔の事だ」


150 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:26:52.89 ID:U9kyoBCq0

マシュ「……大事なもの、なんですか?」

キラークロック「なんで気にする? 関係ねえだろうが」

マシュ「……ですが、その……寝ている時も、大切そうに握り締めていたので……少し、気になって……」

キラークロック「……分からねえ。大事なモノだと思う。オレにとっては、多分……」

マシュ「……」

キラークロック「……オレの体質だ。記憶がどんどん抜け落ちて、衝動にすり替わる。人間を忘れて、人間を食いたくなる。このガキの記憶は、オレの食欲と入れ替わっちまった」ジャラリ


キラークロック(……ああ、似てる。オレの外見を気にせず、ものを尋ねて来る、あの目に。だから、オレは助けたのか……おぼろげにしか、覚えてねえのに)



151 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:27:33.11 ID:U9kyoBCq0


(((……だから、いつか貴方が、皆にとってのかいぶつじゃなくなった時に)))

キラークロック「……」ジャラ……

マシュ「……すみません、無遠慮でしたよね」

キラークロック「……構わねえ」

マシュ「……」


152 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:28:15.07 ID:U9kyoBCq0

キラークロック「……お前は」

マシュ「……」

キラークロック「お前は、どう思う。全員に、やり直すチャンスがあると思うか?」

マシュ「……それは……」

キラークロック「人間として、どう生きていくかも忘れて……怪物として暮らして来た奴が、人間に戻れると思うか?」

マシュ「……」


153 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:28:53.28 ID:U9kyoBCq0

マシュ「私は……」

キラークロック「……」

マシュ「……ごめんなさい。分かりません」

キラークロック「……そうか」

マシュ「はい……」

キラークロック「……」


154 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:29:21.80 ID:U9kyoBCq0

マシュ「……でも、信じるのは自由だと思います。たとえ戻れるのが、どれだけ先の話だったとしても。きっと未来は、分からないから」

キラークロック「……」

マシュ「……きっと、そうなんだと思います」

キラークロック「……そうだな」

マシュ「はい」

キラークロック「……すまねえな」

マシュ「……いえ」


155 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:30:01.75 ID:U9kyoBCq0

マシュ「……」


マシュ(……マスターは……)

マシュ(マスターは、どうなんでしょうか……)

マシュ(……ご両親を目の前で二度も殺されて、それでも……戻れるのでしょうか)


キラークロック「……寝る」ノッシノッシ

マシュ「はい……おやすみなさい」


マシュ(私も……すべてを自分一人で抱え込んでいる事が、果たして正解なのでしょうか……)


(((さらばだ。マシュ)))

(((じゃあね、マシュ。元気で、ね)))


マシュ(……失う事を恐れて、誰かを遠ざけてしまう事は、間違っているのでしょうか……)


156 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:30:38.58 ID:U9kyoBCq0

通信機「」ピピー‼ ピピー‼

マシュ「……はい、ドクター」

ドクター『もしもし、マシュ。今日も無事に乗り切れたかい?』

マシュ「はい。今日も、無事でした。……その、マスターは」

ドクター『ああ、ブルースくんも無事だ。何か現状打破の策があるらしくてね、またブーディカと話してるよ』

マシュ「……そう、ですか……」


157 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:31:05.97 ID:U9kyoBCq0

(((……おとう、さん……おかあさん……)))


マシュ「……ドクター。聞いてほしい事が、あるんです」

ドクター『……うん、聞くよ。なんだい?』



158 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:31:57.24 ID:U9kyoBCq0


………………

ザザァン……ザザァン……ユラユラ……ピタッ


バットマン(……船の揺れが止まった。という事は……)

ガチャリッ


ボンベ「あいよー、ただいまこの船は海賊島に停泊中ですよっ、と。ブーディカ姉さん、なんか買って来てほしいモンある?」

ブーディカ「あ、着いたんだ。そうだなー……特には無いから、楽しんで来なよ」

ボンベ「ね、姉さん……なんて無欲ないい人なんだ……おまけに器量良しだし……」


ガチャッ

ドレイク「オラァボンベ! 降りる前なのに船底で何してるかと思ったら……捕虜にほだされてんじゃないよ馬鹿!」ゴツッ

ボンベ「いてー!? こっちの姐さんは粗雑で怖えしよぉ……」ブツブツ

ドレイク「……へえ、遺言はそれでいいかい?」ギロッ

ボンベ「スンマセンっした! 姐さんが一番っす!」

ドレイク「フン……」


159 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:32:50.47 ID:U9kyoBCq0

ドレイク「……アンタ達が逃げ出さないとも限らないからね。見張りをつけるよ」


海賊達「「「……」」」ゾロッ


ドレイク「ま、数日泊まってく予定だからね。陸のと少しずつ交代で見張りゃ、部下の不満も軽減できる」

バットマン「……ドレイク。話がある」

ドレイク「アタシが陸から戻った時に覚えてたら聞いてやるよ。それじゃあね、妙な真似すんじゃないよ!」スタスタ

バットマン「……」


160 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:33:17.06 ID:U9kyoBCq0

海賊A「あー、皆陸に行ってんのになんで見張りなんか……」

海賊B「ちょっとの辛抱だろ。これが終わりゃあ、陸にあがって大騒ぎだ。酒と肉、そんで女!」

海賊C「違いねえ、ふひひひ……」



ブーディカ「……」チラッ

バットマン「……」コクッ

ブーディカ「……」ハァ


161 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:33:54.43 ID:U9kyoBCq0


ブーディカ「……ねえ、皆……ちょっと、タノシイ事、しない?」

海賊A「あ?」クルッ

海賊B「何言ってんだ、ブーディカさん」

海賊C「ふ、ふひ……?」

ブーディカ「ほら、アタシも最近ずっと……楽しめてなかったからさあ。溜まってるんだよね」キュッ

海賊A「……おいおい、海賊相手にそれ言っちゃうのかよ姉さん!」

海賊B「へへへ、そういう事なら早く言えよ。俺達だって陸にあがれずに不満だったんだ、一緒に楽しもうぜ!!」

海賊C「ひひひー!! ふひひひ!!」


162 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:34:36.32 ID:U9kyoBCq0

ガチャガチャ、ガチャリ


海賊A「ほら、てめえらも入れって!」

海賊B「おじゃまするぜぇ、姉さん……」

海賊C「ふひひひひゅっ……」

ブーディカ「ふふ、焦らなくても……」


ブチィッ‼


ブーディカ「……全員相手にしてあげるよ」ハラハラ……

海賊A「……え? あれ?」

海賊B「……う、腕、しばってた、縄……」

海賊C「ふ……ひ?」


ガチャン、ギィィィィ……

スタ、スタ


バットマン「……この錠前はピッキングが容易なようだ。交換をすすめておく」ボキボキ

ブーディカ「だましてごめんね?」


海賊A「……へ?」

海賊B「どういう事?」

海賊C「……?」


ドゴォッ


163 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:35:28.02 ID:U9kyoBCq0


………………

バットマン「これはユーティリティベルト……見つけたぞ。ブーディカ、キミの武装だ」ガチャガチャ

ブーディカ「ありがとう。ふう、やっぱり盾と剣がなくちゃね!」ガチャリ

バットマン「……すこしのあいだとはいえ、先程はいやな役目を押しつけた。すまない」

ブーディカ「ああ、いいのいいの。ああいう視線には慣れてるし」

バットマン「……この後の作戦だが、やはりドレイクを追う」

ブーディカ「ホントに? この船、このまま頂いちゃったほうがいいんじゃない?」

バットマン「人手が足りない。それに、前の特異点と同じだとすると……敵が聖杯を所持している可能性がたかい。それなら、ドレイクの聖杯で対抗できる」

ブーディカ「なるほどね……よし、分かった。彼女を説得、って事になるかな?」

バットマン「……それを試みる」
164 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:36:27.65 ID:U9kyoBCq0


ギャァァァァァァァァァ……


バットマン「……!」

ブーディカ「今の悲鳴、島の方からだ」

バットマン「……いやな予感がする」

ブーディカ「うん、行こう!」


165 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:37:08.75 ID:U9kyoBCq0

………………

海賊D「クソッ、クソぉ! やっと陸にあがれたと思ったのに、なんだこのバケモン!?」

???「あああぁぁぁぁぁぁぁ!! しねっ、しねっ、しねえ!!」ブンブンッ‼

海賊D「うわぁっ!?」ドッサァ

海賊E「チクショウ、この……」

ドレイク「やめな! 危険だ、離れるよ!」

ボンベ「でも姐御ォ! こいつら海賊を……!」


???「フーッ、フーッ……!」ガシッ、ズルズル……

ボンベ「へ……? は、離せぇ! 助けてくれ! あそこには……あの迷宮には行きたくねえよぉ!!」ジタバタ


ドレイク「っ、ボンベ……」


ダダッ、ザザァ‼


バットマン「何が起きている」

ブーディカ「悲鳴が聞こえたよ、船長さん!」

ドレイク「なっ、アンタ達……」


166 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:37:57.41 ID:U9kyoBCq0

ドレイク「……どうもこうも、見ての通りさ。海賊島に寄ってみりゃ、見た事もない怪物が棲み付いてやがる。知らずに上陸して、奇襲を受けたんだ」

バットマン「……先程、誰かが引きずられて行ったな。あの……大きな、人工の建物の中に」

ドレイク「ボンベだ。あの馬鹿、油断しやがって……」

バットマン「……」

ドレイク「……それより、なんで外に居る? どうやって逃げ出したんだい?」

バットマン「……」


167 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:38:53.83 ID:U9kyoBCq0

ブーディカ「どうする、ブルース? あの建物……というか、迷宮。結構、めんどくさそうな雰囲気あるけど」

バットマン「……救出へ向かう」

ドレイク「ハァ? アンタ、何を……」

バットマン「救出へ向かう。ドクター、あの迷宮を解析してくれ」

ドクター『今やってみてる……アレはただの迷宮じゃないね。黒髭の船と同じく、全体からの異様な魔力反応。すなわち……』

バットマン「……迷宮が、宝具?」


バットマン(……迷宮にゆかりのある、史上の……すぐに思い浮かぶのはミノタウロスだが)


ドクター『あそこへ向かうのなら十分に注意してくれ。非常に危険だ。敵の手中へ飛び込むようなものだ』

バットマン「了解した。また連絡する」


168 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:39:26.16 ID:U9kyoBCq0


ドレイク「本気でやる気かい? アタシが言うのもなんだけど、無謀すぎるんじゃないのかい?」

バットマン「お前に恩を売れる」

ドレイク「……ハ、生意気言うねえ。でも、それでも、だ。アンタにはそれ以上の理由があると見るよ」

バットマン「……それは、話す意味がない」


バットマン(……キャプテン・ドレイク。自分では気付いていないかもしれないが、ボンベが攫われたと話す時のお前の表情は沈痛なものだった)

バットマン(……これは良い機会だ。私は自分の善性のためにどこまでやれるのか、それを知るチャンスだ)


169 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:40:00.02 ID:U9kyoBCq0


バットマン「……行くぞ、ブーディカ」

ブーディカ「はいはい。それじゃ、行こうか」スタスタ

バットマン「……」スタスタ



ドレイク「……」

海賊E「姐御、どうします?」

ドレイク「……馬鹿野郎、まかせっきりにできるか。こっそりつけていくよ」

海賊達「「「あいあいさー!」」」



170 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:40:30.19 ID:U9kyoBCq0


………………


ピチャン……ピチャッ……


バットマン「……」ススス……

ブーディカ「……こりゃ、本当に迷宮だ。暗くて、じめじめしてて、入り組んでて……」コツ、コツ……

バットマン「血痕はこちらへ続いて……待て、止まれ」ピタッ

ブーディカ「……」スッ


ガサガサ、ドスドス……


???「くるな、かえれ!!」ワン、ワン、ワン……


バットマン「……」


171 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:41:03.27 ID:U9kyoBCq0

バットマン(迷宮の中、音が反響して……何処から声が発されている?)


???「かえれ! かえらないと、ころす!」ワン、ワン、ワン……

バットマン「……お前が海賊をさらったのか!」

???「こいつらは、えうりゅあれを、きずつけたから、ころす! この島のやつらは、みんなそうだ!」ワン、ワン、ワン……

バットマン「……エウリュアレ……」


バットマン(エウリュアレ……確か、ギリシャ神話の……前の特異点で会ったステンノの姉妹神だったハズだ。ならば、話が通じるかもしれない)

バットマン「話がしたい! 私達は戦いに来たのでは……」

???「だまれ!」グオッ

バットマン「っ」

ブーディカ「危ないッ!!」ガギィィィィィィン‼


172 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:41:30.63 ID:U9kyoBCq0

???「じゃま、するな!」ブンッ

ブーディカ「うっ!?」ズシャァァァ

バットマン「……!」


バットマン(キラークロックに勝るとも劣らない巨躯。頭から生えた巨大な角。手に持った巨大な斧。やはり、コイツは……)


バットマン「……ミノタウロスか!」

ミノタウロス?「うるさい!」ブンッ

バットマン「くっ!?」ババッ


バットマン(駄目だ、話が通じない……!)


173 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:42:01.01 ID:U9kyoBCq0

ブーディカ「く……なんだか、力が抜けて……」ヨロ

ミノタウロス?「うるぁぁあぁぁぁぁ!!」グオンッ

ブーディカ「あっぐぅ!?」ドッガァァァァァァン‼

バットマン「! ブーディカ!!」

ミノタウロス?「ああっ!!」ブォン‼

バットマン「ぐあっ!?」ギャリィ、ドシャァァァァ……


ドクター『不味いぞブルースくん! その迷宮は内部に迷い込んだ者の力を制限するようだ! このままじゃ、ブーディカもキミも……!』


174 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:42:33.98 ID:U9kyoBCq0

ミノタウロス?「……おまえ、つれていく。奥までつれていって、ころす」ガシ、ズルズル……

バットマン「……ぐ……」ズルズル……

ブーディカ「ぶるー……す……」


バットマン(……いや、むしろ僥倖。このままバットラングで痕跡を残しつつ、奥まで行く……)


バットマン「……」


175 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:43:03.32 ID:U9kyoBCq0

………………


ミノタウロス?「えう、りゅあれ。また、もってきたよ」ズルズル……

バットマン「……」

エウリュアレ「……アステリオス。いくら男とはいえ、そんな生贄は要らないって言ったでしょう。そこらへんに放っておいて」

アステリオス「ごめん。でも、また、おそってきたから」

エウリュアレ「……キリが無いわよ。放っておきなさい……いえ、待って。妙ね、その男……」

バットマン「……」


バットマン(紫の髪。ステンノによく似た見た目。やはり、間違いなさそうだ)

176 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:44:03.89 ID:U9kyoBCq0

バットマン「……」

エウリュアレ「……ステンノの匂いがするわね。立ちなさい」

バットマン「……」ス

エウリュアレ「……そうね、おかしな話。貴方、見た事あるわ。遠い世界、何処かの島で……また私(ステンノ)に会いに来たの?」

バットマン「……話をしに来た」

エウリュアレ「……ふぅん、ちっとも変わってないのね。……いいえ、少し変わったかしら? 妙な男ね」

アステリオス「……? どういう、事……? しりあい、なの?」

エウリュアレ「違うわ。もう一人の私と知り合いだってだけ。……でも興味深い。そう、それじゃあまだ世界を救う旅を続けてるのね」

バットマン「……力を貸してほしい」

エウリュアレ「残念ながらそれを決めるのは私達よ」


177 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:45:55.83 ID:U9kyoBCq0

バットマン「……だが、このままでは世界が……」

エウリュアレ「世界。世界ね。それが私達にどう影響するの? 世界が私達に何かしてくれたかしら?」

アステリオス「……」

バットマン「……」


バットマン(……以前と同じ言葉は通用しなさそうだ。いや……自分が、それを言えるだけの精神状態にない……となると、本音を見つけなければならない)

バットマン(……私は、本当に世界を救いたいのか……?)


バットマン「……私は……」


178 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:46:35.98 ID:U9kyoBCq0


バットマン「……」


バットマン(……だが、それは……)

バットマン(それは、おこがましいのではないのか? 覚悟はあるのか? 世界と一人を秤にかけるつもりなのか?)

バットマン(両親を殺した弾丸は、私の中で未だに進み続ける。いずれそれは、私の大切な者を殺すだろう。その覚悟はあるのか?)

バットマン(失う事を恐れず、大切なものを抱えられるのか?)

バットマン(その権利は、あるのか?)


バットマン「……私は……」

179 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:47:14.25 ID:U9kyoBCq0


バットマン「……助けたい者が居る。そのために、力を貸してほしい」

エウリュアレ「……へえ。面白い目をするのね。でも……」


海賊達「「「オラオラオラァァァ!!!」」」ドドドドドドッ‼

アステリオス「っ」ガシャリ

ブーディカ「ブルース! 無事!?」

エウリュアレ「……少し、遅かったんじゃないかしら?」

バットマン「……!」


180 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:48:02.44 ID:U9kyoBCq0

ドレイク「ほー、ほー。ここが最奥、迷宮の終わりってワケかい。案内ご苦労さん、猫野郎」パラララ……

バットラング「「「」」」バラララッ


アステリオス「やら、れた。ごめん、えうりゅあれ。ごめん、なさい」

エウリュアレ「構わないわ。……さあ、どうしようかしら」

海賊達「「「……」」」ジリッ


バットマン「……待て、待ってくれ。戦う為に呼んだんじゃない」

ドレイク「……あん?」


181 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:48:37.94 ID:U9kyoBCq0


バットマン「彼らに害はない。むしろ、味方になりうる」

ドレイク「はぁ? 何言ってんだい、襲われた海賊が大勢……」

アステリオス「っ、おそわれたのは、こっちだ! ぼくが、水と食料をもらおうとしただけで、銃を向けて来て……いっしょにいるってだけで、えうりゅあれまで!」

ドレイク「……おかしいねえ、この島の連中は怪物が襲ってきたって言ってたけど」

アステリオス「ぼくは、なにもしてない! えうりゅあれを、まもりたかった、だけ!」

エウリュアレ「……口を挟むつもりはなかったけど、アステリオスの言う通りよ。外見だけで襲い掛かって来たのは、そちら側よ」

ドレイク「……なんだいなんだい、旗色が悪いねえ。それじゃあホントに、阿呆共が勘違いして襲っただけかい?」

バットマン「……ドレイク」


182 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:49:16.72 ID:U9kyoBCq0

バットマン「この二人、そして私達も含めて……海に異常が起こっている事は、分かるはずだ」

ドレイク「だから何だい」

バットマン「協力が欲しい。黒髭を倒し、海を元通りにする」

ドレイク「……ったく、畳みかけてきやがるねえ。……ボンベは?」

バットマン「……」チラ

ボンベ「……zzz……」

ドレイク「……カーッ、さらわれといて呑気に居眠りこいてんだから世話無いね。
……分かった。いけ好かないけど、協力してやる」

バットマン「……助かる」

ドレイク「フン、せいぜい感謝しときな。後でがっぽり金を請求するからね」

バットマン「……悪党め」

ドレイク「褒めんじゃないよ」

183 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:50:10.66 ID:U9kyoBCq0


バットマン「エウリュアレ。お前達は」

エウリュアレ「勿論、ついていくわ。ここに居ても面白くなさそうだし、それに貴方に興味もある……悪くないものが見れそうね」

アステリオス「ぼくは、えうりゅあれが、よければ……」

エウリュアレ「何を言っているの。私を守るんでしょう、絶対についてきなさい」

アステリオス「……! はい!」キラキラ

バットマン「……なら、これからよろしく頼む。アステリオス、エウリュアレ」


184 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:50:39.99 ID:U9kyoBCq0


………………

マシュ「……?」パチ、ムクリ


マシュ(声が聞こえたような……でも、まだ夜中……)

マシュ(キラークロックさん……は、まだ寝てるし……誰でしょうか)



……〜〜〜♪ 〜〜〜♪ 〜〜〜〜……

マシュ「……?」


マシュ(歌声……? 森の奥から……それに、煙も……誰か、居る?)


185 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:51:05.09 ID:U9kyoBCq0

マシュ「……」ガサ、ガサガサ

〜〜〜♪ 〜〜〜♪


マシュ(声が近くなって……綺麗な歌……それに、これは……竪琴の音でしょうか)


???「〜〜〜♪ 〜〜〜♪」ポロン、ポロン……


マシュ「……」

マシュ(誰でしょうか……開けた場所に、一人……)ガサリ


???「〜〜……誰だい?」ポロン……ピタッ

マシュ「あ……」


186 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:51:43.32 ID:U9kyoBCq0

焚火「」パチ、パチ……

マシュ「すみません、その……お邪魔をするつもりは無くて」

???「ふぅん……そうか。良い声をしているね。キミ、アビシャグに似てるなぁ。本物だったりする?」

マシュ「あび……え?」

???「失礼、名乗りが遅れたね。僕はダビデ。羊飼いだ」

マシュ「だ、ダビデ!? 羊飼いじゃなくて王様ですよね!? イスラエルの……!」

ダビデ「ははは、リアクションの大きい娘は嫌いじゃないぞ。うーん、でも僕は王ってよりは羊飼いで居たい派だから、あんまり大きく扱わないでくれ」

マシュ「は、はあ……それで、なんでダビデさんがここに?」

ダビデ「それはね。……とある『箱』を守ってたんだ」

マシュ「はこ……?」


187 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:52:24.06 ID:U9kyoBCq0

ダビデ「ああ、世にも恐ろしい死の箱さ。触れるモノすべてに死を運ぶ、凄まじいシロモノ……大げさじゃなく、触ったら本当に死ぬんだ。誰だろうと関係なく、一発でね」

マシュ「そ、そんな恐ろしいものを守っていたんですか!?」

ダビデ「そうなんだよ、僕もひとりでは心細かった。だけど良かった、キミが来てくれたなら心強い。どうか一緒に箱を守ってくれないか?」

マシュ「……それは……そうしたいのはやまやまですが、私にもやるべき事がありまして……」

ダビデ「そうか……残念だけど、しょうがないか。もうちょっと歌を聴いて行くかい?」ポロロン

マシュ「いえ、私は……」


マシュ(そろそろキラークロックさんが起きて来る。居ないと、怪しまれるかもしれない……)

ダビデ「……ん、ちょっと待った。なんだこの音……」


マシュ「え? ……あっ!!」

188 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:53:13.61 ID:U9kyoBCq0


マシュ(船の音だ。マスターが……迎えに来てくれたんだ)


マシュ「み、味方です! 行きましょう、ダビデさん!」

ダビデ「ちょ、ちょっと待って。せめて焚火を消してから」ザッザッ

マシュ「ほら、行きましょう!」

ダビデ「走らないでくれ、頼むから……」


189 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/18(日) 03:53:48.51 ID:U9kyoBCq0

………………

黒髭「……それにしても、明け方の空に煙を上げるなんてナイス判断ですぞ、キラークロック殿!」

キラークロック「……オレじゃねえ」

黒髭「へ? それじゃあ誰が……」


ガサガサ、ガサガサッ‼


マシュ「ますた……あー……」

ダビデ「ぜえ、ぜえ……アレがキミのマスターかい? ずいぶん、その……小汚い外見だな……」


黒髭「おやぁ? おやおやおんやぁ〜〜??」

キラークロック「……」

マシュ「そん、な……」

ダビデ「え? ナニコレ? どういう状況?」


190 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2018/02/18(日) 03:54:30.22 ID:U9kyoBCq0
今回の更新はここまでです、お付き合いいただきありがとうございました
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/18(日) 03:58:05.41 ID:1FunLc+c0
おつ〜
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/18(日) 10:09:08.14 ID:bi6jy8hlo
おつ
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/18(日) 12:15:11.16 ID:LhlDnSeBo
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/18(日) 15:10:00.27 ID:n/oPc4yt0
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/18(日) 20:31:58.80 ID:cUppMDNtO

名前聞くだけで弱点やら関係人物やら速攻浮かんでくる辺り流石天才
それだけ賢いと逆に人の善性にだけ頼った行動は相当難しいんだろう
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/19(月) 21:12:13.23 ID:EsqKQ0UCo
ザバットマンとかヤングジャスティス、レゴアニメのバットマンを見てると、
ロビン(というかディック)がいる時だけはちゃんと善性も信じられるというか、
誰かを信頼することが出来てる感じ
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/20(火) 17:20:12.35 ID:mvgUBHDpo
DKRバットマン良いよね……ロビンも
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/21(水) 00:41:53.22 ID:Ax1h7K0sO
お疲れ様でした
199 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:09:58.97 ID:UH/q//8r0

………………

ドレイク「休むんじゃないよ、さっさと運べェ!」

海賊A「あいあいさー……重いなあチクショー」ズシズシ

海賊B「釘くれー、釘」コンコン、コンコン

海賊C「げっ、船尾もひでえぞコレ。おーい、木ィもっと切り出せって」


バットマン「……船はもう少し軽量化した方が良い。ここと、ここの……船室を削る」

ドレイク「でもねえ……それしちまうと、野郎どもの寝る所が無くなっちまうからねえ」

バットマン「なら、ここの大砲を船首に移動させて……」

ドレイク「へえ、船首に。面白いねえ……良し、なら船尾と船首にそれぞれ大砲をつけるってのはどうだい?」

バットマン「悪くない。それなら少しウェイトを削れる」

ドレイク「決まりだね!」


200 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:10:24.61 ID:UH/q//8r0

ブーディカ「はいはい、切った木はアタシが運ぶよー」

海賊D「ええ〜? 流石のブーディカ姉さんでも無理っしょ!」

海賊E「そうそう、男の俺らが頑張るって!」

ブーディカ「あははは、平気平気」ガシッ、グォンッ

海賊D「……へっ!?」

海賊E「き、木を一本丸々……!」

ブーディカ「軽い軽い!」スタスタ


201 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:11:02.15 ID:UH/q//8r0


バットマン「黒髭の船は恐らくこちらを追跡してくるだろう。海上で接舷させてはならない」

ドレイク「……でも、こっちにもそこそこの戦力が集まって来たんじゃないかい? ほら、この小僧と小娘が居るだろ?」

エウリュアレ「失礼ね! 誰が小娘よ、この牛女!」

アステリオス「うし……ぼくは、おとこだよ?」

エウリュアレ「アステリオスには言ってないわよ!」

ドレイク「あーあー、悪かった悪かった。レディとボーイが居るけど、それでも負けると踏んでるのかい?」

バットマン「……万全を期した時、正面からの戦いだと勝率が少し低い。
あの時、レーダーで確認できただけでも、あちらの船にはキラークロック含め『5人』のサーヴァントが居る。できれば大砲でサーヴァントを一騎倒したい」


通信機『』ピピー‼ ピピー‼


バットマン「……すまない、少し離れる。戻って来たら続きを話そう」スタスタ


202 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:11:43.52 ID:UH/q//8r0

バットマン「もしもし、ドクター。何かあったのか」

ドクター『ブルースくんッ、大変だ! マシュが……』ブツッ

???『もしも〜し? 拙者、マシュのカレシなんですけどぉ〜〜〜wwwww ちわーっす、聞こえてますゥ?』

バットマン「誰だ」

???『おおぅ、怒らないでくれよ。俺は海賊、黒髭だ。アンタがマシュちゃんのマスターって事でいい?』

バットマン「マシュはどうした。何をした」

黒髭『だーいじょうぶだって、今のところはな。だからそんな怖え声出すなよ、ビビっちまうぜ。……なあ、大事なマシュちゃん、返してほしいよなあ?』

バットマン「……」

黒髭『今から指定する座標に来てちょ。あ、下手な抵抗や攻撃があったら、このコ容赦なく殺すからそのつもりで。メモ取る用意できてるぅ? それじゃ言いますよ〜ん』

203 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:12:09.51 ID:UH/q//8r0


………………

バットマン「……」スタスタ

ドレイク「お、帰って来た。おう、それじゃ続きを……」

バットマン「……作戦を変更する」

ドレイク「は?」

バットマン「黒髭に人質を取られた。作戦を変更し、救出作戦を立てる」

ドレイク「はあ? ちょっと待て、どういう……」

バットマン「とにかく作戦を変更する。絶対に見捨てるわけにはいかない人員だ」

ドレイク「……はー、はいはい。まあ、こっちも船員を助けられた借りがあるからねえ……」

バットマン「今晩には出航する。準備を急がせてくれ」

ドレイク「はいはい、今晩ね。……今晩だってえ!?」



204 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:12:36.03 ID:UH/q//8r0

………………

バットマン「ドクター。マシュは無事なのか」

ドクター『大丈夫だ、今も観測している。ひどい待遇は受けていないよ』

バットマン「状態は。怪我はないか」

ドクター『大丈夫、むしろ好待遇と言っても良い。あちらの……キラークロック? さんが、船長を脅してそうさせてるみたいだ』

バットマン「……海賊の船だ。何があってもおかしくはない」

ドクター『……ブルース、大丈夫だ。彼女だってタフだし、覚悟をしてレイシフトしている。何かあったら必ず連絡を入れる』

バットマン「彼女が死ねば……それは、私のミスだ」ググッ、プル……

ドクター『……』


205 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:13:07.26 ID:UH/q//8r0

バットマン(……私のミスだ、だと? 笑わせる。何もかも私のせいだ。マシュを傷付け、遠ざけ、殺そうとしているのは……結局は、私ではないか)

バットマン(……私の、大切な者になったから、マシュは……)

バットマン(昔からそうだった。私は何ひとつ変わらない。雨が降りしきる闇の中、両親を見殺しにしたあの頃から、なにひとつ……)


ドクター『……ブルース。これは躊躇っていたが、言わせてもらう。前の……キミを救出した特異点で何があったのか、マシュから聞いた』

バットマン「……」


206 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:13:37.99 ID:UH/q//8r0

ドクター『キミの気持ちは分からない。絶対に分からない。ご両親を殺されて、どれだけショックなのかも分からない。キミが人間の善い側面を……可能性を信じなくなってしまったのも、理解はできたって分かる訳もない』

バットマン「……」

ドクター『だけど……でも、これだけは言わせてもらうぞ、ブルース! キミがどれだけ疑っていようと、キミは紛れもない善人だ! 善人で、変人だ! そうでなきゃ、猫の仮装をして世界を救おうとしたり、人を遠ざけておきながら馬鹿みたいに心配したりするもんか!』

バットマン「……違う、私は……」

ドクター『違わない! キミは僕たちが信じるブルース・ウェインで、キミが疑うブルース・ウェインだ! 慎重で、計算高くて、人の気持ちが分からない馬鹿で、でもどんな時だって絶対にあきらめない男だ! だから……』

バットマン「……」

ドクター『……だから、自分だけの責任なんて、言わないでくれ。僕たちは、何があっても仲間だろう』

バットマン「……」


207 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:14:12.77 ID:UH/q//8r0

バットマン「……」


バットマン(……信じる事が怖くなったのは、いつからだったか……)


バットマン「……」

バットマン「……」

バットマン「……ドクター」

ドクター『……ああ』

バットマン「ありがとう」

ドクター『……ああ!』


208 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:14:47.04 ID:UH/q//8r0

………………

ザザァン……ザザァン……

ドレイク「風がきつくなってきたねえ……帆を畳みな! 漕ぐよ!」

海賊A「へええええ〜〜〜っ!? でも姐御ォ……」

ドレイク「なんだい?」

海賊B「疲れますぜ、手で漕ぐのは〜」

ドレイク「ぐちゃぐちゃ言うんじゃないよっ、アンタらのために命懸けようとしてた男の一大事なんだよ! 海賊にも矜持ってモンがあるだろ!」グワッ

海賊C「ひええっ、怒らせちゃまずいって。行こうぜ」


バットマン「……」

ドレイク「あん? 何だい」

バットマン「いや……」


209 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:15:18.52 ID:UH/q//8r0

バットマン「私は今まで、海賊というものを少し……誤解していたかもしれないと思ってな」

ドレイク「誤解ィ? どんな風に?」

バットマン「もっと……何も考えず、破壊活動にいそしむ連中かと思っていた。何にも構わず、突っ込んで行くような奴等かと」

ドレイク「ハッ、間違っちゃいないよ。向かう先が破滅でも、お宝があったら突撃するのがアタシら海賊さ」

バットマン「……人生の意味を、考えた事はないのか」

ドレイク「カーッ、辛気臭くて嫌になるね。人生の意味なんて後付けで結構。あとで見返して、自分なりに満足できりゃあそれで良いのさ。ただ、通す筋は通させてもらう。それだけだよ」

バットマン「……」

210 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:15:59.73 ID:UH/q//8r0

ドレイク「……そういうアンタはどうなのさ。人生の意味をグチグチ考える男かい?」

バットマン「どうだろうな。……考えては来たが、見つからない」

ドレイク「ふーん。ま、そんなモンだろうよ。猫のカッコしてうろついてんだし」

バットマン「これはコウモリだ」

ドレイク「はあ? それがかい?」

バットマン「猫は空を飛ばない」

ドレイク「飛ぶ猫も居るよ」

バットマン「それは……今後に期待しておこう」


211 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:16:28.19 ID:UH/q//8r0


バットマン「……少し、飲まないか」

ドレイク「はあ? アンタ、酒飲むのかい?」

バットマン「今日は飲みたい気分なんだ。聖杯で、出せるんだろう」

ドレイク「ふぅ〜ん、まあいいや。……サシで飲むのに覆面は無いだろ、脱ぎなよ」

バットマン「……」スッ

ブルース「ああ。飲もう」


212 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:16:55.56 ID:UH/q//8r0

ドレイク「何がいい? 色んな種類があるけど」スッ

ブルース(本当に、何もない空間から酒瓶が……やはり本物の聖杯だったか)


ブルース「そうだな。……オススメはあるか?」

ドレイク「そうだねえ、やっぱりラム酒とか王道だねえ! ほら、一本開けなよ」シュッ

ブルース「フ……有難くいただこう」パシッ


213 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:17:26.23 ID:UH/q//8r0

………………

ブーディカ「ブルース〜? 何処に……あ、居た居た! ……ってお酒くさっ!?」

ブルース「ブーディカ。よく来たな、飲むか?」

ブーディカ「……キミ、顔真っ赤なんだけど」

ドレイク「まだまだ飲んだうちにも入らないよ! ほらもっと飲め!」

ブルース「まあ焦るな。こう、栓を開いてだな……」ドバドバドバ

ドレイク「フゥーッ!! ラム酒の滝だー!!」パチパチパチ

ブルース「……ふ、ははは。どうだ、まさに浴びるように飲んでやったぞ」ヨロ

ドレイク「あっはははははは、いいねえ! アンタの事嫌いだったけど今気に入った!」バンバン


ブーディカ「……ちょっとブルース」ガシッ、ズルズル……

ブルース「?」ズルズルズル……

ドレイク「また来いよー!」ヒラヒラ


214 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:17:56.91 ID:UH/q//8r0

ブーディカ「……どうしちゃったのさ、ブルース。アンタってばそんなんじゃなかったでしょ」

ブルース「……酒を飲みたい時くらいあるだろう。私は今夜がそうだっただけだ」

ブーディカ「そういう事を言ってるんじゃないよ! 明日にはマシュを助けなゃ駄目なのに、どうしてキミがこうなの!?」

ブルース「……」

ブーディカ「……私が言いたくないけど、正直がっかりしてるし、見損なったよ。なんで……」


215 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:18:22.28 ID:UH/q//8r0

ブルース「……すまない」

ブーディカ「……もういいよ。ごめんね、私が期待しすぎたよ」スタスタ

ブルース「……」


ブルース(……なんで、か。それは、ブーディカ。理由は決まっている)

ブルース(明日が、32年前のあの日と同じになるかもしれないからだ。だからこそ、私は……)


酒瓶「」コロコロ……

ブルース「……もう、残ってもいないか」


ブルース(……だからこそ、打てる手は全て打つ)

216 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:18:54.11 ID:UH/q//8r0

………………


ザザァン……ザザァン……

マシュ「……」ジャラジャラ


マシュ(……この手錠……力が入りにくい姿勢なのもあって、力んだ程度じゃ外せませんね……こんな事なら、もっと清姫さんの縄抜けを……)


(((清姫は死んだ)))


マシュ(……何を考えていたんでしょうか、私は。戦場で、人の死を悲しんでいる暇なんか……無いのが、普通なのに)

マシュ(マスターの気持ちも考えず……未熟な気持ちのままで、人に悲しみを押し付けて……だから、これはきっと、罰なんだ……)ギュッ


ノシッ、ノシッ

キラークロック「……飯だ。生きてるか」スッ

マシュ「……キラークロックさん」


217 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:19:26.37 ID:UH/q//8r0

キラークロック「フン……捕まって気分が沈むのは分かるが、死にそうなツラはやめろ。こっちも飯が不味くなる」ドシリ

マシュ「すみません……ありがとうございます」カチャ

キラークロック「……」モグモグ

マシュ「……あの、すみません。こっちの羊肉のスープがキラークロックさんのご飯で、そっちのカビたパンが私の食事じゃ……」

キラークロック「お前の勘違いだ。黙って食え」モグモグ

マシュ「は、はあ……」

キラークロック「……食え。明日にはお前をあっちへ引き渡す。この牢屋も、それまでの辛抱だ」

マシュ「……はい」

218 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:19:57.16 ID:UH/q//8r0

???「あ、ワニさん。こんなところに居たんですのね」

???2「おや、囚人と仲良く食事かい? 楽しそうだね」

キラークロック「グルルルルル……何しに来た、アン、メアリー……!」

アン「まあ怖い。私達だって、囚人が年頃の女の子と聞いてお話してみたくなっただけですわ」

メアリー「キミこそ何をしにここへ? ただの囚人に、随分肩入れしてるじゃないか」

キラークロック「……関係ねえ。黙ってろ」

アン「へえ〜……」

メアリー「ふ〜ん……」

キラークロック「……」

マシュ「……?」

キラークロック「……チッ」


219 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:20:27.23 ID:UH/q//8r0

アン「うふふっ、囚人の貴女にはろくな食事が用意されないだろうと思って……はーいっ、ラム肉のスープを持ってきましたわ!」

メアリー「ふふっ、黒髭から奪ってきたんだ。あの時の間抜け面と言ったら無かったよ……って、あれ?」

マシュ「あ、あの……やっぱりこのスープ、船員用の食事だったんですか?」カラカラ

キラークロック「……」スン

アン「……あら、あらあらまあまあ!」

キラークロック「黙れ」

メアリー「これは興味深いね。コワモテ男の優しい気遣いってところかな?」

キラークロック「黙れ!」

マシュ「す、すみません! 食べてしまって……」

キラークロック「黙れ! お前も!」


ダビデ「あーあー! 僕にも羊肉のスープがもらえればなー!!」カンカンカンカン‼

220 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:20:55.64 ID:UH/q//8r0


<ギャーギャー‼ ワーワー‼


黒髭「……う〜む、スープ返してって言いに行ける雰囲気じゃないですなあ。うん、諦めてパンを食べよう……」モシャモシャ

???「あらら、スープ取られちゃったの? オジサンの、良かったらあげるけど?」

黒髭「む、ヘクトール氏。いえいえ、拙者はパンで大丈夫でござる。むしろカビの生命力を受け継いでパワーアップしますぞwwwwwwww」

ヘクトール「へ、へえ……まあ、それで良いなら良いけどよ。腹壊すなよ?」

黒髭「デュフフ、サーヴァントとなったこの身に心配はご無用。ヘクトール氏は明日の人質受け渡しに備え、英気を養ってほしいですぞ」

ヘクトール「……それこそ、心配ご無用ってね。俺の『不毀の槍』(ドゥリンダナ)は伊達じゃないぜ」

黒髭「……むふふ。期待しておきますぞ」

ヘクトール「へっ……」


221 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:21:46.42 ID:UH/q//8r0

………………

ザザァン……ザザァン……

バットマン「……」


バットマン(……そろそろ、指定された海域へ到着するか。……)


バットマン「……頼んだぞ」

海賊A「へ、へえ……努力します」

バットマン「……今は良いが、もっと背筋を伸ばして立て。それと、口元は引き締めろ」

海賊A「へい……」

バットマン「……そろそろ入れ替わるぞ。服を脱げ」

海賊A「へいへい」
222 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:22:22.27 ID:UH/q//8r0


………………

黒髭「……ってな感じに、入れ替わり作戦とかやってくるかも知れないから……その時はキラークロック氏、嗅覚での特定よろしく!」

キラークロック「……フン、任せろ」

黒髭「それで、そろそろ……おっ、見えた見えた。BBAのゴールデンハインド号ですな。よーし、人質受け渡し準備ィ!」

海賊達「「「ウッス!」」」


黒髭「むふふ、もうすぐ思い切り暴れられますぞ」

キラークロック「……フン」

メアリー「今回は」

アン「私達も出ますわ。退屈でしたもの」

ヘクトール「おじさんも暴れ回っちゃおっかなあ〜。暇してたしねえ」ゴキゴキ

黒髭「……これ、オーバーキルでは……な〜んて油断してると足元をすくわれるのが海賊の世界。敵戦力の確認にうつりまーっす!」


223 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:23:08.65 ID:UH/q//8r0

黒髭「んー、んー……!! 待った待った待ったァ!! あちらの船にエウリュアレたんを確認ンンンンンンンンンンンンンンンンン!!」

キラークロック「えう……何だと?」

ヘクトール「ほォ、あのエウリュアレが……なんだ、素直についていく奴でも見っけたのかねえ」

黒髭「おおっ、あの黒猫のコスプレ筋肉ダルマの傍に居やがる! ナイスですぞキャットマン! ロリをありがとう神よ! ……いや、ロリ女神よありがとう!! 合法万歳!!」

メアリー「キモッ」

アン「吐き気がしますわ」

黒髭「そーと決まったら早速マシュちゃんの引き渡し条件を引き上げますぞー!」


224 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/27(火) 01:23:57.74 ID:UH/q//8r0


………………

ザザァン……ザザァン……


ボンベ「接舷しやすぜ!」

ドレイク「……イカリ降ろせー! 帆を畳めー! 船をとめろ!」

海賊達「「「あいあいさー!」」」


黒髭「おーい! 聞こえるー!?」


ドレイク「聞こえてるよ、髭野郎! 何が欲しいんだ、言ってみな!」


黒髭「BBA!! 我々の要求はただ一つ! 聖杯をこっちに寄越す事と、エウリュアレたんをこっちに渡す事! ……二つだコレ!!」


ドレイク「はあ!? エウリュアレを……」


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