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結城友奈「これは勇者たちの物語」
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46 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/18(木) 19:59:43.67 ID:zws8Sn0ko
千景「……まったく、遅いのよ……」
千景(私の隣にはその人も居て)
美森「……」
美森「私からも色々言いたいことはあるけれど、今は素直に謝るわ。遅れてごめんなさい、千景ちゃん」ダッ
千景(それだけ告げて、満開した東郷さんと三好夏凜が巨大バーテックスに向かって行く。そして──)
友奈「ぐんちゃん!? ご、ごめんね、遅くなっちゃって……」
千景「……良いのよ。……答えは出たのでしょう?」
風「……ええ。千景たちが作ってくれた時間のおかげよ。……それに、私たちはあの子たちにも託された!」
樹「……」コクン
千景(決意をにじませた表情で犬吠埼姉妹も巨大バーテックスへと立ちふさがって行く。……伊予島さんたちの想いをあなたたちも引き継いだのね……)
千景「……高嶋さん、あなたも行ってあげて。私は大丈夫だから」
銀「……千景さんのことはアタシに任せてください。アタシはほら、夏凜さんの影響でまだまだ元気ですからね!」
友奈「……」
友奈「……うん。今度は私たちが頑張る番だもんね。──満開っ!!」
千景(高嶋さんも行き、五つの満開が巨大バーテックスの前に大輪の壁を作る。それを私は見届けた。……もう安心しても、良いのかしら……?)
千景(乃木さんと白鳥さんはすでに消え失せ、三ノ輪さんの勇者装束も不完全なものになってしまっている。……今、私の大鎌がその姿を失った。……私はきっとやり遂げたのでしょう……)
千景(──だから、満足よ)
千景(勇者服は消え失せ、七人御先の力で浮いていた私の身体も……そのまま地上へと、落下していった──)
銀「こんなところで楽になるなんて! アタシは絶対に許しませんからね!!」
千景(──落下の中、三ノ輪さんの声が近くで聞こえたような気がした)
47 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/18(木) 20:01:19.85 ID:zws8Sn0ko
千景(……三ノ輪さん、もう良いのよ。あなただけでも逃げて)
千景(辛うじて勇者服を保っている三ノ輪さんでは、私一人でさえ受け止めることが出来ずにいた。それだけ力は枯渇し、勇者の力も切れかかっていると言うことなのだろう。落下はさらに加速していく)
銀「止まら……ないッ! くそっ!!」
千景(私のことなんて放っておいて、と伝えたいのに口を開くことさえ私には叶わない。精霊の力を全て使い果たした上、恐らく自身の命すらそこにつぎこんでしまったのね。仮にここで助かったとしても、私の先はもう長くないはずだった。だから、だからもう良いのよ……三ノ輪さん……)ドンッ!
銀「……っ……!?」
千景(不意に遠くの高嶋さんと目が合い、彼女だけが巨大バーテックスを捨て置いて私のほうへ向かって来ようとしているのが見える。……駄目よ、高嶋さん。アレはあなたも居ないと止めることが出来ないのよ……)
千景(……それに、この泡沫のような刹那の時間なのだ、どれだけ勇者が速くても追い付くことは決して叶わない。だから私は、どこにそんな力がまだあったのか、三ノ輪さんを先ほど突き飛ばしたところだった。私の最期に三ノ輪さんを巻き込んで良いはずはないのだから)
銀「──!!」
千景(三ノ輪さんが多分、私の名前を呼んだ。……ありがとう、三ノ輪さん。あなたと過ごした時間、とても楽しかったわ)
千景(そして私は、地面へと激突した──)
48 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/18(木) 20:01:53.27 ID:zws8Sn0ko
??「それは流石に目覚めが悪いかにゃー? メンドーだけど死なない程度に征っときますかね」
??「後は私たちに任せておけ」
49 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/18(木) 20:04:56.51 ID:zws8Sn0ko
千景(……ふ、ふふっ……。誰よ、あなたたち? ……おかげで死にそびれてしまったじゃない?)
銀「千景さん! 良かった!!」ギュッ
千景(私は謎の二人組によって、静かに地面へと降ろされ、三ノ輪さんに何とも情けない表情で抱き着かれてしまう)
千景「──けほっ……。あ、あなたたちは一体……?」
??「んー? 別に誰でもいいって、いいって。そう長居はしませんからね〜」
??「玉藻前に呼ばれて私たちはやって来た。……戦闘なら任せてくれ」
千景(……)
千景(……そう言うこと。またしてもやってくれたわね──)
千景「乃木さん!」ケホッ
若葉「……七人御先が完全に消失した時、玉藻前は発動する。そう私はアレに細工をしていた。だが、これは賭けだったんだ。望むことすら無謀と呼べる確率で、もはや賭けにすらなっていないと自分でも理解していた。……だが、その賭けに千景は見事勝利してくれたんだ。改めて言わせて欲しい。──ありがとう、千景。だからここからは、私たちが千景のバトンを受け取る番だっ!」
千景(……いけしゃあしゃあと乃木さんは、私の目の前に立っていて──その周りには……)
若葉「勇者たちよっ! 私に続けぇー!!」
複数の人影『おぉー!!』
千景(散っていったはずの──)
球子「これが本当に最後だな。タマにまかせタマえ!」
杏「私もタマっち先輩と、皆と一緒に最後まで戦います!」
歌野「乃木さんに渡したバトンが再び私に巡ってくるなんてね……。みーちゃん、私の活躍を見ていてね!」
もう一人の友奈「……」
もう一人の千景「地面に横たわって、無様ね、郡千景? けれど、ここまでのことを多少は認めてあげなくもないわ」
千景(……土居さんたちは当然として、うるさいドッペルゲンガーも復活してしまったようね)
??「いやー、ここまで賑やかだと逆に諦めがつくわー」
??「役目を果たそう」
千景(加えて、眼鏡と褐色肌の見知らぬ少女たちまで居て──)
千景(私を入れて、再び集ったのは七を超えた九人。彼女たちは乃木さんを先頭にして巨大バーテックスの方角へと突き進んで行く。……その姿はあたかも百鬼夜行のようで……本当にここまでくると壮観としか言いようがない光景ね……)
千景(これが私の切り札の最奥……をさらに超えた先に存在した奇跡の体現『玉藻前』──俗に、九尾の狐と呼ばれる大妖怪の力だった)
50 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/18(木) 20:07:48.43 ID:zws8Sn0ko
ようやくこれを言えるところまできました
このシリーズは厳密にはゆゆゆいのSSとなります。その本当の意味は後々分かってくるかもしれません
次回に続きます!
51 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/18(木) 20:31:00.43 ID:RxLNF8veO
言わなくても解ってた(ネタバレ)
52 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/18(木) 21:21:18.99 ID:ysTfqypX0
乙!
53 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 21:41:24.44 ID:XPWcC209o
もしかしたらアレにも気付いている人が居るかもしれませんね
続きを投下していきます
54 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 21:46:51.36 ID:XPWcC209o
友奈「え? え……? あれ!?」
千景(高嶋さんが戸惑いながらこちらにやって来る。結局、戦いから一時離脱してしまったらしい。ちょうど彼女は乃木さんたちとすれ違ったところだった。……私のことは放っておいてくれて良かったのに……)
銀「見ましたか! 友奈さん!? あれだけの数の勇者を千景さんがまた呼び出してくれたんですよ!」スッゲー
千景「……ただの偶然よ。……それとごめんなさい。私の存在が高嶋さんに迷惑をかけてしまったわね」
千景(近くまでやって来た高嶋さんに、巨大バーテックスとの対峙を邪魔してしまったことを詫びた。──けれど)
友奈「何言っているの、ぐんちゃん!? それは絶対に違う! 私こそぐんちゃんにいっぱい迷惑をかけて……ここに来たのだって! 全部私の我がままだよ!!」ガシッ!
千景「……」ポカーン
千景(……高嶋さんに、ここまで感情的に肩を掴まれたことなんてあったかしら? ……この世界で私が変わっていったように、高嶋さんにも確かな変化は訪れていたのかもしれないわね……)
もう一人の友奈「……」
もう一人の友奈「三ノ輪……銀ちゃん、だったかな? ごめんだけど、あっちがまだまだ人手不足なようだから力を貸しに行ってもらっても良いかな? ……だから、こっちのことは私たち三人に任せてもらいたいんだ」
銀「……」
銀「……はい。三ノ輪銀、了解しました! 後のことは頼みます! もう一人の友奈さん!」タタッ
もう一人の友奈「……うん。任されたよ」
千景(西暦組で唯一こちらに残っていたもう一人の高嶋さん、彼女と言葉を交わした三ノ輪さんが巨大バーテックスへと向かって行く。再度私の手の中に現れていた大鎌の影響なのか、彼女の勇者服も完全復活を遂げていた。その速度は先ほどよりも遙かに早く、ほどなく先陣組と合流したようだ)
千景「……もう一人の高嶋さん。あなたは一体誰なの?」
千景(口から出てきた言葉はただ一つの疑問。もう一人の高嶋さんの瞳を見て抱いた疑惑である。彼女は先を、その綺麗な瞳で私よりも先の未来を見ているのではないか、そう思ってしまった)
もう一人の友奈「私の名前は高嶋友奈。西暦時代に若葉ちゃんたちと戦った勇者の一人」
千景(もう一人の高嶋さんは、私と高嶋さんを優しく見つめ……こう続けた)
もう一人の友奈「そして──本来の"結城友奈になるはずだった"友奈なんだ」
55 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 21:50:36.07 ID:XPWcC209o
*巨大バーテックス至近距離
ガシン!!
若葉「ここから先、我らも戦線に参加させてもらう!」ハァッ!
樹「……!?」
杏「……先ほどお伝えした言葉を思い出すと……その、恥ずかしいのですが……」
風「──おかえり。多分私はあなたたちの帰りを待っていたのよ。……一緒に戦ってくれる?」
杏「……は、はい!」─ヤァッ!
球子「むむっ……杏の奴、すっかり懐いて……何だかムカムカしてきたぞ!」テリャー!
もう一人の千景「嫉妬? 土居さんにしては可愛らしいことね」ハッ!
美森「千景ちゃん……? いえ、違うわね、あなたが別の千景ちゃんなの?」
もう一人の千景(……何故かしら、この子とは特に馬が合わない気がするわ)
球子「タマは嫉妬なんかしていないぞ! 勝手なこと言うな千景!」
夏凜「はいはい喧嘩しなさんな。……そこのあんたらも援軍ってこと?」
??「一応ねー。それなりに頑張るからよろ〜」
??「ああ。腕が鳴るな」
夏凜「……両極端な奴らね。でも助かる!」
風「援軍も来てくれたことだし! もう一回いくわよ! ──勇者部っ!!」
全員『ファイトーッ!!』
パァー!!
もう一人の千景(大輪が十を超えて咲き、それが巨大バーテックスを食い止める。……けれど)
夏凜「……くぅっ!! これでも私たちのほうが押されているって言うの!? ──ふざけんな!!」
銀「そうですよ! 勇者は根性ってね!」
56 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 21:55:08.64 ID:XPWcC209o
夏凜「銀!?」
銀「赤の勇者の系譜、ここで見せつけてやりましょう、夏凜さん!」
夏凜「……ええ!」スゥー
夏凜「──ここからが大見せ場! 遠からんものは音に聞け! 近くばよって目にも見よ!」
銀「これが讃州中学! 勇者部部員! 三ノ輪銀と──」
夏凜「三好夏凜の実力だぁー!!」
銀・夏凜『勇者部の力! 思い知れぇええぇぇぇッ!!』
─ザシュザシュザシュ!!
もう一人の千景(双剣と双斧の斬撃が巨大バーテックスの両横を斬り裂く)
球子「おぉっ! デッカイやつの動きが止まったぞ!! あとな! 赤の勇者ならタマを忘れてもらっちゃ困るな!!」ワニュウドウ!
風「樹! アタシたちも負けてられないわよ!」
樹「……!」コクン
風「犬吠埼姉妹の女子力を見せてあげるわッ!!」ヤァー!!
もう一人の千景(姉妹と思われる二人が片方は大胆に、もう片方が繊細に巨大バーテックスの動きを狩っていく)
美森「……この事態は私が引き起こしたこと」
もう一人の千景「……さぁ、どうかしらね。郡千景の知識からすればこの事態は必然でしかありえないように思うのだけれど?」
美森「……もしそうであったとしても、私にはけじめが必要なのよ……。だから! 私がこの悲劇を終わらせてみせる!」
もう一人の千景(馬の合わなそうな女のビーム兵器と、私の七斬がさらに敵の勢いを削っていく)
??「皆して青春しちゃってまあ……少しだけ羨ましい、かな……?」
杏「巨大バーテックスを押し返すにはまだ力が足りないようです。お力を貸していただけますか?」ユキジョロウ!
??「任せろ!」ガンガンガンガンッ!
??「……まぁ、こういうのもたまには良いかな。──槍撃神威!」バシュー!
もう一人の千景(ヌンチャクによる神速の連撃と投げ槍による一撃必殺、それはさらなる追撃となり……)
もう一人の千景(総勢十一名による総攻撃がこうして為されていく。その結果、巨大バーテックスの動きは止まり、その姿は太陽のような姿と化していた。姿は変われど力は変わらないのか、敵が徐々に後退して行っているのは間違いない。……けれども、炎に包まれている故か、致命打を与えることは決して叶わず──)
もう一人の千景(いえ!)
もう一人の千景「例えそうであったとしても!」
もう一人の千景「私は高嶋さんのことを! いつも信じているのよ!!」
もう一人の千景(無責任と言われても良い。私の全てはすでに高嶋さんに託していて、私たちはどこまでも一緒に居ると約束したのだから!)
57 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 21:57:21.25 ID:XPWcC209o
*巨大バーテックス直下地表
千景「本来の結城さん……? それはどう言う意味──」
ドゴーン!
友奈「大きなバーテックスの動きが止まった! でもあの姿、アニメと同じ太陽!?」
もう一人の友奈「……今がチャンスのようだね。ごめんね、こちらのぐんちゃん。詳しい話はまた後でかな」
千景「……そのようね。あれだけの数が居ても、太陽と化したバーテックスにまともな傷をつけられているようには思えない。ここから先は……アレの核を如何に叩くかの勝負よ」
もう一人の友奈「牛鬼の隠し機能を使えれば多分本来の歴史通りに倒すことはできると思う。けど、今その条件は満たされていないんだ」
千景(……そう言うこと。この高嶋さんも"彼女"と同じ境遇と見て間違いない。なら、過程は違えど目的は同じ。一切の疑惑を抱く必要なんてなかった)
千景「何か考えがあるの?」
もう一人の友奈「……うん。ここには二人の友奈が居る。それなら出来るはずなんだ! いけそうかな、高嶋ちゃん?」
友奈「大丈夫! いけるよ、結城ちゃん!」
千景(……全く、元の世界に居た頃からだけれど、高嶋さんにも謎が多いことで。けれど、それが高嶋さんの素敵なところなのよ!)
千景「……七人御先? 九尾の狐なんかに居場所を奪われているけれど、あなたはそれで良いの? 不服があるのなら、私にその最後の輝きくらい見せてみなさい!!」
友奈『一目連っ!』
千景「七人御先ッ!」
友奈「──行こう! ぐんちゃん!」
千景「ええ! 高嶋さん!」
千景(切り札を纏い、私と高嶋さんは真っすぐ目の前の太陽へと向かって行く。──もう一人の高嶋さんの姿は消え、二人の高嶋さんが今一つに重なっていた)
58 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 21:59:52.16 ID:XPWcC209o
千景「くっ! 今更火球で攻撃してくるなんて!」
千景(私たちを邪魔するように太陽は火球をあられのように飛ばしてくる。勇者総がかりでその動きを止めていると言うのに、余裕があることで!)
千景(切り札を使用出来るくらいには回復している私だが、それもやはりリミットが存在し、その時間が長くないことは最早察している。だから、この程度の移動で力を消耗したくないと言うのが本音だが……やるしかないわね)
千景(私と高嶋さんが火球を避けつつ、避けきれなかったものを攻撃しようと──)
ズシャッ!!
千景(予想もしていなかった方向からソレは"しなる"ように飛んできて、火球の方角を大幅に変えた)
歌野「千景さん! 露払いは私に任せてちょうだい!」
千景「白鳥さん!?」
千景(……道理で一人だけ姿が見えないと思っていたのよ!)
歌野「乃木さんにここを任されました。ですから、格好の悪い姿は見せられませんね。──行って!」
友奈「……」コクン
千景(……流石高嶋さん。一瞬で最適な選択をするのね。それなら私も)
千景「……ありがとう」
千景(言葉はそれだけ伝えた。後は全てを彼女に託し、私と高嶋さんは火球を潜り抜けていく。攻撃は苛烈になっていくが、その全てを白鳥さんが撃ち落としてくれた)
59 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 22:02:41.11 ID:XPWcC209o
歌野「邪魔はさせない!」ズバッ!
歌野「素晴らしい人たちの居るこの時代を!」
歌野「諏訪のようになんか絶対にさせない!!」ヤァー!!
歌野「私たちが望んでいた未来を! あなたたちなんかに──!?」
歌野「打ち洩らし!? 届か──」
パァー
銀「──満開!!」
歌野「銀くん!?」
ドカーン!
銀「──限定満開、鈴鹿御前。これだけ巨大な双斧になればお前らなんて!」
歌野「どうして……?」
銀「……すみません、アタシ一人を寄越すだけで精一杯でした。あいつを止めるのと、あっちも火の玉に追われてしまっていて……。でも! 皆に託された以上、絶対にあの二人をあそこまで届けます! ──歌野さん、アタシに力を貸してもらえますか?」
歌野「……センキューベリマッチ、銀くん。私こそお願いするわ!」
銀「はい行きましょう!」
歌野「諏訪の農業王! 白鳥歌野が相手よ!!」
銀(千景さんと視線が一瞬だけ合う。それだけできっとアタシたちは通じ合えた。頷く。もう少しで千景さんと友奈さんはあの太陽に辿り着いてくれる。その"あと一歩を"アタシが手助けするんだ!)
銀「それがきっと! アタシがここに居た理由だからッ!!」
60 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 22:04:14.45 ID:XPWcC209o
続きます
予告の台詞もここまででほとんど回収となりました
61 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/20(土) 21:25:15.96 ID:hm+dGSCso
最終話投下していきます
62 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/20(土) 21:27:03.79 ID:hm+dGSCso
千景(……まったく、出会った頃から美味しいところばかり持っていくんだから……。……でも、あなたも居てくれたから私は──)
友奈「ぐんちゃん! 一気にいくよ!」
千景「ええ! 合わせるわ高嶋さん!」
千景(三ノ輪さんと白鳥さん……いいえ、このデカブツを抑えてくれている全ての勇者たちの力で、私と高嶋さんは太陽へと辿り着く。全ての攻撃を寄せ付けなかったコロナ層が御霊表面に広がっている。──ここまで力を温存してきたのはこれを破る、ただそれだけのために)
友奈「……」スゥー
千景(高嶋さんの満開から生じているその巨大な拳に、彼女の渾身が注ぎ込まれていく。……これが正真正銘の最終決戦! 私も抑えていた七人御先の力を解放し、自らの姿を七に増加させる。その大鎌の全ては敵の一点へ向けて! 私の得意とする精密連撃を叩きこんであげるわ!)
友奈「千回っ! 勇者ぁー!」
千景(高嶋さんの拳が構えられ、私もそれに合わせる)
千景「七人御先・奥義!」
友奈「パァーーーンチッ!!」
千景「紅蓮ノ業火ッ!!」
千景(千に届く高嶋さんの勇者パンチと、高速を超えて業火と化した七斬が太陽のただ一点を攻撃する)
千景(現状の私たちが持てる最大火力が今も振るわれている。──それでもまだ足りない!)
千景「七人御先! その程度なの? あなたの死に物狂いはその程度!? ──ええ、そうよ。今だけはあなたも死力を尽くしなさい!」
千景(風先輩には申し訳なくあるが、死力で行かなければここまでの全てが水の泡となる!)
千景「──紅凶冥府!!」
千景(七の大鎌を纏う炎が赤を超えて青へ化す。業火を超えた灼熱が太陽を少しずつ侵していく)
ミシミシ…
友奈「うぉぉおぉぉおぉぉぉーっ!! 熱血!! 勇者ーっ!! パーーーーーンチィィィッッ!!!」
パリ…
千景(私と高嶋さん、二人の炎が太陽のそれを、今──凌駕した!)
ガシャーン!
千景(ガラスが割れるような音と共に、太陽を纏っていたコロナ膜が消失。そのまま私は七の郡千景で連撃を決して切らさない。──いける! 膜で覆われていなければこのバーテックス、太陽御霊は倒すことが出来る!)
千景(そう確信した瞬間だった)
フッ
千景(隣で白い花の光が消える)
千景「高嶋さん!?」
千景(高嶋さんの満開が消失し、いえ! それどころか! 勇者装束さえ高嶋さんは着ていなくて……!)
千景(手を伸ばす! このままでは高嶋さんが太陽に焼かれてしまう!)
千景(なのに……高嶋さんは口元だけで、確かに──)
千景(笑ったんだ)
63 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/20(土) 21:29:41.89 ID:hm+dGSCso
友奈(今の攻撃で多分私は力を使い果たしてしまった。満開はなくなり、服も勇者服から制服に戻ってしまっている)
友奈(ぐんちゃんが心配そうな顔で、必至な顔で、私に手を伸ばす)
友奈(……またぐんちゃんにそんな顔をさせてしまったね……)
友奈(でも、今度は大丈夫。私は大丈夫だから、そんな顔をしないで。ねぇ、ぐんちゃん?)
友奈(……)
友奈「結城ちゃん! ここからだよ!」
もう一人の友奈『うん、高嶋ちゃん! 私たちがここから頑張らないと!』
友奈(結城ちゃんの姿はもう私にしか見えていないと思う。私は結城ちゃんで、結城ちゃんが私になってしまったから)
友奈(私たちは重なっていて、同じ友奈で、違う友奈なんだ)
友奈(だから)
友奈(だから! 私には二人分の友奈の力がある!)
パァー
友奈(……懐かしい。これは初めて変身した時と同じ感触。スマホなしで、一目連だけの力で変身したあの時と全部一緒だった)
友奈(ありがとね、一目連。結城友奈になってからもずっと私を支えてくれていたんだよね? ──もう少しだけ私の我がままに付き合ってもらっても良いかな?)
友奈(一目連の力が身体を巡っていく。あはは、一目連もやる気になってくれたんだね。もう一度ありがとう。……私は一目連の力全てを解放するため、あの言葉を叫んだ!)
友奈「満開!! 一目連!!」
友奈(いつもの満開のように大きな腕が背中から生える。そこに一目連の誰にも負けない速さが加わった!)
友奈(今の私の拳なら、どんなバーテックスだって倒してしまうことができる。──でも、これだとさっきと何も変わらない!)
友奈「結城ちゃん!!」
もう一人の友奈『大丈夫。二人ならこの子も言うことを聞いてくれるよ!』
友奈(私と結城ちゃんは私の奥の奥、切り札の更のその先にある扉に触れた。全身の肌で鳥肌が立つ。けど! 私の隣には結城ちゃんが居て……二人の友奈が居るから乗り越えられる!! 頑丈な扉を友奈二人で押し開けていく!! ──力を今、掴む!)
友奈『加えてっ!』
友奈(私と結城ちゃんの声が重なった。ううん、今ので力だけを残して結城ちゃんは消えてしまったんだ。……ありがとう結城ちゃん。後は私に任せてね……)
友奈(満開、一目連、それに加えて──これが私たちの最後の力!!)
友奈『連続満開!! ──酒呑童子ッ!!!」
友奈(私の背中から生える大きな白い腕に、鋭く巨大な鬼の手が今、加わった──)
64 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/20(土) 21:31:11.31 ID:hm+dGSCso
千景「一目連と酒呑童子……二つの精霊を、自分の意思で満開したの……?」
友奈「えへへ……ぐんちゃんの真似っ子になっちゃったかな?」
千景「……もう、私のは偶発的なものなのよ? ……それに、高嶋さん無理をしてしまっているのでしょう?」
友奈「それはお互い様だよね?」
千景「……ぐうの音も出ないわ」
友奈「ふふっ」
友奈「……」
友奈「……終わらせよう、ぐんちゃん」
千景「ええ。私たち二人の手で、この不毛な神々との戦いをね」
友奈(私とぐんちゃん、どちらが示し合わせたわけじゃないけど、お互いの動きはぴったり息が合っていて……本当にぐんちゃんには敵わないなと思う。だって、私が今からどうするかお見通しなんだから)
友奈「……」スゥー
千景「……」ハァー
友奈(これが本当に本当の最後! 私たちはそれぞれ右足と左足に全力を込めて! そして──!)
友奈・千景『勇者ッ!!』
友奈・千景『キィィィィィィィッッックッッッ!!!!』
友奈(私とぐんちゃん、二人の勇者キックは太陽を貫き、そのまま中心にある核へと──)
65 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/20(土) 21:33:52.12 ID:hm+dGSCso
友奈「──ごめんね、ぐんちゃん」
千景「高嶋さん……?」
友奈(目の前に太陽の核が迫っている。……多分、これに触れると私たちはアニメの結城ちゃんと同じ状態になってしまうのだと思う。だから、私は背中の満開を外し、その大きな手でぐんちゃんを掴み、ここに固定してしまった)
千景「な、何を!?」
千景「何をやっているのよ! 高嶋さん!!」
友奈「……バイバイ、ぐんちゃん。また会えて嬉しかったよ」
友奈(結城ちゃんの話によれば、アニメの最終回であっちの結城ちゃんが戻って来れたのは奇跡よりもさらに低い可能性の話なのだそうだ。結城ちゃんの知っている本来の歴史では、あそこで結城友奈の物語は……終わるんだって……。だから、奇跡よりも低い可能性にぐんちゃんは巻き込めないよね?)
友奈(……ごめんね、ぐんちゃん。勇者部の皆もごめんなさい。……お義父さん、お義母さん、こんな私を娘として育ててくれて、ありがとう……)
友奈(少しだけ目の前がかすんでしまったけど! 今から勇者になる私が泣いてちゃ駄目なんだ!)
友奈(勇気のない私だけど、皆を困らせるこのバーテックスを倒して……私は本当の勇者になる!!)
友奈(だから、今だけで良いから私に勇気を下さい!)
友奈(怖がる心を無理やり押しやって)
友奈(私の右足が、太陽の核に触れる。……これでお終い、なんだね。私はその瞬間が来るのを震えながら──)
千景「ふざけないでよっ!!」
66 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/20(土) 21:37:37.71 ID:hm+dGSCso
友奈「……ぐんちゃん……」
千景「英雄気取りなんてやめてよ!! あなたが本当になりたかったのは勇者なんでしょ!! 勇者は自分の命を投げ出して諦めたりなんかしない!! 勇者は最後の最後まで絶対に足掻くのよ!!」
友奈(……ぐんちゃんが泣いている。見たこともないくらいに怒っている。そして)
千景「──初代勇者たちの姿を見て! あなたは何も思わなかったの!?」
友奈「……っ……!」
友奈(その瞬間、若葉ちゃんたちの……気高く戦う姿を、思い出していた)
千景「私だって……最初は自分の命一つで、友達が救われるならそれで良いと思った。それを前提に計画して実行にも移した。……けれどね、けれどね! 私はあのバカ正直な勇者たちの姿を直で見てしまったのよ! 勇者部の皆もそう! 私は知らず知らずのうちに、無為に命を投げ出せない呪縛にかけられてしまっていたの!!」
友奈(ぐんちゃんの言葉が、何と言えば良いのか……私の魂みたいなものを震わせ続けている)
千景「その呪縛が玉藻前なんて奇跡すら起こした! このまま死んでも仕方がないと思ってもなお! 私には未練があった! 勇者部よ! 当然高嶋さんあなたもよ! そもそも私をこう変えていったのはあなたじゃない! あなたと出会ったから私はほだされた! 人に甘えることを覚えてしまった! 耐えるだけの日々が嫌になってしまった!」
千景「責任取りなさいよっ! 私をこうした責任を取りなさいよ!! ……ねぇ……高嶋さん……」
友奈(私の満開の手はとっくに緩んでいて……ぐんちゃんが私の前でしがみついている。……その暖かさが、重さが、私の心に堪えた……)
友奈「……ぐんちゃん……私、私……」
友奈(言葉が形にならない。……でも、ぐんちゃんはやっぱりぐんちゃんで、私よりも遙かに早く立ち直って……前を向いていた)
千景「……高嶋さん。私はまだ何も諦めていないわ」
友奈(目の前の太陽の核を見る。……不思議なことに私たちの周りの時間がひどくゆっくりに見える。まるで止まっているかのようだ)
千景「根拠は何もないけれど、高嶋さんと二人なら例えどんなことになったとしても、その先にハッピーエンドが待っていると、そう願っている。……そうであると私はいつも信じているのよ!」
千景「──だから大丈夫よ、高嶋さん。どんなに重い荷物であっても二人で半分こしましょう」
友奈(ぐんちゃんの瞳がとても優しくて、私は……)
千景「あなたが背負おうとしているその重荷、私にもどうか背負わせて」
友奈「……」…コクン
友奈「……本当に、私は馬鹿だったんだね……」
千景「ええ、バカよ。大バカ者よ。……でも、それが愛くるしいのよ」
友奈(ぐんちゃんが即答して、少しだけクスリと笑った。私の心がほわほわしてくる)
千景「高嶋さん」
友奈「ぐんちゃん」
友奈(お互いに頷き、私たちの想いは言葉となり!)
友奈・千景『私たちは! 勇者に──なるっ!!』
友奈(ぐんちゃんの指と私のそれを一本一本絡めていく。私たちの固く結ばれたこの手なら、きっと──!)
友奈・千景『届けぇぇぇぇえぇぇぇぇぇー!!!』
友奈(そして、バーテックスの核に、私たちの指が──触れた)
友奈(世界が白に染まっていく──)
67 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/20(土) 21:50:47.29 ID:hm+dGSCso
千景「……どう、なったの……?」
友奈「何も、なくなっている……?」
友奈(下に広がるのは間違いなく樹海だけど、私たちが居る宙には何もなくて、バーテックスも、私たち以外の勇者も居な──)
若葉「二人のおかげだ。あのバーテックスは今、天に還って行った」
千景「乃木さん?」
友奈(目の前にはいつの間にか若葉ちゃんが居た。少しホッとして……気付く!)
友奈「ぐんちゃん! 私たちの身体何ともないよ!?」
千景「……本当だわ」
友奈(アニメの通りだと御霊に触れた後すぐに意識がなくなっていたはずなのに、私たちは会話さえ交わしている!)
若葉「……本来の歴史であれば、あの御霊に触れた者は天の神の世界に幽閉されてしまっていたのだろう。……そこで私は、それを逆手に取ることにしたんだ」
友奈(……そっか、若葉ちゃんも結城ちゃんみたいに別の歴史を知っていたんだね)
千景「……あなた、もしかしてそこまでの全てを計算だったとでも言いたいの?」
若葉「そんなことは口が裂けても言えないだろうな。……結果として上手くいっただけと言うのが、正直なところなんだ。そもそもの話……全ては今この瞬間、この時間から始まった。だから、全ての物事は逆に流れている……と言えば千景なら理解してくれるだろうか?」
千景「……ようやく最後の一本が繋がったわ。要するに、今回のこの騒動、"彼女"が発端ね?」
若葉「……その通りだ」
友奈「彼女? ……ええと、誰?」
友奈(話についていけていない自覚はあったけど、それでも今のぐんちゃんの言葉は気になってしまった)
千景「ふふっ……高嶋さんは気付いていなかったのね? とは言っても私も気付いたのは大分後の話になるのだけれど。実はね、勇者部には──二周目の人が居たのよ」
68 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/20(土) 21:51:49.19 ID:hm+dGSCso
友奈「二周目?」
千景「そう。人生の二周目。簡単に言えば、同じ人生を記憶保持したままもう一度送っている人のことね。ループ、逆行と言う言葉を使うこともあるわ」
友奈「……え? えぇ!?」
友奈(それって例えば、勇者部としての同じ日常を二回繰り返しているってこと!?)
若葉「……私は晩年、彼女と出会うことが出来た。そして、千景と友奈を巻き込んだこの一幕を計画したんだ。……恨んでもらって構わない。それが二人の当然の権利だ」
千景「……今更怒りすら湧かないわよ。謝るのならうちの七人御先にでも謝ってちょうだい? 私たちをここに呼んだ技術……七人御先を研究して得た成果なのでしょう?」
友奈(ぐんちゃんの七人御先で私たちがこの世界に……?)
若葉「……精霊は過去の実績から危険視されていたため、封印に近い状態にあった。だが、彼女と出会い、多数の可能性が眠っていることに気付かされた。複製体の技術は七人御先に備えられている、自己の完全なる複製から発展させたものだ」
千景「複製体、つまりコピーのことね? それがあったからこそ、あなたたち初代勇者が私の七人御先で顕現出来ていたのでしょう?」
若葉「それもある。だが、最も重要だったのは……千景と友奈の複製体、つまり今の千景たちを存在させている事象、それ自体に意味があった」
千景「……待ちなさい。もしかして……私と高嶋さんは!?」
若葉「そうだ。その身体は元の世界の──複製に過ぎない」
千景「……待ってよ、待ちなさいよ! それじゃあ、私たちは元の世界に帰れないと言うこと!? いえ! そもそも帰ると言う発想自体が間違いだったの!?」
若葉「……それについては安心して欲しい。身体は複製体であっても、精神は元の世界のものと共有、いや、より正しい言い方をすれば元の世界の時間は流れていないんだ。だから、問題なく千景と友奈は帰れる、と……ひなたが言っていた」
友奈(最後だけ若葉ちゃんがばつの悪そうな顔をしていた気がする。……でも、そっか、私たちは帰れるんだね……)
69 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/20(土) 21:52:28.25 ID:hm+dGSCso
千景「……呆れた。あなた自身、原理を分かっていないってことじゃないの? ……ただ、今の話を聞いた限りだと、随分と都合が良いとは思うけれど、SF的解釈の範囲にはあるようだから何とか理解は出来たわ」
友奈(やっぱり凄いな、ぐんちゃんは……)
友奈「私はあんまりよく話が理解できていないけど、もし元の世界に今帰ってしまうんだったら……東郷さんや勇者部の皆にお別れを言って来ないといけないよね?」
友奈(正直帰れるとは思っていなかったから実感がわかなかったけど、お別れの挨拶が必要なことは理解していた。……だけど)
若葉「……すまない。それはもう叶わないんだ」
友奈(若葉ちゃんが言葉通りに、本当に申し訳なさそうな顔をした)
千景「……おそらくは、私と高嶋さんが御霊の核に触れるその直前、その辺りから時間の流れがおかしかったわ。その時にはもう、私と高嶋さんは元の世界へと帰還する間際となっていたと言うことかしら?」
友奈(言われてみれば覚えがある。御霊に触れる前、私たちの時間はひどくゆっくりだったんだ)
若葉「……流石千景だな。その通りだ。あのバーテックスを倒した瞬間、二人は元の世界へと帰還する、それが当初からの予定だった。だから今は、千景と友奈がこの世界から消える直前、その一瞬の刹那にしか過ぎない。私たちは会話を交わしているようで、実のところ一方的に私からのメッセージを二人が頭の中で再生しているだけ、というのが本来的には意味が近い。高速再生されたビデオでも想像してもらえれば良いか」
友奈(え、ええと……?)
千景「……ビデオって、あなた一応私と同世代よね? つまるところ、私たちはもう何も出来ず、後はただ元の世界へ帰るのを待つしかないと言うことでしょう?」
友奈「そんな!? ……そうだ! 今から皆のところへ行けば──身体が動かない……?」
若葉「……そうだ、友奈。今、私たちの時間は動いていない。だから、ここに居る者以外とは言葉を交わすことはできないし、触れ合うことも……できないんだ。すまない」
友奈「……」
友奈(若葉ちゃんの泣きそうなくらいのその姿に、私はそれ以上我がままを言うことができなかった)
70 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/20(土) 21:53:35.25 ID:hm+dGSCso
千景「それで、"すまぬ"さん? 用件はそれでおしまいなのかしら?」
若葉「……いや、もう二つある」
友奈(そう言って、若葉ちゃんは続けた)
若葉「一つは、我々から感謝を。同胞たちはすでに消えてしまったが、皆、この戦場に立てたことを誇りに思い、晴れやかな気持ちで旅立つことができた。その感謝を代表して伝えさせてもらう。──本当にありがとう」
友奈「……ううん。ありがとうは私の言葉だよ。……皆が力を貸してくれたから、私たちはここまで来れたんだ。ね、ぐんちゃん?」
千景「……土居さんたちに感謝はしているわ。……それでこの話は終わりで良いでしょう?」
若葉「友奈……千景……」
千景「しんみりするなんてあなたらしくもない。それで、もう一つは?」
若葉「……もう一つは、複製体の今後についてだ。これがある意味で本題になる」
千景「……私たちの精神が帰ってしまえば、複製体は消えるのではないの?」
友奈(寂しいけど私もぐんちゃんと同じように考えていた。でも、若葉ちゃんは首を振る)
若葉「……残念ながらそう上手いことにはならない。二人の精神が存在しなくなっても、肉体はこの世界に残り続ける。千景たちを呼んだ瞬間にこの世界に複製体は生まれ、肉として存在してしまった故、世の理に複製体も囚われる。それが複製体と呼ばれる由縁だ」
友奈(それってつまり……)
千景「……ここに来て、私たちが帰りづらくなることをよくも言えたわね? フォローは当然あるのでしょう?」
若葉「ああ。ややこしくはあるが……二人とも姿を見せてくれ」
友奈「あぁ!」
千景「……ちっ」
友奈(若葉ちゃんの両隣にスゥーっと現れたのは──!)
もう一人の千景「また会ったわね、ドッペルゲンガー?」
もう一人の友奈「高嶋ちゃん、やっほー!」
友奈(高嶋ちゃんともう一人のぐんちゃん!)
71 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/20(土) 21:54:53.07 ID:hm+dGSCso
千景「……あなた、正気なの?」
若葉「すでにこちら側の千景と友奈には了承を得ている。……ここまで含めて初めて私の計画は満了するんだ」
友奈「え、ええと? 結城ちゃんともう一人のぐんちゃんにまた会えたのは嬉しいけど、これって一体……?」
千景「私たちの身体にドッペルゲンガーたちの精神を入れるそうよ」
友奈「えー!?」
友奈(ぐんちゃんのとっても分かりやすい言葉に私は思わず大声を出してしまった)
もう一人の千景「こんな奴の身体になんて……不快極まりなくて、反吐が出てくるわ」
もう一人の友奈「もう、そんなこと言っちゃ駄目だよ、ぐんちゃん? ……ごめんね、高嶋ちゃん。高嶋ちゃんの身体をこれから私が使わせてもらうことになっちゃうんだ……」
友奈「そ、それって……」
友奈(私は思わずこう言っていた!)
友奈「良かった! 本当に良かったよ!!」
友奈(だって)
友奈「私とぐんちゃんはもう直接お別れを皆に伝えることはできないけど、高嶋ちゃんたちにお願いすれば伝えてもらうことができるってことだよね?」
友奈(私のその解釈は間違っていなかったようで)
もう一人の友奈「……うん。高嶋ちゃんの想い、私が必ず伝えるよ」
もう一人の千景「……こちらの高嶋さんも随分と前向きなのね……」
千景「ね、素敵でしょう?」
もう一人の千景「ふっ……そうね。私の高嶋さんには負けるでしょうけれど」
千景「……さぁ、それはどうかしらね」
もう一人の千景「……ここで反論するのが郡千景でしょう? ……あなた、一体何を知っているの?」
千景「二人の高嶋さんの正体よ」
友奈(あ、あはは……)
もう一人の千景「教えなさい」
千景「……それは、あなた自身の手で知っていきなさい」
友奈(もう一人のぐんちゃんは不満そうな顔をしたけど、最後には納得したのか小さく頷いた)
千景「……三ノ輪さんや風先輩のことを頼んだわよ」
もう一人の千景「……約束は出来ないけれど、それなりに善処はしてあげるわ」
友奈(良かったね、ぐんちゃん。そして、ありがとう、もう一人のぐんちゃん)
若葉「……時間だな。刹那の時間を限りなく延ばしていたはずだが、それも限界のようだ。これにて、最後の邂逅は終わりとなる。……何か伝えておきたいことはあるか? なるべく応えられるものには応えようと思う」
友奈(私とぐんちゃんは顔を合わせて)
千景「……いえ、特にはないわ。私はある意味、皆と別れは済ませてあったもの」
友奈「……私も結城ちゃんに託せたから満足だよ。……またね、結城ちゃん! そっちのぐんちゃんも!」
もう一人の友奈「うん! またね! 高嶋ちゃん!」
もう一人の千景「……まぁ精々平和に暮らすことね」
千景「相変わらず口が減らないこと。……そちらこそ精々頑張りなさい。あとは任せたわよ」
72 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/20(土) 21:55:45.91 ID:hm+dGSCso
友奈(目の前がかすんでいく)
友奈(皆の姿がぼやけていく)
友奈(多分、私たちのほうが世界から居なくなっているのだろう)
友奈(そして)
若葉「……ありがとう……千景、友奈……」
友奈(若葉ちゃんの綺麗なお辞儀)
友奈(──それが、この世界で見た私たちの最後の光景だった)
73 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/20(土) 21:58:12.77 ID:hm+dGSCso
*エピローグ『高嶋友奈』
千景「いってきます、高嶋さん」
友奈「……うん。いってらっしゃい、ぐんちゃん」
友奈(懐かしく感じるアパートの玄関。私はぐんちゃんを見送っていた。……もしかしたらぐんちゃんよりも私のほうが緊張しているのかもしれない。だって、ぐんちゃんはいつもの歩調で前へと進んで行ったのだから)
友奈(今日は休日。そして、ぐんちゃんがご両親と再び向き合おうと決めていた日)
友奈(色々な事情があって私とぐんちゃんは一緒に住んでいる。その一方で、ぐんちゃんの家の事情は出会った時から何も進展していなかった。……ううん、一緒に住んでいるからこそ進展も後退もしなかったんだ)
友奈「……」
友奈(正直、ぐんちゃんはたくさん悩んだろうし、今だってとっても怖いんだと思う)
友奈(それでも、ぐんちゃんはご両親ともう一度だけ向かい合おうと決心していた。──しかも、誰の手も借りずぐんちゃん一人の力だけで。……とっても偉いよね)
友奈(実を言うと、私も着いて行こうとしたら『偉そうな口をきいてしまったのよ、こんなことくらい一人で成し遂げなければ犬吠埼姉たちに顔向けが出来なくなってしまうわ』と言ってやんわり断られてしまった。……本当にぐんちゃんは立派だよ……)
友奈(……ぐんちゃんの背中が完全に見えなくなったね。家の中に戻らないと……)
友奈(ドアを閉めようとしたところで、郵便受けに荷物が届いているのが見えた)
友奈「あれ? ……便箋? 珍しいな」
友奈(手紙とかを入れる白い便箋を手に取る。ガス料金とかの封書とは全然違うデザインで、それが一層物珍しさを思わせた。裏返して差出人を確認する)
友奈「え……?」
友奈(私は動きを止め、多分、目を見開いていた)
友奈(もう一度見返す。……見間違いじゃない!)
友奈「でも、この住所って!?」
友奈(絶対に届くはずのない住所。差出人も絶対に届くはずのない人で──)
友奈(私は身体を震わせながら、早足でリビングに入って行く)
友奈(扉を閉め、椅子に座り、テーブルの上に便箋を置き、ただその白を見つめる)
友奈(──それは、時間も世界さえも超えて届いた手紙であった)
74 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/20(土) 22:00:40.79 ID:hm+dGSCso
友奈(長い時間手紙と見つめあって、私はようやく便箋を開き、そのうちの一枚を取り出していた)
友奈(そこには──)
『私は人として母として最悪の人間です。今になって娘の遺品を整理しましたら、机の奥に隠すようにこの手紙が置かれていました。私共に思うことはたくさんあるでしょうが、それでもどうか、あなたに受け取っていただければと思い、送らせていただきました』
友奈(一通目は、あの子のお母さんの書いた手紙)
友奈(当時の私は知らなかったけど……あの子の家庭環境はグチャグチャだったらしい。だから、私は最期の時まで気付いてあげることはできなくて……私はどうしようもなく子供で……)
友奈「……」
友奈(……一枚目の手紙を置き、私は震える手でもう一枚の手紙を便箋から取り出そうとする。上手く掴めない。それでも、何度目かでようやく手の中に収めることができて……ゆっくりと、恐る恐る──私は開いた)
友奈「……っ……」
友奈(そこにはたった一言)
友奈(だからこそ、何よりも伝わる気持ちが、几帳面なのに優しい文字で──)
『本当にごめんなさい、高嶋さん。もし仲直りが出来たら、また二人で一緒に遊びましょう』
友奈「……私こそ……」
友奈「……ぐすっ……」
友奈「……ごめん……っ! ……ごめん、なさい……っ……!」
友奈(とめどなく私の気持ちが頬を伝ってこぼれていく)
友奈(それは遠い過去に置き去りにしてしまった気持ち)
友奈(ずっと心の中で痛みを抱えていた気持ち)
友奈(私を延々縛ってきた鎖が少しずつ音を立てて、崩れていく)
友奈(私が手にしているそれは)
友奈(……喧嘩別れしてしまった友達からの、最後の手紙)
友奈「……ああっ……あ、あぁぁぁぁ……」
友奈(顔をただ手でおおい隠す。嗚咽だけが私の口から洩れている)
友奈(その手紙はあまりにも温もりに溢れていたから……)
友奈(私の涙はいつまでも止まることがなくて──)
友奈(ごめんなさい。そして、ありがとう──郡千景ちゃん)
75 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/20(土) 22:01:33.54 ID:hm+dGSCso
https://youtu.be/BFRb6pLWZlk
76 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/20(土) 22:03:05.91 ID:hm+dGSCso
*その後のその子たち
友奈「来年からぐんちゃんも大学生かぁ……」
千景「安心して高嶋さん! 私はいつだって高嶋さんと一緒に居るわよ!」
友奈「あはは……それだとどっちかが学校に行けないよね?」
千景「はっ!? ……浪人、そうよ! その手があったわ!」
友奈「わー! 駄目駄目! 駄目だってば! せっかくぐんちゃん推薦入学が取れたんだから!」
千景「うっ……」
千景(……何を間違ったのか私は推薦枠を取ってしまい、高校三年、十二月の今、大学への入学が決まってしまっている。……人生本当に何があるか分からないものね)
友奈「でも、ぐんちゃん、大学だってここから通うんだよね?」
千景「それとこれとは話が別よ! 高嶋さんと一時でも離れているのが嫌なの!」
友奈「嬉しいけど、それはもう一年だけ我慢してね?」
千景「……高嶋さんがそう言うなら」
友奈「あ、そーだそうだ! 昨日の『鷲尾須美は勇者である』の続きを見ようよ!」
千景「続きと言っても、鷲尾須美の章は昨日の分で終わりで、今回が一期の総集編、次からが勇者の章だったかしら?」
友奈「勇者の章楽しみだよねぇー」
千景「いえ、どちらかと言うと何かしでかしてきそうで恐怖すら感じるのだけれど……」
千景(私と高嶋さんがあの世界から帰ってきて三年が経っていた。その月日の密度は膨大で、ゆゆゆ関連だけを見ても、のわゆの小説化、わゆすの映画に花結いのきらめきの配信開始、さらには推薦入学関係で見ることの出来ていなかったアニメの二期を昨日から見ている始末。……そう言えば、ゆゆゆいの北海道枠と沖縄枠にも私は会ったことがあったわね)
友奈「結城ちゃんたちだったら何があっても大丈夫だよ!」
千景「多分私たちの知っている人たちとは別人のお話だとは思うのだけれどね……」
千景(その証拠に二期とあの世界の話は繋がっていない。そして、私たちの世界にはバーテックスの襲来がなかったのだから、あの世界とのつながりは完全に消失していると言っても間違いはない。……まぁ、思い出だけは今も色あせていないのだからそれで良いのだろう)
77 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/20(土) 22:04:39.95 ID:hm+dGSCso
ピンポーン
友奈「あ、私が行ってくるね」
千景「……どうやら今回はコノザマにならなかったようね」
友奈「ぐんちゃん! くめゆの小説が届いたよ!」
千景「早速開けてしまいましょう。封入特典の三ノ輪さんのSRが欲しいのよ!」
友奈「銀ちゃんを集めているもんね、ぐんちゃんは」
千景「攻撃速度が速いのよ。それに重ねるほど強くなるのだから特定の勇者を集めるほうが効率的でしょう?」バリッ
友奈「たまに豪快に開けるよね? カッターそこにあるのに……」
千景「……」…ハァ
千景「……高嶋さん。既視感と言う言葉は知っているわよね? いえ、性格にはデジャヴとは違うのだけれど」
友奈「前にあったようなことが起こる時の話だっけ? って、あー!」
千景「……勘弁して欲しいわ」マッタク…
千景(ダンボールの中にあったのは『楠芽吹は勇者である』のノベライズと──)
友奈「今回は色々準備してから行こっか?」
千景「……はぁー」
千景(大きなため息を吐き、私は天井を見上げる。……私が高嶋さんの言葉に反対するわけがないでしょう!)
千景「……今度は流石に文句の一つでも言ってあげようかしら?」
千景(誰かさんの顔を思い出して、私は独り言で愚痴る)
千景(あれから三年経っても私と高嶋さんはゆゆゆ漬けの毎日。……きっとこれからもそうなのだろう。それでいて嫌いになんて決してなれないのだから本当に性質が悪い)
千景「……」ハァ
千景(まったく困ったものね。この……)
千景「結城友奈は勇者である」
千景(──と言う物語は)
どうか幸福な日々を 高嶋友奈の章・終
78 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/20(土) 22:07:02.36 ID:hm+dGSCso
これにて『結城友奈「これは勇者たちの物語」』及び『高嶋友奈の章』は終了となります
ここまでお付き合いいただき誠にありがとうございました
また、今回戦闘メインと言う無謀に挑戦してしまったため、色々分かりづらい部分が多く本当に申し訳ございません
内容に関しては、九尾の狐と二周目の彼女は『郡千景「結城友奈は勇者である」』を書く前から決まっていましたので、所々にそれを匂わす記載があったりします
その他若干謎が残りそうな部分も何となく想像できる範囲かと思いますので、想像してみるのも良いかもしれませんよ
今回も長編かつ読みづらく誤字脱字等が多い中お読みいただいた方には本当に感謝の気持ちでいっぱいです
(誤字等を多少を修正したものはいつものところに上げておきます)
色々と書きたいこともありますがひとまずこの辺で
今まで本当にありがとうございました!
79 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/20(土) 22:24:24.96 ID:6X+RlvdKO
乙
YouTubeの動画て自作?
80 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/20(土) 22:31:22.52 ID:hm+dGSCso
>>79
どうもです
一応自作ですが、そのうち消すかもしれません
81 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/21(日) 06:18:03.69 ID:efgoknMz0
乙
面白かったよ、お疲れ様
82 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/21(日) 10:27:58.30 ID:VinFDaA60
完結おめでとう
面白かったよ
83 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/21(日) 20:22:55.63 ID:PJ67/koRo
>>81
>>82
ありがとうございます。そのお言葉だけで全てが救われる心地です
皆さんにレスをいただけていたからこそ、ここまで書くことができました。改めて感謝、感謝です
また、自分としては、あのラストこそが友奈と千景のベストに近い結末ではあったのですが、意図した説明不足感も強いため受け入れてもらえるか実は不安でした。それでも、何となく受け入れてもらえているのなら書き手としてこれ以上のことはありません
あと、動画の再生数を見た感じですとおそらく4人くらいはこのSSをお読みいただけているようで本当に嬉しく思います(本音を言いますと、第2話中盤から多分2人の方だけにお読みいただけていたのかなと自覚がありました)
ただ、実際このスレを見ている方が少ないことは事実だと思いますので、今回だけこの場を借りて個人的な話を書かせていただきます
このSSの内容には関係なく、長文かつ本当に個人的なものなので適当に流していただけると幸いです
昔から今回のゆゆゆのようにSSは色々書いていたのですが、こうして本格的にSSを投下し始めたのは2014年のゆゆゆ年からだったりします
ゆゆゆを見てから心に熱が入って、とにかく何か書きたいという衝動があったことを今でも何となく覚えています
その衝動のまま完成した初(二度目)の投下SSは当然と言うか何と言うか、ゆゆゆの影響がかなり入っていましたね
以降、気付けば毎年一本は長編SSを書いていたようです
一応自作長編SSの主なものだけ挙げていくと下記のようなものを書いています
2014年:穂乃果「悲しみに二つの祝福を」(番外編でゆゆゆも少々)
2015年:星空凛「おやじさんと凛」+2期・穂乃果「これがラブライブの選択だよ」
2016年:神谷奈緒「チャット」「オフ会」
2017年:郡千景「結城友奈は勇者である」高嶋友奈の章シリーズ
とまぁ、FAガールとかも入れれば多分百近く色々なSSを書いてきたのですが、今回は一区切りとして小説一冊程度に該当する長編のみを挙げさせていただきました
そんなわけで四年以上長編SSを毎年書いてきましたが、おそらく今回のゆゆゆSSで長編は最後になるかと思います
上記含めここまでお読みいただいた皆様、今まで本当にありがとうございました!
84 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/22(月) 00:58:17.25 ID:T6hF9tRe0
おやじさんと凛の人だったのかあれも面白くて好きだった
また気が向いたらなにか書いて欲しいな
85 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/22(月) 02:07:41.51 ID:I1n0HCHw0
個人的な要望で悪いんだけど、
>>1
が書いた作品のなかで心に残ってるものとかあったら教えて欲しいな
86 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/22(月) 12:06:39.09 ID:JK5h68tho
>>84
おやじさんと凛は書いていてとても楽しかったですね。あと、このSSを知っている方が居ることに…感謝です!
一応番外編で『穂乃果「亜里沙ちゃん式タイムスリップ」』と言うものがあったり、非公開ですけど劇場版はハッピーエンドだったりします
>>85
心に残っているとなると上に挙げた長編たちが断トツとなってしまいますね。全て渾身で書いていましたし、自分が読み直しても面白いと感じます(シリアスとか時間遡行とか大好きなので)
一応「選択だよ」がループもの、「おやじさん」が一話完結式、「チャットシリーズ」が無限に書けるSSとしての自分自身の到達点でしょうか
それ以外だとスッキリサックリ書けた『星空凛「部長!」』とかコンマが神掛かっていた『穂乃果「恋愛チェッカー?」』、テンポの良かった『穂乃果「皆、神経質すぎるよ!?」』
趣味を詰め込んだチャット番外編『北条加蓮「最近、肩こるんだよね」』、意外と好評をいただいた『源内あお「今日はバーゼを作るよ」』『轟雷「何をしてるのですか、あほ!」』あたりでしょうか
87 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/22(月) 13:49:35.28 ID:eube1MVG0
そのFAガールの2作品もあなただったのか!
88 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/22(月) 22:19:18.98 ID:I1n0HCHw0
教えてくれてありがとう
今度読んでみるわ
89 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/22(月) 22:29:34.59 ID:JK5h68tho
>>87
FAガールSSはグシオンとか含めてここに投下された大半が私だったりするので……
>>88
ありがたいお言葉をありがとうございます
一応面白さ的には長編なのでしょうが、1シリーズ10万文字〜15万文字(ラノベ1冊分)くらいあるのでそれ以外で挙げた短編のほうが手軽に読めるかとは思います
90 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/23(火) 06:43:27.75 ID:ZA3EWATfo
忠告も含めてありがとう
早速神谷奈緒のss読んだけど面白かったよ
>>1
の書くss好きだからまたなにか書いてくれたら嬉しい
91 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/24(水) 00:38:16.76 ID:+AzQoBM3o
まさか1話だけでも特に長いあのSSを読破していただけるとは……書き手として光栄の極みです
また、嬉しいお言葉を再度ありがとうございます。ぐんちゃん的な返答で申し訳なくはありますが、善処いたします
92 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/24(水) 01:40:09.61 ID:rkGPvx1io
面白かったけど難しい……
もう1回読み返してみようかしらね
ぐんちゃんの七人御先って原作では七人同時に倒さない限り全体の数が7体に復活する、残機0か7かのどちらかっていう力だったと思うんだけど倒された分身が復活しない力になってるのは意図的なのかな?
93 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/24(水) 07:42:59.53 ID:+AzQoBM30
最終的にかなり細かいところまで物語設定してしまったので、かなりややこしい部分が多くなっていると思います。分かりづらくて申し訳ないです
精霊に関しては意図的です。手甲自体が消耗品ということもあるのですが、西暦と比べると安定性重視となっています
タマたちに精神汚染がないのはそれが理由で(記憶上書きは別件)過去の体験から若葉がそうしました
酒呑童子は安定してもアレだったり二周目の人が絡んでいたりと色々ありますが大雑把に言うとそんな感じです
実はひなた等の一部他称が変化している理由もその辺にあります
94 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/19(月) 11:45:14.36 ID:5StwGDHt0
完結してから見つけて一気読みしたけど、読みごたえがあって面白かった。
長編は書くのも大変だろうし、短編でもいいから機会があったらまた何か書いてほしいな
95 :
空社長
[sage]:2018/02/20(火) 12:48:36.13 ID:X0S2/mjJO
いやぁ…YOUTUBEからこれを知ったのだが、何回見返してもいい話です。続編書いてくれないかな?
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