【艦これ】戌と兎の百年戦争

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1 : ◆E7idzvHwo6 :2018/01/07(日) 21:03:14.24 ID:CTEpQFTU0
4本目の作品です。
本来はクリスマスあたりに投稿できればなーと思っていたのですが、あえなく今日となりました。なのでクリスマスチックな表現が一部あります。

内容は、朝潮と卯月のお話。
いろいろと挑戦してみたかったので、海戦シーンだけ地の文で書いてます。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1515326593
2 : ◆E7idzvHwo6 [sage]:2018/01/07(日) 21:04:45.69 ID:CTEpQFTU0

―執務室―


コンコン


ガチャ


荒潮「失礼しま〜す。提督、荒潮をお呼びですか〜?」

提督「ん?荒潮か。別に呼んでいないぞ」

荒潮「あら〜?提督が私を血眼になって探してるっていうから急いで来たのだけど〜…違ったかしら?」

提督「特に血眼になってまでお前を呼び出す用はないな」

荒潮「私のタイツが欲しくて欲しくて飢えてるって聞いたのだけど〜…違ったかしら?」

提督「絶対違う」

荒潮「あらあら。それじゃあタイツだけ差し上げて、私は失礼するわ〜」スルスル

提督「いらん!穿いて帰れ!」

3 : ◆E7idzvHwo6 [sage]:2018/01/07(日) 21:05:40.76 ID:CTEpQFTU0

〜三十分後〜


コンコン


ガチャ


大潮「失礼します!司令官!」

提督「おぉ、大潮か。相変わらず元気いっぱいだな」

大潮「はい!大潮、一年中アゲアゲです!歯医者の日を除いて」

大潮「それで、何かご用でしょうか!」

提督「んあ?いや、用なら特にはないはずだが…」

大潮「司令官が、大潮のとんがり帽子を欲しがっていると聞きました!」

大潮「愛着があるので名残惜しいですが…司令官に差し上げます!どうぞ!」

提督「えぇ?いや、どうぞと言われてもな…」

大潮「それでは大潮、失礼しますね。とんがり帽子、大事にしてください!」
4 : ◆E7idzvHwo6 [sage]:2018/01/07(日) 21:06:40.62 ID:CTEpQFTU0

〜三十分後〜


コンコン


ガチャ!


満潮「失礼するわ」

満潮「何か用なの、司令官」

提督「んー…用はなにもないんだよなあ」

満潮「は?じゃあどうして呼んだのよ」

提督「いや、そもそも俺は満潮を呼んでない」

満潮「でも、探してるって聞いたわよ」

提督「うん。実を言うとな?荒潮と大潮もさっき、そう言って俺の所に来た」

提督「その時、俺が何かを欲しがっていると言っていたんだが…お前も何かを?」

5 : ◆E7idzvHwo6 [sage]:2018/01/07(日) 21:07:12.36 ID:CTEpQFTU0

満潮「あぁ、私のドーナツが欲しいのなんのって。私、ドーナツなんて持ってないんだけど?」

提督「満潮のドーナツ……となると、それじゃないか?頭で髪の毛をくるくる巻いているやつ。フレンチクルーラーに見えるしな」

満潮「は?バッカじゃないの。食べられるわけないじゃない、髪の毛なんだから」

提督「そうだな。食べるためでなく、可愛い満潮を更に引き立てるためのアクセントだ」

満潮「どわああ!うっさい!もう、なんなのよ!用がないなら帰るわよ!?」

提督「ちょっと待った!帰るついでに、大潮にとんがり帽子を返してやってくれ」

満潮「はあ?なんで私が小間使いなんて……まあいいけど……」

提督「それともう一つ、念のために聞いておこう」

提督「お前に用を頼んだのは誰だ?」

6 : ◆E7idzvHwo6 [sage]:2018/01/07(日) 21:07:58.78 ID:CTEpQFTU0

―食堂―


卯月「ひゃあ〜っ!羊羮がおいしいっぴょん♪」モグモグ

弥生「なんだか…嬉しそう。何かあった?」

卯月「なんにもなくても、うーちゃんはいつも元気だびょ〜ん!」

如月「あら。うーちゃんたら、ほっぺに羊羹付いてるわよ。とってあげるわ」

卯月「如月ありがとぴょん♪」

如月「…はい。取れたわ」パクッ

睦月「任務明けのおやつは、特に美味しく感じられるよね♪」

卯月「これくらいのご褒美がなきゃ、やってられないっぴょん!」

7 : ◆E7idzvHwo6 :2018/01/07(日) 21:08:53.20 ID:CTEpQFTU0

ガララ


朝潮「失礼します」

朝潮「卯月。話があるわ。こっちを見て」

卯月「ん〜?朝潮だぴょん。うーちゃんとにらめっこ〜?」

朝潮「違います」

如月「あら、朝潮ちゃん?そんな怖い顔しちゃダメよぉ。スマイルスマイル♪」

朝潮「私は今、真剣な話をしにきています。和やかな雰囲気は必要ありません」

睦月「あ、あれ?なんだか不穏な気配…」

8 : ◆E7idzvHwo6 :2018/01/07(日) 21:09:26.15 ID:CTEpQFTU0

朝潮「卯月。あなた、荒潮たちに嘘をついたわね?司令官がお呼びだと」

卯月「あっはっはっ〜!騙されたぴょ〜ん」

卯月「でも、それくらいの嘘なら許されるぴょん。皆司令官とお話したいに決まってるぴょーん」

朝潮「何を言っているの!荒潮達に迷惑がかかっていることに、どうして気付かないの!」

卯月「ぴょん?」

朝潮「荒潮達だけに止まらず、あろうことか司令官の邪魔までして。あなたの行動は、とうてい許されるものではありません」

朝潮「卯月。あなたの行動は、前々から気になっていました。他人を小バカにしたような嘘で、無闇やたらと翻弄して。被害は多人数にまで渡っているわ」

朝潮「今回こそは、あなたが反省するまで許しません!」

卯月「ぴょー…」

9 : ◆E7idzvHwo6 :2018/01/07(日) 21:10:47.59 ID:CTEpQFTU0

卯月「あはは!朝潮は大げさだぴょん。ちょっと嘘ついただけなのに。うーちゃんのは、嘘の内に入らないような嘘だぴょ〜ん」

朝「そんな言い訳は通りません」

卯月「うーちゃんだって、考えて嘘ついてるっぴょん。出撃前の子とか、忙しそうな人には絶対つかないもーん」

朝潮「そんなことが免罪符になるとでも?とにかく、卯月!」

朝潮「このままでは鎮守府の規律に関わります。よって、あなたには相応の罰を受けてもらいます」

卯月「ぴょ?罰ぅ!?」

朝潮「今回を初犯と見なして、軽いものにします。ですが、常習性が今後も見てとれるようであれば、当然重くなります。覚悟しなさい」

卯月「ぴょ…ぴょ〜ん…」

10 : ◆E7idzvHwo6 :2018/01/07(日) 21:12:19.55 ID:CTEpQFTU0

如月「待って、朝潮ちゃん」

朝潮「異議を認めます。如月」

如月「確かに嘘をついたのは、うーちゃんが悪いかもしれないわ。けれど、それで罰を科すというのは、さすがにやりすぎじゃない?」

朝潮「そんなことはないわ。嘘をつくという行為が、どれだけ重いことか分かっていませんね。閻魔さまだって舌を引っこ抜く所業です」

如月「それは詭弁だわ。それに、司令官の許可は得ているの?」

朝潮「はい。司令官は、話し合った上で双方納得のできる結論を出せと仰っていました」

如月「なら、朝潮ちゃんの意見に私達は納得できないわ」

朝潮「嘘をついたのは事実です。見逃してもいい理由はどこにもないわ」

如月「荒潮ちゃん達はなんて言っているの?」

朝潮「まだ意見は聞いていません。ですが、迷惑だったに決まっています」

如月「ならば今、この場に呼んで意見を求めましょうよ」

朝潮「望むところです」

11 : ◆E7idzvHwo6 :2018/01/07(日) 21:13:04.77 ID:CTEpQFTU0

睦月「あわわ…なんだか話が大きくなってきちゃった…」

弥生「…でもまあ、卯月が原因なのは間違いない…」

卯月「ていうか、うーちゃんそっちのけで話が進んでるぴょん」

12 : ◆E7idzvHwo6 :2018/01/07(日) 21:13:46.13 ID:CTEpQFTU0

―十分後―


ガヤガヤ ワイワイ


なんだなんだー喧嘩かー?
やっちゃえ満潮、返り討ちだー
穏やかじゃないっぽいー
睦月ちゃん怪我しないでねー



弥生「…ものすごく注目されてる…」

荒潮「あらあらぁ、照れちゃうわね〜」

如月「ごめんなさいね、三人とも。呼び立てしちゃって」

大潮「大潮はぜんぜん構いません!」

満潮「私も構わないけどさ、今はやることないし。用件なら早いところ終わらせてよね」

卯月「あっはっは〜。三人とも見事にうーちゃんの嘘に騙されたっぴょん!」

満潮「やっぱりあったわ。卯月、歯ァ食い縛りなさい」

睦月「わぁダメダメ!満潮ちゃん落ち着いて!」

朝潮「嘘をつかれたら、怒るのが当然よ」

13 : ◆E7idzvHwo6 :2018/01/07(日) 21:14:16.71 ID:CTEpQFTU0

朝潮「さて、荒潮、大潮、満潮。あなたたちは、共通して卯月の被害者です。司令官が入り用だと嘘をつき、あまつさえ三人と司令官の時間を無駄にしました」

弥生「さすがに…それは大げさ」

朝潮「そんなことはありません。仲間との信頼関係が求められるこの鎮守府において、不必要にその絆を引っ掻き回す行為は重罪とも言えるわ」

如月「朝潮ちゃん。うーちゃんの嘘は、別に誰かとの関係性を破壊するようなものではないわ。今までだって、変にこじれた人は誰もいないもの」

朝潮「たとえそうだとしても、嘘は嘘。きちんとした対処を考える必要があるわ」

如月「もう。少しは開放的に考えた方がいいわよ?四六時中、規律だ法規だと意気込んでると、疲れちゃうもの」

朝潮「私は今、卯月が嘘をついたことを問うているの。そうやって論点をずらすのは、卑怯よ」

如月「あら…言ってくれるじゃない?」

14 : ◆E7idzvHwo6 :2018/01/07(日) 21:14:56.88 ID:CTEpQFTU0

満潮「ちょっとちょっと…睦月?」チョンチョン

睦月「ん?なあに?」

満潮「この二人、どうしちゃったのよ?なんだか妙にピリピリしてるじゃない」

睦月「うん…睦月たちも驚いてるよ」

満潮「どういう流れでこうなったのよ」

睦月「朝潮ちゃんが食堂にやってきて、卯月ちゃんを叱って、そしたら如月ちゃんが卯月ちゃんを庇い始めたところから…かな?」

満潮「ふうん…ウサギ一羽のイタズラなんて、そこまで目くじら立てるほどでもないでしょうに、朝潮もなにやってるんだか」

満潮「まあ迷惑だったのはそうだけど」

15 : ◆E7idzvHwo6 :2018/01/07(日) 21:15:33.70 ID:CTEpQFTU0

睦月「如月ちゃんはお姉ちゃんみたいなところがあるから、卯月ちゃんを庇ってるんだと思うの」

満潮「お互い意見をぶつけて睨みあってんのね」

睦月「うん」

満潮「今のところは、どっちの意見が理にかなってるわけ」

睦月「うーん…五分五分ってところかな?」

満潮「はぁ…長引きそう」

16 : ◆E7idzvHwo6 :2018/01/07(日) 21:16:35.64 ID:CTEpQFTU0

朝潮「さて。一人ずつ訊いていくわ。率直な気持ちを言ってちょうだい」

朝潮「荒潮。あなたは卯月に嘘をつかれて、どうだった?」

荒潮「そうねぇ…嘘にもいろいろあるのは分かるのだけれどぉ、火急の用だと言うのはちょっとねぇ。さすがに驚いちゃうわ〜」

如月「…まず一人目は、否定的。満潮ちゃんは?」

満潮「取り立てた用も無いとはいえ、無駄に翻弄されるのは好きじゃないわ」

朝潮「二人目も、否定的です」

卯月「ぴょーん…」

17 : ◆E7idzvHwo6 :2018/01/07(日) 21:17:17.09 ID:CTEpQFTU0

朝潮「さて、最後に大潮。あなたは卯月に嘘をつかれて、どうだった?」

大潮「えーと…」

大潮「大潮は、司令官とお話できて嬉しかったです!なので、卯月さんには感謝しています!」

朝潮「えぇ!?」

如月「これで二対一、ね」ニヤリ

朝潮「お、大潮!私が訊いているのは嘘そのものであって、結果がどうとかは関係ないの!」

大潮「特に悪い気はしません。最近司令官とお話できてなかったので、楽しかったです!」

朝潮「そうじゃなくて…あぁ、これ以上聞いても変わらなさそうね」

18 : ◆E7idzvHwo6 :2018/01/07(日) 21:17:53.05 ID:CTEpQFTU0

朝潮「ですが、結論は既に出ています。三人中二人が否定的となれば、やはり卯月の嘘で迷惑を被っていたということです」

如月「あら、多数決で判断するなんて一言もなかったわよ。それに、明らかに分母が足りないわ。全員が同じ意見なら考えようがあったけれど…この少なさで意見が割れたのなら、それはまだ結論が出ていないのと同じよ」

荒潮「私は司令官とお話できて嬉しかったわよ〜」

朝潮「荒潮!余計な事は言わなくていいの」

如月「結果は大勢に寄与しないんじゃなかったの?」

朝潮「うっ…」

19 : ◆E7idzvHwo6 :2018/01/07(日) 21:18:54.06 ID:CTEpQFTU0

如月「この結果から、私達がうーちゃんへの懲罰を納得することは、難しいわね」

朝潮「でも!常識的に考えて嘘が許されるはずがないわ」

如月「意見が折り合うことはないわね」

朝潮「信じがたいけれど、そのようね」

卯月「うーちゃんは人を不快にさせるような嘘はつかないっぴょん!」

20 : ◆E7idzvHwo6 :2018/01/07(日) 21:19:28.50 ID:CTEpQFTU0

睦月「じゃあ…どうやって話をまとめるの?」

卯月「朝潮がうーちゃんの嘘を許せば、全部解決だぴょ〜ん♪」

弥生「まったく悪びれてない…」

満潮「こっちだって、卯月が謝れば許してやるつもりはあるけど?」

荒潮「まあまあ、カリカリしないで穏便にいきましょ〜」

大潮「カリカリ梅は大好きです!」

21 : ◆E7idzvHwo6 :2018/01/07(日) 21:20:11.00 ID:CTEpQFTU0

如月「さあ、どうするの?原因はうーちゃんだけど、話を焚き付けたのは朝潮ちゃん。どう決着を付けるつもりかしら」

朝潮「司令官は、お互いに納得のいく結論を出せと仰っていました。ならば、話は簡単です」

朝潮「如月。そして、睦月、弥生、卯月」

朝潮「我々第八駆逐艦は、あなたたちに戦いを挑みます」

睦月「え」

弥生「えぇ…」

如月「ふぅん?面白いじゃない」

卯月「やってやるっぴょん!うーちゃんが間違ってないこと、照明してやるぴょん!」

22 : ◆E7idzvHwo6 :2018/01/07(日) 21:20:43.03 ID:CTEpQFTU0

如月「ならば、朝潮ちゃん。荒潮ちゃん。大潮ちゃん。満潮ちゃん」

如月「私達睦月型は、あなたたちの宣戦布告を受けてたちます」

朝潮「決まりね」

睦月「えぇー!そんなんで決まっちゃうの!?」

弥生「受けるって言われても…」

満潮「ふぅん。ま、下手に折れるよりはいいかもね」

荒潮「あらあらぁ、ドンパチはあまり好きじゃないのだけど〜」

大潮「お手柔らかにお願いしますね!」

23 : ◆E7idzvHwo6 :2018/01/07(日) 21:21:41.75 ID:CTEpQFTU0

ー執務室ー


朝潮「と、言うことになりました」

如月「なっちゃったわぁ〜♪」

神通「……また駆逐艦の揉め事が一つ、増えるのですね。まあ、報告が何もないよりはマシですが…」

提督「まあまあ、神通。……ふーーむ、なるほどなぁ。どちらも、一歩も譲るつもりはないんだな?」

朝潮「はい」

如月「プライドを持っていれば、簡単には引き下がれないわよねぇ」

提督「うん……よし、あい分かった。それが双方で納得のいく結論なのだとしたら、俺は何も言わん」

提督「だがくれぐれも、人に迷惑のかけることは無きよう、ゆめゆめ忘れるな」

朝潮「承知しました」

如月「承りました♪」

朝潮「それでは、失礼致します」

如月「如月も失礼するわねぇ〜」

24 : ◆E7idzvHwo6 :2018/01/07(日) 21:22:35.77 ID:CTEpQFTU0

神通「……はぁ。もう、また勝手に決めて……なんのために規律が存在していると思っているのですか」

提督「まあまあ、そう言ってやるな」

神通「今の言葉は、提督も対象ですよ」

提督「ははは!その通りだな。そこは反省するよ」

提督「でもまぁ、丁度いい議題じゃないか。嘘はどこまでなら許されるのか、それとも全て嘘は取り締まるべきか。道徳的な事を考えるのは必要だ。戦いにばかり明け暮れるよりは、よっぽど彼女達のためになる」

神通「正当な理由があれば勿論構わないのですが…はあ、これ以上言っても仕方ないですね」

神通「それで、提督はどちらの意見を支持しますか?」

提督「あえては言わん。一方に味方したとなれば、裁定者として相応しくない。どこからか情報が漏れるかも分からんからな」

提督「たとえば、そう。そこの棚入れの後ろに隠れている奴とかからな」

青葉「っ!?」

神通「…?…あ、青葉さん!?そこで何を?」

青葉「いや〜はははっ…司令官が駆逐艦の子からタイツを奪ったと言う情報を入手したもので…記者として、見逃せませんね!」

25 : ◆E7idzvHwo6 :2018/01/07(日) 21:23:20.86 ID:CTEpQFTU0

青葉「改めまして、こんにちは!司令官、神通さん!さっそくですが、先程の噂は本当でしょうか?」

提督「事実無根だバカ野郎」

神通「あまり俗な噂を信じすぎるのもどうかと…」

青葉「俗ではありますが、だからこそ皆飛び付くんですよ!非常に分かりやすいストレートな内容ですから!」

青葉「それともう一つ、朝潮型と睦月型でなにやら一悶着ありそうと、みんな噂しております。何かご存知ですか?」

提督「知っているが、答えることはない」

青葉「えぇ〜?もったいぶらないで教えて下さいよ〜うりうり♪」チョンチョン

提督「やーめーろ」

26 : ◆E7idzvHwo6 :2018/01/07(日) 21:24:05.50 ID:CTEpQFTU0

神通「ですが、提督。ああは言われたものの、もし必要以上に問題が尾を引けば、二つの派閥に悪い空気が流れます。何らかの形で、提督の介入が必要と判断しますが」

提督「んー。そうだなぁ…」

青葉「はいはい!なら青葉が方法を考えます!より面白い仲間の写真を撮ったほうが勝ち、とかどうでしょう。青葉が審判します!」

提督「アホか」

青葉「あぁーっ!?アホって言ったー!アホって言いましたね?アホって言った方がアホなんですー!」

提督「ばーかばーか」

青葉「バカって言った方がバカなんですー。司令官のばーか!」

神通「何を下らない言い争いをしているのですか…」

27 : ◆E7idzvHwo6 :2018/01/07(日) 21:24:50.69 ID:CTEpQFTU0

提督「冗談はさておき…朝潮たちの件は、とりあえずこちらで預かる。必要ならばでしゃばるのも考えなければならん。そこは俺がなんとかする」

神通「クセの強い子ばかりですよ。大丈夫ですか?」

提督「ああ任せておけ。それと青葉、この事を記事にするのは禁止だ」

青葉「えぇ〜?何でですかー!弾圧ですー!」

提督「言ったろう。外部から不必要に圧力を加えるのは、あの子達に無用な競争心を生み出す。あくまであの子達の問題であり、俺は大人としてそれを見守る。余計な煽動はいらん」

青葉「競争は大事ですよ〜」

提督「今回はいらん。それだけだ」

青葉「うぅ〜…分かりましたよぉ。じゃあ、タイツの事だけネタにしますね」

提督「……まだ諦めてなかったのか」


28 : ◆E7idzvHwo6 :2018/01/07(日) 21:27:59.87 ID:CTEpQFTU0


ー廊下ー


如月「うふふぅ♪さぁーて、どうやって白黒つけましょうか。何か案でもあったり?」

朝潮「簡単ですよ」

朝潮「如月、貴女は先程、言いましたね。分母の少ない多数決に意味はないと。確かにその通りだったわ。先刻の方法では統計的に有効ではありませんでした。少し熱が入っていたようです。そこは反省します」

朝潮「であれば、要望通りに分母を増やしましょう。鎮守府の皆さんにも協力してもらいます」

如月「全員にアンケートをとって回る、とか?」

朝潮「最終的にそうなります。ですがその前に…状況を同じにしなければ、それこそ意味が無いわね」

朝潮「卯月は荒潮達に嘘をついてまわった。それも再現しなければならないわ」

如月「…ふぅん…なぁるほどぉ…朝潮ちゃんの言いたいことが分かってきたわ」

如月「実際に、何らかの形で私達が皆に嘘をつくのね?その後で嘘に関する是非を問う、と」

朝潮「そういうことです」

29 : ◆E7idzvHwo6 :2018/01/07(日) 21:28:38.41 ID:CTEpQFTU0

如月「ふふ〜ん…いいわよぉ♪それなら文句はないわぁ」

如月「ふふ…やっぱり真面目ねぇ、朝潮ちゃんは。そんな回りくどい方法を採っても、公平性を重んじるわけ?」

朝潮「それこそが最善である、と信じているだけです」

如月「そう…わかったわ。なら、勝負の着け方はそれでいきましょう」

朝潮「卯月たちにも伝えてください」

如月「りょうか〜い♪」

30 : ◆E7idzvHwo6 :2018/01/07(日) 21:29:17.00 ID:CTEpQFTU0

朝潮「………」

如月「………」

朝潮「………」

如月「…あら、この不思議な沈黙は、な・あ・に?」

朝潮「いえ…せっかくなので、訊いておきますね」

如月「?」

朝潮「如月は、卯月を抜きに考えて、どちらの意見が正しいと思いますか?」

如月「うーん?そうねぇ…少しくらいは嘘があったほうが、華やかじゃないかしら?システマチックに物事が進めば、そりゃ確かに理想だけどねぇ」

朝潮「……そうですか」

如月「何か気になるかしら?」

朝潮「いえ、何でもありません」

31 : ◆E7idzvHwo6 :2018/01/07(日) 21:29:46.27 ID:CTEpQFTU0

朝潮「それでは、私は失礼するわ」

如月「はぁ〜い♪」

32 : ◆E7idzvHwo6 :2018/01/07(日) 21:30:26.22 ID:CTEpQFTU0

ー食堂ー


響「オオカミ少年?」

暁「そうよ!いらない嘘をつき続けて、最後には誰からも信用されなくなったっていう物語よ。教養として、大人として勿論暁は知ってるわ」

響「ふぅん…その物語がどうかしたのかい?」

暁「この物語は、実に色々な事を教えてくれるわ!嘘をつくことの罪、人から信用されない悲しさ、オオカミの怖さ。子供の時から是非とも一冊は家庭に欲しいわね!」

雷「オオカミの怖さを伝える物語だったかしら?」

電「そんなハズはなかったと思うのですが…」

暁「とにかく!大事なのは一つよ。嘘をついてはいけない。ただこれだけだわ!」

暁「暁も一人前の大人として、もちろん嘘なんてつかないわ。いーい?あなた達も、嘘はついちゃダメよ?お姉ちゃんが許さないから。お尻ぺんぺんの刑が待ってるわよ!」

33 : ◆E7idzvHwo6 :2018/01/07(日) 21:31:17.48 ID:CTEpQFTU0

響「……ふぅん。なるほど」

響「嘘をついてはいけない。その通りだね。暁の言うことは正しいよ」

暁「ふっふーん!そうでしょ?」

響「そうか、そうだね…そうすると、私は暁に謝らなければいけないかな…」

暁「ん?なによ、響。なんか嘘をついてたの?いーわ。お姉ちゃんに正直に言ってごらんなさい。今なら許してあげるわ」

響「でも、暁が怒ってしまうかも」

暁「いーのよ。ほらほら、言っちゃいなさい!」

34 : ◆E7idzvHwo6 :2018/01/07(日) 21:31:45.35 ID:CTEpQFTU0

響「……暁って、別に大人っぽくはないよね」

暁「!?」

響「というか、子供だよ。背伸びをしているのが丸わかりさ」

暁「うぐぅッ!?」

電「はわわ!?響ちゃん正直過ぎなのです!」

雷「暁が既に致命傷だわ!響、やめるなら今のうちよ!?」

響「いいや。嘘はよくない。暁の言葉に感銘を受けたからこそ、私は止まらないよ」

暁「こ…こ…これ以上、何が来るって言うの…?」

35 : ◆E7idzvHwo6 :2018/01/07(日) 21:32:43.76 ID:CTEpQFTU0

響「いいかい。暁。大人はね、夜でも一人でトイレに行けるんだ」

響「ピーマンだって、たとえ嫌いでも残したりはしないのさ」

響「あと、口の周りをクリームだらけにするのは卒業した方がいい。可愛いけどね」

暁「あば、あばばばば、ばあああ」

雷「暁が壊れたわ!許容量を越えたみたい!暁、しっかりして!?」

響「響ちゃん!もう止めるのです!暁ちゃんのライフはもうゼロなのです!」

響「ふむ……まあそうだね、これくらいにしておこう」

36 : ◆E7idzvHwo6 :2018/01/07(日) 21:34:00.18 ID:CTEpQFTU0

暁「…か…くは……そ、そんなぁ……」

響「暁。これは純然たる真実だよ」

暁「しん…じつ…?」

響「そう。暁は子供である。変えようのない真実さ。世界の真理だよ」

暁「真理……」

電「残酷なのです…そんな真実なら、知らないほうが良かったのです!」

雷「けれど、心地好い情報だけに目を向け続けていたら、人は成長できないわ…」

暁「う…うぅぅ…」

37 : ◆E7idzvHwo6 :2018/01/07(日) 21:34:39.16 ID:CTEpQFTU0

暁「そうだったのね……暁は、子供……大人のレディじゃ…ないのね…」

響「そう…真実は、そうさ」

響「けれど、それが一体なんだと言うんだい?」

暁「……ふぇ?」

響「暁。君の魅力は、大人か子供か、そんな些末な事柄でははかれないよ。暁は、暁だからこそ魅力的なのさ。それ以上でもそれ以下でもない(と、それっぽく言ってみる)」

暁「暁の…魅力……?」

響「そうさ。暁には、暁だけの魅力がある。それこそが、ありのままの暁だよ。もうこれ以上自分を偽らなくてもいいんだ」

暁「……ひ…ひびきぃ〜〜……」

響「よしよし。今まで辛かったね。お姉ちゃんだからって、無理はしなくてもいいんだ」

38 : ◆E7idzvHwo6 :2018/01/07(日) 21:35:33.84 ID:CTEpQFTU0

暁「うぅ……ぐすん…ありがとう響…暁が間違っていたわ。嘘をついていたのは、暁のほうだったのね…」

響「分かってくれれば、それでいいんだよ」

響「さぁ、私の手をとってごらん。一緒に嘘のない、公平で平等な世界にしようじゃないか」

暁「公平で平等……する!私、やってやるわ!」

響「一緒に共産主義を心に灯そう。誰もが対等な素晴らしい世界だよ。同志暁」

暁「すごい!共産主義って素晴らしいわ!」

響「ふふ……ガングートも喜ぶよ。共に赤い大地の統一を目指そう」

39 : ◆E7idzvHwo6 :2018/01/07(日) 21:36:08.17 ID:CTEpQFTU0

雷「地に落ちた所に救いの手を差し伸べる…洗脳の一種だわ!」

電「宗教の勧誘かなにかなのですか…?」

響「二人も如何かな?」

雷「遠慮するわ。司令官のお世話で忙しいの!」

電「というか、共産主義ってなんなのですか……」

40 : ◆E7idzvHwo6 :2018/01/07(日) 21:36:39.26 ID:CTEpQFTU0

ー鎮守府 共有畑ー


瑞穂「〜〜♪」

卯月「み〜ず〜ほ〜さーん♪」ギュウ

瑞穂「あら、卯月さん?あらあら、どうしたのですか」

卯月「にゅふふぅ〜。後ろ姿が大きなナスに見えたぴょん。つい食べたくなっちゃった♪」

瑞穂「あらあら、光栄ですね。うふふ♪」

卯月「それよりも、大変なんだぴょん!聞いてほしいぴょん!」

瑞穂「?」

卯月「来月から、資金不足と自給自足を兼ねて、新しい野菜が栽培されることになったぴょん!今すぐにでも種を蒔かないと皆が餓死しちゃうぴょん!」

瑞穂「え、本当ですか?あらあら、まあ。野菜って、なんの野菜かしら。そんなに早く育つ野菜なんてあったかしら」

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