【ラブライブ】真姫「その罪は何色か」【仮面ライダーW】

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53 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/09(火) 20:36:12.62 ID:7fc+xlB70
ーーーーーー
54 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/09(火) 20:42:28.03 ID:7fc+xlB70
ーーーーーー



凛「……………………ん」



目が、覚める。
目の前にあるのは、白い天井。

…………って、あれ?
凛、いつ寝たんだっけ……?

ぼんやりした頭でゆっくり、思い出そうとしてーー




真姫「凛っ!」

花陽「凛ちゃんっ!!」



ーー モギュッ ーー



凛「にゃ、ぷっ!?」



その衝撃で、一気に覚めた。

い、いたいにゃぁ……。
目の前には、なぜか凛に抱きつく真姫ちゃんとかよちん。
って、あれ?



凛「なんで、凛…………あれ?」

凛「ここ、病院……?」


55 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/09(火) 20:48:40.82 ID:7fc+xlB70
きょろきょろと周りを見て、やっと凛が病院のベッドに寝ていたことに気づいた。
それに、かよちんと真姫ちゃん、なんでこんな……?



「…………倒れていたのよ」

凛「……え?」



知らない声。
その声の主は、



「………………」



白衣を着て、メガネをかけた女の人。
…………えっと、誰?

そんな凛の思考を読み取ったようで、そのメガネの女の人はこう名乗った。




紅花「私は紅花。ここの内科医よ」



56 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/09(火) 20:56:20.79 ID:7fc+xlB70
紅花……って?



凛「あっ……」



そうだ。
思い出した。
確か、例の事件があるときにいつも病院にいるお医者さんたちのうちのひとりだよね。



紅花「……なに?」

凛「え?」

紅花「……私の顔になにかついてるかしら」

凛「あ、いえ……」



…………な、なんだろう。
この人、ちょっと怖いというかきついというか……。

そんなことを考えていると、さっきまで凛に抱きついていた真姫ちゃんが立ち上がる。
目元をごしごしして…………ふふっ。



真姫「……なによ?」

凛「なんでもないよ?」

真姫「……っ、と、とにかく、無事でよかったわっ」



誤魔化すようにそう言う真姫ちゃん。
ごめんね、って言ったら、ほんとよって返された。

一方のかよちんはまだ凛に抱きついてて。
ごめんね、って言ったら、大丈夫って言ってもっと強く抱きつかれる。
…………うぅ、なんか罪悪感にゃ……。
57 : ◆6cZRMaO/G6 [sage saga]:2018/01/09(火) 21:12:06.68 ID:7fc+xlB70

凛「って、そうだ」

凛「凛は……一体……? 倒れてたって言ってたけど……」



さっきの言葉を思い出して、ちらりと紅花さんを見る。
すると、紅花さんはポツリと言った。



紅花「……拒絶反応ね」



拒絶反応……?
え、凛は一体なにに?



真姫「……紅花さん、それって……?」

紅花「どこかの馬鹿がABO不適合輸血をやらかした時のような症状が出ていたわ」

真姫「……っ」

紅花「……早期発見できたから、どうにか持ち直したみたいだけど」

凛「えっと……」



いまいち、分かんないんだけど……。
つまり、凛は、



凛「軽く、死にかけてたってこと……?」

紅花「そういうこと」

凛「…………」



実感はない、けど。
そっか、凛、殺されかけたんだ……。
58 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/09(火) 21:16:12.87 ID:7fc+xlB70


紅花「とにかくしばらくは安静にしてることね」

凛「……え、で、でも、凛はーー」




紅花「死にたくなかったら」

凛「っ」ビクッ




紅花「大人しくしてなさい」



凛「…………」



その静かな迫力に、凛は何も言い返せなかった。




ーーーーーー



ということで。
凛はちょっとだけ離脱。

…………真姫ちゃんは調査続けるって言ってたけど。

…………まったく。
こういうときに、にこちゃんなにしてるにゃ……!



ーーーーーー
59 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/09(火) 21:16:40.91 ID:7fc+xlB70
ーーーーーー
60 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/09(火) 21:20:44.27 ID:7fc+xlB70
ーーーーーー




にこ「ねぇ、穂乃果」

穂乃果「ん? なに? にこちゃん?」



にこ「なに? ……じゃないわよ!」バンッ



穂乃果「お、おぉ!? なに、怒ってるの?」

にこ「そりゃ…………あんな話聞かせといて…………なに? あんた、また観光?」

穂乃果「…………えー、言ったじゃん!」




にこ「聞いてないわよ!」

にこ「ロケ終わりに、あんたに拉致られたからっ!」




穂乃果「…………あー」

にこ「…………」

穂乃果「うん、ファイトだよ!」

にこ「はっ倒すわよ?」

穂乃果「ご、ごめんっ!」
61 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/09(火) 21:26:46.41 ID:7fc+xlB70

にこ「で?」

穂乃果「うん」

にこ「結局なに?」



にこ「なんで、にこは風都に連れてこられたわけ?」



穂乃果「……えっと、実は、穂乃果に協力してくれてる人から言われてさ」

にこ「!」ピクッ

穂乃果「その人がにこちゃんに会いたいんだって」

にこ「え〜っ♪ にこにーに会いたいって……ファンの人〜?」

にこ「今、オフだからそういうの、にこにー困っちゃーー「いや、そういうんじゃなくて。全然ファンじゃないよ」


にこ「ぬぅぁんでよ!?」


穂乃果「まぁ、会いたいって言ってるのは……」




穂乃果「『ジョーカー』のメモリを使ってる人に会ってみたい、らしいよ」

にこ「………………そう、そっちね」

62 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/09(火) 21:34:52.98 ID:7fc+xlB70

にこ「んで、その人がいるのがここなわけ?」

穂乃果「まぁ、うん」チラッ

にこ「寂れたビリヤード場に呼び出すとか……なに? 結構ヤバイ人なわけ?」

穂乃果「えっと……呼び出されたのはビリヤード場じゃない方なんだけど」アハハ

にこ「…………? あぁ、こっちの…………?」

穂乃果「う、うんっ」

にこ「とにかく……危ない人じゃないのよね?」ジトッ

穂乃果「…………危なくはない」

にこ「……含みがある言い方ね?」ジトーッ

穂乃果「…………まぁ、うん」




穂乃果「すごい変な人だとは思うよ」




にこ「?」

穂乃果「と、とにかく入ろうか!」

にこ「はぁ、分かったわよ」スッ






『鳴海探偵事務所』




ーーーーーー
63 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/09(火) 21:35:28.85 ID:7fc+xlB70
ーーーーーー
64 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/09(火) 21:36:40.20 ID:7fc+xlB70
本日はここまで。
レス感謝です。
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/10(水) 14:30:31.99 ID:Fv60to3E0
鳴海探偵事務所のすごい変な方……フィリップか
と思ったが翔太郎もそれなりに変な方か
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/10(水) 16:40:43.23 ID:qDLpXM/KO

やっと本家が登場か!
続き期待
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/10(水) 22:36:16.44 ID:9RH1aNon0
メモリはなんだろう
たぶん本編に出てきたやつじゃないよね
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/11(木) 00:34:19.38 ID:lvyVCxef0

セレクションに入ってたあのメモリか...?
とにかくこの引き込まれる世界観好き
69 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/11(木) 20:39:35.88 ID:fOvtnO2a0
ほんの少しだけ更新。
70 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/11(木) 20:49:52.18 ID:fOvtnO2a0
ーーーーーー



翌日。
私と花陽はまた病院に来ていた。
今日は昨日、患者さんが吸血鬼に襲われた時間のアリバイを確認しに。
結果は……。



真姫「アリバイありね」

花陽「そうだね……」



というものだった。

緑先生は黒崎副院長と。
真白さんは紅花先生と。
青子さんは藤さんと。
一緒にいたとそれぞれが証言していた。
勿論、鵜呑みにする訳じゃないけど……。



花陽「難しいね」

真姫「えぇ」



凛と花陽の話を聞くに、例の吸血鬼は『ドーパント』なのは間違いないはず。
なら…………もしかして、あの6人とは別に犯人がいる?



真姫「………………」

花陽「……あ、真姫ちゃん」



歩きながら考えに没頭していると、花陽に肩を叩かれた。



花陽「ここ、だよね?」



花陽が指差す先には、とある病室があった。

というのも、実は藤さんにまだ話を聞いていなかったから。
さっき青子さんから聞いた話だとここにいるらしいんだけど……。
71 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/11(木) 21:07:44.63 ID:fOvtnO2a0

真姫「個室、ね」

花陽「どうかした?」

真姫「こういうとこの患者って……金持ちのボンボンとか企業の社長とかが多いのよ」



昔、そういう人から嫌な目で見られていたのを思い出した。
この病院の娘だからでしょうね。
幼い私にすり寄ってくるのが気持ち悪かった。

だから、正直気が進まない。
そりゃ医者になるからにはどんな人にも平等にしなきゃいけないのは重々承知だけど。



花陽「真姫ちゃん?」

真姫「……ごめん、なんでもないわ」


今はそんなことをいってる場合じゃないわよね。

入りましょ。
それだけ言って、その扉をノックした。



ーー コンコン ーー



「はーい」



ノックに応じたのは、若い女の人の声。
……藤さん、かしら?



真姫「失礼します」



入ってよいか確認してから、開く。



真姫「って、え?」



ドアを開けて、声をもらした。
なぜなら、声の主は藤さんじゃなかったから。
どころか、職員ですらなかった。



私の声に答えたのは、ベッドの上の女の人……いえ、女の子だったから。



年齢は私たちより下。
たぶん中学生くらい。
私たちのノックで起き上がったのか、上半身だけ起こし、こちらを見ている。
顔色は素人目に見てもよくないことがわかった。
72 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/11(木) 21:14:17.88 ID:fOvtnO2a0


真姫「あ、えっと……」



予想外の展開に、少しフリーズしてから、持ち直す。

まぁ、別に普通に接すればいいわけだしね。
子どもの相手ならーー




「まきちゃんだ!!」

真姫「っ」ビクッ




いきなり名前を呼ばれた。
って、え!?
私、この子とは初対面よね!?



「はなよちゃんもいる!!」

花陽「えっ!?」



混乱の第二波。
なんと、花陽のことまで知っている!?



「あれ? りんちゃんは?」

まきぱな「「!?」」



第三波。
…………って、流石にここまで来ればわかるわ。
この娘、たぶんーー




「μ'sだぁぁぁ!!」




ーーそう。
μ'sのファン、でしょうね。
73 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/11(木) 21:17:08.36 ID:fOvtnO2a0
さっきまでの病弱そうな様子とは一転。
かなり興奮してるようで……。



「うわぁぁ! す、すごい!」

花陽「え、あ、えっと……」

「生はなよちゃんだ!」

花陽「生花陽!?」

「サインください!」

花陽「え、あ、うん。いいよ?」

「えっと、じゃあ……この病院着に!!」

花陽「病院着に!?」



テンパる花陽と面白会話を繰り広げていた。
74 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/11(木) 21:24:15.66 ID:fOvtnO2a0




「って、葵ちゃん!」



真姫「っ」



声に振り返る。
そこには、若い女の人。

目の前の女の子を葵ちゃんと呼ぶ彼女は、どうやら怒っているようだが…………あんまり怖くないわね。
なんとなく察した。
この人が、



葵「あっ、藤ちゃん!」

藤「もう! ちゃんづけしないでよぉ! わたし、これでも三十路だよ!」

葵「あっ」

藤「……うぅぅ、三十路……」ズゥーン



真姫「…………」



なんだろう。
穂乃果とかにこちゃんとかと同じにおいを感じるわね。

って、そうだ。



真姫「あの……藤さん、ですか?」

藤「んー? えっと、葵ちゃんのお友だち?」

葵「ちがうよ! まきちゃん!」

藤「まきちゃん……? まきちゃん? まき…………って!」



藤「院長先生の娘さんっ!?」ガタッ



真姫「え、あっ、はい」
75 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/11(木) 21:32:49.73 ID:fOvtnO2a0
オーバーすぎるリアクションとともに崩れ落ちる、というか平伏す藤さん。



真姫「って、ちょっと!?」

藤「いつも院長先生にはお世話になっておりますっ! なにとぞ今後ともご贔屓に!」

真姫「…………」



日本語がどこかおかしい。

うん。
察した。
この人はたぶん穂乃果とかにこちゃんとかの同類。
つまり、この人はたぶん『ドーパント』じゃないわね。



真姫「えっと、顔、あげてもらってもいいですか……」

藤「はい! よろこんで!」

真姫「……」チラッ

花陽「あはは……」



思わず花陽も苦笑い。
……まぁ、とりあえず話しやすそうな人でよかったわ。
黒崎副院長とかの時は最悪だったし。
それを考えたら……。



藤「真姫様におかれましては大変ご機嫌麗しゅうございますが、本日はどのようなご用件でございましょうか!?」

真姫「…………」



いえ。
この人はこの人で、面倒そうね。



葵「ははっ! 藤ちゃん、おもしろい!」

花陽「あはは……」

葵「って、そうだ! サインは!?」

花陽「え、あっ、は、はい!」



真姫「………………はぁ」



しっちゃかめっちゃかな目の前の現状を見て、私はため息を吐くのだった。
メンドクサイ……。



ーーーーーー
76 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/11(木) 21:39:25.08 ID:fOvtnO2a0
ーーーーーー



その場をどうにかなだめて。
私と花陽は改めて、藤さん……と葵ちゃんの前に座っていた。



藤「それで? わたしになにかご用ですか?」

真姫「えぇ」チラッ

葵「?」



チラリと彼女を見る。
話が話だから、患者である彼女には聞かれない方がいいんだけど……。



藤「たぶん葵ちゃんなら大丈夫ですよぉ?」

真姫「え?」

藤「葵ちゃん、口固いし」

葵「はい! 固いです!」

真姫「えっと…………」チラッ

花陽「…………うん」



まぁ、そうね。
そもそも患者さんの間でも噂になってたくらいだし。

それに、個室だから。
狙われる心配も……少ないはず。



真姫「それじゃあ、お聞きしますけど……」

藤「なんでも聞いてください!」


77 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/11(木) 21:46:49.21 ID:fOvtnO2a0
吸血鬼の噂のこと。
昨日の事件のこと。
その時のアリバイなどを尋ねてみる。

…………うん。
青子さんの話とも食い違いはないわね。
となるとやっぱり……。



真姫「…………ありがとうございました」

藤「あ、はい!」



とにかくこれで全員がアリバイあり。
となると、やっぱり犯人は外部犯なのかしら。

全員のアリバイを頭のなかで反芻していると、




葵「吸血鬼かぁ」




ポツリと。
葵ちゃんが呟いた。
今までの元気さとは一転して、憂いを帯びたような響きの呟きだった。



花陽「えっと、葵ちゃん……?」

葵「…………吸血鬼って血を吸ってくれるんだよね?」

花陽「うん。そう噂されてるよ?」

葵「そっかぁ」

真姫「…………?」



血を『吸ってくれる』?
その言葉に引っ掛かりを感じて……。



真姫「……ねぇ、葵ちゃーー」



78 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/11(木) 21:57:51.38 ID:fOvtnO2a0




紅花「…………葵さん」




いつの間にか病室に入ってきてた紅花先生の声に阻まれた。



葵「あっ、紅花先生っ」

紅花「…………起きてちゃダメでしょう。身体に障るわ」

葵「ご、ごめんなさい……」

紅花「早くベッドに入りなさい」

葵「……うん」



葵ちゃんは、彼女の言葉にしゅんとなる。
見て分かるくらいに落ち込んで、言われた通りにベッドに横になった。

それを確認してから、紅花先生は一言、



紅花「……藤」キッ

藤「は、はいっ」

紅花「葵さんに無理をさせないようにと言ったでしょう」

藤「っ、すみません……」



それだけを言った。
そして、今度は私と花陽の方に視線を向ける。
眼鏡の奥の眼光は鋭くて……かなり……怖い。




紅花「…………院長の娘かなにか知らないけど」

紅花「あんまりうろつかれると迷惑よ」




花陽「っ」

真姫「………………」



その言葉に私はなにも返せない。
彼女の言ってることは、正しい、から。


……でも、私はーー




ーーーーーー
79 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/11(木) 21:58:37.67 ID:fOvtnO2a0
本日はここまで。
レス感謝です。
励みになります。
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/12(金) 23:22:25.66 ID:GyQGOTs0O
乙更新速くてうれしい
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/14(日) 11:59:45.89 ID:PZY/GUPrO
はよ
82 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/14(日) 21:52:50.04 ID:ZmCRC8c70
ーーーーーー



次の日の放課後。
私はまた病院に来ていた。

青子さんには、真姫ちゃんも暇ねぇ、と笑われ。
紅花先生からは冷たい目で見られていた。

けど、私だってここまで来たら引き下がる訳にはいかないわ!
絶対に吸血鬼を捕まえる!
捕まえて、追い出してやるわよ!

ちなみに、花陽は用事があるということで、今日は来ていない。
その代わり、



凛「♪」



隣には凛がいた。
戦闘での後遺症もなく、無事退院。
……って、普通ABO不適合輸血での拒絶反応から回復するのにはそれなりにかかるはずなんだけど。
凛って何者よ……。



凛「真姫ちゃん?」

真姫「え」

凛「考え事?」

真姫「…………まぁね」



適当に誤魔化す。
とりあえず、特に異常はなかったとはいえ、病み上がりだし、あんまり凛に無理はさせられないわよね。
……となると、



真姫「凛」

凛「? なに?」

真姫「ちょっと付き合ってもらえるかしら?」



ーーーーーー
83 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/14(日) 21:58:16.97 ID:ZmCRC8c70
ーーーーーー



所変わって、資料室。
ここには、過去の患者のカルテや入院患者に関する資料が置いてある。
…………まぁ、勿論、立入禁止の場所なんだけど。



真姫「…………」ペラッ

凛「…………」キョロキョロ

真姫「…………」ペラッ

凛「…………」キョロキョロ

真姫「…………」ペラッ

凛「……真姫ちゃん」

真姫「っ、誰かきた?」

凛「…………違うけど……」

真姫「なら、引き続き、周り見ておいて」ペラッ

凛「じゃなくて!」

真姫「ちょっと大きな声出すんじゃないわよっ」

凛「あ、ご、ごめんにゃ……」

真姫「……もうっ」

凛「…………」

真姫「…………」ペラッ




凛「じゃなくて!」バンッ

凛「これ、アウトにゃ!!」


84 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/14(日) 22:02:33.88 ID:ZmCRC8c70


真姫「ヴぇぇっ!?」



凛の声が誰もいない資料室に響き渡った。
突然の大声に、私のからだも大きく跳ねた。

って!



真姫「大声出さないでって言ったでしょ!」

凛「これ、ふほーしんにゅーでしょ!」

真姫「…………」

凛「……ちょっと真姫ちゃん」

真姫「…………」プイッ

凛「目、反らさないで!」



真姫「しょうがないでしょ! 普通にカルテ見ることできないんだから!」



85 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/14(日) 22:10:45.12 ID:ZmCRC8c70

調べたいことがあるんです。
だから、カルテを見せてもらえませんか。

今日、病院に来て最初に緑先生にそうお願いをした。
けど、まぁ、当然ダメ。


いくらお嬢さんの頼みとはいえ、それは難しいですね。
我々医師には守秘義務がありますから。

そう言われて、断られてしまった。



だから、今、ここに至るってわけ。



真姫「どうせここまで来たら、凛も共犯よ」

凛「うぅ……真姫ちゃん、鬼にゃ、悪魔にゃ……」

真姫「はいはい。そうね」



見張りよろしく。
それだけを凛に言って、資料探しに戻る。
86 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/14(日) 22:18:13.67 ID:ZmCRC8c70
正直、分からないことだらけ。

吸血鬼……いえ、ドーパントの正体は勿論だけど。
一番不可解なのは、その行動。

ガイアメモリの力は強大だ。
それは部室の破壊事件の時に、私はよく思い知ってる。
だからこそ、今回の事件はおかしい。



やっていることは、『血を吸う』だけ。



しかも、患者さんが貧血になるくらいの被害しかない。
あまりにも、やることが小さすぎない?



真姫「…………」チラッ

凛「……うぅ、凛は悪くないにゃぁ」



頭を抱える凛を見る。

そうよね。
一番被害を受けたのは、凛だ。
その凛も今はこうしてピンピンしてるわけだし。

一体……。




真姫「あっ……」



87 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/14(日) 22:23:57.69 ID:ZmCRC8c70
資料探しの手が止まる。
そのページには、一昨日被害にあった患者さんのカルテがあった。



真姫「…………」



たしか、この人で被害にあったのは、5人目だったかしら?

うーん……。
まだ3人しかカルテは見ていないけど、襲われた人に共通点は特に……。



真姫「あ」



……いや。
ある、かもしれない。
これって……。




ーー ガチャッ ーー




真姫「っ!」
88 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/14(日) 22:24:46.13 ID:ZmCRC8c70





「誰かいるのか」




89 : ◆6cZRMaO/G6 [saga]:2018/01/14(日) 22:28:40.53 ID:ZmCRC8c70
資料室に響いた声。
それは、



黒崎「………………声がした気がしたが……」



副院長の黒崎先生のものだった。

じっと息を殺して、身を潜める。

黒崎副院長はパパのことをよく思ってない。
それは私のこともよく思ってないってこと。
だから、見つかったら……終わるっ!



黒崎「…………」

黒崎「…………」

黒崎「……気のせいか」



ーー ガチャッ ーー



真姫「……………………ふぅ」
90 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/14(日) 22:37:08.18 ID:ZmCRC8c70
どうにかなった、かしら。
深く息を吐きながら、周りを警戒する。
……って、凛は……?

キョロキョロと見渡すと、凛は入口の方でうずくまっていた。



真姫「凛!」



小声で名前を呼ぶ。
それに反応して、凛はこちらを向いた。
見る限り具合が悪いって訳じゃないみたい。



凛「真姫ちゃん、ごめんねっ」

真姫「……ばれなかったからよかったけど……どうかしたの?」

凛「う、うん、えっと……」



凛が差し出したのは、携帯電話。
どうやら凛はそれに気をとられていて、黒崎先生が近づいてくるのを感じ取れなかったみたい。



凛「いきなり着信が来て……」



ちょうど足音に気付いた時に、着信がきたらしく、それで私に知らせることができなかったとのこと。
91 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/14(日) 22:45:06.47 ID:ZmCRC8c70
院内なんだから電源は切っておきなさいよ、とか。
色々と言いたいことはあるけど。



真姫「……着信って、だれからーー」




ーー prprprprprpr ーー




まきりん「「っ!?」」



まるで、図ったかのようなタイミング。
少しびくっとしてから、二人でその画面を見る。
そこに表示されていたのは、『矢澤にこ』の文字。



凛「にこちゃん?」

真姫「……何でこんなときに……」

凛「えっと、どうする?」

真姫「貸して!」



つまんない話だったら、承知しないわよ!
心のなかで憤りながら、私は通話ボタンを押した。



真姫「もしもし! にこちゃん!」

真姫「タイミング悪すぎよ!!」



『………………』



真姫「…………って、にこちゃん?」



携帯の向こうから返事がないことに違和感を覚えた。
いつもなら、なんで真姫ちゃんが凛の携帯に出てるのよ!とか言いそうなものなのに……。

怪訝に思いながら、もう一度。
私は電話の向こうに話しかけた。



真姫「……もしもし?」


92 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/14(日) 22:45:56.22 ID:ZmCRC8c70




『なるほど』

『君が西木野真姫か』



93 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/14(日) 22:50:13.41 ID:ZmCRC8c70



真姫「!?」



そこから聞こえてきたのは、にこちゃんの声じゃなかった。
それどころか女性の声ですらない。
これは……!



真姫「あなた、だれよっ!」



にこちゃんは!?

叫ぶようにそう言う。
こいつ、一体!!



『……安心したまえ』

『矢澤にこは僕のとなりにいる』



真姫「……え?」



『…………もしもし、真姫ちゃん?』



と、謎の人物の声の後に聞こえてきたのは、聞きなれた声。
それは確かににこちゃんの声だった。
94 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/14(日) 22:55:20.83 ID:ZmCRC8c70
その声を聞いてホッとした。
ことりのこともあったから、にこちゃんまでなにかに巻き込まれたんじゃないかと思って……。



『心配してくれたにこぉ?』

真姫「なっ! ち、違うわよっ///」



からかうようなにこちゃんの声に、ついムキになってそう返す。
それがちょっと恥ずかしくて、



真姫「って、さっきの誰よ!」



話をすぐに反らした。

なによ。
つまんないわねぇ。

またにこちゃんはからかうように言う。
まぁ、でも、すぐに切り替えたようで、私の質問にこう答えた。




『穂乃果の協力者よ』


95 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/14(日) 23:00:27.47 ID:ZmCRC8c70

真姫「協力者?」

『そ。ほら、凛の持ってるメモリあるでしょ?』

真姫「……えぇ」

『それを穂乃果に預けた人物よ』

真姫「!」



まぁ、詳しいことは後で話すけど。

にこちゃんはそう前置きをして、それを聞いてきた。



『今、そっちでなにか起こってるのよね?』

真姫「!」



なにか。
それって、この吸血鬼騒動のこと?



『その反応、ほんとになにかあるみたいね』

真姫「……え、えぇ……でも、なんで……?」




『僕が検索したからさ』




真姫「っ!」
96 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/14(日) 23:03:38.66 ID:ZmCRC8c70
私達の会話に割り込むように、その協力者は口を出した。

検索?
何をいってるの?



真姫「…………あの」

『当ててみせようか』

真姫「え?」




『君の父親が経営する病院で、怪事件が起きているんだろう?』

『そして、それにはドーパントが絡んでいる』




真姫「!?!?」
97 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/14(日) 23:12:04.66 ID:ZmCRC8c70

『その反応……どうやら当たりのようだね』

真姫「……なんで、それを……」

『さっき言ったよね、検索したって』

真姫「…………」



なにがなんだか。
よくわからない。
けど、



真姫「…………貴方は……」

『安心したまえ。僕は君の……いや、君達の味方さ』



電話越しに、その声はそう言った。
私達の味方だと。



『…………西木野真姫』

『君はこの事件をいち早く解決したいんだろう?』



……えぇ。
そう。
私はこの事件を早く解決したい。

だって、このままじゃ患者さんが安心できないから。
それが医者じゃない私にできる唯一のーー




真姫「…………えぇ」



98 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/14(日) 23:15:13.89 ID:ZmCRC8c70

『それだけ聞ければ十分だ』

『検索によれば君は中々頭がキレるらしい。なら、なにか掴んでいるんじゃないかい?』

真姫「…………多少は」

『……僕としても、ガイアメモリ犯罪は少しでも早く解決したいからね。早速試してみよう、君が掴んでいるキーワードを使ってーー』






『さぁ、検索を始めよう』





ーーーーーー
99 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/14(日) 23:15:51.10 ID:ZmCRC8c70
本日はここまで。
レス感謝です。
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/15(月) 01:30:10.90 ID:GYS4WxCX0
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/15(月) 16:51:41.02 ID:m2wb3/sSo
おつおつ
102 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/15(月) 20:42:52.83 ID:hpLbw2HE0
ちょい更新。
103 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/15(月) 20:48:03.01 ID:hpLbw2HE0
ーーーーーー
104 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/15(月) 20:53:44.31 ID:hpLbw2HE0
ーーーーーー




ーー コンコン ーー




中の返事を待って、私は扉を開けた。
そこにいたのは、




葵「まきちゃん!」

真姫「こんばんは。葵ちゃん」




葵ちゃんの姿があった。
昨日と変わらず、ベッドに横になった彼女の姿は、窓から差し込む月の光のせいか、どこか幻想的で儚げに見える。



真姫「こんな時間まで起きてると、体に障るわよ」

葵「あ、えっと……ごめんなさい」



素直に謝る葵ちゃん。

なんでこの時間まで起きてたの?
そう尋ねると、彼女はまた窓の外に輝く月を見ながら答えた。




葵「綺麗な満月だったから」




彼女に倣って、そちらを見る。
真っ暗闇に、はっきりと浮かぶ満月は確かに綺麗ね。
105 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/15(月) 20:57:52.39 ID:hpLbw2HE0


葵「それで、どうしたの? こんな夜中に」



しばらくして、葵ちゃんはそう聞いてきた。



真姫「…………ちょっと、葵ちゃんに聞きたいことがあったの」

葵「わたしに?」

真姫「……えぇ」



小首を傾げる葵ちゃん。

…………。

正直、これは彼女本人に聞くのは憚られること。
それだけならば、カルテを見たから知っている。
けど、私は聞かなきゃならない。



真姫「ねぇ、葵ちゃん」

葵「うん」

真姫「貴女、血液の病気なのよね」

葵「…………うん。そうだよ」

真姫「…………それも……えぇと」




葵「…………重い病気、なんだって」



106 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/15(月) 21:06:00.52 ID:hpLbw2HE0
言葉を選んでいる間に、彼女はそう言った。
さらに、続ける。



葵「たぶん、わたしには聞こえないようにしてたんだと思う」

葵「けど、聞いちゃったの」



お母さんと先生の会話。
それから、お母さんの辛そうな泣き声も。
だから、



葵「言葉、選ばなくてもいいよ。まきちゃん」

真姫「…………」



そう言って笑う彼女。
その顔は、まるで……。



真姫「………………」

葵「…………はぁ、スクールアイドルやってみたかったなぁ」

真姫「…………」

葵「あと2年もしたら高校生だったのに! でも、こんな体だしね、しかたないしかたない」

真姫「…………」



……あぁ、そっか。
だからなのね。

だから、彼女はーー



ーーーーーー
107 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/15(月) 21:08:36.26 ID:hpLbw2HE0
ーーーーーー




ーー ガチャッ ーー



『…………』

葵「…………すぅ……すぅ」

『…………』スッ




ーー ナデッ ーー




葵「……んっ」

『っ』

葵「………………すぅ」

『……………………』クルッ

108 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/15(月) 21:09:28.45 ID:hpLbw2HE0




真姫「やっぱり現れたわね」

『っ!』



109 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/15(月) 21:22:36.92 ID:hpLbw2HE0
病室から出ようとするその人物を呼び止めた。
葵ちゃんを起こさないような小声でも、なんの音も聞こえない深夜ならよく響く。

その人物、いえ、そのドーパントはこちらに向き直った。
月に照らされて、その風貌がよく見える。



いつか凛が見たという姿とは違い、吸血鬼に似た姿じゃない。
全身は赤。
液体のようなものが右腕から胸にかけてを覆っている。
顔はノッペリとしていて、顔のパーツは見当たらない。
左手だけは、5本の指と掌という人間と同じような形。
葵ちゃんの頭を撫でていたのも、こちらの手だった。

本物のドーパントを見たは初めてだったから、恐怖を感じるのかと思ってたけど……。
私の心のなかは穏やかだった。

それはきっと、葵ちゃんを慈しむ『彼女』の表情を見たような気がしていたから。
110 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/15(月) 21:28:19.77 ID:hpLbw2HE0

????『……貴女、なんで』

真姫「ここにいるのが分かってたからよ」

????『分かってた……?』

真姫「えぇ」



犯行の動機が葵ちゃんにあるのなら、きっとここに来るんじゃないかと思ってたから。
……正直、半分は賭けだったけど。



????『……そう』



ドーパントはそれだけを呟いて、また葵ちゃんを見つめている。

……そう。
やっぱり、そうなのね。
その様子を見て、予想が確信に変わる。

『検索』だったかしら。
それをしてもらったのは、メモリの名前と能力までだった。
その先は、私が直接確かめたかったから。



葵「…………んん……」

????『……っ』

真姫「…………いつまでもここにいたら、葵ちゃんを起こしてしまうわね」

????『…………』

真姫「外で話をしましょうか」

????『…………』

真姫「ねぇーー」
111 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/15(月) 21:30:32.07 ID:hpLbw2HE0





真姫「ーー紅花先生」





????『…………そう』

????『ばれていたのね』スッ




紅花「…………出ましょうか。彼女が起きてしまうわ」




ーーーーーー
112 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/15(月) 21:31:27.16 ID:hpLbw2HE0
短いですが、本日はここまで。
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/15(月) 22:56:59.56 ID:Fl24P5+3O

メモリ使っててもそれなりに理性残ってるのか
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 05:31:13.89 ID:a5m+PVsEO
メモリとの相性が良ければ、理性が無くならないんじゃないかな?井坂先生とかインビシブルとかイエスタデイみたく良すぎても駄目だけど
115 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/16(火) 10:07:50.07 ID:ZoiY3X6S0
少し更新。
116 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/16(火) 10:25:12.23 ID:ZoiY3X6S0
ーーーーーー



紅花「いつ、分かったの?」



屋上に着くと、彼女はフェンスに背を預け、そう訊ねた。
気づかれるような真似はしていないはずだけど。
さらに、そう続ける。



真姫「引っ掛かったのは、襲われた患者さんが貧血程度で済んでることです」

真姫「ドーパントの力が強力なのは分かってたわ。だから、なにか目的があるんじゃないかと思った」



なるほど。
紅花先生は私の言葉に相槌をうつ。



真姫「例えば、この病院で不祥事を起こすだけならもっと血を抜き取って死者を出せばいい」

真姫「でも、それをしなかった」

紅花「メモリ使用者が病院関係者なら当然じゃない」



誰だって職はなくしたくないもの。
少し笑いながら、そう言う紅花先生。
確かに、それもあるかもしれない。

だけど、私はその言葉に首を振る。



真姫「抜き取られた量もおかしいんです。全員がその体型に合わせて、一定の割合抜かれてた」

紅花「…………」

真姫「注射器でならまだしも、メモリを使って血を一定の量、しかも、その人の体型に合わせて抜き取るなんて、慣れが……いえ、相当の知識と技術が必要、でしょ」

紅花「……そう、ね」



だから、少なくとも看護師になって数年の藤さんや真白さんにはできないはず。
117 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/16(火) 10:36:04.69 ID:ZoiY3X6S0

紅花「なら、私以外にも黒崎や緑もいたんじゃないの?」

真姫「そう。あの二人にも可能よ」

紅花「なら、なぜ私を疑ったのかしら?」



それは、資料室で見つけたある共通点があったから。
あの後、全員のカルテを確認した。
私の読み通りだった。
全員が、



真姫「AB型のRH−……ですよね」

紅花「そう。そこまで分かっていたのね」

真姫「カルテ、確認しましたから」

紅花「……犯罪よ、それ」

真姫「うっ……」



それに関しては、言い返せなかった。
確かにそれはそうよね……。



紅花「まぁ、いいわ」

紅花「それで? 私を捕まえるつもり?」



彼女の雰囲気が変わる。

白衣のポケットの中。
たぶんもう、メモリを手にしてる。
118 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/16(火) 10:41:45.55 ID:ZoiY3X6S0


真姫「…………」



ポケットの中のスマホに触れる。
通話画面にしてたから、このまま発信すればすぐに凛に繋がるようにしてあった。

けど、私は




真姫「…………いえ」

真姫「捕まえません」




彼女の問いにそう答えた。

捕まえない、と。
だから、スマホから手を離す。




紅花「…………なんのつもり」




紅花先生は変わらず、こちらを警戒してる。
ポケットからも手は出さない。

睨み合うような状況が続く。



真姫「…………」

紅花「…………」


119 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/16(火) 10:48:04.50 ID:ZoiY3X6S0





真姫「…………治してあげて」




紅花「…………っ」



沈黙を破ったのは私から。
それを、彼女の目を見て、伝えた。



真姫「ガイアメモリを使ってるのは、葵ちゃんのためなんでしょ……」

紅花「…………」

真姫「あの娘の病気は、血を総取替えでもしないと治らないって藤さんに聞いたわ」

紅花「っ、藤……余計なこと……」

真姫「でも、そんなことそうそう簡単にできるものじゃない。手術ができたとしても、長時間の手術に彼女が耐えられるかも分からない。普通の手段じゃ…………治療はかなり難しい」

紅花「…………えぇ」



真姫「だから、手を出したその『ブラッド』のメモリに」



120 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/16(火) 10:54:11.95 ID:ZoiY3X6S0



『ブラッド』



穂乃果の協力者を名乗る人物が出した答えがそれだった。

血液を操作することができる能力を持っていて、血を抜き取ることは勿論、それを他の人間に輸血することもできる。
それで凛はやられたみたい。

さらに、使用者が人体の構造に精通していればいるほど、その精度とスピードは上がっていく。
そんな能力も秘めているらしい。

つまりーー




真姫「貴女がガイアメモリに手を出したのは、病院の名を陥れるためでも、患者さんを襲うためでもない」

真姫「葵ちゃんを」

真姫「生きることを諦めてるあの娘を救うため、なんでしょ」




それが私が辿り着いたこの事件の真相だった。
121 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/16(火) 11:00:43.85 ID:ZoiY3X6S0


真姫「…………」

紅花「…………」



彼女の目を見つめる。
彼女は、視線を反らして、



紅花「救う……ね」



自虐的に呟いた。

おこがましいわ。
私はただ自分の担当患者のそんな姿を見ているのが嫌だっただけよ。



紅花「そのために、他の患者も傷つけた。本末転倒ね」

真姫「……でも、紅花先生は」

紅花「…………えぇ」




紅花「それでも、私はあの娘を治したい」




真姫「…………」



この言葉は本当だ。

……いつか見たことがある。
手術の日の朝、パパがしてた表情と同じ……覚悟を決めた表情をしてたから。
122 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/16(火) 11:09:08.90 ID:ZoiY3X6S0

真姫「…………血はもう足りてるんですか」

紅花「え……?」



私の言葉に、紅花先生はポカンとした表情を返してきた。
そんな顔は珍しい。



真姫「葵ちゃんを治療するための血液です。ABのRH−ですよね」

紅花「あっ……確か輸血用の血液もあったから…………あと一人分、かしら」

真姫「なら、すぐ始めましょう」

紅花「は? だから、あとーー」



真姫「ここにいるじゃない」



私が指差す先にいるのは、勿論私自身。

偶然もあるものね。
これなら、これ以上患者さんを傷つけることはないし。
だから、よかった。
だって、私もーー




真姫「あの顔……」

真姫「あの娘の表情、気に食わなかったのよ!」




ーーーーーー
123 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/16(火) 11:10:05.62 ID:ZoiY3X6S0
ーーーーーー
124 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/16(火) 19:39:34.25 ID:ZoiY3X6S0
ーーーーーー



紅花「…………」

真姫「…………」



手術室。
手術台の上には、紅花先生が抱えて連れてきた葵ちゃんがすやすやと眠っていた。
……よく起きないわね。



紅花「中々起きないのよ。だから、朝も藤が困ってるわ」



そう言って、彼女は笑う。
その表情はどこか穏やかで、葵ちゃんのことを大切に思ってるのが分かる。



紅花「外で待ってるのはお友達?」

真姫「…………えぇ」



凛のことね。
念のため連れてきたけど、流石にここにまで入らせるのもどうかと思って、手術室の外で待ってもらってる。



紅花「彼女、仮面ライダーよね」

真姫「……えぇ。最近なったばかりだけど」

紅花「そう。あの子には悪いことをしたわね」



悪いこと。
あぁ、拒絶反応のことね。

確かに大変だったけど、1日で治るくらいだし。
ここに来るまでも、紅花先生と私と凛、一緒だったけど、特に気にした様子はなかったわね。
125 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/16(火) 19:43:26.17 ID:ZoiY3X6S0

紅花「後で謝っておいてもらえる?」

真姫「……そんなの自分でーー」

紅花「私には襲ってしまった人に会わせる顔がないもの。患者も含めて、ね」

真姫「………………分かりました」



私の答えに満足したのか、ひとつ頷く紅花先生。
深呼吸をしてから、それを取り出した。




紅花「…………さぁ」スッ




『ブラッド』



ブラッド『……手術を始めましょう』



126 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/16(火) 19:53:47.48 ID:ZoiY3X6S0
紅花先生が姿を変えた。
葵ちゃんの病室で見た、あの赤いドーパントだ。

彼女がスッと右手をあげると同時に、その腕にまとわりついていた液体が放出される。
そのまま、形を変え、



『…………』

真姫「……人?」

ブラッド『えぇ。助手よ』



真っ赤な液体は人の形になって留まっている。
助手と言ったけど……。



ブラッド『……じゃあ、血少し貰うわよ』

真姫「……はい」

ブラッド『お願い』

『…………』



指示に反応するように、人形は動いた。
私の腕を取って、そのまま人形の頭が液体に戻り、私の腕を包んだ。



真姫「……っ」

ブラッド『奇妙な感覚でしょうけど、少し我慢して』

真姫「っ、は、はい……」

ブラッド『………………』

真姫「…………」

ブラッド『………………もういいわ』



1分もせずに、彼女はそう言って、人形を止める。
それに従うように、人形はまた頭の形を取り戻した。

これで、足りたのよね?

息を吐く、と同時に眩暈がした。
軽い貧血のような症状。
……なるほど、これがそうなのね。



真姫「っ」フラッ

ブラッド『…………座っていなさい』




ブラッド『すぐに終わらせるから』



127 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/16(火) 20:01:25.30 ID:ZoiY3X6S0


ブラッド『戻りなさい、人形』

『…………』



右手をかざす。
すると、さっきまで人の形を保っていたそれは形を無くし、また彼女の腕に流れ込んでいく。



ブラッド『…………っ』

真姫「……紅花先生」

ブラッド『………………さぁ、包みなさい』



今度は、葵ちゃんへ向けて手をかざす。

かざした手から液体が放出。
みるみるうちに、葵ちゃんの体を包み込んだ。



真姫「…………息は……」

ブラッド『できるわ。この力は包み込んだ人間の血液だけを抜き取るものなの』



それを考えると、このメモリは中々に恐ろしい。
これが悪用されてたら……。
考えたら、背筋が震えた。
128 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/16(火) 20:07:11.55 ID:ZoiY3X6S0

真姫「あっ」

ブラッド『………………よし』



別のことを考えていたら、目の前の状況が変化した。
いつのまにか葵ちゃんを包む液体から、何本もの管状の物が伸びていた。



真姫「…………これは……」

ブラッド『…………葵ちゃんの体から抜き取った血液よ。混ざらないように外に出してるだけ』

真姫「は、はぁ……」

ブラッド『っと、残念ながら、ここからは話している余裕はないわ』

真姫「っ」



……………………。

そこからはあっという間だった。
葵ちゃんを包んでいた液体が踊るように宙を舞う。

その光景を見て、私は、




真姫「…………綺麗」




ポツリと呟いていた。



ーーーーーー
129 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/16(火) 20:12:24.62 ID:ZoiY3X6S0
ーーーーーー




ーー バンッ ーー



凛「あっ」



手術中のパネルの光が消えた。
これ、終わったってことだよね!

扉を見ると、



真姫「…………」

紅花「…………」



中から真姫ちゃんたちの姿が出てきた。



凛「あっ」

真姫「待たせたわね、凛」

凛「えっと…………どうだったの?」

真姫「…………」



凛の質問に、




真姫「成功よ、ほら」



葵「すぅ…………」

凛「おぉ!」



その女の子の姿が答えだった。
すやすやとなにもなかったかのような穏やかな寝顔。
それを見る真姫ちゃんの表情も明るい。
130 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/16(火) 20:19:49.87 ID:ZoiY3X6S0

凛「よかったにゃぁ」

真姫「えぇ、ほんとにね」



紅花「…………っ」



安心してた。
これで事件も終わりだねって。

だから、凛も真姫ちゃんもその変化を見逃してたんだ。



紅花「…………葵さんをお願い」

真姫「……え? あ、あの!」



真姫ちゃんの制止も聞かず、紅花先生は足早に去ってしまった。
って、えっと?



凛「……とりあえず、この子病室まで連れてく?」

真姫「…………えぇ」

凛「じゃあ……んしょ!」



真姫ちゃんじゃ連れてくの無理だろうし、ここは凛の腕の見せどころにゃ!
首と膝下に腕を入れて、抱き上げる。
いわゆるお姫さまだっこってやつ。



凛「よーし! じゃあ、行くにゃ!」

真姫「……凛、葵ちゃんよろしく」

凛「って、真姫ちゃん!? どこいくの!?」

真姫「紅花先生を追うわ!」



ーーーーーー
131 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/16(火) 20:22:08.46 ID:ZoiY3X6S0
ーーーーーー
132 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/16(火) 20:30:23.37 ID:ZoiY3X6S0
ーーーーーー


屋上。
紅花先生の後を追って辿り着いたのはそこだった。



真姫「……紅花先生」

紅花「…………」



私の呼び掛けに、ビクッと体を震わせる先生。
うずくまるように、体を丸めている。



真姫「紅花……先生」



もう一度、呼び掛ける。
けれど、彼女は振り返らない。
その代わりに、



紅花「っ、ぐっ……」



聞こえてきたのは、呻き声。
って!



真姫「っ」



慌てて駆け寄る。
そして、顔色を確認するために、彼女の顔を見たーー



真姫「なっ……!?」



ーーと同時に、たじろいだ。

彼女の顔は普通じゃなかった。
血管が浮き上がり、それが胎動していて……。



紅花「は、はっ……」

真姫「紅花先生っ! ねぇ!」

紅花「っ、は、はなれ、なさい……」

真姫「え……?」



苦しそうなその言葉はよく聞こえなくて。
だから、もう一度、聞いたの。
今、なんて……?
それに答えるように、今度は耳に刺すような叫び声で彼女は言った。





紅花「離れてっ!!!!」




『ブラッド』


133 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/16(火) 20:35:53.49 ID:ZoiY3X6S0


紅花「あ、アァぁぁあ……!』

紅花『ぁぁァァアっ!!!』



真姫「っ、なにが……」



後退る。
叫び続ける彼女の体がみるみる変わっていく。

彼女のすべてが赤に包まれる。

葵ちゃんを包んだあの真っ赤な液体。
あのときの綺麗さはない。
ただ、彼女を飲み込まんと猛り狂う。



真姫「……っ、こんなの……」



ポツリと呟いた言葉は届かない。
彼女の絶叫に消されてしまう。

やがて。
彼女は姿を完全に変えた。




ブラッド『………………ア、アァァ……』




言葉をもたない。
意思もない怪物に。
134 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/16(火) 20:40:22.65 ID:ZoiY3X6S0

真姫「……紅、花先生……?」

ブラッド『…………ア、ァァ』

真姫「なんで……」



返答はない。
もう言葉は届かない。



真姫「……っ」





…………知ってた、はずなのに。

アイドル研究部の時の事件。
あれで分かってたはずだった。

ガイアメモリが人を変えてしまうことを。

私達にあれだけ好意をもってくれていた『あの娘』でさえ大きく変えてしまった。
それだけ、危険なもの。




真姫「わかってたのに……」



135 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/16(火) 20:43:55.06 ID:ZoiY3X6S0
いや。
……違う。
分かったつもりになってただけ。
それで、勝手に判断した。



紅花先生なら、ガイアメモリに負けないんじゃないかって。
きっと正しいことに使えるんだって。



でも、現実はそう甘くなかった。
現に彼女は、



ブラッド『ア……アァァア』



メモリに飲まれてしまっている。




真姫「っ、私の……せい……」



危険だって分かってたのに……。
なのに、私が大丈夫だって甘いことを考えたせいで……。



真姫「ごめん、なさいっ……」


136 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/16(火) 20:45:03.56 ID:ZoiY3X6S0






「大丈夫」

「…………真姫ちゃんのせいじゃないよ」





137 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/16(火) 20:46:41.14 ID:ZoiY3X6S0


真姫「……え……?」



顔を上げる。
そこにいたのは、



凛「大丈夫にゃ」

真姫「…………凛」



凛がいた。
138 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/16(火) 20:52:04.08 ID:ZoiY3X6S0

真姫「……凛、でも……」

凛「……でも、じゃないよ」



私の言葉を否定して。
凛は、一歩、私の前に出た。
紅花先生と私の間に、割って入るような形。

そして、続ける。




凛「真姫ちゃんが協力するって決めてなかったら、きっと葵ちゃんは助かってないよ」




それは、そう、だけど。
でも、そのせいで……。



凛「それに、紅花先生だって悪くない」

凛「たしかに他の人の血は抜き取ったみたいだけど」

凛「……でも、誰も不幸になってないもん」



真姫「……凛」



凛「凛はさ」

凛「難しいことはわかんないにゃ」

凛「でも、きっと誰も悪くないし、誰のせいでもないんだよ」

凛「だって、ひとりの命が助かったのはホントなんでしょ?」
139 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/16(火) 20:56:37.40 ID:ZoiY3X6S0


真姫「っ、えぇ」



頷く。

そうよ。
紅花先生が葵ちゃんを救ったのは事実だもの。
…………うん。



真姫「…………でも、このままじゃ」

凛「分かってるにゃ!」

真姫「…………ねぇ、凛」

凛「うん」




真姫「お願い」

凛「うん」




『サイクロン』



凛「変身っ!」



『サイクロン!!』




凛の体に風がまとわりつく。
そして、風が止んだ頃、そこにはその姿があった。




サイクロン『…………今、助けるからね』



140 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/16(火) 21:01:48.43 ID:ZoiY3X6S0


ブラッド『ァァア……』



よろよろと。
彼女が近寄ってくる。

背中からは管のように伸びた液体。
それが、



ーー ブンッ ーー



凛の方に!



真姫「りーー」

サイクロン『ふっ!』ブンッ



私が声を呼ぶ前に、凛が手を振る。
それに合わせて、風が吹いたかと思えば……。



ブラッド『ア……ア゛ァァ……』



管が消し飛んだ。

それだけで終わりじゃない。
彼女は体から管を、2本、3本……いえ、それ以上の数を出してくる。

でも。



サイクロン『はぁぁぁっ!』ブンッ



一払いで、管は霧散していく。
141 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/16(火) 21:05:33.00 ID:ZoiY3X6S0



ブラッド『ア゛ァァ!』



管を消される度に、彼女は叫ぶ。
苦しげな声で。



真姫「…………っ」



それを聞いてるのが辛い。
だから、私はーー




真姫「凛っ!」




叫んだ。
お願いだから、早くーー。

その思いに答えるように、凛は頷く。
そして、





『サイクロンマキシマムドライブ』



サイクロン『……………………ライダーキック』




ーーーーーー
142 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/16(火) 21:06:49.80 ID:ZoiY3X6S0
ーーーーーー




こうして。
事件は幕を閉じた。




ーーーーーー
143 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/16(火) 21:07:31.37 ID:ZoiY3X6S0
ーーーーーー
144 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/16(火) 21:13:51.97 ID:ZoiY3X6S0
ーーーーーー




葵「ねぇねぇ、まきちゃん!」

真姫「……なに?」




数日後。
私は葵ちゃんの病室に来ていた。

ベッドに横にはなっているけれど、もう体には何の異常もない。
健康そのもの。
そんな彼女は、




葵「いつ、退院できるの?」




それが口癖になっていた。

重病が急に消えてしまったということもあり、病院側としては検査はしなくてはいけない。
だから、退院まではもう少しかかるようで。



真姫「……藤さんに聞きなさいよ」

葵「だって、藤ちゃん、わたわたするだけで答えてくれないから」

真姫「……あぁ」



何となく想像できるわね。
慌ててるところ。
…………今後が不安だけど……。
145 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/16(火) 21:19:13.76 ID:ZoiY3X6S0

葵「あ!」

真姫「なに?」

葵「まきちゃんは知ってる?」




葵「なんでわたしの担当の先生変わっちゃったか」




真姫「…………」



葵ちゃんの質問。
それに私は答えられない。
事実を教えるわけにもいかないし……。

だから、話題をそらす。



真姫「葵ちゃんは……」

葵「うん!」

真姫「…………紅花先生がよかったの?」



正直、彼女は結構性格はきつかった。
医師としてはすごい人だとは思うけどね。

だから、きっと葵ちゃんとしては今の方がいいんじゃないかと思って。
けど、




葵「うん!」

葵「だって、紅花先生の手、あったかかったから」




彼女は笑った。
146 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/16(火) 21:22:56.41 ID:ZoiY3X6S0

葵「なんかね、わたしが寝てるときによく撫でてくれたみたいで」

葵「それがすごく優しくて、きもちよかったんだ」



真姫「…………そう」



そっか。
葵ちゃんには伝わってたのね。
紅花先生の思いが……。



真姫「ねぇ、葵ちゃん」



私は彼女の名前を呼ぶ。
そして、それを告げた。





真姫「スクールアイドルやってみない?」






ーーーーーー fin ーーーーーー
147 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/16(火) 21:23:44.60 ID:ZoiY3X6S0
ーーーーーー
148 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/16(火) 21:24:26.02 ID:ZoiY3X6S0
ーーーーーー
149 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/16(火) 21:28:31.03 ID:ZoiY3X6S0
ーーーーーー




ーー コンコン ーー




紅花「…………はい」

??「……失礼します。病院にまで押し掛けてしまい申し訳ありません」

紅花「……どちら様、かしら」

??「…………」




??「…………メモリの関係者、とだけ言えば分かっていただけますか」




紅花「っ」

??「そんなに身構えないでください。私は貴女に害をなそうとしているわけではありませんから」

紅花「じゃあ……」

??「お聞きしたいだけです」




??「貴女にメモリを渡した人物のことを」



150 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/16(火) 21:35:05.00 ID:ZoiY3X6S0

紅花「…………」

??「…………こう聞いた方がよろしいですか?」




??「『亜坂真白』という人物について教えてもらえますか?」




紅花「……そう。やはり彼女は……ただの看護師じゃなかったわけね」

??「はい。彼女はガイアメモリに関わる事件を起こし続けています」

紅花「…………あなたも?」

??「……………………はい」

紅花「教えるのは構わないけれど……」

??「…………」

紅花「まずは、貴女の名前を教えてもらえる?」

??「……そうでしたね。失礼いたしました」

??「私はーー」






海未「園田海未」

海未「ただの復讐者ですよ」






ーーーー To be continued ーーーー
151 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/01/16(火) 21:40:41.47 ID:ZoiY3X6S0
以上で
『真姫「その罪は何色か」』完結になります。

レスをくださった方
読んでくださった方
稚拙な文章・表現にお付き合いいただき、ありがとうございました。

以下過去作等です。
よろしければどうぞ。

1作目
にこ「さぁ、お前の罪を数えろ!」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1500978922/

2作目
凛「さぁ、お前の罪を数えろ!」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1510213255/

3作目
海未「私の罪を」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1512647204/

また続き書きます。
かっとなって百合作品も書くと思いますが。
その時はあたたかい目で見ていただけると幸いです。
では、また。
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 22:01:04.33 ID:8RYGC5LB0

続き期待してる
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