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【ラブライブ】真姫「その罪は何色か」【仮面ライダーW】
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1 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/06(土) 22:03:45.99 ID:fXm7gmSo0
更新遅め。
地の文・台詞混合。
オリキャラあり。
前作あり。
【ラブライブ】海未「私の罪を」【仮面ライダーW】
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1512647204/
以上のことが大丈夫な方はお付き合いください。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1515243825
2 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/06(土) 22:10:47.98 ID:fXm7gmSo0
ーーーーーー
「ねぇねぇ」
「なに?」
「知ってる?」
「なにを?」
「この病院の噂」
「噂? どんな噂?」
「この病院に出るんだって」
「で、でる……?それって……」
「お化け……とはちょっと違うんだけどねーー」
ーーーーーー
3 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/06(土) 22:13:05.76 ID:fXm7gmSo0
『Bの誇り/彼女の選択』
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/01/06(土) 22:16:52.78 ID:5bhJBR8YO
続編キタ!
待ち焦がれてました。
5 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/06(土) 22:23:13.33 ID:fXm7gmSo0
ーーーーーー
9月。
新学期も始まり、進路について悩む人も多くなるこの時期。
周りからは、この間の模試の結果を嘆くため息も聞こえてくる。
そんな中、
真姫「はぁぁぁぁ……」
私も大きなため息を吐いていた。
花陽「真姫ちゃん?」
凛「どうかした?」
そんな私の様子を見て、寄ってくる友人二人。
花陽と凛だ。
花陽は心配そうな顔で、凛は不思議そうな表情で、私のことを見てくる。
花陽「も、もしかして……えっと……」
凛「模試?」
言いにくそうに言葉を濁す花陽の代わりに、そう尋ねてくる凛。
それには首を横に振る。
そうじゃないわ。
ちなみに、模試はA判定だし。
花陽「さ、さすが、真姫ちゃん……」
真姫「あ、当たり前でしょっ///」
素直に褒められると……うん、照れるわね。
6 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/06(土) 22:30:21.81 ID:fXm7gmSo0
凛「じゃあ、なになに? もしかして、恋する乙女のーー」
真姫「そんなわけないでしょっ!!」ベシッ
凛「んにゃ!?」
痛いにゃ!
アホなこと言ってるからよ!
からかってくる凛にチョップをひとつ。
それから、いつものように軽口を言い合う私と凛。
はぁ、まったく。
この時期に、この娘はなんでこんなに能天気なのかしら。
……まぁ。
推薦、というか大学から直々に声がかかってれば余裕も出てくるってものなのかしらね。
花陽「……えっと、それで?」
なにか悩み事?
ずれかけた話を元に戻すように、花陽が聞いてくる。
えっと……。
ちらりと凛を見る。
……まぁ、大丈夫かしら。
どうせ噂なのだし。
そう考えて、私は例の噂について相談することにした。
真姫「……話し半分に聞いてよ?」
そう。
前置きをしてから。
7 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/06(土) 22:31:15.70 ID:fXm7gmSo0
真姫「うちの病院にーー」
真姫「ーー吸血鬼が出るって噂があるのよ」
ーーーーーー
8 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/06(土) 22:39:04.79 ID:fXm7gmSo0
ーーーーーー
9 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/06(土) 22:47:42.21 ID:fXm7gmSo0
ーーーーーー
花陽「ほわぁぁ……」
凛「にゃぁぁ……」
真姫「はぁ、なんでこうなるのよ」
噂について相談したその日の放課後。
その建物を見上げる花陽と凛の横で、またもため息を吐いた。
というわけで、
凛「ここが……」
花陽「西木野総合病院……」
うちの病院に来てしまっていた。
行動が早すぎる……。
凛はともかく、花陽まで。
……そうは思ったけど、ここ最近の花陽を見ていると、意外でもないかと思い直した。
凛「ほぇぇ……」
真姫「いつまで呆けてるのよ」
花陽「えっと、ほら、真姫ちゃんのお家には行ったことあるけど、病院には中々来る機会なかったから」
真姫「そういえばそうね」
よっぽどご近所とかじゃない限り、総合病院なんて縁なんてないもの。
ここに来たことがないならそれが1番よ。
10 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/06(土) 22:51:00.21 ID:fXm7gmSo0
真姫「とっとと行くわよ」
一応パパに連絡はしたとはいえ、今は業務中だ。
ただの噂調査に時間なんて使ってられないもの。
花陽「ま、まって、真姫ちゃんっ! ほら、凛ちゃん!」
凛「あ、うん!」
私の後ろを追いかけてくる二人の姿を確認して。
私達は病院の中に歩を進めた。
ーーーーーー
11 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/06(土) 22:57:27.66 ID:fXm7gmSo0
ーーーーーー
ナースステーションを通り、その奥へ進む。
昔から出入りしてるから、慣れたもので。
顔パスってやつね。
途中、ここで働いている先生や看護師の人たちに何度か声をかけられる。
大体の人は好意的で、私もそれにできるだけ明るく返事を返す。
…………。
後ろで、物珍しそうな顔で私を見てた二人。
特に、笑いを堪えてた凛はあとでぶっ飛ばす。
ともかく、なんだかんだで病院に入って10分後。
私達は応接室に辿り着いた。
って!
凛「…………」
花陽「…………」
真姫「…………」チラッ
なんでこの二人、ガチガチなのよ……。
12 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/06(土) 23:04:04.56 ID:fXm7gmSo0
ーー ガチャッ ーー
りんぱな「「っ」」ビクッ
応接室の扉が開く音。
現れたのはパパ……じゃなくて、
「お嬢さん、御無沙汰しております」
物腰の柔らかい男性。
キッチリと切り揃えられた髪に清潔感のある白衣。
確か40代だったかしら。
年齢よりもずっと若く見えるその男性は私のことをお嬢さんと呼んで、笑った。
……うぅぅ。
真姫「その呼び方」
「え?」
真姫「やめてもらってもいいですか……緑先生」
緑「……そうは言われましてもね」
立場上仕方ないんです。
そう言って、緑先生は人の良さそうな笑顔を見せた。
13 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/06(土) 23:11:22.89 ID:fXm7gmSo0
緑先生。
この病院に勤務する医師で、パパとは同期だって話。
昔、パパが家に招待していたこともあったから、よく知ってる人。
結婚もしておらず、子供もいないって話で、私も色々と買ってもらった記憶がある。
今は確か……それなりに偉い立場にいる、っていうのは聞いたけど。
緑「……それで、お嬢さん……こちらはお友達ですか?」
りんぱな「「!」」
と話は二人のことに。
真姫「えぇ……学校のね」
それだけを答える。
スクールアイドルもやってたんだけど。
まぁ、それはいいわよね。
そういうことには詳しくないだろうし。
と思ったら、
緑「あぁ、存じ上げてますよ。確か、スクールアイドルでご一緒に活動されてたーー」
真姫「って、なんで知ってるのよっ!」
緑「院長が嬉しそうに話されてましたから」
真姫「っ///」
そう言って、笑う緑先生。
もう!
パパなに話してるのよっ///
14 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/06(土) 23:14:21.09 ID:fXm7gmSo0
凛「ぷぷっ、真姫ちゃん、真っ赤にゃ」ボソッ
真姫「っ」ゲシッ
凛「にゃにゃっ!?」
茶化す凛の脇腹にチョップを入れた後。
改めて、二人を紹介する。
凛は今ので緊張がとけたようでいつもの調子だったけど……。
花陽「こ、こいずみはなよっ、ですっ」
真姫「ガチガチね」
花陽は相変わらずだった。
こういうとき人見知りよね、花陽って。
15 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/06(土) 23:24:54.14 ID:fXm7gmSo0
緑「それで今日は……」
真姫「っと、そうだった」
やっと本題。
パパにも簡単にしか説明はしてなかったから、ちゃんと説明しないといけないわよね。
まぁ、ちゃんとと言っても……。
真姫「……何て言ったものか……」
緑「……?」
真姫「えぇと、ほらーー」
凛「吸血鬼の噂を調査しにきました!」
ド直球だった。
真姫「ちょ、凛!?」
凛「だって、そうでしょ?」
真姫「そ、それはそうだけど…………」
あまりにも……あまりにもだわ。
そもそも噂だって前置きもして、まだ不確定なものだってことも話したはずなのだけど。
真姫「えっと……」
ちらりと花陽を見る。
暴走し始めそうな凛を止めてって意味も込めた視線……だったんだけどね。
花陽「わたしたち……こういうものです」スッ
はい。
そうだったわ。
これに関してはこの娘もノリノリだったわね……。
花陽が差し出した名刺らしきものには、
『怪事件解決します!』
例のサイトに書かれていたものと同じフォントで、そう書かれていた。
16 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/06(土) 23:30:46.73 ID:fXm7gmSo0
真姫「あー、もう……」
思わず頭を抱える。
ブレーキ役不在っていうのがこんなに大変だなんて……。
雪穂ちゃんを連れてくるべきだった、なんて馬鹿なことを考えながら、緑先生の苦笑を想像してーー
緑「……例の噂ですか」
真姫「……え?」
返ってきた言葉に驚く。
なぜなら、その言葉が少し神妙な空気を帯びていたから。
それが病院内で噂されているのは、私も知ってはいた。
けど、パパやママに聞いても、どうせすぐ無くなるものだから、と笑っていたから。
私もあまり深刻には捉えていなかったんだけど……。
緑「…………」
真姫「…………緑先生?」
なにか、変。
もしかして、私が思ってるよりもーー
17 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/06(土) 23:37:48.72 ID:fXm7gmSo0
「先生」
真姫「っ」
突然聞こえた声に、体が跳ねた。
それは、花陽たちも同じだったようで、声がした方、応接室の入り口の方をばっと反射的に見た。
そこにいたのは、一人の看護師。
無表情で、どこか冷たい印象の瞳。
けれど、顔は絵里……いえ、それよりも整っていて、まさに美人って言葉が似合うような女性だった。
最近入った人かしら?
見たことない人……。
緑「あぁ、真白さん」
真白「…………」
真白さん。
そう呼ばれた彼女は、ペコリと丁寧なお辞儀をした。
その動きもどこか機械的で……。
真姫「……っ」
って、ダメね。
ここの人を悪く思うなんて……。
ブンブンと頭を振って、嫌な考えを追い出す。
18 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/06(土) 23:44:35.89 ID:fXm7gmSo0
真白「渡部さんが傷が痛むと」
緑「あぁ、そうか」
わかりました。
すぐ行きますよ。
緑先生の言葉を聞いた彼女は、またお辞儀をして部屋からいなくなった。
緑「……ということで、申し訳ありません。お嬢さん」
真姫「別に大丈夫です」
大丈夫、というより当然。
ここは病院。
患者さんが第一だもの。
真姫「私達は勝手に聞いて回るから」
緑「……はい。そうしていただけると」
真姫「診療時間内には帰るから、パ……お父さんにもそう伝えといて貰えますか?」
緑「はい。そのくらいはお安いご用ですよ」
お二人もお嬢さんをよろしくお願いします。
緑先生は、そんな余計なことを言って、応接室から出ていった。
19 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/06(土) 23:48:52.66 ID:fXm7gmSo0
真姫「ふぅ……」
軽く息を吐いて、
真姫「てい」ベシッ
凛「…………にゃ!? なにするにゃ!」
真姫「ニヤニヤしてるからよ」
隣でニヤつく凛に一喝。
……さて。
時計を見ると、診療時間はあと一時間半ってところかしら。
早く回らないと、また来ることになるだろうし。
真姫「さっさと行くわよ」
早速立ち上がる。
モタモタしてる時間はないわ。
花陽「うん、そうだね」
凛「……そうだねぇ、行こっか」
りんぱな「「お嬢さん♪」」
真姫「うっ///」
もうっ!!
だから、やだったのよっ!
ーーーーーー
20 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/06(土) 23:49:45.66 ID:fXm7gmSo0
本日はここまで。
明日も出来たら更新します。
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/07(日) 01:41:50.52 ID:ot8kojyjo
気持ち悪い
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/07(日) 08:11:47.86 ID:WiKLfbCpO
まってた!
23 :
◆6cZRMaO/G6
[sage]:2018/01/07(日) 23:12:50.25 ID:ESg1ObOS0
本日更新難しいです。
申し訳ない。
24 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/08(月) 21:12:25.19 ID:0vuk0R1+0
少しだけ更新。
25 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/08(月) 21:25:59.15 ID:0vuk0R1+0
ーーーーーー
「真姫ちゃん、ばいばい!」
真姫「はいはい……って、病院内は走らないの!」
「は〜い」
病院内での聞きこみの最中のこと。
凛「……真姫ちゃんが子供と親しげに話してるっ!?」
そんなことで驚かれた。
真姫「…………わるい?」
凛「わ、悪くはないけど……ね、かよちん?」
花陽「うん。意外、かな?」
花陽まで……。
確かに私は子供苦手だけど。
直感とか感覚で動くし、後先も考えないし。
でも、
真姫「医者になるんだもの」
ぽつりと呟く。
子供が苦手とか言ってられないわ。
どんな患者にもちゃんと接してちゃんと診る。
それが医者の使命のはずだから。
……恥ずかしいから口には出さないけれど。
26 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/08(月) 21:39:33.26 ID:0vuk0R1+0
凛「真姫ちゃんも成長したんだね」
真姫「なんで、凛が得意気なのよ」
花陽「あはは……」
そんないつものやり取りをしていると、
「あら、真姫ちゃん!」
真姫「っ」
名前を呼ばれ、振り返る。
そこにいたのは、少し恰幅のいい女性。
よく見知った彼女に返事を返す。
真姫「えぇと、こんにちは。青子さん」
青子「ふふっ、元気そうね」
私の顔を見て、彼女は笑った。
五十過ぎには見えないパワフルな笑顔だ。
27 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/08(月) 21:45:35.93 ID:0vuk0R1+0
凛「……真姫ちゃん」
真姫「なに……?」
凛「このおばちゃんは……?」
真姫「おばちゃんって……」
小声で聞いてくる凛に苦笑を返す。
まぁ、確かに彼女を形容するとしたら、気のいいおばちゃん、なんだろうけど。
青子「あら、そっちの二人は……」
凛「あ、えっと」
花陽「私たち、真姫ちゃんの友達で」
青子「知ってるわよぉ、なんだっけ、スクール……」
花陽「アイドル、です」
青子「そうそう。スクールアイドル! うちの娘も一時期はまって、追っかけてたみたいだから! 凛ちゃんと花陽ちゃんでしょう!」
凛「はい!」
花陽「は、はい」
青子「いやぁ、やっぱり可愛いわねぇ……真姫ちゃんと同い年よね? いやぁ、いいわねぇ! って、あ、そうそう、真姫ちゃん!」
真姫「え、えっと」
青子「前はサインありがとねぇ! うちの娘も喜んでたわよぉ」
真姫「そ、それは秘密にっ///」
青子「あら? そうだったかしら? ごめんなさいねぇ、忘れっぽくて!」
真姫「〜〜〜っ///」
そういうことしたの恥ずかしいから黙っててって言ったのに!!
もう!
口軽すぎよ!
隣をちらりと見ると、凛がニヤニヤしてた。
後でハッ倒す……。
28 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/08(月) 21:58:21.42 ID:0vuk0R1+0
青子「あ、そうそう。ところで、真姫ちゃんは今日はどうしたの?」
一通り話し終えて一段落ついたのか、青子さんはそう切り出した。
って、そうね。
話好きな彼女なら、例の噂について詳しく聞けるかもしれないわ。
真姫「……えぇと、青子さんは……吸血鬼の噂って知ってますか?」
緑先生の様子には多少引っ掛かってはいたけど、とりあえずはストレートに聞いてみる。
というか、彼女にはそう聞いた方がいいだろうし。
青子「あら! 真姫ちゃんも知ってるのね! ま、当然ね、院長先生からも聞いてるんでしょうから」
やっぱり知ってるみたい。
青子さんの言う通り、私もパパから話を聞いた。
院長であるパパが知ってる話だし、それなりに噂されてるってこと。
事実、さっきまでの聞きこみでも知ってる人は多かった。
患者さんでも知ってるみたいだし。
ただ、詳しいことは知らないみたいで、大体の人が吸血鬼が出るって話しかしていなかった。
青子「あら、なに? もしかして?」
花陽「あ、はい! 私たち、こういう活動もしてるんです……」
例の名刺を渡された青子さんは、探偵みたいね、なんて言って、どうやらテンションがあがっているみたい。
生き生きとした様子で、噂について語り出した。
29 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/08(月) 22:07:14.73 ID:0vuk0R1+0
「噂がされ出したのは、そうねぇ、ここ1ヶ月くらいのことよ」
「うちに入院してる小学生の女の子が言い始めたのが始まりね」
「病室に吸血鬼が出た!」
「そう言って、夜、ナースステーションに泣きながら駆け込んできたの」
「その時、私もちょうどいてねぇ」
「……えぇ、どうしてもその子が怯えるもんだから、病室に着いていったのよ」
「私とあと二人で」
「……そう、こんな世の中だから。不審者かもしれないじゃない? だから、念には念をってことでね」
「結論から言うと、そんなのどこにもいなかったわ」
「…………ただ」
「………………床にね、痕があったのよ」
「小さな染み程度だったけど、流石に看護婦やってれば分かるわね。あれはーー」
「ーー血の痕だったわ」
「…………」
「それからね、入院してる患者さんで貧血の症状を訴える人が増えたのは」
30 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/08(月) 22:13:48.27 ID:0vuk0R1+0
青子「それで、患者さんの間でも話題になってね」
青子「患者から血を吸う吸血鬼が出るんだって」
真姫「…………」
花陽「…………なるほど」
青子さんの話を聞いて、花陽が頷いた。
聞きこみの時とあんまり内容は変わらなかったわね。
事の発端が聞けただけいいかしらね。
真姫「…………ありがとうございました。それじゃあーー」
青子「ふふっ、待ちなさいな、真姫ちゃん」
真姫「え?」
青子「これで終わりとでも?」
花陽「! まだなにかあるんですか!!」
真姫「っ」ビクッ
意味ありげな発言に食いつく花陽。
び、ビックリした……。
凛「凛はこっちのかよちんも好きだよ」
真姫「でしょうね」
小声でやり取り。
予想以上の食いつきを見せる花陽を見て、得意気になったようで、青子さんは若干もったいつけながら話を続けた。
31 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/08(月) 22:26:49.23 ID:0vuk0R1+0
「…………貧血の症状になるのは、決まって夜」
「しかも、貧血を訴えた患者さんの病室には、必ず血の痕が残ってるのよ」
「…………聞いた話? いいえ! ちゃんと私はその現場を見てるわよ!」
「と、まぁ、私も現場に遭遇することが多かったからねぇ。ちょっとこの噂について調べてるのよ。おばちゃんの好奇心ってやつね。それで、あることに気がついたの!」
「ふふっ、知りたい?」
「…………花陽ちゃん、反応がいいわね! おばちゃん、そういう子好きよ!」
「いいわ。教えてあげる」
「……実は騒動がある夜には、共通して院内に残ってる人物が何人かいるの」
「夜勤や当直、残業とか院内にいる理由は色々みたいだけど」
「えぇ、私もその一人ね」
「…………こうも貧血の症状を訴える患者さんが多いとね。やっぱり考えちゃうわよ」
「吸血鬼かどうかは置いておくとしてもーー」
「ーー院内に残っている誰かが、患者さんの血を抜き取っているんじゃないかってね」
ーーーーーー
32 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/08(月) 22:28:15.92 ID:0vuk0R1+0
ーーーーーー
33 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/08(月) 22:35:24.92 ID:0vuk0R1+0
ーーーーーー
凛「夜の病院……ワクワクするにゃ!」
花陽「うぅぅぅ……ちょっと怖いよぉ」
真姫「…………」
凛「大丈夫だよ、かよちん」
花陽「凛ちゃん?」
凛「かよちんは凛が守るから」キリッ
花陽「凛ちゃんっ」トゥンク
真姫「…………」
真姫「なにこれ」
夜の病院。
とある空き病室に私たちはいた。
というのも、例の噂について青子さんから聞いた後、花陽が彼女の案、というか推理に同調してしまったことが原因だった。
それを解明する!
そう意気込んだ花陽と今日夜勤あるからという青子さんに押し切られる形で、私はパパに連絡を取った。
こんなバカなことで許可出るわけないわ。
……そんな私の予想は裏切られ……。
真姫「はぁぁ、頭いたい」
凛「大丈夫? 薬もらってくる?」
真姫「…………遠慮しとく」
34 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/08(月) 22:49:56.26 ID:0vuk0R1+0
凛「……ところで、青子さんが話してた例の人たちは今日もいるの?」
真姫「…………あぁ」
凛に訊ねられて、手元のメモを見る。
青子さんから聞いた『騒動のときに院内にいる職員』の一覧だ。
そこには彼女を含めて6人の人物の名前があった。
そのなかには、
花陽「昼間の……緑先生の名前もあるんだね」
真姫「……えぇ」
手元のそれには、緑先生の名前もあった。
それからあの真白って看護師の名前も。
あとは、
凛「黒崎さんに、藤さん、あとは……紅花さん」
花陽「みんな、知ってる人?」
真姫「……まぁ、そうね」
この3人のことは知っていた。
黒崎さんはこの病院の副院長。
パパよりもずっと年上で、パパと同じ心臓外科医。
ただあまりパパのことをよく思ってないみたい。
…………正直私もあまり得意じゃない。
藤さんは2、3年前にこの病院に来た看護師。
にこにこと愛想もよくて、ママ曰くピリピリした空気を和ませてくれる女の子、だそうだ。
たしか、結構若いって聞いた記憶がある。
紅花さんは内科の女医。
所謂エリート街道を進んできた人で、きつい印象の人だったのを覚えてる。
35 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/08(月) 22:53:59.19 ID:0vuk0R1+0
真姫「…………」
凛「真姫ちゃん? どうかした?」
真姫「…………なんでもないわ」
噂について詳しく教えてくれた青子さんの手前言わなかったけれど、正直な話、ここに名前がある人たちがそんなことをするなんて思えない。
患者さんの血を抜き取る、なんて。
そんな意味のないこと……。
第一、メリットがないだろうし。
だから、ここまで付き合ってもらって悪いんだけど……。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
真姫「っ!?」
36 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/08(月) 23:00:27.08 ID:0vuk0R1+0
凛「いまの!!」
花陽「ひ、悲鳴……?」
真姫「っ」
なに?
夜の病院、悲鳴……?
混乱する頭で考える。
何が起こってるの?
まずは当直の先生にーー
凛「いってくる!!」
混乱する私を尻目に、凛が立ち上がった。
真姫「は!? なに言ってるのよ!」
花陽「そ、そうだよ! 凛ちゃん! まずは、えっと、警備員さん?」
真姫「いえ、当直の先生たちに連絡して……」
凛「大丈夫にゃ!」
私と花陽の言葉を遮るように、凛はそう言った。
その手には、
真姫「それ、仮面ライダーの!」
凛「うん、『ロストドライバー』! 念のために、持ってきたんだ」
花陽「もしかして、凛ちゃん……」
凛「『ドーパント』でも吸血鬼でも……凛が倒すから!」
37 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/08(月) 23:03:41.64 ID:0vuk0R1+0
真姫「……くっ」
凛「? どうしたの、真姫ちゃん?」
真姫「不覚にも、凛がかっこよくみえちゃったわ」
凛「不覚にもって!?」
ま、そうね。
凛だけに任せるわけにもいかないわ。
真姫「行くわよ」
凛「え? でも……」
真姫「私を誰だと思ってるの?」
凛「だれって……」
真姫「この病院の次期院長よ!!」
ーーーーーー
38 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/08(月) 23:05:08.94 ID:0vuk0R1+0
本日はここまで。
……風都探偵面白くて困る。
39 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/08(月) 23:40:34.20 ID:kHuXlFSuO
乙乙
話動いたな
続き待ってる
40 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/09(火) 09:49:32.36 ID:fNdVSfIWo
乙期待
41 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/09(火) 18:50:10.11 ID:7fc+xlB70
もう少ししたら少し更新予定。
42 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/09(火) 19:43:26.20 ID:7fc+xlB70
ーーーーーー
真姫「ここよ!」
悲鳴やその後の音を頼りに辿り着いた病室。
そこには、気を失った女性が倒れてて。
窓際。
カーテンが揺れて、ひんやりとした風が入ってくる。
そして、月明かりに照らされて、
『……………………』
『そいつ』は立っていた。
暗くてよく見えないけど、そのフォルムはまさに……。
花陽「き、吸血鬼……!」
『………………』
花陽の声に反応したのか、吸血鬼は花陽の方を向いた。
真姫「っ、凛!」
凛「うんっ!」
凛がそいつに向かって駆け出した。
腰には『ロストドライバー』、手には『ガイアメモリ』。
凛はそのままそいつめがけて跳び、
『サイクロン』
凛「変身っ!」
『サイクロン!!』
ーー バリンッ ーー
窓を突き破って、その場から消えた。
43 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/09(火) 19:51:42.27 ID:7fc+xlB70
真姫「花陽!」
花陽「う、うん!」
真姫「凛のこと追って!」
花陽「真姫ちゃんは!?」
正直、花陽だけを向かわせるのは抵抗がある。
だから、追いかけたい、ところではあるけど。
真姫「…………」
花陽「…………うん」
真姫「ありがと」
視線だけでそれを察してくれた花陽。
すぐに向かうから。
それを聞いて、花陽は病室のドアから出ていった。
真姫「っ」
それを確認してすぐに取りかかる。
目の前の女性。
意識はない。
じゃあ、まずは脈。
…………ある。
それから呼吸も……してる。
……倒れたときに頭を打ったりは……。
真姫「目立った外傷はなさそうだけど……」
これは外見だけでは判断できない。
少なくとも頭部から血は出ている訳じゃないから……。
真姫「…………とりあえずは大丈夫かしら」
……いえ。
安易に判断はできないわ。
ともかく、誰か呼ばないと……!
ーーーーーー
44 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/09(火) 19:52:12.57 ID:7fc+xlB70
ーーーーーー
45 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/09(火) 20:03:47.81 ID:7fc+xlB70
ーーーーーー
サイクロン『ほっ!』スタッ
高いところから着地。
あの病室は三階だから、本来なら死んじゃってもおかしくない高さだけど、仮面ライダーに変身してる今ならなんてことない。
よしっ!
調子いい!
これなら、なんだってかかってこいにゃ!
サイクロン『かかってこい! 吸血ーー ベチャッ ーー
サイクロン『………………え?』
張り切って振り返ると、そこにはなにもいなかった。
…………いや、いた痕跡はある。
吸血鬼が着地したはずのコンクリートは…………。
サイクロン『血まみれ…………』
まるで、何かがそこで潰れてしまったかのように、血の池が広がっている。
これって、もしかして……。
サイクロン『…………さっきの……吸血鬼……?』
46 :
◆6cZRMaO/G6
[sage saga]:2018/01/09(火) 20:12:38.62 ID:7fc+xlB70
それを自覚した瞬間に、感覚が襲ってくる。
鼻を突く鉄の臭い。
暗くても分かる生き物が潰れた赤。
そして、
ーー ベチャッ ーー
サイクロン『っ』
足に感じるぬるりとした水の感触。
これが元は何だったか今となっては分からない。
だけど、今分かるのは……。
サイクロン『凛が……吸血鬼を……殺しーーうっぷっ……」
酷い吐け気を感じて、瞬間、
凛「っ、おぇ……っ……」
視界が戻った。
遮蔽物のなにもないクリアな視界に。
同時に、鼻にくる臭い、鉄の、血の臭い……っ。
凛「っ、はっ、はぁ……」
どうにか、耐える。
前の時、『マネー』ドーパントの時とは全然違う。
メモリをブレイクしたんじゃなくて……相手を殺した感覚。
47 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/09(火) 20:16:54.60 ID:7fc+xlB70
凛「……さいあくにゃ……」
体に力がいまいち入らない。
……これ、ほんとにーー
花陽「凛ちゃん!」
凛「っ、かよち、ん……」
吐き気をどうにか堪えながら、病院のなかからやってくるかよちんを見る。
これ、かよちんが見たら絶体倒れちゃう……。
最初に考えたのはそんなこと。
だから、かよちんに近づかないで、って言おうとしてーー
ーー グチャァァァ ーー
ーー音が聞こえた。
48 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/09(火) 20:19:13.61 ID:7fc+xlB70
凛「っ」
その音に振り返る。
凛の視線の先、あの血の池は無くなっていた。
凛「っ!?」
もう一度、 かよちんの方を向いたとき、
『……………………』
そいつはもう、かよちんの目の前に立っていた。
49 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/09(火) 20:22:37.83 ID:7fc+xlB70
花陽「え……え……?」
凛「かよちんッ!!!」
駆け出す。
かよちんの方に向けてーー。
凛「変身ッ!!!」
『サイクロン!!』
サイクロン『かよちんに近づくなぁぁぁッ!!』ブンッ
『…………ーー ベチャァァ ーー
50 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/09(火) 20:28:36.89 ID:7fc+xlB70
サイクロン『はっ、はぁ……はぁ』
攻撃は命中。
また吸血鬼は血の池に戻った。
花陽「り、りんちゃん……?」
サイクロン『……だい、じょうぶ?』
花陽「う、うんっ」
凛の後ろにいるかよちんに何もないことを確認する。
…………よかった。
けど、また……。
必死に殴った凛の拳は、真っ赤に染まっていた。
たぶん、顔や体にも……この赤はついているはず。
顔のそれを拭おうと、右腕で顔を擦ってーー
ーー グチャ ーー
サイクロン『え!?』
違和感。
拭ったはずのそれが、動いた。
拭った方向とは正反対に動いた。
51 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/09(火) 20:31:15.43 ID:7fc+xlB70
花陽「り、りんちゃんっ!」
サイクロン『くっ、これ……!?』
必死に拭う。
けど、それは思ったように落ちてくれない。
それどころか、その赤は体を覆うようにして広がっていく。
サイクロン『っ、は、ぐっ……』
花陽「え、えっ!? な、なんで、凛ちゃんの体がーー」
花陽「ーー真っ赤になってくのっ!?」
52 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/09(火) 20:35:06.96 ID:7fc+xlB70
まとわりついてくるのが分かる。
ベタ、ベタと気味の悪い音が体を包んでいく。
サイクロン『……こ、これ……いやにゃ……っ』
そして、同時に感じるのは、体から力が抜けていく感覚。
こ、これ……。
サイクロン『まず……い……』
音が耳元まで上がってきた。
視界もだんだん赤に染まって、意識がーー
花陽「凛ちゃんっ!!」
ーーーーーー
53 :
◆6cZRMaO/G6
:2018/01/09(火) 20:36:12.62 ID:7fc+xlB70
ーーーーーー
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