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ギャルゲーMasque:Rade 加蓮√
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1 :
◆TDuorh6/aM
[saga]:2018/01/02(火) 22:23:20.36 ID:w5LZSvi60
これはモバマスssです
かなりの独自設定があります
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1514899399
2 :
◆TDuorh6/aM
[saga]:2018/01/02(火) 22:25:52.29 ID:w5LZSvi60
ピピピピッ、ピピピピッ
P「うぅーん……朝か……」
朝が来てしまった。
何故、朝はくるんだろう。
そもそも、朝が来たら起きなきゃいけないと誰が決めたんだろう。
そうだ、別に朝が来たからって起きなきゃいけないわけじゃない。
もう一眠りしよう。
「おはよー」
……もう一眠りしよう。
「P、寝てるの?」
聞こえない、何も聞こえない。
何か声がしたような気もするが、きっと本の妖精とかだ。
うちは古書店だし、居たっておかしくないだろう。
「……よーし、それじゃ今のうちに顔に落書きを……」
P「待て待て待て!起きてる、起きてるから!」
目を開ければ、目の前にはクレヨンが構えられていた。
俺を絵画にでもするつもりか。
あとなんでクレヨン持ってるんだ、画家志望か。
李衣菜「あ、やっぱり起きてるじゃん。おはよ、P」
ちょっと涙で滲む目を擦れば、制服姿の李衣菜が笑っている。
まったく、こいつはいつも勝手に俺の部屋に……
P「……待てよ?李衣菜が居るって事はもう時間が……」
李衣菜「あ、それなら大丈夫。私もPの朝ご飯に肖りに来ただけだから」
そうか、それなら良かった。
いや、良くない。
よくよく考えれば、なぜこいつはいつも当たり前のように朝食をたかりに来ているんだ。
李衣菜「あと美穂ちゃんも来てるよ。Pがちゃんと起きられるか心配だ、って」
そうか……美穂も起きるの苦手なのに……
李衣菜「あと朝ご飯食べに、だってさ。Pは料理上手いからね」
感動が少し薄れた。
いやまぁ、期待してくれてるのは嬉しいけど。
3 :
◆TDuorh6/aM
[saga]:2018/01/02(火) 22:28:32.74 ID:w5LZSvi60
P「そういえば姉さんは?もう起きてたのか?」
李衣菜「文香さんなら、起きて本の整理してたよ」
それじゃ、さっさと四人分のご飯を作るとしよう。
P「……着替えるから出てくれると嬉しいんだけど」
李衣菜「了解!それじゃー下で待ってるから」
バタン、どんどんどんどん。
李衣菜が降りていった音がする。
さて、俺もさっさと着替えないと。
今日は二年生になって初めての登校日だ。
クラス替えもあるし、そこそこピシッと決めて……
がちゃ
美穂「Pくん。ちゃんと起きてます……か……」
パンツ一丁の状態で、美穂と目が合う。
P「……おはよう、美穂」
美穂「……し、失礼しましたっ!!」
バタンッ!!ドンドンドントン!
……逆だったら嬉しかったのに。
そんなアホなことを考えながら、俺は着替えを終えて一階へと降りた。
4 :
◆TDuorh6/aM
[saga]:2018/01/02(火) 22:29:59.08 ID:w5LZSvi60
文香「おはようございます、P君。さ、はやく朝食の準備をお願いします」
歯を磨いて顔を洗ってリビングへ行くと、文香姉さんが椅子に座って朝食をまだかまだかと待っていた。
従姉妹である文香姉さんが、下宿先としてこの古書店に来て一年。
つまり父さんが家を空けて一年経つわけだけど、そろそろ自分で朝食を作ってくれてもいい気がする。
それを話しちゃったせいで、李衣菜と美穂もうちに来るようになった訳だし。
寮に一人暮らしの美穂は分かるが、なんで李衣菜も……
P「はいはい。適当に卵焼きと味噌汁でいいよな」
美穂「あっ、わたし手伝います!」
そう言う美穂と目が合う。
……顔を赤らめて目を逸らされてしまった。
さっきの光景は早急に忘れて貰わないと。
P「いやいいよ。一応はお客様な訳だし」
李衣菜「あー、折角私も手伝おうと思ってたんだけど、Pがそう言うなら座って待ってようかな」
P「お前は手伝え」
李衣菜「ちょっとちょっと、美穂ちゃんと扱いが違い過ぎない?!」
それはまぁ付き合いの長さもあるし。
美穂と違って、李衣菜とは小学から一緒だからな。
文香「……私は、李衣菜さんの料理も大好きですよ?」
李衣菜「文香さんにそう言われちゃったら、私も頑張るしかないですね」
P「おい、俺と反応が違い過ぎないか?」
そんな会話をしつつ、李衣菜と朝食を作る。
実際、李衣菜もかなり料理がうまい。
いい家庭で育ったんだろうな、確か李衣菜の家ってそこそこ大きかった気もするし。
なんて考えている間に、朝食が完成した。
5 :
◆TDuorh6/aM
[saga]:2018/01/02(火) 22:31:11.94 ID:w5LZSvi60
P「姉さん、食器並べて貰っていい?」
文香「……働かざる者食うべからず。労働を対価とした家族関係、と言うことですね……分かりました」
P「いやそこまで言うつもりはないけどさ……」
時折、文香姉さんが頭良いのか悪いのか分からなくなる。
少なくとも面白い人だと言うことは分かるが。
P「それじゃ」
美穂・李衣菜・文香・P「「いただきます」」
美穂「……美味しいです。Pくんは本当に料理が上手ですね」
李衣菜「うん、美味しいお味噌汁。これなら何処に婿に出しても恥ずかしくないね」
文香「……神に感謝致します」
P「いや俺に感謝してくれよ姉さん……」
わいわいがやがや、楽しい会話を交えつつ朝食をとる。
ほんの一年前だったら信じられない光景だ。
父さんと二人きりの食卓は、大して楽しいものじゃなかったし。
李衣菜「また三人で同じクラスだといいね」
美穂「ですね。折角二人と仲良くなれたんですから」
P「だな。せめてクラスに男子が何人かいるといいんだけど……」
うちの高校は去年から共学になった。
それまでは女子校で、現在もそこまで男子が多い訳じゃない。
去年クラスに男子が一人もいなかった時は良い感じに絶望した。
俺はなんでこの高校を選んでしまったんだろう、と。
まぁ自分の学力的に丁度なレベルだったし、李衣菜もいたからなんとかなったけど。
6 :
◆TDuorh6/aM
[saga]:2018/01/02(火) 22:32:03.68 ID:w5LZSvi60
文香「……さて、すみません。私はそろそろ大学に向かいますので……」
P「食器は洗っとくからいいよ、姉さん」
文香「では、お言葉に甘えて」
文香姉さんが食器を流しに置いて、荷物を取りに自室へと消えてゆく。
李衣菜「それにしても、ほんと文香さん綺麗だよね。Pも良かったじゃん、あんな綺麗な人と二人で暮らせるなんて」
P「最初は驚いたけどな。まぁ一人で暮らすよりは楽しいよ、古書店も今は姉さんありきだし」
美穂「あっ、のんびりしてるけど時間大丈夫ですか?」
李衣菜「あ、あと10分くらいで出ないとまずいかも」
P「んじゃ、片付けは俺がやっとくから」
李衣菜「……P、あの時計合ってる?」
P「確か10分くらい遅れてるぞ」
美穂・李衣菜「……」
P「……はよ行け。俺は走ってくから」
李衣菜「サンキュー!また学校で!」
美穂「Pくん、このお礼は必ずしますからっ!」
どたどたと二人が荷物を持って出て行く。
さて、俺もさっさと片付けて家を出ないと。
7 :
◆TDuorh6/aM
[saga]:2018/01/02(火) 22:33:08.36 ID:w5LZSvi60
P「はっ、はっ、ふぅ」
普通に時間がまずい事になっていた。
多分このペースで走ればギリギリ間に合うだろうが、新学年一日目に息を切らして教室にはいるのはそれなりに恥ずかしい。
これでまた女子しかいなくて李衣菜と美穂と別クラスだったら、今年一年俺の居場所はあるだろうか。
いざとなったら、また道で困っていた女の子を助けて遅れた事にしよう。
ドンッ!!
P「うわっ!」
「きゃっ?!」
なんて考えながら走っていたら、右から出てきた女の子にぶつかってしまった。
お互いバランスを崩し、その場に尻餅を着く。
運が悪い事に、女の子のカバンから荷物がばらまかれてしまっていた。
……よし、丁度いい。
遅刻の言い訳が出来た。
P「ごめんっ!大丈夫?」
彼女の荷物をパパッと集めて渡しながら、尻餅をついたままの彼女に手を差し伸べる。
それにしても、まさかこんな漫画みたいな出来事があるなんて。
今年一年で、なんか運命的なサムシングがあるといいなぁ。
「だ、大丈夫です……うふふっ」
どうやら女の子の方も怪我は無さそうだ。
制服を見れば、うちと同じ高校生。
見た目的に同学年だろうか。
8 :
◆TDuorh6/aM
[saga]:2018/01/02(火) 22:35:15.52 ID:w5LZSvi60
P「ノートとか折れてないといいんだけど」
「大丈夫だと思いますよ。ありがとうございました」
P「にしても……同じ高校だよね?時間大丈夫?」
「はい、狙い通りですよぉ」
狙い通り、とはどういう事だろうか。
彼女もまた遅刻の理由を作りたがっていたのだろうか。
まぁともかく。俺も彼女も遅刻は確定だろうし、のんびり向かうとしよう。
P「君は何年生?」
「まゆは二年生です。貴方も、ですよね?」
P「ん、俺の事知ってるの?」
「何度か見かけた事はあります。そもそも、男子生徒が少ない学校ですから」
P「それもそっか。名前聞いてもいい?俺は鷺沢」
まゆ「鷺沢さん……私は、佐久間まゆです。末永くよろしくお願いしますね?」
佐久間さんとおしゃべりしながら、のんびり学校に向かう。
こんな可愛い女の子と登校とか夢みたいだ。確かうちの学校はリボンとか禁止だけど。
9 :
◆TDuorh6/aM
[saga]:2018/01/02(火) 22:36:43.50 ID:w5LZSvi60
P「去年は何か部活とかやってたの?」
まゆ「いえ。まゆは読モをやってるんです」
まじか、強い。
怪我させなくて本当に良かったと内心ため息をつく。
モデルさんに怪我させたらどうなってしまってたんだろう。
代わりに俺が読モをやる事になっていたんだろうか。
まゆ「鷺沢さんは、何かやってるんですか?」
P「俺は家の仕事の手伝いがあったから。うち古書店なんだ」
まゆ「古書店……素敵です」
P「っと、そろそろ着くか。折角だし同じクラスになれると俺としては嬉しいんだけど」
まゆ「ですねぇ。まゆも、鷺沢さんともっと仲良くなりたいです」
結局、俺は校門で生活指導の先生に怒られた。
言い訳しようとしたが、別にそんなの関係なく遅刻は遅刻だった。
佐久間さんは上手く躱している。
そして、クラス分けのプリントを受け取る。
P「……よしっ!!」
二年B組の欄に、自分の名前と李衣菜と美穂と佐久間さんの名前を見つける。
まゆ「同じクラスでしたね。まゆ、嬉しいです」
P「改めて、今年一年よろしくな」
まゆ「はい」
10 :
◆TDuorh6/aM
[saga]:2018/01/02(火) 22:38:27.00 ID:w5LZSvi60
李衣菜「やったじゃん、P。今年度もよろしくね」
美穂「よろしくお願いします、Pくん」
まゆ「……彼女達は……?」
P「去年からのクラスメイト。佐久間さんの前の席が小日向美穂で、なんか元気そうなのが多田李衣菜」
まゆ「私は佐久間まゆです。よろしくお願いしますね?」
李衣菜「……P、この短時間で遅刻しながらナンパしてたの?」
美穂「わぁ、可愛い……」
まゆ「ふふっ……まゆは、 鷺沢さんと運命的な出逢いを……席まで隣だなんて……」
P「担任は……千川先生か。文化祭はまた黒字確定だな」
時刻は8時30分。
既に教室の席は殆ど埋まっていた。
やっぱり全員女子だった、つらい。
女子が多いのは嬉しいけど限度がある、俺は三毛猫かよ。
ガラガラ
教室の全員の目が、開いたドアの方に集中する。
智絵里「す、すみません……遅刻しちゃいました……」
入って来たのは、先生ではなく女子生徒だった。
男子生徒だったら嬉しかったのに。
P「……ん、緒方さんか。まだ先生来てないから大丈夫だよ」
智絵里「……はい……」
遅刻してきたのは、緒方さんだった。
そんなに喋った事はないが、去年も同じクラスだったから苗字だけは覚えている。
そのまま視線を集めてしまった事に恥ずかしそうになりながら、緒方さんは俺の右側の席に着いた。
11 :
◆TDuorh6/aM
[saga]:2018/01/02(火) 22:39:56.71 ID:w5LZSvi60
再び、教室のドアが開く。
ちひろ「おはようございます、B組のみなさん。今年一年あなた達の担任になった千川ちひろです。よろしくお願いしますね?」
両手を合わせて、可愛らしく挨拶する千川先生。
教室からちらほらとお願いしまーすの声が上がる。
ちひろ「それでは、早速体育館に向かいましょうか。校長先生のありがたいお言葉を聞きに行きます」
李衣菜「放送で済ませてくれればいいんですけどねー」
ちひろ「それは教員一同もきっと同じ気持ちで……ごほんっ!さ、早く廊下に並んで下さい」
P「あー、また俺が男子一人だから一番前かー……」
ちひろ「あ、鷺沢君は始業式が終わったらお話があります」
なんでさ。
P「え、遅刻者への処罰ですかっ?!」
ちひろ「……初日から遅刻したんですか?」
P「……千川先生、俺は今日先生より早く教室に居ましたよ」
ちひろ「私は今日、鷺沢君より早くこの学校に居ましたが」
P「お勤めご苦労様です」
ちひろ「……と、まぁ遅刻は関係ないお話ですから。貴方に心当たりさえなければ、特に何かの注意という訳ではありません」
そう言われても、なんとなく緊張してしまう。
唐突にこの学校を女子校に戻すから性転換しろとかだったらどうしよう。
俺はまだ男子でいたいのに。
ちひろ「では、静かに歩いて下さいね」
P「千川先生、歩くって漢字は少し止まるって書くらしいですよ」
ちひろ「その謎知識は今必要でしたか?」
美穂「し、静という漢字は青を争うですねっ!」
ちひろ「貴女は何を争ってるんですか?早く体育館に向かって下さい!」
12 :
◆TDuorh6/aM
[saga]:2018/01/02(火) 22:41:06.45 ID:w5LZSvi60
美城校長のながったらしいポエミーな話を終え、教室に戻る。
そのまま教科書やプリント等を配布して、今日は終わりとなった。
クラスのみんなが帰って行く。
美穂と李衣菜は、二人でお昼を食べに行くらしい。
P「……で、俺は何を謝ればいいんでしょうか……」
ちひろ「その必要はありません。寧ろ、お願いをするのは此方なので」
……やっぱり性転換しろ、だろうか。
流石に断りたいが。
ちひろ「このあと、まだ時間はありますか?」
P「まぁ、はい。夕方までに帰れれば問題はありませんが」
ちひろ「そのですね……北条加蓮さんはご存知ですか?」
P「……確か、窓際の列の真ん中らへんの……それが何か?」
ちひろ「彼女、少し身体が弱くて去年一年殆ど学校に来れてないんです」
P「……それは……」
そう言えば、去年の一学期は教室の一席がずっと空席だった気がする。
その席も二学期からは消えていたが。
確かに、それは全員がいる前ではし辛い話だ。
ちひろ「なので、教室の案内や何か困ってる時は彼女をサポートしてあげて欲しいんです」
そして、唯一の男子である俺に頼んできた理由もなんとなく分かる。
女子に頼むなんて、かなりリスキーだからな。
P「構いませんよ」
ちひろ「では、今から早速お願いします」
P「え、今からですか」
がらがら、と一人の女子生徒が入ってくる。
恐らく彼女が北条さんなんだろう。
加蓮「……よろしく、お願いします」
P「……あぁ」
……目がめちゃくちゃ怖い。
いや頼んでないんだけど?と目が語っている。
13 :
◆TDuorh6/aM
[saga]:2018/01/02(火) 22:42:22.52 ID:w5LZSvi60
P「……取り敢えず、授業で使う教室を案内するから」
千川先生は既に教室からいなくなっていた。
もんの凄く居心地が悪い状態で、北条さんと廊下へ出る。
P「えっと、体育で着替える時は女子はA組の教室を使う事になってるから」
加蓮「アタシどうせ体育は参加できないんだけどね」
早速心が折れそうだった。
P「んで、この丁度一個下が保健室になってる」
加蓮「知ってる、常連だったから」
保健室マイスターかな?
加蓮「結局、そもそも登校すら出来なくなっちゃってたけど」
口にしなくてよかった。
と言うか北条さん、俺の想像以上に身体が弱いらしい。
そのままコンピュータールームや化学室など、半分くらいの教室を案内する。
面白いくらい会話はなかった。
P「さて、次は……」
加蓮「あ、アタシ定期検診の時間だから。さよなら」
そう言って、北条さんは帰っていった。
俺は一人、食堂前に立ちすくむ。
……これは確かに、他の女子に頼まなくて正解ですよ千川先生。
P「……何か食べて帰ろ」
食堂の営業時間は終わっていた。
14 :
◆TDuorh6/aM
[saga]:2018/01/02(火) 22:43:25.13 ID:w5LZSvi60
P「ん、佐久間さんじゃん。まだ帰って無かったの?」
まゆ「あ、鷺沢さん。お疲れ様です」
校門を出ると、佐久間さんが立っていた。
まゆ「折角ですから、一緒にお昼ご飯食べに行きませんか?」
P「ん、いいよ。近くのファミレスとかにする?」
まゆ「まゆは構いません。それでは、行きましょうか」
歩いて5分くらいの距離のファミレスへ向かう。
まゆ「ふふっ、デートみたいですね」
P「だな」
桜並木の下校道を、読モやってる女の子と並んで歩けるなんて。
……これ、料金発生したりしないだろうか。
ファミレスに入った瞬間にとんでもない額を請求されたらどうしよう。
手持ちで足りるといいんだけど。
ピポピポピポーン
ファミレスに入り、四人席に二人で着く。
請求書は出て来なかった、良かった。
P「佐久間さんは決まった?」
まゆ「まゆの心は既に決まっていますよぉ」
ファミレスのメニューにかなりの拘りを持った女の子なのだろうか。
P「メニュー見なくていいの?」
まゆ「下調べは鷺沢さんを待ってる間に済ませてありますから」
ファミレスのメニューを下調べしちゃう系女子なのか。
15 :
◆TDuorh6/aM
[saga]:2018/01/02(火) 22:44:58.46 ID:w5LZSvi60
ピンポーン。
P「すみません、ペペロンチーノひとつ」
まゆ「それとミラノ風グラタンをひとつでお願いします」
店員「かしこまりましたー」
待っている間に、佐久間さんと色々話す。
P「去年確かそっちのクラスって体育祭1位だったよな」
まゆ「はい、まゆはあまり走るのは得意ではないですけど」
言ってはアレだがなんとなく想像通りだ。
まゆ「……想像通り、って顔してますよ?」
P「え、あ、そんな事ないよ!あれでしょ?走るのは得意じゃないけど障害物リレーは得意的なやつでしょ?!」
まゆ「確かに、まゆは障害物を取り除くのは得意ですよぉ。まゆのこと、よく分かってくれてるんですね。嬉しいです」
障害物リレーは障害物を取り除く競技だっただろうか。
障害物リレーは出場してなかったから知らなかった。
まゆ「鷺沢さんは運動は得意なんですよね?」
P「まぁそこそこね。人並みには動けると思うけど」
まゆ「今は、従姉妹の鷺沢文香さんと二人暮らしなんですね」
P「うん、父さんは一年前から『全国巡って古書集めてくる』って言って旅してる……らしい」
16 :
◆TDuorh6/aM
[saga]:2018/01/02(火) 22:46:19.55 ID:w5LZSvi60
まゆ「普段は李衣菜ちゃんや美穂ちゃんと行動してて、特に李衣菜ちゃんとは小学校からの付き合いなんですよね」
P「佐久間さん副業で探偵とかやってるの?」
まゆ「名探偵佐久間……響きは悪くありませんが、外れです。まゆも、もうあのお二人ともう友達なんですよ」
P「俺が言うのはなんか変だけど、あいつらと仲良くしてくれると嬉しいな」
まゆ「ふふっ、もちろんです」
俺も、早速新しい友達が出来て良かった。
二年生にもなると既にグループ的な物が出来上がってるし、元クラスメイト以外に話し掛けるの難しいからなぁ。
俺以外全員女子だし特に。
店員「お待たせしましたー。ペペロンチーノとミラノ風グラタンになります」
P「お、きたきた」
まゆ「鷺沢さんは、ペペロンチーノが好きなんですかぁ?」
P「うん」
あと安いから。
とは、女の子の手前口にはしないけど。
楽しく食事をして、支払いは此方に任せて貰った。
まゆ「明日からもよろしくお願いしますね?」
P「あぁ。それじゃまた明日、佐久間さん」
まゆ「呼び捨てでもいいんですよ?」
P「んじゃ、佐久間で」
まゆ「まゆでお願いします」
P「そっち呼び捨てってなんか恥ずかしくない?」
まゆ「美穂ちゃんや李衣菜ちゃんは呼び捨てですよね?」
P「付き合い長いってのもあるけど……じゃ、また明日な、まゆ」
まゆ「……ふふっ。またね、Pさん」
17 :
◆TDuorh6/aM
[saga]:2018/01/02(火) 22:48:20.85 ID:w5LZSvi60
家に帰ると、店が開いていた。
文香姉さんはもう帰って来ているようだ。
P「ただいまー」
文香「お帰りなさい、P君。お客さんが来てますよ」
誰だろう。
文香姉さんが名前を言わないと言うことは、李衣菜でも美穂でもないんだろう。
だとすると誰だ?
他に俺に客なんて来るだろうか。
……なんだか哀しくなってきた。
レジを抜けてリビングへ行くと、うちの制服を着た子が座っていた。
智絵里「あ……えっと……こんにちは、鷺沢くん」
P「ん、緒方さんじゃん。何かあった?忘れ物届けに来てくれたとか?」
智絵里「その……すー……ふぅー……」
そのまま大きく深呼吸。
なんだろう、彼女を怒らせるような事をしてしまっていただろうか。
だとしたら、きちんと謝らないと。
智絵里「あの……っ!わ、わたしと……つ、付き合って下さい!」
P「ごめんなさい!」
智絵里「え……ぁ……」
P「あ、えぇっとごめん!なんか悪い事しちゃってたのかなって!えっと、付き合う……?」
智絵里「その……わたしと、付き合って下さい……って、告白……」
え、付き合って、という告白?
それとも告白に付き合って、という事だろうか。
頭に大量の疑問符を浮かべる。
18 :
◆TDuorh6/aM
[saga]:2018/01/02(火) 22:49:52.75 ID:w5LZSvi60
智絵里「……の、練習に……です」
俺の理解力の無さに呆れたのか、緒方さんは悲しそうな表情をした。
智絵里「……はぁ……」
P「なるほど。告白の練習ね」
泣いてはいない。
告白の練習、うん、確かに大事だとは思う。
確かにうちの高校は男子が少ないし、そんな事を頼める相手は限られているだろう。
ただし、頼まれた方の精神状況は考えないものとする。
P「構わないよ。うん、全く構わない」
智絵里「やった……えっと、なら……今週の金曜日に、6時間目が終わったら……屋上に来て下さい」
P「了解、必ず付き合うよ」
智絵里「……えへへ……」
P「あ、折角わざわざ来てもらっちゃったんだし何かお菓子でも」
智絵里「い、いえ……大丈夫、です。そこまでして貰わなくても……」
文香「……お話は、済みましたでしょうか……」
P「ん、どうしたの姉さん」
文香「丁度叔父さんから荷物が届けられたので、手伝って頂こうと……お邪魔してしまった様ですね」
智絵里「い、いえ。わたしは直ぐに帰りますから」
P「そっか。それじゃまた明日ね、緒方さん」
智絵里「はい……っ!」
そう言って、緒方さんは帰っていった。
さて、それじゃ俺は父さんから送られて来た本を運ばないと。
19 :
◆TDuorh6/aM
[saga]:2018/01/02(火) 22:51:10.36 ID:w5LZSvi60
李衣菜「やっぱり学年上がりたては良いよね、授業無くて」
美穂「帰ってお昼寝出来る時間で終わるからね」
P「お疲れー、また明日な」
翌日も、授業説明等で午前中で終わった。
李衣菜「Pはこの後予定ある?」
美穂「Pくんも一緒にお昼ご飯どうですか?」
P「あ、悪い。ちょっと用事があるんだ」
李衣菜「そっかー、それじゃ行こっか。美穂ちゃんは何食べる?」
美穂「あ、それなら新しくできたカフェが気になってて……」
皆んなが教室を出ていった後、北条さんの元へ向かう。
物凄い仏頂面でスマホを弄っていた。
校舎内はスマホの使用禁止だぞ、と言える雰囲気ではない。
P「昨日案内できなかったとこ、案内するから」
加蓮「……行かなくて良かったの?折角の女の子からのお誘いだったのに」
P「先生から頼まれてるから」
加蓮「……ふーん」
そのまま、無言でついてくる北条さんを連れてプールや別の校舎を案内する。
P「あと科学はクラス分かれてて、多分北条さんは出席番号的にこっちの教室使うことになってると思うから」
加蓮「……」
P「……あと、この廊下の突き当たりが図書室。多分古文とか漢文やるとき使うことになるんじゃないかな」
加蓮「……本、ね。入院中にずっと読んでたかな」
空気が、重い。
20 :
◆TDuorh6/aM
[saga]:2018/01/02(火) 22:52:07.34 ID:w5LZSvi60
P「……北条さん、本は今もよく読むのか?」
加蓮「は?別に今そんな事どうでもよくない?」
……怖い。
年頃の娘を持った父親は毎日これに耐えているのだろうか。
そんなことで睨まなくてもいいんじゃないかなあ。
P「いや、俺の家が古書店だからさ。もしよかったら図書室にない本もあるし、と思って」
加蓮「へー、古書店ね……」
……お?
なんだかここから話を広げられる気がする。
加蓮「でもま、今はあんまり読めてない。一年生の時の分の復習もあるし」
P「そっか。まぁなんか読みたくなったら来てくれよ。うちの図書室は貸し出し2冊までだし」
加蓮「……なんていうか、アレだね鷺沢は」
P「バカとでも言いたいのか?残念ながら大正解だぞ」
加蓮「自覚はあるんだ」
P「自覚ある意識高い系由緒正しいバカだ。そんじょそこらのバカとは一緒にするなよ」
加蓮「……ほんと、珍しいタイプのバカだね」
P「昼飯はどうする?ここの食堂結構美味しいぞ」
加蓮「ううん、いいや。アタシ今日も検診あるから」
P「そっか。んじゃまた明日な」
加蓮「……うん、また明日」
21 :
◆TDuorh6/aM
[saga]:2018/01/02(火) 22:53:51.01 ID:w5LZSvi60
さて、まだ14時前だが正直そんなにお腹は空いていない。
夕飯の食材買って家で読書でもしてようか。
李衣菜「あれ、Pじゃん。何してるの?」
美穂「あ、もう用事は済んだんですか?」
P「ん、李衣菜に美穂か。用事終わったから買い物して帰ろうかなって」
李衣菜「だったら、一緒にゲームセンターでも行かない?」
美穂「さっきUFOキャッチャー1回無料券を貰ったんで、挑戦しに行くところなんです」
P「あ、ならそうしようかな。急いでるわけでもないし」
李衣菜と美穂に連れられ、三人でゲームセンターに向かう。
李衣菜「最近は案外三人で遊びに行く事なかったからね」
P「春休みは色々忙しかったからな。美穂も実家に戻ってたし」
美穂「すみません、わたしが居なかったせいで寂しい思いをさせちゃって……」
李衣菜「私達はペットか何かなの?!」
P「そんな深刻そうに俯かれると本気でそう思われてそう感でて辛いなぁ!」
美穂「ふふ、冗談です。わたしが居ない間に、二人きりで沢山春を満喫出来てましたもんね?」
李衣菜「美穂ちゃん美穂ちゃん、なんかキャラ違くない?」
P「でもま、満面の笑顔だし良しとしよう」
美穂「そうです、一々俯いてなんていられません!上を向いて歩こう対決です!」
李衣菜「歩きスマホ禁止を謳っていく!」
P「仰向きになれば最強だな!」
李衣菜「Pは仰向きで歩けるの?!」
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