唯「バイバイ、さん きゅ〜♪」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

28 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 00:27:01.20 ID:TaOAbahR0

唯「…………私は、ヤだ」

澪「ちょ、唯!?」

紬「……唯ちゃん?」




唯「…………」



紬「…………」
29 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 00:27:56.62 ID:TaOAbahR0

唯「勝手だよ、こんなの!」




唯「……ごめんね。ムギちゃん」

律「唯?」

梓「唯センパイ??」




唯「……うまく、言えないケド」

唯「……私は、自分の部屋に戻ってるよ」

紬「……唯ちゃん」
30 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 00:28:48.75 ID:TaOAbahR0

唯「見送りとかも、行かないから」

紬「…………」



唯「じゃあね、バイバイ。さよならムギちゃん」


バタン!!

紬「……唯ちゃん」
31 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 00:29:57.68 ID:TaOAbahR0

晶「行っちゃった」

菖「ちょ、いいのか? 唯のやつアレで?」


律「あー、大丈夫でしょ。唯がいると荷物まとめももたつきそうだし」

澪「見送りとかも、どうせ寂しくなって自分から来るだろうしな」

梓「ですです」

幸「あー、ありそう」



律「よっしゃ、じゃぁちゃちゃっと夜逃げ……いや、駆け落ち応援隊スタートといきますか!」



みんな「おー」
32 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 00:30:57.65 ID:TaOAbahR0

【午後11時51分 N女子大 寮の門前】


ビッビー♪

律「おお、道路の向こう側で待ってる車が、そうだな?」

紬「うん。あの人の車」

澪「しかし、結構時間ギリギリだったな」

梓「はい。荷物まとめ間に合って良かったです」
33 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 00:31:44.38 ID:TaOAbahR0

晶「それじゃムギ、元気で!」

幸「今までありがとう」

菖「体に気をつけて」

紬「恩那組のみんな……」


澪「ムギ、彼氏さんと幸せにな。万一ツラいなら、いつでも戻ってこい!」

紬「澪ちゃん!」
34 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 00:32:53.51 ID:TaOAbahR0

律「梓ならともかく、ムギなら問題ないとは思うが、元気に子を生めよ!」

律「そんで赤ん坊の写真を年賀状にして送ってくれ!!」


梓「律センパイ! セクハラです! まぁ年賀状は私も見てみたいですが……」


紬「ふふふ。りっちゃんに梓ちゃん。そうするわ」



澪「それからコレ、みんなからのカンパ。気持ち程度だが、受け取ってくれ」

紬「……ありがとう。何から何まで、本当にアリガトウ」



澪「……時間だな」
35 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 00:33:53.93 ID:TaOAbahR0

晶「おい、大事なヤツが居ないけど、いいのかよ」

律「や、唯ならそこら辺の木陰にでも居て、こっちを見てるだろ」


ガサゴソ

唯「……」ジー



律「ほら居た」
36 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 00:35:05.35 ID:TaOAbahR0

梓「ほら唯センパイ、こっちに来て!

梓「さぁ、お別れの挨拶ですよ!」

唯「あわわ、引っ張らないでよ、あずにゃん!」

梓「ほら早く!」


唯「わわっ」


ズルッ

ビターン!
37 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 00:36:06.13 ID:TaOAbahR0

澪「…………こけた」

梓「す、すみません」

唯「あいたたた」



紬「ちょっと、唯ちゃん大丈夫?」

唯「うぅ、ムギちゃぁん……」
38 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 00:36:57.36 ID:TaOAbahR0

唯「ムギちゃぁぁん……」

紬「どうしたの? 唯ちゃん?」



唯「いやだ。寂しいよ。どこにも行かないでよ。ムギちゃん!」



紬「……唯ちゃん」


唯「こんなに急にお別れを言われるなんて」


唯「いやだ。嫌だよ。あんなにずーっと一緒だったのに、あんまりだよ!」


紬「……」



唯「ヒッグ、エッグ…………」


唯「うぇえええええぇぇぇぇぇぇぇえぇぇぇぇぇ」

紬「ゆ、唯ちゃん」
39 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 00:38:48.20 ID:TaOAbahR0

唯「うぅぅ……」


グシグシッ!

唯「……ねぇ、ムギぢゃん?」

紬「……なぁに?」


唯「ムギちゃんの為に、私ができることって、何かないがなぁ?」

紬「唯ちゃんが、できること……」


唯「私は、大切なムギちゃんのピンチに、大事なお別れの時間に、」

唯「遠くから見てるだけで、何もしてあげられなかった……」
40 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 00:39:41.49 ID:TaOAbahR0

唯「このままお別れするだけとか、辛すぎるからさぁ……」

唯「ここから、私ができることって、ないがなぁ……?」グスッ


紬「唯ちゃん」


唯「できることなら、何でもするから…………!」
41 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 00:40:45.30 ID:TaOAbahR0

紬「じゃぁ、じゃぁね!」

唯「……」

紬「それじゃぁ唯ちゃんは、」

唯「……」





紬「唯ちゃんは、歌い続けてよ!」
42 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 00:42:10.96 ID:TaOAbahR0

唯「歌い、続ける?」

紬「えぇ!」


紬「私ね。唯ちゃんの歌声が大好きなの!」

唯「私の、歌声?」

紬「そっ!」
43 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 00:42:50.63 ID:TaOAbahR0

紬「温かくて、ふわふわしてて、幸せそうに歌う声が響くと」

紬「聴いてる私も、なんだか幸せな気分になってきちゃう、」

紬「そんな唯ちゃんの歌声が、私は大好きで、何度だって聞きたくなるの!」


唯「……」


唯「……い、いやぁ///」テレテレ
44 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 00:43:50.88 ID:TaOAbahR0

紬「……私は、ここでお別れすることになっちゃったけれど」

唯「……ムギちゃん!」


紬「唯ちゃんが歌ってくれるなら、いつの日かきっと、」


紬「それを目印にして、唯ちゃんに、会いにいくから……」

唯「……うん!」
45 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 00:45:47.06 ID:TaOAbahR0

唯「私、歌う。歌い続けるよ」

紬「唯ちゃん……」


唯「ここでお別れだとしても、サヨナラだとしても」

唯「いつかまた、みんなが戻ってこれる、」


唯「この前のキャンプファイヤーみたいな、真っ暗な夜を、遠くまで照らすような」


唯「そんな歌を、そんな歌っていくよ……!」
46 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 00:48:35.26 ID:TaOAbahR0

紬「……すぐには無理だけど」


紬「もし、唯ちゃんの歌声が、この耳に聞こえたなら、」

紬「私はどこにいても、唯ちゃんを抱き締めに飛んで行くわ!」


唯「うん。そんな日が来るのを、待ってる!」

紬「きっと。約束ね!」
47 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 00:49:40.59 ID:TaOAbahR0

「バイバイ」

「また会おうね」


こうしてムギちゃんは、私たちから旅立ちました






けれど、それから今まで、私はムギちゃんに会うことができていません。

そして、『歌い続ける』って約束も、守れていません
48 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 00:50:34.33 ID:TaOAbahR0

……というのも



唯(21)「えっ、海外発の、百年に一度の大不況!?」

唯(21)「どこかに勤めないと、趣味で音楽もできない世の中か……」

唯(21)「うぅ、働かなきゃなのに、就職活動の仕方とか、ゼンゼン分かんないよー」


唯(22)「お、御社の志望動機は……、自己PRは……」

唯(22)「ふぇぇ、またお祈りメールだぁ……」

唯(22)「はぁ、どこにも就職できず、大学を卒業かぁ……」
49 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 00:52:25.27 ID:TaOAbahR0

唯(23)「こんな私でも雇ってくれる会社があった、一生懸命働きます!」

唯(23)「仕事量が多過ぎて、ギー太を弾く暇もないよ……」

唯(23)「ええっ、会社が倒産するかも!? 入ったばっかなのに!」


唯(24)「ま、まさか勤め先が外資系企業に買われるとは」

唯(24)「海外転勤できるなら再雇用……できないならクビ…………」

唯(24)「ここ辞めると就職できる気がしないし、受け入れよう」
50 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 00:53:14.38 ID:TaOAbahR0

唯(25)「今日からここロンドン支社に出向し、お世話になる平沢唯です!よろしくお願いします!」

唯(25)「……まさかこんな形でここに戻ってくるとは」

唯(25)「卒業旅行で来たメンバーとは、今は離ればなれだけど……」


唯(26)「営業成績が『A』! ありがとうございます!」

唯(26)「こう見えても、やれば100点を取れる子なのです!」

唯(26)「はい、これからもロンドンでがんばります!」

唯(26)「……本当は、帰りたいけれど」
51 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 00:55:23.30 ID:TaOAbahR0

唯(27)「メアリー先輩。今までご指導ありがとうございました。お達者で!」

唯(27)「ジョン君は転職かー。新しい職場でも頑張ってね!」

唯(27)「……どうしよう。仕事量は増えてくのに、人は減っていく」


唯(28)「……………………」

唯(28)「はっ!? 寝てたっ!!!」

唯(28)「うー、3日も徹夜なのに、まだ仕事が終わらないよ〜」

唯(28)「日本に戻れたはいいけれど、余計に重労働になっちった……」
52 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 00:57:23.56 ID:TaOAbahR0

唯(29)「……つらい、つらいよ。眠れない」

唯(29)「どこまで頑張っても、休める気が、終わりが来る気がしない」


唯(29)「あぁ……」



唯(29)「帰りたい。楽しかった、あの日々に……」
53 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 00:59:45.09 ID:TaOAbahR0

PRRRRR


唯(29)「もしもし? あ、お母さん!」

唯(29)「お見合い? ええっ、私に?? ……うんうん」

唯(29)「そんな、急だよ」




唯(29)「…………うん。でも、お願いしよっかな」



唯(29)「私はもう、ここに居たくはないから……」
54 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 01:00:51.11 ID:TaOAbahR0

こうして、私は結婚し主婦になり、一児の母にもなりました



その後も、色々とあったけど


違うようで同じ、同じようで少しづつ違ってく、繰り返す毎日


家事をこなして、家族の面倒を見て

パートに通い、暇潰しにネットを見て、夜は眠る
55 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 01:02:38.77 ID:TaOAbahR0

レコードみたいに、巡りゆく朝と夜

私のものの筈だった人生は、少しずつ少しずつ、サラサラと世界に溶け込んでいく



何年も何年も、大切な約束を守れずに

若い頃に見てた夢も忘れてしまって

いつかあった私の形が、塩の柱みたいに崩れていって


自分が、かつて何者だったか分からなくなるほどの時間がたって




そうして、今に至ります



ただ生きる。生きるために、今日を、毎日を生きてます
56 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 01:07:16.73 ID:TaOAbahR0

【そして、とある未来】

【午前9時01分】






唯(45)「おーい、朝だよ〜」

唯の息子(15)「う〜ん……zzz」
57 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 01:08:28.28 ID:TaOAbahR0

唯「ほら、こーちゃん。今日は大事な日なんじゃないの?」

子「うん……? 大事な日…………」ムニャムニャ


子「あ、やべ! 今日はデートじゃん!」

唯「ほら、さっさと起きる!」


子「うわわわ!」
58 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 01:09:25.69 ID:TaOAbahR0

子「っていうか、イマ何時?!」

唯「9時を少し回ったとこ」

子「よかった、セーフ……」ホッ

唯「でもでも、準備があるから余裕はないよ」

唯「まずは顔洗って、ボサボサ頭を整えて、朝ごはんを食べちゃって!」

子「おー」
59 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 01:10:23.89 ID:TaOAbahR0

唯「お、来た来た。遅いよ〜!」

子「やー、なかなかセットが決まんなくて」

唯「まったく。この子はモー……」


唯「ホラ、ごはん用意したげたから、さっさとする!」

子「サンキュー、母ちゃん! いただきまーす!」
60 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 01:11:31.79 ID:TaOAbahR0

子「うめー」モグモグ

唯「うふふふ」


唯「ねーねー、こーちゃん?」

子「ん、何?」


唯「今日のデート相手って、確か同じバンドのベース少女ちゃんだっけ?」

子「や、何べん言わすんだよ。同じ部の先輩。3年生で、担当はドラム!」

唯「あー、そっかそっか。そーだった!」




唯「ねーねー。因みにどんなコ? かわいい??」

子「う、うん。めっちゃいい人だし、すっげーカワイイひと、だよ///」

唯「ほほー、いいですなぁ……///」
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/01(月) 01:13:21.74 ID:TaOAbahR0

唯「ねーねー。今日のデートだけどさぁ……」

子「?」

唯「その、母ちゃんも、一緒に同伴しちゃ、ダメかな???」

子「…………絶体ダメ! なにいってんだアンタ!!」


唯「だったら、こっそり尾行しつつ、記念のビデオ撮影とか…………」

子「……カンベンしてくれよ。付いてくんな!」シッシッ

唯「ヴー、けち〜」

子「まったく……」
62 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 01:14:02.70 ID:TaOAbahR0

唯「しかしまー、感慨深いなー」

子「えっ、何が?」


唯「私の子も、自分と同じく高校から軽音部入ってバンド組んだとか。やっぱ遺伝だなーって」

子「……まぁ軽音部っていうか、あれだけど」


子「…………なぁ母ちゃん?」

唯「んー?」
63 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 01:15:18.76 ID:TaOAbahR0

子「その、母ちゃんも昔バンドしてたって言うけど、それは本当の話なん?」

唯「ほんとほんと、大マジだよ〜」

子「え〜」

唯「『え〜』とはなにか(怒)」


子「だってさ、母ちゃんがバンドしてた風とか、練習頑張ってた様には思えねーもん」
64 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 01:16:29.57 ID:TaOAbahR0

唯「このー、言うようになったね〜」


唯「あれだよ、こー見えても母ちゃんは、若いときは凄腕バンドマンだったのだからっ」エッヘン!

子「……例えば、どのくらい?」

唯「デビュー曲が、ニ○ニコ動画ランキングで1位取ったり!」

子「……えぇぇ」


唯「文化祭のライブでも、母ちゃん達の演奏を聴きに、めちゃめちゃ人が集まったり……」

子「……んん、どのくらい??」

唯「……ご、五十万人くらい、だったと思う!」

子「それは、ウソでしょ?」

唯「…………すみません、これは嘘でした」
65 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 01:17:36.10 ID:TaOAbahR0

唯「やー、でもね。練習とかは毎日やってたんだから!ほんと!!」

子「へー」


唯「放課後に毎日集まって、みんなで一時間くらい……」

子「一時間くらい……?」

唯「……お茶会をしたり!」

子「……お茶会!?」
66 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 01:18:46.81 ID:TaOAbahR0

唯「その後みんなでまた、一時間くらい、お喋りしたり!」

子「お喋り!??」


唯「そんでそんで、それから練習をね、ちょっとやってた!」

子「……」


唯「……あー何か『そこはもっと練習しようよ』とか思ってるでしょ!」

子「……ん、まぁ少し」

唯「ふーんだ!」
67 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 01:20:00.08 ID:TaOAbahR0

唯「いいんだよ。私たちは楽しい一時を過ごせてたんだから!」

子「うん、まぁね。楽しいのが何より」


唯「……ちなみに、こーちゃんはバンドとか、楽しい?」

子「あ、俺? うん。スッゲー、楽しいよ!」


子「先輩も仲間も、みんないい人でさ。ケンカしたりもするけれど」

唯「うんうん」


子「それでも自分のやりたい事に挑戦できて、上手くいって、」

子「でも本当に本当に大事なトコは、思った通りにはならなくて」

唯「ほうほう」
68 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 01:20:58.41 ID:TaOAbahR0

子「大変な事も多いけど、まぁそれでも、あの場所で、あの皆と頑張っていきたいって、思ってる」

唯「おー、いいね〜。私とはゼンゼン違うけど、青春そのものだね〜」


唯「ふふふ。いいことだよー。そんな素敵な場所と、出会えた人達を、大切にしてね!」

子「……あぁ」

唯「きっと、きっとね!」
69 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 01:22:38.26 ID:TaOAbahR0

唯「自分が望む場所で頑張れたって思い出と、一緒に過ごした仲間との思い出は、」

唯「この先ずっと、自分を支えてくれる、人生の宝物になるから……」

子「……かーちゃん、いいこと言うなぁ」




唯「あー、でも楽しいコトだけじゃ駄目だよ〜」

子「うん?」

唯「しっかり勉強もして、将来できたら、お堅い職業に就きなさい!」

子「あぁ、分かってるよ〜」
70 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 01:24:24.14 ID:TaOAbahR0

唯「ま、とにかく今日のデート頑張って!」

子「おっと、そろそろ出発の時間だな」



唯「それじゃ、あーゆーれでぃ?」

子「いえっさー!」



唯「服装や髪形!?」

子「バッチリ!」


唯「ハンカチにティッシュ!?」

子「ポケットに!」


唯「デートプランは!?」

子「一週間、練りに練った計画と、そのメモ帳!」サッ

唯「よろしい!」
71 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 01:25:27.67 ID:TaOAbahR0

唯「最後に、お財布と携帯は?」

子「どっちもココに……って、ああヤベー!」

唯「どしたの?」

子「ケータイの充電が、もう10%もない!」


唯「また!? 寝る前に充電しときなさいって言ったじゃん!」

子「ああああ、どーしよー」

唯「まったくモー、この子ったらホント残念系男子なんだから」ヤレヤレ

子「……母ちゃんには言われたくねーよ」
72 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 01:26:45.90 ID:TaOAbahR0

子「まぁいいや。充電なくても問題ないっしょ」


唯「あれ、もう行くの?」


子「あぁ、帰りはあんまり遅くなんねー様にするから!」


唯「はいはい。気をつけてね。いってらっしゃーい!」ノシ

子「行ってきまーす!」ノシ


ガチャッ バタン!

タッタッタッタッタッ♪



唯(ふふふ、楽しそうな足音を鳴らして走ってった♪)

唯(……さてさて)

唯(それじゃ、私も出掛けますか〜)
73 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 01:28:03.82 ID:TaOAbahR0

【駅前・待ち合わせ場所】

子(ちょっと、早く来すぎたかな……?)






ガサゴソ

唯(ふふふ、植え込みの陰から、コッソリ観察……)
74 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 01:29:50.22 ID:TaOAbahR0

唯(いやー、あの子には来るなって言われたケド、)

唯(こればっかりは、譲れないなー。デートの様子見!)

唯(……将来、ウチにお嫁にくるコかもしんないし♪)

唯(途中までなら、付いてっても、バチは当たらないよ、ね???)



ガサゴソ

唯(確かデート相手って、いい人でカワイイ、同じ部で3年生の先輩らしいけど)

唯(どんなコだろうなー、楽しみだなー)ワクワク





子「き……緊張する……」ドキドキ
75 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 01:30:58.90 ID:TaOAbahR0

美少女「おまたせ〜。待った?」

子「!」





ガサゴソ

唯「ふ、ふおおおおおお!」
76 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 01:32:10.40 ID:TaOAbahR0

子「先輩……その、今日も一段とカワイイっす!」

美少女「そ、そぉ?」


子「今日はよろしくお願いしま〜す!」ドゲザー

美少女「あ、や、こちらこそ!」


美少女「男の子と出掛けるなんてあんまりないから、ちょっと服とかも考えちゃったけど」

美少女「よかった〜、へへー」クルッ




コソコソ

唯「……」


唯(あ、あの美少女が、デート相手の先輩!?)

唯(ふわっとした金色の長い髪、年上なのに小さくって……!)

唯(なんていうか、こう。お人形さんみたい!メッチャかわいい!!!)
77 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 01:33:39.20 ID:TaOAbahR0

子「オレもいろいろプラン立てました! 頑張りますよ〜!!」

子「映画でも、遊園地でも!!」

美少女(張り切ってる……)


子「まずは……映画か……」

美少女(あんまり、寝てないのかな……)


子「えーと、そうすると…………」

美少女(ホント……いつも一生懸命でかわいいなぁ……)クスッ


美少女「一緒ならドコでもいいよ、お任せする!」

子「ハ……ハイッ!」


コソコソ

唯「……」
78 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 01:34:47.47 ID:TaOAbahR0

唯(あ、あんな美少女さんを捕まえられるなんて……)

唯(我が息子ながら、おそろしいコ!)



子「映画、まだ時間ありますね〜」

美少女「どうする?」

子「あ、ゲーセン!」




唯(お、移動するみたい)

唯(私もついてこ)コソコソ
79 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 01:35:50.52 ID:TaOAbahR0

J( 'ー`)し「……」





J( 'ー`)し「……」コソコソ
80 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 01:37:22.67 ID:TaOAbahR0

【ゲームセンター】


美少女「UFOキャッチャー、いける?」

子「任せてください!」


ウィーン ウィーン!


ガシャガシャ! ガシッ♪


美少女「お……お……!」

ウィーン……ガタン♪

2人「やったー!」

子「やりました〜!」


子「センパイ!どうぞ!!」

美少女「ありがとう! 大事にするね!」
81 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 01:38:10.25 ID:TaOAbahR0

唯(……おお、今のはポイント高いよ)

唯(ぐっじょぶ!)







J( 'ー`)し「……」


J( 'ー`)し b
82 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 01:39:36.45 ID:TaOAbahR0

【洋服屋】

子「センパーイ! このワンピースとかどうすか!?」

美少女「ほほぅ……」


〜試着〜


ワンピース少女「フムフム、どうかね?」

子「先輩!いいっす!! 」

子「あ、こっちも」


〜試着〜

ボーイッシュ少女「こんなのは?」

子「先輩いいいっっす!」

子「ああ、アレもいい!」

ボーイッシュ少女「え、まだやるの?」
83 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 01:40:27.53 ID:TaOAbahR0

〜試着〜

着ぐるみ少女「……」

着ぐるみ少女「なにコレ?」

子「先輩いいいいひゃっっほいいいいい!」




〜着替え〜

美少女「……あのさ、服着てりゃ何でもよかったのかい?」

子「無くてもいいぐらいっす!」

美少女「それはやだよ……;」

美少女(わかってたけどバカなんだな……この子は…………)
84 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 01:41:23.94 ID:TaOAbahR0

唯(うぅぅ)

唯(バカなコに育てちゃってごめんね、美少女ちゃん)






J(;'ー`)し「……」
85 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 01:42:34.10 ID:TaOAbahR0

子「あ、そうこうしてるウチに映画の時間がマズイ!」

美少女「よし、ならダッシュだ!付いてこい!」

子「はいっ!」

タッタッタッタッタッ♪


唯(私も追跡!)

タッタッタッタッタッ!


J( 'ー`)し「……」

タッタッタッタッタッタ
86 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 01:43:56.30 ID:TaOAbahR0

【映画館、受け付け】


子「えっと、高校生2枚ください!」

スタッフ「はい、こちらになります」

美少女「どうも〜」





唯「えっと、さっき息子が、いや高校生カップルが買ったのと、同じ映画のチケットを!」

スタッフ「は、はぁ………」




J( 'ー`)し「あの…………」

スタッフ「???」
87 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 01:44:52.06 ID:TaOAbahR0

〜 上映中 〜



美少女「やー、面白いね〜」

子「はいっ、めちゃめちゃ良い映画っす!」



唯(……ふわぁぁ。いけない、難しくて半分くらい寝ちゃってるよ)



J( 'ー`)し「……」ワクワク
88 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 01:46:52.96 ID:TaOAbahR0

【上映後】


子「楽しかった〜」

美少女「次は〜」



唯(おー、和気あいあいで、いいね〜)




J( 'ー`)し「……」






 そうして、2人のデートは進んでいきました
89 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 01:47:55.96 ID:TaOAbahR0

【夕方】



唯(いやー、順調順調!)


子「人、増えてきましたねー」

美少女「……うん」

子「次、楽器屋でもいきます?」

美少女「……」

子「先輩?」



唯(む?)

唯(……この流れは!)
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/01(月) 01:49:15.09 ID:TaOAbahR0

美少女「あのさ」

美少女「キミはさ、3年生であるボクが……」

美少女「引退して部からいなくなったら……寂しい?」

子「そ、」



子「そんなの寂しいに決まってます!」

子「というか、オレは……!」


子「オレは…………!!」

美少女「……」


美少女「ねぇ……どこかでお話ししない?」

子「え」
91 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 01:50:56.80 ID:TaOAbahR0

美少女「何が好き、とか……」



美少女「家族の話とか……」


美少女「どういう風に育ってきた、とか……」



美少女「お互いの知らなかったこととか……」

美少女「いっぱい話そう///」

子「……………………はい!」
92 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 01:53:00.91 ID:TaOAbahR0
コソコソ

唯(ははーん、これは)




唯(…………)




唯(オチたね、これは!)グッ
93 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 01:55:03.57 ID:TaOAbahR0

唯(…………)


唯(……よし、じゃぁ私はもう帰ろうか)



唯(お夕飯の仕度もあるし、)


唯(これ以上2人を追いかけ回すのは、悪いよね)



唯(この後は何事もなく、)


唯(デートの最後に告白して、付き合い始める……)



唯(そんなパターンでしょ、間違いない!)キリッ!


唯(それじゃ、お邪魔な母ちゃんは撤退〜!)テクテク
94 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 01:56:31.86 ID:TaOAbahR0

J( 'ー`)し「……」




J( 'ー`)し(……がんばって!)




J( 'ー`)し b
95 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 01:58:08.12 ID:TaOAbahR0

【駅前】



唯(と、帰る前に、ちょっと休憩!)

唯(駅前のベンチに、どっこいしょ!)ドスン♪


唯(いやー、思いの外歩き回ったなー)

唯(若いコはホント元気だわ〜)



唯(あのコたち今頃、何してるかなー?)

唯(もう告白とかしちゃってたりして!?)キャー///


唯(ふふふ〜)


唯(もし二人が上手くいって、付き合うとか、お嫁にくるとかだったら、大賛成!)
96 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 01:59:04.81 ID:TaOAbahR0

唯(いいコみたいだし、抱き締めたくなるほどカワイイし!)

唯(ほんとにお人形さんみたいだったよね〜)

唯(私がこどもの時に一緒に遊んだ、大事なお人形に、ソックリ!)



唯(…………んん?)



唯(待って、私はそういう人形とかは、持ってなかった様な気も?)

唯(あれ、じゃぁ何と勘違いしてるんだろう??)

唯(…………)

唯(金色の、ふわっとした長い髪)



唯(んん。分からないけれど、)

唯(あのコを見てると、なぜだか、懐かしい気分になるんだよね〜)

唯(なんでだろ??)
97 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 02:00:24.73 ID:TaOAbahR0

J( 'ー`)し(……)テクテクテク


J( 'ー`)し(……アラ?)




J( 'ー`)し(あそこで座ってる人、昔、どっかで見たような???)
98 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 02:02:05.14 ID:TaOAbahR0

唯(……んん。まぁ、いいや)





唯(きっとこの後、あの二人は平穏なハッピーエンド迎えるんだろうなぁ……)

唯(それで二人、気の合う仲間たちと共に、キラキラした人生を歩んでいく……!)


唯(親元を離れ、自分の行きたい方向へ、自分たちの力で進んでく……!)


唯(そういうのって、いいよね。本当に青春!)
99 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 02:04:16.48 ID:TaOAbahR0

唯(…………)


唯(それに引き換え、大人になったのに、私は散々だなー)



唯(家族サービスはあんまりだけど、家庭を守ろうと仕事熱心な旦那がいてくれるのは、ありがたいことだし

、)

唯(息子の成長してく姿や、いつか家族が増えるかもってのは、ワクワクしちゃうけど……)
100 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 02:06:30.74 ID:TaOAbahR0

唯(それでも私は、私自身は、)


唯(もう、何もできない人間になっちゃった気がするなぁ……)




唯(……この後の人生は、味気ないものになっちゃいそう)


唯(まるで、砂や錆びだらけの、草も生えない不毛な大地を……)


唯(目的もなく、いく宛もなく、乗り物もなく、ゆっくりお婆ちゃんになりながら、)



唯(ただただ、1人裸足で、歩き続けちゃうみたいな)
101 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 02:09:05.08 ID:TaOAbahR0

唯(得意なことも、別にない。好きなことも、できてない……)


唯(家事とかも、そこまで上手くできる訳じゃなし……)

唯(パートのお仕事も、社員さんの言われた指示を聞いてるだけ……)


唯(もし結婚に逃げたりせずに、お仕事を頑張り続けてたり……!)

唯(大学でも、もっと勉強や就職活動をちゃんとしてたり……!!)

唯(バンドとかも、もっともっと一生懸命やり続けてれば…………!!!)




唯(今頃は、アイドルみたいに、キラキラ輝けてる、そんな人生を送れていたかなぁ?)
102 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 02:10:07.30 ID:TaOAbahR0

唯(…………ううん)



唯(いけない、こんな暗いことを考えちゃうのは良くないね!)


唯(そうだ! こういう時は、気分が明るくなって、元気の出る歌を唄っちゃおう!)

唯(鼻唄で! そう、『ふわふわ時間』を!!)



唯(たしか出だしは……えーと)


唯(思い出した! よーし! 久しぶりに歌うぞ〜)
103 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 02:11:36.09 ID:TaOAbahR0

唯「 〜 ♪ 」

J( 'ー`)し「!!?」ピクッ







唯「 〜 ♪♪ 」

J( 'ー`)し「!!!!!!」
104 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 02:12:44.21 ID:TaOAbahR0

J( 'ー`)し「あ、あぁ…………!」


唯「〜♪」

唯「…………」


唯「…………??」


唯「あれ、2番の出だしはどんなだっけ?」

唯「…………」

唯「もう歌うことも、ギター弾くこともないから、忘れちった……」

唯「とほほほ……」


J( 'ー`)し「うぅぅ、うぅぅぅ」タッタッタッタ!
105 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 02:14:16.28 ID:TaOAbahR0

J( 'ー`)し「唯ちゃん!」


唯「ほえっ!?」


ガバッ!

むぎゅぅぅぅぅぅぅぅ

唯「あわわわわえあわ!?」


唯(い、いきなり見知らぬ人に抱きつかれた!?)

J( 'ー`)し「うぅ……」

唯「ど、どうしたの? アナタ誰? 何があったの??」

J( 'ー`)し「ごめんね、ごめんね。唯ちゃん、ようやく出会えた……」


唯「えっ??」
106 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 02:15:58.34 ID:TaOAbahR0

J( 'ー`)し「あ、これじゃ分からないわよね、変装してるし」

唯「ええっ?」


J( 'ー`)し「こんな姿だけれど……」



J( 'ー`)し「私はムギよ。旧姓、琴吹紬。久しぶりね、唯ちゃん!」


唯「……………………」




唯「どぅええええええええ!!???」
107 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 02:17:18.44 ID:TaOAbahR0

【喫茶店】

紬「それじゃ、再会を記念してかんぱーい!」

唯「か、かんぱーい! カプチーノだけど」


紬「うふふふ〜」

唯「…………」
108 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 02:18:23.60 ID:TaOAbahR0

唯「いやー、まさかムギちゃんと会うことになるとは、ビックリだ!」

紬「うんうん、私もビックリ!」


唯「ところで、カーチャン……じゃなくて、ムギちゃんは、さっきまで何してたの?」

紬「あっ、えっと……その、内緒にしてほしいんだけど、」

唯「ふむふむ」

紬「娘が、同じ部の後輩とデートするって言うから、気になってコッソリ追跡を…………///」

唯「…………ほぇ」
109 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 02:20:13.15 ID:TaOAbahR0

紬「相手もちょっと心配なトコあるけど、素敵な男の子で、」

紬「映画見たり、デートもいい雰囲気みたいで一安心だわ〜」



唯「…………え、えーと」

唯「ね、ねぇ。ムギちゃん?」

紬「なぁに?」



唯「その娘さんが見た映画って、もしかして、このチケットのヤツ?」

ガサゴソ

紬「あっ、それそれ! 唯ちゃんもこの映画を観に行ってたんだ!」

唯「…………あ、いや、実はね」


唯「その、私も息子が先輩とデートするって言うから、気になって追跡を…………」

紬「へー、そうなんだ。奇遇ね〜」



唯「…………」

紬「えっ」


えええええええええええ
110 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 02:22:58.93 ID:TaOAbahR0

唯「ま、まさかさっきの美少女ちゃんが、ムギちゃんの娘とは…………」

紬「そんな、美少女なんて/// ほんと家ではお転婆で困っちゃうもの……///」


紬「それにしても、唯ちゃんがあの素敵な男の子のお母さんだったなんて……凄い運命よね、奇跡みたい!」

唯「まぁ、ちょっとおバカなトコあるけど、いいヤツですよ。自慢の息子です!」エッヘン!

紬「うふふ〜」

唯「それに、思わぬ形で、ムギちゃんと引き合わせてくれて、圧倒的感謝!!」

紬「ほんとほんと!」
111 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 02:23:43.56 ID:TaOAbahR0

紬「ね、ねぇ唯ちゃん、最近はどう?」

唯「最近?」

紬「お仕事とか、趣味とか。それにやりたい事とか、ある?」

唯「んーとねー」


唯「お仕事は、近所のお店でパートしてるよ〜」

紬「ふんふん」

唯「趣味とかも、家事とかで忙しいし、空いた時間でネット見るくらいかな……」

紬「へー」
112 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 02:32:15.91 ID:TaOAbahR0

唯「そんでね、動画サイトとかで、よくバンドとか個人創作の音楽とか観てるんだけど、」

唯「おなじみの、原点にして頂点みたいな人達だけじゃなく、」

唯「埋もれてるけど、『もっと評価されるべき』みたいな人や曲がたくさんあるんだ〜!」

紬「うん……??」


唯「そういうのに、スポットライトを当てるような、まとめサイトとかを作りたいかなーって」

紬「おー……??」


唯「…………まぁでも、私はパソコンとか詳しくないし、既にそういう事してる人やサイトもあるし、」

唯「何より時間もなくて、私じゃできそうにないケド、エヘヘ……」

紬「そっちの方面はよく分からないけれど、いろいろあるみたいね〜」
113 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 02:33:07.60 ID:TaOAbahR0

唯「ムギちゃんは? どんな感じ?」

紬「私?」

唯「お仕事とかはしてるの?」

紬「う、うん。ちょっと、会社をしてます……!」


唯「会社してるって、社長さんなの!? す、すごい!!!」

紬「えへへへ////」



唯「流石はムギちゃん、すごい! すごいよムギちゃん!!」


紬「色々と、大変だったんだけど……」

紬「最近ようやく、余裕がでてきたの!」
114 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 02:35:34.70 ID:TaOAbahR0

紬「ねぇ唯ちゃん!」

唯「なぁにムギちゃん?」



紬「さっき歌ってくれて、ありがとね」

紬「歌ってくれたから、唯ちゃんに気づけた。また出会えた!!」


唯「いや、そんな……」




紬「さっぱり連絡取れなかったのに、ここで会えたのも、きっと何かの縁、」

紬「単刀直入に、お願いしたいの!」

唯「……ふぇ?」
115 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 02:36:35.84 ID:TaOAbahR0

紬「昔みたいに、私たちと、りっちゃん、澪ちゃん、梓ちゃんで集まって」

紬「またバンドを、復活できないかしら!!!?」









唯「…………………!!!!!」
116 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 02:37:49.70 ID:TaOAbahR0

それから……

【スーパー】

唯「えっと、今日のごはんは、おかずは〜」


唯「……しかし、バンド復活か〜」



『他のメンバーとは、ちょくちょく連絡とってたの!』

『みんなバラバラの地方にいて、中々会えないけれど』

『唯ちゃんも含め、もう一回、みんなで集まりたいなって』


唯「…………むむむ」
117 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 02:39:08.92 ID:TaOAbahR0

唯「まさか、この年になって、バンドに誘われるとわ…………」


唯「体力とか、若いときより全然ないし、ギー太も、実家のドコに仕舞ったっけ?」

唯「コードとかも忘れちゃってるぽいし、」

唯「そもそも、今じゃギー太を持ち上げることも、できるかなぁ…………??」
118 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 02:41:14.89 ID:TaOAbahR0

ミクさん『ラララ〜♪』

唯「お!」ピクッ



ミクさん『ララララ〜♪』

唯「おお、このスーパーのBGM、ミクさんだ!」

ミクさん『ラー♪』




唯「はぁ……ミクさんは凄いよね。私がバンドし始めた頃から、今まで」

唯「みんなから愛されて、ずっとずっと、歌い続けてる!」
119 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 02:42:19.29 ID:TaOAbahR0

唯「……もし、」

唯「もし私もバンド再開させたら、あの頃みたいな人気が、出るかなぁ…………」

唯「ミクさんと同じくらいの、すごい勢いあった……!」



ミクさん『ラーララー♪』



唯「うん」


唯「よし、決めた!」
120 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 02:43:32.21 ID:TaOAbahR0

PRRRR



やっほー、ムギちゃん。唯だよ〜


えっと、今日はありがとね。私もムギちゃんに会えてよかった!


それでね、バンドの件なんだけどさ。


うん、またやってみようかなって


えへへへ
121 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 02:45:31.03 ID:TaOAbahR0

そーそー。昔みたいに、甘いケーキを囲んで


みんなでお茶会して、お喋りして、バンドをするの!


もうオバサンで、小皺とかも目立つから、

ピチピチだった頃みたいな、人気はでないだろうけどさ……




それでもまた、みんなで集まって

素敵な演奏が、できたらいいなって


…………うん。うん

そうだよね。そーなんだよ。
122 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 02:46:52.57 ID:TaOAbahR0

やっぱさ、私の場所は、あそこだったと思うんだ〜



今はもう、家族もできて、生活するのが大変で


私たちも世の中も、あの頃とは姿が全然違ってて


望んだ場所は、すっごく遠ざかっちゃったけど
123 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 02:48:10.87 ID:TaOAbahR0

それでも、待っててくれるカモしんない人に向けて


私たちを知らない人や、忘れちゃった人にも向けて


何より、私たちが満足できるような演奏を、


上手くいくか分からないけど



そう、もういっかいでもいいから、してみたいなって!
124 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 02:49:17.53 ID:TaOAbahR0

えへへ


もしかすると、またたどり着くには、


おばあちゃんになるまで掛かっちゃうかもだけど……



でもね。また歩んでいくの



自分の足で、自分の意志で

みんなと一緒に、ちょっとずつでも♪


望んだ場所で、私も、好きな歌を歌い続けるために!
125 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 02:51:40.71 ID:TaOAbahR0

それじゃ、今日はありがとう


誘ってくれて、嬉しかったよ



うん、じゃぁ、また会おうね







バイバイ、さん きゅ〜♪
126 :1 [sage saga]:2018/01/01(月) 03:00:10.95 ID:TaOAbahR0

あとがき!

・衰退がテーマの某曲を聴いて、思い浮かんだSSだった

・いや、あれで衰退と言われるのなら、けいおん!や、このSS界隈はどうなるんや!? (´;ω;`)


・だいたい、言いたいことは作中に。1作品があっても解決することはなく、インフラとかから変えないと無理


・曲ネタ、音楽系ネタを入れたけど、気づいて欲しいような、スルーして欲しいような……


・けいおんアニメ3期! まだ待ってます!


・大変なことも多いけど、また1年頑張っていきましょう!


・お読み頂き、ありがとうございました!
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/01(月) 05:15:43.03 ID:BQ5yuiU8O
乙でした
…俺も三期は観たいけど…きららファンタジアにすら居ないからなぁ…
50.68 KB Speed:0   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)