【ミリマス】超ビーチバレー!妄想シナリオ【TB支援】

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1 : ◆1jlBak9bN. [saga]:2017/12/30(土) 20:45:47.06 ID:3+mCysQD0
ミリオンライブ!の投票企画TBのシナリオを妄想したものです。

配役は

新入生: 春日未来

先輩: 高山紗代子

キング: ロコ

右腕クイーン: 望月杏奈

同級生: 所恵美

で書いています。(話の都合で6人目が少しだけ出演しています)

次からはじまります

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1514634346
2 : ◆1jlBak9bN. :2017/12/30(土) 20:49:22.74 ID:3+mCysQD0
〜春のある日。ビーチバレーの名門校の校門に一人の少女が立っている〜

未来「校門を抜けるとそこは一面の砂浜でした!」

未来「すっごーい! 本当にビーチしかない! さすがビーチバレーの超名門76高! 緊張してきた……大丈夫かな、この水着似合ってるかな」

恵美「おんやぁ〜、こんなに新鮮な反応をしてるってことは高校からの外部組かな?」

未来「あ、はい! 初めまして、今日入学する新入生の春日未来です! もしかして先パイですか?」
3 : ◆1jlBak9bN. :2017/12/30(土) 20:51:32.32 ID:3+mCysQD0
恵美「いんや、アタシも同学年だよ? ま、内部進学だけど。アタシ所恵美、よろしくね未来!」

未来「よろしく恵美ちゃん! うわぁ、高校生ともなると同学年の子でも大人びてるなあ、水着もなんだかセクシーだし」

恵美「ちょっとぉ、じっと見られると恥ずいって〜」

未来「ふふ……ねえ恵美ちゃん、76高は日本で一番ビーチバレーが強いんだよね?」

恵美「え、そだよ。なんせここではすべてがビーチバレー中心で回ってるからね。プロ志望の人間もたくさん集まってるし」

恵美「まあ……人口が多い分アタシみたいにたいして上手くない人間も混ざってるんだけどさ。アタシは選手のデータ収集のほうが得意なんだ」
4 : ◆1jlBak9bN. [sage saga]:2017/12/30(土) 20:59:37.29 ID:3+mCysQD0
恵美「未来もプロ志望じゃないの? ここに入るくらいだし」

未来「うーん、私は……わかんない! 中学ではテニス部と陸上部とソフト部と生物部だったから」

恵美「4つ掛け持ちしてたってこと? やるぅ〜」

未来「だからプロとか実感がわかないけど、目標はあるんだ。76高で一番の選手になるの! それでそれを友達に連絡する!」

未来「お、こんなところに丁度ボールが落ちてる。よーっし、じゃあ76高のてっぺん目指しての第一サーブ! 打っちゃいますか! いくぞー! せーの」

紗代子「ちょっとそこのあなた!」
5 : ◆1jlBak9bN. [sage saga]:2017/12/30(土) 21:02:19.41 ID:3+mCysQD0
未来「うわっとと……。どうしよう、私かな」

紗代子「そうよ、今まさにサーブを打とうとしていたあなた! 見ない顔だけどどういうつもり、そのボールは」

未来「え?」

紗代子「汚れたまま手入れもしていないし、ガムまで付いて!」

未来「えと……あー、本当ですね、裏にガムが付いてました」

紗代子「気づかないくらい普段からそんな状態で使っているっていうの? 呆れてものも言えないわ」

恵美「あちゃー、面倒な人に見つかっちゃったかもよ。未来、耳貸して」

未来「恵美ちゃん」
6 : ◆1jlBak9bN. [sage saga]:2017/12/30(土) 21:04:16.12 ID:3+mCysQD0
恵美「この人は3年の高山紗代子先輩。第5ビーチバレー部の部長やってる人。校内でも実力は指折りなんだけど、指導もマナーも厳しくて有名なんだ」

恵美「熱血指導に耐えられなくて次々と部員たちが辞めていっちゃってさ。今では第5の部員は部長一人だけってウワサ」

恵美「最近はその熱血のやり場がなくてさらに荒れてるって聞くから、勘違いって説明してもなかなか放してくれないかもよ」

未来「えー⁉」

紗代子「2人とも、なにをこそこそ話しているの! ボールの乱れは心の乱れ、やっぱりボールの扱いが悪い子は心まで濁っていくのね」

未来「高山先パイ、違うんです私たち」

紗代子「言い訳までするつもり? 私そういうの許せない! いいわ、ここでまとめて私が指導しなおしてあげる!」
7 : ◆1jlBak9bN. [sage saga]:2017/12/30(土) 21:18:12.86 ID:3+mCysQD0
〜校門からあるいてすぐの場所にあるコートにて〜

紗代子「いい!? 私がサーブを打ち込むからあなたたちはレシーブ、トス、アタックでこちらに返すのよ」

紗代子「10球中1球でも返せたら合格よ。第5ビーチバレー部に入れてあげるわ!」

紗代子「そして! もし1球も返せなかったら第5ビーチバレー部に入れて性根から叩き直してあげる!」

恵美「えーん、どっちにしても入部させる気じゃん〜……。高山先輩、正気なのか正気じゃないのかぜんっぜん分からないいいいい」

未来「私ももうわけがわからないよー!」
8 : ◆1jlBak9bN. [sage saga]:2017/12/30(土) 21:22:24.14 ID:3+mCysQD0
未来「……でも、この試練も通れないようじゃ76高のトップなんて目指せないよね」

未来「受けて立ちます、高山先パイ!」

紗代子「その意気やよし! いくよ! ”サマートリップゴールデンフィッシュ”!!」

未来「っ! サーブされたボールが炎をまとって真っ赤な金魚のように……! しかも軌道が……途中で跳ねる⁉」

未来「そんな……一歩も動けなかった」

恵美「出たァー! #高山熱血ビーチバレー紗代子先輩の”サマートリップゴールデンフィッシュ”!!」

恵美「瑠璃色金魚がなんぼのもんじゃいミリオンの初代金魚アイドルは私じゃ私じゃ! と言わんばかりの気合を感じるよー!」
9 : ◆1jlBak9bN. [sage saga]:2017/12/30(土) 21:34:28.55 ID:3+mCysQD0
紗代子「どう? これが私の一つ目の必殺サーブよ。そしてこれがふたつ目! ”マイフェイバリットアニマルハリコ”!!」

未来「こ、これは……! ボールがトゲ付き鉄球のようなスピードと威力に⁉ 軌道は読めるけど……止められない!」

恵美「たっはー! これが高山先輩の”マイフェイバリットアニマルハリコ”! 自分のペットの名前を叫んでいるだけと見せて威力は強烈ゥー! そのギャップがたまらない!」

未来「恵美ちゃん、大丈夫?」

恵美「あ、うんごめん」

紗代子「その程度なの? あまりがっかりさせないで頂戴」

紗代子「緊張感を上げるためにルールを変えましょう。次の1球で最後よ。これで決めなさい!」

紗代子「”サマートリップゴールデンフィッシュ”!!」
10 : ◆1jlBak9bN. [sage saga]:2017/12/30(土) 21:41:03.85 ID:3+mCysQD0
恵美「来た! どうするの⁉」

未来「そんなの。拾うしかない!」

未来「手はあるよ。高山先パイの球は金魚のように跳ねる弾道を描く。つまり金魚すくいの要領で動けばレシーブできる!」

恵美「なるほど!」

未来「右か左か……跳ねた方向に合わせてみせる!」

未来「お母さんが天ぷらを揚げるときを思い出して……大丈夫、天ぷらを揚げるのもレシーブを上げるのも大した違いはないはず」
11 : ◆1jlBak9bN. [sage saga]:2017/12/30(土) 21:42:15.20 ID:3+mCysQD0
未来「曲がった! 右……今だ!」

未来「”天ぷらレシーバー”!!」

恵美「レシーブが揚がった、じゃない上がった!」

恵美「と、トス……! 変な方向に……ごめん来ると思ってなかったから!」

未来「任せて! テニス部で鍛えたダッシュで追いついて……アタック!」

紗代子「“バーニングファイアーブロック”!!」

未来・恵美「「ええー⁉」」
12 : ◆1jlBak9bN. [sage saga]:2017/12/30(土) 21:43:59.77 ID:3+mCysQD0
紗代子「決まったわね」

未来「なんでブロックするんですか!」

紗代子「ブロックしないなんて言ってないわよ」

紗代子「現実のバレーでブロックがないとでも思うの?」

未来「そうですけど〜」

恵美「高山先輩、変な理屈つけてるけどぜったい負けたくないだけだよー……」

紗代子「言い訳は聞きたくないわ。さあ、2人とも第5ビーチバレー部に入部するのよ!」

未来・恵美「「はーい……」」
13 : ◆1jlBak9bN. [sage saga]:2017/12/30(土) 21:51:57.75 ID:3+mCysQD0
いったんここまでです。
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/30(土) 22:02:23.75 ID:A06mJ3av0
ったんおつ
1〜4はでてくるのかな
15 : ◆1jlBak9bN. [sage saga]:2017/12/31(日) 11:45:59.53 ID:PHthGtU10
部活の数字を増やしたのは「たくさんビーチバレー部があるんですよー」と説明する目的でしか正直考えてなかったんですが
みんな数字を強調した話し方をしちゃってるんでそうですよね……
なんとか出せるように頑張ります
16 : ◆1jlBak9bN. [saga]:2018/01/01(月) 17:51:58.02 ID:BYkUpTmA0
〜数分後〜

紗代子「え、やだ。ボールは私の勘違いだったの!? ごめんなさい……うぅ、恥ずかしい……」

〜突如コートの外から歓声が上がる。未来たち3人には事態が呑み込めない〜

未来「この騒ぎはなに⁉」

女生徒「キングよ! キングロコさまがいらしたわ!」

未来「え、キングって」

恵美「76高で一番強い選手だよ!」

未来「……!」
17 : ◆1jlBak9bN. [sage saga]:2018/01/01(月) 17:57:38.75 ID:BYkUpTmA0
ロコ「おや、遠くから今までに感じたことのないストロングなビーチバレーオーラをキャッチしたはずだったんですが」

杏奈「知らない2人はおそらく新入生……こっちのはずはない、よね……」

ロコ「オーラの持ち主はサヨコだったんでしょうか。だとしたら納得ですね」

未来「このモフモフ髪の小さくてかわいい女の子が……」

紗代子「第1ビーチバレー部の部長であり、76高最強と言われているロコちゃん、通称キングロコよ」
18 : ◆1jlBak9bN. [sage saga]:2018/01/01(月) 17:59:12.43 ID:BYkUpTmA0
ロコ「言われているのではありません、本当にストロンゲストなんです」

ロコ「ロコは76高においてオールヴィクトリー、つまり無敗を続けていますので」

杏奈「2人で組めば……もっと最強……だよ」

恵美「となりの大人しそうに見えるのが望月杏奈先輩。キングの右腕として活躍する姿からクイーンとも呼ばれてる人だよ」

未来「かわいい……えっ、かわ……かわいい……」

ロコ「ではロコはこれでグッバイです。サヨコ、部長ミーティングでまた会いましょう」

未来「待ってください!」
19 : ◆1jlBak9bN. [sage saga]:2018/01/01(月) 18:01:10.77 ID:BYkUpTmA0
未来「あの……ロコ先パイは76高で一番強い選手なんですよね」

ロコ「ザッツライト、その通りです」

未来「じゃあ、私と試合をしてください! お願いします!」

紗代子「未来ちゃん!?」

ロコ「おやおや、今日入学でロコにチャレンジとは素晴らしいカレッジですね」

杏奈「ロコ、こんな申し込み……受ける必要ない……よ」

ロコ「キング’sルールその1! キングはすべてのチャレンジャーをアクセプト」

ロコ「ロコはあらゆるゲームの申し込みをアクセプトします。そして勝ちます。今回もそうです」
20 : ◆1jlBak9bN. [sage saga]:2018/01/01(月) 18:03:34.68 ID:BYkUpTmA0
女生徒「き、キングロコが新入生と試合をするわよ!」

女生徒「え、嘘!?」

杏奈「ロコ」

ロコ「ウォーターを差さないでください。キングはロコですよ」

杏奈「ロコ!」

ロコ「アンナ……分かっています。ではこうしましょう」
21 : ◆1jlBak9bN. [sage saga]:2018/01/01(月) 18:05:58.42 ID:BYkUpTmA0
ロコ「1ポイントだけやってディサイドします」

ロコ「ロコ達ペアと1回ラリーをして、スタンディングアライブしていられたら(※注1)そちらがウィナーです。どうですか?」
(※注1…… 「無事に立っていられたら」という意味)

紗代子「未来ちゃん受けちゃだめ。あなたの敵う相手じゃないわ」

未来「心配しないでください。たった1回ですよ? これに勝って、ぜったいに私を認めてもらいます!」

未来「恵美ちゃん」

未来「ごめん、知り合ったばっかりだけどペアをお願いできないかな」

恵美「え、ダメってことはないけど……。アタシなんかで大丈夫?」

未来「もちろん! 私は恵美ちゃんがいいんだ」

恵美「なら……いいよ」
22 : ◆1jlBak9bN. [sage saga]:2018/01/01(月) 18:13:10.75 ID:BYkUpTmA0
ロコ「グッド。先攻か後攻かチョイスしなさい」

未来「当然先攻です!」

ロコ「なら……カモン! ロコ&アンナの準備はオールウェイズできています!」

未来「ふぅ……はぁ……」

未来(勝つんだ……これに勝って……)

未来「いきます! ”全力スパーク”!!」

紗代子「サーブされたボールが空気との摩擦でスパークを起こしている!? これが1年生の打つ球なの?」

紗代子「でも……」
23 : ◆1jlBak9bN. [sage saga]:2018/01/01(月) 18:15:01.21 ID:BYkUpTmA0
ロコ「ふっ、イージー」

恵美「……ッ! 普通にレシーブした!?」

紗代子「なんて柔らかなタッチ。すべてのエネルギーを完全に受け流している」

杏奈「ナイスレシーブ! それじゃあ杏奈も、最高のトスいっくよー! ”Happy Darling"! 応援ください!」

観客「「「「「「「応援するよ!!!!!!!」」」」」」」

恵美「あれがキングのスパイクを何万倍にもするっていうクイーンのトス! 1ミリの狂いもなくキングの最高到達点へ! あと観客がうるさい!」
24 : ◆1jlBak9bN. [sage saga]:2018/01/01(月) 18:16:26.30 ID:BYkUpTmA0
ロコ「オーライです! フレッシュマン、覚えておきなさい。これがキングのスパイク、キングスパイクです!」

恵美「高い! あの身長でネットの春k、いや遥か上まで飛んでいる!」

ロコ「”トラッシュ・トゥ・ザ・トラッシュボックス”!!」

未来「来た! 物凄い派手なブレと音……ネットを挟んでも強さが伝わってくる」

恵美「でも止めなきゃ! だよね未来!」

恵美「背中はアタシが支えておくから、思いっきり受け止めな!」

未来「うん! ぜったいに止めてみせ、えっ」
25 : ◆1jlBak9bN. [sage saga]:2018/01/01(月) 18:19:06.94 ID:BYkUpTmA0
未来(このスパイク……止められな……なん、で……!?)

ロコ「そのスパイクは到達するべきプレイス、つまり砂浜にたどり着くまでそのパワーを落とすことはありません」

未来「そんな……2人で受けてる、の、に……ああっ!」

紗代子「吹き飛ばされた!? 恵美ちゃん、未来ちゃん!」

恵美「っ痛〜……。でも大丈夫です。未来は?」

紗代子「それが気を失って返事をしないの。吹き飛んだ衝撃で頭を打ったのかも。保険室に運びましょう!」

恵美「は、はい!」

ロコ「サヨコ」

紗代子「なによ!」
26 : ◆1jlBak9bN. [sage saga]:2018/01/01(月) 18:21:21.43 ID:BYkUpTmA0
ロコ「メッセージをお願いします。そのフレッシュマン……ミライに」

ロコ「再試合をしよう、と。ディフィートして気を失ってはいますが、キングスパイクをこちらのコートに返されたのは久しぶりでした……」

杏奈「ロコ!?」

ロコ「期日はワンウィークアフター。今度は1ポイントではありません。勝ちたければ死ぬ気でトレーニングしなさいと。そう言ってください」

紗代子「……わかったわ。恵美ちゃん、いきましょう」

〜紗代子、恵美が未来をそっと移動させていく〜
27 : ◆1jlBak9bN. [sage saga]:2018/01/01(月) 18:24:48.98 ID:BYkUpTmA0
いったんここまでです。
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/01(月) 22:16:14.03 ID:RgwoCjHY0
ロコガチのキングだわ
29 : ◆1jlBak9bN. [saga]:2018/01/02(火) 11:41:16.16 ID:UAIEW31H0
〜1時間後。保健室にて。ベッドの上に未来が寝ており、その様子を紗代子と恵美が見守っている。〜

未来「ん……んん…………はぅあっ!? れっれしいいいぶ!?」

恵美「未来、寝てないと」

未来「でも……」

恵美「寝てな。話はするからそのまま聞いてて」

未来「うん……。ねえ、勝負はどうなったの」

恵美「負けちゃったねー。もう完敗ってやつ。で、未来は1時間くらいそのまま気絶してた」
30 : ◆1jlBak9bN. [saga]:2018/01/02(火) 11:44:58.70 ID:UAIEW31H0
紗代子「でもね、キングの方から再試合の申し出があったの。1週間後にきちんとした試合を、ってことで」

紗代子「ただ今回のことがあるでしょう? 受けるかは未来ちゃん次第よ」

未来「今回のことって……? 受けるに決まってるじゃないですか!」

恵美「はあ〜……未来、あんたってほんとに……」

恵美「なんだろ、アタシもうまく言えないけど、もう昔からの知り合いみたいになっちゃってるわ……」

未来「?」

恵美「いちおう思いっきり吹っ飛ばされてこてんぱんにやられた後なんだけどね、って言いたいの」

未来「やられちゃったらもう一度挑むよ。今度は特訓もたくさんして」

未来「私はどうしても76高で一番になりたいの」
31 : ◆1jlBak9bN. [saga]:2018/01/02(火) 11:46:29.81 ID:UAIEW31H0
恵美「どうしてもって……まだ入学1日目だよ? 正直なにをそんなにあせってるのかわからないよ」

紗代子「さっき恵美ちゃんに聞いたんだけど、未来ちゃん。中学ではビーチバレー部じゃなかったんでしょう?」

紗代子「そんな子が急に76高に入ってトップを目指すって……なにがあったの」

未来「……」

恵美「話しづらいなら無理しないで」

未来「あ、そうじゃないの!」
32 : ◆1jlBak9bN. [saga]:2018/01/02(火) 11:47:29.46 ID:UAIEW31H0
未来「ちょっと……友達がいまなにをしてるかな、って。考えてて」

恵美「友達?」

未来「うん。実は、76高に入ってトップを目指すっていうのはもともと私の友達の目標だったんだ」

未来「その友達のことをね、考えてたの」

未来「話します。私と、ビーチバレーがとっても好きなその友達のことを」

33 : ◆1jlBak9bN. [saga]:2018/01/02(火) 11:53:10.68 ID:UAIEW31H0
〜未来の回想。中学3年生の時の記憶。放課後の教室で未来と親友の静香が言い争っている〜

未来「76高の受験をやめるってどういうこと⁉」

静香「そのままの意味よ。76高は受けずに、きちんとした進学校に行くの」

未来「他の学校でビーチバレーをやりたくなったっていうこと?」

静香「違うわ、もうビーチバレーをやめるのよ」

未来「そんな! あんなに好きだったのになんで!」
34 : ◆1jlBak9bN. [saga]:2018/01/02(火) 11:54:06.33 ID:UAIEW31H0
静香「元々ビーチバレーをやるのは受験が始まるまでっていうのが両親との約束だったのよ」

静香「それまでに私が日本で一番になれれば76高受験も考えていいって話だったけど」

静香「私は結局……なれなかった。これはもう、仕方のないことなのよ」

未来「静香ちゃんはそれでいいの⁉」

静香「……ええ、私も納得してるわ」
35 : ◆1jlBak9bN. [saga]:2018/01/02(火) 11:55:07.25 ID:UAIEW31H0
未来「嘘」

静香「え?」

未来「静香ちゃんいま嘘ついてる! 『私絶対にビーチバレーを諦めたくない!』って、そう思ってる!」

静香「そんなこと……ない」

未来「ある! 静香ちゃんがビーチバレーを誰より好きなのは私が知ってる! 静香ちゃん自身の心も!」

未来「だからそんな泣きそうな顔してるんだよ!」

静香「……っ!」
36 : ◆1jlBak9bN. [saga]:2018/01/02(火) 11:56:48.56 ID:UAIEW31H0
未来「お父さんとお母さんにもう一度話をしにいこうよ。『ビーチバレーでトップを目指したいんです』って」

静香「それは駄目よ! そんなこと認めてもらえるわけがない」

静香「未来こそ好き勝手に言いすぎよ! ビーチバレーでトップを目指すのがどれだけ大変かも知らないのに!」

未来「知らないよ! でも!」

静香「もうやめて! 私はもうビーチバレーを諦めるの……そう、決めたのよ」

静香「これから先、大きくなってなにがあるかわからない……ビーチバレーの道へ進んだことを後悔するかもしれないし、ほかのことを好きになるかもしれないじゃない……」

静香「私にももうなにが正しいかなんてわからない……わからないのよ。そんな中でようやく諦めて、決めたと思ったのに……」

静香「なのになんで、いまさら迷わせるようなことを言うのよ……」

未来「……ごめん、静香ちゃん」
37 : ◆1jlBak9bN. [saga]:2018/01/02(火) 11:57:59.57 ID:UAIEW31H0
静香「あのお父さんを説得するなんて、無理よ……」

未来「わかった。まず私が日本で一番になる!」

静香「どういうこと?」

未来「さきに私が日本一の選手になって、静香ちゃんのお父さんを説得するの」

未来「『静香ちゃんはトップになれます! 日本一の私が保証します!』って」

未来「日本で一番のビーチバレー選手に説得されたらお父さんだって意見が変わるかもしれないよ!」
38 : ◆1jlBak9bN. [saga]:2018/01/02(火) 11:59:16.43 ID:UAIEW31H0
静香「できるわけないでしょ!」

未来「できる! やるから!」

静香「ビーチバレーを馬鹿にしてるの⁉」

未来「してない! でもやるの!」

未来「それに! いま見えたの! いつか静香ちゃんと私でペアを組んで世界一に挑戦する舞台に立つシーンが!」

未来「そうなったら素敵だなって! 本気で本気で本気でそう思えるのっ!」

静香「未来……」

未来「いまから先生に76高の願書もらいにいってくるから!」

静香「ちょっと、未来ー!」

〜職員室へ全力疾走していく未来〜
39 : ◆1jlBak9bN. [sage saga]:2018/01/02(火) 12:02:51.99 ID:UAIEW31H0
いったんここまでです
次の更新ができたらその後は速いかもしれません
他の部分はだいたい書けていますので
……速くできたらいいな
40 : ◆1jlBak9bN. [saga]:2018/01/03(水) 11:20:48.73 ID:onOK+mJj0
〜76高の保健室。未来は恵美と紗代子に自分が76高に入ることになったきっかけを話し終えた〜

紗代子「なるほど……そうだったの」

恵美「親友の代わりに……」

未来「うん……私は早く日本で一番になって、静香ちゃんを連れ戻したいの」

未来「でも、いま思った。それだけじゃないなって」

未来「キングのスパイクを受けながら、ビーチバレーってすごいなって感じた」

未来「私が想像してたビーチバレーとはぜんぜん違ったの。普通とは違って、なんていうか……ドキドキした!」
41 : ◆1jlBak9bN. [saga]:2018/01/03(水) 11:22:15.99 ID:onOK+mJj0
未来「ここにはすごい人がたくさんいるんだよね? 紗代子先パイだけじゃなくて」

未来「だったら私、もっともっとビーチバレーのことを知りたい。この76高で!」

未来「そのうえで、キングにも勝ってみせます」

未来「紗代子先パイ、こんどは私のほうからお願いします。私を第5ビーチバレー部に入れてくれませんか」

未来「紗代子先パイと恵美ちゃんといっしょに76高でやっていきたいんです!」

紗代子「未来ちゃん……うん! 頑張ってキングに勝ちましょう!」
42 : ◆1jlBak9bN. [sage saga]:2018/01/03(水) 11:23:19.78 ID:onOK+mJj0
〜翌日〜

恵美「……とはいっても、あのキング相手にどうやって戦えばいいんだろ」

未来「わかんない!」

紗代子「そういうときはね……」

未来・恵美「「そういうときは?」」

紗代子「おんなは度胸! やれることはなんだってやってみるのよ!」

紗代子「まずはビーチを100周! 対策は走りながら考えましょう!」
43 : ◆1jlBak9bN. [sage saga]:2018/01/03(水) 11:24:40.40 ID:onOK+mJj0
〜ホイッスルをくわえながらビーチを走る紗代子。それについていく恵美と未来〜

紗代子「さあ、第5ビーチバレー部伝統のランニング中の掛け声いくよー!」

未来・恵美「「おー!」」

紗代子「ぜったいキングに勝つぞー!」

未来・恵美「「勝つぞー!」」

紗代子「働くって素敵ー!」

未来・恵美「「素敵ー!」」

紗代子「きっと流した汗は美しいー!」

未来・恵美「「美しいー!」」

紗代子「たくさんの夢があれば、くろうなんてなんのそのー!」

未来・恵美「「なんのそのー!」」

紗代子「いも!」

未来「いも!」

恵美「いも……?」
44 : ◆1jlBak9bN. [sage saga]:2018/01/03(水) 11:26:50.21 ID:onOK+mJj0
〜翌日〜

未来「はあ……ひい……走りながら考えたんですけど……」

未来「キングスパイクが、はあ……強すぎるなら……鎧を、着るっていうのは、はあ……どうでしょう!」

未来「防御、りょくを……上げれば……耐えられる、はあ……はずです!」

紗代子「いいわね! 鎧を水着として捉える新発想!」

紗代子「やりましょう!」

未来「はあ……やった……!」

恵美「それ……重すぎて動けないか、中で未来の蒸し焼きができるだけじゃないですか?」

未来・紗代子「「え……!?」」
45 : ◆1jlBak9bN. [sage saga]:2018/01/03(水) 11:28:44.52 ID:onOK+mJj0
〜翌日〜

未来「はあ……そう、いえば……キングの、はあ……過去の試合、って……どうだったんでしょう……」

未来「キング、をぉ……追い詰めたことがある人がいれば、ふう……その人が……参考、に、なるんじゃ……?」

紗代子「そうね……。常勝のキングでも、過去に追い詰められた試合はたしかにあった。記憶にあるのはやっぱりほかの部の部長たちかしら」

恵美「アタシもそれが印象強いですね」

未来「……その人たちを、はあ……分析すれば……ヒントが、あるかも……。どん、な……人たちなんですか」

紗代子「順番に話していきましょうか」
46 : ◆1jlBak9bN. [sage saga]:2018/01/03(水) 11:30:21.97 ID:onOK+mJj0
紗代子「第2の部長はパワータイプね。格闘技経験者だって言ってたと思うんだけど」

恵美「1発の重さが尋常じゃないですよね」

未来「じゃあ、まずは筋トレですね……」

紗代子「筋トレ! いいわね、私も筋トレ大好き!」

恵美「第3の部長は……トリッキーっていうんですかね、あれは?」

紗代子「ええ、多分」
47 : ◆1jlBak9bN. [sage saga]:2018/01/03(水) 11:32:12.05 ID:onOK+mJj0
恵美「ブレイクダンスの達人らしくて、独特のリズムがあるんだよね。本人は『アメリカ仕込みのビートさ!』てよく言ってる」

未来「じゃあ、ダンスの練習も追加で……」

恵美「第4は……野生? コートの上で獣みたいに跳ね回ってる。すごい瞬発力だよ」

紗代子「よく『都会のハトはどんくさいなー』て言いながら追い回しているんだけど、あれが特訓なのかも……?」

未来「じゃあ、ハトも捕まえましょう……」

紗代子「第6の部長は胸が大きい」

恵美「胸が大きいですね」

未来「胸が!? ど、どうすれば……バストアップ体操……?」
48 : ◆1jlBak9bN. [sage saga]:2018/01/03(水) 11:34:38.72 ID:onOK+mJj0
〜翌日〜

紗代子「ボールは友達! ボールは親友!」

紗代子「ビーチバレープレイヤーだったらボールと会話くらいできて当たり前!」

紗代子「実際上位のプレイヤーたちはバレーボールと認識したものすべてと意思疎通して操れるというデータもあるわ!」

紗代子「ということで今日はボールと会話ができるようになるまでひたすらボールタッチの練習よ!」

未来「はい!」

ボール「ちっちゃくてもがんばりますぞー!」

未来「はわっ!? ささささ紗代子先パイ、私さっそくボールの声が聞こえました! CV:嘉山未紗みたいな声です!」

紗代子「やったわね未来ちゃん……!」

恵美「えぇー……?」
49 : ◆1jlBak9bN. [sage saga]:2018/01/03(水) 11:36:18.43 ID:onOK+mJj0
〜翌日〜

紗代子「サーブほど練習量がものを言う分野はないわ! 徹底的に磨きましょう!」

未来「はい!」

恵美「えっ、なんか普通」

紗代子「? どうしたの?」

恵美「なんでもないです!」

紗代子「さあ、それじゃあ始めましょう!」
50 : ◆1jlBak9bN. [sage saga]:2018/01/03(水) 11:39:37.22 ID:onOK+mJj0
〜翌日〜

未来「はあ……はあ……紗代子先パイの特訓、キツすぎ〜っ。恵美ちゃんはなんで普通についていけてるの……?」

恵美「一応76高の中等部で3年間鍛えられたからね。体力とか基礎的なのは一通り」

未来「すごいね!」

恵美「いやあアタシは全然だよ。典型的な試合では使えないタイプでさ。コートに立つと緊張して頭真っ白になっちゃって……」

恵美「いつもなんだよね。体がガチガチに固まって、肝心なところで足が出ない感じ? 結局ビーチバレーってその一歩を踏み出せるかが大事なわけじゃない?」

恵美「もう自分でも選手よりマネージャーなんかのほうが向いてんだろなー、って思い始めてたんだけどさ、アハハ……って未来?」
51 : ◆1jlBak9bN. [sage saga]:2018/01/03(水) 11:41:03.82 ID:onOK+mJj0
未来「ぎゅうううううううう」

恵美「え、え? どしたのどしたの。突然抱き着いてきて、っていうか今アタシ汗かいてるし」

未来「ぎゅうううううううう」

未来「おまじない。試合中に動けるようになるおまじないをかけてるの」

恵美「え……。……もう、仕方ないなあ」

恵美「じゃあアタシも。未来がキングとの試合に勝てるようになるおまじない。ぎゅうう」

未来「えへへ〜」

恵美「へへ……」

紗代子「練習をさぼってるやつはい”ね”え”か〜!」

未来・恵美「す、すいませんでした〜〜!!」
52 : ◆1jlBak9bN. [sage saga]:2018/01/03(水) 11:42:02.76 ID:onOK+mJj0
紗代子(もう。2人ともまだ中学生気分が抜けきらないんだから)

紗代子(ふふ、3人で練習するの楽しいな……)

紗代子(私がこれまで感じたことがなかったくらい充実した1週間だった……)

紗代子(ずっとこんな風に続けていけたらいいな……)

紗代子(……でも、これでいいのかしら)
53 : ◆1jlBak9bN. [sage saga]:2018/01/03(水) 11:44:05.40 ID:onOK+mJj0
紗代子(そう……私たちは3人。未来ちゃんと恵美ちゃんはペア。だけど私は……?)

紗代子(2人のうちどちらかとたまに組むのかしら? ううん、たとえそうしても同じ大会には出られなくなっちゃう。そんなことはできない)

紗代子(だとしたら、同じチームで? それとも第5以外の誰かと……? ……でも、私なんかと組んでくれる人なんて……)

紗代子(……いなかった)

紗代子(やめやめ。考えてもしょうがないじゃない紗代子。いまは2人をロコちゃんとの試合に勝たせることだけ考えましょう)

54 : ◆1jlBak9bN. [saga]:2018/01/04(木) 20:28:48.28 ID:xuOu8VkC0
〜試合前日。第1ビーチバレー部の部室にて。部屋にはロコと杏奈の2人。なぜか右腕を抑えて苦しんでいるロコとそれを不安そうに見つめる杏奈〜

ロコ「くっ、ラ、ライトアームが……っ」

杏奈「ロコ……」

杏奈「もう……もうやめよう? ロコの使う技はどれも強力だけど、強力すぎてロコ自身の体を破壊していってるんだよ……」

杏奈「これ以上続けたらロコの腕が壊れちゃう」

ロコ「それはできません」
55 : ◆1jlBak9bN. [sage saga]:2018/01/04(木) 20:30:47.49 ID:xuOu8VkC0
ロコ「アンナにもしっかりとはエクスプレインしたことがありませんでしたね。ロコがなぜキングという道を選んだのか」

ロコ「アンナは現在のビーチバレーの世界をどう思いますか」

ロコ「プロリーグも活動していて、一見ノープロブレムに見えます」

ロコ「しかし一方でかつてのように誰もが知っているプレイヤーやスーパープレイはなくなっているのではないでしょうか?」

ロコ「多くの人は話題にしても昔のプレイヤーや昔のゲームのことばかり……」

ロコ「ロコはいまのそんなビーチバレー界を変えたい。チェンジです!!!! そのためにはよりスター性の高いプレイヤー、エンターテインメント性の高いプレイが必要なんです」

ロコ「つまり、キングです」

ロコ「キングこそ、ビーチバレーに今求められている存在なんです!」
56 : ◆1jlBak9bN. [sage saga]:2018/01/04(木) 20:32:22.07 ID:xuOu8VkC0
杏奈「普通のビーチバレーじゃ駄目なの⁉」

ロコ「ロコはキングという自分を使ってビーチバレーを変えていきたいんです!」

杏奈「だからって! ロコの体が壊れてもいいなんて、そんなの駄目だよ!」

ロコ「キングであることはロコのアイデンティティです。負けたらなにも残りません。ロコは誰でもなくなってしまうんです」

杏奈「そんなことない! アートが好きでいつも一生懸命で、クセっ毛で学校に友達がいなくてプロデューサーさんに作ったオブジェを捨てられてて……杏奈の親友! そんなのロコしかいない!」

ロコ「……ロコにはキング以外の道はノーセレクトです」

杏奈「……っ! ロコなんてもう知らない! もう一人でビーチバレーでもなんでもやってて!」
57 : ◆1jlBak9bN. [sage saga]:2018/01/04(木) 20:33:17.06 ID:xuOu8VkC0
ロコ「アンナ⁉ ……行ってしまいました」

ロコ「キング’sルールその2、キングは孤独をノーフィアー……。バット、これは……」

ロコ「パートナーもいなくなってしまいましたし……ミライたちとの試合は……」

ロコ「……」

ロコ「……いえ、まだ手はあります」

〜部室を後にするキングロコ〜
58 : ◆1jlBak9bN. [sage saga]:2018/01/04(木) 20:34:16.46 ID:xuOu8VkC0
〜同日。第5ビーチバレー部の部室にて。未来が1人でボールを磨いており、恵美と紗代子の姿はない〜

未来「ボール磨きは楽しいな〜♪ いつもピカピカ明るいな〜♪」

杏奈「お邪魔……します……」

未来「えっかわわわちょちょちょ望月先パイかわいいですけどどうしたんですか急に第5のかわいい部室なんかに!???」

未来「もっもしかしてかわいいですけど紗代子先パイになにかかわいい用事があって!?」

杏奈「落ち着いて……」

未来「はっはははい!」
59 : ◆1jlBak9bN. [sage saga]:2018/01/04(木) 20:35:21.33 ID:xuOu8VkC0
未来「ひぃー……ふぅぅー……」

未来「すいませんでした……一度に大量のかわいさを浴びすぎて動転してしまって。どうされましたか」

杏奈「今日……ここに来たのは未来に……話があった……から」

未来「も、望月先パイが私の名前を呼んでいる!?」

杏奈「え、……うん」

未来「はわぁ〜〜〜〜〜〜…………」

杏奈「話をさせて……」

未来「はいすいません!」
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