【ガルパン】エリカ「私は、あなたを救えなかったから」

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450 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/03(土) 18:38:14.95 ID:Gk158+YA0





ペパロニ『アンチョビ姐さんっ!!』

アンチョビ「ペパロニよく来たっ!!このまま残りのCVと合流して―――――っ!?」


ダァンッ!!




エリカ「見つけたわよ安斎さんっ!!」

優花里「まだ残りのCVとは合流していないみたいですっ!!」

エリカ「なら、その前にっ!!」




アンチョビ「っ……仕方ない、賭けに出るぞっ!セモベンテはV突とM3の足止めを頼むっ!!」

カルパッチョ『はいっ!』
451 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/03(土) 18:41:42.08 ID:Gk158+YA0
優花里「セモベンテ2輌、こっちに向かってきますっ!!」

エリカ「ウサギさんっ!!カバさんっ!!頼んだわっ!!」

カエサル『任されたっ!!』

梓『はいっ!!』




カルパッチョ「あのマーク……たかちゃんッ!!」

カエサル「悪いが先を急がせてもらうぞひなちゃんッ!!」




エリカ「カメさんチームはこのままついてきてっ!一気に仕留めるわよっ!」

杏『あいよー』

桃『絶対に逃がさんぞっ!!』

エリカ「ええっその通りよ桃ちゃんっ!!」
452 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/03(土) 18:44:14.98 ID:Gk158+YA0








エリカ「この先は……なるほどね。いいわ、そのケンカ買ったわよっ!!」







453 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/03(土) 18:44:48.52 ID:Gk158+YA0
ここまで。次は火曜で。
454 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/03(土) 20:20:49.19 ID:4Xd6OLElo
乙ー
455 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/03(土) 23:33:41.66 ID:9sXz3jyRO
456 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/04(日) 08:06:48.43 ID:tUFISi1EO
別スレのせいで変な笑いが

乙です続き待ってる
457 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/04(日) 14:28:54.88 ID:8jE8846H0
滅茶苦茶面白いな
エリみほ入れ換えなんて単純なもんじゃなく、本編で負けたキャラが活躍してて面白い
458 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/06(火) 18:03:33.50 ID:XlGgpb2d0






アンチョビ「開けた場所に出た……ここで決めるぞっ!!」



エリカ「決着を着けるわよっ!!」





ダァン ダァン

桃「ええいっ!何故あたらんっ!?」

柚子「こっちが聞きたいよー……」

杏「ごめーん逸見ちゃん、まだ河嶋にこの距離は難しいみたい」

エリカ『いいわ、そのまま撃ち続けて相手の注意をそらしてっ!!』

杏「はいよーって、ん?」
459 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/06(火) 18:08:40.34 ID:XlGgpb2d0
『姐さんっ!!』

アンチョビ「お前らっ!!」




優花里「敵CV2輌合流っ!!」

エリカ「っ……」

杏『逸見ちゃんあいつら何か仕掛けてくるっぽいよ』
460 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/06(火) 18:13:26.87 ID:XlGgpb2d0
アンチョビ「CVが揃ったなら……ペパロニっ!!」

ペパロニ『Si!!お前ら、やるぞっ!!」


ギュィィンンッ!

ガン ガン ガン


エリカ「なっ!?」

優花里「CVで3方を塞がれたっ!?」

沙織「動けないっ!?」







アンチョビ「足止めは一瞬で充分だ―――撃てっ!!」







461 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/06(火) 18:19:04.30 ID:XlGgpb2d0
ギュィィンンッ!




桃「逸見いいいいいいいいっ!!」




ダァンッ!


シュポッ!!


優花里「カメさんチームが盾に……」

エリカ「麻子っ!!」

麻子「ああっ」
462 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/06(火) 18:22:51.39 ID:XlGgpb2d0
ペパロニ「っ……下がられたっ!!お前ら、もう一度行く―――」

ダァンッ!!

シュポッ!

ペパロニ「なにっ!?」




ねこにゃー「アリクイさん、参上……」


ダァンッ!!  ダァンッ!!

シュポッ!   シュポッ!

ペパロニ「うわぁっ!?」

アンチョビ「Tipo 3、V突にM3っ……」
463 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/06(火) 18:28:31.29 ID:XlGgpb2d0
カエサル『今度は蚊帳の外にならずにすんだな』

梓『エリカ先輩っ!!護衛は全て排除しましたっ!!』
 
エリカ「ええっ!!―――――華っ!!」

華「はいっ!!」




アンチョビ「っ……撃てっ!!」

エリカ「撃てっ!!」



ダァン! ダァンッ!



シュポッ!



464 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/06(火) 18:29:36.55 ID:XlGgpb2d0





『アンツィオ高校フラッグ車走行不能っ!よって、大洗女子学園の勝利っ!!』




465 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/06(火) 18:30:18.51 ID:XlGgpb2d0
ここまでー。逸見エリカさん誕生日おめでとうございます。

次は土曜で
466 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/06(火) 18:37:40.97 ID:20LEsnQVo
乙ですー
467 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/06(火) 18:45:20.03 ID:ZDVclnTGo
乙です
いいチームワークだ
468 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/06(火) 19:21:26.94 ID:zs4T6kuKO
乙です
未だ嘗てここまで桃ちゃんが輝いているSSを見たことがあっただろうか
469 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/06(火) 20:33:47.02 ID:LDCQoEPio
乙ー
470 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/06(火) 20:38:30.42 ID:NNdbZbnYO
多分無いな、乙
後エリカおめ
471 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/06(火) 21:29:00.89 ID:w+Zt3m+w0
さてはコンタクトに変えたな
472 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/06(火) 22:57:30.29 ID:LU3gXiJK0
片眼鏡からコンタクトか、キャラ的には薄くなっちゃうな
473 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/07(水) 00:20:52.06 ID:opx3IIjiO
熱すぎる!
乙です
474 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/10(土) 18:10:23.03 ID:mjo7sVJM0





エリカ「……ふぅ」

沙織「勝ったーっ!!」

優花里「これでベスト4ですよっ!!」

エリカ「ええ、なんとかなったわね」

杏「逸見ちゃんやったねー」

エリカ「会長。最後は助かったわよ」

杏「お礼なら河嶋に言ってよ」

エリカ「桃ちゃんに?」

柚子「桃ちゃんが『逸見を守るぞっ!!』って」

エリカ「そうだったの……」

桃「フラッグ車がやられたら私たちの負けなんだから当然の事をしたまでだっ!!」

エリカ「……桃ちゃん」

桃「な、なんだ?」

エリカ「ありがとう。あなた、意外と頼りになるのね?」

桃「っ……あ、当たり前だっ!!私は誉ある生徒会の広報なんだぞっ!!あと桃ちゃん言うなっ!!」

エリカ「……ふふっ」
475 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/10(土) 18:15:51.53 ID:mjo7sVJM0
アンチョビ「おーい!」

エリカ「安斎さん?」

アンチョビ「いやー負けたよ」

エリカ「いえ、こちらもギリギリでした。特に最初の欺瞞作戦はさすがです。そこからの読みも完璧でした」

アンチョビ「それで勝ったお前たちはもっと凄いさ。……試合前に言ったこと覚えてるか?」

エリカ「え?」

アンチョビ「試合、楽しもうって。逸見、楽しかったぞ」

エリカ「……はい。あなたたちの全力を私たちの全力で迎え撃ちました。本当に……楽しい試合でした」

アンチョビ「……そうか。なら良かった」ギュッ

エリカ「あ、安斎さん?」
476 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/10(土) 18:20:35.16 ID:mjo7sVJM0
アンチョビ「決勝まで行けよ?応援するからな」

エリカ「……はい」

アンチョビ「ん。それじゃあ―――お前たちっ!!」

『はーいっ!!』

沙織「なになに?」

優花里「何が始まるんですか?」

アンチョビ「大洗諸君には我々の戦車道を最後まで知ってもらわないとな」

エリカ「……?試合はもう終わって……」

アンチョビ「チッチッチ、試合だけが戦車道じゃない。勝負を終えたら試合に関わった選手スタッフを労う。―――これが、アンツィオの流儀だっ!!」
477 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/10(土) 18:26:07.70 ID:mjo7sVJM0





アンチョビ「せーのっ!!」




『いただきまーすっ!!!』





ザワザワ ガヤガヤ



沙織「うわぁ、美味しいっ!!」

華「おかわりいいですか?」

ペパロニ「どんどん食べろっ!!」

麻子「……うまい」モグモグ

優花里「フィールドキッチンをここまで活用する学校はそうそうないですよっ!!」
478 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/10(土) 18:32:43.36 ID:mjo7sVJM0
ねこにゃー「良質なたんぱく質……」

ももがー「美味しいももっ!!」

ぴよたん「でも、ちょっとカロリーが……」

典子「大丈夫っ!!」

ぴよたん「キャプテン?」

典子「どんなに食べても、バレーをすれば全消費。つまり、カロリー0だっ!!」

ぴよたん「キャプテンっ!!」

典子「食べろっ!!それがお前たちの明日の肉体を作るんだっ!!」

『はいっ!!』



忍「……いや、カロリー0にはならないでしょ」

妙子「もっとバランスよく食べないと……」

あけび「まぁ、今日ぐらいは……」
479 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/10(土) 18:36:47.93 ID:mjo7sVJM0
ワイワイガヤガヤ


カルパッチョ「今日は負けたわ。たかちゃん達、凄く強かった」

カエサル「ううん、こっちもギリギリだったよ」

カルパッチョ「でも、たかちゃんも装填手だったなんて、なんだか運命ね?」

カエサル「な、何がさ」

カルパッチョ「んー?……ふふっ」

カエサル「ひなちゃん?」

カルパッチョ「……いいえ、私はカルパッチョ。偉大なるドゥーチェアンチョビの副官。……強い人、あなたの名は?」

カエサル「……私はっ!栄光ある大洗女子学園の将が一人、カエサルっ!!」

カルパッチョ「……来年は負けないわ」

カエサル「こっちだって」

カルパッチョ「ふふふっ」

カエサル「あはははっ」
480 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/10(土) 18:43:16.46 ID:mjo7sVJM0

カルパッチョ!

カエサルサマッ!




左衛門座「……二人の世界」

おりょう「あれは、割り込めないぜよ……」

エルヴィン「いや、二人とも連れてけばいいだろ。ごはん冷めるからさっさと行くぞ」
481 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/10(土) 18:49:15.40 ID:mjo7sVJM0

エリカ「……」モグモグ

アンチョビ「どうだ、我が校の戦車道は」

エリカ「……とても素敵です。こんな戦車道、私には思いつきもしなかった」

アンチョビ「我が校は食事のためならどんな労もいとわないからなっ!!……このやる気をもうちょっと試合に活かせるといいんだけど」

エリカ「いえ、きっとこれが、これこそが。あなたたちの強さの秘訣なのかもしれません」

アンチョビ「そう言ってくれるとありがたいよ」

エリカ「……安斎さん」

アンチョビ「なんだ?」

エリカ「戦車道にとって、勝利って何なのでしょうか」

アンチョビ「みんなで騒ぐための口実の一つだ」

エリカ「……は?」

アンチョビ「……冗談だ。まぁ、嘘でもないけどな。……そんな顔して聞くことだ、何かあったんだろ?」

エリカ「……私、サンダースの隊長に言ったんです。私の戦車道は、勝つことだって」

アンチョビ「……」
482 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/10(土) 18:53:49.02 ID:mjo7sVJM0
エリカ「勝たなきゃ自分の、みんなの努力が無駄になるから。勝利こそが全てだって……思ってたはずでした」

アンチョビ「今は違うのか?」

エリカ「……あなた達との試合、本当に楽しかった。試合中、勝ち負けとかじゃなくて、ただただ全力でぶつかることが。

    ―――――だからこそ、私の戦車道は間違ってるんじゃないかって。沙織……チームの子にも同じことを言われて」

アンチョビ「……負けた私たちが言うのも何だけど、勝つことが全てだってのも間違いじゃないと思うぞ?」

エリカ「え?」

アンチョビ「お前が言ったじゃないか、みんなの努力を無駄にしたくないって。考えた作戦は、積み重ねてきた努力は、勝利のためにあるものだ」

エリカ「……はい」

アンチョビ「私たちだって勝つために練習して、無い予算を絞って新しい戦車を買ったりしてるんだ。

      試合後に宴会をするのだって、負けを引きずらずさっぱりした気持ちで次の試合に臨むため。

      なら、これもまた勝利のための行動だ」

エリカ「……」
483 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/10(土) 19:04:27.38 ID:mjo7sVJM0
アンチョビ「まぁ、だからって負けたらそれらが全部無駄になるかっていうとそんなことは無いと思うが……んー、あー……

      逸見。なんていうか、お前はもうちょっと適当でいいと思う」

エリカ「適当?」

アンチョビ「お前の戦車道はお前の自由にしていいんだ。悩んでもいいが、凝り固まるな」

エリカ「……だけど」

アンチョビ「戦車道を楽しむ事と勝利を目指すことは矛盾しない。それは、今日の試合でお前たちが証明したことだ」

エリカ「……」

アンチョビ「いいじゃないか、戦車道なんて人それぞれなんだから。『楽しければいい』でも『勝利が全て』でも、あるいは『楽しんで勝つっ!』って戦車道だって良いさ」

エリカ「……私はそんな器用になれるでしょうか」

アンチョビ「器用になろうなんてするな。不器用でも、取りこぼしても、やりたいことをやれ。……ゆっくり見極めればいい、お前の戦車道を」

エリカ「……はいっ!」
484 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/10(土) 19:05:40.46 ID:mjo7sVJM0
アンチョビ「元気出たな?ならっ、よーしっ!!お前たち今日はこのまま夜通しの宴会だっ!!」

エリカ「えっ?」

アンチョビ「安心しろ!食事はまだまだあるっ!!飲んで食べて騒ごうじゃないかっ!!」

エリカ「え、あの」

アンチョビ「よーしどんどん食べろっ!!」

エリカ「い、いや、私食事はもう……」

アンチョビ「ダメだぞ逸見ーお前はちょっと細すぎる。もっと食べて健康的になれっ!!」

エリカ「いや、一応健康管理には気を使ってて……」

アンチョビ「そんなん今気にすることじゃないっ!!明日のお前が何とかしてくれるさっ!!」

エリカ「それは後先考えてないだけじゃ……」

アンチョビ「ほらパスタにピザに肉に魚っ!!野菜も食べろっ!!」

エリカ「あ、あのっ!?ん〜〜〜〜っ!?」モゴモゴ
485 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/10(土) 19:06:08.42 ID:mjo7sVJM0
ここまでー。次火曜で
486 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/10(土) 19:09:20.48 ID:hz/1YrZ7o
乙です
487 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/10(土) 19:20:22.13 ID:zD+64EDGO
桃ちゃん会長から自立し始めてるのかな
会長としちゃ面白くなさそうだが
488 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/10(土) 19:35:59.33 ID:3eSw1NW+0
ほんとアンチョビはいいお姉さんだね
489 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/11(日) 04:13:35.67 ID:2L8bJy2Wo
乙ー
490 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/11(日) 09:24:48.04 ID:Z0k0+zbHO
ドゥーチェイケメン!乙
491 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/12(月) 07:56:35.90 ID:SV0j+hjmO
ドゥーチェ!ドゥーチェ!!
492 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/12(月) 09:38:15.28 ID:ax9AORhd0

面白かった
カルパッチョは、OVA本編では最後に初めてその名前が出てきたのを知って衝撃だった
493 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/13(火) 17:02:09.11 ID:46PVShV/0







エリカ「……」

沙織「えりりんっ!」

エリカ「沙織?」

沙織「こんなところで何してるの?」

エリカ「別に。……月がきれいだなって」

沙織「……ホントだ。高地だからいつもより大きく見えるね」

エリカ「……ええ。照らすものすべてが煌めいて見える銀色の光」

沙織「えりりん?」
494 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/13(火) 17:07:13.80 ID:46PVShV/0







『私、昔は月って好きじゃなかったわ。太陽の、誰かの力を借りないと輝くこともできない弱い存在に思えて』

『今は違うの?』

『……私たちは太陽があるから生きていられる。熱を、光をもらって。だけど、それは時に命を奪うこともあるわ。

 誰も太陽に近づけないし、直接見ることはできない』

『そうだね』

『でもね、月は違う。太陽の見えない夜でも、太陽の光を私たちに届けてくれる。その光は、私たちに熱をくれないけれど、この世のどんな宝石よりも美しい光だと思うわ』

『……』

『それに気づいたから、私は月が好きになった。誰かの力を借りたものだとしても、自分だけの輝きを持ってる。とても、素敵だと思わない?』

『……うん』

『※※。あなたは誰かに阿って自分を変えられるほど器用じゃないわ』

『え?』





495 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/13(火) 17:11:36.72 ID:46PVShV/0







『あなた、自分が思っている以上に頑固で不器用なんだから。自信をもってあなたのやりたいようにやりなさい。副隊長さん?』

『……だけど、みんながそれを許してくれるかな』

『なら、やりたいことがあったら私に言いなさい。あなた、説明するのあんまり得意じゃないんだからそういうのは私がやるわよ』

『エリカさんに迷惑だよ……』

『言ったでしょ?私は月が好きって。私ひとりじゃダメでも、誰かと一緒なら私も輝けるのよ』

『なら、エリカさんの太陽って……』

『……内緒よ』

『そんなぁ!?はっきり言ってください!!』

『ダメよ。聞きたかったらあなたが隊長になってみなさい』

『お姉ちゃんがいるからまだまだ先だよ……』

『……どうかしら。案外早くその時はくるかもよ?』





496 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/13(火) 17:15:49.83 ID:46PVShV/0
エリカ「……」

沙織「……えりりんって意外とかわいい系の顔してるんだね?」

エリカ「いきなり何?」

沙織「えりりんいつも難しい顔してるからさ、そういう風にしてれば私たちが声かけなくてもきっと誰かが友達になってくれたと思うよ」

エリカ「……あなた達みたいなお節介じゃないと無理でしょうね」

沙織「そう?」

エリカ「……ほら、そろそろ戻るわよ。風邪ひくわ」

沙織「そうだっ、だから呼びに来たんだった」

エリカ「安斎さんたち毛布とか貸してくれるかしら?」

沙織「ゆかりんが寝袋人数分持ってきてたから大丈夫だよ」

エリカ「……いや、あの子なんでそんなの持ってきてるのよ」
497 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/13(火) 17:18:32.95 ID:46PVShV/0





チュンチュン

沙織「えりりん、みんなの撤収終わったよ。あとは私とえりりんだけ」

エリカ「そう、わかったわ。アンツィオの皆さん、いろいろお世話になりました」

アンチョビ「気にするな。私たちも楽しかった!大会が終わったらまた交流試合でもしようじゃないか」

エリカ「ええ、是非とも」

ペパロニ「次は負けないからなっ!」

エリカ「ふふっ、こっちもよ」

アンチョビ「……逸見」

エリカ「はい」

アンチョビ「次の試合頑張れよ」

エリカ「……言われなくても」

アンチョビ「……そうか。なら安心だっ!」
498 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/13(火) 17:20:17.73 ID:46PVShV/0
エリカ「……それじゃあそろそろ」

アンチョビ「ああ」

ペパロニ「……」ジーッ

エリカ「……?まだ何かあるの」

ペパロニ「……なー大洗の隊長さん。西住みほの事、あんまり悔やむなよ?」

沙織「え?」

ペパロニ「私も詳しい事情は知らないけどさ、事故だったんだろ?なら――――」

アンチョビ「馬鹿っ!?」

ペパロニ「もがっ!?ふぇ、ふぇーふぁん?」

アンチョビ「黙ってろっ!すまない逸見、こいつは本当に何も知らないんだ……」

エリカ「……沙織、帰るわよ」

沙織「え……えりりん?」
499 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/13(火) 17:21:21.87 ID:46PVShV/0
アンチョビ「っ……逸見!!」

エリカ「……」

アンチョビ「うちの学校の近くに来ることがあったら寄ってくれ!!予算は無いが美味しい食事ならいくらでもあるんだ!!」

エリカ「……ええ、近くに寄ったら」

アンチョビ「あ、ああっ!!まってるからなっ!!絶対にだぞ!!」

エリカ「……さ、戻りましょう」スタスタ

沙織「……」
500 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/13(火) 17:21:50.74 ID:46PVShV/0








沙織「西住、みほ……」






501 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/13(火) 17:22:17.57 ID:46PVShV/0
次木曜で。
502 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/13(火) 18:22:31.06 ID:7q8KxbODo
おつ
503 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/13(火) 19:44:34.45 ID:EF94tikSo
乙です
504 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/13(火) 22:09:08.64 ID:Ha6V2lKpO
乙です
505 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/14(水) 19:52:53.91 ID:cdcKFQ0Go
乙ー
アンチョビは知ってるっぽいな
506 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/14(水) 23:06:43.13 ID:wrr6H/l5O
追いついた

和やかなムードと見せかけて、また一波乱ありそうな展開だな……
507 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/15(木) 17:46:49.88 ID:D5UGscx/0




エリカ「……」ピッ







―AKIYAMA FILM―





508 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/15(木) 17:48:33.81 ID:D5UGscx/0
〜♪





伝統と格式が彩る学びの園 聖グロリアーナ女学院

学業はもちろんのことスポーツ、芸術、ボランティアなど課外活動にも力を入れており世界に羽ばたく淑女の育成に力を入れています

一歩踏み入れればあなたも淑女の仲間入り





『私もこの学校に入ったおかげですっげぇ礼儀正しく優雅になりましたわよっ!』(1年 Rさん)





509 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/15(木) 17:51:20.21 ID:D5UGscx/0



そんな聖グロリアーナがもっとも力を入れているのが戦車道です

高い実力を誇る戦車道チーム

どんな時でも優雅に美しく戦うその姿は学園中の憧れです

今回は戦車道チームの隊長、3年ダージリンさん(通称)にお話を伺いました


510 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/15(木) 17:53:57.30 ID:D5UGscx/0
― 戦車道は荒々しいイメージもありますが、優雅にというのはどういうことでしょうか?




ダージリン『戦う事と優雅である事は決して矛盾しません。大事なのは美しくあろうとする気概。心の持ちようですわ』




511 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/15(木) 17:57:10.73 ID:D5UGscx/0



― 聖グロの戦車道チームでは戦車の中でも紅茶を嗜むそうですが、何故そのような風習を?





ダージリン『単純に好き。というのもありますが、何よりも戦いの最中であっても冷静に、優雅にという気持ちを持ち続けるためです』





512 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/15(木) 18:03:16.73 ID:D5UGscx/0


― 同じ3年生であるアッサムさん(通称)にも話を聞いてみましょう




アッサム『え?私は……正直やめてほしいなって思ってます。たまにこぼして火傷しそうになるので』

ダージリン『あら?昔ならいざ知らず、最近はそんな事ないわよ』

アッサム『あのですね……大洗との練習試合の時に盛大にこぼしたの忘れたんですか?あなたがどっか行ってたせいで私が掃除したのですけど』

オレンジペコ『ローズヒップさんも盛大にこぼしていますね。整備の生徒から結構苦情が来てますよ』

ダージリン『……ここ、カットでお願いするわ』

513 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/15(木) 18:05:22.03 ID:D5UGscx/0



1年生にして未来の隊長候補と目されるオレンジペコさん(通称)にも話を聞いてみました
 


― 1年生にして隊長の副官ポジションにまでなっているオレンジペコさんですが、やはり聖グロはキャリアに関係なく能力のあるものを取り立てるという事でしょうか?



オレンジペコ『はい、伝統と格式を重んじる我が校ですが、決してそれに凝り固まってるという訳ではありませんから』

ダージリン『これで、OG会をもうちょっと静かにできたらいいんだけどね』

アッサム『ダージリン、声入ってますよ』


514 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/15(木) 18:08:33.06 ID:D5UGscx/0



― 最後に、聖グロリアーナ女学院について一言ずつお願いします




オレンジペコ『努力と才能を認めてもらえる。これ以上は無いです』

アッサム『データじゃ学べない経験を教えてくれます』

ダージリン『こんな格言を知ってる?『成功するために大切なのは、どこから始めるのかではなく、どれだけ高く目標を定めるかである。』』

オレンジペコ『ネルソン・マンデラですね』

ダージリン『我が校は優秀な淑女を求めるのではないわ。高い理想に、高い目標に、真摯になれる人を求めているのよ。――――貴女たちと共に学べる日を待っているわ』



― ありがとうございました。


515 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/15(木) 18:10:02.59 ID:D5UGscx/0



オレンジペコ『よくよく考えたら、ダージリン様は3年生だから来年入学の子と一緒に学ぶには留年する必要がありますね』

ダージリン『……あ』












〜優雅で高貴な淑女の学園〜 聖グロリアーナ女学院








(制作:秋山フィルム    ナレーション:秋山優花里)




516 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/15(木) 18:11:41.28 ID:D5UGscx/0



エリカ「……」ピッ!



エリカ「……ねぇ、優花里あなた何しに行ったんだっけ?」

優花里「はっ!プラウダ高校の偵察でありますっ!!」

エリカ「それで、何で聖グロのPV撮ってきてるの?」

優花里「……プラウダは今までの高校と違って警備が厳重でして……途方に暮れてるところを聖グロの皆さんに声をかけられてPVを撮ってきました」

エリカ「……うん。わからないわ」

沙織「はぁ……いいなぁ、聖グロ……」

華「花の香に満ちてそうな素敵な学園ですね……」

麻子「ゆったりできそうだな」

桃「お前ら何言ってるんだっ!我が校だって良いとこ一杯あるだろっ!?」

柚子「お金は無いけどね……」

杏「まーまーよそはよそ、うちはうちって事でさ」
517 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/15(木) 18:14:39.31 ID:D5UGscx/0
エリカ「まったく……」

パゾ美「古き良き映画の1シーンのような雰囲気、憧れますね」

エリカ「……誰?」

パゾ美「パゾ美です」

エリカ「……何しに?」

杏「パゾ美じゃーん」

パゾ美「会長、園、後藤、金春いつでも大丈夫です」

杏「おっけー、それじゃあ後で迎えに行くね」

パゾ美「……失礼します」バタンッ

エリカ「やっぱり誰なのよ……」

優花里「あ、お礼にティーセット貰ったんで、この間の紅茶でも飲みましょうか」
518 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/15(木) 18:18:02.96 ID:D5UGscx/0





華「さすがダージリンさんが選んだだけあっていい香りですね」

麻子「よくわからん」

沙織「カップもなんだか芸術品みたいだね」

杏「ねーねー逸見ちゃん、秋山ちゃん。これ来客用に生徒会室に置いてもいい?」

エリカ「私は構わないけど……」

優花里「私もいいですよ。役立ててもらえるならそっちのほうがいいですから」

柚子「ありがとー!来客用の茶器ぐらい良いのを揃えようって前々から言ってたの」

エリカ「……それで、本題だけど。次のプラウダ戦どうするかって事よ」

桃「次の試合からは参加車輛が15輌になるな……」

柚子「また戦力差が広がるね……」

エリカ「B1は次から参加できると良いんだけど、それでも7輌……一回戦の参加上限にすら達してないわ」

杏「それでも、やるっきゃないんだよねー」

エリカ「……ええ、そうよ。あとは……相手がどう出るかね」

優花里「すみません私が調べられれば……」

エリカ「気にするような事じゃないわよ。相手の使う戦車に関しては今までのデータを参考に対策を立てましょう」
519 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/15(木) 18:20:13.98 ID:D5UGscx/0
コンコン

杏「どうぞー」

ナカジマ「失礼します。……あ、いたいた逸見さん」

エリカ「ナカジマさん?」

ナカジマ「依頼通りW号の長砲身への換装、B1の修理完了したよ」

エリカ「本当ですか?まさかこんなに早くできるだなんて……ありがとうございます」

ナカジマ「いいよいいよ、やりがいがあったし。それと、ちょっと外出てもらえる?」

エリカ「え?」
520 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/15(木) 18:25:30.54 ID:D5UGscx/0





ナカジマ「それじゃあみんな、行くよっ!」


ドドドドド キュラキュラキュラ


エリカ「……ポルシェティーガー。レストア完了してたんだ……」

優花里「本物が動いているのを見る日が来るなんてっ!!生きててよかったっ……」

沙織「そんなに?」

優花里「そんなにですっ!この戦車はまともに動かすのも難しいんですよっ!?」

沙織「……それ使えるの?」

優花里「火力と装甲は凄いんですってっ!!」

沙織「でも動かすのが難しいんだよね?」

優花里「いやいやですが――――」


キュラキュラ ボンッ!!

沙織「火事っー!?」

優花里「……ちょっとエンジンが燃えやすくて壊れやすいだけですよ」

エリカ「改めて言われるとほんっとにひどい戦車ね……」

ナカジマ「あちゃー、ホシノー消化器消化器ー!!」
521 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/15(木) 18:30:30.82 ID:D5UGscx/0
沙織「……ホントに使えるの?」

エリカ「……私も不安になってきたわ」

ナカジマ「いやー、今日は行けると思ったんだけどねー」

エリカ「あの、あれに本気で乗るつもりですか?」

ナカジマ「うん。いやーあれ良い戦車だねっ!いじり甲斐があって楽しいよっ!」

エリカ「そ、そうですか」

優花里「戦車乗りではなく、技術者ならではの視点ですね」

ナカジマ「というわけで、今日から練習にも参加させてもらうね」

エリカ「ありがとうございます。……自動車部の皆さんにはホントに感謝してます。

    あなた達がいなかったら、準決勝どころか試合をするのすら無理だったと思います」

ナカジマ「いやいや、こっちも大変だったけどやりがいあったからね。それに、逸見さんが頑張ってるの見てたらね」

エリカ「私ですか?」
522 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/15(木) 18:34:11.06 ID:D5UGscx/0
ナカジマ「……戦車を整備してるとね、なんとなくわかるんだ。これに乗ってた人がどんな人なのか。

     W号はいつだって必死で戦ってる。撃破されたり撃破寸前だったり、切れる寸前な履帯だったり。それを見て思うのは逸見さんは本気なんだなって事だったよ」

エリカ「皆の助けを借りてようやく勝っているんです。必死なだけじゃなんの意味もないですよ」

ナカジマ「でも、隊長が一番頑張ってる姿を見て奮起しないような皆じゃなかったでしょ?」

エリカ「……ええ」

ナカジマ「だから私たちもそれにあてられたんだよ。……さすがに徹夜が続いたのはキツかったけどね」

エリカ「中嶋さん。本当に、ありがとうございます」

ナカジマ「いいよ。これで私たちも大洗戦車道チームの仲間入りだね」

エリカ「……いえ、あなた達はこの学園の戦車道が始まった時からずっと――――私達の仲間ですよ」

ナカジマ「……そっか。ならますます頑張らないと」
523 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/15(木) 18:41:30.69 ID:D5UGscx/0




―格納庫―

優花里「W号F2型いいですねっ!」

エリカ「ほんと、自動車部には頭が上がらないわ」

華「砲身が長くなったからか、なんだかシュっとして見えますね」

沙織「私もW号みたいに足を長いのにできたらなぁ……」

エリカ「W号の強化とB1、ポルシェティーガーの参加。これで少しはマシになるといいんだけど……」

沙織「でも、まだ相手との差は大きいね」

エリカ「……だからこそ、連携が大事になるわ。仲間の戦車の場所を全員が常に理解して常に最善の行動をとり続けないと」

優花里「元々エリカ殿はチームの連携を重視していますしね」

エリカ「……戦車道に一発逆転なんてない。一糸乱れぬ鋼の連帯こそが、勝利への近道よ」

優花里「身に沁みますっ!!」

エリカ「……まぁ、一回戦も二回戦もしっかり連携ができたかっていうと……」

優花里「一回戦は言わずもがな、二回戦も敵の策に嵌っててんやわんやでしたね……」

麻子「常に最善手が打てたことなんてないな」

エリカ「……だからこそっ!次の試合こそ私が学んだ西住流を見せる時っ!」

優花里「頑張りましょうっ!」

沙織「……西住流って?」
524 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/15(木) 18:44:31.40 ID:D5UGscx/0
エリカ「そういえば話したこと無かったわね。私は黒森峰にいた時、西住流って戦車道の流派を学んでたのよ」

華「どんな流派だったのですか?」

エリカ「撃てば必中 守りは固く 進む姿は乱れ無し 鉄の掟 鋼の心――――それが西住流よ」

沙織「……もっとわかりやすく」

エリカ「……一糸乱れぬ陣形と、圧倒的な火力で敵を打ち砕く。勝利が至上の流派よ」

沙織「んー……横綱相撲?」

エリカ「まぁ、それでいいわよ……」

優花里「西住流と島田流。この二つが日本の戦車道流派の双璧と言われています。ですが、西住流は最古にして最大の流派。

    つまり、日本で一番勢力の強い流派ってことです。そして黒森峰の戦車道チームはその歴史上、西住流の影響を強く受けています

    西住流の師範であり、高校戦車道連盟の理事長でもある西住しほ殿も黒森峰の出身です」

沙織「へぇー、そんなに強いんだ」

エリカ「まぁ、この私がいた学校だもの当然よ」
525 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/15(木) 18:49:12.96 ID:D5UGscx/0
沙織「でもえりりんって確か黒森峰追い出されたって言ってたよね?」

エリカ「……そういえばB1bisの搭乗員ってどうなったのかしら?」

沙織「逃げた……」

華「西住流は舌戦には苦手のようですね」

杏「お、いたいた。西住ちゃーん」

エリカ「会長、なんの用よ」

杏「紹介したい人がいてね。ほら」

そど子「今日から戦車道の授業に参加することになりました。園みどり子です」

ゴモヨ「後藤モヨ子です」

パゾ美「金春希美です」

そど子「よろしくお願いします」

エリカ「あなた達って、確か風紀委員の……ていうか、金春さんって……」

パゾ美「どうも」

麻子「そど子もやるのか」

そど子「そど子って呼ばないでっ!……私たちだってやるつもりは無かったわよ。でも、会長に直接頭下げられたらね……」

杏「いやー交渉に苦労してね」

エリカ「……そう、会長も一応頑張ってるのね」

杏「まぁ、できる限りはね?」
526 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/15(木) 18:52:12.40 ID:D5UGscx/0

エリカ「それじゃあ園さんたちはルノーB1bisに乗ってもらうわね」

杏「チーム名はどうしよっか?」

エリカ「……B1ってカモっぽい見た目してるわね」

杏「じゃあカモで」

そど子「カモですかっ!?」

エリカ「それじゃあ動かし方は麻子が教えてあげて」

麻子「私がか」

エリカ「あなたが一番操縦上手いんだもの」

麻子「……仕方がない」

そど子「冷泉さん、頼むわね」

麻子「しっかり学べよそど子」

そど子「だから略さないでってっ!!」
527 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/15(木) 18:54:13.92 ID:D5UGscx/0





麻子「やっと帰れる……」

沙織「まさか麻子が放課後の自主練までするとは思わなかった」

麻子「……授業ではそど子達に教えて私はあまり動かさなかったからな」

優花里「冷泉殿がやる気に……っ」

華「いよいよ準決勝ですから、自然と気合が入ってしまいますね」

エリカ「ほら、あまり遅くなっても良くないわ。早く帰りましょう」

優花里「はいっ!」

華「ええ」

麻子「さっさと帰るか」

沙織「……ねぇ、えりりん」

エリカ「何?」

沙織「聞きたいことがあるの――――西住みほさんについて」

エリカ「……」
528 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/15(木) 18:58:44.97 ID:D5UGscx/0
華「西住みほ?」

麻子「誰だそれは」

優花里「さ、沙織殿、それは後にしませんかっ!?」

エリカ「優花里、いいわ。……どうしてそんなことが聞きたいの?」

沙織「アンツィオの人が西住みほって名前を出したとき、明らかにえりりんの反応がおかしかったから」

エリカ「……」

沙織「だから、西住みほって子について私なりに調べたの。えりりんがさっき話してた日本の戦車道二大流派の一つ、西住流。

   西住みほさんはその師範の娘で、私たちも知ってる西住まほさんの妹なんだよね?」

華「まほ……あの喫茶店での」

麻子「あいつか……」

エリカ「……いいわ、続けて」

沙織「みほさんは中学時代に戦車道で優秀な成績を収めてる。

   だけど、その子の名前が出てくるのは去年の大会で黒森峰の副隊長をしていたってところまでで……

   当時1年生だったんだから今年もいるはずなのに、2回戦までの黒森峰の出場選手には一回も載ってなかった……」

エリカ「……」

沙織「怪我とか病気での長期離脱っていうのも考えたんだけど、調べてもそういった情報はでてこなくて……」

エリカ「去年の大会以降の情報がない……当然ね。だって―――――」
529 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/15(木) 18:59:25.70 ID:D5UGscx/0









エリカ「西住みほは、もう死んでいるのだから」







530 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/15(木) 18:59:51.99 ID:D5UGscx/0
ここまで。次は土曜で
531 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/15(木) 19:06:42.18 ID:3/pmyf5no
乙です
会長がエリカのこと西住ちゃんと呼んでる
532 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/15(木) 19:11:18.66 ID:pdCDRtrtO
核心くる?乙です
533 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/15(木) 19:12:28.13 ID:44enjf9p0
>>525
西住ちゃんって呼んでるけど…
534 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/15(木) 19:17:31.15 ID:IJkz6ahw0
乙ー 確かに西住ちゃんになってるね
535 : ◆eltIyP8eDQ :2018/03/15(木) 19:30:27.31 ID:GywA4/FGO

すみません、間違えました。
>>525

杏「お、いたいた。西住ちゃーん」

杏「お、いたいた。逸見ちゃーん」

に訂正でお願いします。
536 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/15(木) 20:13:45.45 ID:qZZ23AJ20

土曜が楽しみやわ
537 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/15(木) 23:23:33.74 ID:LAqmAdqNo
乙ー
538 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/16(金) 00:55:18.47 ID:2wWpIxF90
乙 命はあると思いたい・・・
539 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/17(土) 01:13:51.38 ID:vTkCnKBj0
過去作のまとめから来ました
面白いです!

更新楽しみにしてます
540 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/17(土) 18:06:49.21 ID:MJksQBve0
華「それは……」

麻子「……」

優花里「っ……」

沙織「……やっぱり。えりりんが前に話してた戦車道での死者って……」

エリカ「西住みほの事よ」

沙織「……一体、何があったの?」

エリカ「……そうね、いい機会だから話しておこうかしら」

優花里「エリカ殿……」

エリカ「去年の決勝戦、黒森峰とプラウダとの試合で事故があった」

沙織「……」
541 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/17(土) 18:15:53.58 ID:MJksQBve0
エリカ「私はその時西住みほの傍にいたわ」

沙織「えっ……」

エリカ「……西住みほの乗るフラッグ車と指揮する部隊は敵の裏を取るために川沿いの崖を進んでいた。だけど、その作戦は読まれていたのよ。

    待ち伏せしていた敵からの砲撃を受けた際、突然の豪雨で滑りやすくなっていたせいでフラッグ車を護衛していた先頭車両が川に落ちたの」

沙織「そんな……」

エリカ「西住みほはそれを見て、単身救助に向かった。……自身のフラッグ車を放り出してね」

沙織「……」

エリカ「流されてた戦車には5人の乗員が乗ってた。操縦手、通信手、砲手、装填手、それと――――車長の逸見エリカがね」

沙織「っ!?」

華「エリカさんは、事故に遭われた本人だったのですか……」

エリカ「……そして、5人の命が助かったわ」

沙織「みほさんは、それで……」

優花里「……」
542 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/17(土) 18:23:28.51 ID:MJksQBve0
エリカ「身を挺した救出劇。はたから見れば美談になるのかもしれない。だけど、そうはならなかった」

沙織「どういうこと?」

エリカ「戦車道の世界大会、そしてプロリーグの設立が控えている大事な時期に強豪校、それも西住流の師範の娘が事故で亡くなっただなんて世間に知られたら

    大く影響が出る。戦車道という競技そのものの存続が危ぶまれるかもしれない。だから、事故の詳細と、亡くなった生徒の名前が公表されることはなかった。不幸な事故で亡くなったのは名もない1生徒だってね」

沙織「そんな……」

エリカ「……事故が判明した段階でもう動き始めていたんでしょうね。生徒のプライベートが、家族の気持ちを考えて。

    そんな理由で名前は出されず不幸な事故とされ、偉い人が再発防止を誓って終わりよ」

優花里「当時の戦車道関連の雑誌や、ネットニュースは『どういうわけか』ほとんどこの事を報じず、

    一般の人はもちろん、戦車道をしている人でもこの事件について詳しい人はあまりいません」

沙織「ひどい……」

エリカ「仕方ない事よ。日本の戦車道は今、一番大事な時期なのだから」

沙織「でも……」
543 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/17(土) 18:28:56.48 ID:MJksQBve0
エリカ「もちろん協会もただ形だけの謝罪をしたわけじゃないわ。戦車そのものの安全性や競技中の事故に関するマニュアルの強化などできる限りの事はしたわ」

沙織「……えりりんはそれで良いの?みほさんが亡くなった事を、それで納得できたの……?」

エリカ「……私がどうこう言うことじゃないわって言いたいところだけど、それじゃ納得しないわよね」

沙織「……うん」

エリカ「私は……これでよかったと思ってる。不幸な事故のせいで、

    戦車道そのものが無くなる可能性があったことを考えれば、連盟の行動は最適解だったと思うわ」

沙織「……」

エリカ「私は、戦車道が好きよ。私の存在意義と言って過言じゃないわ。だから連盟の、大人たちの思惑を経て私たちの今があるならば……これでよかったのよ」

沙織「……そっか」

エリカ「これが私の知ってる全てよ。もういい?」

沙織「……うん。ごめんね、辛い事を思い出させちゃって」

エリカ「気にしないで。さ、もう帰りましょう」

沙織「うんっ」

優花里「……良かった」ボソッ
544 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/17(土) 18:35:41.80 ID:MJksQBve0
麻子「話は終わったか」

華「私、お腹が空いちゃいました」

エリカ「なら、どこか寄ってから帰りましょう」

華「すみません……」

エリカ「今さら何言ってるの。友達なんでしょ?」

華「はいっ」

沙織「あ、えりりん。最後にもう一つだけいい?」

エリカ「何よ」
545 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/17(土) 18:40:47.61 ID:MJksQBve0
沙織「みほさんってどんな人だったの?」

エリカ「臆病者」

沙織「……え?」

エリカ「家柄と経験だけで何の資質も持ってない子だったわ」

華「……エリカさん?」

エリカ「臆病で、いつも誰かの顔色を伺ってばかり」

麻子「……」

エリカ「そのくせ性根ではいつだって自分が正しいと驕っていた」

優花里「エリカ殿っ!!?」

エリカ「挙句の果てに自分勝手な正義感でフラッグ車を投げ出して黒森峰の偉大な記録を、名声を、地に落とした」

沙織「ちょ、ちょっとまってよ!?えりりんって、去年の決勝で川に落ちた戦車に乗ってたって……!」

エリカ「ええ、そうよ。あれは私にとっても苦い経験ね……」

沙織「そ、それを助けたのがみほさんで、みほさんは……」

エリカ「死んだわよ。ほんと、滑稽ね」

沙織「ッ!?なん、で」

エリカ「何でですって?そんなの決まってるじゃない」
546 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/17(土) 18:46:01.19 ID:MJksQBve0
エリカ「何もできないくせに何でもできると驕って」

沙織「……えりりん、やめて」

エリカ「自分を死なせて」

沙織「ねぇ、お願いだから……」

エリカ「優勝旗も守れなかった」

沙織「えりりんッ!!」
547 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/03/17(土) 18:48:49.19 ID:MJksQBve0










エリカ「馬鹿な副隊長よ―――あぁ、『元』だったわね」










エリカ「馬鹿な副隊長よ―――ああ、元副隊長だったわね」






548 : ◆ARF27jgAcPAd [saga]:2018/03/17(土) 18:50:48.58 ID:MJksQBve0


バシィッ!!






エリカ「……っ」

沙織「……なんで、なんで自分のために命を落とした人をそんな風に言えるの……?」

エリカ「……事実だからよ」

沙織「えりりんが……あなたがそんな人だと思わなかったッ!!」

エリカ「……だったら何?」

沙織「私……もうあなたの戦車には乗らないッ、あなたのような人と一緒に戦えないッ!!」ダッ

優花里「あっ!?沙織殿!!?」

エリカ「……4人いればなんとかなるわよ」

華「―――――なら、これで3人ですね」

優花里「華殿……?」

華「エリカさん、私があなたと共に戦おうと思ったのはあなたの中に道を見たからです」

エリカ「……」
549 : ◆CiPcK8.1Gc [saga]:2018/03/17(土) 18:52:36.45 ID:MJksQBve0
華「ですが、それはどうやら私の見誤りだったようですね。……死者を、それも命の恩人を愚弄するような輩と共に歩く道は、私にはありません」

エリカ「……そう」

華「今までお世話になりました」

優花里「ああそんなっ……華殿まで、ま、待ってください!?」

エリカ「止めなくて良いわよ。やる気のないやつはいるだけで邪魔だから」

優花里「エリカ殿っ!?」

エリカ「……麻子、あなたはどうするの」

麻子「……私は逸見さんに個人的な恩がある。おばぁの一件、今でも感謝している。だから、私は最後まで残る」

エリカ「……そう。あなたは?」

優花里「えっ!?わ、私も最後まで残るつもり、です」

エリカ「それなら、せめてもう一人乗員をみつけないとね……とりあえず、優花里。あなたにはしばらく砲手も兼任してもらうわ。負担が増えるけど代わりが見つかるまでなんとか頑張って」

優花里「そ、それは構いませんが……」

エリカ「なら、今日はここまでね。私は帰らせてもらうわ」

麻子「……ああ、ゆっくり休んだほうが良い」

優花里「ちょっ、エリカ殿!!」
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