【ガルパン】エリカ「私は、あなたを救えなかったから」

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1 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2017/12/29(金) 22:28:49.39 ID:3UUVGVQ/0



濁流が、少女を乗っている戦車ごと押し流そうとしてくる


冷たい水が、命を奪っていくのを少女は肌で感じる




「やめてっ!!離してっ!!」

「やめません、離しません」







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2 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2017/12/29(金) 22:30:01.00 ID:3UUVGVQ/0




流されていた戦車は浅瀬にか、あるいは突き出た岩にでも引っかかったのか、車体全部を水に沈めながらもキューポラから上体を出すことで少女は辛うじて息ができていた。

だが、それも長くは持たないだろう。戦車の川への抵抗は少しずつ弱くなっていく







「っ…あなたまで流されるわよっ!?」

「大丈夫です、エリカさん。あなたは絶対に助けますから」







3 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2017/12/29(金) 22:31:48.80 ID:3UUVGVQ/0


エリカと呼ばれた少女―――その眼前にいる栗毛の少女は、片手で必死に車体を掴みながらも、もう片方の手で水に沈むエリカの手を握りしめていた

荒れ狂う濁流は少女たちを、繋いだ腕ごと引き裂こうと言わんばかりに容赦なく襲い掛かってくる

このままじゃ共倒れだと、私を見捨てて。と、エリカが何度叫ぼうとも栗毛の少女はその手を緩めず、必死にエリカを引き上げようとしていた









「このままじゃっ、あなたまでっ!!」








4 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2017/12/29(金) 22:33:06.11 ID:3UUVGVQ/0




エリカの体が、戦車の抵抗が無くなっていくのを感じ取る






「――――逃げて!!お願い私のことなんかっ!!」

「エリカさん。大丈夫だから」

「なんで!?―――も死んじゃうっ!?」






5 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2017/12/29(金) 22:33:45.36 ID:3UUVGVQ/0







大丈夫。その言葉にどれほどの説得力があるのか、それはきっと栗毛の少女自身が感じているだろう。

そして、とうとう車体の抵抗がなくなる。

重い車体がゆっくりと押し流されていく








6 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2017/12/29(金) 22:34:45.41 ID:3UUVGVQ/0


「っ!!」


それを感じ取った栗毛の少女は、一層強くエリカの手を握りしめる



「どうして……どうして離してくれないの……?お願いっお願いだから……」



エリカは必死で懇願する。もはや自身の命よりも、目の前の少女の命が自身のせいで散ることを恐れていた



「お願い……あなたまで巻き込みたくないのよ」



7 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2017/12/29(金) 22:35:43.91 ID:3UUVGVQ/0





「エリカさん」




体力を冷水に奪われ、もはやつぶやくような声しか出なくなったエリカに

栗毛の少女はそっと顔を近づけ―――――








「絶対にあなたを死なせたりしない。だって――――」







8 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2017/12/29(金) 22:36:13.22 ID:3UUVGVQ/0









「私は、あなたに救われたから」











9 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2017/12/29(金) 22:36:47.42 ID:3UUVGVQ/0







微笑んだ






10 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2017/12/29(金) 22:43:38.04 ID:3UUVGVQ/0




キーンコーンカーンコーン


エリカ「……」

沙織「ヘイ彼女!一緒にお昼どう?」

エリカ「……?」

華「突然すみません。よろしければ一緒にお食事できたら、と」

エリカ「……遠慮しとくわ。食事は一人で摂る主義なの」ガタッ

華「あっ……」

沙織「フラれちゃったぁ〜」

華「やはり、いきなり声をかけたのがまずかったのでは……」
11 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2017/12/29(金) 22:48:28.05 ID:3UUVGVQ/0





ガヤガヤワイワイ




エリカ「……」モグモグ

沙織「華―!ここ空いてるよー!」

華「沙織さん、待ってくださ……あら?」

エリカ「あなた達……」

沙織「アレー?逸見さんじゃん。奇遇ダネー」

華「沙織さんったら……」

沙織「ねぇ、ここ座っても良い?」

エリカ「別に、私の場所じゃないから……勝手にすれば?」

沙織「やったぁ♪」

華「それでしたら、失礼します」

沙織「あっ逸見さんそれハンバーグ定食?お目が高いね!それ、ここの人気メニューなんだよ?」

華「私もよく頂いています」

エリカ「……ええ、たしかに美味しいわね」

沙織「……あのさっ!私達前から逸見さんのこと気になってたのっ!」

エリカ「……は?」

沙織「逸見さん綺麗で、佇まいもなんか凛としててクールな感じでさ。ついつい目が向いちゃってたんだ」

エリカ「……そう」
12 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2017/12/29(金) 22:50:13.41 ID:3UUVGVQ/0
沙織「それにこの髪!!雪みたいに綺麗で……おとぎ話の住民みたい!!」

エリカ「……ま、まぁ、それなりにケアには気を使ってるわね。……私の、自慢だから」

沙織「あっ!やっと笑ってくれた―!」

華「可愛い笑顔ですね」

エリカ「か、からかわないで!」

沙織「ふふっ、最初断られたときは駄目かなーって思ったけど頑張ってよかった」

華「はい。逸見さん、よろしければ私達と友達になってもらえませんか?」

エリカ「……武部さんに五十鈴さんだったっけ?私と友だちになっても良いこと無いわよ?」

沙織「友達ってそういうものじゃないでしょ?……ってあれ?私達の名前知ってるの?」

エリカ「一応、クラスメイトのフルネームぐらいは把握してるわよ……昔の癖でね」
13 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2017/12/29(金) 22:58:23.12 ID:3UUVGVQ/0
沙織「へぇー、逸見さん自分以外の人間に、っていうか人類に興味ないって感じだったのに」

エリカ「ケンカなら買うわよ?」

華「沙織さん、いきなりケンカを吹っかけるだなんてやりますね」

沙織「ちょっ!?違うから!?な、なんていうか、どこか浮世離れしてる感があったっていうかー」

華「たしかに、どこか近寄りがたい雰囲気はありましたね」

エリカ「……はぁ。良いわよ」

沙織「え?」
14 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2017/12/29(金) 23:04:08.75 ID:3UUVGVQ/0
エリカ「友達。なってあげるわよ……一人なのもいい加減退屈だし」

沙織「やっったぁー!!よろしくね、エリカ!!」

エリカ「い、いきなりね……」

沙織「改めて、私は武部沙織!」

華「五十鈴華と申します。エリカさんも、私達のことは名前で呼んでください」

エリカ「……沙織、華、よろしくね。……これでいい?」

沙織「うんうん!!よろしくね♪」

華「よろしくお願いします」
15 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2017/12/29(金) 23:09:42.23 ID:3UUVGVQ/0





沙織「今日帰りにお茶してかない?」

エリカ「遠慮しておくわ」

沙織「えー?そっけなーい……」

華「沙織さん。エリカさんにも予定があるのですから」

沙織「でもさーせっかく仲良くなったんだから一緒に甘いものでも食べながらおしゃべりしたいよー」

エリカ「……別に予定があるわけじゃないわ。ただ、その……あなた達が喜ぶような話の持ち合わせは無いわよ?」

沙織「いいよいいよ!だったら私達がいっぱい話すから!!エリカまだ転校してきたばっかでしょ?ここの事一杯教えてあげるから!」

エリカ「……わかったわ」

沙織「決まり!それじゃあ放課後ね!」

エリカ「あなた、意外と強引ね?」

沙織「男をオトすなら守るより攻めろっ!だからね♪」

華「オトせた人数は0ですが」

エリカ「説得力無い話ねぇ……」
16 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2017/12/29(金) 23:12:46.59 ID:3UUVGVQ/0
ガラララッ

桃「失礼する」

杏「……」

柚子「……」










沙織「あれって……」

華「確か、生徒会の……」
17 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2017/12/29(金) 23:15:15.90 ID:3UUVGVQ/0
桃「会長。彼女が」

杏「おーい。あー……逸見ちゃんだっけ?ちょっといいかな?」

桃「少々話がある」

エリカ「……何か用ですか?」

杏「必修選択科目なんだけどさぁ、戦車道とってね。よろしく」

エリカ「この学校に戦車道は無かったはずじゃ……」

桃「今年度から復活することになった」

エリカ「……何故私に?」

杏「わかってんでしょー?とにかくよろしく!」

エリカ「……話を聞かせてもらえます?履修するかどうかはそれからで」

杏「……おっけー、なら放課後生徒会室に来て?まぁ、絶対に戦車道履修してもらうけどさ」

エリカ「沙織、華。悪いけどお茶の予定はキャンセルで」

沙織「エリカ……」

華「エリカさん……」
18 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2017/12/29(金) 23:18:23.65 ID:3UUVGVQ/0





エリカ「……で、なんでついて来てるわけ?」

沙織「だってエリカ生徒会室の場所知らないって言うから案内してあげたんじゃん」

エリカ「なら、もう着いたんだから大丈夫よ」

沙織「せっかくここまで来たんだから最後までついて行かせてよ。乗りかかった船ってやつ!」

華「学園艦にはすでに乗っていますけどね」

エリカ「……はぁ。邪魔はしないでよ」

沙織「わかってるってー」

華「承知しています」

エリカ「……」コンコン

杏『どうぞー』
19 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2017/12/29(金) 23:20:45.92 ID:3UUVGVQ/0
エリカ「失礼します」

沙織「失礼します!」

華「失礼します」

杏「やーやーよく来てくれたね。ありゃ?その二人は?」

沙織「エリカの付き添いです!」

華「付き添いの付き添いです」

エリカ「だそうです」

杏「あっそ、まぁいいや。早速だけど逸見ちゃん、戦車道履修してよ」

沙織「戦車道って……」コソコソ

華「華道・茶道と並び立つと称される伝統的な武芸ですね。乙女の嗜みと言われています」コソッ

沙織「へぇー。で、なんで生徒会はエリカに戦車道を履修させたいの?」コソッ

桃「それは逸見が戦車道の経験者だからだ」

沙織「わっ聞こえてた……って、え?そうだったの?」
20 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2017/12/29(金) 23:22:48.61 ID:3UUVGVQ/0
桃「逸見エリカ。かつて大会9連覇の偉業を達成した強豪、黒森峰女学院戦車道チーム。お前はそこの元レギュラーメンバーでその実力は副隊長に次ぐと内外に評価されていた。……合っているか?」

エリカ「まぁ、大体合ってますね」

桃「ふふん。我々生徒会の諜報力を甘く見るなよ?」

柚子「調べたのは会長でしょ?」

エリカ「でも一つだけ間違ってるわ――――逸見エリカの実力は副隊長を超えていた。そう訂正しておきなさい」

杏「ああ、そりゃすまないね」

沙織「エリカそんなすごい人だったのっ!?」

華「戦車道で、黒森峰……戦車道に明るくない私でも名前程度ですが聞いたことがあります」

エリカ「それで?」

桃「は?」
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