テロリスト「「「この列車は俺たちがハイジャックした!!!」」」

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220 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/26(火) 18:14:50.16 ID:S4IgpjZso


黒コート「何?」

桜色の女「だから、鉄仮面のほうは、拙者が仕留めるでござるよ。つまり、おぬしらの味方でござる」


桜色の女「なので料理を食べたコトは見逃してほしいでござる! この通り、カンベン!」

料理長「貴様、そんなコトで許されると思って……」

ウェイター「まあまあ、状況が状況だぜ。おやっさん。ここは休戦といこうや」

ウェイトレス「うん。正直戦うのめんどくさい」


革ジャン「ってコトは、俺の相手は、赤いほうか……。オーケー、だな?」

運転士長「うむ。各自良ければ、私に異存はない」
221 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/26(火) 18:15:16.89 ID:S4IgpjZso


魔王「彼女を助ける方法か……。まあ、あるにはあるが」

執事「それはいったい!?」

魔王「実は、世界には、生き物が死んだ後に魂が行くコトになる、冥界って場所がある」

魔王「もう死ぬべき人間、まだ死ぬべきでない人間。それは、冥界で一括管理されている」


魔王「そして今の嬢ちゃんは、俺が魔力の浴びせすぎで殺してしまった、いわば事故だ」

魔王「加えて、冥界の王である冥王は、俺の知り合いだ」

魔王「だから、俺が冥王に頭を下げて、お願いすれば……」

執事「まだ死ぬべきでない人間として、蘇生できるかもしれない!?」

教授「あ、頭が痛くなってきた……」
222 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/26(火) 18:15:43.78 ID:S4IgpjZso


魔王「そうだ。だが冥王はシゴト熱心だからな」

魔王「ウカウカしてると嬢ちゃんの魂も、彼岸に連れていかれるかもしれん」

魔王「そして天界に連れていかれれば、どうダダをこねても蘇生は不可能だ」

執事「そんな……!」


魔王「だから事は一刻を争う。一刻も早く、俺が行って、嬢ちゃんを連れ戻さないと」

教授「待って……。冥界には、どうすれば行くことが出来る?」

魔王「おい待て。まさかお前さんも行く、なんて言うんじゃ……?」

教授「……今回の事態は、私が遠因のようなモノ。彼女がこうなった、責任の一端は私にある」

魔王「……。最近の人間も、やっぱ捨てたモンじゃないな」
223 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/26(火) 18:16:10.81 ID:S4IgpjZso


魔王「だがダメだ。冥界は、死神族が跋扈する、魔族の領域」

魔王「魔族である俺なら出入りも自由だが、人間だとそうはいかない」

魔王「……ここは堪えてくれ。嬢ちゃんの魂は、俺が責任を持って必ず取り戻す」

教授「……わかった。信じるよ、魔王」


魔王「それじゃ、よいしょっと……」ガタッ

執事「……? 壁にもたれかかる必要が、あるのですか?」

魔王「ああ。冥界へ行くには、外界に肉体を残して、魂だけを飛ばす必要があるから、な」

魔王「だが俺の肉体に何かあれば、外界へは戻ってこれない。俺が戻るまで、俺を守ってくれよ」

教授「ええ。ならば私も、貴方の頼みに責任を持つ」
224 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/26(火) 18:17:20.35 ID:S4IgpjZso


――冥界


副運転士「え! 私たちの列車をご存知なんですか!?」

冥王「ええ、そらもう。懐かしいなあ。それが今回、冥王のわてが出張ってきた理由なもんでして」


冥王「―――今日の夜。乗員乗客が全員死ぬ、ドライ・ブラー号の大量の魂をきちんと回収するために」


副運転士「え……?」


副運転士「乗員乗客が、全員死ぬ……」

副運転士「……って、どういうコトですか」キッ
225 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/26(火) 18:17:48.15 ID:S4IgpjZso


冥王「おや。目つきが変わりましたなぁ」

副運転士「……あのですね。冥界の冥王だか、なんだか知りませんが」


副運転士「いくらイケメンでも言っていいコトと悪いコトがありますよ……!!」グイッ

冥王「え、エリ首捕まんとってください。わてが殺してるわけやあらへんし」ググググ


副運転士「…………」

冥王「く、詳しくお話しします。やから、放してくれまへんか」ググググ

副運転士「っ……」パッ

冥王「ふ、ふう……。お嬢さん、見かけによらず、力ありますなぁ」
226 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/26(火) 18:19:08.69 ID:S4IgpjZso


副運転士「……もう一度、おうかがいします」

副運転士「今日の夜。ドライ・ブラー号の、乗員乗客が全員死ぬ、ってどういうコトですか」

冥王「……。それなら、まずこれを見てくれまへんか――――」


死神A「め、冥王さま〜! 勝手に動き回らないでください!」

冥王「お。死神はん、お疲れさんです。探してるの、この人ちゃいますか?」

死神B「……! ド、ドライ・ブラー号の制服! マチガイない、この女性です!」

副運転士「え……? あの……」


死神B「乗務員さん! その節は、本当に申し訳ございませんでした」ガバッ
227 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/26(火) 18:19:36.15 ID:S4IgpjZso


副運転士「え? あ、あの、何か知りませんけど、頭上げてください!」

副運転士「と、頭部はついてないみたいですけど」

死神B「い、いや。そういうワケには……」


死神B「覚えていらっしゃいませんか? その、ですね……」

死神B「今年の春、ドライ・ブラー号にごメイワクをおかけした、死神族の者なんですが……」

副運転士「……えっ、ああ! 今年の春の!?」

死神B「そうです! 思い出していただけましたか!?」

死神B「その節は、本当にごメイワクをおかけしました。申し訳ありません」

副運転士「いやいや、いいんですよ。それに私、その当時いた乗務員じゃありませんし」
228 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/26(火) 18:20:03.10 ID:S4IgpjZso


死神B「そうなんですか? しかし、私たちが貴女のご同僚に、ごメイワクをおかけしたのも事実……」


死神B「……それと。今回のコトは、本当に災難でした。お悔やみ申し上げます」

副運転士「……?」

死神B「けれど、今年の春の罪滅ぼしというワケではありませんが……」

死神B「ドライ・ブラー号の皆さんの死後のお世話は、私たちが責任を持ちたいと思います」

死神B「どうぞご安心ください」

副運転士「し、死後の世話……。それに、今回のコト、とは」


冥王「お嬢さん、それですよ。わてが今から見せよう思たんは」スルルッ
229 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/26(火) 18:20:29.99 ID:S4IgpjZso


副運転士「え……? なんですか、この巻物は?」

冥王「そうですなあ。いわゆる、エンマ帳ってやつやろか。その複製品です」

副運転士「エンマ帳……! それって、これから亡くなる人物の名前が書かれているという……?」

冥王「そうです。それで、ここを見てくれまへんか。今日の部分です」


副運転士「……う、うそ。そ、んな…………」

副運転士「ド、ドライ・ブラー号のみんなの名前が、ビッシリ、と……」

冥王「わかってもらえましたか?」

冥王「何も悪気があって、乗員乗客が全員死ぬとか言うてるんちゃいます」

冥王「単に、このエンマ帳に名前があるから、魂に取りこぼしが無いよう来ただけなんや」
230 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/26(火) 18:20:57.83 ID:S4IgpjZso


副運転士「そ、そうだったん、です、か……。…………」

副運転士「……ごめんなさい。冥王さん。さっきは、掴みかかっちゃって」

冥王「いやいや。ええんですよ。誰にでも、マチガイはあります」


冥王「でも、どうしてそこまで……?」

冥王「例えば、わてが冥界の役人ごと、天界の主神はんに消されることになったとしても……」

冥王「そんな主神はんに掴みかかるほど怒らへんと思うけどなあ」


副運転士「……私、今日列車が大変なコトになるって、知って。誓ったんです」

副運転士「この年末年始の運行を、絶対に成功させるんだって」
231 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/26(火) 18:21:25.00 ID:S4IgpjZso


冥王「え……?」

副運転士「どんな大変なコトがあっても、乗客の皆さんを守るって」

副運転士「そう決めてたんです」


副運転士「だから、ドライ・ブラー号のみんなや、乗客の皆さんが死ぬ、なんて言われて……」

副運転士「つい、カっとなっちゃって」


副運転士「…………、…………」グス


副運転士「……でも、だったら、だからこそ!」

副運転士「やっぱり私は、こんなところで死んでなんかいられません!!」
232 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/26(火) 18:21:53.46 ID:S4IgpjZso


副運転士「お願いです、冥王さん! 今すぐ、私を生き返らせてください!」

副運転士「私は今すぐドライ・ブラー号に戻って、みんなを助けなきゃいけないんです!」

冥王「わ、わがままやなあ、あんさん。ちゃんと大学出たはるか? いくつ?」

冥王「あのな。このエンマ帳に書かれた、天界の意思いうのは絶対や。わてらには変えられへん」

冥王「そしてわてはただの執行者。執行者が、自分の意思で、上の命令に背いたらいかんのや」

副運転士「うぐ……。わかります。シゴトではちゃんと命令に従わないとですよね」

副運転士「でも、そこをなんとか! これは、これだけは! 絶対に譲れないんです、私は!!」

冥王「おろろ……」


魔王「……お――――――い!」
233 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/26(火) 18:22:21.90 ID:S4IgpjZso


死神A「……おや? どこからか、声が」

冥王「なんや聞きなじみのある声やなぁ」


魔王「お――――い! 誰かいないか〜……」


冥王「ああ、やっぱり。おーい、こっちやで〜」ノシ

魔王「お――……。お? お!! ……あー、やっと見つけたぜ!」


魔王「あんた、ドライ・ブラー号の乗務員の嬢ちゃんだな!?」


副運転士「え……?」
234 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/26(火) 18:22:50.56 ID:S4IgpjZso


冥王「おや、魔王はん。久しぶりですなあ。いや、今は碧夕王やったか?」

魔王「それはただの称号だ。お前こそ元気みたいだな、冥王」

冥王「ははは。みんな死んどる世界で、元気にやらせてもろてます」


魔王「しっかしお前、久し振りに来たが冥界、相変わらずアクシュミだなあ……」

魔王「お前さ、こんな鬱蒼とした森じゃなくて、もっとキラキラしたネオンビルとかにしねえ?」

魔王「死んだ魂もさ、死んだうえに来たのがこんなトコじゃあ、そりゃあ萎えちまうってモンだぜ」

冥王「はあ。しかし木ィ切り倒すにしても、冥界環境保護団体がうるさぁてなあ……」


副運転士「え、あの……? あれ、ええと?」
235 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/26(火) 18:23:21.84 ID:S4IgpjZso


魔王「―――お。そうだ、お嬢ちゃん。俺の用は、お前だ」


魔王「帰るぜ、今すぐ。あんたの職場、ドライ・ブラー号に」


副運転士「え……!?」

冥王「ちょ、ちょっと。なに言うてはるんですか?」

冥王「魔王はん。いくらあんさんでも、それは困ります」

冥王「死者の魂を如何するかは、冥界の領分。魔王の仕事とちゃいます」


魔王「ああ、それだけどな。その女の子、俺が間違って殺しちまったんだ」

魔王「つまり完全な事故ってワケ。過失事故。となれば本来、彼女はここで死ぬ運命じゃない」
236 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/26(火) 18:23:54.76 ID:S4IgpjZso


魔王「なら、外界に戻っても、何の問題も無いだろう?」

冥王「ふむ……。魔族による、事故ですか。魔界との規定もある。せやったら、まあ……」


冥王「せやけど、それはそれで、また別の問題になるんちゃいますか?」

冥王「魔界の魔王、それも七魔公王が、魔界のルールを破って人間殺したとか……」

魔王「うぐっ! そ、ソーベリーウィーク……」

魔王「ま、ま。そこは俺とお前の仲ってコトで? ちゃちゃっと揉み消しといてくれよ」

冥王「はあ……。わかりました。なら、そのように手配しときます」

魔王「よっしゃ!!」

冥王「まったく。そんなコトで、部下の魔族に示しがつくんやろか……」
237 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/26(火) 18:24:27.76 ID:S4IgpjZso


副運転士「あ、あの……? 貴方は……」

魔王「ん、俺か? 俺は、たまたまドライ・ブラー号に乗り合わせた魔王の者だ」


魔王「良かったな、嬢ちゃん。また冥界から人間界に戻れるコトになったみたいだぞ」

副運転士「え……。ほ、本当ですかっ!?」

魔王「ああ。本当だ。魔王、ウソつかない」キラ


死神A「あ、あの……! 七魔公王の、碧夕王さまですよね! サイン貰えますか!?」

魔王「ん? 死神族のところの死神か。俺の管轄じゃないが……。ああ。お前の着てるローブでいいか?」

死神A「あ……! ありがとうございます! 一生タイセツにします!!」
238 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/26(火) 18:24:56.88 ID:S4IgpjZso


冥王「……はい、はい。今、このお嬢さんが外界に戻れるようにしといたで、魔王はん」

魔王「ありがとうよ、冥王。やっぱ持つべきモノは友だな」

冥王「せやけど、意味あるんやろか? お嬢さんも含めて、列車の乗員乗客は、今日皆死ぬ運命やで」


魔王「何……?」

冥王「ほら。エンマ帳の、ここ見てみ。こんだけの人が死ぬんやから、相当な事故や思うが……」

魔王「……本当だ。乗務員の嬢ちゃんはモチロン、教授の嬢ちゃんや、執事の兄ちゃんまで」


魔王「ちなみに、死因はなんだ?」

冥王「死因? ええと。―――なんやこれ? 火砕流に、土石流。火山弾、やと?」
239 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/26(火) 18:25:30.01 ID:S4IgpjZso


魔王「火砕流、土石流、火山弾!? や、やっぱり……」

冥王「ま、まさか。ドライ・ブラー号で、アレが目覚めるとでも……」


冥王「……ちょっと待て、魔王はん。今、『やっぱり』て言うたか? あんた、なんか心当たりあるんか!?」

魔王「俺の独自の調査だが。今回のドライ・ブラー号の事件には、天界が関わっている。十中八九」


冥王「……なるほど。そういうことか。ちょっと、お嬢さん。一つええですか?」

副運転士「え。あ、ハイ。なんですか……?」

冥王「さっきあんさん、『今日列車が大変なコトになるって、知って』……って、言いましたな」


冥王「―――それ。誰から聞いた情報や?」
240 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/26(火) 18:26:20.34 ID:S4IgpjZso


副運転士「え、ええと。言っても、信じてもらえるか、わからないんですけど……」

副運転士「夕方ごろ、運転室に突然現れた、白ドレスの女のヒトです」

魔王「……!!」


魔王「おい、嬢ちゃん! ソイツは何を言っていた? いったい何と名乗った!?」

副運転士「いや、名前は聞いてないんですけど。要約すると、この列車の運命は、私たち次第だ、と」


魔王「……白ドレス。白色。運命。なるほど。なるほどなあ」

冥王「なにやら、きな臭ぁなってきましたなぁ。このエンマ帳に、書かれていることも」パンッ

魔王「ああ。エンマ帳を発行しているのは、天界……。これはひと悶着、ありそうだぜ」
241 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/26(火) 18:26:50.70 ID:S4IgpjZso


魔王「おい、乗務員の嬢ちゃん! そうとなれば、急いで、列車に戻るぞ」

副運転士「えぇ? そりゃ、列車には戻りますけど……。どうして、急いで?」

魔王「俺たちのいない間に、悪さをされちゃあ困るからだ。そう、今回の黒幕――――」


魔王「―――“白の大天使”、にな」


副運転士「だ、大天使!? それはいったい……」

魔王「読んで字のごとく、だ。大天使。大いなる天の使い」

魔王「中でも白の大天使といやあ、神出鬼没、自由奔放、ハタ迷惑で有名だが……」


魔王「そのエンマ帳の、死亡リスト。それも白の大天使が原因の可能性がある」
242 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/26(火) 18:27:19.22 ID:S4IgpjZso


副運転士「と、というコトは……!?」

魔王「ああ。エンマ帳の死亡リストは天界の管理。つまり、白の大天使をとっちめれば……」


魔王「その死亡リスト。無かったコトにだって、出来る」


副運転士「……!」

副運転士「よ、よくわかりませんけど。それはつまり……」

副運転士「ドライ・ブラー号のみんなや、乗客の皆さんを、助けるコトができるんですねっ!!?」

魔王「ああ。その通りだ」


冥王「やれやれ。知らんうちに、なんか大事になってきましたなぁ。しかし、なら、ついに……」
243 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/26(火) 18:27:50.23 ID:S4IgpjZso


魔王「というワケで、俺たちは外界に戻る!」

魔王「もしもエンマ帳の中身が書き換わった時の対応! それと、俺の不祥事の揉み消し!」

魔王「頼んだぜ! 冥王!!」

副運転士「あ、あの! 冥王さん、お世話になりました! また会いましょう!!」


冥王「はいはい。いや、あんまり会わへんほうがええと思うで……」


死神A「……あの、冥王様。つまり、これはいったいどういう?」

冥王「うーん。まあ、このエンマ帳の中身も、運命も、絶対やない。いうことかなあ」

死神B「はあ……?」
244 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/26(火) 18:28:17.65 ID:S4IgpjZso


――6号車【食堂車】


魔王「―――はっ!」パチクリ


執事「ま、魔王さん! お戻りですか!?」

魔王「あ、ああ……。なんとか。当初の目的は、達成できたみたいだ」


副運転士「う、うーん……。あれ、ここは?」パチッ


教授「う、運転士さん!! 良かった……」ギュッ

副運転士「きょ、教授さん!? く、くるしい。……って、あれ?」
245 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/26(火) 18:28:46.57 ID:S4IgpjZso


桜色の女「―――ふっ!」フォン

仮面の男「おっと危ない!」バッ


スパッ


仮面の男「ふう……。後ろのテーブルが音も立てずに真っ二つ、とは。腕を上げたね」

仮面の男「それよりも、君もこの列車に乗っていたんだね。春風の旅人よ」

桜色の女「ああ。元々は、この時代にメイワクをかけたという、貴様を誅するためだったが……」


桜色の女「今は、一人の剣客として。貴様の血が欲しい」スッ

仮面の男「僕を列車の者に売り渡す、か。それもいいだろう。僕たちの戦いは、行雲流水なれば……」スッ
246 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/26(火) 18:29:14.68 ID:S4IgpjZso


黒コート「革ジャン! そっちに行ったぞ!!」


革ジャン「くそがあ、チョコマカとっ!!」バンバンバン

ヒーロー「ふははははっ!! 当たるか当たるか、当たるモノかぁっ!!」ヒュンヒュンヒュン

革ジャン「てめえ! バク転しながら避けるとか、ナメてんのかああああ!!?」

ヒーロー「いやいやいや!! ナメてなどいない!! 単に君の弾道が非常に読みやすいだけだ!!」


黒コート「―――そうだな」フワッ

ヒーロー「え……?」クルッ

黒コート「お前の動きも、非常に読みやすい」
247 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/26(火) 18:29:41.38 ID:S4IgpjZso


乗客A「な、なんなんだね、これは。さっきから……」

乗客B「こんなイベント聞いてないけど!?」

乗客C「すごーい! たのしい!」

ウェイター「コチラ、当列車のサプライズイベントとなっております」

ウェイター「危ないので、白線の内側でご観覧ください」

ウェイトレス「ごかんらんくださーい」


副運転士「な、なんですかコレは……!? な、何がいったいどうなって」

運転士長「おや、気がついたか。いや、君が気を失う前後に色々あってね……」

副運転士「色々ってレベルですか!?」
248 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/26(火) 18:30:08.98 ID:S4IgpjZso


―――それは春風などという生易しいものではなかった。


桜色の女「―――。―――っ」

仮面の男「ふっ―――、ふっ! やはり君の剣筋、美しい! 客室に刀を置いてきた僕が恨めしい!!」


女の剣筋に一切の無駄はなかった。

一振り、一振りが、男の首を正確に狙う一撃。すんでのところで避けられた斬撃は、
取って返す刀で、再び男の首に追いすがる。その姿はまるで、獲物に食らいつく狼のように。

いや。狼と形容するならば、この刀の使い手こそが、この場で最もふさわしいだろう。

桜色の女の、普段の風来坊らしい、泰然自若とした余裕の姿は消え失せ。
ただ敵の赤い命の奔流を求める、かまいたちの如き飢狼だけが、そこにいた。
249 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/26(火) 18:30:36.84 ID:S4IgpjZso


―――突如としてそれは、赤い仮面の真後ろに現れた。

ポリマースーツは、けっして革ジャンの男の銃技をあなどっていたのではない。
単純に、革ジャンの男の銃弾は、彼にとってバク転が最も避けやすかったのだ。

正確ではないが、常人の反応速度をゆうに超えた速さで放たれる、早撃ち。
まともに目測で指の動きを読んでいたのでは、その瞬間に既に撃ち抜かれている。

ならば、それを上回る速さで回ればいいじゃないか。ヒーローはそう考えた。

だが、その合理的な考えが、正義の味方気取りの男の背後に、致命的な隙を与えた。


黒コート「時空整備課を……」

ヒーロー「――――あ」

黒コート「ナメるなァァッ!!!」
250 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/26(火) 18:31:07.56 ID:S4IgpjZso


黒コートの女は、ただの一般人である。

少し運動の才能に優れ、少し技術の努力を積み、少し踏んだ場数が人より多いだけの、
付け加えるならば少し未来からきただけの、ただの一般人である。

特別な能力など、何も持っていない。
魔族や一部の傭兵のように、魔法を使えるわけでもない。
ましてや、この日を待ちに待ったテロリストのように、重火器があるわけでもない。

―――そう。彼女が持っているのは。


ヒーロー「ぶべらああああああああああああああああああ!!!!!!」


鍛え抜かれた筋肉。漆黒に覆われた、長い肢体から放たれる――――

一撃必殺の体術。赤い硬質な背中を撃ち抜いた、ただ一発の蹴撃であった。
251 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/26(火) 18:31:35.95 ID:S4IgpjZso


桜色の女「な―――? 赤いカタマリ……!?」

仮面の男「えっ? あの、ちょっ―――、待っ――――」


―――仮面の男は、完全に気を取られていた。

いや、彼の名誉のために言い替えるならば。
仮面の男は、完全に自分たちの戦いに酔いしれていた。

桜色の女との、幾度目かになる決闘。
彼と彼女の戦いは、必ず偶然によって起こる、戦いのためではない戦いだった。
だからこそ仮面の男は、その戦いの“意味の無さ”に、酔いしれていた。

そう、酔いしれていた。

酔いしれていたがゆえに、桜色の女は気付き、彼は気付かなかった。
とある黒い警察官が蹴り飛ばした、赤い塊が、自分たちの元に飛来していることに。
252 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/26(火) 18:32:02.98 ID:S4IgpjZso


小型メカ「まったく。さっきから、何をしているんですか? バタバタと……」フワフワ

小型メカ「いいですか? ヒーロー気取りのお兄さん」

小型メカ「貴方の目的は、私たちの同僚が追っている、鉄仮面の男ではなく――――」

ヒーロー&仮面の男「「ぶべらああああああああああああああああああ!!!!!!」」


             \   ..::::\        / ̄ ̄`7ヽ_|ヽ_|              l^l       |  |:::::::::::::::::::::::::
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                  【 食堂車の壁 】                             【 線路の近くの木 】
                         |   ..::|                               |  |:::::::::::::::::::::::::
                     ,、,...、...|   ..::|.... ,,、,.                               |  |:::::::::::::::::::::::::
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253 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/26(火) 18:32:30.35 ID:S4IgpjZso


                                            _                                  _.  _   _
                               ヽ`              | | ロロ                              | | | | | |
                              ´               | |_   __ロロ   _       _     _      _    | | | | | |
                               ´.              .| __|   |   |.  _| |_  _| |_   _| |_   l二l | |   |_| |_| |_|
                           __,,:::========:::,,__       .| |       ̄| |  l_   _l   l_   _l  l_   _l   __| |     _   _  _
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   .......;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙       .'                             ヽ      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;......
  ;;;;;;゙゙゙゙゙            /                           ゙:                ゙゙゙゙゙;;;;;;
  ゙゙゙゙゙;;;;;;;;............        ;゙                              ゙;       .............;;;;;;;;゙゙゙゙゙
      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;.......;.............................              ................................;.......;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙
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              ノi|lli; i . .;, 、    .,,            ` ; 、  .; ´ ;,il||iγ
                 /゙||lii|li||,;,.il|i;, ; . ., ,li   ' ;   .` .;    il,.;;.:||i .i| :;il|l||;(゙
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                         ´゙゙´`゙``´゙`゙´``´゙`゙゙´´


小型メカ「ええええええええええええええええええええええええ!!!!!?」

革ジャン「あ、オペ子ちゃんのメカじゃん。こんなとこで何やってんだ?」
254 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/26(火) 18:32:57.23 ID:S4IgpjZso
第四章「夜中・後」は以上になります。
登場人物はこれで全員です。

第五章は、明日12/27(水)の18時ごろ開始の予定です。
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2017/12/27(水) 00:41:24.09 ID:aOQkiWvX0
キャラ増えすぎて分からないからまとめてみた、ついでに目的も

白ドレス(女)  :特級指名手配犯00046号、目的は「“見世物”の見物?、乗客たちが運命を変える?」事
店員       :サッポロ駅売店のただの店員
紳士(男)    :白ドレスの追っかけ、目的は「任務を遂行する?」事
駅員       :紳士の喫煙を注意したただの駅員
車掌(男)    :ドライ・ブラー号の車掌、過去に魔族の襲撃に遭うも撃退する
ウェイター(男) :食堂のウェイター、過去に魔族の襲撃に遭うも撃退する 
ウェイトレス(女):食堂のウェイトレス、過去に魔族の襲撃に遭うも撃退する
副運転士(女)  :ドライ・ブラー号の副運転士、一度死んでいきかえった、目的は「乗客の方々に上質な列車の旅を提供する」事
運転士長(男)  :ドライ・ブラー号の運転士長、過去に魔族の襲撃に遭うも撃退する、目的は「乗客の方々に上質な列車の旅を提供する」事
パイロット    :キノコ頭とテロリスト達を運んできた、ヘリで来た
キノコ頭(男)  :テロリスト達のリーダー、き○こ派、目的は「教授の持つ、“最強の兵器”を手に入れる」事
テロリストABCD  :キノコ頭の部下、き○こ派、
教授(女)    :高校生で科学者、“最強の兵器”持つというが実は完成してない、冬休みの宿題に手を付けてない、目的は「オーサカで“最強の兵器”の発表会をする」事
執事(男)    :教授の部下、目的は「教授を守る」事
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2017/12/27(水) 00:43:30.52 ID:aOQkiWvX0
弓使い(女)   :自称通りすがりのフリーター、目的は「オーサカへ行く」事
剣使い(男)   :目的は「オーサカへ行く、族長と再戦する」事
銃使い(女)   :子供、目的は「オーサカへ行く」事
革ジャン(男)  :タイムパトロール、後輩、たけ○こ派、目的は「時空指名手配犯を捕まえる」事
黒コート(女)  :タイムパトロール、先輩、目的は「時空指名手配犯を捕まえる」事
フロント     :過去に魔族の襲撃に遭うも撃退する
族長(♂)    :青鬼族の族長、必殺技は青い炎、アル〇ォート派、目的は「魔翌力塊の強奪、オーサカで行われる発表会を潰す、剣使いと再戦する」事
魔族ABCD     :族長の部下、アル〇ォート派
マスター(男)  :ラウンジのマスター、半身機械、目的は「魔族から乗客を守る」事
ヒーロー(男)  :全身ポリマースーツの赤色仮面、仮面は百均、目的は「き○こたけ○こ大戦の勃発を阻止する」事
桜色の女     :ござる口調、無賃乗車、武器は刀、目的は「“鉄仮面卿”を倒す」事
仮面の男     :ただの乗客じゃなかった、時空指名手配犯、
小型メカ     :ヒーローの相方、オペ子ちゃん、常にフヨフヨ浮いている
魔王(男)    :碧夕王、周りの時間を止める力を持つ、目的は「天界の使者をあぶり出す」事
料理長(男)   :食堂の料理長、ふくよか、過去に魔族の襲撃に遭うも撃退する、目的は「乗客の方々に美味しい料理を提供する」事
冥王(男)    :関西弁、イケメン
死神ABC      :過去にドライ・ブラー号を襲撃
257 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:05:50.53 ID:bYSVmpXyo
おお、キャラまとめお疲れ様です。やっぱ人数多いですね。ちなみに列車の構造はこんな感じです。


先頭
  1号車【展望車・前】
  2号車【寝台車一】
  3号車【寝台車二】
  4号車【寝台車三】
  5号車【スイート】
  6号車【食堂車】
  7号車【ラウンジ】
  8号車【ロビー】
  9号車【寝台車四】
 10号車【寝台車五】
 11号車【寝台車六】
 12号車【謎車】
 13号車【展望車・後】
後方


それでは、第五章「深夜・前」を開始します。
60レスほどの予定です。
258 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:07:17.44 ID:bYSVmpXyo


――12号車【謎車】 屋根の上


ドゴォォォン…!!!


キノコ頭「な、なんだ!?」ガバッ


テロリストA「ぜ、前方車両で爆発です!!」

テロリストB「……と、思ったら、爆発が後方に遠ざかっていった」

テロリストC「ど、どういうコトだ……?」


キノコ頭「…………」
259 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:07:48.68 ID:bYSVmpXyo


キノコ頭「……あれは、爆発が遠ざかっていったんじゃない」

テロリストD「え?」

キノコ頭「遠ざかっていってるのは、俺たち、この列車だ」


キノコ頭「つまり。まず、前方車両のどこかで爆発の原因が発生した」

キノコ頭「ただし、爆発自体は、前方車両から外に出て、列車の外で起こった」

キノコ頭「だから実際に爆発したのは……。列車の外の木か、何かだろう」

キノコ頭「そして今、列車は爆発地点から猛スピードで遠ざかっているから」

キノコ頭「爆発が後方に遠ざかっていくように見えた……。というところか」

テロリストD「お、おお……。さすがですリーダー、今の一瞬でそこまでわかるとは!」
260 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:08:15.36 ID:bYSVmpXyo


キノコ頭「たいしたコトじゃない。それよりも問題は、今の爆発の原因だ」

キノコ頭「俺たち以外に、この列車で、また暴れている奴がいるのか……?」

テロリストA「例の、たけ○こ派や、アル○ォート派の連中でしょうか?」


テロリストB「あ、爆発の煙だけは、車両からも出ていますね……」

テロリストB「どうやら爆発の原因が発生したのは、6号車のようです」

キノコ頭「6号車といえば、食堂車か……? 飯時に、何かあったのだろうか……」


テロリストC「う、うう。俺たちも腹が減ってきましたよ、リーダー」

テロリストD「本当なら今ごろ、教授を捕らえて、アジトで祝勝会のハズだったのに……」
261 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:08:41.53 ID:bYSVmpXyo


キノコ頭「……そうだな。くそっ、あの忌々しいたけ○こ派や、乗務員どもめ……」

キノコ頭「奴らさえいなければ、俺たちは何の問題もなく達成し、教授の身柄を確保できたモノを……」

テロリストA「リーダー……」


テロリストB「……いえ、リーダー! 俺たちの戦いは、まだ終わっちゃいません!」ガタッ

キノコ頭「……!」

テロリストC「そうですよ。リーダー。こんな寒い所でクヨクヨしてるなんて、リーダーらしくもない」

テロリストD「俺たちの目的は、“最強の兵器”を開発した教授の身柄を抑え、たけ○こ派を倒すコト」

テロリストD「たとえ一度失敗しても、それは変わりません。ならばもう一度、挑戦すればいいだけです!」

キノコ頭「……。お前たち……」
262 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:09:07.86 ID:bYSVmpXyo


キノコ頭「……そうだな。いちいち悩むのも、俺らしくはなかった」

キノコ頭「ならばもう一度、襲撃を仕掛けるとしよう! 教授の身柄を確保するために!」

キノコ頭「そしてたけ○こ派たちをも出し抜き、あの乗務員どもに一泡吹かせようではないか!!」

テロリストA〜D「「「「おお!!!!」」」」


キノコ頭「よし。そうと決まればさっそく、もう一度……」


シュボオオオオオオ!!!!!! ガン!!!!!!


テロリストA「え……?」

キノコ頭「ん? なんだ、今の音? 後ろから聞こえたな。13号車か……?」
263 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:09:39.31 ID:bYSVmpXyo


――12号車【謎車】 動力室の前


剣使い「な、なんだ今の音!?」


車掌「後方から聞こえましたね。しかし、13号車は施錠しています。となると、屋根の上で何か……?」

弓使い「シュボオオオに、ガン、か。何かが火を出してる音に……、金属音かな?」

銃使い「…………」ガシュガシュ


剣使い「なあ、車掌さん。さっきも、前のほうの車両で、爆発のような音がした……」

剣使い「この列車。ラウンジが荒らされた時みてぇに、また何か起こってんじゃねぇのか?」

車掌「…………」
264 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:10:06.23 ID:bYSVmpXyo


弓使い「1号車のほうには、教授も残してるしねぇー。き○こ派に襲われてないか、心配だな」

銃使い「…………」ボリボリ


車掌「―――だとしても」

剣使い「……!」

車掌「だとしても。私は、士長や、新米の彼女、このドライ・ブラー号の乗務員を信じます」

車掌「二人だけじゃない。食堂車には、料理長や、ウェイター、ウェイトレスたちもいる」

車掌「ラウンジには、貴方たちも見たでしょう。マスターもいるし、ロビーにはフロント担当もいる」


車掌「ご心配ならば、私が断言します。教授さんや乗客の皆さんのコトは、彼らが必ず守っていると」
265 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:10:38.12 ID:bYSVmpXyo


剣使い「……、…………」

車掌「…………」


剣使い「……そっか」

剣使い「アンタらも、アンタたちの絆で、繋がってるんだな」

車掌「ええ。その通りです」


弓使い「絆かぁー。いいよね、そういうの! 同じ職場のみんなが、一つにまとまってるとかさ!」

弓使い「こりゃぁ私たちも負けてられないね。そう思うでしょ、銃ちゃん!?」バンバン

銃使い「そうかな」バスバス
266 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:11:05.56 ID:bYSVmpXyo


剣使い「……悪かった。アンタらのシゴトを疑ったりして」

剣使い「ならば教授の嬢ちゃんたちのコトは、アンタらに任せよう」

剣使い「だから、俺たちも。俺たちのシゴトを確実に果たす」

車掌「ええ。私たちの役目は、乗客の皆さんを守り、今日の運行を無事成功させるコト……」

車掌「そしてその目的は、貴方がたの目的とも共通しているハズ。共に頑張りましょう」


弓使い「でもさー、それでもやっぱ何の襲撃も無いっていうのは、やっぱりヒマだよねー」

弓使い「アル○ォート派の魔族っていうのは、本当にこの12号車の動力室を襲うのかなあ?」

車掌「おそらくは。過去襲撃してきた魔族は皆、この動力室の動力源を狙いました」

車掌「今回の魔族も、動力室の場所に勘付けば、きっとココに現れるかと」
267 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:11:33.97 ID:bYSVmpXyo


車掌「それに、この12号車から繋がる、13号車は、この列車の要の一つ……」

車掌「もし教授さんを狙うき○こ派や、謎の赤色仮面が、列車の機能を狙って襲ってきても」

車掌「ここに張ってさえいれば。迎え撃ち、懸案を一つ減らすコトが出来ます」


プルルルルル…

銃使い「ん。電話?」

車掌「おや……。乗務員の誰かでしょうか。……失礼。もしもし」ピッ


弓使い「やれやれ。こりゃあ、年をまたぐ、大シゴトになりそうだねぇ。朝まで気合い入れていこうか!」

剣使い「ああ、そうだな……。……魔族。お前たちは今、どこにいる?」
268 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:12:19.93 ID:bYSVmpXyo


――11号車【寝台車六】


ヴヴヴヴヴン


族長「……ッ!?」ガバッ


魔族A「ぞ、族長? 今、族長も感じましたか!?」

族長「あ、ああ……」

魔族B「絶大な魔力の奔流……! 前方車両から……」

魔族C「これほどの術を発動するとは。手練れの術士でも乗っているのか?」

魔族D「あるいは、我々と同じ魔族か……?」
269 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:12:47.41 ID:bYSVmpXyo


族長「…………」


族長「……いや。今の魔力の波動には、心当たりがある」

魔族A「え?」

族長「まず、魔力を使った術というのは、我々が使っているそれと」

族長「一部の人間が使うそれは、似ているようで、根本的に違うという」


族長「そして、俺の経験から言えば……。今のは、魔族の使う術の波動だ」

魔族B「というコトは、今の術の主は、魔族……?」

族長「おそらくはな。そして、今ほどの術となれば、使えるのは魔族でも、ほんの一握り……」
270 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:13:14.37 ID:bYSVmpXyo


魔族C「……ま、まさか?」

族長「ああ、そうだ……」


族長「マチガイない。今の術の主、この列車に乗っている魔族とは、魔王の誰かだ」


魔族D「魔王……!!」

魔族A「そんな。魔王のような大物が、どうしてこの列車に……」

族長「わからん。だが、我々の行動の範疇で、考えられる原因は……」


族長「人間界に干渉した我々の行動を誅するために、魔王が直々にやって来た、という可能性だ」

魔族B「な……!」
271 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:13:41.20 ID:bYSVmpXyo


魔族C「そ、そんなまさか。ははは、そんなワケないッスよ」

魔族D「そ、そうッスよ。いくら俺たちの行動が、魔界のルールを破るモノだとはいえ……」

魔族D「そんな、魔王さまが、俺らみたいな木端を直々に罰しに来るモンすかねえ?」

族長「だが、ならばこの状況。他にどう説明する?」

魔族A「!」


魔族B「そ、それは……」

魔族C「……、……」

魔族D「……ぞ、族長。もし魔王さまが、本当に俺らを捕まえに来たら……。どうします?」

族長「…………」
272 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:14:09.01 ID:bYSVmpXyo


族長「……たしかに、我々の行いは、魔界の規範を越えて、人間界に干渉するモノだ」

族長「もし魔界に発覚すれば、処罰は避けられまい。一族の取り潰しもあり得る」

魔族A「そ、そんな。じゃあ……」


族長「―――だが、それがどうした?」

魔族B&C「「……!」」

族長「我らの決意は、その程度のコトで崩れるようなヤワなモノであったか」

族長「改めて誓おう。是が非でも俺は、この列車の動力源を奪い、アル○ォートこそが至高と知らしめる」

族長「果たさねばならぬ約定もある。ココで退くワケには、いくまいよ。例え敵が魔王だろうと天使だろうと」

魔族D「……うおおおおっ!! 反逆の精神、マジリスペクトっす!!!」
273 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:14:37.99 ID:bYSVmpXyo


【1月1日 午前0時】

――1号車【展望車・前】


運転士長「―――“白の大天使”?」


魔王「ああ、そうだ。あんたたちが会ったという、白ドレスの女の正体……」

魔王「そして。今回の一連の騒動の黒幕である可能性が最も高い存在だ」


執事「テロリスト、悪魔、未来人ときて、とうとう天使が出てきましたか……」

教授「もう今さらって感じだよね。私は何も驚かないよ。あ、き○この山もらえる?」

副運転士「はいはい、どうぞー」
274 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:15:11.53 ID:bYSVmpXyo


副運転士「さて、今回ここにお集りいただいたのは。ディナータイムでの、食堂車での騒動の関係者……」


革ジャン「へーえ。あの赤いポリマースーツが、お前を雇った、未来の市民ボランティアのねぇ」

小型メカ「たしかに彼は完全に不審者でした。ですが、車外に蹴り飛ばすのは、やりすぎでしょう……」

黒コート「う、うう。すまない。まさか、私たちの標的は、あの鉄仮面のほうだったとは」

桜色の女「まあまあ。過ぎたるは、なお、及ばざるが如し。アル○ォートでも食べて元気出すでござるよ」

魔王「ん? 人間のコトワザの、過ぎたるはナントカって、そういう使い方だったか?」

ウェイター「あ、オジサンたちも周りで掃除してるけど、事情よく知らないから気にしないでねー」

ウェイトレス「もう深夜だから、ほとんど乗客のヒトは寝てるだろうし、これ以上騒がないでねー」

運転士長「では料理長、食堂車の後始末はよろしく頼む。はあ、これで連絡は最後か……」ピッ
275 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:15:40.48 ID:bYSVmpXyo


執事「それと、俺とお嬢様の二人。居合わせただけの乗客の皆さん以外は、これで全員でしょうか」

副運転士「そうみたいですね。こんな遅い時間に、ご協力感謝します」

教授「なんだか、まとめ役が板についてきたね」

副運転士「そ、そうですか? えへへ……」


副運転士「それにしても、もう深夜の0時ですか……」

教授「本当なら、皆でハッピーニューイヤー、って言ってるような時間だね」

教授「あいにく、私たちにそんな余裕は無いけれど」


運転士長「さて……。それで、ミスター・魔王。白の大天使、とは、いったい……?」
276 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:16:10.05 ID:bYSVmpXyo


魔王「ああ。ここまで事態が大きくなれば、詳しく説明せざるを得ないな」

魔王「乗務員の嬢ちゃんには、軽く説明したが……。改めて詳しく説明するとしよう」


魔王「まず、この世界の裏には、天界という場所がある。生き物の魂が最後に行き着く場所だな」

魔王「世界の裏と言ったのは、物理的な上でも下でもないからだ」

魔王「通常の方法では行き来できない世界……。まあ、既に俺たちの出身の魔界や」

魔王「乗務員の嬢ちゃんも行った冥界なんかも関わってるし、そういうモノと理解してほしい」


運転士長「え。君、冥界に行ってきたのか……?」

副運転士「は、はい。死神のヒトや、冥王さんなんかとも会ってきちゃいました」
277 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:16:43.66 ID:bYSVmpXyo


魔王「次に、天界は、多くの神々と、多くの天使によって運営されている」


魔王「神々のシゴトは、この世のコトワリを正常に運営するコトだ。そうだなあ、わかりやすく言えば……」

魔王「ハッキングから今晩のオカズまで、ってやつか? このコトバ、どっかで聞いたが面白いよな」

魔王「天界には、今晩のオカズを司る神から、ハッキングの神まで、色々いる。本当に色々だ」


桜色の女「ほー。今晩のオカズを司る神様とは、具体的にどんなコトを?」

魔王「俺も詳しくは知らないが、まあ、献立に迷ってる主婦の思考を助けたりとかだろうな」

魔王「あんたの思いついた今日のメニューも、案外、今晩のオカズの神の助けかもだぜ?」

副運転士「す、スゴい地味なコトしてるんですね……」
278 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:17:21.82 ID:bYSVmpXyo


魔王「いやいや、ハデなコトしてる神々もいるぜ? 隕石の軌道を変えたり、冥界からの魂を処理したり」

魔王「そんなワケで、主神みたいなまとめ役もいるが、神々ってのは基本的に皆平等で、色々いる」


魔王「そして……。これが本題だな。天使……。神々の意志を実行に移す者だ」

魔王「天界の使いと書いて、天使。枕コトバに、“大いなる”とつけば、大天使」

魔王「下っ端の天使はウジャウジャいやがるが、上司である大天使の数は限られている」

魔王「それだけに、大天使のチカラは強力無比。俺たち魔王も何人いれば、一人とようやく渡り合えるか」

執事「魔王さんは天使と戦ったコトがあるんですか?」

魔王「小競り合いなら、何度か。だが魔界と天界の全面戦争となると、俺たちにとっても神話の時代だな」

教授「私の知らないコトもまだまだあるモンねぇ〜。知的好奇心がくすぐられる」ウズウズ
279 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:17:53.22 ID:bYSVmpXyo


魔王「最後に。その大天使の中で、少なくとも騒動への関係はマチガイないのが……」

魔王「―――白の大天使。混沌を司り、自由と無秩序を愛する、ハタ迷惑な、乳デカ姉ちゃんだ」


ウェイター「お。胸が大きいのは良いねえ。お兄さん、直接会ったコトがあるのかい?」

魔王「あんた、気が合いそうだな。……うん、まあ、俺とアイツは、色々とな」

ウェイトレス「貧乳はステータスだ! 希少価値だ!」


革ジャン「白い乳デカ姉ちゃん? っとすると、もしかして、さっきの……」ドスッ!!!

黒コート「お前は黙ってろ!!」

小型メカ「うわあ。痛そお。毎日黒コートさんに殴られて、よく死にませんよね」フワフワ
280 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:18:21.46 ID:bYSVmpXyo


副運転士「なるほど。その白の大天使さんが、今回の騒動を招いたと?」

魔王「ああ。大騒動、事件、イベント事だいすきの、アイツのコトだ……」


魔王「奴さん、ヒマに飽いて、この列車に揉め事を大量に集めやがったんじゃねえか?」

副運転士「うーん。そんなふうには、見えなかったような……」

副運転士「……いや、やっぱり見えたような?」


魔王「そして、この列車は、魔族にもよく狙われる厄ネタを積んでいる……。そうだな?」

運転士長「……! そこまで知っているのか、ミスター・魔王」

魔王「ああ。ドライ・ブラーの魔力塊のハナシは、魔界でも有名だからな」
281 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:18:52.88 ID:bYSVmpXyo


魔王「まあ、その魔力塊の、本当の意味まで知る者は少ないが」

運転士長「本当の意味だと? この列車の動力源、というコトではなく?」

魔王「違う。古き人間と魔族の約定……。魔力塊はその要石、といったところか」

魔王「この列車の路線が、この国最大の霊峰の傍を通るのも、そのためだ」


魔王「簡潔に言おう。白の大天使は、魔力塊を破壊し、古の封印を解こうとしている可能性が高い」

魔王「なぜなら。それが俺の考えうる限り、この列車における最大の“大騒動”になるからだ」


副運転士「大騒動って……。その封印を解くと、いったい何が起こるんですか?」

魔王「要石が動かされれば、封印された神々の怒りは解き放たれ、最悪の大戦が始まる」
282 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:19:20.86 ID:bYSVmpXyo


魔王「具体的に言うと。ある山が突然噴火して、みんな死ぬ」

副運転士「……!」


副運転士「それが……。あのエンマ帳の、真相……?」

魔王「そうだ。皆、聞いてくれ」


魔王「俺が冥界に行ったところ、今日の分の人間の死亡リストを確認するコトが出来た」

魔王「―――そこに、このドライ・ブラー号の乗員乗客、全員の名前があったんだ」

革ジャン「なんだと……!」

桜色の女「聞き捨てならないでござるな」
283 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:20:02.89 ID:bYSVmpXyo


魔王「死因は、火砕流に、土石流。加えて、火山弾」

魔王「……マチガイない。件の、封印が解かれた結果の山の噴火によるモノだ」


執事「なるほど。列車の魔力塊とやらが、封印の要石であると知っているのは……」

魔王「ああ。魔界でもごく一部。さもなくば、封印された側の、天界の者だけだ」

運転士長「私でも知らなかったな。あの魔力塊に、そんなヒミツがあったとは……」


黒コート「つまるところ。白の大天使を捕らえるのが最優先、というワケか……」

小型メカ「私たちの問題も、教授の死亡がトリガーですから。山の噴火とやらが原因かもしれませんね」

教授「え、なになに? 私って有名人?」
284 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:20:50.01 ID:bYSVmpXyo


小型メカ「あ、そういえば教授。“最強の兵器”ってどこにあるんですか?」

教授「げ。それか……。ゴメン、まだ無い。今現在絶賛思案錯綜中」

小型メカ「そ、そうなんですか……。なるべく早く作ってくださいね。未来のために」


教授「ねえ運転士さん。運転士さんは、さ。さっき、なんで食堂車の乗客にお菓子を配ったの?」

教授「それも、き○この山も、たけ○この里も、アル○ォートも、関係なく」

副運転士「え? あ、そういえばアレ、イマイチ意味ありませんでしたね……。あはは」


副運転士「いやあ。どれもおいしいお菓子なんだから、皆で一緒に食べればいいんじゃないのかな、って」

教授「……どれも、皆で、一緒に、か」
285 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:21:21.84 ID:bYSVmpXyo


革ジャン「なるほどなあ。んじゃあ、俺たちで、その白の大天使って奴をとっちめてみますか」ジャコ

黒コート「は!?」

革ジャン「いやあ、俺たちは仮面の男を追ってたワケだけど、センパイが外に蹴り飛ばしちゃったジャン」

革ジャン「それにせっかくこんなヤバい列車に乗ってるのに、俺たちだけ仲間外れってのも、シャクだろ」

革ジャン「だったら、自分から悪を探す! そして倒す!」バン!!!

革ジャン「……それが。俺のポリシー」ヒュウ


黒コート「……お前のポリシーなど誰も訊いていないんだが」

小型メカ「まあ、私の相方も一緒に飛んでいってしまいましたしね……。やるコトが無いのはたしかです」

桜色の女「―――いや。奴は、必ず戻ってくるでござるよ」
286 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:21:53.99 ID:bYSVmpXyo


黒コート「え?」

桜色の女「―――仮面の男。拙者は、何度もあの男と戦った」

桜色の女「ある時は一対一で倒し、ある時は戦艦ごと落とし、ある時は空中庭園ごと叩き潰し……」

桜色の女「それでも、奴は、ケロリとして次の戦いに現れた」


桜色の女「タイムパトロールどの。あまり、あの男を、侮らぬほうがいい」

桜色の女「あの男は必ず、この列車に戻ってくる。そして、……拙者と戦うコトになる」


桜色の女「仮面の男の身柄が目的なら、まだ諦めるのは早いでござる」

桜色の女「拙者が奴と決闘し、討ち果たした後に……。奴の身柄を、おぬしらに引き渡そう」
287 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:22:20.38 ID:bYSVmpXyo


黒コート「なるほど……。そういうコトなら、仮面の男の打倒、ぜひお願いしたい」

桜色の女「承知した。そして、標的を譲っていただいたコト、かたじけないでござる」

小型メカ「あの正義の味方気取りも、しぶといですから、なんだかんだで戻って来そうですね」

革ジャン「ヒーロー野郎もオペ子ちゃんの味方だってんなら、やっぱ狙いは大天使だけだな」


魔王「ハナシはまとまったか? それじゃあ、俺もさっそく動きたい」

魔王「白の大天使は事件が大好きだ。だから、こちらからも事件を作って、おびき出す」

魔王「俺は魔王として、この列車に乗った魔族に灸をすえる必要もある。だから、まず魔族の奴らを……」


ミシッ
288 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:22:47.65 ID:bYSVmpXyo


運転士長「ん? 今……」

副運転士「……ミシッ?」


ミシッ ベキベキベキベキ

ドゴン!!!!!!


ヒーロー「ぎゃああああああああああああああああああ!!!!!!」ヒュウウウウウウ

仮面の男「おや! そこにいるのは! 我が麗しの、それでも呼びたければ教授さん!!」ヒュウウウウウウ

教授「ま、またお前か!? それと、それでも呼びたければは余計だ!!」

キノコ頭「落ちるうううううううううううううううううう!!!!!!」ヒュウウウウウウ
289 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:23:15.33 ID:bYSVmpXyo


執事「な、なんだ? また空からヒトが!?」

黒コート「か、仮面の男……!」

革ジャン「おっ、こりゃちょうどいい! 死ねぇ!!」バン!!!

テロリストB「あっ待て、拳銃なんか撃ったら、爆薬に引火して――――」シュボッ


                                            _                                  _.  _   _
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290 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:23:44.42 ID:bYSVmpXyo


――6号車【食堂車】


黒コート「時空整備課を……」

ヒーロー「――――あ」

黒コート「ナメるなァァッ!!!」

ドゴッ!!!


ヒーロー「ぶべらああああああああああああああああああ!!!!!!」ヒュウウウウウウ


桜色の女「な―――? 赤いカタマリ……!?」サッ

仮面の男「えっ? あの、ちょっ―――、待っ――――」
291 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:24:12.62 ID:bYSVmpXyo


ズガッ!!!!!!


ヒーロー&仮面の男「「ぶべらああああああああああああああああああ!!!!!!」」ヒュウウウウウウ


ズドオ


ヒーロー「れ、列車の外に投げ出される!?」ヒュウウウウウウ

ヒーロー「そ、そんなワケにはいくか! 俺は列車に残って、まだやるべきコトがあるのだ!!」ジタバタ

仮面の男「むぅ……。このままでは線路の近くの木に叩きつけられて終わり、か……」ヒュウウウウウウ

仮面の男「ならば!!」チャッ

ヒーロー「な、何を!!?」ヒュウウウウウウ
292 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:24:39.85 ID:bYSVmpXyo


仮面の男「こうするまでよ!!」ヒュッ

ヒーロー「ば、爆弾!? そんなモノお前、いったいどこに隠し持って――――」ヒュウウウウウウ

カッ


ドゴォォォン!!!


ヒーロー「ぶるああああああああああああ!!! 爆風に吹き飛ばされるうううううう!!!!!!」

仮面の男「ここからだ! しっかり捕まっていろ!!」シュボオオオオオオ

ヒーロー「あ、足からジェット噴射!? そんなモノお前、いつの間に装着して――――」ヒュウウウウウウ

ヒーロー「うおああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
293 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:25:06.55 ID:bYSVmpXyo


――7号車【ラウンジ】 外部

ヒーロー「うおああああああああああああああああああ」

――8号車【ロビー】 外部

ヒーロー「ああああああああああああああああああああ」

――9号車【寝台車四】 外部

ヒーロー「ああああああああああああああああああああ」

――10号車【寝台車五】 外部

ヒーロー「ああああああああああああああああああああ」
294 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:25:34.68 ID:bYSVmpXyo


――11号車【寝台車六】 外部

ヒーロー「ああああああああああああああああああああ」

――12号車【謎車】 外部

ヒーロー「ああああああああああああああああああああ」

――13号車【展望車・後】 外部

ヒーロー「ああああああああああああああああッ!!!」

仮面の男「―――む」


仮面の男「そこだアアァッッッ!!!」

シュボオオオオオオ!!!!!!
295 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:26:02.38 ID:bYSVmpXyo


ヒーロー「ジェット噴射で列車の最後尾に近づいている!?」

ヒーロー「でも、一手足りない、届かない……ッ!!」

仮面の男「ならば一手伸ばすまでよおおォッッッ!!!」ビヨヨーン

ヒーロー「う、腕が伸びたああああああああああああ!!?」

ガン!!!!!!


ビュオオオオオオ

仮面の男「そら! 飛び乗れ!!」

ヒーロー「わかった!!」ダンッ

クルクルクル
296 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:26:30.23 ID:bYSVmpXyo


ヒーロー「すたっ」


仮面の男「ふぅ……。危機一髪、といったところだったな」

ヒーロー「ああ……。仮面を被った変態かと思ったら、スゴいんだな。お前」スッ…

仮面の男「ふふふ。君こそ。良いアクロバティックだった」スッ…


        r-〈`,
        |  ', ',`,
          !  ', ', ',                        γ 〉-、
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  {`ヽ       }  ', ', ',     \ ,,_人、ノヽ         / 丿/ /
  ',´ ヽ     /     }     )ヽ    (         / / / /
   ',  ヽ、_/     /  - <       >─    / / /  {  r'´ヽ
   ヽ        /      )     て       {     |   l  l
     `,       〃     /^⌒`Y´^\       |   /ヽ_、ノヽ/
     ゝ       ,'                     | イ        /
     ヽ      !                     |.  ヽ   /
       l      l                     |      /
       |       !                    !     i
                                l     l
                                !     |
297 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:26:58.16 ID:bYSVmpXyo


テロリストA「え……?」

キノコ頭「ん? なんだ、今の音? 後ろから聞こえたな。13号車か……?」


ドタドタドタドタ


ヒーロー「ん……? 何やらコッチに走ってくる人影がいるな……」

仮面の男「こんな時間の、しかもこんなところで、何者だ……?」


テロリストB「―――た、大変です! 誰かいます!」

テロリストC「仮面を被った変態二人組です!!」

キノコ頭「なんだと!!?」
298 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:27:32.72 ID:bYSVmpXyo


ヒーロー「変態とは失敬な!!」

仮面の男「我ら仮面の元に意気投合した二人組!!」


ヒーロー「マスク・ド・ヒーロー!」シャキーン

仮面の男「マスク・ド・スティール!」シャキーン

ヒーロー&仮面の男「「二人合わせて――――」」


ヒーロー「……あれ、何にしようか」

仮面の男「そこまで考えていない」


テロリストD「やっぱり変態だああああああああああああ!!!」
299 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:28:25.31 ID:bYSVmpXyo


キノコ頭「く。どうしてこう、次から次へと、イレギュラーが……」

キノコ頭「……? 待て、鉄仮面のほう。お前、もしや……」


仮面の男「ん……? どうかしたかね、頭マッシュルームくん」

仮面の男「僕は君のような男に脳ミソヒトカケラほどの記憶も無いのだが……」


キノコ頭「……いや。お前が覚えていなくとも、俺は知っている……」

テロリストA「リーダー?」

テロリストB「あっ……! まさか、もしや……!」


キノコ頭「お前!! たけ○こ陣営に突然現れて、き○こ派壊滅の原因になった、仮面の男だな!!!」
300 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:28:52.62 ID:bYSVmpXyo


仮面の男「ああ……。き○こたけ○こ戦争の」

ヒーロー「ああ……。き○こたけ○こ戦争の」


キノコ頭「……お前のせいで、俺たちが、どれだけの屈辱的大敗を喫したか」

キノコ頭「……お前の発案で、吊るされ火あぶりにされた、き○この山は数知れず」

キノコ頭「……お前の参戦で、ついにスフ○ラトゥーン決戦で、き○こ派は壊滅となった」


キノコ頭「―――お前のせいで、チョコとビスケットを分離され、街中に転がされたき○この恨み!!」

キノコ頭「今こそ思い知れ!! ファイヤアアアアアアァァァ!!!」

ボオオオオオ!!!!!!
301 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:29:21.77 ID:bYSVmpXyo


ヒーロー「火炎放射器だと!?」ダッ

仮面の男「ううむ……。これは、逃げるしかあるまい」ダッ

仮面の男「ついでに10号車の客室の僕の武器も拾っていくとしよう」

キノコ頭「待てやゴラアアアアアアアアアアアア!!!」ボオオオオオ


テロリストC「で、出た……! リーダー必殺の、火炎放射器だ!」

テロリストD「き○こ派の憤怒の炎を体現したリーダーは、もはや誰にも止められない!!」


テロリストA「行くぞ! 俺たちも追いかける! お前ら、残りの爆薬を分けて持て!」ダッ

テロリストB「ああ。だけど今度は、火炎放射器の炎で引火させたりするんじゃないぞ!?」ダッ
302 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:29:54.27 ID:bYSVmpXyo


――1号車【展望車・前】 屋根の上


キノコ頭「ファイヤアアアアアアアアアアアアァァァ!!!」

ボオオオオオ!!!!!!


仮面の男「くっ……! しつこい奴らだ! 列車の端から端まで追いかけてくるか!」フォン

ヒーロー「隙あり! 今必殺のォォ―――、カカト落とし!!」メキャ

キノコ頭「ぐあ!!!」ビタンッ

仮面の男「ま、待て! 炎の熱さと冬の寒さでモロくなった屋根に、そういうコトをすると……」

ミシッ
303 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:30:22.00 ID:bYSVmpXyo


運転士長「ん? 今……」

副運転士「……ミシッ?」


ミシッ ベキベキベキベキ

ドゴン!!!!!!


ヒーロー「ぎゃああああああああああああああああああ!!!!!!」ヒュウウウウウウ

仮面の男「おや! そこにいるのは! 我が麗しの、それでも呼びたければ教授さん!!」ヒュウウウウウウ

教授「ま、またお前か!? それと、それでも呼びたければは余計だ!!」

キノコ頭「落ちるうううううううううううううううううう!!!!!!」ヒュウウウウウウ
304 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:30:49.51 ID:bYSVmpXyo


執事「な、なんだ? また空からヒトが!?」

黒コート「か、仮面の男……!」

革ジャン「おっ、こりゃちょうどいい! 死ねぇ!!」バン!!!

テロリストB「あっ待て、拳銃なんか撃ったら、爆薬に引火して――――」シュボッ


                                            _                                  _.  _   _
                               ヽ`              | | ロロ                              | | | | | |
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305 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:31:16.65 ID:bYSVmpXyo


魔王「うおおおおお、また爆発した!?」

小型メカ「よく爆発しますねこの列車は!!」

桜色の女「―――やはり、現れたか」チャキ


副運転士「士長……! あのキノコ頭、教授さんや剣使いのヒトたちのお話通りなら……」

運転士長「うむ。奴こそが、ハイジャック犯の片割れ、き○こ派の総元締め……!」

ウェイター「あー、もう。せっかく掃除したのにグチャグチャだよ。オジサン、ショック」

ウェイトレス「まったく。ヒトの苦労を何だと思ってるのかなー」


ヒーロー「あ、いたたた……。まったく、ヒドい目に遭った」
306 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:31:45.81 ID:bYSVmpXyo


小型メカ「自称ヒーローさん! ご無事でしたか!?」

ヒーロー「あ、ああ。なんとか。あの仮面のおかげで、列車に戻ってこれたぜ」

小型メカ「なんで指名手配犯と仲良くなってんですか……」


キノコ頭「むッ……。あれは、教授……!!」

教授「キノコ頭!」クルッ

キノコ頭「……クッ、ククハハハハ。俺たちは事故にはよく遭うが、天運もついている……!」

キノコ頭「やれ、者ども!! 再び奴とまみえたは僥倖!! 教授を捕らえろ!!」

テロリストA〜D「「「「イェッサー!!」」」」

執事「ぐ……ッ!」
307 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:32:16.69 ID:bYSVmpXyo


ドタン!!! バタン!!!

ワー!!! ギャー!!! ワー!!!


魔王「……なんか、エラいコトになってきたなぁ」

魔王「いや、でもちょうど屋根に大穴が開いた! 今がチャンスだ!」


フワッ

魔王「……もしやこの事態すらも、白の大天使の掌の上という可能性もあるか?」

魔王「いや、それは穿ちすぎか……。いずれにせよ、俺は今、魔族を呼ぶという役目を果たすべきだ」


魔王「さあ! この列車のすべての戦いに、決着をつける時だ! ふんっ!!!」ヴヴヴヴヴン
308 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:32:44.79 ID:bYSVmpXyo


――11号車【寝台車六】


ヴヴヴヴヴン


族長「……!」


魔族A「ま、また魔力波です、族長!」

魔族B「今度は明確な指向性を持っています! 1号車の、屋根の上から……!」

族長「…………」


魔族C「……? 族長?」
309 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:33:10.34 ID:bYSVmpXyo


族長「―――お前たちはココに残れ」


魔族D「え!?」

族長「今の魔力の波動は、間違いなく魔王様だ……」

族長「『この列車に潜伏せし魔族よ。申し開きがあるならば、この魔王の元に馳せ参じよ』」

族長「この魔力波は、そういう意味を持った、念話だ……」


族長「……おそらく、俺がいけば、魔王様との戦いになる」

族長「それにお前たちを巻き込む必要は無い。お前たちは、ここに残れ」

魔族D「―――族長」
310 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:33:37.59 ID:bYSVmpXyo


魔族A「……そんな冷たいコト、言いっこナシですよ」

族長「何……?」

魔族B「族長の、アル○ォート派として覇を唱えたいという気持ちは、俺たちも同じです」


魔族C「だったら、たとえ魔王さまが相手でも、一人では行かせられません」

魔族D「一蓮托生ってやつッスよ、族長!!」

族長「……。お前たち……」


族長「そうか。ならば、行くとしようか、バカども。―――魔王を倒しに」

魔族D「下克上の精神、マジリスペクトっす!!」
311 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:34:06.31 ID:bYSVmpXyo


――12号車【謎車】 動力室の前


弓使い「……?」


剣使い「ん? どうかしたか、姐さん?」

弓使い「いや。今なんか、聞こえなかった?」

銃使い「物音……? 何も、しなかった」

車掌「私も、特には。弓使いさんは耳が良いのですか?」

弓使い「まあ、耳は良いほうだけど。そうじゃなくて……」


弓使い「頭の中に直接響いてきた感じ。テレパシーってやつかな?」
312 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:34:34.27 ID:bYSVmpXyo


剣使い「テレパシー? そいつは、まさか……」

車掌「魔力によるモノですか? 弓使いさんは、魔法の素養がおありで?」

弓使い「まあね。本職の魔法使いほどじゃないけど、魔法も戦闘に使う」


弓使い「みんなには聞こえなかった? じゃあ、指向が限定的なモノなのかな」

剣使い「テレパシーってコトは、内容があるんだよな。なんて言ってた?」

弓使い「うん。盗み聞きしたみたいなモノだから、よくは聞こえなかったんだけど……」


弓使い「『おしおきするから、魔王のところに来ーい!』……みたいな?」


車掌「ま、魔王? いわゆる、魔族の王の……?」
313 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:35:02.51 ID:bYSVmpXyo


銃使い「おしおきってコトは、上司が部下に罰を与える、ってコト?」

剣使い「ちょっと待て。魔王が罰を与える相手、ってのは……」


車掌「……! この動力室を狙っているハズの、魔族!?」

弓使い「つまり、アル○ォート派の魔族の、上司の魔王がこの列車に乗っていて……」

弓使い「その魔王が、部下の魔族を、いま呼び出した。ってコトか」


弓使い「……なら、さ。いつ魔族が勘付くかわからない、この動力室で待ってるよりも」

剣使い「俺たちも今のテレパシーの主の魔王を探したほうが早い、か!?」

車掌「そうですね。魔王が動いたとなれば、また新たな騒動が起きるのかもしれない」
314 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:35:29.08 ID:bYSVmpXyo


――1号車【展望車・前】


魔王「ふぅぅぅぅ……。これで魔族のほうは、おとなしく降参してくれるだろ」


教授「うぐっ!?」

キノコ頭「フゥーハハハァー! 教授の身柄は、俺たちき○こ派が預かった!」

テロリストA「教授さえいればこの列車に用はありません! 脱出しましょう!」


執事「待て、下郎ども……ッ!!」

副運転士「し、士長! 私たちの乗客を、彼らに誘拐させるワケにはいきません!」

運転士長「ああ。この列車の総力を持って、き○こ派、ハイジャック犯どもをここで止める!!」
315 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:35:57.69 ID:bYSVmpXyo


仮面の男「おお! 我が麗しの、それでも呼びたければ教授さん……。今この鉄仮面が、お助けに」


桜色の女「―――悪いが、ここは通行止めだ」ザッ


仮面の男「……! またしても君か。一度ならず二度までも会うとは、君は僕のファンなのかな?」

桜色の女「さてな。だが、その得物……。貴様も、私との戦いを予期していたのではないか?」

仮面の男「ほう……。これはこれは。運命とは、知らず知らずのうちにヒトを動かすらしい」

桜色の女「その言葉、どこまで本心かな。私は自分の欲望に正直になろう。少なくとも私は期待していた」


桜色の女「貴様と二人で死合うこと。忘我の果てに、獣のように踊り狂い、鮮血の華を咲かせること」スッ…

仮面の男「下品だね。だがそれがいい。僕たちの戦いに装飾は不要。必要なのは、互いの刃のみ」スッ…
316 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:36:27.10 ID:bYSVmpXyo


黒コート「始まるか……。彼女らの戦いに割って入るのは、彼女らへの侮辱になるな」

革ジャン「ようし、それじゃあセンパイ! 白の大天使とやらを、探すとしようぜ!」

黒コート「は!? お前、本気で言ってるのか? それ、あの魔王が勝手に言ってるだけだぞ!」

革ジャン「ん? でも、なんか腹立つンだよな。俺の見えないところで、動いてる奴がいるってのは」


ヒーロー「はっ! 無辜の乗客の女性がさらわれた! おのれハイジャック犯!!」

ヒーロー「悪は滅ぶべし! 正義は必ず勝つ! 俺の目の黒いうちは、好きにはさせんぞ悪党!」ダンッ

小型メカ「ああっ、待ってください! もう……。本当に勝手なんだから」

小型メカ「申し訳ありません、革ジャンさん。大天使とやらは、お任せできますか!?」

革ジャン「おうよ。お互い、悪党は全員お天道様の元に引きずり出して、初日の出を迎えるとしようぜ!」
317 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:36:53.58 ID:bYSVmpXyo


――4号車【寝台車三】


ドズン…!!!


白ドレス「お。この音……。これは、ついに始まったかな? 始まっちゃったかな!?」

白ドレス「『ドライ・ブラー号乗っ取り爆発大炎上事件』における、最後の大騒動が!!」


白ドレス「ラウンジでの爆発、食堂車での爆発……。正直爆発にも飽きてきてたんだよね」

白ドレス「さて。乗っ取りが起きて、爆発が起きれば……最後に起きるのは、なーんだ?」


白ドレス「―――さあっ! 私も、ただ一人の傍観者として、特等席での見物といきますか!」ガチャ
318 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/27(水) 18:37:27.10 ID:bYSVmpXyo
第五章「深夜・前」は以上になります。
物語も折り返し地点です。

第六章は、明日12/28(木)の18時ごろ開始の予定です。
319 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/27(水) 18:42:13.75 ID:ji5pDOAa0
列車をハイジャックは日本語間違ってるぞ
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