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勇者「ドラゴンハート」
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94 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/03/22(木) 01:03:03.60 ID:gpNwN/uA0
姫「あ〜あ、奴隷さんがうらやましい」
奴隷「ほ乳類の父親がいるのに?」
姫「はい、わたしなんかより絆がある気がします」
奴隷「いやいや、姫は誤解してるだけ、ほんといい加減な奴だから」
姫「そうなんですか?」
奴隷「そうなんです。だいたい、色々やってくれる理由を聞いたらなんて答えたと思う?」
姫「さあ?」
奴隷「あいつが言うには恋に恋する少年少女の背中を押すのは大人の義務≠ネんだと」
奴隷「あり得ないだろ! 少年少女って!!」
奴隷「少年はともかく少女ってなんだよ!」
姫「・・・・」
奴隷「その言い方じゃ、相手のほうも好き……」
姫「相手?」
奴隷「みたいな?」
姫「好きな人が、いるんですか?」
奴隷「……いや?」
95 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/03/22(木) 01:08:11.15 ID:gpNwN/uA0
姫「いるんですね! 誰なんですか!!」
奴隷「……誰だっていいじゃん」
姫「いいですが、よくないです!」
奴隷「どっちだよ…」
姫「それじゃあ、よくないです!」ズイッ!
奴隷「プライバシーの問題だから…」
姫「よ、く、な、い、で、す!!」ズズイッ!!
奴隷「か、顔が近い!」バッ!
ゴーーーン!!!
奴隷「ぐっ…がっ……また……同じとこ……」
姫「大変! 治癒魔法かけますね」
奴隷「いや、お構い無く…」
姫「ですが、頭を何度もぶつけたら心配になります…」
奴隷「傷薬でも塗っとくから…」
姫「そうです!傷薬といえば!!」
ド ス ン !!
衛兵「奇遇だな、傷薬なら私が持っている」ドッサリ
奴隷「うわぁ…。そんな大量にどうした?」
衛兵「気にするな、さあ軟膏から湿布までなんでもあるぞ?」
衛兵「なんだろうとわ、た、し、が≠ハってやるぞ」
奴隷「お、お構い無く……」
『チッ!』
ドラゴン「良い所で邪魔が入ったか…」ニョキッ
奴隷「どっこから湧いた!!」
96 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/03/22(木) 01:14:36.69 ID:gpNwN/uA0
ドラゴン「どこからいたかとか細かい事は気にするな」
ドラゴン「儂が魔力を渡した時から感覚の一部を共有しておる」
奴隷「つまり?」
ドラゴン「遠くの会話から感情の変化ぐらいなら筒抜けよ」
姫「え?え?」
奴隷「おまえ、たま〜〜に恐ろしいことをサラッと言うよな」
ドラゴン「そう嫌な顔するな」
ドラゴン「疲労や外傷を一方が肩代わり出来るという利点もちゃんとある」
奴隷「そんな不吉な利点いるか!!」
姫「あの、そんなことより!」
奴隷「そんなことじゃないだろ!かなり重要なことだろ!」
姫「わたし達の会話、ずっと聞いてたんですか?」
ドラゴン「ええ、はじめから」
姫「!!!」
奴隷「姫?」
姫「は、恥ずかしい!!」カァァァ
ドラゴン「わかります、わかります。まわりに誰もいないと思って油断して、かなり素のご自分が出ておりましたからな」
姫「あわわ…」
ドラゴン「しかし儂のような大型爬虫類に聞かれたからと気に病むことは御座いません」
ドラゴン「人間の恋愛など所詮は理解出来ませんからな」
奴隷「意外と傷ついたのか?ごめん」
ドラゴン「なので今回はいっしょに聞いた衛兵殿に解説してもらいましょう」
衛兵「わっ、バカ! 姫様、私は何も聞いてないです!」
姫「あの!用事!大事な用事を思い出しました!だから、あの…」チラッ
奴隷「?」
姫「う〜…、失礼します!!」タッタッタッ
97 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/03/22(木) 01:18:30.79 ID:gpNwN/uA0
ドラゴン「うむ、実に初々しいとは思わんか?」
奴隷「止めて!俺まで恥ずかしくなるから止めて!」
衛兵「ふん!」ドサッ
奴隷「重っ!」
衛兵「とりあえず集められるだけかき集めた傷薬だ。受け取れ」
奴隷「受け取れるか! 素人の俺が見ても高価な薬品も混ざってるだろ!」
衛兵「魔王様の命令により、明日から姫様はご自分の部屋から出ることを禁じられた」
奴隷「は?」
衛兵「姫様も今回の騒動に加担していると魔王様が疑いになっての処置だ」
奴隷「訳わからん、自分の娘だろ?」
衛兵「家族の絆など、無いからな…」
奴隷「・・・・」
衛兵「受け取れ、そして高価だろうがかまわず使って傷を治せ」
奴隷「よく運べたな、けっこう重いんだが」
衛兵「オマエも、ワタシをオトコみたいだと?」
奴隷「いやいや、まさか」
衛兵「冗談だ」フッ
衛兵「さてと、用事もすんだし姫様を追いかけるかな」
奴隷「なあ」
衛兵「ん?」
奴隷「傷薬ありがと」
衛兵「その感謝の台詞は姫に伝えよう」
奴隷「・・・・」
ドラゴン「どれ、ぶつけた所を見せてみろ。傷薬をぬってやる」
98 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/03/22(木) 01:21:57.26 ID:gpNwN/uA0
奴隷「ん」グイッ
ドラゴン「あ〜、これは染みるかもしれんな」
奴隷「一気にやってくれ」
ドラゴン「痛ければ言え」
奴隷「なあ、ドラゴン」
ドラゴン「痛むか?」ヌリヌリ
奴隷「おまえが色々世話焼くのって…」
ドラゴン「気付いておるだろうが姫の為だ」
奴隷「…そっか」
ドラゴン「儂にとって姫は処刑される時に助けてもらった命の恩人でな」
ドラゴン「残念なことに、魔王は姫にとって良い父親とは言い切れぬ」
奴隷「そうだよな…」
ドラゴン「とは言え儂も歳だ。 脈が無ければ背中を押さぬぞ」
奴隷「それは、その…」ゴニョゴニョ
ドラゴン「うむ、勇者はもっと自信を持て」
奴隷「その…俺のこと……す、好きって……」モジモジ
ドラゴン「だが忘れてくれ」
奴隷「は?」
ドラゴン「勇者になるための理由がないと悩むなら仕方がない」
奴隷「ドラゴンさん?」
ドラゴン「他をあたるとしよう」ヨイショ
奴隷「ちょっと待った! 待て、出来た! 思い出した、勇者になる理由!!」ガシッ!
ドラゴン「くっくっくっ、そうこなくては話にならん」
99 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/03/22(木) 01:24:37.35 ID:gpNwN/uA0
ドラゴン「良いか? 糞女神が勝手に決めた魔王を倒す勇者≠ノなんぞならんでいい」
奴隷「そうなのか?」
ドラゴン「そもそも魔王が存在するようになったのは魔界が出来てからの800年以降」
ドラゴン「だがな、勇者はそれ以前から存在する」
ドラゴン「儂が協力するなら当然真の勇者≠ニなってもらわねば」
奴隷「真の勇者…」
奴隷「それで? 真の勇者とはどんなやつなんだ?」
ドラゴン「うむ、真の勇者とは…」
奴隷「真の勇者とは?」
ド ム ッ !
奴隷「ごふっ!」
ドラゴン「これだ」
奴隷「どれだよ? 俺の背中おもいっきり叩いただけだぞ!」
ドラゴン「解らぬか? 身分違いの姫君に想いを告げる者」
ドラゴン「それを古来より勇者≠ニ呼ぶのだ」
100 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/03/22(木) 01:27:46.00 ID:gpNwN/uA0
奴隷「あほくさ」
ドラゴン「何がだ?」
奴隷「想いを告げたら真の勇者? ふざけんなら他をあたってくれ」ヨイショ
ドラゴン「まあ待て待て、ちょっと待て」ガシッ
奴隷「想いを告げるって告白しろってことだろ?」
奴隷「いや勘違いしてるみたいだが、別に好きとかそんなんじゃ…」
ドラゴン「照れるでない、初な少年にとって魔王を倒すより難儀だろうが儂がついてる」
奴隷「だから悩んでんだろ」
ドラゴン「よいか勇者? こういう事は古今東西、男からと決まっておるのだ」
ドラゴン「何を隠そう儂ら竜族も麓の村々から金銀財宝を奪い、巣穴を飾り付けるのはオスしかやらぬ」
ドラゴン「そして金色の巣穴と求愛の踊りを用意してこそ一人前」
奴隷「間違ってるのは生態系からか〜」
ドラゴン「何を言うか、永きに渡り人間の営みを見続けた儂ならば、恋愛にも精通しておるのは当然であろう?」
奴隷「人間の性別の区別もつかない癖に」
ドラゴン「は〜、儂が同族にどれだけモテたか知らんからそのようなことが言えるのだ」
ドラゴン「毎晩のように違うメスを巣穴に誘い、踊りあった遠い昔…」
ドラゴン「儂の自慢の巣穴の前では、どれだけ身持ちの硬いメスも朝になれば卵を残していったものよ…」
奴隷「…すまん、大型爬虫類の特殊な繁殖方法とかまったく興味ないから止めろ」
101 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/03/22(木) 01:31:44.28 ID:gpNwN/uA0
ドラゴン「ほう、ならば聞かせてもらおうか」
奴隷「何をだよ?」
ドラゴン「とぼけるな、姫のどこに惚れたかよ」
奴隷「はあ〜? 何で言わなきゃならねえんだよ!」
ドラゴン「まあ良いではないか。感覚感情はわかっても記憶の共有は無理でな」
奴隷「おい、むしろそこらついて詳しく聞かせろ」
ドラゴン「知りたいのだ。 儂の命の恩人の、どこに惹かれたのか」
奴隷「……笑わないか?」
ドラゴン「姫に誓って」
奴隷「……笑ったんだ」
ドラゴン「こうか?」ニィッ
奴隷「そういうんじゃなくて……。俺だって、相手が見下してんのかどうかぐらい分かる」
ドラゴン「ああ、なるほど。 確かに姫の笑い声に侮蔑は込められておらぬからな」
奴隷「・・・・」
ドラゴン「どうした?」
奴隷「やっぱ、言うんじゃなかった」
ドラゴン「くっくっくっ…、話してくれた事に感謝しよう。 やはり勇者は押しがいのある背中をしておる」
奴隷「くそドラゴン」
ドラゴン「はぁ〜はっはっはぁ〜! 拗ねるな拗ねるな!」
ドラゴン「見下してるかどうかぐらい、分かるのであろう?」
102 :
◆VTkGRpPzmUQh
[sage]:2018/03/22(木) 01:34:42.63 ID:gpNwN/uA0
今日はここまでです
103 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/22(木) 01:44:10.73 ID:crdEtf/DO
乙
待ってたぜ!
104 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/22(木) 11:20:44.74 ID:N3CHGZHG0
乙
105 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/22(木) 11:26:50.40 ID:6AqNdke/O
乙
おかえり
106 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/03/28(水) 01:20:23.54 ID:dgPtRM4A0
奴隷「もう知らん! 話しかけるな」ゴロン
ドラゴン「やれやれ、拗ねた子供を物で釣るか」プチッ
奴隷「・・・・」チラッ
ドラゴン「とっておけ、いずれ使うことになる」
奴隷「ウロコ?」
ドラゴン「さよう、竜族のおとぎ話に竜鱗の剣≠ェある」
奴隷「これが剣?」
ドラゴン「古の時代、いくたの国々を滅ぼした邪悪な竜あり」
ドラゴン「荒ぶる竜に対し人々も結託、武器を手に戦いを挑む」
ドラゴン「しかし、あらゆる刃が竜の鱗を傷つける事なく人間側の敗北に終わった」
奴隷「ふんふん」
ドラゴン「生き残った僅かな人々もそのまま滅びるのを待つだけと思われた時、お節介な竜が現れ勇敢な若者に自らの鱗と助言を与えた」
ドラゴン「竜の鱗はあらゆる刃を通さぬ最強の鎧、ならば竜の鱗から最強の剣を作りなさい」
ドラゴン「かくして、助言に従った若者は鱗を研ぎ鋭い剣にし」
ドラゴン「竜鱗の剣は邪悪な竜の鱗を斬り裂き、竜を殺して平和な時代が訪れるのであった」
ドラゴン「以上が竜殺しについて語られた唯一の伝承になる」
107 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/03/28(水) 01:23:55.20 ID:dgPtRM4A0
奴隷「これがか?ナイフにしかならなさそう」チャッキ
ドラゴン「稀に周囲から逆らって鱗が生えることがあってな」
ドラゴン「それを逆鱗とよぶのだが、小振りなれど研ぎさえすれば切れ味は保証しよう」
奴隷「ふ〜〜ん…」
ドラゴン「疑うか?」
奴隷「いや、きれいだなって…」
ドラゴン「そうか?」
奴隷「ああ、明かりが透けてぴかぴか輝いてるよ」
ドラゴン「そうか、まあ機嫌が直ったならいい」クシャクシャ
奴隷「わ、なんだよ…頭に手をのせるな。重いんだよ」
ドラゴン「くっくっくっ、ところでお父さんなどと呼ばれてもこそばゆい」
ドラゴン「どうせ呼ぶなら親父にしてくれ」
奴隷「なっ! 誰が呼ぶか!!」
ドラゴン「どれ、息子の恋路の手助けをしてやるかな」
奴隷「うっさい!」
ドラゴン「何せ限られた時間は少なく、教えることは膨大だ…」
奴隷「そうなのか?」
ドラゴン「うむ、格闘、剣術、魔法に一般常識まで」
ドラゴン「竜の魔力を制御する術を学べば、儂との感覚を共有することもなくなるだろう」
奴隷「それだ!それが一番大事!魔力の制御を教えてくれ!!」
ドラゴン「だが明日の試合に勝たねば未来はないぞ?」
奴隷「ぐっ」
ドラゴン「まずは、大振りな一撃をかわして剣を突き刺すことから始めよう」
108 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/28(水) 23:52:33.67 ID:VZbbcL3A0
乙
109 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/03/29(木) 00:20:54.85 ID:3S9dD0TA0
【初戦 闘技場】
道化「レディースあ〜んどジェントルメン!!」
道化「さあ、100試合もあるんだ!巻いていこうか!」
道化「初戦の相手は山羊の頭部に獅子の体躯、おまけに蛇の尾を持つ合成魔獣」
道化「キマイラの登場だ!!」
キマイラ「メエェェェ!!!」
ドラゴン『いいな、大振りな一撃をかわして剣を突き刺す』
ドラゴン『ひたすら避けて一瞬の勝機を逃すな』
奴隷「わかってるよ!」チャキッ
110 :
◆VTkGRpPzmUQh
[sage]:2018/03/30(金) 00:29:22.22 ID:0DiYeKCA0
【5試合後 下層空間】
ドラゴン「ゆっくり行くからちゃんと避けろよ〜」
奴隷「あいよ〜」
ドラゴン「右からの大振りな一撃」
ブオン!
奴隷「避けて」サッ
ドラゴン「尻尾の追撃」グォッ!
奴隷「お?」
ドゴッシャ!!
奴隷「へぷーーーっ!!」
ドゴーーン!!
奴隷「」ピクピク
ドラゴン「当然だが知性がある相手であれば懐に入ることも簡単にはいかん」
ドラゴン「今日からはそういった相手の対処法を詳しく教えるのだが……」
奴隷「」クッタリ
ドラゴン「生きとるか?」
奴隷「ご……」
奴隷「5分待って……」
111 :
◆VTkGRpPzmUQh
[sage]:2018/03/30(金) 23:56:24.33 ID:0DiYeKCA0
【10試合目 闘技場】
道化「レディースあんどジェントルメン」
道化「今日の相手は魔界最大の妖魔」
道化「単眼の巨人、ギガンテスの登場だ!!」
ギガンテス「ぐおぉぉぉ!!」
ドラゴン『気を付けろ、棍棒に当たればひとたまりもないぞ』
奴隷「わかってるよ!」ダッ
ギガンテス「ぐぉっ!」
ブオン
奴隷「避けて」
ドラゴン『蹴りが来る!!』
ガキーーン!!
奴隷「くっ」
ドラゴン『焦りすぎだ。教えたことだけやれば良い』
奴隷「たまには人間の戦い方も、見せてやるよ」ダッ
ドラゴン『あ、バカ』
奴隷「振り下ろしの一撃を…」ダッダッダッ
ギガンテス「ぐおぉぉぉ!!」
奴隷「かわして!」
ドシャーーン!!
奴隷「棍棒から腕まで一気に駆け上がって顔面ど真ん中」ダッダッダン!!
奴隷「そのでっかい目ん玉をぶん殴る!」
メシャ!
ギガンテス「ぐあぁぁぁ」
112 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/31(土) 15:22:56.34 ID:aRHF7S1xO
がんばれがんばれ
113 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/03/31(土) 23:51:37.55 ID:1nr26hVA0
【19試合後 下層空間】
ドラゴン「たまには違う者とも戦え」
ゴブリン「いっくぜぇぇ!!!」
奴隷「右下方からのすくい斬り」
ガキン
ゴブリン「やるな!だがまだまだぁ!!」
ガッガッガッガッガッ!!!
奴隷「上段斬りが腰にくるのか。極端な低身長も武器になるな…」
奴隷「そして本命の…」
オーガ「そろ〜り」
ブオン!
奴隷「死角からのオーガの奇襲」
サッ
オーガ「おりょ?」
ゴブリン「ブッブー、ハズレだ」
ベチャ
奴隷「き?」
ゴブリン「本命は、厨房でくすねたタバスコを主成分とした特性目潰し=v
奴隷「きえぇぇぇぇ!?!?!?」ゴロゴロゴロ
ゴブリン「ま、弟に本命やるほど妖魔が出来てないんでね」
奴隷「きえぇぇぇぇ!!!!!」ガリガリガリガリ
ゴブリン「おおっと! つなぎに松ヤニ使ってっからな、なかなか剥がれねえだろ?」
奴隷「ぎえ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙!!!!」
ゴブリン「まっ、もっとも?剥がれたころには腫れて三日三晩はマトモに見ることなんか出来ねえだろうがな!」
オーガ「兄ちゃん…」
ゴブリン「おうよ! 勇者の連勝20を前に俺達が止めてやったぜ!!」
オーガ「目が見えないで明日の試合どうする?」
ゴブリン「あ」
奴隷「」ピクピク
114 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/04/02(月) 00:58:43.63 ID:KKzN3qYA0
【20試合目 闘技場】
ドラゴン『前に話した感覚の共有を覚えているか?』
奴隷「ああ…」
ドラゴン『つまりだ、目が見えぬとも体内の魔力を制御することで儂の視界から見ることも可能なのだ』
奴隷「・・・・」
ドラゴン『見えたか?』
奴隷「いや、まったく」
ゴブリン「あぶねえ、上だ!!」
ドゴーーン!!
道化「レディース、あ〜んどジェントルメン!」
道化「はやいもので今日勝てば全試合の5分の1を終了」
道化「なんで恥らいもなく物量で攻めさせてもらいました!」
ボストロル×20「「「ゴオォォォ!!!」」」
奴隷「だけどさ……」
ゴブリン「回り込まれるぞ! もっと下がれ!!」
オーガ「左に来た!」
奴隷「だけど負ける気はぜんぜんしないんだ!!」
オーガ「今だ!」
ザシュ!
ボストロル「フゴッ!」
ゴブリン「バッカ野郎!後ろに逃げろってんだろ!!」
オーガ「囲まれた、右が少ない」
ゴブリン「う、し、ろ!!」
コボルト「わんわん!う〜わんわんわんわん!!」(興奮)
奴隷「でも指示は統一してくれ!!」
115 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/04(水) 01:54:28.02 ID:8adrdy+DO
wwwwww乙
116 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/04(水) 07:54:24.90 ID:zeu2bTrx0
乙
117 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/04/08(日) 00:33:02.40 ID:9HG7st7A0
【30試合後 下層空間】
ドラゴン「渾身の一撃」
ブオン!
奴隷「受け流す」
ガギッ!
ドラゴン「尻尾の追撃」
奴隷「避ける」サッ
ドラゴン「テンポを上げて連撃」
奴隷「了解」
ガッガッガッガッガッ!!
ドラゴン「随分と出来るようになったではないか」
奴隷「お陰さんで」
ドラゴン「よしよし、ではそろそろ本気を見せよう」
奴隷「お?」
ドラゴン「渾身の一撃」
ブオン!
奴隷「特に変わらんけど盾で受けるぞ?」サッ
ドラゴン「そしたら掴んで」ムンズ
奴隷「お?お?」
ドラゴン「壁に叩きつける」
ドグッシャ!!
奴隷「ぐへっ!」
ドラゴン「人間達には柔よく剛を制す≠好む傾向があるが」グリグリグリ
奴隷「ぐふっ、放せ…」
ドラゴン「儂はそれと対になる剛よく柔を断つ≠ニいう言葉が好きでな」
奴隷「潰れる…」
ドラゴン「今までは儂の教えでなんとか勝ててはいるが、魔物の圧倒的な暴力の前に一瞬で逆転もおこりうる」
奴隷「中身でる!」ジタバタ
ドラゴン「さあ、その時はどうする?」
奴隷「放せ!」グググッ
ドラゴン「正解」ポイッ
奴隷「うぉ!」どさっ!
奴隷「いった! なにが正解?」
ドラゴン「時には剛で断つことも覚えろって話だ」
118 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/04/08(日) 00:35:18.66 ID:9HG7st7A0
【40試合後 下層空間】
奴隷『しりとり…』
ドラゴン『りんご』
奴隷『ご、ごま』
ドラゴン『孫』
奴隷『また、ご? ご…ご…午後!』
ドラゴン『碁』
奴隷「あ〜もう止めた!!」
ドラゴン「はい、儂の勝ち」
奴隷「ご攻め止めろ!」
ドラゴン「碁で断つ」
奴隷「ふざけてるよな?」
ドラゴン「何度も言うが念による会話は難しい。特に頭を使う場合はな」
ドラゴン「だがこれも感覚の共有の一種だからな、魔力制御の訓練になる」
ドラゴン「魔力制御を怠って、竜になって戻れませんとか笑うに笑えんからな」
奴隷「じゃあ、ご攻め止めたら続ける…」
ドラゴン「わかったわかった…」
ドラゴン『次は、ぎ攻め』
奴隷「うわ〜ん」
119 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/04/08(日) 00:37:33.61 ID:9HG7st7A0
【50試合 下層空間】
ドラゴン『そら、右からの連撃!』
ガッガッガッガッ
奴隷「竜の背中の二枚の翼の真ん中の…」
ドラゴン『盾に頼りすぎると肝心なところで割れたりするぞ』
ガキン!ガキン!
奴隷『硬い鱗のわずかな隙間』
ガキン!ガキン!ガキン!パキッ!
奴隷「体内の火炎袋から心臓までを貫く竜の急所」
ドラゴン『通称、竜穴』
ドラゴン『教えた急所を狙うのも良いが、そろそろ盾が割れるぞ?』
奴隷「気にすんな」
バキッ!
奴隷「魔力で作った分身だからな」ドロッ
ドラゴン『知っとるぞ?』クルッ
奴隷「お?」
ドゴッ!
奴隷「ぐほっ!」
ドラゴン『教えたことを実践するのも良いが、バレバレだぞ?』
奴隷「気にすんな…」
120 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/04/08(日) 00:39:35.68 ID:9HG7st7A0
【60試合後 下層空間】
ドラゴン『また、右からの連撃!』
奴隷『右右左右尻尾上からの叩きつけ…』
ガガガガガキンサッ
ドラゴン『噛みつき!』
グワッ!
奴隷『そのアゴを蹴り飛ばす!』
ミシッ
奴隷『当たった!』
ドラゴン『足を掴んで』
奴隷『お?』
ドラゴン『振り回して』
ブンブンブンブンブンブン!!
奴隷『おおおおおお』
ドラゴン『投げ飛ばす!』
ドゴーーーーン!
奴隷「」
ドラゴン「ふむ、まともな攻撃を受けたのははじめてか…、着実に進歩しておる」
奴隷「…壁から抜けない」
ドラゴン「なんだなんだ? 壁に埋まるなどボストロル戦いらいではないか…」
ドラゴン「進歩がない」
奴隷「うっさい」
121 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/04/08(日) 00:44:12.50 ID:9HG7st7A0
【70試合目 闘技場】
奴隷「横っ面を蹴り飛ばす!」
シュバッ!
上級騎士80「ぐふっ」
どしゃ
道化「おおっと!親衛隊100人で挑んで、今のでちょうど80人目がノックダウン」
道化「このまま親衛隊100人斬り達成なるか!!」
上級騎士81「させるか!」
ガガキン!
奴隷「81…」
ザン!ザシュ!
奴隷「82…、83……」
上級騎士84「あきらめるな!我々は壁際に追い詰めてる」
ドカッ
奴隷「84」
上級騎士85「このまま包囲するぞ!」
ゲシッ
奴隷「これはノーカン」
上級騎士85「俺を踏み台に…」
奴隷「包囲の頭上を飛び越える!」
上級騎士86「こっちきた!」
奴隷「これで85」ゴスッ
上級騎士87「調子にのるなぁ〜〜」
ガシッ!
奴隷「しまった!」
上級騎士87「捕まえた! このままぶっ殺せ!!」
上級騎士88「うおぉぉ!」
ザクッ!
上級騎士「ぬおぉ!!」
ザクッ!ザクザクザクザク
奴隷「」
上級騎士「ぜぇ…ぜぇ…」
上級騎士「どうだ?」
奴隷「残念、分身だ」ドロッ
上級騎士「なにぃ!?」
奴隷「集まったとこ悪いが、一発で決めないと後でうるさいんだ」コオオォォォォ!!!
上級騎士「散れ!」
奴隷「おせえよ」
奴隷「ドラゴンブレス!!」カッ!
122 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/04/08(日) 00:45:50.42 ID:9HG7st7A0
【80試合後 下層空間】
ドラゴン「温い!!」
ドゥッ!!
ドラゴン「渾身の一撃」
奴隷「防いで」
ドラゴン「かまわず振り抜く」
ガキーン!
奴隷「後退して」ザザー
ドラゴン「逃がさず追撃」
奴隷「その攻撃を、殴りかえす!!」
バゴッーーン!
ドラゴン「ぐぅ、見事だ」
奴隷「行くぞ!!」
奴隷「こっからは殴り合いだ!!」
123 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/04/08(日) 00:47:19.54 ID:9HG7st7A0
【90試合目 闘技場】
側近「ぬあぁぁぁ!! 二十五連・爆裂魔法!!」
ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!
奴隷「効くか!」ダッ!
側近「結界!」
ピキーン!
奴隷「今さらこんなもの!」
ドゴッ!
パリィーーン!
側近「ひぃぃ、こっちに来るなぁ〜〜!!」バチバチ
奴隷「その大振りな一撃を」
124 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/04/08(日) 00:49:08.18 ID:9HG7st7A0
【98試合後 下層空間】
ドラゴン「大振りな一撃を」
奴隷「かわして」
ドラゴン「かわさせて」
奴隷「剣を」チャキッ
ドラゴン「剣を…」
奴隷「突き刺す!」
ドラゴン「突き刺せ!」
ザシュ!
125 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/04/08(日) 00:51:38.80 ID:9HG7st7A0
【99試合目 闘技場】
道化「レディース、あ〜んどジェントルメン!!」
道化「な〜んて、言うとでも思ったか? この恥知らずの薄情者ども!!」
道化「おまえら全員はした金を誰に賭けたか言ってみろ!!」
観客「「「ユ・ウ・シャ!!!」」」
奴隷「」グッ
観客「行け勇者!」
観客「負けんなよ勇者!」
観客「お前に賭けたんだからな」
道化「僕も賭けたぞ勇者さま!」
観客「ユウシャ!」「ユウシャ」
「ユウシャ!」「ユウシャ!」「ユウシャ!」
「ユウシャ」「ユウシャ!」「ユウシャ!」
道化「さぁ、今日勝てばいよいよ明日は大詰め。 最後の山場」
道化「残す試合は、あと1つ」
126 :
◆VTkGRpPzmUQh
[sage]:2018/04/08(日) 00:55:12.01 ID:9HG7st7A0
今日はここまでです
モンハン第二アップデートまでには更新したいと思います
127 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/08(日) 01:28:46.81 ID:2Mu4vjkDO
乙
予定は未定って認識で良いんだな?
128 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/08(日) 01:29:49.41 ID:mDvxhf7QO
乙
師弟関係熱い
129 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/04/19(木) 00:14:41.12 ID:dvLrF4HA0
衛兵「姫さま、お部屋にお戻りください」
姫「い〜や」トタトタ
衛兵「姫さま〜」
姫「お願い、ちょっとだけでいいんです。民の声が聴きたいの」
観客「なぁ、明日の試合どっち勝つと思う」
観客「あ〜?そりゃドラゴンよ」
観客「でもよ、あいつらグルなんだろ?」
姫「・・・・」キョロキョロ
観客「だから勇者の勝目があるってんだろ」
観客「そしたら勇者誕生だな!」
「うおぉぉ!ユウシャ!」
「ユウシャ!」「ユウシャ!」「ユウシャ!」
姫「ふふ、ユウシャ〜♪」
側近「んん!げふん!げふん!」
衛兵「ひ、姫さま?」
魔王「・・・・」
姫「お父さま……」
魔王「部屋から出るなと、命じたはずだが?」
姫「申し訳ありません……」
魔王「だがちょうどいい、あの浮かれきった民を観てみろ」
魔王「あの者達は奴隷が少し勝ったぐらいで余を倒せると本気で信じている…」
魔王「実に滑稽だとは思わんか?」
姫「・・・・」
魔王「黙ってしまったのは姫も同類だからか?」
姫「いえ…」
130 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/04/19(木) 00:18:41.73 ID:dvLrF4HA0
側近「んん、ところで姫さま! アレはどうしましたかな?アレですぞアレアレ!」
姫「アレ?」
衛兵「あ〜〜!! アレだろ?アレアレ?」
姫「アレ?」
側近「そ〜アレアレ!」シッシッ
衛兵「アレアレ!」グィッ
姫「アレってなんです?」
側近「魔王様、姫さまには急な用事がアレのようでして」
衛兵「はい、私が責任を持って、お部屋にお連れします!」
側近「アレですからな!」バイバ-イ
姫「アレってなんですか〜〜?」ズルズル
側近「いや〜アレだった〜〜」フー
魔王「ところで、道化の報告によると奴隷の対戦相手を姫に漏らした粗忽者がいるらしい」
側近「はうあ!!」
131 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/04/19(木) 00:22:29.86 ID:dvLrF4HA0
魔王「その粗忽者は終いには自らの手の内までさらしたらしい」
側近「お、お、お許しを…」
魔王「かまわん、もとより今の奴隷を倒せるとは微塵も思ってなかった」
側近「ほっ」
道化「あれ?そんなもんで許すんですか?」
側近「道化!何時から!?」
道化「万が一、勇者が100勝しちゃったりしたら反魔王の気運が高まっちゃいますよ?」
魔王「かまわん、刺激もない単調さに飽きてきたところだ」
道化「アレアレ? 姫さまも一枚噛んでるのに同じこと言えます?」
魔王「衛兵経由で情報がもれてる件か?」
魔王「若者は濁流を好み、大衆は若者が濁流に呑まれるのを好むものだ」
魔王「ならば余興として若者を濁流に突き落とすのも統治者としての務めだ」
道化「流石です魔王様、余興のためなら娘だろうと濁流に突き落としてみるそのお考え」
道化「なかなか出来るモノではございません」
側近「ど、道化よ、魔王様にそれはあまりにも無礼…」
魔王「ふふ、白状しよう」
132 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/04/19(木) 00:25:51.68 ID:dvLrF4HA0
魔王「余には野心と、野心のためにと温めてきた計画がある」
魔王「しかしいささか、計画にばかり心を囚われ余裕を無くしていたようだ」
魔王「遠方を見るが故にドラゴンに足元をすくわれ、醜態をさらす結果となった」
魔王「……言い訳にしかならんがな」
側近「そのようなことは…」
道化「ほんと、カッコ悪かったよね〜〜」
魔王「ふっ、確かに」
側近「道化!それはあまりにも…」
道化「ですがお気になさらず。これまでの失態も勇者のターンだっただけにございます」
魔王「そうだ、勇者となるならなればよかろう」
魔王「待ち構え、100戦目の決着がつき次第ドラゴンもろとも潰して終わりだ」
道化「そうですとも、終わっちまえばなんてことありません」
道化「耐えて凌げば、魔王様のターンでございます」
魔王「ふふふ、相変わらずよくまわる舌だ」
道化「恐悦至極」
133 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/04/19(木) 00:29:36.85 ID:dvLrF4HA0
魔王「それでは余のターンの最終確認だ」
魔王「道化、海に放った稚魚の様子は?」
道化「1000匹のリヴァイアちゃんなら瘴気とお友達を食べてぐんぐん成長」
道化「愛と裏切りのバトルロワイアルも佳境も佳境、2週間もすれば最強の大妖が誕生するかと」
魔王「祭壇の準備は?」
道化「言いつけに従い作業員の身辺調査をおこない」
道化「結果、疑わしき半数を粛清しましたが補充できたんで問題なし!」
魔王「善かろう。ならば明日、奴隷の処刑を最後に闘技場を封鎖しろ」
側近「しかし、それでは民に不満が」
魔王「構わん、血に飢えさせろ」
魔王「まもなく我らのターンが始まる」
魔王「リヴァイアサンによる濁流が地上にある一切合財を呑み込み」
魔王「残った大地を魔物が満たすことになる」
134 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/04/19(木) 00:34:49.54 ID:dvLrF4HA0
魔王「さあ、ついに地上侵略だ! 存分に楽しもうではないか」
魔王「女神が創った理を破壊し」
魔王「世界を魔界に!」
魔王「あらゆる生命は魔物に」
魔王「人は妖魔に」
魔王「理性を失い」
魔王「暴力と混沌のみが存在する」
魔王「そして余が! 余が望むように新たな理を塗り替えてやろう!」
道化「やんややんや」パチパチ
側近「・・・・」パチ..パチ..
魔王「ふふ、ふはっ、ふはははは、準備は万全。何を焦る必要があったのか?」
魔王「さあ、明日の試合を楽しもう!!」
魔王「奴隷の奮闘に期待し、ドラゴンの次なる一手を待つとしよう」
魔王「もし奴隷が力尽き、ドラゴンの一手が下らぬものなら覚悟しろ」
魔王「代償に、世界が滅びると思え」
135 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/04/19(木) 00:36:37.11 ID:dvLrF4HA0
【 最終戦 】
道化「レディース、あ〜〜んど! ジェントルメン!!」
136 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/04/19(木) 00:38:33.12 ID:dvLrF4HA0
道化「ここ、闘技場を舞台とした一幕もいよいよ大詰め!」
道化「二幕より舞台はついに、地上へと移されるわけでごさいます!!!」
道化「ここまで来られたのも皆さま方からの声援あればこそ…」
道化「この道化、関係者を代表して熱く御礼申しあげる次第であります」
ペコッ
道化「それでは、最後を締めくくるに相応しいカードを!」
道化「邪悪な魔王に対抗する女神のカードを!」
道化「今宵、皆様がご覧いたしますわ勇者さまの一大スペクタクルショー!」
道化「対するは神話の時代からの生きた伝説!」
道化「勇者対ドラゴンの一戦をお楽しみください!!」
137 :
◆VTkGRpPzmUQh
[sage]:2018/04/19(木) 00:41:18.29 ID:dvLrF4HA0
今日はここまでです
138 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/19(木) 01:02:24.81 ID:8/AhpePDO
乙
待ってた
139 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/19(木) 23:56:23.36 ID:XdkWy5ha0
乙
140 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/20(金) 18:27:25.41 ID:fciclkWJO
乙わくわくするぞ
141 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/06/17(日) 21:33:36.21 ID:l4n25ukA0
ゴブリン「合図だ!扉を開けろ!」
オーガ「鎖、引く」ジャラ
コボルト「わん!」ジャラ
ガッタン!
ガラガラガラガラ……
ゴブリン「しっかりな」
奴隷「・・・・」ジャリ
観客「ユウシャーー!!」
奴隷「・・・・」ジャリジャリ
観客「頼むー!勝ってくれーー!!」
観客「負けるなー!勇者さまーー!!」
奴隷「」ジャリジャリジャリ
観客「ユウシャ!」「ユウシャ」
「ユウシャ!」「ユウシャ!」「ユウシャ!」
「ユウシャ」「ユウシャ!」
奴隷「・・・・」
ドラゴン「はじめて会った時を思い出すな」
奴隷「ああ、俺もだ」
142 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/06/17(日) 21:38:23.41 ID:l4n25ukA0
ドラゴン「それでも、すべて同じというわけでもない」
観客「ユウシャー」「ユウシャ!」「ユウシャサマー!」
ドラゴン「観衆の変わりようを笑うか?」
奴隷「別に? どうでもいい」
ドラゴン「そうか、彼らが変わったように勇者も変わった」
ドラゴン「勿論、良い方にだ。もう皆が心の底で勇者と認めるほど成長した」
奴隷「そんなことより、ここから逃げられるか?」
ドラゴン「そんなことより、か……」
ドラゴン「出口は封鎖され、上から無数の兵が狙っておる。隙を狙うしかあるまい」
奴隷「そっか」チャキ
ドラゴン「勇者よ、魔王に多くの者が苦しめられ、助けを求めておる」
奴隷「へぇ、で? そんなん俺の知ったことか」
ドラゴン「勇者よ、おまえを鍛えるための時間稼ぎとして100試合がどうしても必要だった」
ドラゴン「だが、もしも! もしも、勇者として立ち上がってくれるなら…」
奴隷「そんなつもりはない!!」
ドラゴン「理由がないからか?」
143 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/06/17(日) 21:42:16.37 ID:l4n25ukA0
ドラゴン「姫に言っておったな、自分には魔王を倒す理由がないと」
奴隷「そうだったかな?」
ドラゴン「…儂はあの時。姫に理由がないと語った おまえを見て、少し腹が立った」
奴隷「?」
ドラゴン「分からんだろ?」
ドラゴン「勇者よ、お前は理由がないのではない」
ドラゴン「知らんのだ」
ドラゴン「何も知らず、知ろうともせず、拗ねて部屋の角でうつむいて」
ドラゴン「子どものまま狭い世界に閉じこもり」
ドラゴン「あの一言がどれほど姫を傷つけたかも気づいておらぬ!」
ドラゴン「儂はそれが! はらわたが煮え返るほど我慢ならんのだ!!」
ダンッ!
奴隷「いつもより速い!」
ガキーン!
奴隷「くっ、速くて……重い!」ザザー
ドラゴン「行くぞ勇者!」
ドラゴン「儂の屍を越えてみせろ!!」
144 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/06/17(日) 21:47:52.63 ID:l4n25ukA0
奴隷「くっ」タッ
ドラゴン「退くな!」
ブォン
ガキーーン!
ドラゴン「竜を相手に退けば炎で焼かれる、勝機は前に進み掴みとれ!」
奴隷「わかってるよ!」ダッ
ドラゴン「ふん!」
ブオン!
奴隷「大振りの一撃を」
ドラゴン「かわさせん!」
ドゴッ!
奴隷「がはっ!」
ドラゴン「この期に及んで手を抜くようなことをすると思うな!」
奴隷「避けられないなら」
ガッキン!
奴隷「盾で受け流して」
ガッガッガッガッガッガッガッガッ
ドラゴン「盾で受け流して?」
ガッガッガッガッガッガッガッガッ!!
ドラゴン「ほら、どうする?」
ガッガッガッガッガッ
奴隷「くっ」
バキッ!
奴隷「盾が!」
ドラゴン「もとよりそれが狙いだ」
ドゴッシャ!
奴隷「がはっ!!」
観客「ああ〜勇者さま〜!」
観客「負けないでくれー!」
姫「奴隷さん!!」
ドラゴン「勇者よ、濁流が来る」
奴隷「げほっ!ごほっ!濁流?」
ドラゴン「濁流は地上を呑み込み、魔界は沈む」
ドラゴン「理由ならあるのだ!!」
145 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/06/17(日) 21:51:23.74 ID:l4n25ukA0
ドラゴン「ここにいる皆だけではない。 勇者は世界を救わなくてはならぬ」
奴隷「それで? つまるとこ俺が勇者として魔王を倒せって?」
ドラゴン「うむ、そうだ」
奴隷「くっくっくっ…はぁ〜はっはっはぁ〜!」
ドラゴン「勇者……」
奴隷「知ったことか!!」
ダンッ!
ドラゴン「!!」
ガキーーン!
奴隷「勇者なんかくそ食らえだ!!」
146 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/06/17(日) 21:54:36.14 ID:l4n25ukA0
奴隷「なんで俺がこいつらの為に戦わないとならない!」
ドラゴン「ぬ?」
ガキン!
奴隷「こいつらが今まで何をしてくれたって言うんだよ!」
カン、カン、カン、カン
奴隷「ウロコが硬すぎて剣じゃ斬れない?」
ドラゴン「いいぞ、儂の動きに慣れてきておる。そのまま胸の中の物をすべて出しきれ!!」
奴隷「だったら、拳で殴る!!」
ドゴッ!
ドラゴン「強くなった…」
奴隷「なんで反撃してこない?」
ドラゴン「約束通り戦いかたなら教えた、残さず教えた」
ドラゴン「竜の心臓にかけて、今の勇者なら魔王だとて倒せよう」
奴隷「心臓なんか要らないよ……」
奴隷「お父さん」
147 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/06/17(日) 21:58:21.82 ID:l4n25ukA0
奴隷「お父さん…お父さん、お父さん!」
奴隷「ほんとのお父さんの、顔も思い出せないけど…。ずっと、そんな人を待ってたんだ…」
ドラゴン「情をかけすぎたか…」
ザシュ!
奴隷「おと、さ……ん?」
ドラゴン「掴んで」ガシッ
ドラゴン「投げる!」ブォン!
ドゴォォーーーーン!!
奴隷「戦いたくないんだ!」パラパラ
ドラゴン「追撃」
奴隷「くっ」サッ
ドガッ!
ドラゴン「避けたか…」
奴隷「もう止めてくれ!」タンッ
ドラゴン「ならば、これでなれならどうだ!!」コオォォォォ
奴隷「お父さん!!」
ドラゴン「行くぞ!最大5発のいっぱつめ!!」
ドラゴン「ドラゴンブレス!!」カッ!
148 :
これでなれなら?
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/06/17(日) 22:03:04.64 ID:l4n25ukA0
奴隷「!!」
ドゴォォーーーン!!
道化「おっほ♪これはこれは♪」
側近「直前で相殺でしょうか?」
魔王「まだまだ、これからだ」
ドラゴン「にはつめ!!」コオォォォォ!!
奴隷「この、わからず屋!」コオォォォォ!!
奴隷 ドラゴン「「ドラゴンブレス!!」」カッ
ドゴォォーーーン!!
ドラゴン「まだまだ!」
奴隷「ゼヒュ・・・」
ドラゴン「さんぱつめ!」コオォォォォ!
奴隷「」コオォ…
ドラゴン「ドラゴンブレス!」カッ
グォォォ!
奴隷「!」
ドゴォォーーーン!!
149 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/06/17(日) 22:07:04.16 ID:l4n25ukA0
道化「決まりましたな」
側近「今の直撃で勝負ありですかね?」
魔王「ぷはっ、ふははっ」
側近「魔王様?」
魔王「ふふ、奴隷なら無事だ」
側近「土煙で何もみえませんが?」
魔王「それと、上で控えている人数を増やせ」
道化「なにやら、ご機嫌悪からざる様子?」
魔王「なに、いつかどこかで使ってくると思っていたのだが…」
魔王「なかなか、魅せてくれる」
ドラゴン「よんぱつめ!」コオォォォォ!
奴隷「よんぱつめ!」バッ
ドラゴン「ドラゴンブレス!」カッ!
奴隷「極 大 電 撃 魔 法 !」カッ!
150 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/06/17(日) 22:14:19.53 ID:l4n25ukA0
バチバチバチ!
グォォォ!
ドゴォォーーーン!!
側近「また相殺?」
魔王「いや、奴隷の電撃が勝った」
ドラゴン「ぐわあぁぁぁ!!!」バチバチバチ
ドラゴン「ぐふっ」ドシャ
魔王「そして最大の攻撃が敗れた以上、勝負はついた!」
魔王「見事だ、最初の宣言通り100の勝利をもって、奴隷を勇者と認めよう!!」
魔王「そして去らばだ、ここから先に勇者は邪魔にしかならないのだ」
魔王「これより、勇者の処刑を執り行う!!」
ドラゴン「まったく、最近の若い者は年寄りを軽く見すぎておる……」
道化「魔王様! なんか企んでますよ!?」
ドラゴン「よわい万歳を越えた、年の功を見せてやろう」
ドラゴン「極 大 真 空 魔 法 !」
ブオオォォォ!!!
151 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/06/17(日) 22:18:50.33 ID:l4n25ukA0
ブオオォォォ!!
ビュオォォォ!!
観客「なんだこりゃ!?」
観客「竜巻だ!」
観客「逃げろ、まきぞえになる!」
ビュオォォォ!
魔王「最後の悪あがきだ! 構わんから竜巻が収まったら射て!」
側近「射撃用意!」
ビュオォォォ!
姫「奴隷さん……、ドラゴンさん……」
衛兵「姫様、行きましょう!」グイッ
姫「行くって何処に?」
衛兵「もっとあの2人がよく見える場所です」グイッ
姫「そうね、行きましょう」
カンカンカン
観客「姫さま?」
観客「危ないですよ」
観客「引き返しなっせ!」
衛兵「私の手を離さないで!」ギュッ
姫「は、はい!」
カンカンカン
衛兵「……修道院よりお戻りになられてからずっと、どうやったら護れるのか考えてました」
姫「あ、あなたは良くやっているわ?」
衛兵「・・・・」
カンカンカン
ビュオォォォ!
姫「ん、すごい風…衛兵さんは何か見えます?」
衛兵「姫様! あれを!!」
姫「どれ?」
衛兵「あれです!!」
姫「だから、どれ〜?」
衛兵「姫様、すみません」
ドン!
152 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/06/17(日) 22:21:19.79 ID:l4n25ukA0
姫「え?」グラッ
衛兵「魔界の姫君を突き落とした、私をお許しください」
姫「きゃあぁぁ〜〜〜!!!」
ヒュゥゥ〜〜〜
バサッ!
バッサバッサバッサバッサ!!
ガシッ!!
側近「竜巻が止まった! 全員撃て!!」
騎士「ハッ!」カチャ
衛兵「撃つな! 姫がドラゴンに捕まった!!」
側近「なっ!」
ドラゴン「はぁ〜はっはっはぁ〜! 姫はもらった!!」バッサ!
153 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/06/17(日) 22:25:38.54 ID:l4n25ukA0
姫「ドラゴンさん?」
奴隷「ドラゴン?」
ドラゴン「姫も勇者も落ちるなよ! このまま逃げる!」
道化「な〜にやってんの〜? 拘束まほ
ベシャ
ゴブリン「うっし、命中!」
道化「きっ…きえぇぇ〜〜〜!!」ゴロゴロゴロ
ゴブリン「へっへ〜、特性特大目潰しのお味はどうよ?」
オーガ「兄ちゃん、俺らも逃げる」
ゴブリン「おうよ」
ゴブリン「おまえらもいい旅になれよ、勇者様」
154 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/06/17(日) 22:26:18.25 ID:l4n25ukA0
姫「ドラゴンさん?」
奴隷「ドラゴン?」
ドラゴン「姫も勇者も落ちるなよ! このまま逃げる!」
道化「な〜にやってんの〜? 拘束まほ
ベシャ
ゴブリン「うっし、命中!」
道化「きっ…きえぇぇ〜〜〜!!」ゴロゴロゴロ
ゴブリン「へっへ〜、特性特大目潰しのお味はどうよ?」
オーガ「兄ちゃん、俺らも逃げる」
ゴブリン「おうよ」
ゴブリン「おまえらもいい旅になれよ、勇者様」
155 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/06/17(日) 22:29:56.49 ID:l4n25ukA0
側近「逃がすな! 飛べる者は追え!」
騎士「しかし、ドラゴンほど速くとなると…」
側近「言い訳するな! さっさと動け!!」
魔王「全員、動くな!!」
側近「へ?」
ドラゴン「ごはつめ!」コオォォォォ!!
側近「へ?へ?」
ドラゴン「ドラゴンブレス!」カッ!
魔王「五段・氷壁結界!」
ガコーン!
ドゴォーーン!
魔王「くっ」
ピシッ…
ミシッ…
側近「結界が砕かれる!?」
魔王「ぬぉぉぉぉ!余をだれと思っている!!」バッ
奴隷「魔王だろうが!」バッ
奴隷「極 大 電 撃 魔 法 !」
魔王「極 大 氷 結 魔 法 !」
ドゴッシュゥーーーン!!!
156 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/06/17(日) 22:33:02.70 ID:l4n25ukA0
魔王「ゼェ……ゼェ……」
ドラゴン「くっくっくっ…」
バサッ!
バッサ!バッサバッサバッサバッサ!
魔王「ドラゴン……」ギリッ
側近「魔王様……」
魔王「追え、他はどうなろうと姫は無傷で連れ戻せ」
側近「お体のほうは…」
魔王「追え! 2週間以内に連れ戻せなければ、魔界に貴様らの居場所はないと心得よ!!」
側近「は、はいぃ!!」
バタバタバタバタ……
魔王「フゥ……フゥ……」
道化「まんまとやられちゃいましたね」
魔王「道化か…、今は貴様の戯れ言に付き合う気はない」
道化「そうでしょうね、ドラゴンロード♪」
魔王「貴様も行け」
道化「は〜い、目の腫れが治ったらね♪」
魔王「ハァ…ハァ…」
魔王「ふぅ…、耐え凌げぬものは甘んじて受けよう」
魔王「精々、幕間を楽しめ、まもなく余も向かう」
157 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/06/17(日) 22:37:53.62 ID:l4n25ukA0
ドラゴン「くっくっくっ…はぁ〜はっはっはぁ〜! 上手くいったな!」
奴隷「上手くいったじゃねえよ!説明しろ!」
ドラゴン「はじめに隙を狙うしかないと言ったではないか」
奴隷「計画あるなら言っとけって意味だよ!」
ドラゴン「わるいとは思ったが、腹芸も出来ぬ勇者に話してバレでもしたら終わりなんでな」
ドラゴン「それに、おかげでお父さんと呼んでもらえたしな」
奴隷「な、ど、どっか行くあてはあるのか?」
ドラゴン「くっくっ、天井の裂け目を抜けて このまま地上に出る」
奴隷「地上に?」
ドラゴン「なに心配するな、土地勘なら魔界よりある」
奴隷「そうだろうけどさ…」チラッ
ドラゴン「残してきた者達なら手を打ってあるから心配しなくてよいぞ」
奴隷「なっ! あんな奴らの心配なんかしてねえよ、ただ俺はいきなり拐われた姫のことを…」
姫「ぷっはぁ〜〜〜♪」
奴隷「あ、うん、そんな気はした」
姫「あっはっはっはっはっ♪」
姫「うっふっふっふっ、さっきのお父様の顔……」
ドラゴン「はぁはっはっはぁ〜! 傑作でしたな!」
姫「ぷっはぁ〜〜〜♪」
奴隷「……ま、いっか」
ドラゴン「地上に出るぞ!」バサッ
158 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/06/17(日) 22:43:18.96 ID:l4n25ukA0
バサッ
姫「うわぁぁ〜〜♪ これが、地上」
ドラゴン「夜か、好都合だ。暗いうちに出来るだけ離れる」
姫「きれいな天井…」
奴隷「姫、星です。俺にとっては数年ぶりの星空だ…」
姫「これが地上なんですね」
奴隷「地上に戻ってきたんだ!」
ドラゴン「さあ気を引き締めろ、冒険のはじまりだ」
ドラゴン「世界は広いぞ」
159 :
◆VTkGRpPzmUQh
[sage]:2018/06/17(日) 22:44:52.54 ID:l4n25ukA0
今日はここまでです
遅くなってごめんなさい。次回から地上編になります
160 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/18(月) 01:15:05.30 ID:klJfFi0DO
乙
待ってた
161 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/07/09(月) 00:07:12.39 ID:A/XBkrGA0
【逃走7日目 山間の宿場町】
宿屋亭主「おっ、そこのお兄さん! こっから山越えかい? 止めときな、次の宿につく前に日が暮れちまう」
旅人A「じゃあ泊まるか?」
旅人B「少しでも進んでおきたいのですが…」
道具屋「おう、騙されんなよ。今から歩きゃ夕暮れには山小屋につくからそこに泊まんな」
宿屋亭主「ばっ!あんな小屋なんぞ人が寝れるか!!」
旅人A「ありがとう、山小屋に行ってみるよ」
道具屋「礼はいいからなんか買ってくんな」
旅人B「ふふ、それでは薬草ください」
道具屋「まいど♪」
宿屋亭主「道具屋ぁ!!!」
道具屋「おぅ、文句なんのか?商売ってな非情なんだよ」
宿屋亭主「白黒つけたるわ!!」グワッ
道具屋「来いや!」チャキッ
「ま〜た、はじまった」
「あいつらも飽きないな」
「商いだけにね」
「すっかり宿場町の名物になっちまったな」
ズッズッズッズッズッ……
宿屋亭主「うぉ?なんか聞こえねえか?」
道具屋「んな子供騙しにひっかかるかよ!」
「キュイイィィィーーー!!!」
ドゴッッ!!
「うぉ、地震だ!」「でかいぞ!!」
ガタガタガタガタ
宿屋亭主 道具屋「きゃあぁぁ〜〜」ダキッ
162 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/07/09(月) 00:09:00.70 ID:A/XBkrGA0
【逃走8日目 山道の入り口】
役人「地震により地面が裂けて町ひとつ丸ごと呑み込まれたと報告があってな、悪いが安全が確認出来るまでここから先は通告止めだ」
163 :
◆VTkGRpPzmUQh
[sage]:2018/07/09(月) 00:17:59.92 ID:A/XBkrGA0
今日はこれだけです
まあ、今まで後手後手だった魔王サイドもようやく攻勢に転じましたよってことで
164 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/09(月) 00:56:26.47 ID:R+QG0EQDO
乙
165 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/07/12(木) 15:16:21.34 ID:b9OypXhA0
女将さん「やだねぇ、ここら辺もなんだか物騒になってきちまった」
行商人「さて、向こうに行けないと困るんだがな」
役人「そうは言っても山ひとつ崩落してるんだ、道なんか残ってないぞ」
「おと〜さん、疲れたよ〜」
「宿場町に親族が…」
「さかな〜♪ さかなはいらんかぇ〜」
役人「ええい、うるさい!うるさい!我々だって混乱してるんだ!」
役人B「おい、行くぞ」
役人「とりあえず見てくるから待ってろ」
ぞろぞろ…
女将さん「はあ…、なんだか頼りないねぇ」
行商人「はは、まったくだ」
女将さん「ねぇ、あんた各地を回ってたらなんか噂でも聞かないかい?」
行商人「そうだな…、とりあえずよく聞くのはそこらじゅうで地震がおきてるって話だ」
166 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/07/12(木) 15:18:17.85 ID:b9OypXhA0
行商人「それから人探しの黒騎士の一団、これがひょっとしたら魔族じゃないかって噂だ」
女将さん「魔族!!?」
行商人「夜になると村を襲い、家に押し入ると腕に印がないか見てまわるらしい」
行商人「こういう…」ガリガリ
行商人「魔王の刻印だな」
女将さん「は〜やだやだ、すっかり物騒な世の中になっちまったじゃないか」
行商人「そうだな、おかげで国中検問だらけで商売あがったりだ」
女将さん「こんな時に勇者さまは何をしてるんだろうねぇ〜」
行商人「勇者か…」
行商人「最近めっきり聞くことが増えた、もっともギルドの人探し依頼としてだが」
女将さん「そういえば数年前に聖剣といっしょに勇者さまが消えちまったって噂話を耳にしたよ」
行商人「もしかしたら黒騎士達も勇者を探してるんかもな」
女将さん「あっはっはっ、まっさか〜〜」
がさがさ…
167 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/07/12(木) 15:20:23.17 ID:b9OypXhA0
がさがさ……
がさっ
旅人A「ふぅ、死ぬかと思った」
旅人B「大丈夫そう?」
旅人A「ん……、大丈夫」
旅人B「よかった〜、後ろから道が崩れて来た時はもうダメかと思いました」
旅人A「ほんとそれな!」
旅人A「まあ、この騒ぎのおかげで検問もなく潜り込めたんで結果オーライだぞ!」
旅人B「」ぐ〜
「さかな〜♪ここらじゃ絶対食べられない、海の幸だよ〜♪」
旅人B「」じ〜
旅人A「駄目です」
旅人B「え〜」
旅人A「だって山奥で海の幸だぞ、絶対高いって」
「やすいよ〜」
旅人B「ですって♪」
旅人A「はーー……、今日だけだからな」
旅人B「やったぁ〜♪ お魚屋さん、2匹くださいな♪」
奴隷「へぃ、まいど」
168 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/13(金) 02:01:21.76 ID:D+810F0DO
乙
169 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/08/09(木) 18:33:22.10 ID:9j4PztHA0
奴隷「それじゃあ魚の燻製2匹で銀貨2枚ね」
旅人A「たっか!!? 無理だな行こう」
旅人B「ちょっと待って、まけてもらえば買えないもないでしょう?」
奴隷「勝手に決められてもね、こっちも商売なんで」
奴隷「魚を燻すのから、ここまでの輸送もタダってわけにはいかんしな」
旅人A「はっはっはっ、売れるといいな」ノシ
旅人B「待ってください!」グイ!
旅人B「貯えなら家を出るときに少し持ってきたはずです」ヒソヒソ
旅人A「大事な逃走資金、贅沢するため持ってきたわけじゃないだろ」ヒソヒソ
旅人B「でも親族のお住まいまでもうすぐなんでしょう?」ヒソヒソ
旅人A「親族といっても遠縁で仕事もろくにないかもしれない、何より最近物騒だし出来る限りは節約しよう」ヒソヒソ
奴隷「ふふ」
旅人A「何だよ?」
奴隷「いや、ならこうしよう」
奴隷「ここに売れ残りの燻製が5匹ある。 こいつら合わせて銀貨2枚でどうよ?」
旅人B「それはお手ごろ価格ではないでしょうか♪」
旅人A「えらく気前がいいな?」
奴隷「なに、お2人さんを見てたら俺も帰りたくなってね」
奴隷「さっさと売って店終いしたいのさ」
旅人B「せっかくの申し出です買いましょうよ?」
旅人A「ん…しゃあないか」チャリ
奴隷「まいど」
旅人B「わ〜い♪ 見たことないお魚ですね、何か美味しい食べ方ってご存知ですか?」
奴隷「ああ、俺には魚の食べ方とかそんなん全然わからんわ」
奴隷「なんったって海のない魔界に長く居すぎて魚の味すら忘れてたからな」ハッハッハッハッ
170 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/08/09(木) 19:07:26.44 ID:9j4PztHA0
旅人A「魔界!?」
旅人B「魔界!?」
奴隷「ハッハッハッ……口が滑ったな」
ざわっ… ざわざわ…
女将さん「やだよ、魔界だなんて薄気味悪いこと言って」
奴隷「じょ、冗談だから」
旅人A「冗談でも言っていいのと悪のがあるがな」
旅人B「まあまあ、きっとお家に帰るのが楽しみすぎて口が滑ったんですよ」
旅人A「ああ、そうだ燻製運ぶために馬車か何かで来てるよな? もし方向同じなら乗っけてってくれよ」
奴隷「ああ、ダメダメ、ドラゴンには…
旅人A「ドラゴン?」
ざわざわ…… ざわざわ……
「ドラゴン?」
「おい、誰か役人呼んでこい」
奴隷「人間だから、ドラゴンという名前の人間」
奴隷「別に大量の燻製もドラゴンに運んでもらってないし」
奴隷「そもそも口から火を吐かなければ、鼻から煙りも出ない」
奴隷「その燻製もドラゴンの鼻煙で燻してない」
旅人B「?!」
奴隷「ああ、変なこと言ったな、味は問題ないから」
奴隷「それじゃあ、さようなら」ダッ
171 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/08/09(木) 19:20:22.06 ID:9j4PztHA0
奴隷「最後の最後でヘマして目立ってしまったな、買っておいた食料拾ってさっさと消えるか」ゴソッ
奴隷「…しっかし、米俵と味噌桶で買いだめする必要あるのかね?」
役人「不審な言動をしたのはおまえか!」
奴隷「違うよ?」
「嘘つき!魔界がどうとか聞いたんだからな!」
役人「嘘をつくとはいよいよ怪しい! ちょっと番所に来てもらおうか?」
奴隷(面倒だな、いかにも融通がきかなそうなタイプだ)
役人B「落ちつきなよ、そんな騒いで皆が不安になるよ」
奴隷(お?)
役人B「別に大事にしようってこともないんだ、ただ腕に魔王の刻印がないか見せてもらえればそれでいいんだ」
奴隷(こっちは疑ってないが職務に忠実で柔軟性があるタイプか、好印象)
役人A「そんなんだから相手に舐められるんだよ!」
役人B「まあいいじゃないか、街中ピリピリしてるからって私達までピリピリする必要はないだろう?」
奴隷(でもまさかこいつら、俺の腕に魔王の刻印があるとは思ってないんだろうな〜)
172 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/08/09(木) 19:29:33.17 ID:9j4PztHA0
奴隷(さすがに見せたら大騒ぎになるよな…)
役人B「さ、ついて来てくれるね?」
奴隷(めんどうだな、逃げるか!)ダッ
役人A「逃げるたぞ!」
役人C「逃がすか!!」バッ!
奴隷「なぁ!?」
役人A「あらかじめ1人隠れてたのだ」
役人C「そう簡単には逃げれると思うな!」
奴隷「いやいや、余裕さ」スルッ
ダッ
役人A「なにしてんだ!」
役人C「す、すまん…」
役人B「さすがに怪しい、追おう」
奴隷「ハッハッ、去らばだ!」シュタッタッタッタッ
強面「ちょっと待ちな!!」
奴隷「今度は何?!」
チンピラ「おうおう、ここで商いするにゃあ俺っち達に挨拶するのが仕来たりなんだ」
強面「とりあえず、その手に持った荷物渡してもらうか」
奴隷「渡すかボッケェ!!!」ドゴッ!
強面「げほっ!」
チンピラ「アニキーー!!」
役人A「いたぞ!あそこだ!」
奴隷「ちっ」ダッ
チンピラ「ア、アニキ」
強面「なにしてる?こうなったら人数増やして役人よりも先に取っ捕まえるぞ!」
チンピラ「へ、へい!」
173 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/08/09(木) 19:43:16.77 ID:9j4PztHA0
チンピラB「こっちにいやした!」
チンピラC「そっちに逃げたようでさ!」
チンピラD「あっちに行きやした」
チンピラE「あっち?」
チンピラF「どっち?」
チンピラG「こっち」
チンピラH「こっちってどっち?」
チンピラ「「「あそこだーー!!」」」
ドッドッドッドッ
奴隷「なんか増えた〜!?」シュタタタタ
役人A「くっ、なんなんだこれは?」
役人B「いや〜それにしてもあんなに荷物抱えてるとは思えない速さだね」
奴隷「あったり前だ! つい最近まで空腹が当たり前の底辺奴隷」
奴隷「大事な食糧死んでも放すか!!」
旅人B「放してください!!」
174 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/08/09(木) 20:13:09.18 ID:9j4PztHA0
旅人B「放してください!」
追っ手A「さあ、捕まえましたよお嬢様」
追っ手B「お屋敷に戻りましょう」
旅人B「いやです!私は旅人さんと…」
旅人A「くっ、お前ら嬢さんに手荒なことをするな!」
追っ手C「おいおい、まずは自分の心配でもしな」
ドゴッ!
旅人A「ぐふっ」
旅人B「旅人さん!!」
追っ手D「旅人さん、だとよ?」
追っ手B「うらやましいね」
追っ手C「もうちょっと痛めつけたら俺らにも優しく話しかけてくれんじゃねえか、な!」
旅人B「やめてーー!!!」
ガッコーーーン!!!
追っ手C「ガッ!痛った……味噌?」
奴隷「1人目」
シュン
シュパーン!!
追っ手C「」ドシャ
追っ手B「えっ?えっ?」
奴隷「2人目」
ベシフッ!
ドッシューン!
追っ手B「」
追っ手A「んなろ!舐めんな!」チャキッ
ドスッ!
追っ手A「へっへっへっ…」
奴隷「3人目」
奴隷「お前は、お前が刺してダメにした米俵の分強めで殴る」
追っ手A「ま、待った!」
奴隷「問答無用」
ドゴッグシャ
旅人B「旅人さん!」
旅人A「嬢さん」
奴隷「ふたりとも下がってろ」
追っ手D「なっ、なんだ!? こいつら助けて何の得があるってんだ」
奴隷「あ? 俺にとっては同類のよしみ以上、商売人と客未満の間柄さ」
奴隷「つまり、こいつはただのアフターサービスだ!!」
175 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/08/09(木) 20:28:16.47 ID:9j4PztHA0
旅人A「助けてくれるのか?」
奴隷「アフターサービスだって言ったろ?」
旅人B「あふたーさーびす?」
奴隷「知ってるか? 恋に恋する少年少女の背中を押すのは大人の義務らしいぞ」
旅人A「あんたのが年下じゃねえか」
奴隷「くっくっ、突然こんなん言われても胡散臭いよな?」
奴隷「でもちゃんと助けてもらったし、俺も助けてやる」
追っ手D「ふざけたこと言ってんな!!」
奴隷「諦めて寝てる連中つれて帰りな、お前らが束になっても俺には勝てん」
追っ手D「ぐぬぬ…」
役人B「おやおや、また騒ぎを起こしたのかい?」
追っ手D「いいとこに来た! あそこにいるのはある大富豪の一人娘だが話が上手い旅人にそそのかされて家出しちまった」
旅人B「なっ! そもそもは脂ぎった中年を私の婚約者に決めたお父様がいけないのです!!」
追っ手D「わがまま言っちゃいけやせんですぜ、それにあの人はお父様の大切な商売相手」
追っ手D「今までの贅沢だって脂ぎった中年親父のおかげで成り立ってやしたんで」
旅人B「だから私はこれから好きな人と自分の力で生きて行くと決心したのです」
旅人A「嬢さん…」
176 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/08/09(木) 20:35:33.25 ID:9j4PztHA0
役人B「なにやら複雑な事情のようだね〜」
役人A「難しい問題に加担すると後が面倒だぞ」
追っ手D「お嬢さんのご両親はここいらにも顔がきく大富豪、恩を売っといて損はないぜ?」
チンピラA「だそうですよ?」
強面「そんなら買わせてもらうか」
チンピラB「おらおら」
チンピラC「いくらで売ってんだ?」
役人A「不味いことになって来たんじゃないか?」
役人B「まっ、逃がしたら責任問題になりそうだし捕まえようか?」
役人A「またそんな軽く」
追っ手D「形勢逆転だな」
旅人A「くそ!」
旅人B「どうやらここまでのようですね」
旅人A「あきらめるのか? これからは自分で決めるって誓ったはずだろ?」
旅人B「ままなりませんね」
追っ手D「そうでさ、お嬢様さえあきらめたら丸く収まるんでさ」
旅人B「ただし、条件があります! 魚屋さんは見逃してください」
奴隷「俺か?」
旅人B「せっかく助けに来てくれたのにこのような事になり申し訳ありません」
旅人B「それでも、どうか別の方々の背中を押してあけてください」
奴隷「・・・・」
177 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/08/09(木) 20:53:59.68 ID:9j4PztHA0
奴隷「くっくっくっ…」
奴隷「はっはっはっはぁ〜はっはっはぁ〜!」
旅人B「魚屋さん?」
旅人A「おい、どうした?」
奴隷「まったく、安く見られたものだ…」
奴隷「これを見ろ!」ビリッ
178 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/08/09(木) 21:00:43.83 ID:9j4PztHA0
行商人「その刻印は!?」
女将さん「ちょっとやめてくれよ、いきなり大きな声だして」
行商人「間違いねえ、あれこそ魔王の刻印」
行商人「黒騎士騒ぎで持ちきりの王都で散々見たから間違いねえ!」
奴隷「くっくっくっ…、どうやら説明する必要はなさそうだな」
奴隷「聞け! 愚かなる地上の人間どもよ!!」
奴隷「我こそは魔王様直属の中から選び抜かれて、なんやかんやして地上侵略のため潜伏していた魔王軍が尖兵」
奴隷「魔王様による地上侵略はすでに開始されており、度重なる地震もやがて押し寄せる濁流の予兆に他ならない」
奴隷「だが、そのことに気づかず のほほんとバカ面下げた貴様達が哀れだから俺様が親切にも次の地震の発生地点を教えてやろう」
旅人B「突然どうしたんでしょう?」
旅人A「シッ」
奴隷「そう! 気づいた者もいるだろうが次の震源はここだ!!」
奴隷「さぁ、残された時間は10秒! 愚鈍な衆目よせいぜい逃げ惑うんだな!」
奴隷「10」
179 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/08/09(木) 21:18:17.94 ID:9j4PztHA0
奴隷「9」
追っ手D「……まさかとは思うが信じた奴はいねえよな?」
役人A「いや、あまりに突然で混乱してる…」
役人B「はは、どんどん聞くこと増えてくね〜」
奴隷「8…」
チンピラ「アニキ!」
強面「へ、ビビんなよどうせハッタリだ」
奴隷「7…」
旅人A「助けてくれて礼を言うよ、そのカウントが終わったら俺が足止めするからお嬢さん逃がしてくれないか?」
奴隷「6…、追っ手の数をこれ以上増やすのはごめんだな」
奴隷「そうだろ?ドラゴン!!」
ドラゴン『言うようになったではないか』
バサッ!
バサッバサッバサッバサッ
ドスン!
ドラゴン「グガアァァァァッッ!!!」
役人「」
追っ手「」
強面「」
チンピラ「」
奴隷「3!!」
180 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/08/09(木) 21:30:08.49 ID:9j4PztHA0
強面「きゃあぁぁぁ!!」ダッ
チンピラ「あ、アニキー待ってくだせえ〜」
役人A「あわわわわ」
役人B「みんな逃げろ〜」
「助けて〜」
「急げ〜」
「地震が来るぞ〜」
追っ手A「んん、何事?」
追っ手D「ぼさっとすんな!」
奴隷「2…」
旅人A「俺達もこの隙に」
旅人B「あの、でも…」
奴隷「1…」シッシッ
旅人B「あのあの、ありがとうございました! 買ったお魚はよく味わって食べますね」
旅人A「行くぞ」
奴隷「0」
シーーン…
ドラゴン「くっくっくっ、はじめての人助けの感想は?」
奴隷「悪くない」
181 :
◆VTkGRpPzmUQh
[sage]:2018/08/09(木) 21:30:54.18 ID:9j4PztHA0
今日はここまでです
182 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/08/10(金) 00:36:43.70 ID:gp87dWoDO
乙乙
183 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/08/18(土) 18:52:20.31 ID:OB72JOSR0
追いついた、面白い
184 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/08/18(土) 21:07:33.71 ID:1C2R9HpoO
おつおつ
185 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/08/22(水) 17:25:36.50 ID:iNfHX798o
面白い
186 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/10/15(月) 23:43:07.27 ID:5yljyGOWo
待ってるよ
187 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/10/16(火) 23:32:29.17 ID:sPTcozIA0
書き込みテスト
なんか復活してから変なんだがガラケーだから?
188 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/10/16(火) 23:34:53.75 ID:sPTcozIA0
ドラゴン「くはっ、悪くないか!!」
奴隷「うっさい! あんなん勢いだよ! い・き・お・い!!」
ドラゴン「照れんでよいではないか、あの2人に自分たちを重ね合わせたのだろう?」
奴隷「なっ…」
ドラゴン「帰るぞ、姫へも土産話に聞かせてやろう」
バッサ!
奴隷「そこまで分かってんなら止めてくれ!!」
バサバサバサッ!!
ドラゴン「はぁ〜はっはっはぁ〜、悪くない悪くない」
奴隷「調子悪いのか? 低く飛びすぎじゃないか?」
ドラゴン「何を言う…」
ドラゴン「助けた2人がちゃんと逃げられたか気になって仕方がないようだからこうして危険をかえりみず…
奴隷「はいはい! 見つけた! 見つけたからさっさと帰るぞ!!」
ドラゴン「了解、少し散歩を楽しんでからな」
バッサ!
奴隷「お、おい」
ドラゴン「飛ばすぞ! しっかり捕まってろ」
189 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/10/16(火) 23:36:25.13 ID:sPTcozIA0
奴隷「お、おい!速い!」
ドラゴン「はぁ〜はっはっはぁ〜、やはり良い! 地上の空は格別よ」
バッサ!バッサバッサ!
奴隷「速い、速い!」
ドラゴン「限界を気にせず何処までも高く続く青空」
バサバサ!
奴隷「たっ、高……い、いきが…」
ドラゴン「無粋な天井で圧迫されることのない解放感」
グルン!グルン!グリーーン!
奴隷「落ちる!墜ちる!」
ドラゴン「太古の血がたぎる! 久しぶりに飛ばすか!!」
奴隷「まだ飛ばす気か?!」
ドラゴン「何を言う? これからに比べたら今までのは準備体操にすぎぬ」
バシューーン
奴隷「あが、あがががががが」
ドラゴン「感じるか? この全身を打ち付けておる衝撃!!」
ドラゴン「ただの空気も音速に近づけば最早凶器」
奴隷「限界、手、指、感覚ない…」プルプルプル
ドラゴン「だが、儂らは速度をさらに増し音速の壁を超える」
奴隷「も…やめ……」
ドラゴン「遠慮するな、生身で経験するのは人類史上2人目の貴重な体験だ♪」
バシュッ
190 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/10/16(火) 23:49:25.21 ID:sPTcozIA0
ドラゴン「どうだどうだ? 音速の世界は?」
シュバァーーーン!!!
ドラゴン「黙ってないでなんかないのか?」
ビューーーーン……
ドラゴン「勇者?」
奴隷「」←落下中
ドラゴン「ユウシャーーー!!!!」
191 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/10/16(火) 23:51:51.28 ID:sPTcozIA0
奴隷「死ぬかと思った」
ドラゴン「すまんすまん、はしゃぎすぎたな」
奴隷「今どこ飛んでんだ?」
ドラゴン「右手にさきほどの街が見えるの」
奴隷「なっ!? 周回して戻ってきてるってどういうことだよ?」
ドラゴン「最近目が霞んで…」
奴隷「ジジイか!」
ドラゴン「魔王の追っ手に見つかる前に早くこの場から離れるぞ」
奴隷「真っ直ぐ飛んでりゃそんな心配しないですんだんだよ!!」
ドラゴン「平衡感覚も狂ってるかもしれんな?」
奴隷「そんな状態で人を乗せるな!」
ドラゴン「まあまあ、近ごろ話題になっておる地震の大穴もよく見えるぞ」
奴隷「もしかして穴見せたかったのか?」
ドラゴン「くっくっ、ただの老化現象よ」
奴隷「・・・・」
奴隷「なぁ、
ドラゴン「却下」
192 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/10/16(火) 23:53:47.95 ID:sPTcozIA0
奴隷「まだ何も言ってないだろ?」
ドラゴン「『なぁ、おまえだったら地震の予測が出来るんじゃないか?』『もし出来るんならあらかじめ知らせて避難させられないかな?』」
奴隷「ぐっ、当たってる…」
ドラゴン「返事は却下」
奴隷「なぜ?」
ドラゴン「その1 地震予測は不可能」
ドラゴン「この地震は下にいる妖魔が暴れて発生しておる」
ドラゴン「妖魔のその日の気分なぞ儂には預かり知らぬ」
ドラゴン「その2 罠の可能性」
ドラゴン「知っての通り、儂らは現在多数の追っ手より追跡されておる」
ドラゴン「見つけられぬ追っ手が業を煮やし儂らを誘き寄せ餌として喧伝することもあり得る」
ドラゴン「その場合、餌に食い付けば有効と判断され地震の頻度が増えるかもしれぬ」
奴隷「ぐぬぬ…」
ドラゴン「その3」
奴隷「まだ有るのか!!」
ドラゴン「儂にその気がない」
奴隷「しょうもないけど そういうことか…」
193 :
◆VTkGRpPzmUQh
[saga]:2018/10/16(火) 23:58:05.42 ID:sPTcozIA0
奴隷「う〜ん、そうか〜〜」ゴロン
ドラゴン「人を助けたいという心意気は買うがな」
奴隷「ひどい穴だな…」
ドラゴン「ああ、あそこで住んでいた住人にとっては一足早い魔王の進攻に感じただろうな」
奴隷「こんな穴がそこらじゅうにあるのか?」
ドラゴン「いやいや、ここまで大きいのは10もいかぬ」
ドラゴン「最初は気づかぬ程度の振動」
ドラゴン「それから徐々に山が崩れるまでになり、魔界まで貫通するような穴は最近になってようやくといった具合か」
奴隷「規模が大きくなってる?」
ドラゴン「成長するからな」
ドラゴン「今ならちゃん&tけは失礼にあたる」
奴隷「なぁドラゴン…」
ドラゴン「ん〜? トイレか?」
奴隷「俺に話してない事って、後どれぐらいある?」
ドラゴン「山のようにあるが全部話したらきっと勇者も怖じ気づくから言わん」
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