LiPPSとアインフェリアが生存本能ヴァルキュリアの世界を生き抜いたようです

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237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/21(日) 01:16:11.89 ID:XOPBsoPd0
>>217
奈緒編1スレ目の>>300の奈緒と翠の会話になります。翠です。
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/21(日) 01:26:13.74 ID:XOPBsoPd0
そういえば今更ですが周子とお紗枝はんのイベントが終わりました。イベントを走った方も走らなかった方も、イベント曲のMVは涙が流れるほど大変素晴らしい内容なので恒常実装時には是非ご観賞してみてください。

私は嗚咽を漏らし涙を流しながらイベントをプレイしていました。
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/22(月) 20:37:48.86 ID:jaitRHgS0
――土星圏外宙域、ノルンS-02(食堂)

未央「アッー! もう、疲れたぁ……」

凛「どんな声出してるのさ……いや、確かに疲れたけどね……」

卯月「……」

未央「しまむーなんて力尽きてるし……圏外防衛がこんなに大変だったとは……」

智絵里「ま、まあ、出撃も多いですし……木星圏は、もう少しだけ、平和だったから……」

未央「私、正直ちえりんのことナメてたよ……こっちで小隊長やってるだけあるよ、うん……」

凛「数日で何回出撃しても全然調子も落ちないし、凄いね」

智絵里「そっ、そんなっ……わ、私も、菜々さんに鍛えてもらったりしてるから……」
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/22(月) 20:39:48.23 ID:jaitRHgS0

翠「みなさん、お疲れ様です」フワッ

卯月「はっ……中尉、お疲れ様です!」ガバッ!

未央「おっ、起きた」

千秋「戦闘ご苦労様。編成も交代の時間になりましたし、私たちは休んでおきましょう」

未央「いや疲れた疲れた……いかに自分たちが生ぬるい環境にいたかが身に染みたというか……」

凛「土星圏に来たのも、ある程度安全になった時期だったしね。圏外防衛くらいは大変だったって聞いてたけど」

翠「それも以前のお話です。いまはNGFの導入でこちらの戦力も底上げされていますし、後は長距離航行プランが終わるまでの辛抱です」

未央「むー……アインフェリアは問題ないだろうけど、美嘉ねぇたち、大丈夫かなぁ」

凛「私たちより良い動きが出来るんだから、戦闘は問題ないと思うよ。それに、プロデューサーも戻ってきたみたいだし」


菜々「みなさぁーん! お待たせしましたぁ♪」

かな子「ご飯の後のデザート、今日はスコーンだよ」

未央「ウ、ウサミン隊長、元気だねホント……」

凛「そのメイド服、時子さんに注意されないの?」

菜々「ずーっと前から、許可が下りてますからぁっ!」ドヤァッ!

凛「ええ……」
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/22(月) 20:40:43.37 ID:jaitRHgS0
千秋「いいじゃない、雰囲気が出ていて」

琴歌「ノルンの食堂は広いですから、少しだけなら場所をお借りしても大丈夫かと」



未央「この金持ち軍団に盾突こうとする人間はいないような気がする」ヒソヒソ

卯月「黒川、櫻井、西園寺って全部軍やコロニー関係の大きいところですからね……」ヒソヒソ



桃華「これだけの人数で集まると、お部屋では少々狭いですもの。周りの方のご迷惑にならない範囲で休憩しましょう」

菜々「はいどうぞ♪ はいどうぞ♪ どうぞ〜♪ お茶ですよ〜♪」

卯月「あっ、ありがとうございます……」

未央「メイド喫茶か……そうだ、メイド喫茶といえば美味しくなるおまじないが……」

菜々「あぅっ、そ、それはですねえ〜……ただいま準備中なので……」

凛「いや、ここでそれやるの恥ずかしいでしょ」


……
…………
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/22(月) 20:44:00.72 ID:jaitRHgS0
――同時刻、土星圏宙域、フレイヤU(艦長室)

P「……」カタカタカタッ

パシュンッ!

ありす「おや、戻っていらしたんですね」

P「ああ」

ありす「どうでしたか? 若い子の相手をするのは気持ちよかったですか?」

P「なんだその言い方は……ノーコメントだ」カタカタッ……

ありす「……いま作っているその資料」

P「ん……いや、どうかと思ってな」

ありす「私は、本人ではないので何とも」

P「そうかもな。前に、ナシヤマにいたときにそれとなく話してみたが、もう本人も乗り気じゃなかったし」

ありす「気持ちは、残っていると思いますよ。だけど、私やあなた以上に……随分と時間が経っています」
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/22(月) 20:45:54.29 ID:jaitRHgS0
P「俺も、しばらく顔を合せなかった時期が長かったから、ただ、やはり皆を見ていると……憧れる気持ちを持つのも、分からなくはない」

ありす「……Pさん」

P「なんだ」

ありす「憧れや、夢を持つのは……心地よくて、色々なことを忘れることもできるんです」

ありす「だけどそれ以上に、その思いに苦しむことだって、あるんです。私がそうだったように」

P「……」

ありす「私は、あなたに出会えなければ今の自分はありませんでした。これだけは間違いありません」

ありす「その思いは、時には絶望や憎悪と等しくなることだってあります。だから、きっと今のあの人は……」

……
…………
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/22(月) 20:49:02.40 ID:jaitRHgS0
――土星圏外宙域、ノルンS-02(食堂)

卯月「うーん……お腹いっぱいです。ご馳走様ですー……」

菜々「お粗末様です。お菓子のパックケースは潰してゴミにしちゃいますから、まとめてくださいね」

千秋「あら……大佐から連絡が来ていたわね。アインフェリアの復帰、スケジュールが立ったみたいよ」ピピッ!

翠「であれば、長距離航行プランもようやく動きますね」

菜々「おや……?」

桃華「長かったですわね。後は再編成による各コロニーの防衛体制が整ってから……ですわね」

智絵里「防衛部隊の展開も……各宙域で間に合わせるみたいですし、私たちもホクドウに戻らないと……」

千秋「観測されている残りの次元振動の対処が済み次第、戻ることになるわ。それまではここでの任務をしっかりと片付けておきましょう」


菜々「……」

未央「ん、どしたのウサミン?」

菜々「え? ああいえ、ナオちゃんや加蓮ちゃん、元気でやってるかなーと思いまして」

……
…………
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/22(月) 20:50:11.22 ID:jaitRHgS0
――土星圏宙域、フレイヤU(食堂)

奏「……」

美嘉「……」プルプルプルプルプル


周子「おまたせー、あたし今日は月面焼きにしちゃった」ガタッ

フレデリカ「アタシも人間のゴハン食べたら鉄分補給しなきゃ」

志希「後でメンテしてあげるー……ん、どしたの美嘉ちゃん? 月面焼きみたいに顔が焼き上がってない?」

フレデリカ「美嘉ちゃん元気ないの? プロデューサーとセックスしたの――」

美嘉「うわああああああやめてえええええええ!!!!」ガタッ!!

周子「うおっ、ビックリしたぁ……」ビクッ!

奏「……うるさい」

美嘉「う、うううううううるさいってかなっ、かなぁー!!」

奏「私に当たらないで頂戴……」

フレデリカ「奏ちゃんもセックスしてもらったもんねー。アタシもセックスしてもらえばよかったかな?」
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/22(月) 20:51:38.82 ID:jaitRHgS0
志希「あたしも匂いだけ嗅ぎにいけばよかったかなー。でもそしたらそのままヤっちゃってただろうけど」

周子「確かにね、あそこの浴場、広くないとあかんね」

志希「仕方ない仕方ない。改良したとはいえヴァルキュリアシステム使えばそうなっちゃうんだし。あ、セックス中の映像記録あるけどオカズに使う?」

美嘉「いらない! 消して!」

奏「消して」

志希「艦内映像記録に残ってるからおいそれと消せないのであった。残念!」

フレデリカ「メッセンジャーが言ってたよ? 『セックス……それは愛、快楽を求める為に必要な行為です。とても尊い行為……出来ることならば、正直毎日したいです』って」

美嘉「誰の台詞よ! それは!!」

フレデリカ「ナシヤマ在住のSさん。NさんもAさんもTさんも似たよーなコト言ってたよ」

志希「まーまー、奏ちゃんも美嘉ちゃんも盛り上がってたしよかったんじゃないの? ヤるときはヤる、子作りしないように避妊治療も受けてるんだしさー」

周子「こんな会話を繰り広げても周りの人らは普通にご飯食べてるっていうね」
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/22(月) 20:53:07.94 ID:jaitRHgS0
美嘉「ってそうだよ、アタシたちアイドルなんだからこんなこと話してるのマズイって……」

フレデリカ「ここであそこでゴハンを食べている方々の反応」


「何年ここで働いてると思ってんだよ」

「アインフェリアでとっくに慣れてるって」

「というかアインフェリアが酷すぎたからもうなんでもいいかなって……」

「十時大尉や神崎中尉が唯一の癒しだったよ……はぁ……」

「あの2人も似たようなもんだったけどな」



周子「どうやら外野曰く、あたしらの行動は特におかしなことでもなかったみたい」

奏「本当にとんでもない場所ね、ここは……」ハァ……

志希「『あぁっ!? イクゥー!!』だったっけ? 奏ちゃん?」

奏「ちょ、ちょっと! やめなさいこんなところで!!」


……
…………

248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/22(月) 20:53:43.21 ID:jaitRHgS0
――翌日、フレイヤU(会議室)

志希「てワケで、寄り道している次元振動の観測ポイントで予定している戦闘は、終わった後はすぐ帰艦してね」

ありす「とはいっても、白蜂が逃走した場合で尚且つ超空間転移の現象が確認出来てから、こちらも追跡を行うことになりますが」

奏「わざわざ集まって説明し直される内容……にしては作戦前に聞いた話とあまり変わらないわね」

ありす「今回は一ノ瀬博士が巣の空間転移直後の次元振動の変動値を測定し、超空間転移が可能な巣、及び白蜂なのかを特定します」

志希「まあ色々あるけど、とりあえず戦闘始まった後に指示出すから頑張ってね」

ナオ「ってことは、早いうちに格納庫には次元跳躍用の装備を出してもらったほうがいいのか……」

フレデリカ「すぴー……」

ナオ「寝たふりするなよ」

フレデリカ「ニンゲンノコトバ、ムズカシイ……」

加蓮「そもそも超空間転移が出来たり出来なかったりって違い、あるの?」

志希「まーフレちゃんも出来ないし、でも他のビーで空間転移できたりする個体もいるし? 個体差じゃないかなー? 確実に超空間転移が出来そうな個体といえば、例えば……」
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/22(月) 20:54:10.17 ID:jaitRHgS0
志希「種として、より高度に進化している存在……とか」

P「……」ピクッ

志希「にゃはははっ♪ キミ、心当たりあるって顔してるねー」

P「……そう考えただけだ」

志希「そうだねー、キミからすればGS型どころか、G型ですらアイツの劣化版だもんね」

P「……」フワッ

パシュンッ!

美嘉「あっ、プロデューサー……出ていっちゃったけど」

ありす「志希さんっ!」

志希「ゴメンゴメン」

周子「……」

……
…………
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/22(月) 20:56:25.17 ID:jaitRHgS0
――フレイヤU(休憩所)

P「……」


周子「いた」フワッ


P「……どうした、まだ打合せ中のはずだ。会議室に戻れ」

周子「最初に出て行ったの、プロデューサーやん?」

P「……」

周子「当ててあげよっか。白塗りでしょ」

P「……別に」

周子「いま、プロデューサーの素が見えた気がする」

P「そういうわけではない」

周子「まっ、奏ちゃんたちは知らないもんね。その頃ってまだ軍にいなかったし、あたしはH46の戦闘には参加してたけどね」

P「そうか」

周子「……あたしもあの時、死ななくて済んで、運がよかったって思ったんだけどね。あんなヤツがいるんだって、怖かったし」

周子「あんな化け物みたいなヤツを倒した化け物が軍にいるって、それもビックリしたけど」

P「もう昔の話だ。それに今は3NXや4Nの実装で戦闘の状況も変わっている。厳しい場面もあるかもしれないが、皆が後れを取るようなことはない」
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/22(月) 20:57:16.07 ID:jaitRHgS0
周子「でも、不安そうな顔してるやん。過保護なだけ?」

P「そういうことにしておいてくれ」

周子「……そっか。それじゃ、あたしも戻りまーす。プロデューサーも、サボるとありすちゃん大尉に怒られるよー?」フワッ

パシュンッ!


P「……」



『後遺症については、ここ数ヶ月で徐々に落ち着いた傾向が見られます。リハビリプログラムについても、むしろ非常に良い結果が出ています』

『このまま順調にプログラムを進めることが出来れば、復帰することも可能でしょう。ですが……』

『ゾーニング現象の後遺症が完治したとしても、それまでに受けた体の負荷……こちらについてはどうにも……』

『今後同様の戦闘が起きた場合、同じように少佐が他パイロットの負荷を肩代わりすることは難しいでしょう。戦闘そのものについても……』



P「……まだ、時間はある」
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/22(月) 20:58:01.40 ID:jaitRHgS0
整備長「どうしたんですかい、そんな辛気臭い顔して」フワッ

P「整備長か。いや……」

整備長「まだ打合せの時間じゃないんですか? 少佐がサボるなんて珍しいじゃないですか」

P「一ノ瀬博士から、次の戦闘で次元跳躍が可能な巣、及び白蜂が出る可能性があると予測が出ている。試験用パックの兵装を準備しておいてくれ」

整備長「へい……で、少佐は?」

P「……どこまで持つかと思ってな」

整備長「どこまでも、持たせるつもりじゃなかったんですかい?」

P「そのつもりだ。だが、いつかはどうにもならなくなる時は来る」

整備長「そのための新型でしょうに。新型が少佐のマニューバについてこれるようになれば、体の負担だって減るんですし」

P「……そうだな。こんなことを言う前に、まずは出来ることをやらなければな」

……
…………
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/22(月) 21:00:05.50 ID:jaitRHgS0
――数時間後、フレイヤU(ブリッジ)

加蓮「大尉、フィールドジェネレーターを起動します。次元振動確認、空間転移まで後200です」

ありす「了解しました。一ノ瀬博士は測定をお願いします」

志希「はいはいっと。確認出来たら出撃準備してくるから」

ありす「お願いします。それではNGF各機、出撃してください」

ピピピッ!

P『了解した。出撃する』

ナオ『時限跳躍をするのに、転移後の座標を特定しておく必要があるんだったか……手間が掛かるなぁ』

奏『そこは私たちの仕事なんだから、ナオは気にしなくてもいいでしょう?』

ナオ『ん、まあな』

加蓮「ハッチ開放完了。各機、出撃どうぞ」カタカタカタッ!

ナオ『おっと、よし行くか』

フレデリカ『はっしーん!』


……
…………
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/22(月) 21:00:47.72 ID:jaitRHgS0
――木星圏、ナシヤマ、軍本部(会議室)

大佐「では、本日よりアインフェリア隊はフレイヤに再配置となる。プランV3についても、防衛部隊の再編制を進めている」

大佐「キミたちがホクドウに到着次第、長距離航行プランの対象となるノルンにはホクドウへの帰艦指示が出る。残りの準備は向こうで頼むよ」

美波「了解です」

大佐「うむ。新田少佐、鷺沢中尉、相葉中尉、高森中尉、よろしく頼む。高垣中佐、すまないがみんなのことは……」

楓「はい、ちゃーんとお世話しますね」

晶葉「ウチのスタッフもモリアン艦で随伴する。道中で戦闘起きた場合は、少し心許ないがな」

夕美「再編成で木星圏のコロニーも防衛部隊に必要な人員も増えちゃったし、仕方がないよ」

文香「とはいえ……シンデレラガールのお2人と、護衛艦としてヴェールが2隻……来て頂けるだけでも、とても助かります」

藍子「必要なら私たちも出撃します。NGFに乗れないわけじゃありませんから」

大佐「そうだな……だが、キミたちの場合はまず無事にホクドウに着くことを優先してくれ。プランV3のためだ」

……
…………
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/22(月) 21:01:35.61 ID:jaitRHgS0
――ナシヤマ、軍本部(通路)

藍子「……ようやく、正式に復帰ですね」

夕美「うん。愛梨ちゃんも蘭子ちゃんも、美優さんもついてきてくれる……私たちも頑張らないと」

楓「フレイヤの出港準備、後で私たちも行っておきませんとね」

美波「ええ、早いうちに――」


キィィィィンッ!


文香「……みなさん」ピクッ

夕美「この感覚……」

楓「どうしたんですか?」

藍子「聞こえる……この前と違う、小さい感じじゃなくて……」

美波「クイーンの……声……?」


……
…………
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/22(月) 21:04:58.11 ID:jaitRHgS0
――土星圏、戦闘宙域


キィィィィンッ!


フレデリカ「プロデューサー!!」ガションッ!

ドガガガガガガッ!!

GS型「!!」ギュンッ!


キィィィィン……

P『なんだ……この感覚は、また……』

ナオ『これは……』


奏『何、どうしたの?』ギュンッ!!

美嘉『戦闘中だよ、何話してるの!』

ピピピッ!

ありす『フレデリカさん、落ち着いてください。まだ戦闘中です』

フレデリカ「でもメッセンジャー、いまの――」

ありす『私も感じました。ですが恐らく、この場のことではありません。このお話は後です』
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/22(月) 21:07:38.52 ID:jaitRHgS0
周子『ちょっとちょっと、足止めないでよー……弾幕っと』

ボシュシュシュッ!!

ドガガガガガガァンッ!!

加蓮『大尉、残りのGS型が戦闘宙域から離脱していきます。次元振動が発生しています』

ピピピピピッ! ピピピピピッ!

志希『あちゃー、もめてる間に図らずとも逃げられちゃったね。空間転移だ』

ありす『再度の空間転移で逃げましたか。一ノ瀬博士!』

志希『フラグチェックの準備出来てるよー。転移後の座標と空間構成情報の保存、断層修復に必要なエネルギー量測定中……変動値は……おお、超空間転移だね』

P『整備長、試験用パックの準備は』

整備長『準備出来てますぜ! 嬢ちゃんたちが戻ってきたらすぐに換装出来ますぜ!』

P『よし、LiPPS隊、NGFの損傷はないな? 直ちに帰艦して機体の簡易チェックとオプション兵装の換装を済ませて次元跳躍のテストに移る』

奏『了解。みんな、戻るわよ』

美嘉『初めてのテストかぁ……大丈夫かな』

フレデリカ『ダイジョーブ、なんとかなるって』

周子『志希ちゃんもつれていかないとねー』

……
…………
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/22(月) 21:08:55.51 ID:jaitRHgS0
――フレイヤU(ブリッジ)

ありす「北条少尉は一ノ瀬博士の代わりに次元跳躍後のLiPPS隊のガイドをお願いします。私のほうからも指示を出します」

加蓮「了解です。ニュージェネは結構テストやってたんだっけ……他の世界に行くって、大丈夫なのかなぁ」

ありす「あの子たちは途中からは楽しそうにやってましたよ。全員が戻ってこれるように、こちらも気を抜かないようにしましょう」

加蓮「……もし、これが正式に実装されたら、奈緒は」

ありす「可能性はあります。ですが、今はその話は後にしましょう。まだ作戦中です」

ピピピッ!

ナオ『加蓮……あまり気にするのもよくない。あたしたちはあたしたちで、今は奈緒の分まで戦ってるんだ。奈緒に会うのは……全部終わってからだ』

加蓮「……うん、そうだね」

ピピッ!

加蓮「LiPPS小隊、全機帰艦しました。ナオとP少佐は宙域で待機中です。整備班、LiPPS小隊のNGFの機体チェックと換装作業に入ります」カタカタカタッ!

ありす「さて……作戦内容の変更です。超空間転移で戦闘宙域から離脱した白蜂3匹の追跡行動に移ります。LiPPS小隊、よろしくお願いします」


……
…………
………………
……………………
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/22(月) 21:14:23.12 ID:jaitRHgS0
>>235訂正

志希「修復に掛かる時間は振動の収束値から出してたんだけどねー。変動値の振れ幅が小さいと蜂は次元跳躍してるみたいだね」

ありす「……よくわかりませんが、つまりこちらの技術で超空間転移をする際は丁寧にドアを開閉するので空間構成情報の変動値が大きく、ドアを破壊して通る白蜂の超空間転移は空間構成情報が自然修復によって直っているから変動値が小さいということですか?」

志希「何となくそんな感じ。だからどんなに小さい次元振動でも、断層修復時の空間構成情報の変動値が小さいときは蜂は超空間転移してる可能性があるねー」

晶葉『こちらも超空間転移の検証中だから詰める部分はあったが、少し観点を見直す必要があるな……軍から提供されているデータをもう一度洗ってみる』

志希「よろしくー♪」

晶葉『お前も真面目に仕事は続けておけよ。また連絡する』

ピッ!

志希「てことでー、アイツらが次元跳躍するかは転移した直後に分かるかもしれないね」

志希「これまでは収束値で超空間転移されているか判断してたけど、これならもうちょっと正確に判断できるね」
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/22(月) 21:14:48.21 ID:jaitRHgS0
>>236訂正

ありす「これまでの次元跳躍のテストでも、転移先で白蜂が確認できないこともありましたが……後でもう少し詳しくお話を聞かせてください」

志希「いいよー」

加蓮「……そういえば、みんな帰ってくるの遅いね」

ありす「そうですね。まだ格納庫にいるんでしょうか」カタカタカタッ!

ピッ!

ありす「……」

加蓮「大尉?」

ありす「浴場にいるみたいですね。ナオさんも行っているみたいです」

加蓮「……アタシも行こうかな」

ありす「ブリッジ作業が残っています」

加蓮「はぁー……」

……
…………
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/22(月) 21:15:47.18 ID:jaitRHgS0
>>253訂正

――数時間後、フレイヤU(ブリッジ)

加蓮「大尉、フィールドジェネレーターを起動します。次元振動確認、空間転移まで後200です」

ありす「了解しました。一ノ瀬博士は測定をお願いします」

志希「はいはいっと。確認出来たら出撃準備してくるから」

ありす「お願いします。それではNGF各機、出撃してください」

ピピピッ!

P『了解した。出撃する』

ナオ『次元跳躍をするのに、転移後の座標を特定しておく必要があるんだったか……手間が掛かるなぁ』

奏『そこは私たちの仕事なんだから、ナオは気にしなくてもいいでしょう?』

ナオ『ん、まあな』

加蓮「ハッチ開放完了。各機、出撃どうぞ」カタカタカタッ!

ナオ『おっと、よし行くか』

フレデリカ『はっしーん!』


……
…………
262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/22(月) 21:19:56.44 ID:jaitRHgS0
今日はこれで終わります。
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/22(月) 21:54:31.11 ID:2lrse61M0
乙。
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/23(火) 20:35:52.07 ID:ippZvaOfo

ヤッちゃったかぁー
265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/27(土) 23:49:55.24 ID:5hoKd8Wg0
――土星圏外宙域、ノルンS-02(ブリッジ)

時子「緊急対応、ですって?」

大佐『うむ』

時子「何故、木星圏にいる貴方から巣の対応について直接指示がされなければならないのかしら」

大佐『今回の件については、つい先ほど彼女たちから聞いた話しになる』

時子「……誰か、ミーミルを起動させなさい。アルヴィスに上がっている次元振動の観測データを出しなさい」

「待ってください……スクリーンに出します」


時子「最新の更新データの中に、1件あるわね。圏外防衛ラインから少し離れたポイント……断層予測レベルは7のものがあるわ。これかしら」ピピッ!

大佐『恐らく……だがそのレベルではノルン級が出る範囲か。大規模級の巣が出るほどでなければ、クイーンとまではいかないと思うが』

時子「けれども、あの豚たちが話したことなのでしょう? こちらもそれなりに駒を揃えなければならないわ」

大佐『すまない。長距離航行プランの前だが、対応を頼む。フレイヤUをそちらに合流させても構わん』

時子「……そうね。どうせ招集をかけるなら、今のうちに働いてもらえばいいわね」

大佐『頼むよ。彼から預かっている隊の運用については合流した後に話してくれ』

時子「わかったわ。それじゃあ、もう用はないわね? 切るわよ」

大佐『アインフェリアの復帰に伴って長距離航行プランの指示が展開される。S-02もフレイヤUと合わせて気を付けてくれ』

ピッ!

時子「圏外防衛に当たっている各ノルンに通信を出しなさい。断層予測レベル7の次元振動の対応について話をするわ」

……
…………
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/27(土) 23:50:24.67 ID:5hoKd8Wg0
――数時間後、フレイヤU(ブリッジ)

P「圏外防衛ラインでの戦闘への参加か?」

時子『ええ、あのクソジジイからの連絡よ』

ありす「やはりそちらに来ましたか。恐らく、美波さんたちから話があったのでしょう」

時子『そっちもある程度は認識していたってことかしら』

ありす「はい。数時間前の戦闘で私とフレデリカさんのほうで違和感を感じました。恐らく、クイーンが絡んでいるのではないかと」

P「……」

時子『それなら話が早いわね。さっさと圏外防衛ラインに来なさい。艦はS-02で預かるわ』

P「了解した。こちらもホクドウへの帰還途中だ。補給が済み次第そちらに向かう」

時子『早く戻りなさい。遅れるんじゃないわよ』

ピッ!

ありす「……クイーンの影響がなければいいのですが」
267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/27(土) 23:51:03.32 ID:5hoKd8Wg0
P「そこまでは分からん。だが、以前のことを考えると、断層レベルが上がれば、可能性があるかもしれん」

ありす「アインフェリアが揃わない状態でクイーンと遭遇するには……バックアップ用メンバーとして考えていた愛梨さんや蘭子さんも、今はナシヤマですし」

P「そうだな。以前準備していた卯月とフレデリカを含めたメンバーでの宙域ライブも出来ん。だが、巣の対応としてはこちらも動くしかないだろう」

ありす「そうですね……」

ピピッ!

加蓮「大尉、整備班から連絡です。次元跳躍から帰還したNGFの整備を始めるそうです」

ありす「わかりました。作業については急がせてください。こちらも圏外防衛ラインへの移動が入りましたから」

加蓮「わかりました」カタカタッ!

パシュンッ!

ナオ「戻ったメンバーは全員浴場に行ったよ。跳躍テストの映像記録、後でこっちでも確認しておこうか」フワッ

P「ナオか。丁度良い、つい先ほどまで時子と通信をしていた。こちらも圏外防衛ラインに向かうことになった」

ありす「跳躍テスト前の戦闘で、私とフレデリカさんのほうで違和感を感じました。断層予測レベル7の次元振動が、もしかしたらクイーンが関係しているかもしれません」

ナオ「クイーン……」

加蓮「ナオ?」

ナオ「……いや、何でもない。移動については分かった。LiPPSのみんなには後で話しておこうか」

……
…………
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/27(土) 23:51:33.28 ID:5hoKd8Wg0
――フレイヤU(通路)

ナオ「……」



『……聞こえるか、クイーン! アインフェリアの……みんなの歌が!』

『あたしたちは生きている! ビーも一緒に……あたしたちは戦いたくない。戦う必要なんてない……』

『お互いに、生きていけるんだ。それぞれのいるべき場所で!』



ナオ「……あのときのあたしたちには、選べる道は無かった。その道しか、残っていなかった」

ナオ「だけど、今は……今なら、お前は……どう答える?」

ナオ「あたしは……」


ナオ「あたしなら、今度は……」


……
…………
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/27(土) 23:53:06.27 ID:5hoKd8Wg0
――数時間後、フレイヤU(医務室)

奏「ふう……跳躍テストの後は、面倒くさいのね」

美嘉「お風呂入った後のメディカルチェック、ヴァルキュリアシステム使った時より長かったかも」

志希「そりゃねー。他所の世界の環境とか、こっちと違う可能性だってあるんだし。まーあたしが調べて問題ないって分かっただけでも、マシな世界だったんじゃない?」

奏「そうね。私たちの世界と凄く似たような場所だったもの。それに、大気圏内での飛行なんて初めてだったわ」

美嘉「空気があって、建物があって、アタシたちの世界と似たようなトコ……NGFじゃないけど戦闘機みたいなのも飛んでたし、どこの世界も戦ってる……か」

周子「さあねー。たまたま戦ってる世界に行っただけかもしれないし、もしかしたらなーんもない世界だってあるかもしれないじゃん」

志希「そーゆーこと。転移時の空間構成情報の記録と、転移先の座標フラグは立てといたから、また行くのは別として観測は出来るようになったし」

周子「おや? そうえいばフレちゃんどうしたんだろね」

美嘉「知らない」

奏「あの子、先に検査終わったものね。どの道待機だから、私たちも指示が出るまで休憩していましょう」


……
…………
270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/27(土) 23:53:40.93 ID:5hoKd8Wg0
――フレイヤU(休憩所)

奏「……あら?」


フレデリカ「フンフンフフーンフンフフーン……♪」ピッ、ピッ……

奏「フレデリカ、何しているの?」フワッ

フレデリカ「あっ、奏ちゃん。あのね、いまアタシは大事なミッションをこなしてるの」

奏「……花壇弄り?」

フレデリカ「そう! メッセンジャーから『お世話よろしくね』って言われたアタシの大事な仕事!』

奏「その、メッセンジャーって」

フレデリカ「うん? あー、アインフェリアのコト」

奏「あまり、他のビーと話すことはなかったけれど、貴方たちはアインフェリアのことは、メッセンジャーって言うのね」

フレデリカ「あんまり言っちゃダメって言われてるんだけどね。アタシたち、話かけてくれた最初の人間だから、みんなメッセンジャーのこと大好きなんだー」

ピッ、ピッ……

フレデリカ「メッセンジャーがアタシたちに話掛けてくれたから、アタシたちは生きてるし」

奏「……」
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/27(土) 23:54:45.88 ID:5hoKd8Wg0
フレデリカ「体がこんなに小さくなったのだって生きるためなら仕方ないし、大きいままでも、宇宙でお仕事すればいいだけだし」

奏「採掘場は、普通のビーが運搬の仕事をしているものね。フレデリカは、どうして人の体をもらったの?」

フレデリカ「会いたいって、メッセンジャーと……あの日、アタシが助けなきゃって思った人間に、会いたいって思ったから」

フレデリカ「白くなったヤツから逃げるだけだったアタシたちを助けてくれて、戦ってくれたプロデューサー」

フレデリカ「助けてくれたなら、アタシだって助けなきゃって。だから、その後でみんながどうなったのか、気になって会いたくなったんだ」

奏「……そうなの。貴方に出会いがあったのなら、ロマンチックな話ね」

フレデリカ「志希ちゃんに聞いたらね、それでいいんじゃない? 会ったほうがいいよって言ってくれたんだ。メッセンジャーとプロデューサーに会えば、人間のことをもっと理解できるって」

奏「私は、まだ大尉以外のアインフェリア隊には会ったことがないけれど……それでどうなの、貴方は人間のことは分かったの?」



フレデリカ「よくわかんない」


272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/27(土) 23:57:19.54 ID:5hoKd8Wg0
フレデリカ「みんなと一緒にいて、ゴハン食べて、テレビ見て、買い物して、アイドルのお仕事して」

フレデリカ「たまにメッセンジャーとプロデューサーのセックスも見て、おもしろくて、楽しくて」

フレデリカ「でもやっぱり、わかんないんだ」

フレデリカ「アタシたちのことを助けてくれた人メッセンジャーのことが分かったら、アタシはもっとみんなのことが好きになるのかなって思ってたのに」

奏「今はどうなのかしら?」

フレデリカ「大好き!」

奏「大好き以上に、好きになることってあるのかしら?」

フレデリカ「んー……言葉が分かんない。教えてもらってないのかなー……」

フレデリカ「まあでもね、アタシはアタシたちを助けてくれたメッセンジャーみたいに、今度はアタシがみんなのこと守ってあげるんだ」

フレデリカ「メッセンジャーたちも、プロデューサーも、奏ちゃんも、志希ちゃんも、シューコちゃんも、美嘉ちゃんも、みんな!」

奏「……」

フレデリカ「ん? どしたの?」

奏「いえ……ふふっ、欲張りなのね、フレデリカは」
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/27(土) 23:58:10.06 ID:5hoKd8Wg0
ピピッ!

フレデリカ「お、設定終わった? よーし花よ、枯れるなよー枯れたら針飛ばすぞー」ピッピッピッ!

奏「……」

フレデリカ「よし終わり―。ブリッジに遊びにいこうっと。奏ちゃんも行く?」フワッ

奏「私は、少し休憩してから行くわ。検査、長かったもの」

フレデリカ「そっか。それじゃーね」





奏「……」


P「……」フワッ

奏「……あら、盗み聞きなんて、少佐はイイ趣味しているのね」

P「たまたま休憩所に寄ろうと思ったら話し声が聞こえていただけだ。水を差すのも悪いと思って、終わるまで待っていた」
274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/27(土) 23:58:43.30 ID:5hoKd8Wg0
奏「……貴方は」

P「俺は別に、何をするつもりもない」

P「俺はフレデリカには恩があるから、本人のやりたいようにやらせる。最後にフレデリカ自身が満足できれば、それでいいと思っている」

奏「でも彼女、分からなくて悩んでいるみたいよ。少しくらい、何かしてあげてもいいとは思うけれど」

P「それでいいんだよ。相手に歩み寄り、理解しようとする。それに対して悩むことは、俺たち人間とそう変わりはない」

P「志希が何を思っているのかは知らないが、少なくとも俺にとっては、フレデリカと共にいて悪くないと思っている」

P「少尉は、フレデリカのことは良く思っていないのか?」

奏「……いえ、そんなことはないわ。素直で、優しくて、良い子だと思うわ」

P「そうか。それならいい」ピッ!

ガコンッ!

P「何か飲むか?」

奏「……じゃあ、コーラで」


……
…………
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/28(日) 00:04:33.15 ID:h2S7R3zf0
しまった。少し中断します。
276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/28(日) 00:45:23.85 ID:h2S7R3zf0
――数日後、ホクドウ、フレイヤU(ブリッジ)

整備長「んじゃまあ、補給作業はやっとくからよ。後は外装メンテで1日くらい掛かっちまうが」

ありす「大丈夫です。圏外宙域の次元振動予測を見ても、まだ時間はありますし」



加蓮「ありす!」フワッ

ナオ「おいちょっと加蓮!」


ありす「加蓮さん? どうかしましたか?」

加蓮「これ、搬入出のリスト!」

ありす「ええ、私のほうでも少し手を入れました。次の戦闘、クイーンが来るかもしれません。通常よりも物資が必要になるかと」

加蓮「そうじゃなくて、これ! 3N-SD、なんで置いてくの!」

ありす「……格納庫で錆び付かせておくよりは、一度降ろして物資の搬入ペースを確保したほうがいいかと思います」

ナオ「だから言っただろ、整備班だって手掛けるのも時間掛かってるんだし」
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/28(日) 00:50:34.95 ID:h2S7R3zf0
加蓮「それなら私が乗る! 奈緒だって、一緒に……」

ありす「あなたにはVSTG19Sがあるじゃないですか。3NXがベースの機体ですし、単純に3N-SDよりも上位のスペックに収まっています。そちらを使うべきです」

加蓮「だけど!」

ありす「気持ちは分かります。ですが今この時、何が必要なのかを見誤らないでください。ナオさんは、大丈夫ですよね?」

ナオ「ああ。クイーンが来るかもしれないって時に、遊ばせているだけの機体を積んでおくのも邪魔になるだけだ。加蓮、終わったらまた取りにくればいい」

加蓮「……」

整備長「大丈夫だっての。アインフェリアがいないからちぃっとばかし不安だけどよ、これまで通りやればいいだろ?」

ありす「そうです。P少佐もいます。S-02にはみなさんもいます。長距離航行プランの実行前に手間が1つ増えただけです」

ありす「終わらせて戻って来ましょう。これまでと同じように」

……
…………
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/28(日) 00:51:14.93 ID:h2S7R3zf0
――フレイヤU(格納庫)

P「ああ、次の戦闘はナオにはVPSPで出てもらう。混戦になる可能性が高い、支援にも回ってもらうつもりだ」

晶葉『そのほうがいいかもな。ナオには?』

P「もう話している。本人もそのつもりだったらしいが」

晶葉『そっちの搬入出のリスト、見ておいたぞ。フレイヤUも陽電子砲を積んだから、今回は巣の破壊作業には参加できるだろう』

P「ああ、ブースターユニットも一度は取り外していたが、今回の補給で再度つけるつもりだ。足を使うだろうからな」

晶葉『出来れば圏外宙域での戦闘、空間構成情報のデータは取ってもらいたいんだが』

P「難しいな。次の戦闘で志希を出させるわけにもいかないし、ブリッジも人手不足になる」

P「データの採取という意味では、一番効果的な戦闘ではあるだろうが……」

晶葉『……3N-SD、置いていくのか』

P「格納庫も空けておかなければならないからな。後で取りにくればいい」

晶葉『そうか。まあ、そのほうがいいだろう。お前はどうする?』

P「3Nで出撃する。整備長には背面パーツの交換も頼んでいる」

晶葉『気をつけろよ。ダブル奈緒と違って、お前とナオではお前のほうにヴァルキュリアシステムの負担を寄せないとドッキングは上手く機能しない』

P「わかっている。ナオにはなるべく負担を掛けさせないつもりだ」
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/28(日) 00:52:01.82 ID:h2S7R3zf0
晶葉『それならいいが……上手くやってくれよ』

P「ああ」

晶葉『クイーンの空間転移は、ビーたちだけではなくアインフェリアにも何か感じているものがある』

晶葉『ありすやフレデリカに何かあったら、お前が助けてやるんだぞ』

P「……」



『なんだ……何か、違和感が……』

『この感覚は……』



晶葉『おい、聞いているか? おい』

P「ん……ああ」ピクッ

晶葉『私たちのほうも、ナシヤマを出てそっちに向かっている。合流するまではそっちは任せたぞ』

P「……分かっている」


……
…………
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/28(日) 00:53:05.77 ID:h2S7R3zf0
――ホクドウ、港前

美嘉「……」


奏「こんなところにいたのね」


美嘉「ん……どしたの?」ピクッ

奏「どうしたの、じゃないわよ。貴方、周子が今日のブリッジ作業当番が1人いないって怒ってたわよ」

美嘉「あっ、アタシか……ゴメン、すぐ戻るから」

奏「……どうしたの、難しい顔して」

美嘉「……なんでもない」

奏「それなら、そんな顔しているわけがないでしょう?」

美嘉「それは……そうかもしれないけど」



奏「フレデリカと、上手くやれないのかしら?」



281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/28(日) 00:53:43.27 ID:h2S7R3zf0
美嘉「……別に」

奏「良い子よ、あの子。思っていたよりもずっと。あの艦に来たのも、分かる気がするわ」

美嘉「そんなの、分かんないって」

奏「美嘉?」

美嘉「……ゴメン、何でもない。アタシも、あの子は良い子……だと思う」

奏「仲良くしてあげて。あの子も、貴方と仲良くしたいって思っているから」

美嘉「そっか」

奏「さてと……それじゃ私、少佐と格納庫で作業があるから先に戻るわよ。周子が許してくれるうちに、早めに戻っておいて頂戴」



美嘉「……仲良く、ね。仲良く……か」


……
…………
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/28(日) 00:54:21.59 ID:h2S7R3zf0
――フレイヤU(美嘉の部屋)


フレデリカ「……」



『それでね、アタシ絶対ぜーったいアイドルになるんだから、お姉ちゃんみたいに!』

『だからアタシもお願いして、ナシヤマのオーディション受けにいくから! そっちに行くときは、お姉ちゃんのトコに泊まっていーい?』

『あとね、この間チョーイケてる新しいお店が出来たんだけど、おかーさんお小遣いくれなくてさー、まだ行けてないんだよねー』

『それでね、この前お姉ちゃんが話してくれた雑誌、おかーさんが買ってきてくれたんだけどさ。お姉ちゃんメッチャキマッてたもんね!』



フレデリカ「……」ピッ!



『それでね、アタシ絶対ぜーったいアイドルになるんだから、お姉ちゃんみたいに!』

『だからアタシもお願いして、ナシヤマのオーディション受けにいくから! そっちに行くときは、お姉ちゃんのトコに泊まっていーい?』

『あとね、この間チョーイケてる新しいお店が出来たんだけど、おかーさんお小遣いくれなくてさー、まだ行けてないんだよねー』

『それでね、この前お姉ちゃんが話してくれた雑誌、おかーさんが買ってきてくれたんだけどさ。お姉ちゃんメッチャキマッてたもんね!』



フレデリカ「…………」


……
…………
283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/28(日) 00:54:59.79 ID:h2S7R3zf0
今日はこれで終わります。
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/28(日) 07:10:55.56 ID:XGAgGVdIo
おつ
でしょうね……
285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/28(日) 12:26:03.06 ID:72q+wkEs0
マユでーす。でもごめんなさい。マユは今電話に出られません
286 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/31(水) 00:19:27.64 ID:774xfv5O0
今日でエムステの咲ちゃんイベが最終日です。和装で百人一首しているので命懸けで頑張りましょう(宣伝)
287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/01(木) 02:22:31.23 ID:b/L10Fpk0
――木星圏宙域、フレイヤ(ブリッジ)

楓「航路誤差修正、前方ヴェール艦、後方モリアン艦との距離は維持……次の宙域チェックポイントまで艦制御のオートメーション機能を設定……」ピピピピッ!

美優「アインフェリア……I@LPの休憩時間になったみたいです。愛梨ちゃんと、蘭子ちゃん……一度こちらに、戻ってくるようです」

楓「それじゃあこちらも、少し休憩で」ピッ……


美優「……」

楓「……」

美優「……」


楓「……あの人、大丈夫かしら」

美優「そう、ですね……うちの主人のことですし、万が一……ということには、ならないと思いますけど……」

楓「私の夫ですから、危ないことにはならないと思いますけど」



楓「……」

美優「……」
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/01(木) 02:23:51.49 ID:b/L10Fpk0
楓「……なんて、もう私の夫、でもないですからね」ハァ……

美優「楓さんは……最初から、違うじゃないですか……」

楓「それを言ったら美優さんだって、違うじゃないですか。ギリギリ」

美優「むぅ……」

楓「まあ、私はこんなこと言える立場じゃないんですけどね」

美優「それは……」

楓「Pさんも入院しながらあの子たちに付きっきりで、何だか一足飛び越えて、お母さん……にでもなった気分ですし」

楓「それに、今更言っちゃうんですけど、私最初はあの子たちのこと嫌いだったんですよ、割と本気で。いまは好きですけど」

美優「えっ、ええええ……」

楓「だって私の知らないところでPさんが寝取られてたんですよ? しかも集団逆レイプで。ヒドイですよね?」

美優「わ、私から見れば楓さんだって同じような感じでした……私の見てないところで、Pさんに色々やって……」

楓「まあそれは時効ということで……美優さんだって、嫌だったんじゃないですか? せっかくあの人のところに戻ってきたと思ったら、大家族みたいな状態になってて」

美優「それは……でも、いまはもう……そんなことはありません」
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/01(木) 02:25:04.80 ID:b/L10Fpk0

楓「そうですね……最初は、あの子たちがPさんの体が目当てかと思っちゃいましたけど、ずっと、ずっとあんなに頑張って……」

美優「……あの日、最後に、黒井大佐に言われたんです」

楓「黒井大佐に?」

美優「あの人のことを、支えてあげてほしいって……私たちを逃がす為に、自分が犠牲になろうとしているときに……黒井大佐は、Pさんのことを心配していました」

美優「今思えば……どんな形であれ、Pさんが辛くて苦しい思いをするのを、黒井大佐は分かっていたんですよね」

楓「厳しかったけれど、優しい人でしたからね。菜々ちゃんのワガママにも最後まで付き合ってあげていた人でしたから」

美優「だから、結局私が、あの人の傍にいることが出来なかったときも……あの子たちが、Pさんの支えになってくれて……今では、それが嬉しいんです」

楓「はい。支えて、支えられて……Pさんとアインフェリアは、ここまで来れたんだと思います」

楓「だから……これで本当に最後に出来るよう、私たちがあの子たちを守ってあげませんとね」

美優「はい……」


……
…………
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/01(木) 02:25:45.14 ID:b/L10Fpk0
――フレイヤ(レッスン場)

愛梨「それじゃあ20分休憩でーす。私と蘭子ちゃん、今のうちにブリッジに戻っていますから、ちゃんとバイタルチェックしておいてくださいね」

蘭子「翼を休め、次なる試練に備えよ!」フワッ

パシュンッ!


藍子「はぁ……はぁ……」

夕美「いまのトコ……ターンの部分ズレたよね……?」

文香「待ってください……いま、映像記録を……」ハァ、ハァ……

美波「ありすちゃんから貰った映像データと合わせてから次に移らないとダメね……」

夕美「ちゃんと仕上げて、全力で歌えるようにしないと……まだ、私たちの歌じゃみんなには届かない……」

美波「ええ、Pさんが……みんなが命を懸けて作ってくれるチャンス、絶対に掴まないと」

文香「はい……生き残る為に……未来に、向かう為に……」

藍子「みんなの命を守って、私たちの想いを届けないと……!」


……
…………
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/01(木) 02:26:13.00 ID:b/L10Fpk0
――フレイヤ(通路)


蘭子「アインフェリア……大丈夫かな」

愛梨「ぜーったい大丈夫ですっ! みんなとっても頑張っていますし、Pさんも私たちも、信じてますから!」

蘭子「愛梨ちゃん……」

愛梨「だから、みんなのことを信じるためにも、私も蘭子ちゃんも、もっともっと頑張ってお手伝いしましょうねっ」

蘭子「……うんっ」


……
…………
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/01(木) 02:27:04.86 ID:b/L10Fpk0
――2日後、土星圏宙域、フレイヤU(艦長室)

P「搬入出作業に1日、艦メンテに1日、急ピッチで本部に応援を頼んだが、整備班には無理をさせ過ぎているな……」

ありす「はい、時間に多少の余裕があるとはいえ、S-02と合流した後は追加作業も入ってくるでしょうし、作業が遅れている現状では少々厳しいかもしれませんね」

P「もう少し本部から整備部隊を借りるか。うちのメンバーを交代で休ませておかなければ後が持たん」

ありす「そうですね……整備長にはもう少し頑張ってもらうしかありませんが、ある程度まとめて休ませるか……作戦後でもありますし、せめて1日は欲しいですね」カタカタカタッ!

ガタッ!

ありす「ちょっとこれから現場に行って来ます。今応援に来ている整備部隊に振り分けている作業を整備長と見直しますので、Pさんは本部に行って増援の申請をお願いします」

P「頼むぞ。とにかく外装メンテまで終わらせないと、装備交換まで手が付かん。現場監督であれば後で俺のほうも立ち合いに出る」

……
…………
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/01(木) 02:27:41.55 ID:b/L10Fpk0
――フレイヤU(格納庫)

ナオ『……』ピッ、ピッ! ピピッ!

加蓮「……ミッション追加、もう1セット……終わったらデータ入れ替えするよ。次……」

奏「……」

美嘉「……」

フレデリカ「おー……」

志希「……」スヤスヤ……

周子「いやぁ……これは……」


加蓮「次最後ね……時間まだあるよ……うん、コンディショングリーン。おしまい」ピッ!


パシュンッ!!

ナオ「はー……終わったぁ、疲れた」バサッ!

加蓮「お疲れ様。次どうする? オンラインスコアやっとく?」

ナオ「んー、1回入っとくか……ん、みんな来てたのか」

美嘉「いや、うん」
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/01(木) 02:28:54.96 ID:b/L10Fpk0
奏「大したものね……それ、グレイプニールのシミュレーターよね?」

ナオ「ん? いや、入れてるのオプション兵装。VPSPだよ」

周子「えええええ……いや、オプション兵装ってレベルの武装じゃないでしょそれ、3NXより豪華に動いてたやん」

フレデリカ「コレすごいんだよ? 前もびゅんびゅん飛ばしてたし」

ナオ「まーオプション兵装とはいえ、ヴァルキュリアサードのデータも使ったハイエンド機だからな。これくらい動かせておかないと」

奏「サード?」

加蓮「グレイプニールの時代にPさんが使ってたヴァルキュリア。もう壊れてなくなっちゃったらしいけどね」

ナオ「あーそうそう、引退試合の時に盛大に大規模の巣に特攻レベルで突っ込んで派手に壊したんだよな。あたしモニターで見てた」

美嘉「大規模の巣に突っ込むって何それ」

ナオ「いやあたしもさ、まさか『巣をぶっ壊すまで暴れる』って選択肢選んで本当にぶっ壊して帰ってくるなんて思わなかったけどさ……最後はノルンが間に合ったから壊せたようなもんだったけど」

志希「まーヴァルキュリアサードもアレ、大概オーパーツレベルの奇跡の出来だったしねー。あたし現物見たことないけど」

フレデリカ「あれ、志希ちゃんいつ起きたの?」
295 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/01(木) 02:29:51.89 ID:b/L10Fpk0
ナオ「愛梨や蘭子でもスペック持て余してたレベルだったからなぁ。再生産しようかって時期はもうNGFが出てきた頃だったから移行することになって作り直さなかったみたいだけどさ」ピクッ



整備長「おーい! VPSPの調整はどうなんだー!」

ナオ「ん、あーとりあえず大丈夫! もうちょっとシミュレーター回してから声掛ける!」

整備長「こっちの作業、手離せなくなりそうだから早めに頼むぜー!」



奏「あら……整備班、忙しそうね。本部からも人手借りているし」

周子「邪魔にならないようにあたしら先に戻ってよっか」

美嘉「それじゃアタシ――」

フレデリカ「アタシもシミュレーター回そっかなー? 巨悪を成敗する為に力が必要ってネ?」

美嘉「……じゃ、ブリッジ戻ろっか」

フレデリカ「でも今日はアタシもお仕事やったしみんなで戻ろー♪」

志希「りょーかーい」

美嘉「……」

周子「ブリッジ戻っても清掃入ってるし、食堂か休憩所でいいんじゃない?」

加蓮「みんな戻るんだ。それじゃ、私たちもう少しここにいるから」

ナオ「ありすからは外出許可も出ていると思うけど、連絡が来たら出てくれよ」

奏「ええ、それじゃあナオも頑張って」

……
…………
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/01(木) 02:30:32.95 ID:b/L10Fpk0
――フレイヤU(食堂)

フレデリカ「おばちゃん、社会人の共の唐揚げ定食!」

おばちゃん「あいよ、残すんじゃないよ」




志希「宙域のさ、データ収集もついでにやりたいんだけど……んぐぅっ、こっちはそんな余裕ないみたいだからね」モグモグ

美嘉「前線には出ないんでしょ?」

志希「そりゃ出たらあたし死んじゃうし。あたしが知ってるトコの部隊もデータ取りに来るらしいから、貰うつもりなんだけどさー」モグ……

奏「オート・クレールも大変ね……P少佐もデスクワークはそっちの仕事ばかりしているし」

志希「あーカレはね、まあテスターだし開発もやってるし、晶葉ちゃんのお気に入りだから色々振られてるの」

奏「どうして、オート・クレールに移ったのかしら。わざわざ戻ってくるくらいなら、そのまま――」

志希「ま、アインフェリアやシンデレラガールの面倒見る為、ってね」

周子「……ふーん」
297 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/01(木) 02:31:06.02 ID:b/L10Fpk0
志希「誰かから聞いてるかもしれないけど、昔のヴァルキュリアシステムって随分と欠陥品でね。まあ、そうしなきゃならなかったってトコはあるんだけど」

志希「概念もジョーカーから聞いて、さあ初期構築! ってトコで今の人類じゃまともに作れそうもない代物だったから、少しずーつ形にしていったけど」

志希「使ってもらう側に、あそこまで辛い目に遭わせるつもり、なかったんだけどね」

フレデリカ「……フーン、志希ちゃん、そういうの好きだからなーって思ってたけど」ガタッ

志希「あたしがおかしくなるのは別にいいんだけどね。おかしくなって楽しくなるかもしれないし、作った本人としては満足できるかもしれないし」

志希「だけどさ、誰かにそれを押し付けるのって、違うんだよね」

志希「あたしが楽しいって思うことは、誰かは楽しくないことかもしれない。相手はあたしじゃない、違う存在。人も、ビーも」

美嘉「……」
298 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/01(木) 02:33:22.16 ID:b/L10Fpk0
志希「だからさ、違うってちゃんとわかってないと、本当にヤバイことしちゃったら後悔しか残らないんだよね」

志希「間違えてもいい。遠回りしてもいい。だけど、最後の最後だけは……ってね」

志希「だからあたしでも、アインフェリアのときはゴメンって思っちゃった♪」

志希「カレにもね、ヒドイことしちゃったって思うんだ。まあ、そう思ってるのはあたしだけじゃないけど? だからこっちにも来たし」

周子「ま、そこはね? 人それぞれやし」

志希「そーそー。まあ早いうちに手打たなかったら人類負けてたかもしれないし? そこは結果オーライってことで♪」

奏「……ちなみに、アインフェリアがどうなっていたのかは?」

志希「あ、具体的に知りたい? 別に教えてもいいけど、たぶん後悔するよ?」

奏「まあ、参考にして心構えくらいは、しておこうかと思って」

志希「別にいいけどー……それじゃあ……」

……
…………
299 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/01(木) 02:35:55.66 ID:b/L10Fpk0
――翌日、フレイヤU(ブリッジ)

周子「港との接続アーム解除。艦制御確認、出発準備オッケー」

加蓮「大尉、各班から確認通知が来ています。出港可能です」

ありす「了解です。それではこれより、フレイヤUは土星圏外宙域の防衛ラインに向かいます」

ありす「目的は圏外宙域で観測されている次元振動の対処です。S-02と合流後、作戦行動について確認を取り指定宙域ポイントへと向かいます」

奏「……」

ありす「……速水少尉、どうしましたか?」

奏「いえ、別に……」

ありす「そんなに人の顔をじろじろ見て……何かありましたら、話してくれたほうがこちらも助かります」

奏「大丈夫、大丈夫……ええ」

美嘉(昨日あんな話きいちゃうとね……まさかあの大尉が……)

300 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/01(木) 02:36:25.29 ID:b/L10Fpk0
美嘉「ってあれ、P少佐は?」

加蓮「ナオと2人で格納庫。シミュレーター回してる」

ありす「P少佐も復帰してから間もないですからね。もう少し調整をしておきたいとのことです」

志希「あとでみんな、カレと訓練すれば?」

加蓮「Pさんの訓練、大変だけどね」

奏「……まあ、出来るなら頼んでみましょうか」

ありす「移動中の戦闘予定はありません。白蜂と遭遇した場合はLiPPSで対応します」

美嘉「了解。蜂が出てくるなら……!」

フレデリカ「ゴーゴー!」

ありす「ではこれより出港します。港から出た後はオートメーション機能による自動航行に切り替えます」

……
…………

301 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/01(木) 02:37:24.51 ID:b/L10Fpk0
今日はこれで終わります。
302 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/01(木) 03:13:14.50 ID:CF0ESVx20
おつ
303 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/01(木) 06:57:45.73 ID:zBCJb32Zo
おつ
ありすちゃんはそんなに酷くなかったんや……
304 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/01(木) 17:19:22.35 ID:Y8QIukDWO
ようやく楓さんと美優さんが会話したと思ったらお互い刺し合ってるなんて
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/05(月) 01:01:34.92 ID:c44Tjnl00
――フレイヤU(艦長室)

P「ありす、S-02に合流予定のタイミングは?」

ありす「連絡済みです。私たちの他にも数隻、合流予定の艦があるみたいですね」カタカタカタッ!

P「今の圏外防衛の戦力状況で、大規模の巣を攻略に行くとなれば防衛ラインが手薄になる。また内部で次元振動が発生するようになっている現状、そちらから戦力を引っ張ってくるのも厳しいが」

ありす「再編成指示が出て展開が終わったばかりですからね。まだ手が回っていない場所もあるでしょうし、一部は長距離航行プランの為にホクドウに集めていますし」

P「アインフェリアの復帰に合わせて、か……思うところはあるが、現状ではこのタイミングが妥当か」

ありす「アルヴィスの更新履歴を見ましたが、干渉装置の見直しも始まっているみたいですね。どれほど効果が戻るかは分かりませんけど」

ありす「あ、そういえば履歴を見たついでに火星圏の状況も確認しましたけど、M-01もホクドウに向かっているそうですよ」

P「ちひろさん、文句言いながらこっちに来てるだろうな」

ありす「仕方がありません。巣の攻略には参加しませんが、長距離航行プランの参加自体は決まっていましたし」

P「フレイヤの旗艦になっているから仕方がない。火星圏にいてコロニー級の巣やクイーンとの戦闘経験がなまじあるだけ、招集する理由もあるし」
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/05(月) 01:02:12.73 ID:c44Tjnl00
ピピピッ!

P「俺だ」ピッ!

志希『あ、キミ? 暇?』

P「暇ではない」ピッ!

ピピピッ! ピピピッ! ピピピッ!

P「なんだ」ピッ!

志希『薄情者。あーあ、大事な話なんだけどなー』

P「なら早く話してくれ。こちらも暇ではないんだ」

志希『フレちゃんのこと』

P「……そちらに行く。少し待て」ピッ!

ありす「Pさん?」

P「すまん、少し席を外す。時子から連絡が来たら受けておいてくれ」フワッ

……
…………
307 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/05(月) 01:02:38.38 ID:c44Tjnl00
――フレイヤU(志希の部屋)

志希「フレちゃんね、美嘉ちゃんのことお気に入りなんだって」

P「そうか」

志希「ん、あれ、驚かないんだ?」

P「……フレデリカが誰と仲良くなろうと構わんだろう」

志希「わかってるくせにー?」

P「城ヶ崎少尉のこと、誰から聞いた?」

志希「藍子ちゃんから。あのおじさんがあたしたち選んだときに、キミならある程度調べてるだろうなーって思って」

志希「それにしても、問題ばっかりな人選じゃない? フレちゃんに美嘉ちゃん、おまけに奏ちゃんにあたしもいるんだから」
308 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/05(月) 01:03:06.90 ID:c44Tjnl00
P「……能力を見た上での大佐の選定だ。プランそのものに対するバックアップ体制はこれまでのメンバーでも対応できる」

P「今回必要だったのは、運用に必要な根本的な戦力だ。前回のクイーンとの戦闘では、皆がヴァルキュリアシステムを使用できる状況だった」

P「だが俺がこの現状では、それも難しい。運用としてシステムを使う必要がある以上、GNブースト機を使用するわけにもいかない」

P「長いこと問題だった長時間戦闘に対しての課題も、システム改修である程度賄うことが出来ているが、これまでのシステム起動による負荷も無視できん」

志希「ま、今のシステムから使い始めた奏ちゃんたちなら、そんなに大変なことにはならないからねー」

志希「それにしても、融通してくれたメンバーだからって、問題有りって子ばかり抱えるのはどうかなぁ」

P「フレデリカなら、上手くやれるとは思う」

志希「……ま、そう思うならいいけど。でも、フレちゃんの為にも、ちゃんと美嘉ちゃんとは話しといたほうがいいんじゃない?」

志希「あたしはね、いまの人間もそうだけど、フレちゃんにだって……最後には絶望したまま終わってほしくないから」

P「……そうか。前に一度、少し話をしようと思っていたが……それなら頃合いを見て話しておく」


……
…………
309 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/05(月) 01:08:16.02 ID:c44Tjnl00
――数時間後、フレイヤU(会議室)

P「移動中に広報から提示されたI@LPだが、ハマヨコで放送予定のアイドルアルティメットフェスの広告のパフォーマンスシーンが欲しいとのことだ」

P「スクリーン映像のデータは配布されている。モーションガイドについても全員分あるから、パート分けについてはこちらで決めることになる」

周子「センターは奏ちゃんね」

奏「どうして私なのよ」

周子「リーダーでしょ?」

美嘉「ま、それが無難かもね」

フレデリカ「それじゃアタシ真ん中ー!」

志希「センター、つまり真ん中、オッケー?」

フレデリカ「真ん中が2人いればもっと楽しいと思うんだけどねー」

周子「まあ真ん中が1人じゃないとダメって言われてないか……うん」

奏「そもそも2人並ぶとモーションガイドの動きに嵌めれないでしょ」
310 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/05(月) 01:09:35.29 ID:c44Tjnl00
P「広告の短い時間の中でどうアピールするかだな。ガイドの無いフリー部分を全体で上手く使うか、短い時間で画面映えするメンバーをセンターにするか」

フレデリカ「あ、センセー! それなら美嘉ちゃんが真ん中がいいと思いまーす!」

美嘉「え」

奏「……そうね、私たちの中で時間の短いカットでも良いパフォーマンスが出来そうなのは美嘉かもしれないわね」

周子「一番派手ってトコを上手く使えればええかなー?」

志希「あたしよくわかんないけど、プロデューサーはどうなの?」

P「俺か? まあ……このメンバーなら全員アクが強いし、誰が正面にいてもいいとは思うが」

志希「はぁー……職務怠慢」

奏「そこで上手い意見を出すのがプロデューサーでしょう……」
311 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/05(月) 01:11:07.14 ID:c44Tjnl00

P「そ、そうか……城ヶ崎少尉はどうだ? 30秒程度の時間で、その中のセンターだ」

P「モーションガイドの要求時間もあるし、フリー部分はそこまで負担にはならないと思うが」

美嘉「……別にいいけど、アタシじゃなくて他の子とか、考えないの?」

P「ん……そうだな、今回は民間主催のフェスの広告だし、どちらかと言えば要求されるパフォーマンスも、盛り上げを図る為のものだ」

P「そういう視点で見れば、このメンバーの中では城ヶ崎少尉が正面に立つと画面映えするとは思うな」

美嘉「フーン……まあ、それじゃあセンターやろっか」

志希「……」スヤスヤ……

周子「こっちのサボり博士はもう寝てるし……」

奏「それじゃセンターは美嘉で決まりね。他のメンバーは……」

……
…………
312 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/05(月) 01:19:33.69 ID:c44Tjnl00
――数時間後、フレイヤU(美嘉の部屋前)

P「……」

P(……打合せも終わって、監視の交代も済んでいるからこのタイミングか。前回は間が悪かったが)

P「……少尉、いるか?」ピッ!

ピピッ!

P「……少尉、俺だ。少し話がある」ピピッ! ピピッ! ピピッ!

ピッ!

美嘉『あっ、はい! いま開けるから!』

ピピッ!

P「すまんな。失礼する」

……
…………
313 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/05(月) 01:20:31.50 ID:c44Tjnl00
――フレイヤU(美嘉の部屋)

美嘉「ゴ、ゴメンなさい……ちょっとボケっとしてて」

P「いや、休憩時間中にすまん。しっかり休んでもらおうとは思っていたんだが……」

美嘉「……で、用事……あるの?」

P「ああ。そうだな……I@LPだが、上手くやれそうか?」

美嘉「んー、まあ広告用の収録なら何度もやってきたし、あのフェスの広告も去年に同じ仕事してたから大丈夫、任せといて★」

P「そうか。それならいいんだ、頼んだぞ」

美嘉「……え、それだけ?」

P「いや……」

美嘉「……」

P「……聞いておこうかと思ってな」

美嘉「なに?」
314 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/05(月) 01:22:04.67 ID:c44Tjnl00
P「フレデリカのことを、どう思う?」

美嘉「……」ピクッ

P「ビーとの混成部隊も、以前よりは増えたが現状はそこまで多くない。気になっていたものでな」

美嘉「どう、思うって……良い子、だと思う」

P「そうか。それならいいんだ」



美嘉「……アタシに、そんなこと話すんだ。少佐って……知ってるんでしょ? アタシのこと」


P「……経歴を含めたある程度のことは、復帰前に渡されていた資料に載っていた」

美嘉「それでも、アタシにそんなこと言うんだ。莉嘉のこと……分かってて……」

P「5年程前、だったか。ギチトーからハマヨコへ向かうエイルの1隻が蜂に遭遇して被害に遭い、大破した」

P「大破したエイルから救助された生存者数名は、ギチトーに搬送されて治療を受けたが……」

美嘉「あの子は……莉嘉だけは、ずっと起きない。眠ったまま」


……
…………
315 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/05(月) 01:23:07.75 ID:c44Tjnl00
――木星圏宙域、フレイヤ(休憩所)

夕美「その子がね、いまフレイヤUにいる城ヶ崎少尉の妹さんみたいで……」

夕美「丁度そのエイルが被害に遭った日って、私が前にいたヴェールで最後の任務をやってたときだったの」

夕美「MN-13も含めた数隻の艦で、オート・クレール本社の幹部が乗ってる別のエイルの護衛……それ自体は何も無かったんだけどね」

夕美「木星圏の防衛部隊にエイルの引き渡しが終わって、任務完了で引き上げた後に、ギチトーの監視局から緊急の連絡が入って……」

美波「そうだったの……その子は?」

藍子「はい、莉嘉ちゃんって子で、ギチトーの病院に昏睡状態で運ばれてからは、今も病院で眠ったままで。私も、莉嘉ちゃんを見たのはお部屋のチェックをするのに病室に何度か入ったくらいでしたけど」

藍子「Pさんも、気にしていたんです。多分、フレデリカさんと一緒の部隊になったから……」

文香「……まるで、城ヶ崎少尉と、Pさんは……同じような境遇なのですね」

美波「ええ……そうね」

……
…………
316 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/05(月) 01:23:43.11 ID:c44Tjnl00
――土星圏宙域、フレイヤU(美嘉の部屋)

P「……昔、もう俺が子供の頃、少尉と同じように、蜂が俺の両親を殺した」

美嘉「えっ……!」

P「それから俺は1人になった。色々あって大佐に引き取られて、それから大人になってから軍に入って、こうして戦うことを選んだ」

P「しばらく経って、その時俺が所属していた旧艦のユミルが、蜂との戦闘中に介入してきた白塗り……白蜂との戦闘で大破した」

P「俺以外の前線部隊と、艦長の黒井大佐を含めた艦搭乗員のほとんどはその時に死んだ。当時俺の愛している人は……運よく生きてくれていたが、次に会うことが出来たのは8年も後だった」

P「俺が今でも戦っているのは、俺のような境遇の人間を1人でも無くしたいと思っていたから……だが、改めて難しいことだと……思った」

美嘉「……なんで、なんでそんなに! アイツらに大切な人たちみんな殺されて! どうしてあの子と一緒にいることが出来るの!」

美嘉「なんであの子の前で笑っていられるの!? おかしい……おかしいよ! アタシは、一緒にいるだけで……」

P「フレデリカは……俺の命を救ってくれたからだ」
317 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/05(月) 01:27:00.28 ID:c44Tjnl00
P「対話の日に、仇だった白蜂と戦闘をした。これまでの蜂とは別格の強さの敵だった。実際に以前、負けたこともあった」

P「その時は負けるつもりは毛頭なかったが、それでも相打ちまで持ち込んだが奴はまだ動ける状態で、俺は死を覚悟したが……」



P『だ、誰か俺を庇って……』

蜂『……』

P『お、お前は……俺を、助けたのか……』



P「俺はフレデリカに命を救われた。まだお互いに言葉も分からない、敵同士だったはずなのに、あいつは身を挺して俺を助けてくれた」

P「そのときにようやく気付いた。俺はこれまで、恨みを持って戦っていた、守るべき者の為に戦っていた。だがそれはビーたちも同じだった」

P「あいつらも仲間を守る為、生きる為にここまで来た。俺たちが互いに理解し合えていなかったから、すれ違い、争いになっていた……だがそれも、お互いに生きる為に仕方がないことだったんだ」
318 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/05(月) 01:28:52.22 ID:c44Tjnl00
P「互いに理解することが出来たのであれば、俺たちは互いを守り、生きていくべきだと……人間と蜂と、姿は違えど俺を救ってくれたフレデリカの優しさを感じて、そう思ったんだ」

美嘉「何よ……それ……だったら!」ガタッ!

美嘉「だったら、助けてもらったからって、アイツらのこと許せって言うの!? アイツらがいなかったら、莉嘉は今頃……大きくなって、アタシと同じように、アイドルになって……ずっと、一緒に……」

P「……少尉に、俺の考えを強制させるつもりはない。だが、考えてほしい」

P「俺たちから大切な人を奪ったのは、ビーであることに変わりはない。だが……俺たちを理解し、平和の為に共に生きようとしているフレデリカも、同じビーなんだ」

美嘉「……」

P「恨みを抱えたままでいるか、フレデリカの思いを受け止めるか、最後は……少尉に任せる」

美嘉「……アタシ、は」


P「……少し話過ぎた。思うことはあるかもしれないが、巣の攻略戦も控えている。LiPPS小隊についてはこれまで通り任務にあたってくれ」フワッ

パシュンッ!


美嘉「……莉嘉」


……
…………
319 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/05(月) 01:35:22.53 ID:c44Tjnl00
――フレイヤU(美嘉の部屋前)

パシュンッ!

P「……」


ありす「終わりましたか?」フワッ


P「ありす……」

ありす「志希さんからお話があったので。あの人、こういうところには気が回るんですよね」

P「そうか」

ありす「あなたも、そんな顔をしないでください。美嘉さんも、分かってくれると思います」

P「……そうだな。だが、こういう話は今でも慣れん」

ありす「仕方がありません。艦長室に戻りましょうか」



P「ありす」
320 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/05(月) 01:36:34.49 ID:c44Tjnl00

ありす「はい?」


P「最後に……俺の父さんと母さんと、どんな話をした?」

ありす「どうしたんですか? 今までそんなお話はしませんでしたけれど……」

P「いや、少し気になってな。覚えていなければ、それでいい」

ありす「……ずっと、あなたのことを話していましたよ。帰ったら野球のチケットを渡すんだって。みんなで見に行くんだって」

ありす「しばらく留守にしていたから、あの子の好きなことをさせてあげたい、ワガママを言われないだろうかって……ずいぶんと楽しそうに話していました」

P「そうか。俺は……幸せ者だな。両親の最後の話も聞けて、ありすが生きてくれて、美優も戻って来てくれて……」

ありす「はい。私も幸せです。こうしてあなたと、出会うことができたんですから」

321 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/05(月) 01:40:04.39 ID:c44Tjnl00
ありす「……あなたが、奈緒さんがこちらに戻ってくることを拒むのは、あなたなりの優しさだということは、みんな分かっています」

ありす「加蓮さんのところに戻る為に戦っていた奈緒さん。私たちの為に共に戦ってくれた奈緒さん。どちらの奈緒さんも……同じですから」

ありす「ですが晶葉さんたちも、現状の戦力では厳しい場面が想定されるから、奈緒さんのことを含めて動いているんです」

ありす「甘えてはいけないと分かっています。ですが現状を考えると、止むを得ないことだとも思います」

P「ああ、奈緒は俺たちが求めれば戻ってくる。それが分かっているからこそ、俺は戻ってきてほしくないと思っている」

P「それが奈緒の願いなんだ。あの日最後に、奈緒と話した……あいつの意思と決意は、揺ぎ無いものだった」

P「だから、もうこの世界にはいなくとも……俺たちと共に自分の為すべきことを成し遂げた奈緒を、守ってやりたい」

ありす「……ええ、そうですね」

P「戻ろうか。長く話し過ぎた」

……
…………
322 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/05(月) 01:41:09.70 ID:c44Tjnl00
今日はこれで終わります。

>>303
>>1はロリコンじゃないんですが、そこまで酷くなったありすもいいんじゃないかなと最近では思ったりしますね。
323 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/05(月) 01:43:11.21 ID:aAgP6Z6Wo
おつ
ストッパーなしとかちょっとやばすぎます(見たい
324 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/08(木) 18:34:51.27 ID:PaVNfJGk0
――土星圏外宙域、ノルンS-02(メインブリッジ)

ちひろ『そちらも、フレイヤUとは合流できたそうで。M-01は予定通りホクドウで待機しています』

時子「頼むわよ。巣の対応が終わり次第、プランの対象部隊を連れて戻るから」

ちひろ『もう少し来るが早まってたら私も巣の攻略戦に参加させられていたのかも……おおこわ』

時子「は?」ギロッ

ちひろ『冗談、冗談ですって……とりあえず向かってる艦については間に合ったらということで、編成には考えておかなくていいですよ』

時子「無い物をアテにするつもりはないわ。元々予定していた戦力については揃えているもの」

ちひろ『まあまあ……それじゃあこっちの準備は進めておきますから、気を付けてくださいね』

時子「ええ」ピッ!


「艦長、フレイヤUの収容が完了しました」

時子「P少佐と橘大尉は会議室に向かわせなさい」フワッ

……
…………
325 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/08(木) 18:36:17.98 ID:PaVNfJGk0
――十数分後、ノルンS-02(会議室)

菜々「いやぁ、Pさんも元気そうでよかったですねぇ」

P「ナシヤマからこっちに戻って1年くらいか……菜々さんも変わらないですね」

菜々「いやほら、そこはJKなので……」

時子「誰が無駄話をしていいと言ったかしら?」

菜々「いえ、誰も」

千秋「まあその辺にしておいて……琴歌さん、宙域マップを」

琴歌「スクリーンに出しますわ。今回の次元振動の発生予測ポイントについてはこちらです」ピッ!

ありす「圏外宙域のC13……防衛ラインからは少し離れていますね」

P「艦の配置については妥当か。編成リストは来る途中で確認したが、戦力的にはギリギリといったところだな」

千秋「干渉装置の効果範囲から外れている防衛ラインを手薄にするわけにはいかないもの。フレイヤU以外の土星圏の防衛部隊も引っ張ってきてようやく、かしらね」

時子「後は……貴方たちの話しでは、クイーンの出現が予想されるという話ね」

ありす「はい、確証はありませんが、過去の戦闘と同様の感覚がありました。恐らく……」

P「ここから準備して向かうとなれば、木星圏からホクドウに向かっている最中のフレイヤを待つにしても次元振動の発生まで時間が無い。アインフェリアの宙域ライブについては今回は無しだ」
326 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/08(木) 18:41:36.89 ID:PaVNfJGk0
時子「合流艦の整備、防衛ラインの再配置が済み次第の出発で、次元振動の発生にはギリギリ間に合う程度……腹が立つわね」

菜々「S-01からS-06までは光波推進システムの搭載も出来ましたから、移動はもっと早くなったんですけどねぇ」

P「S-07以下はどの道長距離航行プランの対象艦ではないし、圏外防衛として置くしかないからな。出現に合わせて戦闘準備が出来る分、間に合うだけよかったと思うしかない」

ありす「あとは前回と同様に、クイーンが帰ってくれることを祈るしかないですね。空間構成情報は安定しているポイントみたいですし、予測レベルも8で止まっていますから完全に転移できるかと言われるとクイーン側も困難かと」

琴歌「各強襲艦隊についての配置ですが、前線、ノルン防衛の配置はこのように……長引くことになれば私たちのほうが不利ですし、やはり突破を優先という話になりましたわ」ピピッ!

時子「艦隊の移動ルートを速やかに確保して、陽電子砲の射程圏内まで移動する。これまでと同様のやり方よ」

ありす「メインでぶつかるのはヴェールですからね。そこは先に決めてもらっていた編成で構いません」

琴歌「はい。フレイヤU、フレイについては前線のヴェール艦隊の脇に配置となります。もしもの際を想定しての配置となりますけれど……」

P「プランV3のことを考えて、か……仕方がないか」

千秋「とはいえ、貴方やナオさんは現状の最高戦力よ。特に貴方は特殊部隊として指揮系統から外れているし、指示がない限りは自由に動いてもらって構わないわ」

時子「そうね。しっかり働きなさい」

P「ニュージェネレーション隊はどうする? こちらに戻してもいいのか?」
327 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/08(木) 18:43:06.06 ID:PaVNfJGk0
菜々「あ、ニュージェネは今回は艦隊の進行ルート確保の為の前線部隊になりました。ナナと智絵里ちゃんと一緒の編成になりますので」

菜々「あ、でもその代わりナオちゃんと加蓮ちゃんはそっちで対応させるんですよね」

ありす「今回、ナオさんはVPSPで出撃予定です。こちらとしても今のタイミングでそちらに戻られてしまうと苦しい部分もありますので、頑張ってもらいます」

琴歌「P様の機体については、3Nでよろしいのですか? S-02には予備機も残っていますが……」

P「VPSPとのドッキング用に3N調整は済ませている。今回はこのままで出る」

ありす「とりあえずそちらで決めていた編成内容とこちらのポジションについては分かりましたので、後は内部で調整しましょう」

時子「住居スペースは用意させているから、出撃までは待機しておきなさい。道中の戦闘も、出させるつもりはないわ」

P「わかった。こちらとしてもそのほうが助かる。土星圏での任務からここに戻るまで、あまり休む時間もなかったんだ」

千秋「そう。それなら丁度いいわね」

P「……何がだ」

時子「チッ、豚が……話は終わりよ。私は戻るわ」フワッ

パシュンッ!

琴歌「千秋さん、そのお話はお部屋に戻ってからにしましょう?」

菜々「ぶふぉっ!」

ありす「菜々さん、ナシヤマで1年間私たちと一緒にいたのに今更泡吹いてどうするんですか」

菜々「い、いえ……」

P「……まあ、先にやることをやってからだ」

……
…………
328 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/08(木) 18:43:41.29 ID:PaVNfJGk0
――ノルンS-02、住居スペース(ニュージェネレーション隊の部屋)

未央「いやそれにしても元気そうでよかったよかった! システム使ってもあんまり変わりなさそうで!」

奏「そうね……この時期にフレイヤに行くことになって、まだマシだったって思えばいいのかしら」

桃華「まあっ、フレイヤも良い艦なのですよ? Pちゃまがもう少し落ち着いてくださればいいのですが」

卯月「落ち着いたほうがいいのってアインフェリアですよね」

美嘉(……ありす大尉もそうだったけど、この……子? も小さい)

奏「それにしても、最初はフレイヤ以外でシステムを使っているところがあるとは思わなかったわ」

かな子「私たち……んぐっ、元々予備部隊だったけど……はぐっ……いまはニュージェネのみんなもいるし……通常任務が多いけど……」モグモグモグモグ

ナオ「口に入れてるもの片付けてから話せよ……」




翠「LiPPS部隊の稼働実績、中々良いですね。跳躍テストも実施しているみたいですし」カタカタカタッ!

周子「まあねー。最近の圏内宙域にしちゃ戦闘多かったし」

凛「戦闘は気にしていなかったけどね。私たちより適性高かったし、それにPさんも合流したって聞いてたから」
329 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/08(木) 18:44:07.90 ID:PaVNfJGk0
周子「あーあの人、やばいわホント。一緒にシミュレーターやっても訓練にならないし」

加蓮「加減してくれてるからいいんだけどね。でもLiPPSだって十分動けるし、凛たちよりは心配しないかな?」

周子「ま、あたしもそこそこ乗ってるから」

ピピッ!

パシュンッ!!


フレデリカ「メンテ終わったー!」フワッ

志希「終わらせた―」

未央「お帰り。どうだった?」

フレデリカ「スーパーアドバイザーの志希ちゃんがいてくれたからね、元気元気!」

志希「ビーの体のメンテってまとめてやるのは楽だけど、ちゃんと診ておかないと精密検査に引っかかって再調整送りになると面倒だからねー。あたしもここら辺は仕事しないと」

フレデリカ「美嘉ちゃーん、お肌のお手入れをした後のアタシ、1日限りの輝く肌でキレイだと思うんだけどカワイイ?」
330 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/08(木) 18:44:37.16 ID:PaVNfJGk0
美嘉「まあ……うん、いいんじゃない」

フレデリカ「やったー! I@LPに頼んで宣材写真撮り直してもらおー!」

未央「いや絶対却下されるってそれ」

卯月「……」



周子「おーおー元気なことで……はぁ、この後のことを考えると気が重い……」

翠「今回私たちは圏外宙域ポイントまでの戦闘で出撃編成に入っていませんから。巣との戦闘まではゆっくり休んでおいてください」

周子「もーさー、巣と戦闘するのが一番嫌だっていうのに……はぁ」

加蓮「仕方ないでしょ。巣の戦闘は仕方がないけど、プランV3の主要メンバーってことで温存させてもらったんだから。時子さんに感謝しておかないと」

凛「ま、こうしてみんな集まったんだし、少しはゆっくり休んでおこうよ」


……
…………
331 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/08(木) 18:45:34.33 ID:PaVNfJGk0
美嘉「まあ……うん、いいんじゃない」

フレデリカ「やったー! I@LPに頼んで宣材写真撮り直してもらおー!」

未央「いや絶対却下されるってそれ」

卯月「……」



周子「おーおー元気なことで……はぁ、この後のことを考えると気が重い……」

翠「今回私たちは圏外宙域ポイントまでの戦闘で出撃編成に入っていませんから。巣との戦闘まではゆっくり休んでおいてください」

周子「もーさー、巣と戦闘するのが一番嫌だっていうのに……はぁ」

加蓮「仕方ないでしょ。巣の戦闘は仕方がないけど、プランV3の主要メンバーってことで温存させてもらったんだから。時子さんに感謝しておかないと」

凛「ま、こうしてみんな集まったんだし、少しはゆっくり休んでおこうよ」


……
…………
332 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/08(木) 18:46:01.87 ID:PaVNfJGk0
>>331訂正

――同時刻、フレイヤU(格納庫)

整備長「おーいちえりーん! 外装チェックしてるメンバーの分の弁当、10個頼むわ!」

智絵里「は、はいっ! えっと……定食のお弁当4つと、フライ定食のお弁当3つと、火星丼のお弁当3つ出しますね」ガサガサガサッ!

整備長「わりぃな、後1時間くらいで交代するところも出てくるから、リストの人数分の弁当も追加で用意しといてくれよ」

智絵里「えっと、次はコンテナ班と、増設班が交代の時間っと……わかりました」

整備長「それじゃ頼んだぜ!」フワッ


おばちゃん「智絵里ちゃん、これノルンのスタッフに渡す分のお弁当ね。人数分カゴに入れてるからこのまま持ってって頂戴」

智絵里「はいっ、えっと……搬入出しているところはまだ落ち着いてないみたいだから、先に機体整備のお手伝いしてもらっているところから持っていきますね」

おばちゃん「ごめんね。こっちも任務から戻ってきてすぐの移動だったから整備班も手一杯みたいでねぇ。ノルンのスタッフの分のお弁当もこっちで用意しなきゃならないから人手が足りなくてね」

智絵里「だ、大丈夫ですっ! 私も、待機中だったし……おばちゃんのお手伝いですから」

おばちゃん「ありがとうね。後で落ち着いたらご飯作ってあげるから」

智絵里(ううう……みんな集まって楽しくお話してるみたいだけど……おばちゃんのお手伝いなら断れないし……仕方ないよね……)


……
…………
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/08(木) 18:47:17.73 ID:PaVNfJGk0
――ノルンS-02(格納庫)

P「デカいな……これ、前のヤツよりデカくなってませんか?」

菜々「そうなんですよねぇ……ARGTもある意味強化外骨格みたいなものですから、もう少し形が整ってくれるといいんですけど」

P「途中からオート・クレールも混ざってくるようになって、R1から随分と変な方向に進んだな……」

菜々「黒川重工的には中規模の巣の攻略も視野にいれた結果みたいなんですけどね。稼働データ2つ回すの大変なんですよ。出力爆上げしたみたいでイージスフィールドもこのまま使えるみたいですし」

菜々「まあ試作機だからって無理やり色々詰め込んだ結果ですし、R4で使えるものは全部使い切る予定ですけどね」

P「そうだなぁ……戦闘中、ニュージェネのことはお願いします。次の戦闘の配置はお互い離れていますし」

菜々「それはもう、まっかせてください! ナナが――」


『――さん、P――、これからは、私が――』

『加蓮――、――すま――、――菜々――』


菜々「……」

P「菜々さん?」

菜々「えっ? あ、ああ……大丈夫です、ナナがちゃーんと一緒にいますから!」

……
…………
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/08(木) 18:47:55.18 ID:PaVNfJGk0
――数時間後、ノルンS-02(休憩所)

美嘉「フレイヤも強襲艦のわりに結構快適だったけど、やっぱりノルンのほうが広いし便利べんりっと……」ピッ!

ガコンッ!

美嘉「えーっと、これでみんなが頼んできた飲み物は全部っと……」

卯月「美嘉ちゃーん!」フワッ

美嘉「あれ、どうしたの卯月?」

卯月「菜々ちゃんとPさんの分、戻ってきたときに何か飲み物あったほうがいいかなって思って」

美嘉「ああ、2人分特に買うつもりなかったもんね。アタシたちが駄弁ってる間に戻ってくるの?」

卯月「格納庫に行ってるってお話でしたし、戻ってくると思いますよ。えーっと、何がいいかなぁ……」ピッ、ピッ!

ガコンッ!

卯月「よしっ! それじゃ戻りましょう♪」

美嘉「栄養ドリンクはいいけど、お汁粉って……」
335 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/08(木) 18:48:31.39 ID:PaVNfJGk0
卯月「お汁粉は菜々ちゃんのです。最近はこういうのが好きみたいですし……あ、こっちの栄養ドリンク、今は鈴帆ちゃんのラベルになってるから、Pさん喜ぶかなーって」

美嘉「ま、まあいいけど……」

卯月「あ、そうだ。美嘉ちゃん、フレイヤに来てから大変じゃないですか?」

美嘉「んまあ大変っていえば大変だけど……圏外防衛に出てる卯月たちのほうが大変でしょ?」

卯月「それならいいんですけど……」

美嘉「大丈夫だって、確かに変なことやってる艦だとは思うけど、これくらいは――」

卯月「なんだか、ちょっと元気なさそうに見えちゃって」

美嘉「……」

卯月「でも、私の気のせいならいいんです。早く戻りましょうか」

美嘉「……そうだね」


……
…………
336 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/08(木) 18:50:04.44 ID:PaVNfJGk0
――ノルンS-02(ナオの部屋)

ピピッ!

加蓮『ナオいる? 入るよ?』

パシュンッ!


ナオ「ん……」ピクッ

加蓮「ナオ、菜々さんが言ってたメディアあった?」

ナオ「ああ、あたしの部屋に置きっぱなしにしてたよ。フレイヤに戻る前に菜々さんと徹夜してアニメ見てたからな……」

加蓮「そんなことばかりやって……あれ? それ……」

ナオ「……ああ」

加蓮「そのダサい仮面……奈緒の……」

ナオ「いやカッコいいだろこれ……あいつが、最後にあたしに残していった物だからさ」

ナオ「次の戦闘、ありすやフレデリカが言ってた、クイーンが来るかもしれない……あたしも、何か感じるんだ」

加蓮「ナオ……?」

ナオ「クイーンの声が聞こえている……かは分からない。アインフェリアとは違うし……ただ、確かに感じている」

ナオ「奈緒と一緒に戦っていた時の感覚と、よく似ている……奈緒と繋がっていた時はあたし自身、どこか1つ上のところに手が届いているような気がしていた」

ナオ「それが、ヴァルキュリアシステムを使えていたってことなのかもしれない。だけど、それだけじゃない……奈緒が自分の世界に帰ってからは、しばらく忘れていた感覚……」

ナオ「またそれを感じているってことは、前のような戦いになるんだと思う。今度は……奈緒がいない、あたし1人で戦わなきゃならない」

加蓮「違うよ、ナオ1人じゃない。私も、Pさんも、菜々さんも、凛も……みんな、みんないるから」

ギュッ……

加蓮「クイーンが来るのに、アインフェリアがいない……確かに大変だけど、みんながいるから大丈夫。今までだって……これからも」


……
…………
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