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LiPPSとアインフェリアが生存本能ヴァルキュリアの世界を生き抜いたようです
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/20(水) 19:15:37.69 ID:t42ldpeL0
・このスレは奈緒が生存本能ヴァルキュリアの世界で何やかんやした続き物の最後です。今回で11スレ目くらいです。
・
>>1
はデレステをプレイしながら進行するので途中進行が止まる場合があります。モバマスもやります。ミリシタもやります。
・一部アイドルの口から軽度な下ネタくらいは出てきます。
・明るく元気なお話になればいいなと思ってます。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1513764937
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/20(水) 19:19:15.47 ID:t42ldpeL0
――戦闘宙域
『GNS-041小隊、反応ありません! S-03、後続のNGF部隊は!!』
『た、隊長……うわああああっ!?』
ドガアアアアアアンッ!!
ピピピピピッ!
愛梨「蘭子ちゃん! 機体のシステム起動限界が……!」
蘭子「このままでは……!」
ズドォンッ!!
蘭子「っ!?」
ドガアアアアアアンッ!!
……
…………
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/20(水) 19:19:46.42 ID:t42ldpeL0
――フレイヤ(ブリッジ)
ピーッ!!
美優「そ、そんな……FFの反応が……」
楓「愛梨ちゃん……蘭子ちゃん……アインフェリアは!!」
ピピピピッ!!
美優「まだシステムの効果が……待ってください、クイーンの反応が……!」
ビビビビビッ! ビビビビビッ!
楓「避けられ――」
……
…………
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/20(水) 19:20:32.19 ID:t42ldpeL0
――戦闘宙域
ピーッ!!
P「フレイヤ!? フレイが盾に……桃華たちの反応が……くっ!」
ガションッ!! カタカタカタカタッ! ピッピッピッピッ!!
『―Hyper Maneuver Mode Migration―』
P「貴様等あああああああ!!」ギュオオオオオオッ!!
――キィィィィン!!
P「ぐっ!?」
――キィィィィン!!
P「あ、がっ、あああああ!! ま、また、この声が……あ、頭が……」
ズドォンッ!!
P「お、俺は……こ、この、声は……みん、な――」
ドガアアアアアアアンッ!!
加蓮「Pさん! ナオ!!」
……
…………
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/20(水) 19:21:28.44 ID:t42ldpeL0
――フレイヤ(通路)
美嘉「アンタが……アンタたちさえ、いなかったら……!」
フレデリカ「違う……違うの、美嘉ちゃん……アタシは……アタシたちは……ただ、生きて……」
美嘉「アンタたちさえいなかったら!」
周子「アカン! 美嘉――」
美嘉「死ねええええええ!!」
パァンッ!
ドサッ!
フレデリカ「……」
美嘉「アタシは……アタシたちは、アンタたちに……あ、ああああああ……」
……
…………
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/20(水) 19:22:20.93 ID:t42ldpeL0
――どう、して……。
『S-01! 残存部隊を回収して後退だ! フレイヤの防衛が崩された現状、プランV3が成り立たん!!』
『前線の各部隊、G型を牽制しつつ後退! ノルン及び各強襲艦隊は粒子減衰ミサイルを全戦闘宙域に発射!!』
『動けるNGF、強襲艦は後退するノルンの援護に回れ。クイーンの粒子砲はノルンからのアルヴァルディで阻害する!』
――どう、して……お前たちは……。
『クイーンからの粒子砲、再び来ます!』
『回避だ、イージス展開! 各員衝撃に――』
……
…………
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/20(水) 19:23:03.62 ID:t42ldpeL0
女王「……」
『……イージス…………衝撃に……』ザザザッ!
ナオ「どうして……お前たちは……あたしたち、を……」ハァ、ハァ……
バチッ、バチバチッ……!
女王「……」
ナオ「お互いに、生きていくことだって、できた……のに……」
女王「……」
ギ、ギギギ……ギギギギ……!!
ナオ「こんな、こんな……ことを……」ハァ……ハァ……
バキッ! バキバキッ!
ナオ「な……お……」
バゴンッ!!
……
…………
………………
……………………
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/20(水) 19:24:03.79 ID:t42ldpeL0
『感じる……』
『プロデューサーさんが……私たちのそばに……』
『私たちの心が、プロデューサーさんと一緒になっている……』
『もう、本当に何も怖くない……ただ、歌うことだけに、私たちの全部を乗せて……』
『みんなに届いて……私たちの思い……!!』
――5年前、対話の日と呼ばれるその日、アインフェリア隊が外宇宙からの来訪者、キラー・ビーに対して意思疎通を成功させた。
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/20(水) 19:24:35.76 ID:t42ldpeL0
『……聞こえるか、クイーン! アインフェリアの……みんなの歌が!』
『あたしたちは生きている! ビーも一緒に……あたしたちは戦いたくない。戦う必要なんてない……』
『お互いに、生きていけるんだ。それぞれのいるべき場所で!』
――2年前、ビーたちの女王との邂逅により、長い間続いた争いが終わった。終わったかと、思われた。
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/20(水) 19:25:01.09 ID:t42ldpeL0
――消えたはずの脅威が……再び人類の前に姿を見せた。それは、終わりへと続く、最後の戦いの始まりだった。
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/20(水) 19:25:51.16 ID:t42ldpeL0
――土星圏宙域、フレイヤU(ブリッジ)
ありす「フィールドジェネレーター起動。次元振動、及び次元断層の発生は確認されません」
ありす「レーダー索敵結果のスティング……もといGS型は6匹です。索敵結果をNGFに転送します」
ありす「複合ミサイル発射管の1番から20番にアルヴァルディを装填。主砲ティルウィング1番、2番の発射準備開始」
ありす「戦闘準備完了、GS型との距離は3000です。ニュージェネレーション隊、出撃してください」
凛『はい!』
卯月『頑張ります!』
未央『NGF-VSTG19S、NGFヴァルキュリアで出撃します!』
ありす「アルヴァルディを射出します。着弾確認後、戦闘を開始してください」
未央『了解です! 2人とも、コンビネーションマニューバはY03で行くよ!』
……
…………
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/20(水) 19:27:06.57 ID:t42ldpeL0
――木星圏宙域中継コロニー『ナシヤマ』、軍病院(診察室)
「ゾーニング現象については、前回の検査からフラッシュバックも起きていない……でしたか」
P「はい。その前からも……ここ数ヶ月は大分落ち着いています」
「ふむ……バイタル値の変動も収まってきています。時期としては……そうですね、リハビリプログラムのNGF操縦訓練が始まった頃でしょうか」
P「そうですね。オート・クレールの仕事の都合もあって、自社のほうでやらせて頂いてますが」
「となれば……変動値の振れ幅も小さくなっていますし、ほぼ治療プログラムは完了したといっても良いでしょう」
「残っているリハビリプログラムは続けて、抑制剤の投与だけは忘れないでください」
夕美「先生、それじゃあ……!」
「はい、今週末に退院でよろしいです。正直な話をすると、私も参ってしまうほどの状態でしたが……2年間、頑張りましたね」
P「先生……いえ、先生たちや、みなさんのご協力があったからここまで回復することが出来ました。ありがとうございます」
「流石というべきでしょうか。何はともあれ嬉しい限りです。今日は検査も長かったので、退院に際しての手続きはまた別途、お話しましょう」
夕美「ありがとうございます。それじゃあ、今日は失礼します」
P「ありがとうございます。明日もよろしくお願いします」
……
…………
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/20(水) 19:28:17.38 ID:t42ldpeL0
――軍病院(隔離病室)
夕美「本当によかった……これで、またみんなで一緒にいられる……」
P「長い間、皆にも迷惑を掛けてしまったな。夕美も、今日の仕事を休んでもらって悪かった」
夕美「ううん。楓さんや美優さんのところじゃないし、ビーのみんなが融通利かせてくれたから、全然大丈夫だよ」
夕美「I@LPも今日はスケジュール入ってないし、1日ずっとPさんの傍にいられるから……」
ギュッ……
夕美「よかった……本当、に……」
P「ああ、どうにか間に合ってよかった。これなら……」
夕美「……」
P「……夕美?」
夕美「あ……ご、ごめんなさい。そうそう! 愛梨ちゃんと蘭子ちゃん、次にこっちに来るの、今週末なんだって!」
P「そうか、丁度良いな。退院と合わせて、また2人にはシミュレーターの起動を頼んでおこうか」
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/20(水) 19:29:31.01 ID:t42ldpeL0
夕美「そうだ、みんなにも連絡しておかないと……Pさんは、今週末退院になったよ……っと」ピピッ!
P「おいおい、まだ退院手続きもしていないだろう? それに、前からリハビリプログラムも始まって会社にも顔を出していたんだし、今更だ」
夕美「いいの。みんな、Pさんのこと心配してたんだから。今までだって……」
P「……今回、入院することになったのが俺だけでよかった。そうでなければ、あの戦いの意味もなかったからな」
夕美「でも……私たちのゾーニング現象を、全部Pさんが負担したから、Pさんは……」
P「それでいい。夕美を……皆を守ることが、俺の仕事だ。これまでも……これからも、それは変わらない」
夕美「……Pさん」スッ……
P「どうした、夕――」
夕美「んっ……ちゅっ、んん……んふっ……」
P「ん……いきなりだな。どうした?」
夕美「退院したら……2人きりになる時間も減っちゃうかなって。私だけじゃなくて、みんなも同じだけど」
P「そうだな」
夕美「だから……2人きりでいる今のうちに……セックス、しよ?」
P「……ああ、おいで」
……
…………
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/20(水) 19:30:57.75 ID:t42ldpeL0
――――ナシヤマ、オート・クレール社工場(オフィス)
晶葉「そうか、丁度ホクドウに着いたところだったか。悪いな整備長、馬鹿デカい荷物まで運んでもらって」
整備長『いやいや、俺も早くフレイヤに戻らねぇと、嬢ちゃんたちのことも心配だし、それにせっかく用意したモンも持って行ってやらねぇと』
晶葉「開発中のとっておきの3機だが、やはり搭載させるヴァルキュリアシステムの完成度を上げてこそだ。最後の運用テストとデータ収集になるだろうし、後少しだ」
晶葉「こちらの都合で土星圏と木星圏を何度も往復させてしまってすまないが、フレイヤに来る新顔と、ありす達の分も合わせてテスト機の運用は頼むぞ」
整備長『へいっ、任せてくだせぇ』
パシュンッ!
楓「失礼します……あら、晶葉ちゃん、整備長と通信ですか?」
晶葉「丁度ホクドウに着いたらしくてな、状況を聞いていたところだ」
整備長『おお楓中佐、今日は軍のほうじゃないんですかい?』
楓「長距離航行プランの会議が午前だけだったので、時間も空いたからこっちに来ちゃいました」
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/20(水) 19:31:49.85 ID:t42ldpeL0
整備長『時期が悪くなっちまったが、そっちもそろそろかぁ……そういや、少佐の旦那から連絡ありましたよ。今週末退院だって』
楓「え?」
晶葉「なんだと、聞いていないぞ」
整備長『ありゃ、そうだったんですかい。俺はさっきメールもらったんだけどなぁ……』
晶葉「あいつ、一番先に連絡する相手は整備長なのか……」
楓「あらあら……いけませんねPさんは。後で病院に行って、おしおきが必要かも……しれませんね?」
整備長『いやいやいや、何もそんな……』
楓「冗談です。あ……私のほうも、夕美ちゃんからメール来てましたね。気づきませんでした」
晶葉「まあ、私が言うのも違うだろうが、もうしばらくの間はありすと2人で頼むぞ」
整備長『了解。それじゃ、本部に顔出す用事もあるんで』
晶葉「気を付けろよ」
ピッ!
晶葉「ふぅ……」
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/20(水) 19:34:07.28 ID:t42ldpeL0
楓「新システムのテスト機のお話ですか?」
晶葉「ああ、今度の新型に積む予定の奴だ。ニュージェネには先行してテスト機は渡して、次元跳躍のテストと並行稼働させている。システム部分については開発が一部追いついていなかったから、少し遅れていたがな」
楓「新システム、一般機のNGF用に作ったヴァルキュリアシステムのデータで、ようやく開発も進みましたからね」
晶葉「そうだな。一般機用に落とし込んだシステムも、ようやくゾーニング現象を抑制することが出来て実装することが出来た」
晶葉「プロジェクト・ヴァルキュリアのメンバーに関しては、その先があるからゾーニング現象を抑えきることは出来ないが……」
楓「単純に戦力の為のシステムであれば、一般機向けのシステム改修でいいと思います。でも、あの子たちには、あの子たちにしか出来ない仕事がありますから」カタカタカタッ!
ピピッ!
晶葉「……とはいえ、これまでのテスト結果からも、フラッシュバックの頻度は以前と比べて相当抑えることが出来ているはずだ」
晶葉「そうでなければ、ニュージェネもフレイの部隊も助手が不在の現状、持たなかっただろう」
楓「そう……ですね」
晶葉「さて、と……すまんが現場のほうに行ってくる。明日の次元跳躍の打合せに使うデータを集計したくてな」
楓「あら、大変ですね」
晶葉「助手のこともあるし、楓は軍本部からの帰りだし仕事を残してないなら定時で上がっていいぞ」
楓「そうですか? それじゃあ早めに上がらせてもらいますね」
……
…………
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/20(水) 19:36:21.16 ID:t42ldpeL0
――土星圏、戦闘宙域
未央「あと2匹! しまむー!」
卯月『はい! ビフロストで飛行ルートを制限します! 凛ちゃん、予測データです!』ピピッ!
ドガガガガガガガァンッ!!
GS型「!!」ギュンッ!
凛『そこ! サーベル……やああああっ!!』ブォンッ!
シュパアアアアンッ!!
未央「最後の1匹! 逃がさないよ、ダインスレイヴ!」ズドォンッ!
ドガアアアアアアンッ!!
ピピッ!
ありす『宙域のGS型、すべて撃破……コンディショングリーンです。お疲れさまです』
未央「追加でやってきそうな反応もないし……うん、とりあえず終わりだね」
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/20(水) 19:37:09.17 ID:t42ldpeL0
卯月『はぁ……終わりましたぁ』
凛『ありす大尉、フィールドジェネレーターは?』
ありす『……反応無しです。戦闘中であればもしかしたら、と思いましたが』
卯月『やっぱり、ホクドウで待機していた時に観測されたものって、偶然なんでしょうか?』
ありす『いえ、ここ1年弱の間で再びGS型、及びG型が土星圏宙域付近に出現するようになったのと併せて、次元振動の観測頻度も増えてきています』
ありす『空間転移現象については未だ確認出来ていませんので、設置されている干渉装置自体は効いているとは思いますが……時間の問題です』
未央「やっぱり、白い奴らも何か動き出したってことですよね? 長距離航行プランがようやく始まるっていうところで……」
ありす『仕方がありません。どの道、私たちがクイーンに会いに行くときには戦闘を行う想定だったんですから。それが少し早まっただけです』
凛『それだけで済むならいいけど……とりあえず、帰艦します』
……
…………
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/20(水) 19:37:55.02 ID:t42ldpeL0
――フレイヤ級小型強襲揚陸戦艦『フレイヤU』(ブリッジ)
パシュンッ!
未央「次のヴァルキュリアシステムの新型、Pさん用のなんだよね?」
凛「そう聞いてるけどね。それとナオの分の機体も。私たちのほうで収集したテストデータもフィードバックして、整備長が持ってくる新しいヤツに移行するみたいだけど」
ありす「お疲れ様です。みなさん、良いマニューバでしたよ」フワッ
卯月「あっ、ありすちゃん! えへへ、褒められちゃいました!」
ありす「島村少尉、まだ勤務中です。上官に対する口の利き方がなっていませんよ」
卯月「あう……す、すみません……」
ありす「まあ、艦制御もオートメーション機能に移行しましたので、休憩に入りますからね。今なら構いませんけど」
卯月「だったら怒らないでくださいよぉ……」
未央「まあまあ、家にいるときじゃないんだからさ、任務中は切り替えないと」
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/20(水) 19:38:58.00 ID:t42ldpeL0
凛「そうだ大尉、今回の戦闘の私たちのマニューバ、何か指摘とかありますか?」
ありす「後で映像記録は見直しますけど、大分良くなったと思いますよ。これならS-02に行っても戦力になると思います」
未央「はぁー、ホクドウに戻って、整備長から新しい機体を受け取って新入りとちょっと戯れたら移動かぁ……ちょっと寂しいかも」
ありす「仕方がありません。土星圏外ではここよりも白い奴らが発見されていますし、戦闘機会も格段に増えてきています」
ありす「フレイのほうも運用体系を変更して一時的にS-02預かりにしましたし、それでも人手が足りていないみたいですから」
凛「そうだね。土星圏も少し前の木星圏くらいに落ち着いたけど、それよりも外は以前と同じくらいの戦闘規模になってきているし」
卯月「どうなっているんでしょうか……せっかく、あの時の戦闘でみんな頑張ったのに……」
未央「まあ、私たちだけで考えても仕方ないよ。Pさんが離脱して、アインフェリアも運用凍結状態になっちゃったし……」
ありす「Pさんが動けないとなると、美波さんたちがフラッシュバックを起こした場合の対応が困難ですから、仕方がありません」
凛「一時期は本当に大変だったからね……私たちも、避妊治療は受けてたけど妊娠するかと……まあ、あの時期に孕まなかったナオは奇跡だったけど」
卯月「でも、美波さんたちもPさんと一緒にいられて嬉しがってましたよね? 私もPさんと一緒がよかったんですけど……」
ありす「あの人たち、今でもPさんがフラッシュバックを起こすのを期待してますからね……信じられませんよ」
未央「まあいつも通りのアインフェリア隊ってことで」
ありす「私をそこに混ぜないでください」
未央「おっと失礼」
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/20(水) 19:39:35.51 ID:t42ldpeL0
凛「同じ部隊なのに……あ、そうだ大尉、ミーミルを使ってもいいですか?」
ありす「いいですよ。何か調べものですか?」
凛「私たちと入れ替えでフレイヤに来るメンバー、確認しておこうかと思って」
未央「ホクドウ着いたら受け入れだもんね。最初だけは私たちのほうで色々教えておかないと」
凛「加蓮とナオも入れ替えでこっちに戻ってくるから、運用テストはそっちに引き継ぐけど……」カタカタカタッ!
ピピッ!
凛「あった。こっちに来るの、この3人だよね。あとはおまけの2人も」
卯月「この人とこっちの人、軍の入隊時期は私たちと同期なんですね……スコアいいなぁ……」
ありす「選定した大佐が言うには、ヴァルキュリアシステムの適性としては貴方達のほうが上みたいですけどね。技術的な面では新しい方々のほうが良いみたいですけど」
未央「うーん、複雑……しぶりん、他のデータ見せてよ」
凛「ちょっと待ってよ。えーっと……」
……
…………
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/20(水) 19:40:31.10 ID:t42ldpeL0
――土星圏外宙域、CG-346ノルン級大型宇宙戦艦『ノルンS-02』(艦長室)
時子「ラピッドストライカー隊の体制についての詳細は以上。後は向こうで上手くやりなさい」
ナオ「了解です」
加蓮「あれ、でも菜々さんは?」
菜々「ナナは智絵里ちゃんとしばらく一緒ですので」
智絵里「コンコルディア隊とラピッドストライカー隊は、ニュージェネレーション隊と一時的に統合して……加蓮ちゃんたちが、戻ってきたら……また再編成、ですよね?」
時子「そうね。菜々が黒川重工から預かってる機体の運用テストもあるから、出撃編成は考える必要があるけれど……まったく、いつまでも向こうの小間使いな部隊ね」
菜々「まーそれがラピッドストライカー隊ですからねぇ。リアルロボットの中にスーパーロボットが混じるのも結構大変でして……」
時子「どうでもいい」
菜々「あ、はい」
ナオ「菜々さんも一緒に来れたらよかったんだけどな。こればっかりは仕方がないか……」
菜々「どんなに遅くても、長距離航行のタイミングで合流ですけどね。そういえば時子さん、S-01の子は先にフレイヤに向かうんですよね?」
時子「今回の補給部隊の帰艦に合わせて先行する予定よ。貴方達は、さっさと引継ぎを済ませてフレイヤに行きなさい」
ナオ「やること多いからなぁ……凛たちがこっちに来た時に面倒にならないようにしておかないと」
加蓮「ま、そこは先輩的にもしっかりやっておかないとね」
……
…………
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/20(水) 19:42:06.96 ID:t42ldpeL0
――ノルンS-02(通路)
菜々「あ、ちょっと格納庫行ってきますね。前回戦闘で収集したウサミンロボのシステムログ、出しておきませんと」
ナオ「何か手伝うか?」
菜々「すぐ終わりますから、先にお部屋に戻って待機してていいですよ」フワッ
加蓮「……まあ、菜々さんのARGTは色々面倒くさいし、先に戻ってよっか」
ナオ「そうだな……」
加蓮「待機時間なら食堂でも行こうかなー。でも次の出撃編成に入ってるし……」
ナオ「なあ、加蓮」
加蓮「ん、何?」
ナオ「残念だったな。凛たちと一緒に任務できなくて、入れ替わりになったしさ」
加蓮「別に、ニュージェネならもう3人でも十分やっていけるでしょ? それに、ナシヤマに帰るときはみんな一緒だし」
ナオ「まあな。別件で木星圏まで戻るタイミングでもないと、会う機会は減ったけど……今はフレイもこっちにいるし、大丈夫か」
加蓮「そうそう。いつまでも新人じゃないんだからさ。それに……」スッ……
ナオ「……なんだよ」
加蓮「私には、ナオがいるもん」ギュッ……
ナオ「は、恥ずかしいこと言うなよなぁ……」
加蓮「私は恥ずかしくないもん。ナオは、恥ずかしい?」
ナオ「そ、そりゃあ……通路だし誰かに見られたら恥ずかしいけど……」
加蓮「……私ね。今でも思うんだ」
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/20(水) 19:43:07.07 ID:t42ldpeL0
加蓮「また、こうしてナオと一緒にいられること。色んな奇跡が積み重なって、奈緒が私たちを助けてくれて……だから、またこうしていられる」
加蓮「もっともっと……奈緒にはたくさん、ありがとうって言いたかった。私を守ってくれて、こうしてまた、ナオと出会わせてくれて……」
ナオ「……そっか」
加蓮「奈緒……元気かな?」
ナオ「きっと、元気だよ。あっちの世界は平和なんだ。平和で……平和だから、アイツが自分の世界に戻ることが出来て、良かった」
加蓮「……そうだね」
ナオ「後は、あたしたちの仕事だ。この世界でやるべきこと……全部、全部終わったら……」
加蓮「奈緒に……また会えるかな? 次元跳躍のテストも、ニュージェネが進めてるし」
ナオ「会えるといいな。今度は……平和な世界で」
……
…………
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/20(水) 19:46:15.43 ID:t42ldpeL0
――ノルンS-01(格納庫)
「速水少尉! 補給部隊の回収物資、全部積み込みが終わったんで3NXもモリアン艦に移動させてください!」
奏「ええ、分かったわ。オプション兵装、装備したままだけどこのまま移動させていいのよね?」
「はい、装備したままでオッケーです」
奏「ホクドウに戻るまでの護衛部隊の編成、モリアンに入ってからもらえばいいのかしら?」
「隊のほうで連絡されていなければ向こうで通知されると思います。ヴェールも1隻戻るので護衛はそっちがメインになると思いますが」
奏「そう、ありがとう。あら……?」ピピッ!
奏「端末に通知……神谷少尉と北条少尉、後から来ることになったのね」
奏「国際連合防衛本部宇宙軌道防衛軍所属、第6防衛隊……新しい配属先。まあ、なるようになる、かしらね」
……
…………
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/20(水) 19:54:35.19 ID:t42ldpeL0
というわけで今日はこれで終わります。
今回は奈緒編の時期くらいのノリでスレを進めたいと思います。
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/20(水) 21:31:05.27 ID:EHrP1i1hO
乙
初っ端がとても明るく元気なお話ではないんですが大丈夫なんですかね…
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/21(木) 04:30:13.46 ID:DSyY4FIdo
新作期待
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/21(木) 15:33:17.56 ID:iYFM8CR+O
ありすは特別大尉→中尉→大尉に昇進したのかな?
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 18:37:42.61 ID:SWVu0IjW0
>>28
詐欺にはならないんじゃないかなーと思っています
>>30
主要メンバー全員不在になったので中尉昇進後に艦運用権限付与の為特別大尉→美波が戻ってきたので中尉に→結局みんな不在になったので正式に昇進
の経緯です
32 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 18:51:50.64 ID:SWVu0IjW0
――数日後、フレイヤU(艦長室)
ありす「そうですか。Pさん、ようやく退院ですか」
文香『はい……今週末だそうで……私も、先ほど夕美さんからお聞きしました』
ありす「よかった……お祝いもしたいですし、どこかで都合付けてナシヤマに戻りたいですね」
文香『Pさんも、またありすちゃんや、ニュージェネレーションの3人とお会いできるなら……とても喜ぶと思います』
ありす「そういえば、そちらはI@LP、どこまで進みましたか? 通しまで出来ているのであれば、映像データを送ってもらえればこちらも合わせることができるんですけど」
文香『昨日……一通りの記録は取り終わったので、後で転送しておきますね』
ありす「ありがとうございます。私はフレイヤにいるので、やっぱりみなさんと一緒に練習できないのは大変ですね」
文香『申し訳、ありません……私も、できればありすちゃんと一緒に、フレイヤに戻りたいとは、思っていましたが……』
ありす「仕方がありません。Pさんも含めて、みなさんはフラッシュバックの危険性も残っていましたから」
ありす「あの時の戦闘、対話の日とは違ってPさんが私たち全員の負荷を受けてくださったおかげで、耐性持ちの私や愛梨さんは早くに復帰できましたが、こればかりはどうしようもないと思います」
ありす「それに……私は、帰ったらPさんにたくさん甘えようと、思っていますから」
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 18:58:08.35 ID:SWVu0IjW0
文香『……そう、でしたか。それでしたら……Pさんには、ありすちゃんから送られてくるI@LPの記録は……しっかりと見て頂くよう、お話しておきます』
ありす「べ、別にそんなことしなくても……あの人も、後遺症でNGFに乗るのが困難になって、暇な時間が出来てようやく私たちのアイドル活動も見てくれるようになりましたね」
文香『喜ばしい……と言いますか……ですが、そうなってしまった経緯を思うと、素直には……喜ぶことが出来ませんね』
ありす「……」
文香『……』
ありす「私たちは、いつも助けられてばかりです。だから……最後は、私たちが……私たちの本来の役目を、果たしましょう」
文香『……はい。私たちも、なるべく早く仕上げて……そちらに戻ります。それまでは……よろしくお願いします』
ありす「今回のみなさんは、実質的にはプランV3の準備の為にナシヤマに残っていますし、それほど心配はしていません。私は待っていますから」
文香『はい……ニュージェネレーションのみなさんや、加蓮さん、ナオさんにもよろしくと……それでは』
ピッ!
34 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 18:59:04.78 ID:SWVu0IjW0
ありす「……よかった。Pさん」
ピピピッ!
ありす「ん……はい、どうしましたか?」ピッ!
卯月『ありす大尉、ホクドウの入港手続き完了しました! コードも発行されたので、各班から来てる補給物資の申請リストも出しておきますね』
ありす「わかりました。整備班には、整備長が合流したときの準備もしておくようにと連絡しておいてください」
卯月『はい!』
ありす「あと良いお話を1つ。Pさん、近いうちに退院するそうですよ」
卯月『ホントですか!? 凛ちゃーん! 未央ちゃーん! Pさん退院するみたいですよ!』
未央『おお! 吉報だねぇ!』
凛『よかった……これで、みんな揃うんだね』
ありす「他のメンバーとの合流はまだ先ですけどね。まあ、どこかでナシヤマに戻る用事を作って、家に戻ってもいいかもしれませんね」
……
…………
35 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 19:01:59.82 ID:SWVu0IjW0
――数日後、土星圏宙域コロニー『ホクドウ』入港口、フレイヤU(ブリッジ)
凛「フレイヤを港のアームに固定しました。入港作業終わります。搬入口を開けて、整備班の作業を開始させます」
ありす「それではフレイヤの整備作業についても予定通り実施とします。ニュージェネレーション隊は1時間後に本部に向かいます。外出準備をしてください」
未央「はーい……およ?」ピピピッ!
ありす「未央さん? どうしましたか?」
未央「おおっ! ありす大尉!」
……
…………
36 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 19:15:13.84 ID:SWVu0IjW0
――ホクドウ(入港口)
整備長「よーお前らー! 元気だったかー?」
未央「整備長! お待たせー!」
卯月「お疲れ様です!」
整備長「待ったも待った。暇過ぎて酒飲む金も使い切っちまったよ」
凛「またそんなこと言って……整備長、新システムは?」
整備長「VSTGに積み替える分は持ってきたぜー。コックピットブロックの換装作業、やっとくからよ」
ありす「お疲れ様です。新型のほうはどうしますか?」
整備長「基本設定は美波の嬢ちゃんにやってもらったからよ、残りは新入りが来たらやらせりゃいいだろ」
ありす「そうですね。換装用のコックピットと、新型3機の搬入作業、お願いします」
整備長「へい了解! そっちはどうすんだ?」
ありす「1時間後に新入りの受け入れの為に本部へ向かいます。全員揃っているはずですから」
37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 19:21:57.03 ID:SWVu0IjW0
整備長「新入り3人ねぇ……ようやくフレイヤも人が増えたっつーか」
ありす「アインフェリア隊と愛梨さん、蘭子さんが常駐できれば人数的には問題ないんですけどね」
ありす「ただ、プランV3のことも考慮すると今の体制では賄いきれませんし、人員を増やすしかありません」
整備長「まあ、フレイヤに来るってことはよ……」
ありす「……はい」
卯月「またPさんのおちんぽ狂いになっちゃう人が……」
凛「いや大丈夫でしょ……私たちが使ってたときのシステムから改修が入ってるんだし、そこまで酷くはならないとは思うけど」
未央「まあでも、好きだよねそういうの」
ありす「貴方達……美波さんじゃないんですから外でそんな話をしないでください」
……
…………
38 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 19:23:44.61 ID:SWVu0IjW0
――ホクドウ、軍本部(会議室)
ありす「直接顔を合わせるのは初めてになりますので、改めて互いに自己紹介をしましょうか」
ありす「私はプロジェクトV……正式にはプロジェクト・ヴァルキュリアの運用艦であるフレイヤUの艦長代理、橘ありす大尉です。今後の貴方達の上官になりますので、よろしくお願いします」
ありす「あとは……こちらの3人は、もしかしたら何度かI@LPで顔を見る機会があったかもしれません。ニュージェネレーション隊です」
卯月「島村卯月少尉です! よろしくお願いします!」
凛「渋谷凛少尉です。よろしく」
未央「本田未央少尉です! 私たちは別件があって長く一緒にいれないけど、短い間でもよろしくね!」
奏「S-02から来ました。速水奏少尉……です」
美嘉「城ヶ崎美嘉少尉です」
周子「えーっと、塩見周子少尉です。よろしくお願いしまーす」
ありす「お互いに少し硬いですね。私と塩見少尉以外、入隊時期は同期になりますし、広報のアイドルでもありますので、もっと気楽で構いませんよ」
未央「と、いうわけでヨロシク!」
39 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 19:25:09.18 ID:SWVu0IjW0
凛「他所だともう少ししっかりしなきゃいけないけど、ここは相当緩いから、仲良くやっていこうか」
卯月「色んなところが緩いですからね」
奏「あら……それじゃあ遠慮なく。よろしく」
周子「それじゃーあたしも、そこそこ適当にさせてもらおっかなー。よろシューコ、ってね」
卯月「はい! えーっと……美嘉、さん? 美嘉……ちゃんは?」
美嘉「……ん、それじゃみんなアイドルならアイドルらしく、やってこっか。ヨロシク★」
ありす「まあ、うちはこれくらいでいいですかね。この後少し、絶望を覚えるようなお話をもしなければなりませんし」
奏「何の話……ですか?」
ありす「詳しい話は艦に戻ってからしますが、本プロジェクトの詳細は一部を除きアルヴィスの秘匿階層レベルの情報になります」
ありす「プロジェクト遂行にあたっての試作機、試作兵装の運用テスト、それらの作戦への導入実施が行われます。また、既に全体に展開されているプランV3の件」
ありす「対話の日に実施されたプランV、クイーンとの対話を行ったプランV2も合わせて私たちの部隊の任務となっています」
ありす「プランV3の作戦詳細や貴方達のポジションについては別途お話します。長距離航行プランにおいて重要な立ち位置となっていますので、活躍を期待しています」
「「「はい」」」
……
…………
40 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 19:28:55.38 ID:SWVu0IjW0
――数時間後、フレイヤU(会議室)
ありす「以上が、プロジェクト・ヴァルキュリアの全体概要となります。各項目についての詳細は、端末に転送している資料を参照してください」
奏「3NXや4Nに搭載されているGNブースト……ここで運用されていたヴァルキュリアシステムっていうのが……」
ありす「はい。ヴァルキュリアシステムはこれまで標準配備されていたNGF-3Nのアップデート版であるNGF-3NX、及び次世代機であるNGF-4Nに搭載されたGNブーストの元となった先行システムとなっています」
ありす「ただし、新規格のパイロットスーツを使用しNGF搭乗者へ働きかける効果はGNブーストとは大きく異なります」
美嘉「大きく違う……GNブーストは新しいパイロットスーツを着て、機体から受けた電気信号でアタシたちの戦闘技術を向上させるって……」
ありす「その部分については大きく変わりません。ヴァルキュリアシステムもGNブーストと同じく、基本的にはパイロットに直接適用される専用システムです」
ありす「ヴァルキュリアシステムは各機体共通仕様の360度フルスクリーンモニター、擬似立体音響、運動制御補助プログラム用の脳波受信装置の3つで成立しています」
ありす「システム起動中はフルスクリーンモニターにより映される光景、擬似立体音響から伝わる音、そして脳への情報伝達率をより高度にすることによって」
ありす「搭乗者へ戦闘中でに適切な状況判断、行動の最適化を円滑に促すことでより高次元の戦闘を行うことができます」
周子「あーそうそう、なんかそんな感じだったような……」
41 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 19:30:52.96 ID:SWVu0IjW0
ありす「ですがヴァルキュリアシステムはそれだけではありません。GNブーストとは違い、脳に与える付加効果が一部追加されます」
未央「追加っていうか、GNブーストはその効果がオミットされてるってことだけどね」
ありす「ヴァルキュリアシステムは、システムとダイレクトリンクしているパイロットスーツから、電気信号が随時全身に送られることになります」
ありす「その効果は大脳の扁桃体を初め、体の様々な器官に影響を及ぼすことで、機体搭乗者の精神に直接働きかける物となります」
ありす「搭乗者はシステム起動後は恐怖心、闘争本能を活性化させて人間の生存本能を莫大に発現させることでゾーニング現象を発生させます」
ありす「これにより通常戦闘内であれば、先程話した効果がゾーニング現象と併用することで、更なる戦闘力の向上が見込めます」
美嘉「なんか、ちょっと怖い気がするけど、戦闘だけならヴァルキュリアシステムを使うほうが全然良いと思うんだけど……」
ありす「いえ、戦闘中はゾーニング現象を維持する為、電気信号により強制的にその効果を維持することになります」
ありす「通常では有り得ない肉体的、精神的負荷を継続的に受けたことにより、戦闘終了後も搭乗者の身体には後遺症として、ゾーニング現象が残ることになります」
ありす「そして、生存本能が活性化されたことにより、戦闘後は激しい性衝動が襲ってきます。性衝動については自慰行為等で別途発散させることでゾーニング状態を解消し、対応していきます」
奏「は?」
美嘉「は?」
周子「は?」
42 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 19:31:50.18 ID:SWVu0IjW0
凛「私たちのときと同じ反応してる」
卯月「ま、まぁそうなりますよね……」
美嘉「ちょ、ちょっと待って! そんなのって有り得なくない!?」ガタッ!
周子「いやー……ビックリ」
奏「……さすがにそれは、非人道的なシステムだと思うけれど」
ありす「そこについては否定できません。現に私やニュージェネレーション隊は効果の大小はあれど、何かしらの影響を受けています」
美嘉「え、ちょ……ええええ……」
奏「いや、影響って……何、それ」
卯月「あ、で、でも心配しなくていいですよ!」
凛「後遺症については、ありす大尉の時期が特に酷かった頃で、私たちが配属した時期には後遺症の抑制も進んでいたし」
ありす「はい。今回貴方達にお渡しする新型については、オート・クレール社が更に改良した新型のヴァルキュリアシステムが採用されています」
ありす「後遺症及び肉体的な負荷も、従来のシステムより大幅に軽減されています。後遺症によるフラッシュバックも、ほぼ起きないとは思いますが……」
43 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 19:36:33.33 ID:SWVu0IjW0
奏「……冗談を言う場ではないし、秘匿階層の情報っていう理由は分かったわ。ただ……ちょっとね」
美嘉「あっ、あわっ、あわわわわわ……」ガクガクブルブル
ありす「まあ、しばらくしたらゾーニング現象の対策として、この艦にそれ相応の方が来てくれます。それまでは頑張ってください」
周子「アフターケアは万全……ってわけじゃなさそうだけど、ちなみに、その人は何する人?」
ありす「みなさんとセックスする……だけではありませんが、私たちの部隊を統括する方が合流します」
ありす「アインフェリア隊、及びニュージェネレーション隊の上官であるP少佐になります。セックスをご希望であれば、その方にお願いしてください」
美嘉「セッ!? セセセセセセセセ!!」
周子「ちょっ、ちょっと落ち着きなって……ま、まあこっちが騒いでも、何か変わるわけでもないしええけど」
ありす「まあ、特にシステムについてはプランVにおける重要な物となりますので……プロジェクトとシステムの説明については以上になります」
ありす「この後は一度艦内施設の案内をします。その後は格納庫に行って、みなさんの機体の調整とシミュレーターを起動してもらいますので、移動しましょうか」
……
…………
44 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 19:37:59.71 ID:SWVu0IjW0
――フレイヤU(食堂)
周子「ま、食堂はどこもこんなもんだよね」
ありす「同型艦のフレイが、乗員の趣味で内装を変更しているみたいですけど、ここは特にそういった趣味の方がいませんので標準のままです」
未央「おばちゃーん、新しく来た人たち連れてきたよー!」
おばちゃん「おや? みんな来たのかい? いらっしゃい」
美嘉「ど、どうも……」
おばちゃん「この艦、仕事大変だからねぇ。みんなも体壊さないように頑張って頂戴ね」
奏「……はい」
ありす「まあ、フレイヤの乗員は全員プロジェクト要員なのでみなさんの事情は知っていますから」
おばちゃん「大丈夫だよ! ニュージェネのみんなだってすぐ慣れたんだし、ねえ?」
卯月「はい!」
凛「慣れっていうのは恐ろしいね」
美嘉「慣れたくない……」
ありす「そういえば、厨房が忙しそうですね。仕込みですか?」
おばちゃん「整備班に弁当用意してるんだよ。今回は搬入出の作業多いみたいで、休憩時間少ないからね」
ありす「整備長が持ってきた物も相当ありますからね。すみませんが、よろしくお願いします」
おばちゃん「あいよ。はぁ……智絵里ちゃんがいれば、もう少し楽だったんだけどねぇ……」
未央「最早パイロットなのかコックなのか扱いが良くわからなくなってるちえりん……」
凛「まあ智絵里は菜々さんと一緒にS-02に戻って、中尉に上がったからね」
ありす「おっと、お話が長くなりましたね。それでは移動しましょうか」
……
…………
45 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 19:39:18.89 ID:SWVu0IjW0
――ナシヤマ、オート・クレール社工場(開発室)
晶葉「……そろそろ終わりか」
ピピッ!
パシュンッ!
P「……」
愛梨「……」
蘭子「……」
『P NGF-3Nシミュレーター評価 SS』
『神崎蘭子 十時愛梨 NGF-F-VPS13シミュレーター評価 SS+』
愛梨「やりましたぁ!」ピョンピョンッ!
蘭子「うむ! 我も神の頂きへと上り詰めた!」
46 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 19:41:56.37 ID:SWVu0IjW0
晶葉「5回シミュレーターを回して、3回がこのスコアか。助手も、ついにシミュレーターのスコアが抜かれるようになってきたか」
P「そうだな……俺も、リハビリプログラムをやっている間に調子が良くなったと思っていたが、そろそろ引退かもしれん」
愛梨「そ、そんなことないですよぉ! Pさん、シミュレーターは3Nで動かしましたし、私たちは新型ですから……」
蘭子「単独マニューバだと勝負にならないもん……」
晶葉「2人のサードの搭乗経験から、やはりこういった形で運用するほうが単体としての成果は上がるか……どうする?」
P「悩ましいな。恐らくは単機での突破力も、集団での殲滅力も必要になる」
愛梨「ビーさんたちのお話を聞いた感じですと、星に行ったらたくさんのG型がいるかもしれませんし……」
晶葉「単独でのシミュレータースコアであれば……そうだな、単独出撃した愛梨程のスコアでもなければG型を相手にするのは厳しいか」
愛梨「ニュージェネのみなさんはどうなんですか?」
P「防衛ラインを任せようと思っている。3機でのマニューバであれば、上手くやれるとは思っているが」
晶葉「となると、こちらから最前線に出すのはラピッドストライカーとブリヤントノワールの2部隊、あとは愛梨と蘭子か」
47 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 19:43:22.63 ID:SWVu0IjW0
蘭子「新しく来る人たちはどうするんですか?」
P「前線任務をメインにする予定だ。アルヴィスで過去の戦闘記録を閲覧したが、腕は悪くなさそうだ」
P「ニュージェネと比較しても、単独でのマニューバは新しいメンバーのスコアが上のようだしな」
晶葉「なんだ、他所から来る2人はそんな面子なのか? 今のあの3人も悪くはないが、それくらい動けるならこの時期なら土星圏外に回されてもいいとは思うが」
P「そっちでの戦闘をやっていたメンバーもいる。まあ……フレイヤに来ることになったのは、色々ある」
晶葉「なんだ珍しい、歯切れが悪いな」
P「1人は……まあ、前線に出続けていれば稀にあるというか、少し前に起きたノルン級の巣の攻略戦でな。指揮伝達が遅れたタイミングだったらしいが」
晶葉「なるほどな。で、そいつはこっちに来て使い物になるのか?」
愛梨「多分、大丈夫だと思います。その後の戦闘記録も、出撃編成には入っているみたいですし、ただ……」
晶葉「ただ?」
48 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 19:43:48.98 ID:SWVu0IjW0
P「単独マニューバでの出撃機会が増えたと聞いている。本人の要望かどうかは知らないが」
晶葉「この時期に単独出撃が出来るなら大したもんだ。お前たち程だとは思ってはいないが、確かにそれなりだな」
愛梨「フレデリカちゃんや、桃華ちゃんくらい飛べるみたいですから、私もこの人ならいいかなーって思ったんですけどね」
P「そうだな。もう1人は……」ピピピッ!
P「っと……会社の端末か。打合せの時間か」
晶葉「もうこんな時間か。仕方がない、行くぞ」
蘭子「暗黒会議……私たちどうしようかな」
P「本部に戻る用事も、I@LPもないなら家に帰ってていいぞ。今日の打合せは櫻井からも人が来てるから、少し時間が掛かる」
愛梨「はーい。それじゃあ先に帰ってますね。蘭子ちゃん、いきましょう?」
蘭子「我、甘美なる誘惑に惑わされる」
愛梨「それならどこかでお茶して帰りましょう♪ それじゃPさん、お先に失礼しますね」
P「ああ、気を付けて帰れよ」
……
…………
49 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 19:50:17.39 ID:SWVu0IjW0
というわけで今日はこれで終わります。
実は周子はエロゲ編で名無しで台詞だけ登場していたりします。
50 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/21(木) 23:25:11.71 ID:8Z+GW0/nO
待ってた
51 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/22(金) 17:26:40.11 ID:KteWYZ6cO
バッドは見たくないなぁ…グッドじゃなくても…
52 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/22(金) 18:44:51.28 ID:Du4XMlAW0
――数時間後、フレイヤU(格納庫)
パシュンッ!
卯月「凛ちゃん、やりました!」
凛「うん、いつもよりスコア伸びてるし、今日は調子いいんじゃない?」ピピッ!
奏「……」
美嘉「……」
周子「……」
卯月「頑張りました!」ブイッ!
『島村卯月 NGF-3Nシミュレーター評価 D+』
『渋谷凛 NGF-3Nシミュレーター評価 C−』
『本田未央 NGF-3Nシミュレーター評価 C』
未央「おーおー、しまむーも1ランク上がったねぇ。安定すればもう1ランク上げられそうじゃん」
53 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/22(金) 18:47:12.04 ID:Du4XMlAW0
周子「……ま、あたしはあんまり人のこと言えないし」
『速水奏 NGF-3Nシミュレーター評価 B−』
『城ヶ崎美嘉 NGF-3Nシミュレーター評価 B−』
『塩見周子 NGF-3Nシミュレーター評価 C−』
卯月「うわぁ……3人とも凄いスコアですね! Bランク帯以上って凄く判定厳しいんですよね……」
奏「まあ、この判定もギリギリのところだけど……3NのシミュレーターでB以上は行ける気がしないわね」
美嘉「まあまあ、スコアも大事だけど、実戦で上手くやるのが重要だからさ」
未央「いやそれにしても私たちの立場がないねこれは……もっと一緒にシミュレーターやりたかったなぁ」
周子「そういやさっき話してたね。S-02に行くって」
凛「元々フレイヤにいたメンバーが何人かS-02に行っててね。そのメンバーもヴァルキュリアシステムを使ったことがあるんだよ」
未央「そうそう。抑制剤もあるし、フラッシュバックは頻発しなくなったけど、長期間フレイヤから離れた分のメディカルチェックも兼ねて私たちと交代ってこと」
奏「……もしかして、それって神谷少尉と北条少尉かしら?」
凛「そうだよ。あ、奏はS-01から来たから2人の名前は知ってるんだ?」
奏「直接会って話したことはないけれど、ここに来る前に少し連絡を取り合っててね。あの2人がいる部隊、結構有名だもの」
卯月「ラピッドストライカー隊、菜々さんのARGTって目立ちますからね……」
凛「あっちの部隊も、試作兵装のテスト運用やってるからね」
54 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/22(金) 18:48:16.92 ID:Du4XMlAW0
美嘉「……そういえばさ」
未央「ん、どしたの美嘉ねぇ?」
美嘉「美嘉ねぇって……変なあだ名付けないでよ……アタシのほうが後から来たんだし」
未央「まあまあ、私たちより年上だしさ」
美嘉「まあいいけど……いや、機体の話で思い出したんだけどさ、さっき向こうで機体の確認してた時に見かけた機体」
美嘉「開けっ放しだったコンテナの中にあった3N、カスタム機だったけど誰が乗ってるのかなって」
卯月「あ、それは……」
凛「NGF-3N-SD、今は誰も乗ってないよ」
周子「誰も使わないの? 勿体無いやん?」
凛「うん。パイロットはもういないけど……まあ、私たちのお守りみたいなもの、かな」
美嘉「……誰が乗ってたの?」
凛「それは……私たちが話しても、ね。今度、北条少尉……加蓮が来た時に、聞いてみるといいよ」
……
…………
55 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/22(金) 18:50:31.26 ID:Du4XMlAW0
――数日後、ホクドウ(入港口)
ありす「長距離航行プランについては内々で大佐から連絡を頂いている通り、時期になりましたら再度招集を掛けます」
ありす「また、フレイヤUに関しても土星圏外での戦闘状況、または上層からの指示により別宙域に移動する場合もあります」
ありす「合流についてはその都度指示を出しますので、圏外での戦闘はラピッドストライカー隊とコンコルディア隊と協力してお願いします」
未央「はい!」
卯月「頑張ります!」
凛「大尉も気を付けてください」
ありす「……まあ、しばらく離れることになりますし、少しくらいは普段通りにして構いません」
凛「それじゃあ3人で頑張って、ありすに良い報告できるようにしようか」
卯月「はい! 向こうは翠さんたちもいますしね!」
ありす「貴方たちは本当に翠さんのこと好きですね……私の立場がありませんよ」
未央「まあ長いことお世話になったから……大丈夫、ありすちゃんのことも私たち、大好きだから!」
ありす「恥ずかしいのでやめてください」
整備長「お前ら、S-02でもしっかりやるんだぞ!」
おばちゃん「怪我しないようにね。お弁当、シャトルの中で食べるんだよ」
周子「ずいぶんゆるーい挨拶やね。ていうか整備長もおばちゃんも来とるし」
凛「まあ、うちの部隊はこんな感じだから」
56 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/22(金) 18:51:23.27 ID:Du4XMlAW0
卯月「みなさんも、頑張ってくださいね!」
美嘉「バッチリやっとくよ★ そっちも気を付けてね」
凛「対応予定の宙域で次元振動の観測結果が出てるから、戦闘のときはありす大尉の指示に従って、加蓮やナオと協力してよ」
奏「2人は明日、ここに来る予定だものね。わかったわ」
周子「合流したらすぐにあたしたちも宙域に出て戦闘でしょ? いやーどこに行っても大変だね」
ありす「アルヴィスの更新履歴を見たところ、他宙域でも次元振動が観測されているようです。やはり、白蜂もこちらで設置した干渉装置の効果をすり抜けて来ているみたいですが……」
美嘉「……」
ありす「まあ、どこにいても大変なのは変わりません。3人とも、NGFの積み込みも終わっていますから、そろそろシャトルに行きませんと」
卯月「あ、そうだった……それじゃあ、いってきます!」
ありす「はい、いってらっしゃい」
整備長「気を付けていけよー!」
……
…………
57 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/22(金) 18:52:16.35 ID:Du4XMlAW0
――フレイヤU(艦長室)
ありす「各宙域に設置されている干渉装置の効果……やはり、とりあえず有効にはなっていますね」カタカタカタカタッ!
ありす「ちひろさんから頂いている連絡では、まだ火星圏ではG型は確認できていない。次元振動も……」
ピッ!
ありす「エネルギー測定をした際の波長から外れる何か別の要因が……分かりませんね。オート・クレールの解析結果が出るまでは何とも……」
ピピピッ!
ありす「はい」
奏『大尉、お時間良いかしら?』
ありす「構いませんよ。どうぞ入ってください」
パシュンッ!
奏「失礼します……何か作業を?」
ありす「上から来ている直前の任務について確認していました。土星圏内で観測された次元振動……断層発生と、空間転移予測の詳細が来ていましたので」
奏「初報だと、断層発生まであまり時間が無いって書いていたけれど……間に合うのかしら?」
58 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/22(金) 18:53:42.20 ID:Du4XMlAW0
ありす「合流予定のお2人が到着次第出発すれば十分間に合います。貴方は他の2人と一緒に、ブリッジ作業のマニュアルを覚えておいてください」
奏「それはいいけど……その、1つ神谷少尉からお話を聞いていたんです。4人くらい来るって」
ありす「ああ……次のブリーフィングで話そうとは思っていました。神谷少尉、北条少尉の他にも2人、合流を予定しています」
奏「それって……」
ありす「はい。先に来た貴方達3人を含めた5人小隊として運用を予定している2人です。追加の2人はくだらない理由で合流が遅れている状態ですけどね」
奏「だからまだ新規の小隊手続きが無かったのね……そんな気がしていたわ」
ありす「ちなみに広報のほうから私に連絡が来ていますが、貴方達の今後のアイドル活動も5人ユニットで行う方針に変わります。そのうち、I@LPにも通知が来るはずです」
奏「……なんだか、色々と環境が変わってくるのね。目まぐるしく感じるわ」
ありす「そういうものです。貴方も、環境に合わせて変わってくれることを期待しています」
奏「……」
ありす「さて……すみませんが私はこれから格納庫に行ってきます。ブリッジのコンソールマニュアルの確認が終わったら各部屋で待機していてください」
……
…………
59 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/22(金) 18:54:37.63 ID:Du4XMlAW0
――フレイヤU(通路)
奏「……」
ありす『そういうものです。貴方も、環境に合わせて変わってくれることを期待しています』
奏「……別に、私が変わったわけじゃない。私は……裏切られただけ」
奏「そういえば……アイドルの仕事も変わること、周子と美嘉にも話したほうがいいかしらね。大尉からも話が行くと思うけれど」
奏「あまり、お節介はしたくないけど……そうね、チームでやるもの、少しなら……」
奏「……見透かされているのかしらね、私自身も」
……
…………
60 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/22(金) 18:59:22.17 ID:Du4XMlAW0
――フレイヤU(美嘉の部屋前)
奏「まだブリッジに2人とも来ていなかったし、部屋にいるとは思うけれど……」スッ
ピピピッ!
奏「奏よ。美嘉、少しいいかしら?」
奏「……返事、ないわね」スッ……
奏「ロックがされてないから、部屋にいる……わよね。美嘉、入るわよ」ピッ!
パシュンッ!
『それでね、アタシ絶対ぜーったいアイドルになるんだから、お姉ちゃんみたいに!』
美嘉「コラコラ、アイドルなんてそんな簡単になれるもんじゃないんだからね?」
『だからアタシもお願いして、ナシヤマのオーディション受けにいくから! そっちに行くときは、お姉ちゃんのトコに泊まっていーい?』
美嘉「もー、アンタってばいつも勝手に決めようとするんだから、アタシだって仕事あるんだからさぁ」
奏「美嘉?」
美嘉「……ん? あ、どうしたの?」
『あとね、この間チョーイケてる新しいお店が出来たんだけど――』
ピッ!
61 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/22(金) 19:01:00.80 ID:Du4XMlAW0
奏「……今のは?」
美嘉「アタシの妹。莉嘉っていうんだけど、いつも話す度に元気でうるさくてやかましくてさ」
奏「あら、いいじゃない。仲が良いならそれで。妹さんだって、楽しそうに貴方と話していたじゃない」
美嘉「もう、恥ずかしいって。まだまだやんちゃでね、アタシの真似してアイドルになりたいーって何度も言ってくるし」
奏「可愛らしいじゃない。せっかく話していたのに、邪魔してごめんなさいね」
美嘉「いいよいいよ。何か用事?」
奏「そうだけど、莉嘉ちゃんとお話していたなら、後にするわ。いきなり切っちゃったでしょう?」
美嘉「大丈夫だって。仕事のほうが優先でしょ?」
奏「いいの?」
美嘉「気にしなくていいって、それで?」
奏「さっき大尉から聞いたけど、神谷少尉と北条少尉の他にも2人、合流するみたいなの。私たちも混ぜた5人で、ユニットを組んでアイドルをやれって広報から来ているみたい」
美嘉「えー何それ、I@LPからまだ何も来てないけど……今まで持ってた仕事、どうなるんだろ?」
奏「上手くスケジュールとかは合わせて来るとは思うけど、お互いのスケジュール確認なら早いうちにやっておいたほうがいいかと思って」
美嘉「それじゃ周子も呼んで、3人で擦り合わせしておこっか。追加で来る2人にすぐ渡せる物、用意しておいたほうがいいよね」
奏「そうね。悪いけど少し付き合って頂戴。マニュアルの確認もしたいし……ブリッジでやりましょう」
美嘉「オッケーオッケー★ それじゃ行こっか」
……
…………
62 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/22(金) 19:03:37.67 ID:Du4XMlAW0
――翌日、フレイヤU(ブリッジ)
ありす「整列してください。こちらが先日お話した神谷奈緒少尉と北条加蓮少尉です。お2人も2年程前から本プロジェクトのメンバーになっています」
ありす「ナオ少尉は前線、北条少尉は状況を見てブリッジ、前線任務の兼任となります。前線ではお2人の指示に従ってください」
ナオ「よろしく……といっても、同じ階級だしお互い気楽にやろうか。ここ緩いし」
奏「凛たちも同じことを言ってたわ。こちらも、そのほうが気楽だしよろしくお願いね」
加蓮「とはいえ、戦闘中の指示には従ってもらうことになるけどね……今回はギャルっぽいメンバーなんだ」
美嘉「ま、アタシはギャル売りしてるからね」
周子「あたしそんなにギャルっぽくないと思うんやけど……」
ありす「ナオさんについては前線での運用体系が特殊なので、後でシミュレーターで互いのマニューバの確認を行ってくださいね」
ナオ「普段はNGFに乗ってるんだけど、こっちだと状況次第でオプション兵装で出撃することもあるからな。P少佐が来ない限りはそういう機会はないけど」
美嘉「P少佐?」
63 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/22(金) 19:05:28.93 ID:Du4XMlAW0
加蓮「私たちがお世話になってる人。まあ、ゾーニング現象が起きたときの……ね?」
ありす「……コホンッ」
美嘉「あっ、あわわわわわわ……!」ガクガクブルブル
奏「ああ……そういうことね」
ナオ「おいおい、あまり脅かすなよ」
加蓮「ゴメンゴメン。ふふっ、でも今のヴァルキュリアシステムなら早々お世話になることはないと思うから、心配しなくていいよ」
周子「いやめっちゃ心配だけど……」
ナオ「ていうか、Pさんのこと話してなかったのか?」
ありす「話すとまたややこしくなりそうなので、別の機会の時でいいかと思っていたんです。さて、話が脱線してきたので……」
ありす「各員、現在ホクドウの軍本部から土星圏宙域内での次元振動が観測されています」
ありす「少し前から圏内での観測はされていましたが、今回は久しぶりに次元断層まで発展する規模の振動となります」
ナオ「つまり、土星圏に設置した干渉装置の効果をすり抜けて来たってことか」
ありす「そうです。残念ながら……とはいえ、そういった事態が起こることも想定されていました」
64 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/22(金) 19:07:07.32 ID:Du4XMlAW0
ありす「本艦はこれより3時間後に出航、提示されている指定宙域ポイントまで移動し次元断層の発生を確認後、空間転移されてくる対象に対して対応を取ります」
ありす「ビー種であれば本部に連絡後、識別信号及び広域電波伝達式の対話プログラムを用いて受入れ、G型及びGS型であれば迎撃を行います」
ありす「また、戦闘中に圏外観測されている超空間転移……次元跳躍現象の発生を確認した場合は、NGFの跳躍テストを兼ねた追跡行動に作戦を移行させます」
ありす「こちらについては事前に説明した通り、ナシヤマでの稼働テストとニュージェネレーション隊による運用テストを引き継ぐ形で実施します」
ありす「次元跳躍後は正規の手順を踏めば元の場所に戻れますので、マニュアルには再度目を通しておくように」
奏「了解です。跳躍テストが一番怖いわね……」
周子「他所の場所に行って帰ってこれないとかになったら、遭難だもんねー……」
ありす「ニュージェネの3人は慣れてからは楽しそうにテストやってましたけどね。それではこれより出航準備に入ります」
ありす「各自事前展開している作業を済ませておいてください。整備班の作業終了後に出航します」
……
…………
65 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/22(金) 19:12:43.88 ID:Du4XMlAW0
――数時間後、土星圏宙域、フレイヤU(通路)
奏「ごめんなさい、少尉……じゃなかったわね。ナオ、作業手伝ってもらってありがとう」
ナオ「来たばかりだと、まだ慣れないだろ? フレイヤはブリッジメンバーが少ないから機材の移動もこっちでやらないと回らないしな」
奏「ホント、最初に聞いたときはとんでもない場所に来たと思ったけれど……本当に覚えることが多いわ」
ナオ「ノルンにいると前線任務だけやってればよかったからなー。あたしも、しばらくフレイヤにいたら裏方作業も覚えちゃったよ」
奏「そうね……そうだ、この後時間あるかしら? 今はブリッジの作業、美嘉と周子がやっているから早めに食事にしない?」
ナオ「ああ悪い、ポイントに向かう前にそうしておきたいんだけど、ちょっと整備長に頼んでた作業があってさ……コックピットブロックの換装、終わった後の再設定しなきゃならなくて」
奏「あら、それなら仕方がないわね。それじゃあ一人で寂しく食事にしておこうかしら」
ナオ「そ、そういわれると何だか気が引けるな……」
奏「ふふっ、冗談よ。それじゃあ後でね」
……
…………
66 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/22(金) 19:13:52.46 ID:Du4XMlAW0
――フレイヤU(格納庫)
ナオ「ん、あれは……」
加蓮「……」
ナオ「加蓮、何やってんだ、こんなところで」フワッ
加蓮「あ、ナオ……ううん。何でもない」
ナオ「……3N-SDか」
加蓮「うん。定期メンテでコンテナから出してたんだって。フレイヤにいると、見に行きたくなっちゃってさ」
ナオ「そっか」
加蓮「この機体がここにあると、奈緒が私たちを見守ってくれているような気がして……もしかしたら、実は奈緒がまだ3N-SDに乗ってて、いきなり出てくるんじゃないかなって思って」
ナオ「みんな、この機体はお守りだって言ってるからなあ……アイツは、帰ったよ。自分のいるべき場所に」
67 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/22(金) 19:14:48.31 ID:Du4XMlAW0
加蓮「うん。さよならも言わせてくれなかったのは、ちょっとズルいけど……奈緒、元の世界でアイドルやってるのかな?」
ナオ「アイドル、やりたがっていたからな。アイツはNGFに乗って戦場に出るより、マイクを持ってステージに出るのが正しいんだから」
加蓮「ねえ、ナオ」
ナオ「なんだ?」
加蓮「ナオは、ずっと私の傍にいてくれる?」
ナオ「……何の為に、あたしが戻ってきたと思ってるんだよ。恥ずかしいし、わざわざ聞かなくてもいいだろ?」
加蓮「ふふっ、分かってる。だけど、言葉が欲しいから……言葉があると、もっと安心できる」
ナオ「……はぁ、このっ、このっ! 甘えん坊め、そんなんだと奈緒が安心できないだろ?」
加蓮「あんっ、もう……それもそっか。あ、そういえば奈緒にとっては私たちの世界はエロゲーの世界だから……もしかしたら私たちの様子、本当に見ていたりして……」
ナオ「え」
68 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/22(金) 19:16:47.05 ID:Du4XMlAW0
加蓮「だってそうでしょ? 奈緒って元々は私たちの様子は見れてたみたいだし」
ナオ「ははは、そんなまさか……いや待て、あたしも向こうに行ったときにプレイしたぞ……てことは、まだあの通信端末が繋がってるならその可能性も……」
加蓮「それじゃあ、私とナオがPさんにお願いして3Pしてもらった時の様子も見られてるってこと……かな?」
ナオ「う……うわああああああ!? そ、そんな……まさか、ア、アイツから見たらあたしも、エ、エロゲーのキャラみたいに……!」
加蓮「だってナオ、私がPさんとセックスしたときも見てたんでしょ? それならナオがPさんとセックスしているときだって……」
ナオ「あ……あ、あ……ああ、あああああああ嘘だ、嘘だそんなああああああああ!!!!」
整備長「お前らさっきから何騒いでんだよ」フワッ
加蓮「あ、整備長」
ナオ「これが騒がずにいられないだろ! あたしがPさんとセックスしてるの、奈緒に見られてるかもしれないんだぞ!? 自分にセックスしているところ見られるなんてどんな羞恥プレイだよ!」
整備長「今更過ぎるだろお前……んなことより、ほれ、コックピットブロックの換装終わったから再設定しといてくれよ」
ナオ「あ、わ、悪い……ありがとう。ヴァルキュリアシステムの入れ替え……これで、大分良くなったのかな」
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