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鞠莉(16)「留学してそろそろ半年ね……」
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以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/16(土) 12:23:32.42 ID:nZJI/gt30
かじかむ指で、マフラーを鼻まであげる。
2月のニューヨークは身体の奥から雪が降るような寒さだった。
鞠莉「帰ったらレポートね……」
課題を脳内で数え上げ、すりすりと凍った道を歩く。
すぐ傍らを、やたらと薄着をした集団が通り過ぎていった。
明日から週末だ。ダウンにホットパンツというアンバランスな風体で、裏通りのクラブにでも繰り出すのだろう。
鞠莉「全然 traditional なんかじゃないじゃない」
州立だけれど歴史ある学校だから、そう言う父に連れられて、秋に州のハイスクールに留学した。
もともと英会話に支障はない。授業には問題なくついていけた。
むしろ問題がなさすぎたくらいだ。
鞠莉「あーあ、なんだかつまんない……3人で温泉にでも行きたい気分だわ」
叶わない願いに、課題入りのバッグがどしりと重くなった気がした。
なんてことはない。こんな課題、すぐに片をつけられる。
週明けに発表して、先生に褒められて、「高慢ちきなアジア人」と噂をされる。それだけだ。
構っている暇はない。親から送られてくる教材のほうがよっぽど手ごわいのだ。
校内の木陰で小難しい本を読んでいれば十分。
この数か月、ずっとそうやって過ごしてきた。
コツコツと、決まったペースで足を運ぶ。
鞠莉「果南に手紙を書こうかしら」
それはいい。ふと思いついた名案に足が軽くなり、また止まった。
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