エレン「結婚しよう!」

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85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 08:36:29.12 ID:6MQO8edp0
アルミン「エレンと並ぶ重要人物を削いじゃだめだよ……」

エレン「重要人物じゃなくても削いじゃだめだろ」

アルミン「あはは…………でもミカサも変わったね。きっと昔ならそんなこと言わなかった」

ミカサ「…………私も成長した」

アルミン「うん。最初は警告しに行くって言ってクリスタ……じゃなくてヒストリアといっしょに訓練をはじめたんだよね」

エレン「え! そうだったのか」
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 08:37:15.32 ID:6MQO8edp0
ミカサ「そう。でも最初だけ」

エレン「最初だけ?」

ミカサ「最初は……本当に警告のつもりだった。エレンは私の家族だから近づいてほしくないと言った。けど、それなら私と友達になりたいって……」

アルミン「なんだか……らしいね」

エレン「そんなこと言ったのかよ……」

ミカサ「ごめんなさい。でもエレンが奪われたみたいで嫌だった」

エレン「……それで?」
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 08:38:30.75 ID:6MQO8edp0
ミカサ「そこから徐々に仲良くなった。ヒストリアのことが嫌いになれなくなった。だから……エレンといっしょになっても、エレンが幸せならそれでいいと思えるようになった」

エレン「お前はお母さんかよ……」

アルミン「でも、それでいいの? 君は……」

ミカサ「いい。エレンと私が家族という事実は変わらない。それにヒストリアが加わるだけ。もちろんアルミンも家族みたいなもの。みんないっしょ」

アルミン「はははは。そうか……うん。いい考えだね」

ミカサ「なのにヒストリアは!」ゴゴゴゴ

アルミン「あはは……でも、そうなるとエレンとヒストリアを仲直りさせなくちゃいけない。難しいね」
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 08:39:33.08 ID:6MQO8edp0
ミカサ「何か手はないの? エレンがかわいそう……」

アルミン「うーん……そもそもヒストリアはエレンの気持ちを疑ってる。さっきの僕みたいにね。だからその気持ちが本物だと証明すればいいと思うんだけど……どうすればそんなことできるのか、僕には見当もつかない」

ミカサ「そう……」

アルミン「エレンはどうしたい?」

エレン「オレは……ヒストリアが幸せならそれでいい。そのためにできるだけのことをするしかないだろ」

ミカサ「エレン……」

ジャン「おいお前ら下に集まれ。団長からの指示が来た!」
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 08:41:18.96 ID:6MQO8edp0


――

ねえお姉ちゃん

なあに?

お姉ちゃんはどうして私と遊んでくれるの?

え?

おじいちゃんも、おばあちゃんも、お母さんも、私といっしょにいたくないのに

……

どうしてお姉ちゃんは私といてくれるの?

そんなの決まってる。私はあなたのことが――

――

90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 08:43:09.29 ID:6MQO8edp0
どこかの隠れ部屋

ヒストリア「んあ……?」

エレン「え? どうした?」

ヒストリア「別に……」

エレン「……」

ヒストリア「あなたこそどうしたの……」

エレン「何がだ」

ヒストリア「うつ伏せでベッドに倒れ込んだまま、よく器用に喋れるね」
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 08:44:29.33 ID:6MQO8edp0
エレン「暴走して寝てるヒストリアをたたき起こすわけにはいかないからな」

ヒストリア「なら暴走しなければいいのに」

エレン「努力したんだけどな……」

ヒストリア「あっそ……」

エレン「それで、何かあったのか? この状態じゃ何が起きてるのかわからなくてな」

ヒストリア「何でもない……寝て、起きただけ……何か大事な夢見てた気がするけど……あなたのせいで忘れちゃった」

エレン「そうか……悪いな。でもオレもよくあるぞそれ」
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 08:45:30.56 ID:6MQO8edp0
ヒストリア「ねえ……その状態で話されると落ち着かないから、せめて起きてくれない?」

エレン「そうだな……じゃあ目をつむったまま……」

ヒストリア「嫌いって言ってあげるから、こっち見てもいいよ」

エレン「けっこう堪えるんだけどな……」ガバッ

ヒストリア「大嫌い……」

エレン「……」

ヒストリア「……」

エレン「悪いな……」
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 08:47:11.48 ID:6MQO8edp0
ヒストリア「最近あやまってばっかりだね……何にあやまってるの」

エレン「色々な……ユミルについてもそうだし」

ヒストリア「ユミル?」

エレン「ユミルを助けたいんだろ。オレが硬質化できないせいでそれも遠のいてる」

ヒストリア「助ける……助けるっていうのはもう違う気がしてる……」

エレン「でも壁の上で……」

ヒストリア「あの時はそう言った……でもユミルは……自分で自分の生き方を選択した。だから私がそれを止める権利はない。ただ私から離れた……それだけ」

エレン「なら、どうしたいんだ?」

ヒストリア「わからない……」
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 08:48:06.35 ID:6MQO8edp0
エレン「うーん……」

ヒストリア「ねえ、私のことまだ好きなの?」

エレン「好きだ」

ヒストリア「そう……失望したりしないんだね……」

エレン「失望? するわけないだろ?」

ヒストリア「エレンはそうだろうね……みんなは……」

エレン「他のみんなはしてると思うのか?」
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 08:48:44.84 ID:6MQO8edp0
ヒストリア「してるよ。みんなが好きなクリスタなんてどこにもいなくて、いるのは親からも誰からも愛されたことのない私だけ。この世界じゃ珍しくもない、いっぱいいる望まれない子の一人。クリスタとは対象的な本当の私に、みんながっかりしてるはず……」

エレン「……」

ヒストリア「……」

エレン「本当の……」

ヒストリア「……?」

エレン「本当の私ってなんだ? なんで本当のお前なら、みんながっかりするんだよ」
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 08:50:31.48 ID:6MQO8edp0
ヒストリア「本当の私は……今の私。優しくもないし、何も好きじゃない、何がしたいのかもわからない、からっぽな私……だから……」

エレン「お前はからっぽなんかじゃない」

ヒストリア「いいよ……そんなこと言わなくても」

エレン「なぐさめじゃない。本当にそう思ってる。今のヒストリアは……オレにはただ落ち込んでるだけにしか見えねえ」

ヒストリア「……」

エレン「もしヒストリアがからっぽなら、壁の上で必死にユミルを助けてくれって言ってた気持ちは嘘だったのか? 違うだろ。お前は本当にユミルを助けたいと思ってた」

ヒストリア「でも今は……」

エレン「今は今だろ。ユミルがいなくなったのを冷静に見つめて、落ち込んでるだけだ」

ヒストリア「……」
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 08:52:00.22 ID:6MQO8edp0
エレン「お前は……普通のやつだよ……」

ヒストリア「普通……?」

エレン「ああ。友達がいなくなって落ち込むなんて普通のことだろ。それで思わす助けたいって言うのも普通だ」

ヒストリア「……」

エレン「今のヒストリアが本当のヒストリアだって言うけど、それは違うと思うぞ。ユミルが行っちまって悪態をついてたお前も、助けたがってたお前も、落ち込んでるお前も、全部ヒストリアで、全部本当の気持ちだろ」

ヒストリア「そうかもね……でも、みんなに好かれてたクリスタは違う。あれは偽りの……」

エレン「クリスタだってお前だよ」
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 08:53:46.55 ID:6MQO8edp0
ヒストリア「何でそんなこと言えるのよ……」

エレン「オレはお前が好きだからな。人に好かれようとしてたお前も、そうじゃないお前も、どんな状態のお前も、オレは全部ひっくるめて好きなんだ。それはクリスタのお前も、今のお前も、どっちもヒストリアで、どっちもかわいいからだ」

ヒストリア「…………エレンはすごいね。そんなふうに考えられるんだ。私は無理……クリスタが私とは思えない。ユミルもそうだった、私がクリスタを演じてるとき、ときどき悪態をついてた」

エレン「ユミルが?」

ヒストリア「ユミルは……いいことしようとする私を止めようとしてた……クリスタを嫌がった。優しさが嘘だって気づいてた……」

エレン「……それは違う」
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 08:56:22.45 ID:6MQO8edp0
ヒストリア「ユミルのことだよ。エレンにはわからない」

エレン「けどユミルがヒストリア自身を嫌がるなんてありえると思うか? ユミルが嫌がることなんて、決まってるだろ。ヒストリア、お前が傷つくことだ」

ヒストリア「あ……」

エレン「ヒストリアがいいことしようとして、自分を犠牲にしてると思ったから嫌がったんだと思うぞ。だいたい、あいつはよくヒストリアに結婚しよとかなんとか言ってただろ。優しさのカケラもないやつに、そんなこと言うやつなのかユミルは」

ヒストリア「違う…………そっか忘れてた……ユミルはずっと単純だった。私、ユミルですら信じられなくなってた……」

エレン「それくらい落ち込んでるんだろ」

ヒストリア「どうして……どうしてエレンは、私のことも、ユミルのことも……そんなにわかるの……?」

エレン「決まってるだろ、そんなの。オレもユミルも、ヒストリアのことが――」
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 08:57:26.06 ID:6MQO8edp0


――




大好きだからね――!




――

101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 09:09:17.96 ID:6MQO8edp0
レイス領礼拝堂地下

ヒストリア「っ!」

ロッド「どうしたヒストリア」

ヒストリア「そうだ……何で、忘れてたんだろう……私にはあのお姉さんがいた……」

ロッド「お姉さん……?」

ヒストリア「今、お父さんといっしょにエレンに触れたときまで、何も覚えていなかった……私に本を、読み書きを教えてくれたあの人を忘れるなんて……」

ロッド「ヒストリア……フリーダと会っていたのか」

ヒストリア「フリーダ……?」

エレン「ん〜! ん〜!」ガチャガチャ
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 09:10:35.92 ID:6MQO8edp0
――



ケニー「オイオイ、オイオイ……じゃあ俺が巨人になってエレンを食っても意味ないのかよ……」

ヒストリア(フリーダ姉さんは殺された……エレンのお父さんに……)

ロッド「そうだが?」

ヒストリア(そして姉さんから奪った力がエレンの中にあって……)

ケニー「――!」

ヒストリア(レイス家である私がその力を継げば、全てが解決する……)

ロッド「――!」

ヒストリア(でも、そのためにはエレンを……)

エレン「んー! んんんー!」バタバタ
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 09:11:57.43 ID:6MQO8edp0
ロッド「ぐぅっ」

ヒストリア「! お父さん!」

ケニー「よくも俺を散々翻弄し、利用してくれたな……」

ヒストリア「やめろ! 父を離せ!」ガシッ

ケニー「ああ……お前は哀れだなヒストリア」バッ

ヒストリア「!」

ケニー「あそこまで聞けばわかっただろ。このオヤジはお前を化け物に変えて、エレンを食わせようとしてんだとよ」

ヒストリア「……! エレン……」
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 09:14:36.69 ID:6MQO8edp0
ケニー「こんなオヤジ庇うこたねえんだよ」

ヒストリア「でも……それが私の使命でしょ!」

ケニー「使命ねえ。お友達を食って腹を壊してもそれが使命だって?」

ヒストリア「エレンを食べるなんて嫌だけど……人類の平和のため……私にしかできないこと……!」

ケニー「どうだかなヒストリア。こいつだってレイス家だ。お前じゃなくてこいつがエレンを食べる選択肢だってあるはずだろ。お前を求めたのは何故だ。突然父性に目覚めたからか? 違う! こいつはお前を利用することしか考えてねえのさ」

ヒストリア「関係ない!」

ケニー「あ?」

ヒストリア「私は人類を救う! 世界の歴史を継承し、フリーダ姉さんも、エレンも、私の中で生きる! 使命をまっとうして、エレンの意志を継ぐ! そして一匹残らず巨人を駆逐してやる!」
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 09:15:56.38 ID:6MQO8edp0
ケニー「…………つまんねえな」パッ

ロッド「がっ!」ドサッ

ヒストリア「お父さん!」

ロッド「ゲホッ……ま、待て。何をする気だケニー……」

ケニー「巨人になればいい。邪魔しねえよ」スタスタ

エレン「んんー!」

ケニー「おいおい暴れんなエレン。今解いてやる」

エレン「カハッ! ゲホッ、ゲホッ!」

ケニー「切り込み入れといてやるよ」スー

ロッド「なっ!」
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 09:17:52.47 ID:6MQO8edp0
ケニー「お互い巨人になって殺し合う。ヒストリアが勝てば平和、エレンに負ければ状況は変わらねえ。そら、よーいドンだ」

ロッド「ヒストリア!!」

ヒストリア「……!」

ロッド「この注射なら強力な巨人になれる! 大丈夫だ。最も戦いに向いた巨人を選んだ!」

ケニー「おっと離れないとな」シュー

エレン「ゲホッ!」オエッ

ロッド「さあ急げ! ヒストリ――!」
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 09:18:52.36 ID:6MQO8edp0
エレン「ちょっと待って!!」

シーン

ヒストリア「え、エレン……?」

エレン「あ、止まってくれた? 危なかったぁ……」

ロッド「ひ、ヒストリア!」

エレン「久しぶりだねヒストリア。それにお父さんも……」
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 09:21:23.36 ID:6MQO8edp0
ヒストリア「あ……え…………フリーダ……姉さん……?」

エレン「そうだよ……ヒストリア」

ロッド「なっ! バカな……」

エレン「バカな、じゃないでしょお父さん。私怒ってるんだよ? 初代王の思想のこと、ヒストリアにちゃんと全て話さないで巨人にさせようとするなんて……」

ヒストリア「本当に、本当にフリーダ姉さんなの……!」

エレン「本当だよ。思い出話でもする? ほら、いっしょに本読んだりとかしたこと」

ロッド「……」

エレン「お父さんも思い出話する? ヒストリアがバレたときの修羅場とか……」

ロッド「こんなことが……」
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 09:22:55.14 ID:6MQO8edp0
ヒストリア「姉さん……いつから……」

エレン「ついさっき。二人が触れてくれた瞬間から、この体を支配できた。でも、拘束されてて……というより今もされてるんだけど……」

ヒストリア「し、支配?」

エレン「お父さん。これ解いてくれない? あと拭くものある? 血が目に入っちゃって……」

ロッド「だ、だが……」
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 09:24:58.62 ID:6MQO8edp0
エレン「言ってるでしょ。私は正真正銘フリーダ・レイス。この場所の構造も知ってるんだから。はやくしないと、巨人化してそのままにげちゃうよ?」

ロッド「わ、わかった……今解く……」



ロッド「解いたぞ……」ガチャン

エレン「ふー……頭痛いなあもう……」シュウウウ

ロッド「本当にフリーダなんだな?」

エレン「うん」

ロッド「では、どういうことか説明してくれるか?」

ヒストリア「……」
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 09:27:33.31 ID:6MQO8edp0
エレン「簡単な話だよ。初代王を真似て、私はあの男に食われる直前に、私が継承されるようにしたの」

ロッド「……」

エレン「初代王ほど完璧じゃないから、ヒストリアっていう基点が必要だったし、私が完全に目覚めるまでに、この場所や、お父さんの力も必要になっちゃったけど……」

ロッド「……」

エレン「お母さんやみんなは、殺されたんだよね……?」

ロッド「ああ……」

エレン「うん……でもお父さんが生きていてよかった。それに、ヒストリアは狙われないだろうって考えも当たってたみたいだし」

ヒストリア「ちょ、ちょっと待ってよ!」
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 09:29:10.07 ID:6MQO8edp0
エレン「どうしたのヒストリア?」

ヒストリア「っ! え、エレンは? エレンはどうなってるの! 支配とか言ってたのは……」

エレン「元の持ち主は……もういない。彼はもはやただこの体の記憶でしかない……」

ヒストリア「そんな……」

エレン「仲良かったの? ちょっと記憶を覗いてみるね……」

ヒストリア「……」

エレン「あー……これは……」

ヒストリア「姉さん……?」
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 09:30:31.70 ID:6MQO8edp0
エレン「ヒストリア。この男のことは気にすることないよ。好きだっていうのは嘘の感情だろうから」

ヒストリア「!」

エレン「というより私の感情って言ったほうが正しいかな。私が目覚めるにはあなたに近づく必要がある。彼の感情は、そのために私のヒストリアへの愛情を基に作り出されたもの。こんな形で出るとは思わなかったけど……単純な人だったんだね」

ヒストリア「……」

ロッド「どういうことだ。何の話だ?」
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 09:31:41.59 ID:6MQO8edp0
エレン「別に。目覚めるまでにちょっと弊害があったってだけ。それよりもお父さんはヒストリアに謝らなくちゃでしょ」

ロッド「謝る……?」

エレン「そう。初代王のこと。ヒストリア、聞いて」

ヒストリア「何……」

エレン「ほらお父さん」

ロッド「あ、ああ……」

ヒストリア「……」
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 09:33:04.85 ID:6MQO8edp0
ロッド「ヒストリア。王家が始祖の巨人を継承したとき、世界の記憶と共に初代王の思想を受け継ぐ。だが初代王は、人類が巨人に支配される世界を望み、それが平和だと信じている。だから……」

エレン「人類を救うことはできない。そうでしょ?」

ロッド「そうだ。説明が足りなくて悪かった……しかし、これが王家であるレイス家にかせられた使命だ。他に方法はないんだ。ヒストリア、自分の姉を食らうことは辛いことだが、それをレイス家は何代も続けてきた。フリーダ、せっかく目覚めたとしても、お前は食われなければならない……」

エレン「どうして?」

ロッド「それが我々にかせられた使命だからだ。そして私はこの世に神を呼び戻し祈りを捧げる使命がある……」

エレン「じゃあ、その使命やめよう!」

ロッド「何?」
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 09:34:59.45 ID:6MQO8edp0
エレン「そんなの放っておいたって、なんの不都合もないでしょ? お父さんが納得すればそれで済む話じゃない」

ロッド「いや……そう簡単ではない。事情を知るものは黙ってないだろう。現に今、兵士が寝返り王政に牙をむいている。始祖の力が必要だ」

エレン「じゃあ逃げちゃおうよ」

ロッド「フリーダ……」

エレン「裕福な暮らしはできないだろうけど、どこかに隠れてさ、三人で暮らそう? ね?」

ロッド「そんなことは……」

エレン「ヒストリアもそう思うでしょ?」
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 09:37:54.69 ID:6MQO8edp0
ロッド「ヒストリア、この注射を打て。それしか方法はないんだ。我々は世界に生き、世界に生かされている。フリーダと戦え! 我々の使命をまっとうするんだ!」

エレン「だめだよヒストリア。それじゃあヒストリアは幸せになれない。人類を救うこともできない。私ともお別れになる。そんなのいやでしょ? 家族三人で暮らそう?」

ヒストリア「……」

ロッド「ヒストリア!」

エレン「ヒストリア」

ヒストリア「…………二人を選ぶことなんてできない……」

エレン「どうして……」

ロッド「ヒストリア、今にも兵団がこちらに向かってきている。時間は残されていない……」
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 09:39:42.45 ID:6MQO8edp0
ヒストリア「お父さん。フリーダ姉さん。聞いて。私にはね、色んな私があるの」

エレン「ヒストリア?」

ヒストリア「レイス家としての使命を大事にしたい私もいるし、ヒストリアとして二人と暮らしたい私もいる。どっちも本当の私なの」

ロッド「……」

ヒストリア「私、二人のことが大好き。二人を大切にしたいって本当に思ってる。だって私は、お父さんの子供で、姉さんの妹だから……」

エレン「ヒストリア……」

ヒストリア「でもね――それと同時に、私は兵士でもあるの」スクッ
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 09:40:35.42 ID:6MQO8edp0
エレン「え?」

ロッド「ヒスト――かはっ!」

エレン「お、お父さん!」

ロッド「うう……! 鞄を……返……」

ヒストリア「ごめんねお父さん。落ちて」ガッ

ロッド「うわああああ!」

ドンッ パリーン

エレン「お父さん! あうっ!」ドサッ
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 09:42:18.06 ID:6MQO8edp0
ヒストリア「フリーダ姉さん。消えてくれない?」

エレン「痛いよヒストリア……乗っからないで。どいて。お父さんが……」

ヒストリア「消えて」バキッ

エレン「ぐっ、痛いよ……どうしてヒストリア……」

ケニー「ハハハッ、黙ってみてたら、面白いことになったな」

ヒストリア「……」ギロッ

ケニー「おお、怖え怖え。邪魔なんかしねえよ」
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 09:44:02.75 ID:6MQO8edp0
エレン「おねがいヒストリア。考え直して。お父さんが怪我してる……」

ヒストリア「拘束しやすくていいでしょ」バキッ

エレン「痛い! 痛いってば!」

ヒストリア「出ていって姉さん。エレンから出ていって」

エレン「どうして……どうしてよ! ヒストリア、ずっと寂しい思いしてたでしょ!」

ヒストリア「嫌い! 嫌い!」ガンッ

エレン「私たちといっしょに暮らそう!」
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 09:45:40.17 ID:6MQO8edp0
ヒストリア「エレン! 出てきて! 逃げるよ!」ドカッ

エレン「またいっしょに本を読んだり、馬に乗ったり……」

ヒストリア「巨人を駆逐するんでしょ! こんなところで終わっていいの!?」バキッ

エレン「私、まだまだやりたいことがたくさんあるの!」

ヒストリア「起きろ! 起きろ! エレン! 結婚してあげるから!」ドカッ

エレン「ヒストリア! 無視しないで! 私を見て!」

ヒストリア「エレン! エレン!!」バキッ

エレン「いやだ! いやだ! いやだ! 死にたくない! 消えたくない! お父さん! お母さん!」

ヒストリア「エレン!!!」ドカッ
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 09:46:49.69 ID:6MQO8edp0
エレン「…………」

ヒストリア「エレ――」

エレン「痛えよ……ヒストリア……」

ヒストリア「!」

エレン「ああ……なんでなんだよヒストリア……オレはもういいのに……親父は、お前の……」
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 09:47:39.23 ID:6MQO8edp0
ヒストリア「うるさい!」バキッ

エレン「うがっ……!」

ヒストリア「泣き言なら後でいくらでも聞いてあげる。そして全部受け止めてあげる! だから今は逃げ――」

ドーーン!

ヒストリア「なっ!」

エレン「っ! ヒストリア、危ねえ!」ギュッ

ヒストリア(! エレン……)
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 09:48:47.00 ID:6MQO8edp0
――



牧場孤児院

エレン「……」

ヒストリア「エレン、ここにいたのね」

エレン「ヒストリア……」

ヒストリア「荷物はもう運んでくれた?」

エレン「全部やったよ」
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 09:49:59.44 ID:6MQO8edp0
ヒストリア「そう……」

エレン「……」ジー

ヒストリア「……? どうしたの? じろじろ見て」

エレン「……いや、何でもない」

ヒストリア「ふーん……でも不思議だね。あれから二ヶ月近く経つのに全然慣れないや。やっぱりフリーダ姉さんが消えたのは間違いなさそうだね」
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 09:50:46.19 ID:6MQO8edp0
エレン「……なあ、本当によかったのか……?」

ヒストリア「もう、また言ってるの?」

エレン「結果的にお前が二人を……」

ヒストリア「私が決めたことだからね。後悔はしてない。エレンが気に病むことじゃないでしょ」

エレン「お前は立派だな……オレは……」

ヒストリア「エレンだって立派だよ。お父さんを倒せたのもエレンがいたからだよ」
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 09:52:19.69 ID:6MQO8edp0
エレン「…………なあ、ヒストリア」

ヒストリア「……何? エレン」

エレン「オレを起こしてる時……結婚してあげるって言ったの、覚えてるか?」

ヒストリア「……うん」

エレン「あれ……まだ有効か?」

ヒストリア「……」

エレン「……」
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 09:53:05.76 ID:6MQO8edp0
ヒストリア「どうだろうね……私はもう女王だから、結婚するならその地位にふさわしい人でないといけないと思う」

エレン「そうか……」

ヒストリア「ウォール・マリアの穴を塞いだ英雄、とかね?」

エレン「!」

ヒストリア「だから……」ギュッ
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 09:54:02.73 ID:6MQO8edp0
エレン「あ……」

ヒストリア「絶対無事に、帰ってきてね……」

エレン「…………ああ。ありがとうヒストリア。必ず帰ってくる」ギュッ

ヒストリア「……」

エレン「オレと――」
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/16(土) 09:54:45.46 ID:6MQO8edp0
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/16(土) 17:19:13.04 ID:m14XvU8Yo
おつ
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/17(日) 00:10:30.22 ID:xdiFZX72o
おつおつ
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/02/22(月) 01:24:56.63 ID:ASEM+MLMo
結婚してくれ…頼む…
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