曜「会いたいよ……千歌ちゃん」

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382 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 00:58:57.59 ID:vlpX5WjlO
千歌「あのね、佐原君」

佐原「……高海さん」


千歌「私、思い知ったんだよ」

千歌「嫌われることから逃げ続けても、何にもならない。何にも解決しない」


千歌「だから私は、一歩踏み出すことにしたんだ」


千歌「確かに私たちは間違ったことをしたよ」

千歌「私は、大切な幼馴染みを傷つけた。貴方は、決して許されないことをした」

千歌「でも……そこで立ち止ってたら、何もできない。何も始まらない」

千歌「何もしなかったら、いつまでも0のままなんだよ」


千歌「だからさ、やり直そうよ」


千歌「進む方向が間違っていたなら、最初に戻って、また1から歩き出せばいい」



千歌「こんなことはもう、終わりにしようよ」
383 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 01:31:48.28 ID:vlpX5WjlO
―――


新幹線車内


梨子「……」ムスッ

曜「もう、梨子ちゃーん……機嫌なおしてよぉ」アセアセ

千歌「ど……どうしたの? 梨子ちゃん」


曜「いや、その……梨子ちゃん、最初は一人で内浦に帰る予定で」

梨子「曜ちゃん? 言ったらどうなるか分かるわよね?」

曜「はっ、はい……了解であります」ケイレイ


梨子「あんな感動的なやり取りのあとに……これ?」

曜「うぅ……不可抗力だよ、許してぇ……」


千歌「結局、みんな一緒に帰ることになったね」アハハ

ダイヤ「私は、今回の件で内浦に一度帰ることになったのですが……どうして善子さんもいらっしゃるのですか」

善子「ヨハネヨ……だって、リリーが帰るって言うんだもの」

梨子「あら。リトルデーモンがいないと、ヨハネ様は寂しいのかしら?」

善子「そこ、からかってんじゃないわよ!」

ダイヤ「鞠莉さんも、今夜辺り内浦へ到着する予定とのことです」

千歌「流石にフットワーク軽いね、鞠莉ちゃん」
384 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 01:33:03.54 ID:vlpX5WjlO
―――




佐原父「君が渡辺さんだね」

曜「あ、はい……ってちょ……!」

佐原父「本当に申し訳なかった」

曜「やめてくだいよ、土下座なんて……顔を上げてください」


佐原父「この封筒に、35万全額入っている。君が盗まれた金額で間違いないかい?」

曜「ええ。あの、受け取っていいんですか?」

佐原父「もしも足りないというのなら、いくらだって用意する」

曜「いや……やめてください。このお金だけで、十分ですから」


佐原父「のちに裁判が始まると思う。そうなったらまた、君たちに迷惑をかけるかもしれない」

曜「いえ、そんな……」

梨子「あの、佐原さん」

佐原父「なんだい」

梨子「貴方は、その……失礼ですが、離婚されていますよね」

佐原父「ああ」

梨子「どうして彼……誠君の罪を、貴方が?」

佐原父「あんな女に育てられていても、俺の子供だからな」

梨子「そうですか……」
385 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 01:33:30.31 ID:vlpX5WjlO
佐原父「君たちにとって、誠は犯罪者でしかない。そして俺は、君たち被害者から憎まれるべき立場の人間だ。こうしてまともに話せているのが奇跡的なくらいに」

千歌「いえ、気にしないでください」

佐原父「一歩間違えたら、取り返しのつかないことになっていたかもしれない……改めて、本当に申し訳なかった」ペコッ


佐原父「だが……君たちは、あいつの同級生だったと聞いている」

佐原父「もしも、あの馬鹿にまだ救いようがあると思うのなら……ぜひ協力してほしい」


千歌「それは……」チラッ

曜「いいかな、千歌ちゃん、梨子ちゃん」

千歌「……うん」

梨子「ええ」



曜「元クラスメイトとして、ちゃんと罪を償ってほしいという気持ちは、私たちにもありますから」

曜「是非、協力させてください」


佐原父「――ありがとう。心から感謝します」


曜「ところで……このお金、本当にいいんですか?」

佐原父「ああ、受け取ってくれ」

曜「でも……」

佐原父「俺は、誠が出直してきて……俺に金を返しに来るのを、待つことにしたんだ」


曜「……そうですか。わかりました」
386 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 01:35:52.65 ID:vlpX5WjlO
―――




千歌「いい人だったね」

梨子「うん。なんか、男らしい人だった」

曜「あの人の下で暮らしていたら……佐原君、あんな風にはならなかったのかな」



果南「おーい」

千歌「あっ、果南ちゃん!」パタパタ

果南「えいっ」ハグ

千歌「わっ……もう、果南ちゃんったら」

果南「千歌、少し背が大きくなった?」

千歌「どうだろ、ヒール履いてるからじゃない?」

曜「ううん、確かにちょっと伸びてるよ」

千歌「……そっか」


善子「リリー、連れてきたわよ」

花丸「久しぶりずら〜」

ルビィ「みなさん、お久しぶりです」


梨子「ありがとう、善子ちゃん。花丸ちゃんとルビィちゃんも、久しぶりね」

曜「わああ、ルビィちゃんすっごく大人っぽくなったね!」

ルビィ「えへへ、そうかなー」

善子「中身は何も変わってないわよ」

花丸「それは善子ちゃんもずら」

善子「うるさいわよずら丸!」ニャー


ダイヤ「鞠莉さんはあと1時間ほどで到着するそうですわ。こうして皆さんが揃うのは、私たちの卒業以来初めてではありませんか?」
387 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 01:36:39.08 ID:vlpX5WjlO
千歌「折角みんな集まったんだからさ! 今から沼津に遊びに行こうよ!」

果南「残念だけど、私は仕事に戻らなきゃ」

千歌「えー!? そんなー!!」

果南「文句言わない。大人になったんでしょ?」

千歌「ぶー……」


ダイヤ「私も、家の者に挨拶をしませんと」

ルビィ「そうだね、お姉ちゃん」


千歌「えぇー……ダイヤさんとルビィちゃんもぉ」

花丸「まると善子ちゃんは大丈夫だよ」

善子「だから、善子じゃ……もういいわよ」

花丸「あれ、ヨハネは?」

善子「いいっつってんじゃない。しつこいわよ」

花丸「へぇー……明日は雨ずらね」

善子「ずら丸っ! からかうんじゃないっ!」


ルビィ「う……うゅ……」


ダイヤ「……ルビィ、行きたいのでしょう」

ルビィ「あ……お姉ちゃん」

ダイヤ「いいんですのよ? 私についてこなくても」

ルビィ「……ううん。私も行かないとね」

ルビィ「だって、ルビィは黒澤家の後継だから」


ダイヤ「……立派になりましたわね」
388 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 01:37:08.52 ID:vlpX5WjlO
花丸「じゃあ、ルビィちゃん。またあとでね!」

善子「がんばルビィよ?」


ルビィ「あ……ありがと、花丸ちゃん! 善子ちゃん!」フフッ


千歌「ふぇぇ……みんなで沼津行きたかった」

曜「仕方ないよ。また夜に会えるから……ね?」

千歌「うぅ……わかった。じゃあ夜にたくさん食べるために、昼は精一杯楽しむぞー!」オーッ

曜「ヨーソロー! 了解でありますっ!」ケイレイッ



梨子「はしゃいでるなぁ……2人とも」クスクス



果南「梨子ちゃんは行かないの?」

梨子「あ、いや……私も行くけど、ただ……」

果南「ただ?」


梨子「えっと……大したことじゃないんだけどね。ちょっと考え事してたんだ」


果南「なあに? 言ってみなよ」
389 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 01:38:28.32 ID:vlpX5WjlO
梨子「……正直、わからないの」

梨子「これから私は、どうすればいいのか」

梨子「どの方向に進めばいいのか」


梨子「実は私、ピアノで行き詰まってたんだ」

梨子「コーチに何を言われたわけでもないんだけど、最近なんだか……気持ちよくピアノが弾けなくて」

梨子「この間東京のコンサートで弾いた時は、ちゃんと弾けたの。曜ちゃんや千歌ちゃんがいてくれたおかげかどうかはわからないけど……でも、それで納得した」

梨子「結局、私の願いは一つだけ。誰でもいい、どんな形でもいい……ずっと傍にいてほしかった。寄り添ってほしかった」


梨子「だから、千歌ちゃんと曜ちゃんが羨ましい」

梨子「あんなことがあったのに……離れ離れになったのに……」

梨子「それでもまた、こうして巡り会えたから」

梨子「きっと、これからも……あの頃みたいに、2人一緒に歩いて行くんだろうなって思って」

梨子「でも私は、向こうに帰ったらまた一人ぼっちで」

梨子「それがなんだか、すっごく寂しいの」
390 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 01:39:06.07 ID:vlpX5WjlO
果南「――ずっと一緒にいたからね。あの2人」


梨子「え?」


果南「千歌と曜は、特別な幼馴染みだから」


梨子「そう……ですね」


果南「私と鞠莉、ダイヤの関係とは、またちょっと違う」

果南「友達以上……恋人以上? みたいな」


梨子「恋人以上ですか」フフッ


果南「だってそうじゃない? 多分お互い、代えられるような人は見つけられないよ」

梨子「そうかも……しれませんね」


果南「……でもね」

果南「梨子ちゃんが心配する必要はないと思うよ?」


梨子「……え?」



果南「……じゃあ私、もう行くから」

梨子「あっ、はい」

果南「元気でね、梨子ちゃん」

梨子「うん……果南さんも」
391 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 01:39:59.57 ID:vlpX5WjlO
梨子(違う。曜ちゃんと千歌ちゃんは、簡単に言葉で説明できるような関係じゃない)

梨子(あの2人の繋がりは、友情だとか、恋愛だとか……そんな上辺だけで語れるようなものじゃない)

梨子(何もかも垣根を超えた……お互いを理解し合って、受け入れて、分かち合って)

梨子(その先にある、他の人には見えない何か)


梨子(きっとそれは私にも見えなくて、届かない)

梨子(欲しくてたまらなくて、手に入れようと足掻いて……そして、とうとう叶わなかったもの)


梨子(羨ましいなあ)


梨子(私は、千歌ちゃんになりたかったのかな?)

梨子(それとも、曜ちゃんに憧れていたのかな?)


梨子(ううん……きっと、どちらも違う)


梨子(――私は、あの中に入りたかったんだ)
392 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 01:40:34.19 ID:vlpX5WjlO
千歌「――梨子ちゃん」


梨子「……千歌ちゃん?」


千歌「おいで?」

梨子「……え?」


曜「梨子ちゃん、一緒に行こう?」

梨子「あ……その……」


梨子「いいの……かな? 私が、一緒にいても……いいのかな?」


千歌「もう、何言ってるの? 梨子ちゃん」

曜「そんなの、当然だよ!」


千歌「だって私たち、約束したでしょ?」

曜「みんなでお願いしたじゃん?」




『――ずっと一緒にいられますように』
393 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 01:41:08.89 ID:vlpX5WjlO
梨子「あ……」




千歌「ほら、早く早く〜!」

曜「急がないと、置いて行っちゃうよ〜!」



梨子「――っ」



梨子「……フフッ」


梨子「待ってよ〜、2人とも〜!」
394 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 01:43:32.61 ID:vlpX5WjlO
……ねえ、梨子ちゃん、千歌ちゃん。

私ね、思うんだ。


――神様が、願いを叶えてくれたんじゃないかって。


だってさ……すっごい偶然だよね。

千歌ちゃんが駆け落ちした相手が、私を詐欺の標的にして。


梨子ちゃんが、本当にたまたまだけど、そんなタイミングで私の家を訪れて。

実は犯人は、善子ちゃんに出会ってて。

ルビィちゃんと花丸ちゃんにとっては、文芸部の先輩で。

彼のお父さんは果南ちゃんのダイビングショップに通いつめてて、仲良くなってて。

鞠莉さんは、そのお母さんと知り合いで。

ダイヤさんは、千歌ちゃんの相談相手になっていた。


本当に不思議だけど……今回、Aqoursのみんなが関わってるんだよ。


神様が叶えてくれたのかな。

あの時、みんなでしたお願いを。
395 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 01:44:00.41 ID:vlpX5WjlO
千歌「……」


曜「……千歌ちゃん?」



千歌「………………ように」



梨子「千歌ちゃーん、みんな待ってるよ?」



千歌「あ、うん!」パタパタ






――見つかりますように。


私たちだけの輝きが、見つかりますように。
396 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 01:44:26.71 ID:vlpX5WjlO
END
397 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/08(月) 10:46:52.55 ID:4uwsL27z0
おつ
398 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/09(火) 22:43:28.46 ID:RKQXSd4bO
寝そべり珍道中 佐世保からの来訪者

http://q2.upup.be/f/r/RwbbH0sigS.jpg

果南「また八戸に来たよ」
海未「今回はこれから岩手の龍泉洞に…」
果南「…のはずだったんだけど、家主さんがたまたま八戸港に停泊する護衛艦を見つけちゃったんだよね…」
海未「予定を変更して、お昼からの一般公開に参加します」

http://q2.upup.be/f/r/a0mvDMf6p6.jpg

海未「この艦は佐世保の護衛艦すずつき。漢字では涼月と表記します」
果南「この名前を貰った艦としては二代目なんだって」

http://q2.upup.be/f/r/NLjDN5BzTD.jpg

海未「先代の涼月は最後の戦いでの佐世保帰還、特に自分達の命と引き換えに艦を救った三人の乗員のエピソードが有名です」
果南「今は北九州市にある軍艦防波堤の一部になっているよ」

http://q2.upup.be/f/r/t4BGawxswZ.jpg

果南「艦橋です。最近の軍艦らしく出っ張りを少なくして、レーダーに写りにくいように工夫されています」
海未「横から見ると何となくモアイ像の頭に似ているね」

http://q2.upup.be/f/r/jv2AXfMdsm.jpg

果南「搭載しているヘリだよ。最大で2機積めるけど、普段積んでいるのは1機だけなんだって」
海未「ヘリの中も公開していて、私達も操縦席に座らせてもらいました」

http://q2.upup.be/f/r/19PTcv2PJE.jpg

果南「見学の後はおすすめされた八食センターで遅めの昼食だよ」
海未「馬刺とホヤの刺身を…って随分なキワモノですね…」
果南「新鮮なホヤは独特の鉄臭い味がほとんどしなくて案外食べやすいんだよ」
海未「そうなのですか…次の機会に試してみましょうか」
399 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/09(火) 22:43:41.25 ID:I6A7pJGFO
ダイヤ「…は?」

果南「…つまり、その場に曜を置いて、逃げ出して来たってこと?」

鞠莉「…」ダラダラ

ダイヤ「で、自分では対処できそうにないから私たちを呼び出した、と」

果南「鞠莉、なに考えてんの?」

鞠莉「…」ダラダラダラ

果南「ええー…」

ダイヤ「はぁ…」
400 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/14(日) 10:27:20.48 ID:aQUYeKGSO

170: ◆PChhdNeYjM[sage]
2017/12/19(火) 16:55:35.42 ID:1hpLlIxwO
>>166
同じssを繰り返し投稿するのは手間がかかりますし本当ならやりたくないんですけどね
ここで更新していると貴方のような荒らしが湧きますから
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1513119160/
401 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/15(月) 04:23:46.26 ID:JNzFfv3tO
周り全てが敵に見えてしまう
402 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/15(月) 07:44:52.64 ID:GiI5rJRaO
速報は最早廃墟同然だな
アンチと基地外しかいねえ
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