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曜「会いたいよ……千歌ちゃん」
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282 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/12/23(土) 04:12:19.12 ID:nHM0PfC+O
スレ汚し失礼します
★★★自治スレより重要なお知らせ★★★
>>2
ラブライブ!板で違反スレの乱立、スクリプトによる保守を目的とした板荒らしに対策するため板設定の変更に関する投票を行います
賛成/反対の投票ですので投票お願いします。
投票日:2017年3月12日
詳しくは
自治スレ、荒らし報告相談 Part.5
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1489154599/
283 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/12/23(土) 04:12:29.32 ID:C+eQnlBnO
\|::::::l:::::::::::l / ̄ ̄`ヽ ` ´ / ̄ ̄`ヽ l:::::::::::|l:::::::::::: | /
\::l:::::::::::| .l:::::::::::|l::::::::::::/
\::::::::|u/// , /// u l::::::::::::|l::::::/
.\:::| |l:::::::::::|l/
/ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ .\ |l::::::::/(( ,," ̄''`ヽ
/ ヽ \ r‐-‐z |l::/ |_!!i_! !i 、l
|_l il>レl_|_レlレ_lレ_| _人__ \  ̄| | // 1^.-^ノ|b|r''´ ̄`ヽ
| iC.| | ∧ ∧ || `Y´ \ | | _. イ.../ r''´ ̄`ヽ l 、f!!!i_i!!」
| | | _ || ∩ \ュ.. _∪‐ ´ | / l 、f!!!i_i!!」 |c1^.-^ノ| ))
| |/ヽ ・ ノ.|| / | \∧∧∧∧/ .|c1^.-^ノ| ( つ )
| ____l ̄ ̄ヽ 、 /  ̄ ̄j<r''´ ̄`ヽ > | ( つ ヽ とノ
/  ̄ヽ ハ / リ<l 、f!!!i_i!!」> 〉 とノ )^(_)
| \ | / /ー―'<|c1^.-^ノ|.> (__ノ⌒(_)
───────────────< の .>────────────────
::::´l:::::::::i:::::/i::::::l:::::::ノリ::::l:::i:::::ヽ .< 予 >. /:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
::/ l:::::::::lヽl ll:::::i:::lノ l::::::レl:::::::l .< 感 > . /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
_ヽ Y 〃 _ l/l:::::::::l /∨∨∨∨.\ /:::::/l_/l__l_l/l_l_l::::l::::::::::l
// `\ ゞ/ / `ヽ .}\|:::::::::l ./"::::::::::::::::::::::::::::"\ lヽ/ ∧ ∧ l<l::::::/
| ノ |::::::|:::::::::: /::: :::::::´´::::::::``::::::::ヽ\ .l/l "" _ """l::::lヽ:::l
l:::::::::∠~ .l:::::::l::::::::://::: ::::::::´`:::::::´ `::::::´`::::ヽ\ l:lヽ ___・________,,l:::l_/:::l
|:::::::::r〜〜‐、ヽ l:::::lへ/. /::::::::::´l::::::i::::/i::::::l::::ノリ::::l:::i::ヽ\ ヽ:::::/ ,ヽ▽_/'l:/`ヽ::l
|:::::::::)jjjjjjjjjjjヽヽ l:::::l/ l::::::::l::/ l::::::lヽl ll::i:lノ l:::レl:::::::l \ /:/ / ./:ヽ / /::::l
|:::::::::|,, || l:/ ll\l  ̄  ̄  ̄ l/l:l \__l,___,l_l,⊂|/::::::::l
!:::: ヽiiiiiiiiiiii// / ll/l / ̄\ / ̄ヽ l\l:l .\/_l_l_l_l_ヽ_ヽ:::/l:::l
ヽ 'ヽ〜〜 / ll::::::l l::::::ll \___l__/
ヽ、_・ ,,,_ ./ l:l:::::l """ __ """ l:::::ll .\:::::/
284 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/12/23(土) 04:12:36.89 ID:d6hEnQwOO
/ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
/ ヽ
|_l il>レl_|_レlレ_lレ_|
| iC.| | ∧ ∧ ||
| | | _ || このスレにティッシュ置いていきますわ
| |/ヽ ・ ノ.||
| / \
|/ \
/ ::::i ヽ
| | :::;;l |
 ̄_|,..i'"':, ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|\`、: i'、
.\\`_',..-i スッ...
.\|_,..-┘
285 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/12/23(土) 04:12:47.63 ID:DCK0dIs7O
一年教室
花丸「はーい!最後に皆さんにお知らせがありまーす!」
花丸「このクラスになんと転校生が来ます!」
オー! ドンナコ-?
花丸「それは来てからのお楽しみ…ずら!」ニコッ
花丸「じゃ、今日はおしまい!」
オツカレサマデシタ-!
善子「梨子さんが言ってたのこれか…」
果南「転校生…か、なんかトラウマ」ニガワライ
善子「ふふ、トラウマってマリーさん?」
果南「うっ」
286 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/12/23(土) 04:12:55.52 ID:2QWWR/EmO
包装を破いて、お二人の口に突っ込みます。
「んん〜! 甘い! うまい!」
「なにこれ! あまーいっ! すごーいっ!!!!」
二人の顔がほころぶのをみると、こちらも差し上げた甲斐があるというものです。
「だいぶ回復されましたね? ではもう一度トロッコを漕いでください」
「え?」
二人の顔が固まります。
「で、でもこの先って……」
「谷だよねー?」
「ええ、谷です。安心してください、飛びますから」
「はぁ!?」
「え!」
ジャガーさんは驚愕、カワウソさんは期待の表情を浮かべました。
「と、飛ぶって!? あんた鳥のフレンズなの!?」
「いいえ、違います」
「じゃあ無理だよ!」
「大丈夫です。ここからスピードをつけてれば、谷を飛び越せるかもしれません」
「飛び越せなかったら?」
287 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/12/23(土) 04:13:05.46 ID:aF8mZOVpO
>>82
>やっぱりちかっちはみかんだよね
>
http://q2.upup.be/f/r/FqMXUU3jso.jpg
初投稿です。別板で荒れたので立て直し。
ドラマ『電車男』のパロディ(ほぼパクリ)です。
キャラ崩壊オリジナル設定あり。
長くなりますがお付き合いください。
いくつかレスついたら始めます。
再開したんか
ここでも埋め立てくらったらここの方がいいよ
ラブライブ!ss総合【転載禁止】
http://jbbs.shitaraba.net/anime/10627/
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1495543304
288 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/12/23(土) 04:13:14.62 ID:MnI7O9EJO
____
/"::::::::::::::::::::::"`ヽ
/::: :::::::´´::::::::``::::::::ヽ
. /::: ::::::::´`:::::::´ `::::::´`::::ヽ
/::::::::::´l::::::i::::/i::::::l::::ノリ::::l:::i::ヽ
l::::::::l::/ l::::::lヽl ll::i:lノ l:::レl:::::l / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ll\l  ̄  ̄  ̄ l/l:l | 久々に笑わせていただきましたわ
ll/l / ̄\ / ̄ヽ l\l:l | こういうスレが沢山立ってた
ll::::::l l::::::ll < のが昔のラ板なんですのね今の新参は
l:l:::::l """ __ """ l:::::ll | .昔のラ板を知らないから困りますわね
l:l:::::lヽ ・ ━ ノl::::l \_________________
l::l:::::l ::ヽ、____, "ノ::ノ:::::l
l:l:::::l:::::::::::::/ ヽ::ノ::ノリ:::::l
l/´ ヽ ̄ヽ `///ヽ::::l
/´ ´ ` ヽ`:::><:///ヽヽ:l
l´ / ヽ ̄ ̄ 囲  ̄ / `ヽ´
l l  ̄ ̄ ̄△ ̄´ l
289 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/12/23(土) 04:13:23.15 ID:f0jL4mu8O
_____
/:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
. /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
/:::::/l_/l__l_l/l_l_l::::l::::::::::l
それっておかしく lヽ/ ∧ ∧ l<l::::::/
ありません? l/l "" _ """l::::lヽ:::l
.だってここは l:lヽ ___・ ____,,l::::l_/:::l
. 内浦ですのよ? l:l::::::::/ ヽ::::l:/::::::::l
l:/:ヽヽ___/ ̄/::/\
⊂ニニ ̄ ̄ ̄ヽ / `:ヽヽ /_/::/ ヽ
くメ) _ノ | (ヽ | ""'▽ """ / `>
(/ | | /==| :∧ { _____}
| |/ /| l l `|===|
| ト / | `, l l 、 | ̄ ̄|
ヽ__/ ./ l l `、 | |
290 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/12/23(土) 04:13:30.92 ID:HW6i6SOsO
Aqoursの好感度スレまとめ
善子 →
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1482032895/
曜 →
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1487678425/
ルビィ →
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1487668185/
千歌 →
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1487693644/
>>2
ダイヤ →
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1487770928/
花丸 →
http://karma.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1487777497/
梨子→
http://karma.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1488373777/
果南→
http://karma.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1488454481/
鞠莉→
http://karma.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1488464531/
291 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/12/23(土) 04:15:35.78 ID:aCyImvP8O
真姫「さっきのハンバーグの肉汁を無駄なく利用するためね」
曜「フライパンにトマト缶、水、コンソメを加え、煮立てる」
真姫「このために深めのフライパンを使うのね」
曜「煮立ったらハンバーグ、エリンギを加え、再び煮立たせる」
曜「煮立ったら弱火だよ」
曜「このとき砂糖、ソースを加え、塩、ブラックペッパーで味を調えておこう」
曜「アクを取りながら弱火で約20分煮込む」
http://imgur.com/6IvFaq1
真姫「20分…。暇ね」
曜「煮込み時間は長くすると濃厚になるけど、煮込みすぎるとハンバーグがカチカチになるから様子を見ながら気を付けてね」
292 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/12/23(土) 04:15:48.45 ID:B/92zYTlO
スレ汚し失礼します
★★★自治スレより重要なお知らせ★★★
>>2
ラブライブ!板で違反スレの乱立、スクリプトによる保守を目的とした板荒らしに対策するため板設定の変更に関する投票を行います
賛成/反対の投票ですので投票お願いします。
投票日:2017年3月12日
詳しくは
自治スレ、荒らし報告相談 Part.5
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1489154599/
293 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/12/23(土) 04:15:57.49 ID:eNuvHP7gO
一年教室
花丸「はーい!最後に皆さんにお知らせがありまーす!」
花丸「このクラスになんと転校生が来ます!」
オー! ドンナコ-?
花丸「それは来てからのお楽しみ…ずら!」ニコッ
花丸「じゃ、今日はおしまい!」
オツカレサマデシタ-!
善子「梨子さんが言ってたのこれか…」
果南「転校生…か、なんかトラウマ」ニガワライ
善子「ふふ、トラウマってマリーさん?」
果南「うっ」
294 :
◆PChhdNeYjM
[sage]:2017/12/23(土) 09:20:28.05 ID:zEFP4LciO
>>205
更新する度度湧くらしいし折角だからスレを埋めさせようかと
残しておくのも気分悪いんで
295 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/12/23(土) 09:36:27.59 ID:dVBviSWn0
変なやつに粘着されてて可哀想だな
296 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/23(土) 09:57:13.29 ID:rb8hJqiXO
>>294
続き楽しみにしているので、荒らしに負けずに頑張って!
297 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/24(日) 01:12:07.34 ID:6LfTtKbIO
多分この荒らし作者側の奴だよ
自分の書くのより面白そうだと潰しに掛かる
前もR板の方で見たぞ
298 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/24(日) 16:53:02.57 ID:SSyMz6QfO
いやただの埋め茸でしょ
299 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/24(日) 20:01:40.99 ID:OSNY+4iBO
SS製作者総合スレ94
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1513346213/81
81 名前:◆PChhdNeYjM [sage] :2017/12/23(土) 09:15:37.18 ID:zEFP4LciO
更新する度荒らし湧くってどうなってんだマジで
製作者スレにまで迷惑かけるなよ
300 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/27(水) 06:12:13.17 ID:zeS2eughO
したらばはわざわざ悲劇の主人公ぶって管理人に聞かなくてもスレ建て自由だぞ
後これは読めないうちに入らんっての
301 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/01/02(火) 23:01:47.98 ID:BuAl4m2P0
年内には間に合わなかったか
302 :
◆PChhdNeYjM
[sage saga]:2018/01/04(木) 12:05:09.64 ID:sGk7Q0VmO
曜「ちょっと……ちょっと待ってよ」
千歌「よーちゃん……」
曜「千歌ちゃんが……あれに関わってるって? そんなの……そんなの嘘だよ……ねえ、嘘だって言ってよ!」
曜(――思い出したくなかった)
千歌「……ううん、嘘じゃない。佐原君が曜ちゃんのお金を見せびらかして、私に言ったの。『君の大好きな友達は、随分と騙されやすいんだね』って」
曜「……は?」
千歌「私の鞄が漁られたんだって気が付いて、よーちゃんの写真とかが部屋に散らばってて」
曜(――考えたくなかった)
千歌「きっと……嫉妬したんだ。私が、あの人のこと好きじゃないってわかったから。チカの自惚れかもしれないけど……多分そう」
曜「嫉妬って、私……佐原君に、何もした覚えないんだけど」
曜(――聞きたくなかった)
千歌「よーちゃんは知らないかもしれないけど、高校の時からそうだったんだよ。私、佐原君のこと色々と手伝ってたし……間接的に」
曜「間接的にって……え? ごめん、ちょっと今……」フラッ
千歌「よーちゃん!?」
曜「やばい……今、過去最高に混乱してる」フラフラ
千歌「よーちゃん、待って!」
曜「来ないで」
千歌「――っ!」
曜「ごめん、もう……何も考えたくないよ」
303 :
◆PChhdNeYjM
[sage saga]:2018/01/04(木) 12:06:14.93 ID:sGk7Q0VmO
―――
―
曜(あー……なんであんな別れ方しちゃったかな)
曜(千歌ちゃん、すごい顔してた)
曜(けど、仕方ないじゃん。親友から裏切られたような気分になったら、誰だってこうなるよ)
曜(きっと私、期待してたんだ。千歌ちゃんが、あの頃と少しも変わってないって)
曜(たった数度のやりとりで、千歌ちゃんの何もかもを知った気になって、勝手に失望して。その結果が今の私)
曜「私……何を信じればいいんだろう」
304 :
◆PChhdNeYjM
[sage saga]:2018/01/04(木) 12:06:51.18 ID:sGk7Q0VmO
〜〜〜
数時間前 喫茶店
梨子「来てくれてありがとうございます。報告したいことがあって」
ダイヤ「いえ、構いません。私も、報告しなければならないことがありましたので」
梨子「そうですか。じゃあ、私から」ゴソゴソ
梨子「これを」スッ
ダイヤ「手帳……」
梨子「中を見てください。それは――」
―――
―
ダイヤ「――なるほど。元文芸部部長……佐原誠が、犯人である可能性が高いと」
梨子「どう思いますか?」
ダイヤ「ふむ……まず間違いないでしょうね」
梨子「どうしてです?」
ダイヤ「実は私も、お母様にお聞きしたり、ルビィに協力を仰いだり、自ら調べたりしたのですが……丁度、彼についてわかったことがいくつか」
梨子「どうして、そんなピンポイントで?」
ダイヤ「前回お話しした時、彼の苗字が出てきましたので、気になってはいましたの。なにせ黒澤家と佐原家は、かつて共に漁業を営んでいたものですから」
梨子「まさか……ということは、佐原家も網元の?」
ダイヤ「黒澤家が管理する側なのに対して、佐原家は現場を指揮する側。つまり佐原家は、代々伝わる漁師の家系なのですわ」
梨子「じゃあ、彼のお父さんが」
ダイヤ「血を引き継いでいるのはお母様の方です。お父様は、東京から越してきたのだと。お母様の代には、既に漁師としての仕事を続けることはできなくなっていたのですわ」
梨子「え? でも、今でも内浦では漁業が盛んですよね」
ダイヤ「理由は簡単。黒澤家が、佐原家との関係を断ち切ったからです」
305 :
◆PChhdNeYjM
[sage saga]:2018/01/04(木) 12:07:19.44 ID:sGk7Q0VmO
ダイヤ「私のお爺様の代のことです。それまでは、佐原家は代々漁業を営み、内浦でも指折りの実力者でした。ですが、佐原家のやり方は少々乱暴で……一歩間違えば、黒澤家はもちろん、内浦の漁業活動全体に影響を及ぼしかねないものでした」
梨子「それは一体……」
ダイヤ「交付金の不正受給ですわ」
ダイヤ「漁業協同組合の者と内通し、交付金の額を水増ししていたのです」
ダイヤ「佐原家は、漁場での生産力向上のためであるからと主張し、事実そのお金に着手した形跡はありませんでしたが……当然、不正など許されるはずもありません」
ダイヤ「関わった組合員と共に、佐原家には一定期間の業務停止の処分が下り……佐原家は実質、漁場から追放されたのです」
梨子「でも、一定期間だったんですよね。それが終わったら、また始めればいいんじゃ……」
ダイヤ「残念ながら、ことはそう簡単ではないのです。一度信用を失った者が再び信用を取り戻すには、どれだけの時間や労力が必要か計り知れません。彼らが海に戻ることは、二度とありませんでした」
ダイヤ「その代のご主人のお孫さんが、佐原誠ですわ」
梨子「今、佐原君のお父さんやお母さんは?」
ダイヤ「……十年も前に離婚なさったとのことです。お父様はご結婚なさった後、内浦へ越してきたのはいいものの、仕事が中々見つからず四苦八苦していたと。そんな矢先にお母様は、ギャンブルにのめり込んでいったそうですわ」
梨子「ギャンブル……」
ダイヤ「詳しい事情は分かりかねますが、離婚して以来お母様はシングルマザーとして佐原誠を育てていた。しかし、ギャンブルへの依存はますます加速し……」
梨子「それで……学費を滞納してしまったんですね」
ダイヤ「一概にそうとは言い切れませんが、恐らくは」
梨子「そんなの、全然知らなかった」
306 :
◆PChhdNeYjM
[sage saga]:2018/01/04(木) 12:07:58.96 ID:sGk7Q0VmO
ダイヤ「ところで……千歌さんは今、私の住むマンションにいます」
梨子「へ? どういう……」
ダイヤ「今千歌さんが借りているアパートは、元々は私がご紹介したものですわ」
ダイヤ「何やら、そのお部屋に不満があるということで……」
千歌『ねーダイヤさーん! あのアパートボロい!クサい!あと寒い!』
千歌『ダイヤさんのお家に入れて? おねがーい……』ウルウル
梨子「えぇ……」
ダイヤ「私も、紹介した者として無下にすることもできず……ほぼ毎週、週末になると私の部屋に泊まっていきますわ。それがもう1年も続いています」
ダイヤ「私も面倒になって、千歌さんの分の布団を購入してしまいました」
千歌『わーい! フカフカのお布団……えへへ』ギュー
千歌『ダイヤさん、ありがとう!』ニコニコ
ダイヤ『べ、別に……ソファーで寝て体を痛めでもしたらいけませんので。当然のことですわよ……』ポリポリ
梨子「ダイヤさん……千歌ちゃんのこと甘やかしすぎ」
ダイヤ「え、そうですか?」キョトン
梨子「はぁ……ルビィちゃんがあんなに頼もしく育ったのは、寧ろ奇跡だったのね」
307 :
◆PChhdNeYjM
[sage saga]:2018/01/04(木) 12:08:42.16 ID:sGk7Q0VmO
ダイヤ「コホン。ですが千歌さんも、本当にアパートが気に入らないからという理由だけで私の家に来ているわけではないと思うのです」
梨子「まあ、確かに。千歌ちゃんはそんなに図々しい人じゃ……そんなこともないかな?」
ダイヤ「考えてみてください。ただ住む場所を変えたいだけなら、別の賃貸を探すか、もしくはお母様とご一緒に暮らせばよいのです」
梨子「あ……」
ダイヤ「千歌さんのお母様は、東京に住んでいらっしゃるのですから。それができないということは、何か後ろめたい理由があるのかもしれません。例えば……同居人と顔を合わせたくないとか」
梨子「同居人?」
ダイヤ「以前、千歌さんのお買い物に付き合ったことがあるのですが。日用品や食材の量が、一人暮らしのそれではありませんでした。ですから、アパートにもう1人、誰かが住んでいるのではないかと」
梨子「まさか、それが佐原君なんでしょうか」
ダイヤ「断言はできませんが、先程梨子さんからお聞きしたお話も合わせると、辻褄が合うかと思います」
梨子「なるほど……」
308 :
◆PChhdNeYjM
[sage saga]:2018/01/04(木) 12:09:36.62 ID:sGk7Q0VmO
ダイヤ「――それで、梨子さんはどうしたいのですか?」
梨子「え?」
ダイヤ「曜さんのお金を奪った犯人の目星はついている。その人物の背景も分かっている。住居にも当たりがついている」
ダイヤ「いえ……そもそも、善子さんからその手帳を受け取った時点で、私の知る梨子さんならば、犯人を捕まえるために尽力しているはず」
梨子「だっ……だから、こうやって……」
ダイヤ「私に報告する必要が、果たしてあったでしょうか? 善子さんのバイト先に出没するのであれば、再び現れるのを待つだけでいい。犯人を捕まえるだけなら、実に簡単ではありませんか」
梨子「それ……は……」
ダイヤ「一体、何があなたの足を止めるのです?」
梨子「……何もありませんよ」
ダイヤ「曜さんですか?」
梨子「――っ」
ダイヤ「なるほど。この件には千歌さんが関わっている可能性が高い。なにせ、曲がりなりにも千歌さんは犯人の同居人なのですから」
ダイヤ「その上、千歌さんと曜さんは既に会っている。しかも、事件が起きた直後に……そう、あまりにもタイミングが良すぎるのですわ」
ダイヤ「この事件を解決するということは、曜さんと千歌さんを引き合わせることとなるかもしれない」
ダイヤ「まさか、それが嫌なのですか?」
梨子「……ダイヤさんには関係のないことです」
309 :
◆PChhdNeYjM
[sage saga]:2018/01/04(木) 12:10:38.54 ID:sGk7Q0VmO
ダイヤ「梨子さんの考えていることは、私にはわかりませんわ。ですが……曜さんの件を、このまま野放しにするわけにはいきません」
梨子「……」
ダイヤ「私は私にできることをします。梨子さんは、梨子さんにできることをしてください」
梨子「……はい」カサカサ
ダイヤ「その紙は……以前私が渡した?」
梨子「千歌ちゃんのアパートの住所です。まだ見てなくて…………え?」
ダイヤ「どうかしましたか?」
梨子「この住所……曜ちゃんのアパートの、すぐ近くですよ」
ダイヤ「まさか、たまたま近くに住んでいたとでも?」
梨子「間違いありません。こんな近くにいたんだ……」
ダイヤ「全く……鞠莉さんといい果南さんといい、余りにも偶然が重なりすぎていますわね」
梨子「鞠莉さんと果南さんが、どうかしたんですか?」
ダイヤ「今回の件で、お2人にご相談したのですわ」
ダイヤ「鞠莉さんは、イタリアの大学で経営学を学んでいるのですが……その延長で、カジノへ足を運ぶこともあると」
ダイヤ「どうやらそこで、サハラと名乗る女性と接触したらしいのです」
梨子「まさか……」
ダイヤ「ええ、間違いないでしょう。なにせ、過去に一度膨大な借金を抱えた上に、出身は沼津とおっしゃったそうですから」
梨子「果南さんは?」
ダイヤ「留学先のダイビングスクールで、果南さんのダイビングショップの常連客である男性と出会い、よく話す仲になったそうです」
ダイヤ「彼の旧姓は、佐原というそうですわ」
梨子「そんな偶然が……」
ダイヤ「私も驚きましたわよ。一体、どんな力が働いているのかと……」
ダイヤ「まさに、奇跡としか言いようがありませんわね」
310 :
◆PChhdNeYjM
[saga sage]:2018/01/04(木) 14:56:20.11 ID:sGk7Q0VmO
―――
―
梨子「ただいま……あれ、曜ちゃんの靴がある」
ガチャ
梨子「曜ちゃん、電気くらい…………曜ちゃん?」
曜「おかえり、梨子ちゃん」ニコッ
梨子「寒いわね……暖房もつけてないなんて」
曜「うん」
梨子「体、冷えるわよ」
曜「うん」
梨子「……なにかあった?」
曜「……」
曜「梨子ちゃん。私ね、お酒買ってきたんだ」
梨子「お酒?」
曜「う冷蔵庫に入ってるから、一緒に飲も」
梨子「いいけど……曜ちゃんがお酒買ってくるなんて、私がここに来てから初めてじゃない」
曜「そうかも。ちょっと、そんな気分なんだ」
311 :
◆PChhdNeYjM
[saga sage]:2018/01/04(木) 15:00:04.28 ID:sGk7Q0VmO
―――
―
曜「はぁ……ぽかぽかする」
梨子「暖房付けたからでしょ」
曜「あったかいなあ、梨子ちゃんの体」
梨子「くっつかないでよぉ……恥ずかしいじゃない」カァァァァァ
曜「やだ」ギュー
梨子「もぅ……」ゴクゴク
曜「梨子ちゃん……何かあったでしょ」
梨子「まあ、ちょっとね」プハッ
曜「言わないの?」
梨子「曜ちゃんが言わないんだもん」
曜「……そっか」
曜「梨子ちゃん。私、決めたよ」
梨子「なにを?」
曜「――梨子ちゃんと一緒に、ヨーロッパに行く」
梨子「……え?」
梨子「またそんなこと言って」
曜「梨子ちゃん、私本気だよ?」
梨子「……どうして?」
曜「なんかもう、なにも考えたくないなって。楽になりたい」
梨子「私といると、楽?」
曜「うん。安心する」
曜「だって梨子ちゃんは、ずっと私の傍にいてくれるから」
曜「梨子ちゃんはきっと……私を裏切らないから」
312 :
◆PChhdNeYjM
[saga sage]:2018/01/04(木) 17:07:17.25 ID:sGk7Q0VmO
―――
―
曜「スー……スー……」
梨子「おやすみ、曜ちゃん……」
『曜さんの件を、このまま野放しにするわけにはいきません』
『梨子さんは、梨子さんにできることをしてください』
『仮に警察へ行ったとして、この手帳だけでは証拠としては不十分ですが』
『善子さんも交えて、犯人の背景をお伝えすれば……あるいは、重要参考人として警察の方々に対処してもらうことは可能かと思います』
梨子「そんなの……わかってる」
梨子(考えてみれば、すごく簡単な話)
梨子(曜ちゃんに、千歌ちゃんの居場所を教えてあげればいい。それだけで、何もかも全部解決するんだから)
梨子(そうしない理由は、そうできない理由は……)
梨子(結局、私の望みは一つだけ。この生活を続けたいんだ)
梨子(どんな形でもいい……ずっと傍にいてほしい。寄り添ってほしい)
梨子(もう、一人になんてなりたくないの)
313 :
◆PChhdNeYjM
[saga sage]:2018/01/04(木) 17:08:07.53 ID:sGk7Q0VmO
――――――
――――
――
2年前
千歌「みんなおっはよー!」
A子「おはよー高海さん、今日も元気だね」
B子「今日1限から体育だし、めんどー」
千歌「大丈夫、みんなでドッジボールやるんだもん。きっと楽しいよ!」
曜「おっはヨーソロー!」
A子「おっ、ヨーソロー!」
B子「内浦のヒーロー様の登場ですねー」ケイレイ
曜「もー、そんなんじゃないってー」
梨子「おはよう」
千歌「おはようお寝坊さん!」
梨子「もう! 千歌ちゃんが異常に早いだけでしょ?」プンプン
曜「千歌ちゃん、三年生に上がって更に元気になったよねー」
A子「もうすっかりクラスの中心だよね」
B子「さっすが内浦、体育会系というか」
キーンコーンカーンコーン
314 :
◆PChhdNeYjM
[saga sage]:2018/01/04(木) 17:08:48.71 ID:sGk7Q0VmO
―――
―
千歌「……あれ、あの人」
佐原「……」ガラッ
梨子「今来るなんて、ちょっと遅刻気味ね」
曜「ふーん……去年までのあたしみたいな感じ?」
千歌「……」
千歌「ねえねえ君、名前は?」
佐原「……は?」
梨子「ちょっ、千歌ちゃん!」
千歌「ふぇ? なあに、梨子ちゃん」
梨子「なにって、プレイ中……」
千歌「ねね、君も一緒にやろ? ドッジボール!」
佐原「……えっと」
曜「いっくよ〜、それっ!」
千歌「あたあっ!」ポカッ
曜「えっへへ、よそ見してるから悪いんだよー!」
千歌「もう、仕方ないなー」トボトボ
千歌「えへへ、当たっちゃったのだ」
佐原「……」
千歌「ねえ、名前は? 今年来たばっかだから、あんまわかんなくて……あっ、私は高海千歌。ご存知の通り、君のクラスメイトです!」
佐原「……佐原です」
千歌「佐原……うん、覚えた! よろしくね、佐原君!」
佐原「……」コクッ
梨子「千歌ちゃん、ボールそっちいったわよ!」
千歌「あ、うん! わかったー!」パタパタ
佐原「たか……み……」
315 :
◆PChhdNeYjM
[saga sage]:2018/01/04(木) 17:10:06.94 ID:sGk7Q0VmO
―――
―
図書室
ガヤガヤ…
佐原「……」ペラッ
千歌「これ借りまーす……あれ、佐原君だ。図書委員だったんだね」
佐原「どうも」
千歌「ねえ、部活は何入ってるの?」
佐原「……文芸部」
千歌「文芸部? そっか、じゃあまるちゃんたちの先輩だ!」
佐原「……誰?」
千歌「私の可愛い後輩だよ。2年生に3人いるんだけど、多分3人とも君の後輩になるから」
佐原「今、文芸部は人が少ないんだ。入部してくれるなら歓迎するよ」
千歌「ちなみに、文芸部の部長さんは? 挨拶しておきたいなー……なんて、流石にそれはおせっかいか」
佐原「……僕」
千歌「へ?」
佐原「文芸部の部長は、僕だよ」
千歌「へえー! すごいじゃん!」
佐原「何も凄くなんてない。3年生でまともに部室に通ってるのは僕だけ……って、聞いてる?」
千歌「部長さん! 私の大切な後輩を、どうかよろしくお願いします!」ペコッ
佐原「……はぁ」
316 :
◆PChhdNeYjM
[saga sage]:2018/01/04(木) 17:10:57.38 ID:sGk7Q0VmO
―――
―
千歌「ねえ……佐原君って、バイトしてるよね」
佐原「なんで」
千歌「この間、商店街のファミレスで見かけた。覚えてないかな、よーちゃんとりこちゃんとお邪魔したんだけど」
佐原「覚えてない。多分僕、キッチンにいたから」
千歌「あれー、おっかしいな。よーちゃんもりこちゃんも覚えてないっていうし……」
佐原「……もしかしたら、人手不足で一度ホールに出たかもしれない」
千歌「ホント!? ほら、私の目は節穴じゃなかったんだよ!」エッヘン
千歌「でもさ、大変じゃない? 部長もやって、バイトもしてって。私なんて、内浦で部活やってた時は家の仕事とか全然だったし」
佐原「部活なら、国木田さんや黒澤さんが手伝ってくれるから」
千歌「そっか、なら安心だ」
佐原「……ウチ、母子家庭なんだ。だからってお金に困ってるわけじゃない。バイトするのは小遣いのため」
千歌「ふーん、えらいね。私、最近は毎日家の手伝いしてるけどさあ、これが結構大変で……」
曜「千歌ちゃーん、まだー?」
千歌「あ、今行くよ! ……じゃあね、佐原君」バイバイ
佐原「……」
317 :
◆PChhdNeYjM
[saga sage]:2018/01/04(木) 17:43:49.96 ID:sGk7Q0VmO
―――
―
A子「ねえ聞いた?」
B子「うん、佐原君の……」
千歌「なになに、何の話?」
A子「あーなんかね。佐原……だったかな、あそこに座ってる男子」
千歌「うん、佐原君が?」
B子「学費滞納してるらしいんだよねー」
千歌「学費……」
〜〜〜
図書館
千歌「ぶちょー! これ返しまーす!」
佐原「君、普通に返せないの?」
千歌「毎日を楽しみたいのだ!」
佐原「……はぁ」
千歌「それはなんのため息かな?」
佐原「別に。鬱陶しいだけ」
千歌「あ、ひっどーい」
佐原「……で、今回もなんか借りるの?」
千歌「うん。なにかおすすめがあったら教えて欲しいな」
佐原「それじゃあ、昨日国木田さんが読んだあの本がいいと思うよ」
千歌「えぇー、まるちゃんの本ってなんか難しくてさー」
318 :
◆PChhdNeYjM
[saga sage]:2018/01/04(木) 17:44:36.15 ID:sGk7Q0VmO
―――
佐原「はい、これね。返却期限は2週間です」
千歌「……ねえ」
佐原「なに?」
千歌「何か、困ってる事があったら言って欲しいな」
佐原「なんで」
千歌「だって私達、クラスメイトじゃん」
佐原「……他人だよ」
千歌「そんなことない」
佐原「クラスメイトで、他人だ」
千歌「友達だよ」
佐原「しつこいな。高海さんって、前の学校でもそうだったの?」
千歌「うーん、あんま自覚ないけど。梨子ちゃんをスクールアイドルに誘った時は、確かにウンザリされてたかも」
佐原「その時の彼女が、今の僕だよ」
千歌「悩みがあるなら言って欲しいな」
佐原「僕の話、聞いてた?」
千歌「うん」ニシシ
佐原「……折り紙付きらしいね」
曜「千歌ちゃーん……」
千歌「あっ、ごめんごめん。またね」
319 :
◆PChhdNeYjM
[saga sage]:2018/01/04(木) 17:45:28.99 ID:sGk7Q0VmO
―――
―
梨子「千歌ちゃんが?」
曜「うん。最近付き合い悪いなーって」
梨子「そんなこと……寧ろ、今までが良すぎたんじゃないかしら。ほら、内浦の学生ってここと違って少なかったでしょ」
曜「むぅ……」
梨子「千歌ちゃんって、自覚ないだろうけど……人を惹きつけやすいのよね」
曜「わかる」
梨子「よーちゃんもそういうところあるよ?」
曜「それはわからない」
―――
―
佐原「ウチの母親、ギャンブル依存症なんだ」
千歌「酷い……」
佐原「だから僕が自分で稼がないとダメってこと」
千歌「だからアルバイトしてるんだね」
佐原「でないとご飯も食べられない。家賃は……多分、払ってはいると思う」
千歌「そんな状況、全然想像できないや……」
千歌「あのさ。全部一人で抱え込んじゃ駄目だよ」
佐原「今までずっとそうしてきたんだ」
千歌「一人で抱えきれなくなった時、誰かが隣にいてくれないと……」
佐原「こんなくだらないことに他人を巻き込みたくない。僕は運が悪かった。それだけのことだよ」
千歌「そんなこと……」
佐原「決めたんだ、あんな親みたいには絶対ならない。一人で生きていくってさ」
320 :
◆PChhdNeYjM
[saga sage]:2018/01/04(木) 17:46:31.99 ID:sGk7Q0VmO
―――
―
佐原「僕、明日から学校に来ない」
千歌「……え?」
佐原「学校辞めるんだ。手続きも終わってる」
千歌「嘘……だって、来月卒業なのに……」
佐原「学費の滞納はとっくに限界を超えてる。卒業なんてできるわけがないんだよ」
千歌「そんな……あんまりだよ」
佐原「分かってたことだよ。もう家も無くなったしね」
千歌「家も……?」
佐原「追い出されたんだ。どうやら、家賃も払っていなかったらしい」
千歌「そんな……どうすれば……」
佐原「これからどうすればいいかなんて、こっちが聞きたいくらいだよ」
佐原「まあ、そんなわけだから。国木田さんたちによろしく」
321 :
◆PChhdNeYjM
[saga sage]:2018/01/04(木) 17:47:41.45 ID:sGk7Q0VmO
千歌(あの時の私は……どうしてたかな)
千歌(そうだ。私には……梨子ちゃんや、曜ちゃんがいた。だから乗り越えられた)
千歌(でも……この人には、誰もいない)
千歌(立ち塞がる壁も、比べ物にならない)
千歌(彼は、昔の私そっくりで。全部一人で抱え込もうとして、結局その重さに潰れてしまう)
千歌(そっか……私、放っておけないんだ)
千歌「私が支えるよ」
佐原「……は?」
千歌「君一人でやっていけるとは思えない」
佐原「ちょっと、何言って……」
千歌「私は大丈夫。どうせ卒業したら、旅館を継ぐって決まってるんだ。それが少し延びるだけだよ」
佐原「ふざけないでくれよ……何も知らないくせに、支えるだって? よくもそんな軽口を叩けるね」
千歌「私、本気だよ。言ったじゃん、私たちは他人なんかじゃない」
千歌「――"友達"は、支え合わなきゃね」
千歌(なんでだろう……よーちゃんの顔が、頭から離れないや)
千歌(ごめんね、よーちゃん)
千歌(でも、大丈夫だよね)
千歌(私がいなくたってよーちゃんには、ルビィちゃん、まるちゃん、善子ちゃん……そして、りこちゃんがいる)
千歌(だから……大丈夫だよね)
322 :
◆PChhdNeYjM
[saga sage]:2018/01/04(木) 20:37:13.67 ID:ndPsZ5w1O
―――
―
ボフッ
千歌「やめて」
佐原「高海さん……」
千歌「ごめん佐原君。私、君をそういう対象としては見れない」
佐原「じゃあ、どうして一緒に住むなんて言ったんだよ」
千歌「何か、勘違いさせちゃったなら……謝る」
佐原「……優しいね、高海さんは」
千歌「一緒に住もうって言ったのは、あくまでお金を節約するためで……そういう意味じゃないから」
―――
―
千歌「ただいま……佐原君? どこに行くの、こんな時間に」
佐原「仕事だよ、夜の土木工事。今までよりもずっと給料がいいんだ」
千歌「辞めなよ、体こわしちゃう」
佐原「これで良いんだ。君の傍にいる必要もないしね」
千歌「それは……」
佐原「高海さん、この際だから言っておくよ。もう、内浦に帰ったほうがいい」
ガチャッ
千歌「……今更、帰れるわけないじゃん」
323 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/05(金) 17:49:55.07 ID:cFFVzDNrO
―――
―
千歌「いらっしゃいませー……ありがとうございましたー」
千歌(……いい加減、ちゃんとした仕事見つけないとなあ)
ダイヤ「――あら? もしかして、千歌さん?」
千歌「え……ダイヤさん、どうしてここに?」
ダイヤ「お久しぶりですわね。私はたまたまこの商店街に用事があって、通りかかったところですわ」
千歌「そうだったんだ……久しぶりです」
ダイヤ「ところで、千歌さんはこちらで働いていらっしゃるのですか?」
千歌「はい、ここでバイトさせてもらってます」
ダイヤ「そうですか。頑張ってくださいね」ニコッ
千歌(そっか。ダイヤさん、何も知らないんだ)
千歌「あのっ、ダイヤさん!」
ダイヤ「……はい?」
千歌「私、もうすぐシフト終わるんですけど……この後時間ってありますか?」
324 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/05(金) 17:50:23.72 ID:cFFVzDNrO
―――
―
喫茶店
ダイヤ「それで、相談とは何ですの?」
千歌「はい……その、私今、フリーターやってて」
ダイヤ「意外ですわね。千歌さんなら、進学するかご実家のお仕事をなさるかの二択だと思っていましたのに」
千歌「アハハ……ちょっと、色々あって」
ダイヤ「さぞかし大変でしょう。一人暮らしとなると、何かと面倒が増えますし」
千歌「ええ、お金のやりくりとかも大変で……そのことなんですけど」
ダイヤ「何でも言ってごらんなさい。できる範囲であればお手伝いいたしますわ」
千歌「ちょっと、心機一転したいなーって思ってて。新しい仕事と、手ごろな賃貸を探してるんです」
ダイヤ「千歌さんは、現在はどこにお住まいで?」
千歌「○○区の、安いアパートに」
ダイヤ「お母様とご一緒に暮らしてはいないのですか? 確か、東京にお住まいだとお聞きしておりましたが」
千歌「あー……はい、別々です」
ダイヤ「なるほど……」
千歌「こんなこと、ダイヤさんに言うのも変ですよね。忘れてください」アハハ
ダイヤ「……千歌さんのことですから、また無茶なことをしているのでしょう。詳しくは聞きません」
千歌「はい……」
325 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/05(金) 17:50:58.56 ID:cFFVzDNrO
ダイヤ「とは言ったものの、お仕事に関してはお力を添えるのは難しそうですわね」
千歌「いえ、いいんですよ。元々自分で見つけるべきものですし……あれ? 今、お仕事に関してはって」
ダイヤ「黒澤家繋がりで、東京にいくつか不動産を保有している者がいるのですわ。中には破格の賃貸もあるでしょうし、ご紹介できるのであれば……」
千歌「うっわ、流石黒澤家」
ダイヤ「なんですの。嫌ならお断りしても構いませんわよ?」
千歌「いえいえ! なにとぞよろしくお願いします」ペコッ
千歌「あの……ダイヤさん。スマホの連絡先、交換してもらってもいいですか?」
ダイヤ「はい?」
千歌「えっと、新しく契約したんですよ。それで、えっと……」
ダイヤ「……まさか、家出でもしてきたんですの?」
千歌「ギクッ」
ダイヤ「はぁ、呆れた。一体何があったというのです」
千歌「すみません……」
ダイヤ「まあいいです。先程言ったでしょう、深くは聞かないと。しかし……千歌さんが私の手を必要としてくれるのであれば、いつでも御貸し致しますわ」
千歌「……ありがとうございます!」
326 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/05(金) 17:51:26.34 ID:cFFVzDNrO
―――
―
千歌「へえー……なんか、とても趣のあるアパートですね」
ダイヤ「素直に古いと言ってくださいな」
千歌「アハハ。その、安く借りれるだけでうれしいですよ」
ダイヤ「ご不満があれば、何でも言ってくださいとのことです。まあ、この分では不満だらけでしょうが」
千歌「いいんです、助かりました。あとは仕事かぁ……」
ダイヤ「――雑誌や本の編集プロダクションはどうでしょうか」
千歌「へ? 私が?」
ダイヤ「……いえ、すみません。無責任なことを言ってしまいました。忘れてくださいな」
千歌「編集……か」
327 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/05(金) 17:52:32.24 ID:cFFVzDNrO
―――
―
上司「なんで進学しなかったの?」
千歌「一刻も早く自立したいと考えたからです」
上司「どうしてウチを選んだのかしら?」
千歌「御社の雑誌を拝見し――」
〜〜〜
上司「――うん、採用」
社員「はやっ! まだ面接半分も時間残ってるやん!」
上司「いいでしょう別に。新人は若いに越したことはないわ……それに」
社員「それに?」
上司「この子、すごいのよ? Aqoursの歌の歌詞は、ほとんどこの子が書いたんだから」
社員「うっそ……海未ちゃんみたいやな」
上司「きっとすぐに慣れるわ。今回の新人には、ちょうど文書作成の部署に入ってもらおうと思ってたの」
社員「なるほどなあ。適任ってことやんね」
328 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/05(金) 17:53:09.30 ID:cFFVzDNrO
上司「ところであなた」
千歌「はっ、はい!」
上司「最終学歴の書類、まだ提出されてないみたいだけれど。今手元にあるかしら?」
千歌「いえ……その……」
上司「ないのね。なら早めに用意しておくこと」
社員「ちょっとエリチ。あの様子、なんか事情あるんやない?」コソコソ
上司「……ねえ。用意できるの、できないの?」
千歌「すみません。今、両親に連絡できないというか、なんというか……」
上司「まあ、いいわ。とにかく、早めに書類を揃えること」
千歌「……はい」
社員「採用でいいん?」ボソッ
上司「期限は一週間。それまでに用意できなかったら、採用の話はなしよ」
千歌「――っ」
上司「貴方の事情は知らないけれど。ご両親、心配してるんじゃないかしら?」
千歌「そう……ですね」
上司「色々と厳しいことは言ったけれど。私は、貴方が入社してくれるのを待ってるわ」
千歌「……はい! ありがとうございます!」
329 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/05(金) 17:54:03.20 ID:cFFVzDNrO
―――
―
プルルル……ガチャッ…
千歌「あっ、あの、もしもし……」
美渡『はい、十千万です……あれ、この声って』
千歌「高海……千歌、です」
美渡『千歌? 今、千歌って言った?』
千歌「……うん。私だよ、美渡姉」
美渡『あんたっ……どれだけ心配かけたかわかってんの!?』
千歌「うぅ……ごめんなさい」
美渡『――よかった……無事でよかった』グスッ
千歌「美渡姉……?」
美渡『あ、志満姉……うん、あの馬鹿だよ』
志満『……もしもし、千歌ちゃん?』
千歌「うん。ごめんね、遅くなって」
志満『帰ってこれる?』
千歌「……ごめん」
志満『そう……それで、どうしたの?』
千歌「あのね。東京で、新しい仕事見つけたんだ。その、書類送って欲しくて」
志満『……嫌だって言ったら?』
千歌「え?」
志満『書類を送らなかったら、千歌ちゃん帰ってくる?』
千歌「――っ」
千歌「帰らない」
志満『……そう』
330 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/05(金) 17:55:00.25 ID:cFFVzDNrO
美渡『ちょっと千歌、志満姉に何言ったの』
千歌「就職に必要な書類送ってくれなくても、帰らないよって」
美渡『……はあ。ほんっと馬鹿チカだよね』
千歌「うん」
美渡『いいよ。あたしが送っとくから、好きなようにやんな』
千歌「え……いいの?」
美渡『まあ、あんたの気持ちも分からなくはないから。ただ、近いうちに必ず帰ってくること!』
千歌「うん、わかった」
美渡『約束だかんね』
千歌「……うん」グスッ
331 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/05(金) 17:55:47.16 ID:cFFVzDNrO
―――
―
千歌「ごめん佐原君。私、ここ出て行くよ」
佐原「……ああ」
千歌「もうここには来ない、これで終わり」
佐原「なんとなくそんな気はしてたよ。最近の高海さん、なんだかせわしなかったからね」
千歌「……元気でね、佐原君」
佐原「高海さんも、元気で。さよなら」
332 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/05(金) 17:56:19.26 ID:cFFVzDNrO
―――
―
千歌「せんぱーい。何見てるんです?」
上司「ああ、高海さん。ちょっと、マックのサイトをね」
千歌「……あれ、よーちゃんだ」
社員「ん? ちかっちの知り合い?」
千歌「――っ」
社員「どうしたん?」
千歌「……あ、いえ。その呼び方、昔の先輩を思い出して」
社員「ウチみたいにナイスバディやったん?」クスクス
千歌「ええ、それはもう負けないくらい」
上司「へえ、希と張る子がいるなんてね。あ、もしかして。あの金髪の子?」
千歌「そうです! 鞠莉ちゃん凄いんですよ! こう、バストが…………コホン。さっきの話ですけど。私の知り合いというか、幼馴染なんです」
上司「へえー、可愛い子じゃない」
社員「人を惹きつけるというか、存在感のある子やな」
千歌「はい……そうですね」
333 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/05(金) 17:56:57.41 ID:cFFVzDNrO
―――
―
千歌(はぁ……疲れた)トボトボ
千歌「――え? 嘘……」
曜「うぅ……飲み過ぎた……」フラフラ
千歌(どうして……よーちゃんがここにいるの?)
曜「大体、サークルの先輩飲み過ぎだって……あたしがあんなに飲めるわけないっつーの……」フラッ
バタンッ
千歌「よ−ちゃん!!」パタパタ
ダキッ
曜「……あれぇ? どうして千歌ちゃんがいるの?」
千歌「――っ、それは……」
曜「あそっかぁ、これ夢なんだ」
千歌「……うん、そうだよ」
曜「えへへ……千歌ちゃん」ギュー
千歌「……」キュンッ
千歌(――ああ、好きだなあ)
334 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/05(金) 17:57:26.65 ID:cFFVzDNrO
千歌「よーちゃん、家はこの辺?」
曜「うん、このへんー……あそこだよ、あそこー」
千歌「え? だってあそこ、私のアパートのすぐ近く……」
千歌(今まで会わなかったのが奇跡なくらい。これから気をつけなきゃ)
曜「千歌ちゃーん、おんぶして?」
千歌「ええっ!?」カァァァ
曜「おんぶー」エヘヘ
千歌「も、もぅ……仕方ないなぁ……///」
グイッ
千歌(よーちゃん、すっごく軽い)
曜「……ねえ、千歌ちゃん」
千歌「ん?」
曜「なんで、私たちの前からいなくなったの?」
千歌「……」
曜「ねえ、なんで……」ギュー
千歌「……ごめんね」
曜「私の事、嫌いになった?」
千歌「――っ、そんなわけないよ!」
千歌「好きだよ……今でも、ずっと好き」
曜「グスッ……うん」
曜「私も好きだよ、千歌ちゃん」
335 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/05(金) 17:58:14.19 ID:cFFVzDNrO
―――
―
千歌(佐原君……ちゃんとやってるかな)
千歌「あっ、すいません大家さん、お久しぶりです」
大家「あらあら、いらっしゃい。今日はどうしたんだい」
千歌「いえ、その……彼、元気でやってるかなって」
大家「……あの部屋の住人なら、もう住んでないよ」
千歌「え?」
大家「家賃を3月も滞納してね。悪いけど、出て行ってもらったんだ。探してるなら、彼の実家にでも行ったらどうだい。あれからもう、一週間も経ってるからね」
336 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/05(金) 17:58:43.27 ID:cFFVzDNrO
―――
―
ザー…
佐原「……」グゥ…
老人「アンタ、見たところ相当若いね。こんな雨降りに、ここにいていい人間じゃない。悪いことは言わん、家に帰んな」
佐原「……帰る家なんて無いんですよ」
老人「そりゃ、大した苦労人だ」
佐原「……クソが」
ザー…
佐原(……雨が止んだ?)
佐原(いや、まだ降ってる。誰かが傘を……)
千歌「見つけた」
337 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/05(金) 17:59:14.77 ID:cFFVzDNrO
佐原「……高海さん?」
千歌「なにしてんの、ホームレス?」
佐原「もう放っておいてくれ」
千歌「……ほんと馬鹿だよね」
千歌「ほら、帰ろ?」
佐原「――え?」
千歌「私たちの家に」
338 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/06(土) 23:30:01.15 ID:6upMnZmNO
―――
―
ピンポーン
ダイヤ『……はい』
千歌「高海です」
ダイヤ『千歌さん? どうしたのです』
千歌「遊びに来たよ、ダイヤさん!」ニコッ
〜〜〜
千歌「ふぁぁぁ……ソファーふかふか……」
ダイヤ「全く、連絡も無しに突然来て。私がいなかったらどうするつもりでしたの?」
千歌「ダイヤさん細かい。もっと柔軟に生きようよ、硬度下げてさ」
ダイヤ「誰が硬度10ですか」
千歌「そこまでは言ってないよ」
ダイヤ「……それで、どうしたんですの」
千歌「言ったじゃん、遊びに来たよって。お酒買ってきたんだ」エヘヘ
ダイヤ「私、ビールはあまり飲まないのですが……」
千歌「そうなの? でも大丈夫、甘いお酒も買ってきてるから」
ダイヤ「はぁ、仕方ないですわね。お付き合い致しますわ」
千歌「今夜は寝かさないよー♪」
339 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/06(土) 23:30:31.18 ID:6upMnZmNO
―――
―
ピンポーン
千歌「来ちゃった♪」
ダイヤ『……またですの』
千歌「いいじゃん、どうせ暇でしょ?」
ダイヤ『暇じゃありませんわよ。まだ来月までのレポートが……』
千歌「全然余裕じゃん。ねえ、ダメ?」
ダイヤ『あのですね、千歌さん。レポートというのは一朝一夕で終わるものでは……』
千歌「だってぇ、アパートがさぁ」
ダイヤ『アパート? 何かあったんですの?』
千歌「ボロいし、臭いし、あと寒いし……ねえお願い、ダイヤさんの部屋に入れて?」ウルウル
ダイヤ『……仕方ないですわね』
千歌「やりー♪」
340 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/06(土) 23:31:36.93 ID:6upMnZmNO
―――
―
千歌「ええ!? どうしたのこれ!!」
ダイヤ「貴方があまりにもウチに押しかけるものですから、買っておいたのですわ。毎回私の布団の中に入られても困りますし」
千歌「えへへ、お布団ふかふか……気持ちいい」ギュー
ダイヤ「喜んでもらえたのならなによりですわ。まあ、ソファーで寝て体を痛めるのも困りますから」
千歌「ありがと、ダイヤさん!」ニコニコ
ダイヤ「いえ……あの……どういたしまして……///」
〜〜〜
ダイヤ「コーヒーですわ。ミルクと砂糖は入れておきました」
千歌「おお、流石ダイヤさん♪」
ダイヤ「もう覚えましたわよ」
千歌「……ねえ、ダイヤさん」
ダイヤ「はい?」
千歌「ギャンブルにハマるって、どんな感覚なのかな」
ダイヤ「なんです、藪から棒に」
千歌「……あ、いえ。何でもないです、忘れてください」
ダイヤ「他人から見て、余り見栄えのよろしいものではありませんわね。本人もそれは分かっているはず」
千歌「そう……ですよね」ズズッ
ダイヤ「ですが、一度甘い蜜を吸ってしまえば、その感覚は忘れられないものです。丁度、コーヒーに砂糖を入れすぎてしまう千歌さんのように」
千歌「……ダイヤさん、これ砂糖入れた?」
ダイヤ「勿論、角砂糖を一つ」
千歌「それじゃ少ないよ」
ダイヤ「いつも入れすぎなのですわ。それくらいが正常です」
千歌「ぶー……」
ダイヤ「一度依存してしまえば、簡単にやめられるものではないでしょうね」
千歌「分かってても、やめられない……か」
341 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/06(土) 23:32:54.15 ID:6upMnZmNO
―――
―
千歌「ねえ、そのお金どうしたの」
佐原「賭けに勝ったのさ」
千歌「賭けって……またギャンブル?」
佐原「それよりもずっと可能性の高い勝負だよ」
千歌「何それ、意味わかんないし」
佐原「ところで。君の友達、相当騙されやすい性格してるよね」
千歌「……は?」
佐原「あんな子をいつまでも好きでいるなんて、もしかして高海さんは馬鹿なのかな。同姓だよ? 狂っているとしか思えない」
千歌「好き? 何言って……」
佐原「正直言って、高校の時から目障りだったんだよね。いつも高海さんの傍にいて、何でも知った風な顔で、高海さんと同じ高さに立って……その上幼馴染だって?」
佐原「君のバッグから彼女の写真がわんさか出てきた時は、はらわたが煮えくり返ったね。また僕の前に立ち塞がるのか……ってさ」
千歌「――まさか……!」
佐原「いやあ、実に簡単だったよ。あんな近くに住んでいたなんて……」ククク
パシン
佐原「……痛いな」
千歌「ハァ…ハァ……」
佐原「なにすんだよ」
千歌「佐原君……君さ……やっていいことと悪いことが……!」
342 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/06(土) 23:33:37.03 ID:6upMnZmNO
佐原「……いいかい高海さん」グイッ
千歌「っ……!」
佐原「僕みたいな底辺に生まれた人間はさ……他人から奪うことでしか生きられないんだ」
千歌「どういう……」
佐原「そのままの意味だよ。親の援助はなく、最低限の教育すら放棄され、挙句周囲の人間からも見捨てられている。こんな出来損ないの人間がいっぱしの生活を送るには、奪うしかないのさ」
千歌「――そんなことない! ここに私がいる! 私が……」
佐原「君に何ができる」
千歌「え……」
佐原「どうせ高海さんは……僕に同情しただけだろう」
千歌「それは……」
佐原「高海さんは明るくて優しい。故に誰からも好かれている。困っている人に手を差し伸べる勇気もある」
佐原「普通の人は、同情するだけで行動には移さない。いや、移せないんだ。良いか悪いかはともかく、それってすごい事だと思うよ」
佐原「――でもね」
佐原「同情だけじゃ、人は救えない。優しさだけじゃ、人は救えない」
千歌「あ……ぁ……」
佐原「君が今まで僕にしてくれたことは、悪いけど全部無駄だったのさ」
343 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/07(日) 14:55:18.21 ID:yhyXGDgnO
―――
―
千歌「よーちゃん……よーちゃん……」ブツブツ
千歌(よーちゃん、アパートにいるのかな)
ガチャッ
千歌「――!」
曜「おっでかけ♪ おっでかけ♪」
梨子「もう、はしゃがないの」
曜「だって、梨子ちゃんとお出かけなんて! テンション上がっちゃうよねー!」
梨子「曜ちゃんったらー」ウフフ
千歌(なんで梨子ちゃんが……)
千歌(そっか、遊びに来てるんだ。お互いの住んでる所とか、2人なら知り合っててもおかしくないよね)
曜「……うん?」
千歌「――っ」サササッ
344 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/07(日) 14:55:50.64 ID:yhyXGDgnO
梨子「曜ちゃん、どうしたの?」
曜「いや……あそこに誰かいたような」
梨子「気のせいじゃない? 私は何も見えなかったけど」
曜「……そうだね。じゃ、早く行こ? 全速前進ヨーソロー!」
千歌(よーちゃん、きっと困ってる。きっと悲しんでる)
千歌(謝らなきゃ……お金返さなきゃ……)
『――こんな出来損ないの人間がいっぱしの生活を送るには、奪うしかないのさ』
千歌「あ……」
『――同情だけじゃ、人は救えない。優しさだけじゃ、人は救えない』
千歌「う……ぅ……」
千歌(どうして動けないの。どうしてこんな簡単なことができないの。どうして……)
345 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/07(日) 14:56:33.00 ID:yhyXGDgnO
―――
―
喫茶店前
千歌(はぁ……なんでついてきちゃったんだろ)
千歌(よーちゃんとりこちゃん、楽しそうだなあ)
千歌「……え?」
千歌(まさか、目が合った?)
ガチャッ
曜「千歌ちゃん!!」
千歌「やばっ……」パタパタ
千歌(私はよーちゃんに会えない。会っちゃいけないんだよ)
千歌(佐原君があんなことをしたのは、元をたどれば全部私のせいなんだから)
曜「千歌ちゃん……待って!」
千歌「――曜……ちゃん……」
千歌「……!」ダッ
千歌(ダメ、来ないで)
千歌(よーちゃんに会う資格なんか、これっぽっちもない)
346 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/07(日) 14:57:01.11 ID:yhyXGDgnO
曜「何でっ……どうして逃げるの!? 千歌ちゃんっ!!」
千歌「ハァッ…ハァッ…」
千歌(ヤバい、追いつかれる)
千歌(よーちゃんにかけっこで勝てた事なんて、一度もなかったんだ)
曜「はっ……はっ……捕まえた!!」ガシッ
千歌「うっ……離して!」
曜「千歌ちゃん! 私だよ……曜だよ? 覚えてないなんて言わせないから!」
千歌「お願い……やめて……」
曜「千歌ちゃん、顔隠さないでよ……折角久しぶりに会えたのにさ」
千歌「ごめん……なさい……ごめんなさい……」
千歌(こんな顔、見られたくない)
曜「どうして謝るの? ……ねえ、こっち向いてよ!」グイッ
千歌「――っ」ポロポロ
曜「え……千歌……ちゃん?」
曜「どうして……泣いてるの?」
スルッ
千歌(よーちゃん、今まで見た事ないくらい酷い顔してる)
千歌「……」ゴシゴシ
千歌「……!」ダッ
曜「あ……千歌ちゃん……」
千歌(私、最低だ……ごめんね、よーちゃん)
347 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/07(日) 14:58:07.31 ID:yhyXGDgnO
―――
―
ピンポーン
ダイヤ『どうぞ』
〜〜〜
ダイヤ「今回はちゃんと連絡してくれましたね。千歌さんの成長が嬉しいですわ」
千歌「うん」
ダイヤ「千歌さん?」
千歌「えへへ」
ダイヤ「どうかしたんですの」
千歌「なんでもない」
ダイヤ「なにかあったでしょう。様子が変ですわよ」
千歌「そんなこと……ないよ」
ダイヤ「言ってごらんなさい。私は、貴方の味方ですわ」
千歌「うぅ……うっ……」グスッ
千歌「ダイヤさん……ダイヤさんっ……!」ギュッ
ダイヤ「……」ナデナデ
千歌「私、よーちゃんに酷い事を……!」
348 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/07(日) 15:00:34.84 ID:yhyXGDgnO
〜〜〜
千歌「ごめんね、ダイヤさん。何も話せなくて」
ダイヤ「いえ。謝らないでください」
千歌「うん……最近の私、謝ってばっかりだね」
ダイヤ「何か私にしてほしいことはありますか」
千歌「できればこれからも、色々相談に乗ってほしいな」
ダイヤ「私が力になれるのであれば、喜んで」
千歌「……うん」ニコッ
ダイヤ(この子、こんな風に笑う子だったかしら)
ダイヤ「一度崩れた友人関係を修復するのは、年を経れば減るほど難しいものになっていきます」
千歌「うん、わかってる」
ダイヤ「たった一度のいざこざで、以降二度と会わなくなる、なんてことも珍しくありませんわ。ですが……千歌さんと曜さんは、その程度の関係ではないでしょう」
ダイヤ「千歌さんの意思次第で、必ず乗り越えられるはずです」
千歌「そう……だよね」
ダイヤ「ええ。そうですわ」
千歌「私頑張るよ。ありがとう、ダイヤさん」
349 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/07(日) 15:31:57.57 ID:yhyXGDgnO
―――
―
千歌「お金返して」
佐原「……なに」
千歌「お金。よーちゃんから盗ったお金、返してよ」
佐原「何言ってんの? 君のものじゃないよ」
千歌「なら自首してよ」
佐原「やっぱり高海さんは馬鹿だね。するわけないだろ」
千歌「どうせ捕まる」
佐原「足は一切残してない。捕まえられるわけないね」
千歌「通報するよ?」
佐原「してみなよ。馬鹿にされるだけだ」
千歌「ギリッ……」
佐原「そんな顔初めてみたな。やっぱり好きな人が絡むと、流石の高海さんも黙っちゃいられないか」
千歌「そんな人だとは思わなかった」
佐原「残念だったね、君の思うような人間じゃなくて。僕を助けた事、後悔してるかい?」
千歌「……」
佐原「正直に言いなよ。人間なんてそんなもんさ」
千歌「……違うもん」
350 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/07(日) 15:33:29.77 ID:yhyXGDgnO
―――
―
某マック
千歌(多分、ここであってるよね。よーちゃんのバイト先)
千歌「……」ウロウロ
千歌(――いた!)
千歌(どうしよう、バイト中だ。当たり前だけど)
千歌(お金は、私が返す。今は無理だけど……近いうちに、必ず)
千歌(全部話して、よーちゃんに謝るんだ、そのためにここに来たんだから)
千歌「はー……息白い」
千歌(寒いなあ。よーちゃん、バイトいつ終わるんだろ)
千歌「……」ウロウロ
ウィーン
千歌(やばっ!)
351 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/07(日) 15:34:24.61 ID:yhyXGDgnO
曜「いらっしゃいませー!」
千歌(どうしよう……入らないわけにはいかないよね)
千歌「う……ぅ……」トコトコ
曜「お持ち帰り……です……か……」
千歌「あの……その……」
曜「なん……で……?」
千歌「えっと……お持ち帰りで」
曜「え……?」
千歌「おっ……お持ち帰りで!」
曜「えっと……何を……ですか?」
千歌「それは、その……曜ちゃ――って、ちがくて!!」
曜「へ……私?」
千歌「――っ///」カァァァァァ
千歌(私の馬鹿〜〜〜〜〜〜〜〜!! 何言ってんの!!///)
352 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/07(日) 15:35:18.07 ID:yhyXGDgnO
千歌「あの……じゅ、ジュースで……お願いします」
曜「……」ボー
千歌「えっと……曜ちゃん?」
曜「はっ……う、うん……じゃなかった! 分かりました!」
曜「ドリンク……ですよね? こちらのメニューからお願いします……」
千歌「えっと……その……」
千歌(ヤバい、テンパり過ぎだよ。どうしよう、なに頼めば……)
千歌「あの……うぅ……」
曜「みかんジュース……は、ないからさ」
千歌(……へ? みかんジュース?)
曜「この……オレンジジュースとかどうかな?」
千歌「……!」パアッ
千歌「うん……それにする!」
曜「うっ……」
千歌(よーちゃんの助け舟だ……助かったぁ)
曜「あ……ありがとうございましたー!」
千歌「ぅ……」チラッ
千歌(今、話すことはできないんだよね。やっぱ外で待ってよう……寒いけど)
ウィーン
353 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/07(日) 15:36:04.62 ID:yhyXGDgnO
千歌(寒い……あったかいのにすればよかったかな。でもそれどころじゃなかったし)
千歌(家帰ってから飲もう)
曜「……千歌ちゃん、見つけた」
千歌「あ……曜……ちゃん」
曜「隣……いいかな?」
千歌「……うん」
曜「よっと……」スッ
千歌「あの……よーちゃん」
曜「ん?」
千歌「ごめんね……突然、よーちゃんのバイト先来ちゃって……」
千歌「びっくりさせちゃったよね……迷惑、だったかな?」
曜「ううん、そんなことないよ」
曜「千歌ちゃんが来てくれて……すっごく嬉しい」
千歌(よかった……怒ってないみたい。本当、来てよかった)
354 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/07(日) 15:36:35.80 ID:yhyXGDgnO
千歌「あのね……チカ、よーちゃんに……どうしても言っておかなきゃならないことがあって」
曜「千歌ちゃん?」
千歌(――言わなきゃ)
千歌「それでねっ……チカ……チカね……!」
千歌(言ったら……嫌われるよね)
曜「千歌ちゃん!」
千歌「……っ!」ビクッ
曜「あ……その……はぁ……」
曜「あのね、千歌ちゃん」
千歌「うん……」
曜「どうしたの?今日の千歌ちゃん……なんか変だよ、まるで……」
曜「何かを怖がってるみたいな――」
355 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/07(日) 15:37:11.23 ID:yhyXGDgnO
千歌「……そう……かも。私、きっと怖いんだよ」
曜「え? 怖いって……何が?」
千歌「チカね……ホントは、よーちゃんに会う資格なんて……これっぽっちもないんだ」
千歌「チカは、よーちゃんに会っちゃいけないんだよ」
曜「なんで……? 勝手に決めつけないでよ……」
千歌「ううん、決めつけてなんかないよ。当然だよ」
千歌「だってチカは……曜ちゃんを裏切ったから」
曜「裏切った? ごめん、話が全然見えない……」
千歌「あの……ね」
千歌「……ダメだ。今日は……言えない」
曜「は? ここまで言っておいて、今更言えないって……意味わかんないよ!」
千歌「ごめん……ごめんなさい……」
曜「まっ、また――」
千歌(臆病な私で、ごめんなさい)
356 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/07(日) 15:37:46.91 ID:yhyXGDgnO
曜「……いいよ、話さなくても」
千歌「……え?」
曜「私ね、千歌ちゃんが会いに来てくれたってだけで……すっごく嬉しい」
千歌「ほん……と?」
曜「うん、ほんと。心の底から思ってるよ」
曜「だって私……ずっと、千歌ちゃんに会いたかったから」
曜「あの時から、ずっとそればっか考えてたから」
曜「自分でも呆れるくらい……千歌ちゃんのことしか、考えてなかったんだよ?」
千歌(嘘……よーちゃんが……)キュンッ
千歌「……うぅ……よーちゃん」グスッ
曜「もう……泣かないで?」
千歌「ごめんね……チカ、最低だから」
曜「……え?」
千歌(よーちゃんはこんなに優しいのに)
千歌(私はこんなにも酷くて、ズルくて、醜くて。だから――)
千歌「私は……私が嫌いです」
曜「千歌ちゃん……」
357 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/07(日) 15:38:45.88 ID:yhyXGDgnO
千歌「――今日は、もう帰るね」
曜「え……」
千歌(これ以上いても、多分話せそうにないしね)
千歌「チカもね……ほんのちょっと話せただけだけど、すっごく嬉しかったよ」
千歌「バイバイ……よーちゃん」
千歌(今度は……いつ、会えるのかな?)
曜「――千歌ちゃん!」
千歌(……え?)
曜「好き……大好きだよ!」
曜「あの頃から、ずっと……大好きだから!」
358 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/07(日) 15:40:04.50 ID:yhyXGDgnO
千歌「よーちゃん……」
千歌「うっ……うぅ……」ポロポロ
千歌「……!」ダッ
千歌(――よーちゃん!)
ギューッ
曜「え……なに……!?」
千歌(ごめんね、急に抱き着いて。びっくりしてるよね)
千歌(でも、一つだけ伝えたいことがあるんだ)
千歌(だから……これだけは言わせて?)
曜「千歌ちゃん……なの?」
千歌「……すき……だよ」
曜「……え?」
千歌「大好きだよ……曜ちゃん」
スッ
曜「え……まっ……」
曜「千歌ちゃん……待って!」
千歌「――っ」パタパタ
359 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/08(月) 00:11:50.51 ID:vlpX5WjlO
――
――――
――――――
チュンチュン…
千歌「う……ん」
千歌「……朝?」
コトコト
千歌(いい匂い)
ダイヤ「――あら、起きたんですの」
千歌「はい……おはようございます、ダイヤさん」
ダイヤ「おはようございます」
千歌「朝食作ってるんですか」
ダイヤ「ええ。もう少し待っていてくださいね」
千歌「ダイヤさん、志満姉みたい」
ダイヤ「そんなに優しい女性に見えますか?」
千歌「うん、見えるよ」
ダイヤ「フフッ、ありがとう」
360 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/08(月) 00:13:44.37 ID:vlpX5WjlO
〜〜〜
千歌「ねえ、ダイヤさん」
ダイヤ「はい」
千歌「私……今日、全部終わらせてこようと思う」
ダイヤ「そうですか」
千歌「……わかるの?」
ダイヤ「何が……とは、もう言いません」
ダイヤ「梨子さんから、お話は伺っておりますわ」
千歌「りこちゃんから?」
千歌(そっか……りこちゃん、よーちゃんから色々聞いてるんだ)
ダイヤ「千歌さんなりに、何かと思う事もあったでしょう」
千歌「……うん」
ダイヤ「千歌さんが、終わらせると決意したのなら。私は応援致しますわ」
千歌「ありがとう、ダイヤさん」
361 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/08(月) 00:14:16.43 ID:vlpX5WjlO
〜〜〜
千歌「今までありがとうございました」ペコッ
ダイヤ「なんです、改まって」
千歌「ご迷惑をおかけしました」
ダイヤ「いいのです。好きでやったことですから」
千歌「本当に、お世話になりました」
ダイヤ「ええ」
千歌「さよなら、ダイヤさん」
ダイヤ「――それは違いますわ」
千歌「……え?」
ダイヤ「さよならは、私たちの挨拶としてふさわしくありません」
千歌「……そうだね。そうだった」
千歌「行ってきます」
ダイヤ「ええ、行ってらっしゃい」
362 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/08(月) 00:14:46.29 ID:vlpX5WjlO
―――
―
佐原「もう来ないと思ってたよ」
千歌「私もそのつもりだった」
千歌「今日で、本当に終わり。何もかも……終わらせるから」
佐原「この部屋を引き払うのかい?」
千歌「そのために片付けるの。夕方に引っ越しの業者さんが来るよ」
佐原「……まあ当然か。あんなことをしでかした僕とは、一刻も早く縁を切りたいよね」
千歌「このアパートに住んでいていいよ。私は実家に帰る予定だから」
佐原「君、今の仕事はどうするつもりなんだ?」
千歌「有給消化したら退職するよ」
佐原「じゃあ、面倒事は粗方済ましてきたわけか」ガタッ
千歌「……どこに行くの?」
佐原「外に。僕がいたら邪魔だろう」
千歌「……」
ガチャッ
363 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/08(月) 00:15:43.49 ID:vlpX5WjlO
―――
―
パチンコ店
善子「あいつ……今日も来てる」
善子(自分の手帳が盗まれたこと、気付いてないのかしら)
佐原「……」スタスタ
善子「あんた……」
佐原「一万円、両替お願いします」
善子「今日は故障してないはずだけど」
佐原「早く」
善子「……」ガチャッ
善子「アンタさ……最近何かヤバいことしてるでしょ」
佐原「ヤバいこと?」
善子「なんていうか、勘よ。そんな雰囲気纏ってる」
佐原「何言ってるんだ」
善子「フフッ、私にはわかるのよ。この邪気眼を持ってすれば……って、アンタには通じないか……」
佐原「……やっぱりそうか」ククッ
364 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/08(月) 00:16:12.40 ID:vlpX5WjlO
グイッ
善子「――っ!」
善子(やば……なんでこいつ、ナイフなんか持ってきてんのよ……!)
善子「……なんのつもり、それ」
佐原「君なら分かるだろう。返してもらうためにきたんだ」
善子「言ってることの意味が……」
佐原「あの日、家に帰ってすぐに気づいたよ」
善子「……!」
佐原「ダメじゃないか。人の物を勝手に盗んじゃ」
善子「アンタにだけは言われたくない」
佐原「ククク……そりゃそうだ」
佐原「さあ、早く持ってくるんだ。事務室にあるなら僕も着いていくけど?」
善子「……ないわよ」
佐原「状況わかってる?」
善子「無いって言ってんでしょ。知り合いに渡したの」
佐原「……」
365 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/08(月) 00:16:39.02 ID:vlpX5WjlO
先輩「――アンタ、なにしてんの?」
佐原「君は」
善子「矢澤先輩……」
先輩「あたしの大切な後輩に、なんてもん突きつけてくれてんのよ」
佐原「ねえ、人質って知ってる?」グイッ
善子「きゃっ……!」
先輩「警察呼ぶわよ! ナンバーは既に押してる……あとはコールするだけなんだから……!」
佐原「かけた瞬間この子は殺す」
善子「あ……ぁ……」ガクガク
先輩「くっ……」ギリッ
佐原「……大切な人を傷つけられた時の顔ってのは、どうしてこうも恐ろしいんだろうね」
先輩「私の大事な後輩に、手出しなんてさせない」
善子「いいから……逃げて」
先輩「善子は黙ってなさい」
366 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/08(月) 00:17:28.51 ID:vlpX5WjlO
ザッ…ザッ…
佐原「僕が店から出るまで動くなよ」
善子「う……ぅ……」グスッ
先輩(なんでこんな時に限って他に客がいないのよ……!)
善子「……アンタ、どうするつもりなの?」
佐原「は?」
善子「手帳返してもらいに来たんでしょ。こんなことしたって、意味なんかない」
佐原「関係ないんだよ。警察を呼ばれたら、元も子もない」
善子「……私がもう呼んでるって言ったら?」
佐原「どういうこと?」
善子「私のケータイ、ガラケーなの。ポケットの中で操作するのは簡単よ。先輩に気を取られて、私のことはお留守になってたみたいね」
佐原「……そんなハッタリが通じると思うかい?」
善子「もうすぐ来るはずよ。交番、ここから近いでしょ」
佐原「……」
367 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/08(月) 00:17:54.60 ID:vlpX5WjlO
スルッ
佐原「――くそっ!」ダッ
ウィーン
善子「う……ぅ……」ヘナヘナ
先輩「善子っ!」
善子「先輩……矢澤せんぱーい……!」ウルウル
先輩「バカ、私のことはにこにーって呼びなさい」
善子「そんな恥ずかしい呼び方、できるわけないですよ……」グスッ
先輩「怪我はないわね? 心配かけんじゃないわよ、ったく」
368 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/08(月) 00:18:31.71 ID:vlpX5WjlO
―――
―
ガチャッ
千歌「……あれ、佐原君?」
佐原「出して」
千歌「え?」
佐原「早く出せっ!」
千歌「待って、何のこと言ってるのか……」
佐原「早くっ!!」グイッ
千歌「――!」
千歌「なにそれ……なんでナイフなんか……」
佐原「津島さんから手帳を受け取ったのは君だろう」
千歌「津島……善子ちゃんのこと? 違うよ……私、善子ちゃんのことなんて何も……」
佐原「君以外に誰がいるっ!? この辺に住む人で、津島さんとやり取りするような人間なんて……!」
千歌(ダメだ、ヒステリー起こしてる。話なんて通じない)
千歌(一体何があったの? 善子ちゃんと何の関係があるの?)
千歌(警察……ダメ、スマホは今手元にない)
千歌「誰か助けて……よーちゃん……助けて……!」
369 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/08(月) 00:19:26.87 ID:vlpX5WjlO
―――
―
数時間前
曜「梨子ちゃん、明日はクリスマスイブだよ」ニコッ
梨子「そうね」
曜「久々の三連休だからさ! 今日は梨子ちゃんとゆっくりしてたいんだ」
梨子「私も、今日は曜ちゃんとくつろぎたいよ」
梨子(できることなら……ね)
曜「えへへ……梨子ちゃん」ギュー
梨子「曜ちゃん……」ナデナデ
梨子(でもそれは、もう叶わない)
梨子「あのね、曜ちゃん」
曜「ん? なに、梨子ちゃん」
370 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/08(月) 00:20:26.22 ID:vlpX5WjlO
梨子(この先に進めば……多分もう、戻れない)
梨子(わかってる。それが正しいんだ)
梨子(なのに……なのに……)
曜「梨子ちゃん……どうして泣いてるの?」
梨子「うっ……うぅ……」ポロポロ
曜「梨子ちゃん?」
梨子「――何かあったら、いつでも連絡してほしいな」
曜「え?」
梨子「そして……辛くなったら、また私を頼ってね? これだけは、守って欲しい」
曜「ちょ……何言ってんの、梨子ちゃん。まるで、この部屋から出て行くみたいな……梨子ちゃん、飛行機の日まであと4日もあるじゃん」
梨子「私、内浦に帰ろうと思う」
曜「え……待って、いきなりすぎるよ。帰る時は一緒に帰ろうって約束したよね。しかも私、梨子ちゃんとヨーロッパに行くって……」
梨子「うん。でも曜ちゃんは……ヨーロッパには行かないの」
曜「は?」
梨子「曜ちゃんにはまだ、やることがあるでしょう」
曜「やることって……」
梨子「――千歌ちゃんに、会いに行こう」
曜「千歌……ちゃん?」
371 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/08(月) 00:21:02.84 ID:vlpX5WjlO
―――
―
曜「ここが……千歌ちゃんのアパート?」
梨子「うん。驚いた?」
曜「嘘でしょ、こんなに近い所に住んでるなんて……」
梨子「私も、初めて聞いた時は驚いたわ」
曜「千歌ちゃんに……」
梨子「さあ、曜ちゃん」
曜「嫌だ……会いたくないよ」
梨子「どうして?」
曜「怖いんだ、私。裏切られるんじゃないかって、傷つくんじゃないかって」
梨子「……ねえ、曜ちゃん」
梨子「千歌ちゃんは、なんて言ってた?」
曜「え?」
梨子「確かに千歌ちゃんは、私たちに何の相談もせずに姿を消した」
梨子「でもそれって……私たちを、信じてるからじゃないかな」
曜「信じてる……?」
梨子「それくらいで、私たちは駄目になったりしないって。私たちの関係が、なかった事にはならないって」
曜「それは……」
372 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/08(月) 00:21:29.93 ID:vlpX5WjlO
梨子「ねえ曜ちゃん。もう一度、千歌ちゃんを信じてあげて」
梨子「自分の気持ちに、素直になってあげて」
梨子「千歌ちゃんの気もちに……答えてあげて?」
曜「ふっ……ぅ……うん……」ヒグッ
梨子(だって……貴方が本当に好きなのは……心の底から愛しているのは)
曜「……」ゴシゴシ
曜「……千歌ちゃん!」
梨子(――そうでしょう?)
梨子(たった数週間……ほんの少しの間だったけど)
梨子(貴方と過ごした時間は、私にとって……あの頃に負けないくらい、キラキラとした宝物だった)
梨子「ありがとう、曜ちゃん……私、本当に幸せだったよ」ポロポロ
373 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/08(月) 00:22:18.71 ID:vlpX5WjlO
曜「……あれ」
梨子「……ふぇ?」グスッ
梨子「どうしたの、曜ちゃん」ゴシゴシ
曜「あの人……ほら、こっちに向かってくる」
梨子「本当だ。このアパートの人かな」
曜「――っ!」グイッ
梨子「えっ……ちょ、曜ちゃん!?」
曜「ヤバい……あの人、ナイフ持ってる!」
梨子「うそっ……!?」
佐原「フーッ…フーッ…」
ガチャッ
梨子「こっちには目も留めないで…………え?」
曜「どうしたの、梨子ちゃん」
梨子「あそこ……千歌ちゃんの……!」
曜「――そんなっ!」
曜「千歌ちゃん!!」ダッ
梨子「待って曜ちゃん! 警察に任せた方がいいよ!」グイッ
曜「離してっ、千歌ちゃんが……今から警察を呼んでたんじゃ間に合わない!」
梨子「怪我じゃ済まないかもしれない……相手は刃物を持ってるのよ!?」
曜「それでもっ!!」
曜「千歌ちゃんを……助けなきゃいけないから」
梨子「あ……」スルッ
ガチャッ
374 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/08(月) 00:23:02.87 ID:vlpX5WjlO
―――
―
曜(鍵は開いてる……)
「早く出せっ!」
「待って、何のこと言ってるのか……」
「早くっ!!」
曜「この声……千歌ちゃんだ!」
佐原「津島さんから手帳を受け取ったのは君だろう」
千歌「津島……善子ちゃんのこと? 違うよ……私、善子ちゃんのことなんて何も……」
佐原「君以外に誰がいるっ!? この辺に住む人で、津島さんとやり取りするような人間なんて……!」
曜(手帳? 善子ちゃん? 何の話……)
千歌「誰か助けて……よーちゃん……助けて……!」
曜「――っ!」ダッ
375 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/08(月) 00:24:10.22 ID:vlpX5WjlO
佐原「なっ……なんだ君は!」
曜「ああああああっ!!」ガッ
佐原「くっ……」
曜(よし、押さえつけた! あとはナイフを……)
佐原「どけっ!」ドゴッ
曜「うっ……かはっ……」
曜(ヤバい、みぞ殴られた)
曜「う……ぅ……」ガクッ
千歌「――よーちゃん!! 危ないっ!!」
佐原「邪魔しやがって!」ブンッ
梨子「えいっ!」
曜「……え?」
佐原「ぐあっ……離せよ! なんなんだ、次から次へと……!」グイッ
梨子「きゃあっ!」
バタンッ
376 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/08(月) 00:25:47.59 ID:vlpX5WjlO
曜「梨子ちゃん……!」
曜(ダメだ、まだ力が……)
千歌「りこちゃん!」パタパタ
千歌「梨子ちゃん……血が……!」
梨子「いっつ……大丈夫よ、壁に頭ぶつけたけど、かすり傷だから」
曜(梨子ちゃん……ありがとう、助けてくれて)
千歌「ひどい……ひどいよ。佐原君、暴力だけは絶対にしない人だと思ってたのに……!」キッ
曜「さは……ら……?」
『あの人なの……よーちゃんからお金を奪ったのは、佐原君なの』
曜「――っ」
佐原「なんだよ……そんな目で……」
曜「ハアッ…ハアッ…」
曜(よし、動ける……力も入る!)
佐原「そんな目で…………僕を見るなあああああああああああああああ!!!」ブンッ
377 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/08(月) 00:28:02.58 ID:vlpX5WjlO
曜「――っ!!」
パシッ
男「ぐっ、腕離せよっ……!」グイッ…グイッ…
男「その顔……そうか、君はあの時の……」
男「クソッ……女のくせに、なんでこんなに力が……!」
曜「……私はいいよ。何をされても」
曜「昔からバカやってた分……傷つくのも、悲しいのも、笑って誤魔化せる」
曜「色々と適当だからさ……お金を取られたことも、もう一度Aqoursが……なんて騙されたことも、全部私がマヌケだったんだって自分を納得させられる」
曜「だから……君にされたことは、もう怒ってないんだ」
曜「でも……でもね」ギュウウウッ
曜「――どんな理由があろうと!! 私は千歌ちゃんを傷つける奴は許さないっっっ!!!」
378 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/08(月) 00:29:19.94 ID:vlpX5WjlO
千歌「よーちゃん……」ポロポロ
男「いたっ……痛いっ! 離してくれ……!」
ポロッ…カランッ…
曜(ナイフを落としたっ……!)
ガッ…カラカラ…
曜「ナイフは向こうに蹴り飛ばしたよ。もう観念して」
男「くうっ……」
曜「こんなボロいアパートに、二人は住んでたんだね」
千歌「あの……違うんだよ、よーちゃん」
曜「何が違うの? だってそういうことじゃん……この男は、このアパートに合鍵を使って入った。その部屋に、こうして千歌ちゃんの私物がたくさんある」
曜「そんなの……ひとつしかないじゃん」
379 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/08(月) 00:36:48.07 ID:vlpX5WjlO
男「……違う」
曜「は?」
男「高海さんは実質、僕と同棲なんてしてない」
曜「この期に及んで何を……!」
梨子「曜ちゃん……聞いてあげて?」
曜「梨子ちゃん……?」
男「最初の1ヵ月くらいだよ。まともに2人で暮らしていたのは」
男「そのうち高海さんの方から離れていった。それで確信したよ」
男「この人は、僕に同情していただけだったんだ……って」
男「僕は実質中卒で、そんな人間がすぐに就ける仕事と言えば、夜の土方くらいしかなかった」
男「対して高海さんは、しっかり高校を卒業している。家族と時折連絡も取っていたらしい」
男「まともな経歴さえあれば、ちゃんとした仕事にありつける。段々と顔を合わせる頻度も少なくなっていったよ」
男「僕と高海さんは、何もしていないんだ……何一つ」
380 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/08(月) 00:56:56.48 ID:vlpX5WjlO
プルルルルル……
千歌「電話……?」
ダイヤ『もしもし、千歌さんですか?』
千歌「ダイヤさん……」
ダイヤ『千歌さん。彼は、傍にいらっしゃいますか?』
千歌「うん、いるよ」
ダイヤ『代わってください』
千歌「わかった」
千歌「はい」スッ
佐原「……誰?」
ダイヤ『失礼いたします。私、黒澤ダイヤと申しますわ』
佐原「くろさわ……まさか!」
ダイヤ『ええ。貴方の思い浮かべる黒澤家で、間違いないかと』
佐原「……フン。今更なんだっていうんだ」
佐原「黒澤家が佐原家を見限った理由は知ってる。しかも、二世代も昔の話だ。直接アンタには関係ない。それなのに……今更何の用?」
ダイヤ『貴方のご両親と連絡がつきましたの』
佐原「……は?」
ダイヤ『都合がよろしければ、内浦へ足を運んでくださいな』
佐原「いや、ちょっと待ってくれ。意味がわからない」
ダイヤ『話はそれだけですわ。では――』
381 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2018/01/08(月) 00:58:00.56 ID:vlpX5WjlO
梨子「待ってください」
ダイヤ『あら? 梨子さんもいるのですか?』
梨子「今から内浦になんて無理よ。だって、もう警察を呼んでいるもの」
佐原「……」
梨子「私の傷と、貴方の包丁。現行犯逮捕は確定よ。それに……」スッ
佐原「それは……!」
梨子「この手帳を使って詐欺罪で起訴するつもりだしね。貴方が内浦に帰るのは当分先になりそうよ」
佐原「……そんな物が証拠になるとでも?」
梨子「確かにこの手帳は証拠能力は薄いかもしれない。でも貴方の身元が割れた以上、重要参考人として捜査してもらうことはできるわ」
曜「梨子ちゃん……?」
千歌「ねぇ……なんか梨子ちゃんが怖いんだけど」コソコソ
曜「乱暴にされたこと怒ってるのかな」ボソボソ
梨子「そこ、聞こえてるわよ?」ニコッ
ようちか「ひいっ……」
佐原「なら、僕はここから逃げるしかないね」
曜「……逃げられるとでも思ってるの」
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