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久「あんたが三年生で良かった」京太郎「……お別れだな」
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117 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/28(木) 00:08:48.80 ID:z91xrXPOO
乙
118 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/28(木) 00:23:05.20 ID:ZjR0CaqHO
乙です
119 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/12/28(木) 23:10:05.96 ID:eJHwlPbD0
>>116
乙でした!
120 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/28(木) 23:38:45.48 ID:uFwczJ5A0
age荒らしかよ
121 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/29(金) 01:45:40.99 ID:UL1SlvR20
申し訳ない
sageが消えてるのに気付かなかった
122 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2017/12/29(金) 23:51:00.09 ID:3Czur1pM0
こんばんはー
もう少ししたらやろうかと
123 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/30(土) 00:06:29.21 ID:q/mfahJAo
あい
124 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2017/12/30(土) 00:29:44.64 ID:Iw+vyAO+0
んじゃあ始めます
125 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2017/12/30(土) 00:38:04.15 ID:Iw+vyAO+0
姫子「次、こっち来っていつですか!」
京太郎『いきなりなんだよ。なんかいいことでもあったのか?』
姫子「先輩があっちこっちで女の子ばたぶらかしとーと思い出しました」
京太郎『言い方っ!』
京太郎『そりゃ、事実の一端を含んでないことも無きにしも非ずだけどな?』
姫子「大半真実やないですか。私とも哩先輩ともキスしたくせに」
京太郎『あ、やめて。それ持ち出されたら反論できなくなる』
姫子「ほら、やっぱし」
京太郎『……まぁ、自分でもそういうのはいい加減なんとかしようとは思ってるんだよ』
姫子「そいって、本命ば決めるってこつですか?」
京太郎『うわぁ、その言い方やだなぁ』
姫子「そがん言うても事実やないですか」
京太郎『うぐっ』
姫子「なら、今ここで返事を――あ、やっぱいいです」
京太郎『頼まれても言わねーよ。電話口でなんて失礼だしな』
姫子「――もしダメでも最悪鎖で縛って既成事実を……」ブツブツ
京太郎『うおーい、なんか不穏当な言葉が聞こえるんですけどっ』
姫子「とにかく、いつ来っかちゃんと教えてください」
126 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2017/12/30(土) 00:44:08.43 ID:Iw+vyAO+0
姫子(きっとそん時、先輩は私に……)
京太郎『そうだな……ゴールデンウィークあたりにはそっちに行けそうだ』
姫子「なんですか、はっきいしませんね」
京太郎『無茶言うな、まだ一ヶ月以上先の話だろうが』
姫子「しょんなかですねぇ……とりあえずりょーかいです」
京太郎『お前の予定は?』
姫子「んー、前半は家で、後半は学校ですかね?」
京太郎『ん、それじゃあ佐賀だな』
姫子「うち来ます?」
京太郎『そっちが迷惑じゃなければな。そういや、あいつも帰ってくるんだよな?』
姫子「哩先輩ですか?」
京太郎『ああ、まあな』
姫子「……」
127 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2017/12/30(土) 00:50:27.01 ID:Iw+vyAO+0
姫子(先輩ん言葉には、どっかいつもと違う響きがあって)
姫子(やけん、やな予感が頭ん中に浮かんで……)
姫子「いますよ」
京太郎『ん、そうか』
姫子「とにかくっ、デートとプレゼント楽しみにしてますから! そいぎっ」
京太郎『あ、おい――』ピッ
姫子「……うん、きっと大丈夫」
姫子(あん二人がくっつくなら、私的にもあり)
姫子(想像すっとちかっと……ホントにちかっとだけ痛いけど)
姫子(京太郎先輩にはビンタかひっかくかして、哩先輩にはおめでとうって)
姫子(ついでにしかともなかイタズラでもして……嘘泣きとか、ほっぺたにキスとか)
姫子(そいで完璧……)
姫子(――少なくともこん時は、そがん思ってた)
128 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2017/12/30(土) 00:55:59.38 ID:Iw+vyAO+0
哩「京太郎……」
京太郎「哩――んっ」
姫子「あ……」
姫子(私には、大好きな先輩が二人)
姫子(深か絆で結ばれとる人と)
姫子(縛り付けてでも、つながりたい人)
姫子(ばってん、そん二人が、抱き合って、キスして……)
姫子「あ、れ……」
姫子(本当なら、二人ん前で涙でも見せて、嘘泣きですって舌出して)
姫子(女ったらしの先輩にはビンタん一つでもくらわして、不意打ちでほっぺたにキスして)
姫子(そいで、最後には二人におめでとうって……)
姫子(やけん――)
129 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2017/12/30(土) 01:04:57.57 ID:Iw+vyAO+0
姫子「なんね、こい……」
姫子(想像してた、はずなのに……)
姫子(大丈夫って、思ったのに……)
姫子(心ん中でもこがん黒かもん、絶対ダメなのに)
姫子(どっかから際限なく溢れてきて……)
姫子「――っ」
姫子(私は、そん場からちん逃ぐった)
130 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2017/12/30(土) 01:13:53.29 ID:Iw+vyAO+0
姫子「……」
姫子(二人は互いにすいとって……やけん抱き合って、キスして)
姫子(つまり、そいは――)
姫子「……ダメやね」
姫子(しかつか頭で考ゆっとも、いっちょんまとまらん……)
姫子(そいばってん、私ん中の黒か気持ちは澱のようにどんどん溜まって……)
姫子(口からひっと出たのは――)
姫子「――置いてかれちゃった」
姫子(そん一言は真実のように思えて)
姫子(そいがぐちゃぐちゃな心ん中にくるった答えはシンプル)
姫子「置いてかれるなら――」
131 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2017/12/30(土) 01:22:28.73 ID:Iw+vyAO+0
京太郎「悪い、お前の気持ちに応えられなくて」
哩「……そう」
哩(そん言葉を予想してなかったとは言えん)
哩(そがんこつも十分あっと思ってた)
哩(やけん、表面上は冷静でいられた)
哩(……あくまでも、表面上は)
哩「もう顔上げてよかよ」
京太郎「……多分結構ひどい顔してるから、見せたくないんだよ」
哩「私は見たいかな」
京太郎「キツイ事言ってくれるな……」
哩「そいはこっちも同じやけん」
京太郎「まったくもってその通りだ」
哩(彼はそがん言うと、顔ば上げて――)
132 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2017/12/30(土) 01:30:12.24 ID:Iw+vyAO+0
哩「……こすかね」
京太郎「もうなんとでも言ってくれ」
哩「そがん顔しよったらね……くらすっとも考ゆったけども」
京太郎「骨の一本ぐらいならくれてやる」
哩「やけん、よかて」
哩(そいでも、もやもやとした気持ちは残って)
哩(……後で泣こうかな)
哩「こん後は?」
京太郎「ん……あいつと会う約束してる」
哩「そう、姫子と」
京太郎「こっちに他の知り合いもいないしな」
哩「ならそん顔、どがんかすっとよかて思う」
京太郎「まじかぁ……まだ時間あるし、顔洗っとこうかな」
哩「そうやね」
133 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2017/12/30(土) 01:35:38.45 ID:Iw+vyAO+0
哩(姫子と会う……そいはこっちに来よっけん、当然の流れ)
哩(ばってん、私は思かぶって)
哩(そいは、姫子にはどがん答えるか、ということで……)
京太郎「あいつ、今年もプレゼントよこせってうるさかったんだよな」
哩「……」
京太郎「今日渡すって言ったけど、まだなにも買ってないんだよなぁ」
哩(私にとっては、そいが答えになった)
哩(つまり、京太郎は姫子を――)
哩「――っ」
哩(心ん中にあったのは、祝福とちかっとした痛みと……)
哩(判別がつかん、黒か気持ち)
哩「……」ギュッ
134 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2017/12/30(土) 01:41:57.77 ID:Iw+vyAO+0
哩(外側から胸ば抑えても、なんにんならんで)
哩(なんでか、姫子ん泣き顔が浮かびよって)
『まいるぜんばぁい、いがないで〜』
哩(私が卒業すって時にいつも……ああ、そっか)
哩(――今度は、私が置いてかれる番か)
京太郎「おい、大丈夫かよ」
哩「……」
京太郎「哩、哩……!」
哩「あ……京、太郎」
京太郎「……悪い、いい気分なわけないよな」
135 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2017/12/30(土) 01:47:13.34 ID:Iw+vyAO+0
哩(本当なら、抑えなきゃならん気持ち)
哩(やけん、どーろこーろせんといけなくて)
哩(……無理、無駄、なんにんならん)
哩「もう、ダメ……」
哩(スッと、距離ば詰める)
哩(いつもと同じ匂いと、温もり)
哩(ばってん、これからはもう……)
哩「京太郎……」
哩(私ん肩に京太郎ん手)
哩(引き離そうと――そん力はばってん、あくまでも優しくて)
哩(私は、京太郎の首筋に手ば回して――)
136 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2017/12/30(土) 01:51:17.12 ID:Iw+vyAO+0
京太郎「哩――んっ」
哩(そこでようやく自分の気持ち、そん正体に気づいた)
哩(あいは――チリっとした嫉妬と、寂しさ)
哩「……ごめん」
京太郎「いや、俺も悪い……っつーか俺が悪い」
哩「やっぱイケメンやね」
京太郎「褒めてもなんも出ないぞ……さて、俺はもう行くかな」
哩「うん、頑張って」
哩(京太郎ん背中ば見送って、そこで気づいた)
哩(あん黒か気持ちが、いつんはじゃあこまかくなっとる……)
哩(……そいがどこに行ったかも知らんで)
137 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2017/12/30(土) 01:58:13.86 ID:Iw+vyAO+0
京太郎「……遅いな、もう30分過ぎてるぞ」
京太郎「今まで多少遅れることはあっても、ここまでのはなかったよな」
京太郎「寝坊か時間の勘違いか……何かトラブったか」
京太郎「……とりあえず電話だな」プルルル
姫子『せん、ぱい……?』
京太郎「思ったよりあっさり出たなぁ、おい」
姫子『どがんしたとですか?』
京太郎「こっちのセリフだっての。まさか寝起きか?」
姫子『……あがん見せられて、そいこそ無理ですよ』ボソッ
京太郎「とにかく、なんもないなら早く来いよ。なんなら迎えに行くぞ」
姫子『……なして優しくすっとですか』
京太郎「なんでって、基本お前には甘くしてると思うけど」
姫子『……』
京太郎「姫子? おーい、大丈夫かー?」
姫子「大丈夫なわけ、ないやないですか……」
138 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2017/12/30(土) 02:05:55.24 ID:Iw+vyAO+0
京太郎「うわっ、いたのかよ」
姫子「いました。先輩が来っ十分ぐらい前から」
京太郎「新手のイタズラかよ……」
姫子「ね、先輩?」
京太郎「なんだ? プレゼントならもうちょっと待ってくれよ」
姫子「先輩は、鎖ってどがん思います?」
姫子「すいとー人をつないで、つなぎとめて」
姫子「すいとー人とつながれて、つなぎあって」
姫子「どこにも行かないで、どこにも行かせない」
姫子「そがん関係、よかて思いません?」
京太郎「お前、なに言って――」
姫子「えいっ」バチッ
京太郎「――あがっ」ドサッ
姫子「思ったんです。置いてかれるなら、どこにも行けんようにすればって」
姫子「あ、こいですか? スタンガンですけど、命に別状はなかって聞きました」
姫子「まぁ、どっか障害残っかもですけど、大丈夫ですよ」
姫子「私がずーっと一緒にいてあげますからっ」
139 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2017/12/30(土) 02:15:00.30 ID:Iw+vyAO+0
京太郎「うっ……」
京太郎(どこだ、ここ……)
京太郎(そもそも俺、なにしてたんだ?)
京太郎(姫仔たちに会うために佐賀に来た……だよな?)
京太郎(約束の前に哩に会って、その後は……)ジャラ
京太郎(鎖……つながれてるのか?)
姫子「あ、先輩。やっと起きたとですか」
京太郎「ひめ、こ……」
姫子「はい、京太郎先輩の姫子です」
京太郎「こぇ、なん……」
京太郎(……舌が回らない)
京太郎(おまけに、足の感覚が鈍い……)
京太郎(たしか、最後にすごい痛みが走ったような)
140 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2017/12/30(土) 02:28:29.26 ID:Iw+vyAO+0
姫子「まだダメージ残ってます?」
京太郎「おまぇ、なにしぇ……」
姫子「無理せんでも、私がしっかりお世話してあげますよぉ」
姫子「とりあえず、こい飲んでください」
京太郎「……」
姫子「やですか? しょんなかですね……んっ」
京太郎「――っ」ゴクッ
姫子「ん、心配いらんですよ。毒ってこつはありませんから」
京太郎(飲まされたけど、直ちに異常はなさそうだ)
京太郎(……そもそもなんなんだ、この状況は)
京太郎(こいつはなんで俺にこんなことを……)
京太郎(本当なら、デートしてプレゼントも買ってやって、その後――)
141 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2017/12/30(土) 02:36:31.47 ID:Iw+vyAO+0
京太郎「くっ……!」
姫子「効いてきました?」
京太郎(なんだこれ、体が……!)
姫子「がば元気になっ薬、飲んでもらいました」
姫子「ホントはそがん抜きでしたかったですけど、哩先輩やないと乗り気になれんと思いまして」
京太郎(こいつ、なに言ってんだ……)
京太郎(ダメだ、体が熱くてなにも考えられないっ)
姫子「あはっ、先輩もすっかりやる気やないですか」
姫子「私も、んっ……準備はオーケーです」
姫子「いっぱい、いーっぱい気持ちよかこつしましょうね、せぇんぱい♪」
142 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2017/12/30(土) 02:45:37.56 ID:Iw+vyAO+0
姫子「んっ……もうお腹ん中、タプタプです」
京太郎「はぁ、はぁ……ひ、姫子」
姫子「なんですか? あ、まだし足りんと?」
京太郎「お前、なんでこんなこと……!」
姫子「なしてって……私が先輩んこつがばすいとーからですけど」
京太郎「お前な、それだったらちゃんと――」
姫子「哩先輩ですよね?」
京太郎「……は?」
姫子「見ました。二人がキスしとっとこ」
京太郎「お前、まさかそれで……」
姫子「だって、やじゃなかとですか? 置いてかれるの」
京太郎「そんなわけないだろ、だって俺はお前に好きだって言うためにここまで来たんだぞ!」
姫子「あはは、うれしゅうばってん、無理せんでもよかとですよ?」
京太郎「バカ野郎! 俺の話ちゃんと聞いてんのかよ!?」
姫子「はい。やけん先輩が本心からそがん言ってくれるまで、待ってます」
京太郎「だからな――」
143 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2017/12/30(土) 02:55:21.42 ID:Iw+vyAO+0
哩「姫子……!」
姫子「あ、哩先輩。遅かけん、先にいただいちゃいました」
哩「自分がなんばしょっとかわかっとっと!?」
姫子「しょんなかですよ。私、二人に置いてかれたくなかとですから」
哩「もうよか……京太郎ば解放しんしゃい」
姫子「そいで、二人して私ば置いてくんですよね?」
哩「やけん――」
京太郎「ダメだ、今のこいつには全然話が通じない」
姫子「京太郎先輩がウソ言いよっけん、私ばすいとーって」
京太郎「……こんな感じなんだよ」
姫子「あん時、キスしとっ二人ば見て、思いました」
姫子「おめでとうって言わんと、おめでとうって言わんとって」
姫子「ばってん、無理でした」
姫子「心ん中に黒か気持ちがどんどん広がって」
姫子「ああ、私は二人に置いてかれるんだって」
144 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2017/12/30(土) 03:04:35.57 ID:Iw+vyAO+0
哩「……」
哩(ああ、そっか……)
哩(私ん中にあったはずの黒か感情は、姫子んところに……)
哩(今、流れてくっこん気持ちも元は私んもんで……)
哩「……京太郎」
京太郎「悪い、情けないけどお前の力を借りなきゃ――んむっ」
哩「んっ――ごめん、ばってん私も……」
哩(もし姫子が京太郎ん気持ちば受け入れれば、今度は私が置いてかれる)
哩(なら、いっそこんまま……)
哩(……ころか女やと自分でも思う)
哩(そいばってん、京太郎と……)
145 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2017/12/30(土) 03:14:56.86 ID:Iw+vyAO+0
姫子「えへへ、こいで哩先輩も一緒ですね」
哩「姫子はそいでもよかと?」
姫子「当然です。こん前もあがん泣きよったやないですか」
哩「……そう」
哩(私たちん心はつながっとる)
哩(そいがどがん歪なもんでも……)
京太郎「お前ら……」
哩「大丈夫、大丈夫やけん」
姫子「待っててくださいね。今元気になっ薬、飲んでもらいますから」
哩(そして、私たちは――)
146 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2017/12/30(土) 03:23:52.67 ID:Iw+vyAO+0
姫子「ん、今動きました」
哩「しばらくはおとなしくしとっとね、よか?」
姫子「大丈夫ですよ、産休取りましたし」
哩「私生活でって意味やけん」
姫子「そいぎ先輩も一緒です。まだ目立っとらんですけど」
哩「まぁ、そいは自分でわかっとっけん、大丈夫」
姫子「とか言ってますけど、哩先輩こそなんも言わんで無茶しません?」
哩「……まいるよ」
姫子「あはは、持ちネタ出た」
『哩姫コンビ、ダブル妊娠発覚――!!』
姫子「あ、すごい。見出しにデカデカと乗ってますよ」
哩「けっこう騒がれとっとね」
姫子「IPS細胞がどうとかで、お互いの遺伝子で受精したんじゃないか……とか書いてますね」
哩「なんね、そいは」
姫子「ホントですよね。私たちにはちゃーんと愛すっ旦那様がいるのに」
哩「そうやね」
147 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2017/12/30(土) 03:30:38.41 ID:Iw+vyAO+0
京太郎「おかえり、二人とも」
姫子「ただいまです」
哩「ただいま」
京太郎「ちょうど晩飯できたんだ。冷めないうちに食おうぜ」
姫子「そいより帰ったらなんばすっか、忘れちゃいました?」
京太郎「バカ、忘れるわけないだろ。ほら……」
姫子「――んっ」
京太郎「哩も」
哩「――んっ」
京太郎「愛してるよ、哩、姫子」
148 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2017/12/30(土) 03:41:21.08 ID:Iw+vyAO+0
姫子「今夜もいーっぱいしましょうね」
哩「こら、妊婦は安静にせんとダメやろ」
姫子「やけん、そい哩先輩にもちかっぱブーメランですよ?」
哩「うっ……」
姫子「しかも明日は産休前の最後の試合やけん、京太郎先輩ん愛をチャージせんと」
哩「そいは……」
京太郎「冷めるぞー」
姫子「はーい」
哩「すぐ来っけん、待っとって」
『エンディング――鎖という名の絆』
149 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2017/12/30(土) 03:44:21.31 ID:Iw+vyAO+0
というわけで終了
言うのを忘れてましたけど
特殊エンドはものによってはかなり特殊な状況になるので注意してください
今回のは一応は姫子エンドからの分岐になります
安価は明日にぶん投げておやすみなさい
150 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/30(土) 03:45:52.56 ID:PyMvGOSLO
おつー
ずっと軟禁され飼われてる?
151 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/30(土) 03:46:27.02 ID:ljJ6HOqdO
乙
152 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/30(土) 03:53:18.61 ID:rVgr5moHO
乙
153 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/30(土) 17:30:39.58 ID:TxDY2Izjo
乙
154 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/30(土) 23:00:05.36 ID:ONMP/vRB0
来てた!乙です!
155 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2017/12/31(日) 00:02:46.20 ID:w6A16SxI0
京太郎は一応自分の意思で二人と一緒にいます
ただ、心が二人に向いているかどうかは……
それはそうと、安価取りたいんですけど、人いますかね?
156 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/31(日) 00:05:20.38 ID:S14WsYNs0
はいはーい
157 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/31(日) 00:06:17.79 ID:0H28E1SoO
うす
158 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/31(日) 00:10:36.71 ID:ehu3eVXSO
いるよー
159 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/31(日) 00:14:47.71 ID:UpvWrFiHO
います
160 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/31(日) 00:15:34.10 ID:J966ZvUDO
いますー
161 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2017/12/31(日) 00:17:03.81 ID:w6A16SxI0
それじゃ、この中からお好きなのをどうぞ
済がついてるのは選べません
個別
大星淡 済
天江衣 済
桧森誓子 済
姉帯豊音 済
三尋木咏 済
神代小蒔 済
ネリー・ヴィルサラーゼ 済
宮永照 済
エイスリン・ウィッシュアート 済
白水哩 済
竹井久 済
福路美穂子 済
松実玄 済
薄墨初美 済
滝見春 済
石戸霞
園城寺怜 済
真屋由暉子 済
清水谷竜華 済
鶴田姫子 済
特殊
久照
久美穂子
小蒔霞
哩姫
怜竜
20分まで
162 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/31(日) 00:17:48.80 ID:ehu3eVXSO
かすみん
163 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/31(日) 00:18:08.22 ID:J966ZvUDO
かすみ
164 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/31(日) 00:18:36.29 ID:S14WsYNs0
霞
165 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/31(日) 00:19:06.59 ID:UpvWrFiHO
霞さん
166 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2017/12/31(日) 00:20:41.10 ID:w6A16SxI0
満場一致なんで霞さんでいきます
それじゃあ、また今度
167 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/31(日) 00:22:10.69 ID:UpvWrFiHO
乙
168 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/31(日) 00:23:49.47 ID:S14WsYNs0
乙ー
169 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/31(日) 00:27:46.85 ID:ehu3eVXSO
おつおつ
170 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/31(日) 01:22:32.01 ID:WjivTc3A0
哩姫に済付いてないって事は続きがあるって事か…
怖いわ
171 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/31(日) 19:56:05.30 ID:irYjQqGd0
お疲れ様でした
よいお年を!
172 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/31(日) 23:53:37.17 ID:MAN2XhJpO
泉
173 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/01/01(月) 21:06:41.64 ID:oIPSqKe/0
・二年、元日、眩いもの
京太郎「うぅ……さむっ」ブルッ
京太郎「ちょっと散歩のつもりで出たけど、普通に寒いな……」
京太郎「初日の出まで粘ろうと思ったけど、中入ってようかな」
京太郎「コタツに入りながらのんびりと……寝るな、このパターンは」
京太郎「ちょっと夜更かししてたからなぁ」
霞「あら、おはよう」
京太郎「早いな」
霞「色々と準備があるの」
京太郎「年末年始は大忙しか」
霞「もう慣れたわ。実は今も散歩しているだけだし」
京太郎「俺もそうなんだけど……寒くないか?」
霞「そうかしら?」タユン
京太郎「……あついしぼうで寒さ半減ってか」
霞「……どういう意味かしら?」
京太郎「気にするな! お前が唯一無二の財産を持ってるってだけだ」
霞「なにを言っているの?」
京太郎「いいからいいから。ほら、肩凝ってないかー?」モミモミ
霞「あ、ちょっと」
174 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/01/01(月) 21:08:35.71 ID:oIPSqKe/0
京太郎「お、こりゃ結構凝ってんな」
霞「もう……いきなりなにするのよ」
京太郎「うちのばあちゃんの鋼鉄の肩でならした俺の腕、見せてやるよ!」
霞「ちょっ――あっ、んんっ」ビクン
京太郎「おいおい、変な声出すなよ」
霞「だれのせいだと……んぁっ!」ビビクン
京太郎「……」
京太郎(やべ、変な気分になってきた)
京太郎(体動かすたびに凶悪なアレがプルプル震えてるし……)
京太郎「ひょっとしたら、追いつめられてるのは俺なのか……?」
霞「いいから、んっ……もう、許してぇ……」ビクンビクン
175 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/01/01(月) 21:10:06.79 ID:oIPSqKe/0
霞「それで、なにか申し開きは?」
京太郎「調子に乗りました」
霞「はぁ……あなたはいつもこんなことをしているの?」
京太郎「まぁ、たまたまだよ」
霞「ふんふむ、たまたまであんなことをするのね」
京太郎「あんなことって言うけどお前、肩揉んだだけだからな」
霞「それは……たしかにそうね」
京太郎「だろ?」
霞「だけど、セクハラに該当するという見方もできそうじゃない?」
京太郎「うっ、それはまぁ……」
霞「今回は許してあげるけれど。……肩が軽くなったのもたしかだし」
京太郎「うんうん、一目見たときから肩凝ってそうだとは思ったんだよ」
霞「……わかるものなの?」
京太郎「だってなぁ」
京太郎(そんな重そうなものぶら下げてりゃ、だれだってそう思うわ!)
京太郎(それと……)
176 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/01/01(月) 21:12:18.86 ID:oIPSqKe/0
京太郎「肩凝りそうな生き方してるなって」
霞「……」
京太郎「というのは、俺の勝手な印象だけどな」
霞「……そう」
京太郎「ま、人間生きてれば大なり小なりなにか背負ってるもんだ。多分な」
霞「あなたは、それを重いと思ったことはないの?」
京太郎「さぁね。そっちは?」
霞「自分はまともに答えないのに、人には平気で聞くのね」
京太郎「話し相手なんて、それぐらい無責任なのがいいんだよ」
霞「それは……いえ、そうなのかもしれないわね」
京太郎「ははっ、あとはせいぜい肩揉みぐらいだな」
177 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/01/01(月) 21:14:43.56 ID:oIPSqKe/0
京太郎「お、日ぃ出てきたんじゃないか?」
霞「……」
京太郎「どした?」
霞「少し、眩しくて」
京太郎「たしかに寝不足の目にはちょっと沁みるな」
霞「ええ、そうね」
京太郎「……昨日はありがとな」
霞「なにかしたかしら?」
京太郎「四人で結託して色々やってたろ」
霞「気づいていたの?」
京太郎「なんとなくな」
178 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/01/01(月) 21:15:55.10 ID:oIPSqKe/0
京太郎「そういや、ヤケド大丈夫か?」
霞「ヤケド?」
京太郎「飲み物、熱かったみたいだからさ」
霞「そ、それは……」カァァ
霞「むせただけ、むせただけなのっ」グイグイ
京太郎「ちょっ、落ち着け落ち着け」
霞「違うのっ、違うったら違うの――!」
179 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/01/01(月) 21:17:23.98 ID:oIPSqKe/0
というわけで二年の元旦のエピソードでした
哩姫は単に済の付け忘れです
申し訳ない
というわけで去ります
180 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/01(月) 21:52:47.59 ID:v37nVDMEo
あけおめ乙
181 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/01(月) 23:37:18.51 ID:CwvtywHdO
あけおめー
いよいよ霞さんかある意味一番幸せになってほしい娘なんだよなぁー
182 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/02(火) 14:40:58.44 ID:piPPOQc40
>>179
あけおめ!
183 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/02(火) 21:56:40.13 ID:6LKXVyWv0
乙です
184 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/05(金) 15:10:55.74 ID:UhbLHb5x0
今年も応援してます
185 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/06(土) 14:45:40.64 ID:vKMiJN9S0
乙です!
186 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/01/10(水) 01:45:05.42 ID:0qekUzAI0
嶺上開花
187 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/01/11(木) 23:46:50.30 ID:Po9NVGLC0
おひさしこんばんはー
もうちょっとしたら始めようかと
188 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/12(金) 00:12:06.43 ID:5nGVGa/sO
待ってた
189 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/12(金) 00:18:51.89 ID:WFOfw25Q0
ワクワク
190 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/01/12(金) 00:22:41.29 ID:I2BQY5xn0
んじゃ、始めます
191 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/01/12(金) 00:27:05.65 ID:I2BQY5xn0
京太郎「……」
『お願いだから、黙ってて』
『あなたにそれを言われたら、私は……』
京太郎「……はぁ」
「出た、辛気臭いため息」
京太郎「なんだよ」
「かわいい息子が悩んでて、気にならない母親はいないの」
京太郎「なんか、ぞわってきた」
「ちょっとどういう意味よー!」
京太郎「冗談だよ、冗談」
192 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/01/12(金) 00:32:15.70 ID:I2BQY5xn0
京太郎「別に大したことじゃないから」
「わかった、恋の悩みね」
京太郎「なんでそうなるかなぁ」
「自前の恋愛センサーね」
京太郎「余計なものまで感知してそうだな」
「いいから、話しちゃいなさいよ」
京太郎「あーもう、うざったいな……」
京太郎「なんか色々抱え込むやつがいてさ」
京太郎「大丈夫じゃなさそうなのに大丈夫って言い張っててさ」
京太郎「そんでもって、すごい頑固なんだよ」
「ふんふむ……霞ちゃんね」
京太郎「なんなの、エスパーなの?」
「ズバリ、これぞお母さんの恋愛センサーなのよ」
京太郎「もう話打ち切っていいかな」
「ダメ、せっかくだから全部ゲロっちゃいなさい」
193 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/01/12(金) 00:37:09.82 ID:I2BQY5xn0
京太郎「……なんとかしてやりたいとは思ったんだよ」
京太郎「でも、自分にそんな資格とか覚悟があるのかって思ってさ」
京太郎「結局なにもできなかった」
京太郎「いや……大丈夫って言葉に甘えて、なんにもしなかったんだ」
「なるほどねぇ……それで、一つ確認していい?」
京太郎「なにさ」
「好きなの?」
京太郎「……それ、関係あるか?」
「大ありじゃない。だって、それって相手とどうなりたいのかに直結するし」
京太郎「どうなりたい……」
『今までどおりでいられるなら、なにも望まないわ』
京太郎「思い知らせてやりたい」
京太郎「閉じこもって出てこないなら、こじ開けて連れ出して、そして――」
京太郎「自分の幸せってやつと、向き合わせたい」
194 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/01/12(金) 00:40:22.95 ID:I2BQY5xn0
「うーん、青臭い!」
京太郎「あんたがしゃべらせたんだろ!」
「でも、それでいいんじゃない?」
京太郎「……青臭いうえに、独りよがりだ」
「恋ってそういうものじゃない?」
京太郎「恋……これって恋なのか?」
「なにを今更。要約したら、その子に夢中で、しかも幸せにしてやりたいってことじゃない」
京太郎「いや、そこまでは言ってないんだけど」
「だったらまずは自分が向き合って、伝えることは伝えちゃいなさい」
京太郎「聞いてねーし……」
京太郎(資格と、覚悟……どっちもまだ固まってない)
京太郎(だけど――)
京太郎「決めた。とりあえず会いに行く」
「その後は?」
京太郎「決めてない」
「あらら」
京太郎「そこらへんは道中どうにかするよ」
「そう……なら一つだけ」
195 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/01/12(金) 00:44:07.39 ID:I2BQY5xn0
「私のことは気にしなくてもいいから、好きなようにしてきなさい」
京太郎「いきなりなにさ」
「なんとなく」
京太郎「まぁ、普段からしてないけどさ」
「えー? ちょっとはしてよ」
京太郎「どっちなんだよ」
「ふとした時に思い出して」
京太郎「はいはい」
「……霞ちゃん、よろしくお願いね」
京太郎「なんかさ、いやに気にかけてない?」
「ちょっと昔の知り合いに似てるから」
京太郎「昔の知り合い?」
「うん……だから、きっといつか、幸せだって思えるようにしてあげてね」
196 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/01/12(金) 00:47:14.18 ID:I2BQY5xn0
霞「……」
『私では、ダメ?』
『私では、あなたを支えられない?』
霞(違う、違う違う……っ)
霞(これは、ただの気の迷い)
霞(こうして滝に打たれていれば、自然と消えていく雑念)
『ま、それでも不十分っていうんだったら俺に任せとけ。肩揉みぐらいだったらしてやるよ』
霞(だから、そんなに優しくしないで)
『はは、美人ってのは怒っても美人だな』
霞(だから、そんな風に笑わないで)
霞(そうすれば、私は……)
197 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/01/12(金) 00:50:03.69 ID:I2BQY5xn0
明星「お疲れ様です、お姉様」
湧「タオル、どうぞ。体冷えちゃいます」
霞「ありがとう、二人とも」
明星「すごい集中力でした」
湧「やっぱり霞さんってすごいなぁ」
霞「大したことじゃないわ。……ちょっとだけ我慢強いだけ」
初美「お三方ー、そろそろおやつなのですよ」
霞「もうそんな時間なのね」
初美「のめり込みすぎなのですよ」
霞「そうかしら」
初美「何事もほどほどが一番ですからねー。倒れられても困りますし」
湧「あの、私もそう思うというか……まだ水も冷たいですし」
明星「お姉様が倒れたら、みんな心配しちゃいます」
霞「そうね……ごめんなさい、これは私のわがままね」
初美「さ、反省したらちゃちゃっと着替えちゃうのですよ」
霞「ええ、そうするわ」
初美「……」
初美(どうしたものですかねー……)
198 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/01/12(金) 00:53:07.26 ID:I2BQY5xn0
巴「そうなんだ……」
初美「さすがにあのままじゃまずいといいますかねー」
巴「心配、だよね」
初美「というよりも、見るに堪えないのですよ」
巴「姫様もちょっと心配してるみたいだし」
初美「霞ちゃん、隠してるようで隠せてないですからねー」
巴「原因ってやっぱり……そうなのかな」
初美「それはもう、どうしようもないのですよ。ほら、恋は落ちるものと言いますし」
巴「落ちるものかぁ……うん、重力には逆らえないしね」
初美「そのうち霞ちゃんのにっくき脂肪の塊も重力に負けて……おっと、話がそれたのですよ」
巴「は、はっちゃん……」
199 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/01/12(金) 00:56:30.43 ID:I2BQY5xn0
小蒔「はふぅ……おやつ食べたら急に眠気が……」
春「眠そうにしてるのはわりといつものこと」
小蒔「そ、そうですか?」
春「疑いようもなく」
小蒔「むぅ……やっぱりここはその、いめーじの払拭にあたりたいと思いますっ」
春「具体策は?」
小蒔「ええっと……そうです! こーひーを飲むとか!」
春「なるほど、コーヒー……」
『に、にがいですっ。こんなの絶対飲めません!』
春(――ってなりそう)
春「悪いことは言わないから、やめておいたほうがいい」
小蒔「なんでですかっ」
春「コーヒーは大人の味だから」
200 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/01/12(金) 00:59:21.27 ID:I2BQY5xn0
霞「……」スタスタ
小蒔「あ、霞ちゃん」
霞「……あら、小蒔ちゃん?」
小蒔「大丈夫ですか? ぼうっとしてました」
霞「ちょっと、晩御飯の献立で悩んでいたの」
小蒔「食材が足りないなら、私お使い行きますよ?」
霞「ありがとう、小蒔ちゃん。でも、私が行くから大丈夫よ」
小蒔「でも――」
霞「ごめんなさい。本当のことを言うと、他にも用事があるの」
春「……」
霞「だから私が行った方が都合がいいの」
小蒔「そうですか……じゃあ、気を付けて行ってきてくださいね」
霞「ええ」
小蒔「……やっぱり、ちょっと変です」
春「私もそう思う」
小蒔「でも、私も意気地なしです」
小蒔「聞きたいことが、聞かなきゃいけないことがあるはずなのに……」
201 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/01/12(金) 01:02:33.85 ID:I2BQY5xn0
京太郎「……うーん、わからん!」
京太郎「あの石頭が素直に話聞いて頷くわけないよな……」
京太郎「最悪、無理矢理っていう手も――」
初美「悪巧みですかー?」
京太郎「なんだお前か」
初美「なんだとはなんですか」
京太郎「ほっとしたって意味だよ」
初美「むむっ、なにかやましいことがあると見ました」
京太郎「やましいことっていうか……誘拐?」
初美「犯罪者発見なのですよ!」
京太郎「冗談だ冗談……六割ぐらいは」
初美「わりと本気ということですねー……」
京太郎「そんなわけで石戸は元気か?」
初美「ダメダメですね」
京太郎「ダメダメか」
初美「……最近は、神境にいること自体が辛いんじゃないかって」
京太郎「……そうか」
202 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/01/12(金) 01:04:51.32 ID:I2BQY5xn0
京太郎(やっぱり、一筋縄じゃいかなさそうだな)
京太郎「なあ、小蒔と話したいことがあるんだけど」
初美「姫様なら神境ですねー」
京太郎「なら外に呼んできてもらえるか?」
初美「内緒話ですか?」
京太郎「ああ、ちょっとお前らの日常をぶっ壊すことになるかもしれないけど」
初美「それはまた、穏やかじゃないですねー」
京太郎「だから、先に謝っておきたい」
初美「……霞ちゃん、ですか?」
京太郎「ああ」
初美「ふぅ……なら仕方ないですねー」
203 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/01/12(金) 01:07:23.52 ID:I2BQY5xn0
霞「……」
霞(時間が解決してくれる、というけれど)
霞(この痛みはいつになったら消えてくれるのかしら)
霞(……いいえ、痛いなんてこと自体ありえない)
霞(だって、私は――)
204 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/01/12(金) 01:10:45.71 ID:I2BQY5xn0
京太郎「今、暇か?」
霞「……来ていたのね」
京太郎「ああ、先に手紙は送ったよな」
霞「そうね……」
京太郎「話がしたい」
霞「ごめんなさい、ちょっと忙しいの」
京太郎「そうか。じゃあいつならいい?」
霞「わからないわ。少したてこんでいるから」
京太郎「……もしかしなくても、避けようとしてるだろ」
霞「そんなこと――」
京太郎「ないとは言わせないぞ」
霞「……」
京太郎「小蒔たちも気づいてる。お前が辛そうだって」
霞「そんなこと、ないわ」
京太郎「薄墨も言ってた。ここにいるのがいやなんじゃないかって」
霞「そんなわけ……」
京太郎「ないって言えるなら、ちゃんとこっち見て話せよ」
霞「……いやよ」
京太郎「いいからっ」グイッ
霞「あっ……」
205 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/01/12(金) 01:13:51.82 ID:I2BQY5xn0
京太郎「……泣いてるじゃないか」
霞「どうして……どうしてこんなことするのよ」
京太郎「お前の本心が聞きたいから」
霞「話せば、離れてくれるの?」
京太郎「聞いてから決める」
霞「ふぅ……なら、話すわ」
霞「……望んでここに来たはずなの」
霞「初美ちゃんたちと一緒にいたくて、ここに来たはずなのに……」
霞「でも、怖いの……」
霞「お役目だからって、務めを果たさなきゃって……そう思ってたのに」
霞「でも、あの夏の……私が失敗して、小蒔ちゃんを危険な目にあわせたあの時から……怖くてたまらないの」
霞「またああなるんじゃないかって、私の失敗で全てを失うんじゃないかって……」
霞「だから、もっと……もっと心を強く持たなくちゃいけないの」
霞「たとえそれで、自分の心が押し殺されたとしても」
206 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/01/12(金) 01:16:20.32 ID:I2BQY5xn0
京太郎「それが、お前の本心か」
霞「……もう、いいでしょ。いつも通りでいさせて」
京太郎「悪いけど、無理だ。そもそも、俺が一番聞きたかったことがまだだから」
霞「……どういう意味かしら」
京太郎「あの時、俺はお前が大丈夫だって言ったから、その言葉に甘えた」
京太郎「結局のところ、踏み込む覚悟と勇気が足りなかったんだ」
京太郎「お前の言葉で決心がついたよ」
京太郎「お前が不幸ぶって自分を抑え込むなら、俺が無理やりにでも引きずり出してやろうって」
京太郎「他のだれでもない、俺がお前を幸せにしたい」
京太郎「俺はお前が好きだからさ、なんでもなくても笑ってるとこが見たいんだよ」
京太郎「ダメか?」
霞「……聞かなかったことにするわ」
京太郎「じゃあ何度だって言うよ……俺は――」
霞「……ダメ、やめて」
京太郎「お前が、石戸霞が――」
霞「やめてって、言ってるでしょ……!」
京太郎「――好きだ」
霞「言わないでって、言ったのに……」
207 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/01/12(金) 01:19:16.07 ID:I2BQY5xn0
霞(だってこんなの……応えられるわけがない)
霞(私が応えてしまったら……)
霞(でも、もう――)
霞「だってあなたにそれを言われたら、私はきっと抑えられなくなるから……」
霞「ずっと、ずっと蓋をしてようと思ったのに……」
霞「――好き、あなたのことが好きなの!」
霞「そうよ、初恋よ!」
霞「本当はなにもかも捨ててあなたといたい!」
霞「でも、私にはそれができないの……!」
京太郎「それがお役目だから、か」
霞「ええ、そうよ」
京太郎「先に謝っておく。俺はお前のこのままでいたいって願い、ぶっ壊すから」
208 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/01/12(金) 01:22:04.87 ID:I2BQY5xn0
小蒔「霞ちゃん」
霞「――っ!」
小蒔「全部、聞いてました」
霞「ち、違うの、今のは……」
小蒔「全部本心、なんですよね?」
霞「そんなことっ」
小蒔「私もずっと聞きたいことがあったんです」
小蒔「霞ちゃんは、私の身代りというお役目をどう思っていたのかを」
小蒔「今までずっとずっと聞けませんでした」
小蒔「霞ちゃんの優しさに甘えて……ううん、きっと怖かったんです」
小蒔「一緒にいたいから……それを聞けば、離れてしまうかもしれないから」
小蒔「でも、きっとそれがいけなかったんですね」
小蒔「だから聞かせてください」
小蒔「霞ちゃんは、私の身代りという立場でいいのかどうかを」
209 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/01/12(金) 01:24:45.66 ID:I2BQY5xn0
霞「……いいわけ、ない」
霞「うんざりしていたわ……」
霞「なにかを我慢して、なにかを諦めて」
霞「それがお役目だから、お役目だからって……」
小蒔「……そうですか」
霞「ごめんなさい……忘れて」
小蒔「ううん、忘れません」
小蒔「霞ちゃん、あなたをこの神境から追放します」
霞「……え?」
小蒔「お役目があなたの幸せを縛るというなら、解放します」
霞「ま、待って」
小蒔「今までありがとうございました……本当に」
霞「小蒔ちゃん、私は……!」
210 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/01/12(金) 01:28:19.61 ID:I2BQY5xn0
小蒔「それと、京太郎様」
京太郎「ああ」
小蒔「私の、大事なお姉さんをお願いします」
京太郎「もちろんだ」
小蒔「それと――えいっ」ペチッ
小蒔「これが私の心を弄んだ罰、ということで」
京太郎「……痛いな」
小蒔「じゃあ、これから霞ちゃんを大事にしてあげてください」
京太郎「わかってるよ」
霞「小蒔ちゃん、私は、私は……」
初美「いつまで呻いてるのですか」
霞「初美、ちゃん?」
初美「これ、最低限の荷物はまとめておいたのですよ」
霞「そんな、私本当に……」
初美「……自業自得なのですよ。無理に抑え込んでるから」
霞「だって、私はそうすることでしか……」
初美「ほら、さっさと行っちゃうのですよ」
霞「あっ……」
211 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/01/12(金) 01:31:58.45 ID:I2BQY5xn0
霞「それでも、私はみんなと……!」
初美「そんなの、私たちだって一緒なのですよ……!」
初美「でも、霞ちゃんは自分の幸せを見つけようとしないから!」
初美「だれかのため、だれかのためって……だれかのせいにしてるから!」
初美「だからっ、ここから離れて、いっぱいいっぱい幸せになってもらうのですよ!」
初美「だから、私からもおねがいするのですよ」
京太郎「当然だろ」
初美「憎たらしいですねー」
京太郎「……お前たちから大事なもの、奪ってくからな」
霞「あ、あぁ……」
小蒔「……いつか、あなたが心の底から幸せだと思えるようになるまで」
霞「小蒔、ちゃん……」
小蒔「それまで、お別れです」
212 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/01/12(金) 01:34:45.70 ID:I2BQY5xn0
霞「……」フラフラ
京太郎「ほら、転ぶぞ」
霞「……ついてこないで」
京太郎「俺が放っておくと思うのか?」
霞「……」
京太郎「なあ、どこ向かってるんだ?」
霞「……わからないわ」
霞「私には、もう帰れる場所なんて……」
京太郎「なら、俺と一緒に来るか?」
霞「……元はといえば、あなたがっ」パンッ
京太郎「――いって」
213 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/01/12(金) 01:39:57.45 ID:I2BQY5xn0
霞「あなたが、あんなことをするから!」パンッ
霞「あなたが、私なんかを選ぶから!」パンッ
霞「あなたが……私たちの前に現れたから!」パンッ
霞「あなたが、あなたがあなたが……!」グイッ
京太郎「ちょっ、叩きすぎ――んむっ」
霞「――あなたが、好き。それでも、好きなの……」
京太郎「……そうかよ」
霞「許さない、絶対に許さないわ……だから――」
霞「――ずっと、放さないで」
214 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/01/12(金) 01:42:48.90 ID:I2BQY5xn0
「……結局、親子ってことなのかしらね」
「京太郎か?」
「霞ちゃん、連れ出しちゃったって」
「そうか」
「心配じゃないの?」
「あいつならなんとかするだろ。それよりも、君は大丈夫なのか?」
「まぁ、これで直りかけてた実家との関係も悪化しちゃうけどね」
「でも、これで良かったんじゃないかしら?」
「ほら、私たち今、幸せじゃない?」
215 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/01/12(金) 01:45:34.33 ID:I2BQY5xn0
小蒔「……」
巴「姫様、考え事ですか?」
小蒔「ちょっと、空を見てました」
巴「空、ですか?」
小蒔「この空の下に、霞ちゃんもいるんだなって」
巴「……せめて私も見送りたかったですね」
小蒔「ごめんなさい、私の独断で」
春「まったくもってその通り」
春「おかげで黒糖を渡せなかった」
巴「あはは、はるるはブレないね」
春「明星たちはまだ落ち込んでるけど」
巴「……しかたないかな、私だって……」
小蒔「……」
216 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/01/12(金) 01:50:04.18 ID:I2BQY5xn0
小蒔(霞ちゃんがいなくなって、色んな変化がありました)
小蒔(たとえば御飯です)
小蒔(ほとんど霞ちゃんが受け持ってたのを、みんなで分担するようになりました)
小蒔(それと、私たち一人一人も……)
小蒔(初美ちゃんはみんなのお手本になろうと頑張ってます)
小蒔(巴ちゃんは明星と湧と一緒にいる時間が増えました)
小蒔(多分、二人が寂しくないようにだと思います)
小蒔(春は相変わらずのように見えて、黒糖の量がちょっぴり増えました)
小蒔(そして私は――)
小蒔「霞ちゃん……」
小蒔(こうして、時々空を見上げて祈っています)
小蒔(どこか遠い空の下で、あなたたちが幸せに暮らしていますように……と)
『エンディング――どこか遠い空の下で』
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