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エリカ「姉さん」
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1 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/07(火) 22:09:24.78 ID:leLbb81x0
やあ(´・ω・`)また書くよ
・キャラ崩壊注意
・時系列ごっちゃ
・その他脳内補完
でお願いします。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1510060164
2 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/07(火) 22:19:56.45 ID:leLbb81x0
【黒森峰女学園 演習場】
まほ「全車、エンジン始動!」
まほ「第一中隊、前進!」
まほ「第二中隊、所定の位置に展開!」
まほ「第三中隊、全車全速にて突貫せよ。Panzer vor!!」
まほ「砲撃用意………撃てッ!!」
我が校は以前よりもより高度で過酷な練習を行うことにした。
強豪校であり優勝常連校でありながら、10連覇を逃し、2年連続準優勝という屈辱を晴らすために。
私はもちろん、皆も"次こそは…!"という意気込みで練習に励んでいる。
3 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/07(火) 22:22:36.05 ID:leLbb81x0
エリカ『遅いわよ3号車・4号車! 早くなさい!!』
エリカ『6号車! そんな距離で外してどうするの!』
エリカ『12号車はや…ちょっと何やってんのよ!!』
その中でも副隊長であるエリカは、他のメンバーよりも頭一つおいて熱心に訓練に取り組んでいる。
私の右腕として、そして次期隊長としての自覚を持つだけに、自身や隊員の技術向上のために一切の妥協をしない。
その鬼教官ぶりから"黒森峰の狂犬"などと呼ばれ、他の生徒から畏れられる存在でもある。
エリカは私が卒業したあとの黒森峰を率いる者だ。他の者と同じであっては困る。
ゆえに私も残された時間の中で、これまで培ってきた知識・ノウハウを出来るだけエリカを始め隊の皆に伝授するよう心がけている。
私が黒森峰に残すのは、この敗北から立ち上がり、前に進もうという精神だ。
…しかし、訓練中にそのようなことを考えていたせいで、悲劇は起きてしまった。
4 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/07(火) 22:25:15.66 ID:leLbb81x0
まほ「ここで敵がどう出るか、様子を見るとしよう」
エリカ『了解』
私が乗るティーガーIは指揮車両として山岳の頂を陣取っていた。
視界が広く、敵の動向を掴んだり、応戦する味方への指示が容易に行える。
私の横には副官のエリカもいる。
しばらくすると前方から敵の隊列が見えてきた。
隊列はパンツァーカイルを維持したまま一糸乱れることなく接近してくる。
この隊列もまた日頃の訓練の成果の一つだ。各車輌間の意思疎通が出来て初めて成せるもの。一朝一夕では決して作れまい。
5 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/07(火) 22:27:49.97 ID:leLbb81x0
エリカ『…来ましたね』
まほ「ああ」
エリカ『回り込んで陣形を崩しましょうか?』
まほ「そうだな。エリカ、二手に分かれて両側面から奇襲をかけろ」
まほ「そして陣形が崩れたところを我々が叩こう」
エリカ『了解』
作戦はこうだ。
エリカ率いる小隊が進撃してくる敵戦車隊の左右側面へ回り込み、奇襲をかける。
そうすることで隊列が乱れると同時に、両側面への攻撃に相手戦力が分散する。
その結果、正面への警戒が疎かになるので、そこを見計らって我々が攻撃を仕掛け、三方面から包囲・撹乱するというものだ。
エリカはパンターやIII号戦車、IV号駆逐戦車といった、我が校の戦車の中では比較的機動性が高く、小口径ではあるが砲弾の装填速度の早い車輌を僚車として選択した。
作戦行動を素早く行うための機動性はもちろんだが、砲弾が軽く早く装填が行える車輌を選ぶことで短時間で大量の砲弾を浴びせられる。
これが意味することは、弾数によるねじ伏せと、戦車数の偽装だ。
6 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/07(火) 22:30:42.85 ID:leLbb81x0
前者は説明するまでもないが、後者は実際に存在するの車輌数よりも多い印象を相手に与える。
たとえばイラク戦争を取り扱うメディアで、数名の米軍兵士が弾倉が空になるまでライフルを撃つシーンを見る事がある。
あれは決して兵士がパニックに陥ったのではなく、大量に銃弾を浴びせることで敵兵に狙われた際に「こちらは大勢いるぞ!」という威嚇をするためのトリックなのだ。
エリカはそれを戦車で再現しようと考えたのだろう。
敵がそのトリックに引っかかれば極めて効果的な撹乱・時間稼ぎとなり、本隊である我々の攻撃もスムーズに行うことが可能となる。
ただ、戦車の違いは発砲音からも判断できる。7.5cmと8.8cmでは音が違うのだ。果たして相手はそこに気づくだろうか。
…が、
7 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/07(火) 22:32:26.98 ID:leLbb81x0
まほ「! エリカ止まれっ!!」
エリカ『うっ!? ストップ! 止まりなさい!!』
操縦手『なっ…ブレーキが効かない!!?』
エリカ『うわぁぁぁぁぁ!!!』
まほ「くっ…!」
今後展開されるであろう作戦を整理し終える前に悲劇は起きてしまった。
エリカが乗るティーガーIIは吸い込まれるように崖へ進み、そして転落した。
こんな失態をエリカが犯すはずがない。というより黒森峰の生徒がするものではない!
ティーガーIIからの無線によるとブレーキにトラブルがあったようだが、そんな初歩的なミスをするとは一体どういうことだ…!?
8 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/07(火) 22:34:23.59 ID:leLbb81x0
【崖の下 ティーガーII】
通信手「…ぅ…っ…い、生きてる…?」
装填手「…し…死ぬかと思った……」
砲手「…おいっ操縦手! どこ見て運転してんだ!」
操縦手「し、仕方ないでしょ! ブレーキが利かなかったんだから!」
通信手「はぁ? ちゃんと整備してるのか?!」
操縦手「ええ、毎日練習前と後はチェックしてたよ…なのに…」
砲手「…って、副隊長は?」
装填手「あれ…いない?!」
全員「えええっ!?」
9 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/07(火) 22:38:41.99 ID:leLbb81x0
【崖の上 ティーガーI】
まほ「こちら隊長車。全員無事か?」
通信手『こ、こちら副隊長車! 逸見副隊長がいません!』
まほ「…他の乗員は?」
通信手『全員無事です! 今から脱出し、副隊長を探します!』
まほ「了解した。こちらもすぐ向かう」
ただちに全車輌へ無線連絡を入れ練習を中断、私は近くにいた者達を連れ崖の下へ降りた。
崖の下は草が生い茂っていてまるでジャングルのようだ。あちこちに蜘蛛の巣が張られており、耳元では蚊が不快な音を立てて飛び回る。
一刻も早くこの場から脱出したいという理性を抑え、ティーガーIIの転落地点へと向かう。
しばらくするとティーガーIIの通信手からエリカを発見したとの連絡が入った。
…しかしエリカは頭を強打したようで意識が無いという。
ティーガーIIの乗員たちと合流し、すぐさま応急処置を施しエリカを病院へ搬送した。
その後練習を中止し、私はティーガーIIの乗員を集め事情を聞いた。
10 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/07(火) 22:41:02.96 ID:leLbb81x0
【黒森峰女学園 隊長室】
操縦手「この事故の責任は全て私にあります…!」
まほ「…」
通信手「確かに操縦してたのは彼女です! ですが、あれはブレーキの故障でして…!」
操縦手「故障に気付かなかったのは私。だからこれは私の非です…」
通信手「だけど…!」
まほ「…もういい。事故の原因はわかった」
操縦手「あの…副隊長の容態は…?」
まほ「医師によると腕を骨折したとのことだ」
操縦手「っ…!」
まほ「それと、まだ意識が戻ってない。…が、命に別状はない」
操縦手「! そうですか…」
命に別状が無いことを知って、乗員たちは少しだけ安堵した様子を見せた。
…だが、エリカは腕を骨折しており、しばらくは復帰が見込めそうにない。この時期に副隊長の戦線離脱は痛すぎる…。
私だけでなく、ティーガーIIの乗員たちもそれを理解しているため、表情はなお暗い。
このままではチーム全体の士気に影響する。
11 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/07(火) 22:43:41.95 ID:leLbb81x0
まほ「お前たちは直ちに戦車の異常箇所を見つけ修復しろ」
まほ「そして、これからは練習の前後において今まで以上に入念に戦車をチェックせよ」
まほ「二度とこのような事が無いよう私からも皆へ整備の徹底を呼びかけておく」
全員「はっ!」
まほ「そしてはっきり言おう。副隊長の戦線離脱は我が校にとって致命的だ」
全員「!」
まほ「だから、その傷口を少しでも埋めるため、今まで以上に練習に励め」
まほ「…私からは以上だ」
全員「了解!!」
…参ったな。
乗員たちにはあの様に言ったものの、黒森峰が戦車の不備で怪我人を出すようなことなどあってはならない。
ミスをしたのはティーガーIIの乗員たちだが、責任は隊長の私にある。
この件はお母様にも報告しなければならない。そう思うと頭が痛い。
そして何より、エリカの意識が戻らないのが気掛かりだ。
医者曰く命に別状は無いとのことだが、もしも何かあったらと思うと心配で仕方ない。
12 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/07(火) 22:44:29.84 ID:leLbb81x0
まほ「…報告は以上です」
まほ「ええ。全て私の責任です」
まほ「はい…。今以上に厳しく取り締まろうと思っています」
まほ「…では、失礼します」
まほ「………」
予想通り、お母様からは厳しく叱責された。
"黒森峰がこんな失態を犯すなど言語道断"
"西住流に名を連ねる者としての責任を持て"
私が気を抜くことなど無いと思っていたが、このような失態を犯すのだから、何処かに気の緩みがあったのだろう。
私としたことが………
13 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/07(火) 22:45:31.12 ID:leLbb81x0
プルルルル プルルルル
ガチャ
まほ「…はい、西住です」
まほ「エリカが…!?」
まほ「わかりました。直ちに向かいます…!」
どうやらエリカの意識が戻ったようだ。
病院からの一報を受け私もようやく緊張の糸がほぐれる。
急いで始末書を作成し、お母様にもエリカの件を再度電話で伝え、病院へと向かった。
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/08(水) 09:11:42.19 ID:8mJuamAHO
おつおつ
続きはよはよ
15 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/08(水) 18:43:15.44 ID:dbyn+hkl0
【病室】
エリカ「………」
まほ「エリカ、大丈夫か?」
エリカ「…ええ」
まほ「そうか。良かった…」
ヘリコプターで搬送先の病院に向かい、病室のベッドに座っているエリカと面会した。
彼女の腕には包帯が巻かれており、表情も暗い。
そんなエリカを見るのは心が痛むが、それでも無事に意識が戻ってくれたので、まずは安心した。
…だが、エリカは元気がない…と言うより、少し様子が変だ。
普段のエリカならば『ご心配かけて申し訳ありません! 私は無事なので練習を再開します!』とでも言うだろう。もちろん無理させるわけにはいかないので止めるが。
しかし、今のエリカは何か考え事でもしているかのような神妙な面持ちでいる。
あのような事故が起きたのだから、エリカも責任を感じているのだろう。
…と、最初は思った。
16 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/08(水) 18:46:23.57 ID:dbyn+hkl0
まほ「エリカ…私が誰かわかるな?」
エリカ「えっ…?」
まほ「私だ。私が誰なのか言ってみるんだ」
エリカ「西住…まほ……隊長」
『ああ、その通りだ』と返す。
エリカは頭を強打している。
神妙に一点をじっと見つめ続ける表情から、俗に言う"記憶喪失"に陥ったのではないかと心配したが、どうやらそれは私の杞憂だった。
…それもそのはず。そんな事が起きるのはフィクションの世界だけで十分である。
17 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/08(水) 19:00:23.42 ID:dbyn+hkl0
コンコン
まほ「はい?」
「西住です」
エリカ「…」
まほ「お母様? …どうぞ」
ガチャ
まほ「お母様、エリカは…!」
しほ「ここ病室です。落ち着きなさい」
まほ「う…申し訳ありません…」
しほ「逸見さん、意識が戻って本当に良かったわ」
エリカ「ええ。私は大丈夫お母さん。心配はありません」
まほ「ただ、意識は戻ったばかりで、腕のこともあるので暫くは安静が必要です」
しほ「逸見さんの代わりはいるの?」
エリカ「…」
まほ「ええ。赤星と直下を臨時の副隊長"代理"にしようと…」
しほ「そう」
まほ「ただ…」
しほ「わかっているはず。度重なる敗北による汚名を返上し、再び唯一の王者としてその名を全国に轟かせること」
しほ「それが黒森峰の隊長として、西住流に名を連ねる者としての責務であることは」
まほ「はい…」
しほ・まほ「えっ?」
…なんだか雲行きが怪しくなってきた。
18 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/08(水) 19:01:37.35 ID:dbyn+hkl0
まほ「エ、エリカ…お前今何と…?」
エリカ「え? …お母さんに"私は大丈夫"って…?」
しほ「えっ」
まほ「えっ」
エリカ「えっ」
記憶喪失は無かった(?)が、どうやら別の問題が発生した。
この問題が何を意味するか確認するため、もう一度エリカに質問した。
19 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/08(水) 19:03:38.76 ID:dbyn+hkl0
まほ「も、もう一回質問するぞ…?」
エリカ「ええ…」
まほ「私の名前は…?」
エリカ「………西住まほ」
エリカは先程と同じ回答をした。…明らかに嫌そうな声で。
その上先程は『隊長』と付けてくれたのに、今度は呼び捨てになった。
それもそうだ。二度も「私の名前を言ってみろ」などと問われたら誰だって嫌気がさす。
嫌気がさすのだが、そんな顔されると心に来るものがある…。
20 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/08(水) 19:05:34.77 ID:dbyn+hkl0
まほ「で、では、今度はお前の名前を教えてくれ?!」
エリカ「西住エリカ」
まほ・しほ「!?」
エリカ「?」キョトン
しほ「こ、これは一体どういうことなのですか!?」
まほ「お、落ち着いて下さい病院ですよ?」
しほ「落ち着いていられないわ! どうして逸見さんがうちの子になっているのよ!」
まほ「…わかりません。とにかく、先生を呼びましょう」
エリカ「」ファァ...
こ、こいつ…人の気も知らずに呑気に欠伸なんかしやがって…
こちらはお前のことを心配してるというのに随分気楽なものだな!
…どうでもいいが、欠伸しているところを見るのは初めてだ。上官と部下の関係故に私の前ではそのような無礼な態度は一切取らないからだ。
今はこういう状況だから見逃すが、普段ならば私の前で欠伸などするものなら張っ倒してやるところだ。
21 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/08(水) 19:07:35.22 ID:dbyn+hkl0
エリカ「…」スッ
まほ「お、おいエリカ、何処に行くんだ…!?」
エリカ「何処って…家に帰るに決まってるじゃない…」
まほ「お前の家は…」
エリカ「何を言ってるのよ…姉さんと同じじゃない」
まほ「いや違うだろ。お前の家…というか寮は学園艦にあってだな…」
エリカ「…」
まほ「対して私の家(実家)は熊本だぞ。今は停泊しているからすぐ行けるg なんだとッ!?」
エリカ「うるさいわよ…病院なんだから静かにしてよ…」
…まて
待て
待たんか!
お前いま、"姉さん"って言ったか? 言ったよな?!
自分の家を間違えたのはまだ良い。
私にタメ口を利くのも(引っ叩いてやりたいが)まだ良い。
何故私を「姉さん」と呼ぶのだお前は!?
22 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/08(水) 19:08:40.90 ID:dbyn+hkl0
まほ「え、エリカ…」
エリカ「なによ…」
まほ「ね、念のため聞くぞ? お前の家族構成は?」オソルオソル...
エリカ「…」
まほ「…」
エリカ「…お父さん」
エリカ「お母さん」チラッ
しほ「え」
まほ「」
当たり前のようにお母様の方を向いて『お母さん』と言った。
エリカの親御さんにお会いした事はないが、ここにいる私のお母様とは別人のはず。
23 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/08(水) 19:10:56.58 ID:dbyn+hkl0
エリカ「そして…」
エリカ「姉さん」
まほ「」
エリカ「…以上」
完全に私の方を向いて『姉さん』と言っている。
その顔には『突然なに馬鹿なこと言い出すの?』と書いてあった。
…このやり取りで分かったことが3つある。
1つは、エリカは頭を打ったせいで記憶喪失とまでは行かないが、"記憶がおかしい事"になっている。
もう1つは、記憶がおかしくなったせいで、"自分は西住家の娘"だと勘違いしている。
そして最後の1つ、
私の実の妹である"みほ"が何故か出て来なかった。
24 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/08(水) 19:13:15.40 ID:dbyn+hkl0
まほ「…もう1つ聞くぞ」
エリカ「…もういいわよそういうの。疲れるから」ハァ...
『しつこい』と言わんばかりに大きなため息をつくエリカ。
私もエリカに同意だ。返答を貰うたびに頭の中で何かが削れゆく音がする。
だが、聞かないことには埒が明かないのだ。
まほ「お母様が"お母さん"で、私が"姉"なら…"みほ"は?」
エリカ「どういう事? というかみほって…?」
まほ「…"西住みほ"、知っているか?」
あぁ、返事が怖い。正直聞きたくない。
25 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/08(水) 19:15:08.90 ID:dbyn+hkl0
エリカ「誰?」
………。
(カン違いで)私の妹になったエリカの脳内からは、(本当の)私の妹であるみほの存在は消えてしまったようだ。
済まないみほ。私が不甲斐ないせいで。
26 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/08(水) 19:16:44.00 ID:dbyn+hkl0
まほ「お母様…」
しほ「…"みほ"は私の娘であり、隣りにいるまほの妹です」
エリカ「えええっ!!?」
まほ・しほ「」ビクッ
何故急に驚くのだ。驚きたいのは私の方である。
いきなり大声を出すから驚いたのと、まるで"隠し子の存在を知ったような"反応の2つに。
27 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/08(水) 19:18:51.04 ID:dbyn+hkl0
エリカ「あの…お母さん…?」
しほ「何でしょう」
お母様はお母様で、どうしてエリカの言う"お母さん"に反応しているんですか。
エリカがあなたを呼ぶときは『家元』あるいは『師範』ですよ。
エリカ「その、みほって子…年はいくつなの…?」
しほ「あなたと同い年です」
エリカ「」
エリカはまさに"隠し子の存在を知ったような"顔をした。顔から血の気がサーッと引いてくのが見て取れる。
…だが安心しろみほ。お前は決して隠し子などではない。れっきとした私の妹であり、西住家の次女だ。
エリカが頓珍漢なだけでお前は大丈夫だ。だから早く実家に帰って来るといい。
28 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/08(水) 19:20:29.62 ID:dbyn+hkl0
エリカ「……お母さん……誰との子なの………?」
しほ・まほ「は?」
エリカ「だって…」
エリカ「私と姉さん以外に子供なんていないじゃないッ!!!」
しほ「」
まほ「」
しほ「…ふ、普通に父と私の間に出来た子ですが?」
エリカ「嘘つきッ!! DNA鑑定すればそんなウソすぐバレるわよッ!!!」
しほ「」
まほ「」
その言葉、そっくりそのままお前に返してやろう。
DNA鑑定すればお前の嘘っぱちなんぞすぐにバレということをな。
嘘っぱちというよりは"勘違い"だが。
29 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/08(水) 19:21:43.99 ID:dbyn+hkl0
エリカ「…ヒッグ…グスッ…」
まほ「エリカ…?」
エリカ「……ねぇさん…グスッ……私達がいるのに…ヒッグ……お母さんそんな事してたなんて知らなかった……」
しほ「」
まほ「お、おう…よしよし……」
エリカ「………ひどい……」ギロッ
しほ「ば、馬鹿なことを言わないで頂戴! 私は父一筋です! しっかり愛し合ってます! 昨晩だって…」
泣くなエリカ。
確かにお母様は色々ひどいが、お前が考えるような方向の"ひどい"ではない。
その涙は盛大な誤解から溢るるものだ。事実ではない。
そしてお母様も余所様の前で馬鹿なことを言わないで欲しい。
30 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/08(水) 19:28:00.56 ID:dbyn+hkl0
エリカの盛大な勘違いではあるが、病院の一室が昼にやるドラマのような修羅場になってしまったことは、もはや誰が見ても明らかだろう。
何しろエリカ(にとって)は、母と姉の二人から隠し子の存在を伝えられた(ように見える)のだから。
それはもう修羅場というより泥沼だ。ティーガーが嵌ったら廃棄が確定するような深い深い底なし沼だ。我々以外の人間がこの場にいなくて本当に良かった。
その後医者がやってきて検査をした結果、頭蓋骨や脳には異常はないが、頭を打った衝撃で"一時的な記憶障害"が発生しているという。
曰く『一時的なもので、しばらくしたら治るだろう』とのことだ。
エリカに傷や後遺症(言語障害とか身体障害といったもの)は残らなかったので、ひとまず安心した。
だが、肝心のエリカは医者に対して『DNA鑑定をしろ』と執拗に訴えるせいで、医者がただならぬ事情(誤解)を察し、渋々お母様と何故か私までDNAを採取・鑑定する羽目となった。
その結果、無事に私とお母様との間には血縁関係があることが証明された。知ってた。
尤もみほの話をしていたのに肝心のみほがこの場におらず、みほのDNAも無い状態で私達のDNAだけを採取してお前は一体何をしたかったのだ?
31 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/08(水) 19:30:25.11 ID:dbyn+hkl0
…と思っていたら、私やお母様とエリカの間に血縁関係が無いことを知ったようだ。実際に血縁関係など無いので当然である。
しかしエリカにとっては、
"隠し子の存在を知ったと思ったら自分が隠し子だった"
"家族と思ってた人が赤の他人だった"
ということになる。この世の終わりのような顔をする彼女を見ていると、たとえカン違いでも胸が痛む。
『血縁関係が無くても姉さんは私の姉さんだから………』と泣くエリカを見ていると、私まで色々な意味で泣きそうになった。
このままではエリカが色々まずいので、『ここの医者はモグリだ。高額な医療費を請求するし、カネのためなら平気でDNAや数値を捏造する』と言って必死にエリカを説得した。
説得の甲斐あってエリカは何とか納得してくれた。
医者には本当に申し訳ないが、このままでは冗談抜きでエリカが自殺しかねないのでやむを得なかったのだ。
32 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/08(水) 19:33:20.70 ID:dbyn+hkl0
【戦車道西住流家元】
エリカ「ただいま」
しほ「」
まほ「」
その結果こうなった。
本来ならエリカは最低2日は入院する予定だったが、血縁関係の件を説得する為に『あの医者はモグリだ』などと言ったのがいけなかった。
今度は『あんな医者のそばにいたら何されるかわからないじゃない!!』と言い出す始末。
修羅場を回避するために使った方便のせいでかえって面倒なことになってしまった。あちらが立てばこちらが立たずとはまさにこの事だ。
で、『家に帰りたい………』と子犬のようにクンクン泣くものだから、仕方なく実家まで持ってきた。
まったく、泣きたいのは私の方だ。本来なら今ごろ黒森峰の寮で鼻歌でも歌いながら風呂に入ってるのに。
いや、本当に泣きたいのは"モグリ"のレッテルを貼られた罪なき医者の方だろう。いつか謝罪せねばならん。
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/08(水) 23:26:57.83 ID:ucynN1q50
願望の表れなのかな?
34 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/09(木) 01:00:46.94 ID:SgP8zVpm0
【まほの部屋】
疲れたので自室のベッドに仰向けになり、一日の出来事を振り返る。今日は様々なことが起きた。
訓練中にエリカが乗るティーガーIIが崖から転落し、エリカが負傷。
命に別状はなく、後遺症の心配もない(今の状態は後遺症じゃないのか?)とのことだが、エリカが一時的な記憶障害になる。
そしてエリカが我が家に泊まりに来るという(本人は『帰宅』と言う)。
彼女の記憶が元に戻るまではここが実家となり、ここで過ごすこととなる。果たしてどれ程の期間になるか…。
明日からのことは考えたくないが、かといって放置しておくわけにはいくまい。
頭を打ったのはエリカだが、私まで頭が痛い。
35 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/09(木) 01:03:04.84 ID:SgP8zVpm0
コンコン
まほ「はい」
エリカ「姉さん…」
まほ「エリカか。どうした?」
エリカ「その…お風呂、入ろ?」
まほ「一人で入れば良いだろう」
エリカ「腕がこんなだから体が洗えないのよ…」
まほ「…わかった」
自室で今日の出来事について反芻していたら、エリカが突然風呂に入ろうと言い出す。
そういえば練習が終わってからというもの色々あったせいで、風呂にはまだ入っていない。
風呂には一人でのんびり入りたいのだが、エリカは腕を骨折しているので満足に体も洗えないという。
まったく、世話の焼けるいm…エリカだ。
ちなみに件のエリカは空き部屋にいる。
本来エリカの部屋など存在するはずなどないが、『私の部屋が無くなってる?!』と騒ぎ出すものだから、『西住流拗らせた門下生が誤射して粉々にしたからリフォーム中だ』と言って誤魔化した。
とりあえず空き部屋にちゃぶ台やら座布団やら最低限のものを置いて"部屋"っぽくした。
さすがにみほの部屋を貸すわけにはいかん。みほに悪いしあそこは私の楽園だ。
36 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/09(木) 01:06:21.97 ID:SgP8zVpm0
【風呂】
まほ「頭、洗うぞ」
エリカ「ええ」
ピトッ
エリカ「んっ…!」
まほ「変な声を出すな」シャカシャカシャカ
エリカ「だってくすぐったいんだもん…」ブルッ
まほ「我慢しろ」ワシャワシャワシャ
エリカ「むぅ…」
エリカは私と違って毛がそこそこある("長い"という意味で)。そのため洗ったり乾かすのに時間がかかる。
私やみほみたいに短くすれば手入れも楽なのにとは思うが、そこはエリカの事なので深くは追求しない(今回に限り、その長髪のせいで私が手を焼くのだが…)。
繰り返しになるが、記憶障害だけでも厄介なのに腕まで折ってくれたせいで暫くはエリカの身辺の世話をしなければならない。
本当ならエリカは入院生活となるはずだったのだが、私の黒男作戦が裏目に出た故にこのような結果となってしまった。
私の過失ではあるが、エリカの風呂に関してはお母様や菊代さんにもお願いしよう。
37 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/09(木) 01:08:37.77 ID:SgP8zVpm0
エリカ「姉さん」
まほ「どうした?」
エリカ「結局その"みほ"って人は誰なの?」
まほ「え」
エリカ「みほ。さっき言ってたじゃない」
まほ「…」
エリカ「…」
またその話か。
いいや、私の自慢の妹の話だ。決して邪険にするようなものではない。こういう状況でなければいつでも大歓迎だ。何時間でも話してやる。
何時間でも話してやりたいところだが、今のこの状況では出方を見誤るとエリカがまた"発狂"しかねない。
どう出るべきか…。
38 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/09(木) 01:11:42.76 ID:SgP8zVpm0
まほ「その、みほというのはな…」
エリカ「うん」
まほ「みほはな…私の妹で…」
エリカ「ええ」
まほ「…」
エリカ「…」
まほ「お前の双子の姉妹だ」
エリカ「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?!!」
エリカは見事に"発狂"した。
だが彼女の反応は至極真っ当である。
いきなり『お前には生き別れた双子の姉(妹)がいる!』などと言われては、誰もが頭の中を真っ白にする。出方を見誤るどころか出ること自体が間違っていた。
双子という設定が無謀だった。お母様もあの年ではもう頑張れまい。無理だ無理。絶対。
39 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/09(木) 01:14:41.97 ID:SgP8zVpm0
エリカ「わ、私そんなの知らないわよ! 一体どういうことなの!?」
私だって知らん。
なにしろ今考えたのだからな。
まほ「実はな…」
エリカ「え、えぇ…」
エリカは恐る恐る私の話に耳を傾ける。
一度出した以上引っ込めるわけにはいかん。というより引っ込めようがない。
だから突き進むしかない。
もうここから先は完全な"でっち上げ"だ。
40 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/09(木) 01:14:44.82 ID:BDBf/8nSO
ポケモンじゃないのかよ
41 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/09(木) 01:20:43.24 ID:SgP8zVpm0
まほ「エリカにはな、双子の姉妹がいて、その子…みほはお前が幼い頃に…」
エリカ「幼いころに…?」
まほ「死んだ」
エリカ「はぁ?! 死んだですって?!」
まほ「天ぷらの食べ過ぎでな」
エリカ「そう…可哀想に………」
まほ「…だが、死んだと思っていたら実は生きていて」
エリカ「えっ!? 死んでなかったの?!」
まほ「うむ。今は離れた場所で過ごしているそうだ」
エリカ「そ、そうなの…?」
…というB級映画も真っ青の張りぼて設定だ。
よくぞここまでいい加減なことが言えるものだと我ながら感心する。黒森峰の隊長ならびに次期家元候補の言葉とは到底思えん。
西住流に後退は無いが、かといって強引に突き進むととんでもない事になるというのをこんなところで学んだ。
ボロが出ると面倒なのでお母様にも後ほど共有しておこう。怒られそうではあるが、出てしまったものは仕方ない。
ちなみに双子設定についてだが、エリカは妹の方にしておいた。
どちらかというとエリカの方が気が強いので姉っぽいが、それではみほの立場が危うくなるから妹にしておいた。
42 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/09(木) 01:22:22.94 ID:SgP8zVpm0
エリカ「…そう…だったのね………」
まほ「ああ。私もお母様もいつかお前に言おうかと迷った。許してくれないか」
エリカ「…ええ。良いわ」
すまないみほ。
エリカを説得するためにお前は一度死んでもらう。それはみほにとって物凄く辛いことだが私だって辛いのだ。どうか理解してくれ。
もちろんエリカにこんな嘘八百を叩き込むのも、やはり辛いものがある。
43 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/09(木) 01:25:28.03 ID:SgP8zVpm0
エリカ「その、みほは今は元気なの?」
まほ「恐らくはな。お母様曰く、友達に恵まれて楽しく過ごしているとのことだ」
エリカ「そう。なら大丈夫ね」
まほ「ああ」
みほは実家から遠く離れた大洗女子という学校に通っていて、親友たちに恵まれながら戦車道を楽しんでいる。
これについては何も間違ったことは言ってない。みほには今後も学園生活を満喫してもらいたい。
エリカ「姉さんもみほみたいに友達が出来ると良いのにね」
まほ「大きなお世話だ」
まったくもっていらぬお世話である。
私は戦車だけが友達であり恋人なのだ。
人の心配していないで自分の頭の心配でもしていろ。
44 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/09(木) 01:27:12.58 ID:SgP8zVpm0
エリカ「だけど、こっちには帰って来ないの?」
まほ「わからん。帰って来て欲しいとは思っているが、何しろ連絡が取れなくてな」
エリカ「そっか…」
まほ「何かのきっかけで戻ってくるかもしれないし、もしかしたらもう二度と戻らないのかもしれない」
エリカ「そう………」
1週間前に帰ってきた。昨日も電話した。
〜〜〜
45 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/09(木) 01:30:39.92 ID:SgP8zVpm0
まほ「ほら。終わったぞ」
エリカ「背中」
まほ「なに?」
エリカ「背中もやって。この手じゃ出来ないから」
まほ「仕方あるまい」ゴシゴシ
エリカ「んっ…!」
まほ「変な声を出すなと言っただろ」
エリカ「だって…」ソワソワ
まほ「ならばコイツでやってやろうか? 垢も取れるぞ」 つ[たわし]
エリカ「そんなのでやったら背中傷だらけになるじゃない!!」
まほ「だったらじっとしてろ」ゴシゴシ
エリカ「むぅ…」
たわしは風呂の汚れを落としてくれる優れものだが、対人使用するようなものではない。
某漫画ではたわしで父親の背中をゴシゴシする子供が登場するが、絶対に真似をしてはいけない。
ちなみにこのタワシは菊代さんが風呂を掃除するときに使っているもの。
曰く水垢がキレイに落ちるから気に入っているらしい。
〜〜〜〜
46 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/09(木) 01:43:32.32 ID:SgP8zVpm0
まほ「ふぅ…」ザパーン
風呂は良い。一日の疲れが癒える。
年寄りくさいかもしれないが、私は風呂に入っていると幸せな気分になれる。
このヒノキの香りがする入浴剤はなかなか良い。温まるしリラックス効果もあるようだ。菊代さんが買ってきたから後でどこの入浴剤か聞いてみるか。
それにしても風呂はいい。何度でも言おう。
どれだけ疲れていても風呂に浸かれば幸せな気分になれる。
エリカ「」ファァ...
まほ「…」
隣に"こいつ"がいなければ。
終始振り回されていた私とは対照的に、エリカはあたかも自宅の風呂に入るかのように自由気ままに振る舞う。
尤もエリカはここを自宅だと本気で思い込んでいる。リラックス出来るのは当然だろう。
一方で自宅にいるはずの私は反省部屋にいる気分だが。
何にせよ、ここまでリラックス…というよりだらけきったエリカを見るのは初めてだ。思わず当惑するほど普段のエリカとのギャップが激しい。
私が知る逸見エリカとは、"黒森峰の狂犬"の異名を持ち、人一倍負けず嫌いで、人一倍プライドが高い者だ。キリッ引き締まった表情を崩すことはない。
そんなエリカも私の知らぬ所ではこのようにフニャフニャになっているのかと思うと、彼女の意外な一面を見ることができた。
エリカ「ふぁ〜ぁ…」
まほ「…」
そんな黒森峰の狂犬は今では西住さん家の柴犬だ。やれやれ。
47 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/09(木) 12:48:21.43 ID:8Mul8fhtO
かわいい
48 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/09(木) 20:29:33.46 ID:EhYKhTLCO
さすが逸見だ
都合の悪いことは全て忘れて、都合の良いように記憶を改ざんしやがる
49 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/09(木) 20:37:34.39 ID:rtd9GP9mO
嘘を嘘で塗り固めるまほも大概だが、逸見も面倒だな
元に戻ったらメンヘラ化してもおかしくないぞ
50 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/09(木) 22:12:06.13 ID:JwqvKC1E0
ポロッ コロコロ...
エリカ「あ、II号落ちた」
まほ「あとで取れば良いだろう」
エリカ「やだ。あれ触り心地いいもん」
まほ「なら好きにしろ」
エリカ「ぐぬ…もう、ちょっと…」ウーン
まほ「…」
エリカのいう"II号"というのは、II号戦車の形をした風呂に浮かべる玩具のことだ。
この手の玩具といえばアヒルとか船を連想するものだが、どういうわけかみほが『コレが良い!』と好きで浮かべている。もちろんII号には潜水装備はない。
みほがまだ黒森峰の中等部に入る前に買ったものだが、未だに現役で我が家の広い浴槽をこれ1輌で防衛している。
それを今はエリカが私物化しているわけだ。なかなか気に入ってるようで、先程から一人でグニグニ弄って遊んでいる。
だが取るなら浴槽から出て取りに行け。そしてこちらに砲尾を向けるな。穴が丸見えだ。
51 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/09(木) 22:13:18.99 ID:JwqvKC1E0
ツルッ
エリカ「わっ?!」
ドテッ!
まほ「だから言っただろう」
エリカ「っぅ…痛ったぁ…」
滑って前転して風呂の床へ尻もちをするエリカ。本日2度目の転落となる。…1度目はシャレにならんが。
いいかエリカ、風呂場は滑りやすいんだぞ。尻をさするエリカに目で語る。
普段からは想像出来ないが、エリカは意外に粗忽なのだろうか?
52 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/09(木) 22:15:48.81 ID:JwqvKC1E0
エリカ「いたた…あ、姉さん姉さん」
まほ「今度は何だ」
エリカ「チ●ポ」ボロン
まほ「よさんか!!」
なにがチ●ポ(ボロン)だ。みほのII号を股間に当てるんじゃない。汚くなるだろうが。
そしてお前はどこでそんな下らんことを覚えた。
53 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/09(木) 22:16:47.63 ID:JwqvKC1E0
エリカ「ネットで話題になってるのよ。"ボロン"するとクジ運が良くなるって」ボロン
まほ「だからどうした。ボロンすれば10km先のフラッグ車を倒せるとでも抜かすのかお前は」
エリカ「やってみたら?」
まほ「やらん。第一ボロンするようなものがない」
エリカ「はいこれ」つ[II号戦車]
まほ「お前の股ぐらに擦り付けたものをよこすな」
エリカ「選り好みしてると婚期逃すわよ?」
まほ「それとこれとは話が別だろうがっ」
〜〜〜
54 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/09(木) 22:19:06.75 ID:JwqvKC1E0
【脱衣所】
エリカ「…姉さん」
まほ「今度はどうした?」
エリカ「ない…」
まほ「は?」
エリカ「私のパジャマが一つもないんだけど…」
まほ「え」
エリカ「パジャマ」
まほ「…」
エリカ「…」
ここはお前の家ではないのだから、そんなものあるはずがない。
だが、それを正直に言うものならまた発狂しかねないので、部屋の件と同じように
『虫に食われて穴だらけだったから捨てた』
と言って誤魔化しておいた。蓼食う虫も好き好きである。
案の定エリカはショックを受けたが、服だけに無い袖は振れぬ。
55 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/09(木) 22:21:28.19 ID:JwqvKC1E0
まほ「仕方ない。私のを一つ貸してやろう」
エリカ「ええ…」
まほ「嫌なら裸で過ごせ。涼しくていいぞ」
エリカ「そんなの嫌に決まってるじゃない!!」バッ
まほ「おい、ちゃんと体を拭いてから着ろ。あと髪もしっかり乾かせ。風邪まで引いてもらっては困る」
エリカ「わ、わかってるわよ!」
まほ「わかってないから言ってるんだ」
エリカ「むぅ…」フキフキ
エリカは困ったら「むぅ」とか「ぐぅ」とか言うのか。普段からは全く想像できん。
家にエリカを持ってきてからというもの、普段はまず見ることのないエリカを目の当たりにするせいで彼女の印象がどんどん変わっていく。
余談だが、私は寝る時は浴衣を着ている。通気性に優れ肌触りが良いのだ。なのでエリカにも私の浴衣を一つ貸してやったのだが、これがまた似合っている。
こやつの性格はさておき、素材自体は良いので何を着せても似合うだろう。少し腹が立つ。
56 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/09(木) 22:25:29.61 ID:JwqvKC1E0
エリカ「姉さん…」
まほ「何だ」
エリカ「お腹すいた…」
まほ「菊代さんが何か作ってくれたはずだ」
エリカ「今日のご飯は何?」
まほ「確かハンバーグと言ってたな」
エリカ「ハンバーグ?! 良いじゃない!」パァァ
まほ「お前の好物だろ? 良かったな」
エリカ「ええ。今日はとっても良い日よ!」キラキラ
良い日なわけがあるか。確実に厄日だ。
本来ならノンアルコールビールを片手にテレビでも観ている頃なのに。予期せぬ"架空の妹"のせいで気付けばこんな時間だ。
お前のせいで私は"Flak&Panzer"を見逃してしまったのだぞ。今週はメーベルワーゲンが出る回だったのに。
57 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/09(木) 22:28:10.34 ID:JwqvKC1E0
【食卓】
エリカ「あれ? お母さんは?」
まほ「書斎にこもって仕事をしているのだろう」
エリカ「ふーん。相変わらず忙しいのね…」
まほ「家元の仕事に高戦連やプロリーグ。やることが山積みだから仕方ない」
エリカ「そう…」
いずれ私も家元を継承し、忙しい日々を送る事になると思うが、果たしてお母様のように上手くやっていけるだろうか。
なにせ家に帰ってきたと思えば書斎に籠り、書斎から出たと思えばまたすぐ家を空ける。西住流として戦車道だけでなく多忙も極めておられる。
まだまだ先の話ではあるものの、私にそれが真似できるか不安だ。
ところでお母様は書斎に籠っていつも何をしているのだろう?
営業マンよろしく電話をかける様子はないし、パソコンで書類を作成するわけでもない。そもそもあの部屋にパソコンは無いしお母様は機械音痴だ。
…少し気になるな。今度お母様に聞いてみるか。
58 :
◆MY38Kbh4q6
[saga]:2017/11/09(木) 22:32:04.24 ID:JwqvKC1E0
エリカ「姉さん」
まほ「ん」
エリカ「お醤油とって」
まほ「…」コトン
エリカ「これソースじゃない!」
まほ「似たようなものだろ」
エリカ「全っ然違うわよ!!」
まほ「胃袋に入れば同じだ」
エリカ「じゃぁ徹甲弾と榴弾も命中すればどちらも同じって言うわけ?!」
まほ「徹甲弾と榴弾では全然違うだろう」
エリカ「醤油とソースもぜんぜん違うわよ!」
細かい事でいちいち喧しいところはエリカのままだ。
そこだけは変わっていなくて安心した。
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