エリカ「姉さん」

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1 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2017/11/07(火) 22:09:24.78 ID:leLbb81x0

やあ(´・ω・`)また書くよ

・キャラ崩壊注意
・時系列ごっちゃ
・その他脳内補完

でお願いします。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1510060164
2 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2017/11/07(火) 22:19:56.45 ID:leLbb81x0


【黒森峰女学園 演習場】


まほ「全車、エンジン始動!」

まほ「第一中隊、前進!」

まほ「第二中隊、所定の位置に展開!」

まほ「第三中隊、全車全速にて突貫せよ。Panzer vor!!」


まほ「砲撃用意………撃てッ!!」



我が校は以前よりもより高度で過酷な練習を行うことにした。

強豪校であり優勝常連校でありながら、10連覇を逃し、2年連続準優勝という屈辱を晴らすために。

私はもちろん、皆も"次こそは…!"という意気込みで練習に励んでいる。
3 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2017/11/07(火) 22:22:36.05 ID:leLbb81x0


エリカ『遅いわよ3号車・4号車! 早くなさい!!』

エリカ『6号車! そんな距離で外してどうするの!』

エリカ『12号車はや…ちょっと何やってんのよ!!』



その中でも副隊長であるエリカは、他のメンバーよりも頭一つおいて熱心に訓練に取り組んでいる。

私の右腕として、そして次期隊長としての自覚を持つだけに、自身や隊員の技術向上のために一切の妥協をしない。

その鬼教官ぶりから"黒森峰の狂犬"などと呼ばれ、他の生徒から畏れられる存在でもある。


エリカは私が卒業したあとの黒森峰を率いる者だ。他の者と同じであっては困る。

ゆえに私も残された時間の中で、これまで培ってきた知識・ノウハウを出来るだけエリカを始め隊の皆に伝授するよう心がけている。

私が黒森峰に残すのは、この敗北から立ち上がり、前に進もうという精神だ。



…しかし、訓練中にそのようなことを考えていたせいで、悲劇は起きてしまった。

4 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2017/11/07(火) 22:25:15.66 ID:leLbb81x0


まほ「ここで敵がどう出るか、様子を見るとしよう」

エリカ『了解』



私が乗るティーガーIは指揮車両として山岳の頂を陣取っていた。

視界が広く、敵の動向を掴んだり、応戦する味方への指示が容易に行える。

私の横には副官のエリカもいる。


しばらくすると前方から敵の隊列が見えてきた。

隊列はパンツァーカイルを維持したまま一糸乱れることなく接近してくる。

この隊列もまた日頃の訓練の成果の一つだ。各車輌間の意思疎通が出来て初めて成せるもの。一朝一夕では決して作れまい。

5 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2017/11/07(火) 22:27:49.97 ID:leLbb81x0


エリカ『…来ましたね』

まほ「ああ」

エリカ『回り込んで陣形を崩しましょうか?』

まほ「そうだな。エリカ、二手に分かれて両側面から奇襲をかけろ」

まほ「そして陣形が崩れたところを我々が叩こう」

エリカ『了解』



作戦はこうだ。

エリカ率いる小隊が進撃してくる敵戦車隊の左右側面へ回り込み、奇襲をかける。

そうすることで隊列が乱れると同時に、両側面への攻撃に相手戦力が分散する。

その結果、正面への警戒が疎かになるので、そこを見計らって我々が攻撃を仕掛け、三方面から包囲・撹乱するというものだ。

エリカはパンターやIII号戦車、IV号駆逐戦車といった、我が校の戦車の中では比較的機動性が高く、小口径ではあるが砲弾の装填速度の早い車輌を僚車として選択した。

作戦行動を素早く行うための機動性はもちろんだが、砲弾が軽く早く装填が行える車輌を選ぶことで短時間で大量の砲弾を浴びせられる。

これが意味することは、弾数によるねじ伏せと、戦車数の偽装だ。

6 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2017/11/07(火) 22:30:42.85 ID:leLbb81x0


前者は説明するまでもないが、後者は実際に存在するの車輌数よりも多い印象を相手に与える。

たとえばイラク戦争を取り扱うメディアで、数名の米軍兵士が弾倉が空になるまでライフルを撃つシーンを見る事がある。

あれは決して兵士がパニックに陥ったのではなく、大量に銃弾を浴びせることで敵兵に狙われた際に「こちらは大勢いるぞ!」という威嚇をするためのトリックなのだ。

エリカはそれを戦車で再現しようと考えたのだろう。

敵がそのトリックに引っかかれば極めて効果的な撹乱・時間稼ぎとなり、本隊である我々の攻撃もスムーズに行うことが可能となる。

ただ、戦車の違いは発砲音からも判断できる。7.5cmと8.8cmでは音が違うのだ。果たして相手はそこに気づくだろうか。




…が、
7 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2017/11/07(火) 22:32:26.98 ID:leLbb81x0


まほ「! エリカ止まれっ!!」

エリカ『うっ!? ストップ! 止まりなさい!!』

操縦手『なっ…ブレーキが効かない!!?』

エリカ『うわぁぁぁぁぁ!!!』

まほ「くっ…!」



今後展開されるであろう作戦を整理し終える前に悲劇は起きてしまった。

エリカが乗るティーガーIIは吸い込まれるように崖へ進み、そして転落した。

こんな失態をエリカが犯すはずがない。というより黒森峰の生徒がするものではない!

ティーガーIIからの無線によるとブレーキにトラブルがあったようだが、そんな初歩的なミスをするとは一体どういうことだ…!?

8 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2017/11/07(火) 22:34:23.59 ID:leLbb81x0


【崖の下 ティーガーII】



通信手「…ぅ…っ…い、生きてる…?」

装填手「…し…死ぬかと思った……」

砲手「…おいっ操縦手! どこ見て運転してんだ!」

操縦手「し、仕方ないでしょ! ブレーキが利かなかったんだから!」

通信手「はぁ? ちゃんと整備してるのか?!」

操縦手「ええ、毎日練習前と後はチェックしてたよ…なのに…」


砲手「…って、副隊長は?」


装填手「あれ…いない?!」

全員「えええっ!?」


9 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2017/11/07(火) 22:38:41.99 ID:leLbb81x0


【崖の上 ティーガーI】


まほ「こちら隊長車。全員無事か?」

通信手『こ、こちら副隊長車! 逸見副隊長がいません!』

まほ「…他の乗員は?」

通信手『全員無事です! 今から脱出し、副隊長を探します!』

まほ「了解した。こちらもすぐ向かう」



ただちに全車輌へ無線連絡を入れ練習を中断、私は近くにいた者達を連れ崖の下へ降りた。

崖の下は草が生い茂っていてまるでジャングルのようだ。あちこちに蜘蛛の巣が張られており、耳元では蚊が不快な音を立てて飛び回る。

一刻も早くこの場から脱出したいという理性を抑え、ティーガーIIの転落地点へと向かう。


しばらくするとティーガーIIの通信手からエリカを発見したとの連絡が入った。

…しかしエリカは頭を強打したようで意識が無いという。

ティーガーIIの乗員たちと合流し、すぐさま応急処置を施しエリカを病院へ搬送した。


その後練習を中止し、私はティーガーIIの乗員を集め事情を聞いた。
10 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2017/11/07(火) 22:41:02.96 ID:leLbb81x0


【黒森峰女学園 隊長室】


操縦手「この事故の責任は全て私にあります…!」

まほ「…」

通信手「確かに操縦してたのは彼女です! ですが、あれはブレーキの故障でして…!」

操縦手「故障に気付かなかったのは私。だからこれは私の非です…」

通信手「だけど…!」

まほ「…もういい。事故の原因はわかった」

操縦手「あの…副隊長の容態は…?」


まほ「医師によると腕を骨折したとのことだ」


操縦手「っ…!」

まほ「それと、まだ意識が戻ってない。…が、命に別状はない」

操縦手「! そうですか…」



命に別状が無いことを知って、乗員たちは少しだけ安堵した様子を見せた。

…だが、エリカは腕を骨折しており、しばらくは復帰が見込めそうにない。この時期に副隊長の戦線離脱は痛すぎる…。

私だけでなく、ティーガーIIの乗員たちもそれを理解しているため、表情はなお暗い。

このままではチーム全体の士気に影響する。

11 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2017/11/07(火) 22:43:41.95 ID:leLbb81x0


まほ「お前たちは直ちに戦車の異常箇所を見つけ修復しろ」

まほ「そして、これからは練習の前後において今まで以上に入念に戦車をチェックせよ」

まほ「二度とこのような事が無いよう私からも皆へ整備の徹底を呼びかけておく」

全員「はっ!」


まほ「そしてはっきり言おう。副隊長の戦線離脱は我が校にとって致命的だ」

全員「!」

まほ「だから、その傷口を少しでも埋めるため、今まで以上に練習に励め」

まほ「…私からは以上だ」

全員「了解!!」



…参ったな。

乗員たちにはあの様に言ったものの、黒森峰が戦車の不備で怪我人を出すようなことなどあってはならない。

ミスをしたのはティーガーIIの乗員たちだが、責任は隊長の私にある。

この件はお母様にも報告しなければならない。そう思うと頭が痛い。

そして何より、エリカの意識が戻らないのが気掛かりだ。

医者曰く命に別状は無いとのことだが、もしも何かあったらと思うと心配で仕方ない。

12 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2017/11/07(火) 22:44:29.84 ID:leLbb81x0



まほ「…報告は以上です」

まほ「ええ。全て私の責任です」

まほ「はい…。今以上に厳しく取り締まろうと思っています」

まほ「…では、失礼します」


まほ「………」



予想通り、お母様からは厳しく叱責された。


"黒森峰がこんな失態を犯すなど言語道断"

"西住流に名を連ねる者としての責任を持て"


私が気を抜くことなど無いと思っていたが、このような失態を犯すのだから、何処かに気の緩みがあったのだろう。

私としたことが………

13 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2017/11/07(火) 22:45:31.12 ID:leLbb81x0



プルルルル プルルルル

ガチャ


まほ「…はい、西住です」

まほ「エリカが…!?」

まほ「わかりました。直ちに向かいます…!」



どうやらエリカの意識が戻ったようだ。

病院からの一報を受け私もようやく緊張の糸がほぐれる。

急いで始末書を作成し、お母様にもエリカの件を再度電話で伝え、病院へと向かった。

14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/08(水) 09:11:42.19 ID:8mJuamAHO
おつおつ
続きはよはよ
15 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2017/11/08(水) 18:43:15.44 ID:dbyn+hkl0

【病室】


エリカ「………」

まほ「エリカ、大丈夫か?」

エリカ「…ええ」

まほ「そうか。良かった…」



ヘリコプターで搬送先の病院に向かい、病室のベッドに座っているエリカと面会した。

彼女の腕には包帯が巻かれており、表情も暗い。

そんなエリカを見るのは心が痛むが、それでも無事に意識が戻ってくれたので、まずは安心した。


…だが、エリカは元気がない…と言うより、少し様子が変だ。

普段のエリカならば『ご心配かけて申し訳ありません! 私は無事なので練習を再開します!』とでも言うだろう。もちろん無理させるわけにはいかないので止めるが。

しかし、今のエリカは何か考え事でもしているかのような神妙な面持ちでいる。

あのような事故が起きたのだから、エリカも責任を感じているのだろう。


…と、最初は思った。

16 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2017/11/08(水) 18:46:23.57 ID:dbyn+hkl0


まほ「エリカ…私が誰かわかるな?」

エリカ「えっ…?」

まほ「私だ。私が誰なのか言ってみるんだ」

エリカ「西住…まほ……隊長」



『ああ、その通りだ』と返す。

エリカは頭を強打している。

神妙に一点をじっと見つめ続ける表情から、俗に言う"記憶喪失"に陥ったのではないかと心配したが、どうやらそれは私の杞憂だった。

…それもそのはず。そんな事が起きるのはフィクションの世界だけで十分である。

17 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2017/11/08(水) 19:00:23.42 ID:dbyn+hkl0


コンコン


まほ「はい?」

「西住です」

エリカ「…」

まほ「お母様? …どうぞ」



ガチャ


まほ「お母様、エリカは…!」

しほ「ここ病室です。落ち着きなさい」

まほ「う…申し訳ありません…」

しほ「逸見さん、意識が戻って本当に良かったわ」

エリカ「ええ。私は大丈夫お母さん。心配はありません」

まほ「ただ、意識は戻ったばかりで、腕のこともあるので暫くは安静が必要です」

しほ「逸見さんの代わりはいるの?」

エリカ「…」

まほ「ええ。赤星と直下を臨時の副隊長"代理"にしようと…」

しほ「そう」

まほ「ただ…」

しほ「わかっているはず。度重なる敗北による汚名を返上し、再び唯一の王者としてその名を全国に轟かせること」

しほ「それが黒森峰の隊長として、西住流に名を連ねる者としての責務であることは」

まほ「はい…」
















しほ・まほ「えっ?」







…なんだか雲行きが怪しくなってきた。

18 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2017/11/08(水) 19:01:37.35 ID:dbyn+hkl0



まほ「エ、エリカ…お前今何と…?」

エリカ「え? …お母さんに"私は大丈夫"って…?」

しほ「えっ」

まほ「えっ」

エリカ「えっ」



記憶喪失は無かった(?)が、どうやら別の問題が発生した。

この問題が何を意味するか確認するため、もう一度エリカに質問した。

19 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2017/11/08(水) 19:03:38.76 ID:dbyn+hkl0

まほ「も、もう一回質問するぞ…?」

エリカ「ええ…」

まほ「私の名前は…?」

エリカ「………西住まほ」



エリカは先程と同じ回答をした。…明らかに嫌そうな声で。

その上先程は『隊長』と付けてくれたのに、今度は呼び捨てになった。

それもそうだ。二度も「私の名前を言ってみろ」などと問われたら誰だって嫌気がさす。

嫌気がさすのだが、そんな顔されると心に来るものがある…。

20 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2017/11/08(水) 19:05:34.77 ID:dbyn+hkl0


まほ「で、では、今度はお前の名前を教えてくれ?!」




エリカ「西住エリカ」




まほ・しほ「!?」

エリカ「?」キョトン

しほ「こ、これは一体どういうことなのですか!?」

まほ「お、落ち着いて下さい病院ですよ?」

しほ「落ち着いていられないわ! どうして逸見さんがうちの子になっているのよ!」

まほ「…わかりません。とにかく、先生を呼びましょう」

エリカ「」ファァ...



こ、こいつ…人の気も知らずに呑気に欠伸なんかしやがって…

こちらはお前のことを心配してるというのに随分気楽なものだな!

…どうでもいいが、欠伸しているところを見るのは初めてだ。上官と部下の関係故に私の前ではそのような無礼な態度は一切取らないからだ。

今はこういう状況だから見逃すが、普段ならば私の前で欠伸などするものなら張っ倒してやるところだ。

21 : ◆MY38Kbh4q6 [saga]:2017/11/08(水) 19:07:35.22 ID:dbyn+hkl0


エリカ「…」スッ

まほ「お、おいエリカ、何処に行くんだ…!?」

エリカ「何処って…家に帰るに決まってるじゃない…」

まほ「お前の家は…」

エリカ「何を言ってるのよ…姉さんと同じじゃない」

まほ「いや違うだろ。お前の家…というか寮は学園艦にあってだな…」

エリカ「…」

まほ「対して私の家(実家)は熊本だぞ。今は停泊しているからすぐ行けるg なんだとッ!?」

エリカ「うるさいわよ…病院なんだから静かにしてよ…」




…まて

待て

待たんか!


お前いま、"姉さん"って言ったか? 言ったよな?!


自分の家を間違えたのはまだ良い。

私にタメ口を利くのも(引っ叩いてやりたいが)まだ良い。



何故私を「姉さん」と呼ぶのだお前は!?


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