曜「あなたに出会えて」

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1 : ◆/dCcy0t.c. [saga]:2017/11/05(日) 21:51:25.97 ID:8ukBbRQW0
突然ですが私、渡辺曜は、朝から靴磨き活動中であります!

といっても、ここは沼津じゃなくて、日本の外のとある街の中なんだけどね。


―――なんで?って、それはまた別のお話。


そんなことより、よかったら君もどうかな?
いつでも歓迎っ。お代はお気持ちの分だけだよ!


曜「ヨーソロー!元気っ娘曜ちゃんの、靴磨きはいかがですかーっ?」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1509886285
2 : ◆/dCcy0t.c. [saga]:2017/11/05(日) 21:58:49.10 ID:8ukBbRQW0
Aqours全員登場です。
多分シリアス長編。よろしくお願いします。
3 : ◆/dCcy0t.c. [saga]:2017/11/05(日) 22:10:51.69 ID:8ukBbRQW0
第一章 “ノクターンと踊る街”



街の大通りを歩く人々はもう上着を羽織って、冷たい秋風にしかめっ面。


手袋を忘れた子供が手のひらをこすり合わせながら、私の横を走ってすれ違っていった。


梨子「…………はぁ」


寒さも相まって私の足取りは重い。



歩道の紅葉した木々はもう半分も葉を落として、少し寂しげに冬の訪れを告げていた。
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/05(日) 22:18:46.81 ID:KKwI12/DO
ようりこなら読まない
短編集じゃないよね?
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/05(日) 22:26:00.96 ID:6GDhUoGSO
>>4
わざわざ書くな
6 : ◆/dCcy0t.c. [saga]:2017/11/05(日) 22:27:41.81 ID:8ukBbRQW0
「―――元気っ娘曜ちゃんの、靴磨きはいかがですかーっ?」



そこに、一人の少女の温かい声。


毎朝、少女の声は大通りに響く
陰鬱な街の空気を晴らしていくように


この街では日本人は歓迎されないから、彼女に靴磨きを頼む人なんてほとんどいない。


それでも彼女は、毎朝そこに立っていた。

7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/05(日) 22:32:45.10 ID:LjQqAapI0
Aqoursメインのはどれもつまらないからなぁ
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/05(日) 22:33:45.96 ID:O8EgJtTu0
長編書いて打線入り狙いたいラブライブ板の人間かな
9 : ◆/dCcy0t.c. [saga]:2017/11/05(日) 22:38:47.90 ID:8ukBbRQW0
いつもなら、その声に背中を押されて学校へ向かうところ。


けれど、特別に憂鬱な今日の私は、ついに彼女の声に吸い寄せられてしまったらしい。

―――いや、きっと誰かに縋りたいだけだ。
快活そうなあの少女が、その誰かに適当そうに見えただけ。


そんな罪悪感に躊躇いつつも、声をかけてみた。



梨子「おはようございます」ペコ
10 : ◆/dCcy0t.c. [saga]:2017/11/05(日) 22:41:07.12 ID:8ukBbRQW0
曜「おはようございます!靴磨きですか?」


梨子「ええ、この靴をお願いできるかしら」


曜「はいっ、よろこんで」ビシッ


梨子「……なんで敬礼までしてるのか謎なんだけど、よろしくね」


曜「っあはは、すみません。つい癖で」エヘヘ


いや、どんな癖よ。
なんだか思っていたより不思議な子ね。
11 : ◆/dCcy0t.c. [saga]:2017/11/05(日) 22:45:42.74 ID:8ukBbRQW0
梨子「時間はどれくらいかかるのかしら」


曜「うーん……この感じだと10分ほどですかね。もしかして靴磨きは初めてですか?」


梨子「そうだけど、どうして分かったの?」


曜「靴は口ほどにものを言うもので」ドヤッ


梨子「へぇ……それはすごいわね」


腰に手を当てて、いかにも誇らしげな素振りが微笑ましい。


曜「時間の方は大丈夫ですか?」


梨子「10分ね。構わないわ」


曜「それじゃ、その椅子にかけてください」


梨子「はい」ストッ
12 : ◆/dCcy0t.c. [saga]:2017/11/05(日) 22:51:11.20 ID:8ukBbRQW0
曜「……最初に汚れ落としていきますね。台の上に右足乗せていただけますか?」


梨子「ええ」


曜「では、失礼します」スッ


そう言うと、かばんから必要な道具を取り出……さず、ガサゴソと私の目の前で漁り始めた。


曜「あちゃー、ブラシどこやったっけ………あ、あった」


梨子「大丈夫なの?」


曜「だっ、大丈夫!です!」


梨子「本当かなぁ」


曜「腕には自信がありますから、安心してください」フフン


できるかい。

それでも、今は彼女の無邪気さがとてもありがたかった。
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/06(月) 15:31:06.48 ID:38M1Y4/YO
期待
気長に待つぞ
14 : ◆/dCcy0t.c. [saga]:2017/11/06(月) 21:04:04.08 ID:I0WMM0Kt0

曜「これからどこへ行かれるのですか?」シュッ


梨子「……学校です。実は、ここに寄ったのはただの気分で」


曜「ええっ、てっきり社会人の方かと」


梨子「よく言われます。大人びているって」


曜「落ち着いた雰囲気があって綺麗で、大人って言われても違和感ないですよ」


梨子「そんなことないですから」


曜「ありますって!本当に羨ましいです」


梨子「やめてくださいよ。それよりあなたこそ、とてもお若く見えますよ」


曜「私は今17です。いろいろあって高校には行っていないんですけど」


梨子「そうなの?同い年じゃない」



たわいも無い話をしながらも、彼女の手は一切止まっていない。

素人目にも動きに無駄がないのが感じられる。
15 : ◆/dCcy0t.c. [saga]:2017/11/06(月) 21:07:04.98 ID:I0WMM0Kt0

曜「なんだか不思議な感じですね」


梨子「確かに。同い年の女の子に靴を磨いてもらうなんて」


曜「友達の靴を磨いてあげてるみたいです」


梨子「……案外それも、的外れじゃないかも」ボソッ


曜「えっと、もしかして今までにお会いしたことありましたか?」アセアセ


梨子「ないわ。会うのは今日が初めて」


曜「でも、友達って」


梨子「……毎朝ね、学校へ行くときあなたの声を聞いて元気を貰っていたから」

梨子「私にとっては、友達みたいな感じがするの」


曜「そうだったんですか」
16 : ◆/dCcy0t.c. [saga]:2017/11/06(月) 21:09:11.84 ID:I0WMM0Kt0

梨子「変……よね」


曜「全然っ!むしろ私の声が誰かの力になっていたなら、それほど嬉しいことはないですよ!」


梨子「よかった、ありがとう」


曜「それは私の台詞ですよ。はいっ、片足できました!」


梨子「わぁ、ほんとにピカピカになってる……すごいわね」


曜「小さい頃からお父さんの靴を磨いてきたので」エヘヘ


梨子「へぇ、お父さんは何をされているの?」


曜「航海士でした」



でした?今は違うお仕事なのかな。

……いや、ここはあまり踏み込むべきではないのでしょうね。
17 : ◆/dCcy0t.c. [saga]:2017/11/06(月) 21:10:34.39 ID:I0WMM0Kt0

曜「それじゃ、逆足もやっていきますねー」スッ


梨子「ええ、よろしく」



それからは、寒くなってきただとか、公園の紅葉が綺麗だとか。


世間話と、布が擦れる心地よい音と共に、時間は穏やかに過ぎていった。
18 : ◆/dCcy0t.c. [saga]:2017/11/07(火) 19:33:38.37 ID:o96u8mHrO

曜「―――よしっ、こっちもできましたよ!」


梨子「とっても素敵ね。流石だわ」


曜「私の手にかかれば、こんなものですよ」エッヘン


梨子「もう、調子に乗っちゃって」ニコッ


曜「……やっと笑ってくれました」


梨子「私、今まで笑ってなかったの?」



愛想笑いのひとつは浮かべたつもりだったのだけれど。
19 : ◆/dCcy0t.c. [saga]:2017/11/07(火) 19:34:52.41 ID:o96u8mHrO

曜「はい。ここへいらっしゃったときもとても辛そうで、心配で」


梨子「それじゃ、またあなたに助けられちゃったわけね」


曜「そう言われるとなんだか照れちゃいますけど」


梨子「本当にそう思ってるわ……はいっ、これはお代ね」


曜「どうもー、ってこれ多すぎですよ!」


梨子「そうかしら」



彼女はお金を見るなり、それを私の目の前に突き返してきた。
20 : ◆/dCcy0t.c. [saga]:2017/11/07(火) 19:36:41.39 ID:o96u8mHrO

曜「こんなに貰えませんって」



梨子「ううん、これで合ってるわ」


曜「どうして……」


梨子「さっき言ったでしょ?今までもずっと、あなたの声に支えられてきたって」


曜「でも」


梨子「いいからっ。こういうときの好意は受け取っておくものよ?」


曜「……なんだか悪いなぁ」
21 : ◆/dCcy0t.c. [saga]:2017/11/07(火) 19:37:52.49 ID:o96u8mHrO

手の上のお金と私の顔を交互に見つめる彼女は、とてもよくできた困り顔。

思わず先を案じてしまうくらい、素直で優しい少女。



梨子「ここで生きていくには、あなたはいい人すぎるの。いつか後悔しちゃうわよ」


曜「……じゃあ、貰っておきますね」


梨子「そ、それでいいの」


彼女はやっと、多めのお代をそっとポケットにしまった。


22 : ◆/dCcy0t.c. [saga]:2017/11/07(火) 19:40:03.07 ID:o96u8mHrO

曜「ところで、ちゃんと学校には間に合うんですか?」


梨子「それは」ビクッ


曜「はい」



梨子「……間に合わないわ。今から行っても確実に遅刻でしょう」


曜「えっ、それまずくないですか?靴磨きなんてしてる場合じゃなかったんじゃ」


梨子「―――別にいいのよ」


曜「全然よくない気が……時間も確認したのに」
23 : ◆/dCcy0t.c. [saga]:2017/11/07(火) 19:43:06.41 ID:o96u8mHrO

梨子「さっき私、これから学校だって言ったわよね」


曜「そうですね」


梨子「本当はね、行く気なんて全然ないの」


曜「……どうかされたんですか?」


上目遣いでのぞきこまれると、その優しさに甘えてしまいそうになってしまって

私は無理やり、彼女に背を向けた
24 : ◆/dCcy0t.c. [saga]:2017/11/07(火) 19:45:53.19 ID:o96u8mHrO

梨子「話すと長くなるし、今日はさようならね」


曜「そう、ですか」


梨子「またお願いするわ、ばいばい」



手を振り、荷物を持って歩き出す

今日も街をぶらつこうかな

といっても、毎日辿り着く場所は決まってるんだけど

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