曜「ラストミッション・ハレルヤチャンス」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:00:41.82 ID:XgRyX9ix0
今日私の親友、高海千歌は結婚します



…………私の全然知らない人と


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1509649241
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:01:13.68 ID:XgRyX9ix0

曜「どーしてなんだよぉぉぉぉ!!!」


曜「確かに?ちょっっっっと告白するのが遅つた気はするけど?」


曜「なんならまだしてないけど?」


曜「でも、でもずっと一緒だったのに…そんな…!」


曜「そんなの…あんまりだよ…」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:01:48.90 ID:XgRyX9ix0

曜「何か私悪かったかなぁ!?」


曜「いつも千歌ちゃんのこと考えて、いつも千歌ちゃんのこと想って」


曜「なのに…なのにどうして…?」


曜「どうしてなの!?!?」












曜「やり直したい……」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:02:16.33 ID:XgRyX9ix0
曜「高校の頃に戻りたい…」


曜「高校の頃に戻って、また一緒に青春して…」


曜「その最中に千歌ちゃんに告白して…薔薇色の高校生活を…!」


曜「お昼は偶には二人っきり、帰りには駅までお出かけデート!週末にはお泊りして……」



曜「…なんてね……遅いか…」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:02:50.32 ID:XgRyX9ix0

曜「いつだって後手後手」


曜「時々要領いい、なんて言われるけど…出会ったことをそれなりにこなしてるだけ」



曜「こんなはずじゃ…無かったんだけどなぁ…」


曜「あぁ…戻りたい…!戻って、やり直したい…!」









???「その願い叶えてあげまショーか?」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:04:22.28 ID:XgRyX9ix0

曜「誰…!?」


鞠莉?「こんにちは!妖精です☆」


曜「鞠莉ちゃん…?」


鞠莉?「No,No…私はその『鞠莉』って人ではなく……妖精デース!」


曜「……その歳でそれはキツイよ鞠莉ちゃん」


鞠莉?「シャラップ!曜!」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:04:58.46 ID:XgRyX9ix0
曜「じゃあもういいよ…その妖精さんが何の用?」


鞠莉?「よくぞ聞いてくれました…」


鞠莉?「私、所謂…『力無き人に力を授ける』タイプの妖精なのよ」


曜「力無きって…」


鞠莉?「だって…そうでしょう?」





鞠莉?「出会ってから二十何年、時間はたっぷりあったのに棒に振って」


鞠莉?「なんなら、卒業後にも幾らでもチャンスがあったのに…全て投げ捨てて」


曜「……」


鞠莉?「これを無力、と言わずして…何になるの?」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:05:27.76 ID:XgRyX9ix0

鞠莉?「でもダイジョーブ!そんな貴方にハッピーサプライズ!この私が魔法の呪文を教えてあげる!」


曜「…呪文?」


鞠莉?「……ええ!」







鞠莉?「もちろん……とびっきりの呪文よ…?」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:06:01.22 ID:XgRyX9ix0
鞠莉?「まず、右手の親指と人差し指で輪っかを作って頂戴…他の指は目一杯伸ばして」


曜「これ…よく鞠莉ちゃんがやってたやつじゃ……」


鞠莉?「そしたら、私の合図の後にこう言うのよ」




鞠莉?「『シャイニー・チャンス』って」


曜「……」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:06:30.97 ID:XgRyX9ix0

曜「やっぱ鞠莉ちゃんでしょ!適当なこと言って私をからかって!」


鞠莉?「嘘じゃないわよ!本当だってば!」



曜「一回やって騙してたらホントにどつくからね」


鞠莉?「騙された時点で目的は達成出来てるんだけどね」


曜「……」


鞠莉?「……なんてね!じょうだ」


曜「……帰る」


鞠莉「嘘!嘘だってば!ストップ!!」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:07:08.47 ID:XgRyX9ix0

鞠莉?「はぁっ…はぁっ……じゃあ…行くわよ…」


曜「ホントにこれで何か変わるの?」



鞠莉?「…変わるかどうかは貴方次第、だけどね」


曜「…え?」



鞠莉?「さぁ、行くわよ!」


曜「え、ちょ…どう言う意味…」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:07:46.70 ID:XgRyX9ix0

鞠莉?「あまねく星の息吹よ…」


鞠莉?「汝の過去と未来に祝福あらんことを…!」


鞠莉?「ハレルヤ<hallelujah>・チャンス<chance>」


鞠莉?「さあ!曜あの言葉を!そして求めよ!さすれば扉開かれん!」


曜「え!?あ…どういうこと!?」


鞠莉?「いいから!早く!」




曜「え…あ…え!?……ええと…」








曜「し、シャイニー…チャンス…?」



その言葉を放った瞬間、私の眼前は白で染まった



視界を埋め尽くす光の奔流


自分の姿が見えないほどの輝きで埋め尽くされる

まさに、神の祝福の如き閃光だった







曜「ぬぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:09:14.40 ID:XgRyX9ix0
「……ちゃん!……ちゃん!」



「よーちゃん!よーちゃん!」



曜「(頭が……痛い…)」





なんで、私は倒れてるんだろう…


私を必死に呼んでいるこの声の主は…誰?




いや、この甘く惚けるような声の主を私は知っている…


小さな頃、幼稚園の頃がずっと聞いてきたこの声


その声が今、私の頭上から響いている


曜「(それはつまり…)」





曜「千歌ちゃん!?」ガバッ


千歌「わ!びっくりした!」

14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:09:56.21 ID:XgRyX9ix0

千歌「もう…ちっとも起きないから心配したよー…」


曜「……ごめんね…?」


千歌「もう…曜ちゃんの出番は少し先だけど…まだ運動会は始まったばっかりなんだからね?」


曜「運…動会……?」


千歌「そうだよ!千歌もうワクワクが止まらないよ!」

15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:10:30.08 ID:XgRyX9ix0

曜「(起き抜けで回らない頭で何とか千歌ちゃんと会話し、情報を整理する)」


曜「(ここは浦の星、慣れ親しんだ愛する我らの母校の運動場だ)」


曜「(運動場に白線でトラックが作られている…きっと千歌ちゃんの言っていた運動会、というのは間違い無いのだろう)」






曜「(そして、目の前にいるのは…体操服姿の千歌ちゃん)」

曜「(体格も、身長もまさしく…高校の頃そのまんまだ)」
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:11:33.02 ID:XgRyX9ix0

千歌「あ!私パン食い競争出なきゃいけないんだった!ゴメンまた後で!」


曜「あ、うん…頑張ってね…」





曜「どういう事なんだろ…?さっきまで確かに教会にいたはず…」

曜「…体操服の千歌ちゃん…久し振りに見たな」


曜「あの頃はなんとも思ってなかったけど…今見ると…その…アレがアレで……」








鞠莉?「あら?お楽しみだったかしら?」
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:11:59.76 ID:XgRyX9ix0

曜「……鞠莉ちゃん…じゃなさそうだね」


鞠莉?「あら!どうして分かったの?」


曜「いや…それよく見たら学校指定のじゃないしブルマだし…なんで着てるの…」


鞠莉?「いーじゃない!風情があって」


曜「風情って……そんなことよりどうなってるの、コレ」


鞠莉?「どうなってるって…貴方が願ったのよ?」


鞠莉?「やり直したい、って」


曜「……」
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:12:30.31 ID:XgRyX9ix0

鞠莉?「過去の自分の行いを正して、意中の人に振り向いてもらいたい……そういう意味じゃなかった?」


曜「それは………」


鞠莉?「なら、この時に…なんらかの大きな未練が残ってるってことね」



曜「未練?」



鞠莉?「ええ、ただでさえ未練タラタラの貴方の中でもさらに大きな大きな未練がね」


曜「……」イラッ
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:13:25.46 ID:XgRyX9ix0
鞠莉?「今を変えれば未来が変わる、単純な因果関係よね」


鞠莉?「でも貴方はそれが出来なかった、いつまでもグズグズして変えることが出来なかった」


鞠莉?「そんな貴方に与えられたチャンスは『過去を今にして未来の今を変える』こと」


曜「……過去を、今に…?」


鞠莉?「カッコつけたけど…私に出来ることは要するに時間遡行…少しの間、過去に戻れる」


曜「時間…遡行」


鞠莉?「貴方はここで、やり残したことをやり遂げる事が出来る」


鞠莉?「そうすれば…未来は変えられる」
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:13:56.37 ID:XgRyX9ix0

曜「やり遂げるって…なにを?」


鞠莉?「それは自分で見つけて下サーイ!私には分かりません!」


曜「……」


鞠莉?「ま、というわけだからあの子関係でやり残した事がないか、よく考えることね」


曜「千歌ちゃん関係で…やり残したこと…」
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:14:30.53 ID:XgRyX9ix0

鞠莉?「じゃ、私はコレで!見つかったらマズいし」


曜「え、他の人に姿が見えないとかじゃないの?」


鞠莉?「そんな都合のいいことできまセーン!」


鞠莉?「自分、不器用なもんで……なんてね!」


曜「それ、好きだね…」






鞠莉?「じゃあね〜チャオ☆」

22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:15:09.05 ID:XgRyX9ix0
鞠莉ちゃんもどきが去ると、少し離れた所の喧騒が耳に強く入って来た


曜「(やり残した事…やり残した事って言われても…)」



まあ、考えててもしょうがない、そのうち思い出すだろう…

そんな軽い気持ちで立ち上がり、トラックの方へと足を運んだ





ここは間違いなく、あの頃私が輝いてた、学生時代


心も体も、なんとなく…澄みきっている気がする


とりあえず私は、軽い体と千歌ちゃんの体操服姿を楽しむ事にした
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:15:38.94 ID:XgRyX9ix0
曜「(どうしよう……)」



千歌「曜ちゃーん!」


曜「(どうしよう……)」





千歌「曜ちゃん!!!」


曜「わ!びっくりした!」


千歌「さっきから何回も呼んでるよ…」


曜「あはは…ごめんごめん」


千歌「もう……」


曜「(特に未練が見つからない)」
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:16:06.01 ID:XgRyX9ix0
曜「(大きくやり残した事なんてない、そもそも…運動会にたいした思い出なんてない)」


千歌「大丈夫?なんだか今日ぼーっとしてるよ?」


曜「大丈夫、大丈夫」


千歌「ホントかな…最近日射病とか…怖いんだよ?」


曜「ありがと千歌ちゃん…平気だよ」


千歌「……そっか」
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:16:33.82 ID:XgRyX9ix0

千歌「あ、今の得点が出たよ曜ちゃん」


曜「15対14…うちの赤組がちょっと負けてるね」



千歌「でも、ラストのリレーは2点入るから勝てば逆転できる…」


千歌「つまり…赤組の勝利は曜ちゃんにかかってるってことだよ!」


曜「やめてよ千歌ちゃーん…プレッシャー」


千歌「あっ…ごめんごめん」
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:17:04.64 ID:XgRyX9ix0
曜「(見聞きしたり、思い出した結果分かったことがある)」


曜「(それは……私はこの運動会最後の競技、のそのまた最後の…アンカーだという事)」


曜「(そして、もう一つ)」



千歌「いやー…でも私も出たかったな、リレー!」

曜「そうなの?」


千歌「走るのも好きだけど、なんだかワクワクするじゃん!アレ!」


曜「…アレ?」


千歌「借り物だよ!曜ちゃん!」




曜「(ただの競争ではなく、借り物競争、であること)」



曜「(ここで見つからないと…もう見つからないかな)」
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:17:32.95 ID:XgRyX9ix0
「位置について、ヨーイ!」





パァン!!!





銃声とともにスタートを切る


これが高校生の体だ、特別に軽く感じる


そんな感慨に耽りながら、同級生をグングン引き離していく








曜「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!」






半ば雄叫びのような声を上げて、トラックを駆け抜ける


もしかしたら、ここで人生が変わるのかもしれないのだから


曜「(とにかく、ここで悔いを残してはいけない…!)」
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:18:12.96 ID:XgRyX9ix0
きっと、鬼気迫る表情をしていたのだろう


少し引き気味の先生の持つくじ箱から一枚、紙切れを引く


すぐさま、震える手にて紙を広げる



そこに書かれていた文字は…







『一番の友達』








この紙を見た刹那、思い出した


私が、『あの時の私が』どうしたか、を


あの時の私は、勝ちに拘って…近くにいた友人を引っ張っていき、勝利した
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:18:42.44 ID:XgRyX9ix0
それに間違いとか、正解とか存在しないと思う


ただ、その時の私の選択だったのだ







千歌ちゃんを引っ張ってくる…?でもきっと千歌ちゃんはあの木陰にまだいる


そうなると、校庭をまるまる横断しなくてはならない



そんなことをしていては…到底他の走者のゴールに間に合わない





数秒の思巡の後、私は決断をして…走り出した
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:19:51.24 ID:XgRyX9ix0
曜「千歌ちゃん!!!!」



千歌「え!?どうしたの曜ちゃん…!?レースは!?」




汗ばんだ手に握りしめていた紙を乱雑に取り出し、見せつけるように開く


千歌ちゃんの目を見て…大きく息を吸い、言葉を放つ





曜「私と!!走って!!!!」












千歌「……うん!」
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:20:18.01 ID:XgRyX9ix0

曜「(高校生の私の足についていくのは少し苦しそうだったけど)」


曜「(私の見間違いじゃなければ千歌ちゃんはほんの少し、楽しそうだった)」
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:20:49.14 ID:XgRyX9ix0

千歌「赤組、負けちゃったね」


曜「……うん」


千歌「近くにいた友達連れてこれば良かったのに」


曜「……一番のって書いてあったから」



千歌「…そっか」

33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:21:34.62 ID:XgRyX9ix0

曜「(結果として、赤組は負けた)」


曜「(これが正解かなんて、分からない)」


曜「(ただ今の私の選択、なのだから)」














鞠莉?「ハーイ!感傷に浸ってるところゴメンね〜!」


曜「げ…」


鞠莉?「げ、とは何よ…」


曜「いや…何でも…」
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:22:42.99 ID:XgRyX9ix0


鞠莉?「さて、そろそろ戻るわよ」


鞠莉?「どうやら…解決したみたいだしね?」


曜「……最初から何をどうすればいいか分かってたの?」


鞠莉?「いや、それは私にも分からないわ」


鞠莉?「だって、何を後悔するかなんて…人一人の匙加減で決まる…」


鞠莉?「流石に、妖精パワーもそこまで万能じゃないデース!」


曜「…そっか」

鞠莉?「それじゃ、さっさと戻るわよ!」


曜「それと後一つ…」


鞠莉?「ホワット?」


曜「…いつまでブルマ着てるの?」


鞠莉?「戻れば服は元通りよ!あっ、シャイニー☆!!!!」


曜「へ?うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」





またもや光の海に放り出される


2度目でも…目が慣れるはずもなく


私は意識をなだらかに落としてしまうのだった
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:23:26.81 ID:XgRyX9ix0

曜「ハッ……!」


鞠莉?「あ、ようやく起きたわね」


曜「ここは…?」


鞠莉?「もとの教会、日時は結婚式当日」


曜「完全に元の日付って事…?」


鞠莉?「そ、ちなみに…おそらくちかっちの結婚相手も変わってないわ」


曜「……」
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:23:54.40 ID:XgRyX9ix0


鞠莉?「あなたの進む道はその時々のあなたの選択の積み重ね」


鞠莉?「覚悟と責を以って、突き進むべき道」


鞠莉?「それ故に、変えることは相当難しい」


鞠莉?「だってそうよね?二十数年の積み重ねで起こる事を数回の出来事で覆そうなんて…おこがましいじゃない?」


曜「……」






鞠莉?「だからこそ、貴方は急所を突かないといけない」
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:25:26.36 ID:XgRyX9ix0
曜「急所…?」


鞠莉?「そう…今を変える、過去の急所にメスを入れる」


鞠莉?「その機会に貴方はめぐり逢えたのだから…」

曜「……」


鞠莉?「あと言い忘れてたけど、時間遡行には回数制限があるから」


曜「え……?」


鞠莉?「回数にして、4回…今一回使ったからもう後3回ね」


曜「そんな……」


鞠莉?「ゴメンねー…こればっかしは私の実力だから…申し訳ない」
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:25:58.03 ID:XgRyX9ix0

曜「4回飛んだらどうなるの…?」


鞠莉?「私が死ぬ」


曜「え……」

鞠莉?「なんてね!冗談冗談!」


曜「…タチが悪い」


鞠莉?「あはは…まあ、限りがあるのはホントよ?」


鞠莉?「だから貴方は最小の行動回数で、最大の功績をあげなければならない」


鞠莉?「…分かった?」


曜「……うん」
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:26:28.69 ID:XgRyX9ix0
鞠莉?「よろしい!なら次に行きましょう!」


曜「え、ちょっと待っ…」




鞠莉?「過去を変え、未来を創る…人の行く末を我に示せ!」


鞠莉?「ハレルヤ<hallelujah>チャンス<chance>」


曜「あぁもう!前もこんな感じだった気がする!」












曜「シャイニー・チャンス!」


曜「ぬぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:26:57.48 ID:XgRyX9ix0


曜「うーん……」


鞠莉?「ハーイ!起きたわね☆」


曜「……ここは?」


鞠莉?「場所は浦の星、時は…学園祭当日ね」


曜「学園祭か……」
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:27:24.62 ID:XgRyX9ix0

鞠莉?「学園祭はどうしてた?」


曜「私は水泳部の方にずっと出ずっぱりだった…千歌ちゃんはクラスの舞台に出てたみたいだけど…」


鞠莉?「じゃあ、間違いなくそれね…」


曜「……」


鞠莉?「どう過ごすかは貴方の自由だけど…悔いなく過ごしなさい」


曜「うん…分かった」


鞠莉?「OK!いい子ね!…いい子にはお姉さんからアドバイス!」


曜「……?」







鞠莉?「困ったら…その時の考えに従うのもいいかも…なんてね?」
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:27:58.36 ID:XgRyX9ix0
曜「でもどうしようかな……」


曜「(水泳部の仕事の割り当ても、舞台の配役も当然当日には決まってる)」


曜「(今からできることなんて……)」








曜「(いや違う、やるんだ…何としてでもやるしかない…)」


曜「折角、あの胡散臭い鞠莉ちゃんもどきに機会貰ったんだし…やれる事は何でもしないと……」



曜「取り敢えず…うちのクラスの出番を調べて…そこを誰かに代わってもらって……」


それから私は…あの頃からは考えられないほどの行動力を発揮して物事を推し進めていた

43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:28:37.45 ID:XgRyX9ix0

曜「なんとか頭下げてこじ開けられたのは30分…」


曜「始まる前の千歌ちゃんに会いに行くくらいは行ける…」


曜「そうすれば…何かが変わるかもしれない…」


曜「高校の時の仕事こんなにキツかったっけ…?ヤバイ…腰が…」


曜「仕事終わったし…体育館行かなきゃ…」







モブ「あ!曜!」


曜「……?どうしたの?」
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:29:17.03 ID:XgRyX9ix0
運命の歯車、なんて言葉がある


思うに、いつだって起きる出来事は歯車になりうるのだ



何気なく押された歯車はころりころりと転がって、思わぬところにはまり



モブ「1人欠員が出て…お願い!劇に出て!」



運命の螺旋を回す要へと…姿を変えていく
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:30:06.17 ID:XgRyX9ix0

曜「はあ!?ロミオ役!?主役じゃん!」


モブ「お願いっ…!今ここにいる人全員役と仕事があって手が離せないの…」


曜「いや…でもぶっつけ本番って…」










千歌「曜ちゃん…!」
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/03(金) 04:30:34.17 ID:XgRyX9ix0
千歌「曜ちゃん、私からもお願い…!」


千歌「忙しいかも知れないけど…曜ちゃんしか頼れないの…」



パールカラーのスッキリとしたドレス

頭に白の花を一つ刺しただけの、シンプルな様相


素朴ながら、華のある出で立ちだった


千歌「曜ちゃんがロミオなら、きっと私も上手く出来るから、ね…?」



千歌ちゃんは、ジュリエット役だった
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