吸血娘「死なないハゲってさ、不老不死ってより不毛不死だよね」屍男「…」

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239 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/25(水) 22:57:30.36 ID:pcLh4ORuo
屍男(既に意識が遠くなってきた。これならもう数十秒もたたないうちに…

屍男(…後悔はない。どうせ一度は死んでるんだ)

屍男(偶然に与えられた命だ。元から価値なんてない…やるだけやったんだ、それでいい...)

屍男(…この半年の間はあいつのおかげで退屈はしなかった…最後に、礼を言いたかったが…お前は長生きしろ、よ)



スゥ



屍男(…あぁ、視界が、暗く、黒く、闇――――――死)







ズキッ
240 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/25(水) 22:58:51.06 ID:pcLh4ORuo
……………………………………………………………………………
………………………………………………………
……………………………………



『アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッッ!!!!!!!!』


「怪物は死を実感しながら死ぬとなりやすいって言われてるわ」


『痛ェェェ!!!!!!痛アアアアアアアアアアアアアアアアアイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!!!』


「自分の過去とか気にならないの?親とか、友達とか」


『殺スゥゥゥッッッ!!!!!!ゼーッテェー殺スウゥゥウゥゥッッッッ!!!!!!』


「大抵は未練やら後悔やら、何か思い残したことが起因になって蘇ってるわけだし」
241 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/25(水) 23:00:06.76 ID:pcLh4ORuo





ザッ…ザザッ…ザァー…

ザザザザザ……





『逃げ…ッ…ろ……』





プツンッ…




242 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/25(水) 23:00:48.87 ID:pcLh4ORuo
ドクンッ…





ドクンッ…





ドクッ…













シュルッ…

シュルルルルルルルル……
243 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/25(水) 23:01:22.12 ID:pcLh4ORuo
カンッ


傷男(物音っ...)クルッ



グチャッ…

グチャッ…



スッ…



屍男「」




傷男(やはり生きてやがったか。だがもう虫の息だ)

傷男(肉体が再生しきっていない…皮と骨と、ほんの少しの肉しかないクソガリだ。これで終いに)

傷男(…ん?)
244 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/25(水) 23:02:06.95 ID:pcLh4ORuo
屍男「」



傷男(…なんだ?あいつ、あんなに図体がデカかったか?)

傷男(俺より身長は少し高いくらいだったはずだ。だが今は…前と比べると30、いや40インチは伸びてやがる)

傷男(この期に及んで肉体の変化...)





屍男「」ザッ

屍男「」ザッ


屍男「」シュンッ





傷男「!?」ビクッ

傷男(消えッ…いや違う!移動した!残像が僅かにだが見えた!どこにっ...)
245 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/25(水) 23:03:15.30 ID:pcLh4ORuo
屍男「」フッ

傷男(後ろ――――)サッ




グシャアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!



傷男「ぐわっ!?」ズサー

傷男(あ、あぶねぇ、今のは完全に運頼みの勘だった…あのスピードは驚異的だ。一度や二度見た程度だと追いきれねぇ)

傷男(まさか…肉体の変化はこの速さになるための形態か?)

傷男(再生が追い付かないだけかと思ったあのズタボロの姿も、体重を軽くして最高速で動けるように...)

傷男(おいおいおいおい、想像以上にこれは)
246 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/25(水) 23:04:12.66 ID:pcLh4ORuo
屍男「」グッ



傷男(追撃が来るッ…どうする?迎撃か、回避か)

傷男(…それともアレを使うか?…ナシだな、あれは完全に俺の手に負えないと判断した時に使う作戦だ。それにこいつとは相性が悪い)

傷男(足が速いヤツなら何度も相手にしたことがある。それと同じだ…落ち着けば十分に渡り合える)



屍男「」シュンッ


傷男(消えたッ…!勝負は一瞬だ、あいつの攻撃を避けると同時に弾をありったけぶち込む)

傷男(あの容姿を見るに、防御はもう完全に捨ててるからな。クソ同然の耐久力だ。少しでもダメージを受ければそれでチェックメイト…)
247 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/25(水) 23:05:21.20 ID:pcLh4ORuo
チッ…チッ…


傷男(…どうした?姿を消してから4秒は経った…さっきは一瞬で俺の背後を取ったのにあまりに長過ぎる)

傷男(…あいつのタイプは純度100%の怪物型のはずだ。霊体になれるなら、もっと早くに使ってる)

傷男(それとも逃げたか…いや待てよ?タイムラグがある地上の攻撃方法…)


傷男「…まさか」クイッ





屍男「」ヒュゥゥゥゥッゥ





傷男(―――――上からか!!!!!!!)バッ



ズドォォォォォォォン!!!!!!!!!!
248 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/25(水) 23:06:40.01 ID:pcLh4ORuo
傷男(どんな跳躍力だよ!?6秒は滞空してたぞ!一体どこまで飛んでやがった!)

傷男(だがこれで終わりだ...今のやつは腕が地面に食い込んでる状態、隙だらけだ)


屍男「」ググッ


傷男(あばよクソ野郎、地獄で先に待ってろ)チャキッ



屍男「!!!!!!」ブオンッ



ズドドドドドドドドドドッッッッ!!!!!!!!


傷男「!?」

傷男(なっ…地面を抉ってそのままアッパーだと!?クッ…最後まで往生際が悪いッ!俺が撃つ方が速いッ!)

傷男(死ねィ!)カチッ



シュンッ



ドンッッッ!!!!
249 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/25(水) 23:07:44.16 ID:pcLh4ORuo
屍男「」ズドンッ



傷男(…当たった)

傷男(コンマ一秒の差で俺の勝ちみたいだな。中々肝を冷やされたぞ)カチッ

傷男(…あ?)スッ

傷男(…ん?待て、なぜ一発しか当たってない?俺は全弾撃ち尽くすつもりで引き金を引いたはずだ)

傷男(………そもそもなぜ俺の手に銃がないんだ)




屍男「」クラッ

屍男「」グッ




傷男(……まさかこいつ)
250 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/25(水) 23:09:09.47 ID:pcLh4ORuo
傷男(あのアッパーは殴る為じゃない。俺に銃を握らせるためのフェイク)

傷男(本当の目的は...)チラッ






屍男「」スッ

屍男「」チャキッ






傷男(なぜ、お前が――――!)





屍男「...」
251 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/25(水) 23:10:16.82 ID:pcLh4ORuo
傷男(や、やられたッ!あいつ…一瞬の隙をついて俺の手から銃を奪いやがった!!)

傷男(まずいまずいまずい、あと一秒もしないうちにやつは引き金を引く!腰にはもう一丁、予備の拳銃があるが間に合うかッ!?)

傷男(…間に合うわけねーか。んな一瞬で抜いて撃つなんて西部劇じゃあるまいし、確実に間に合わない)

傷男(…油断した。まさかジョーカーを握ったまま死ぬとはな。マヌケにもほどがあるぞ)

傷男(あーあ…走馬燈まで出てきやがった。死ぬ寸前になると時間がゆっくり感じるってマジだったんだな。今まで死線はいくつもあったが、初めての経験だ)




屍男「...」



傷男(…つーか、いくら何でも遅く感じ過ぎるだろ。こいつもいつまで構えてんだよ、さっさと撃てよ)
252 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/25(水) 23:11:37.06 ID:pcLh4ORuo
傷男(ハハッ、まさか撃ち方を知らなかったりしてな。そうなったら一発逆転出来るんだが…さすがに今の状況だと猿でも撃つか)

傷男(しかし本当に時間がゆっくり流れてるな。この一瞬に体が動けばどれだけ楽か)ピクッ

傷男(…動くぞ)

傷男(…腰のホルスターの手を伸ばす)


スッ…


傷男(…安全装置を外して拳銃を構える)


チャキッ…


傷男「…そして、撃つ」カチッ



ドンッ!!!!!!!




屍男「」ズドンッ





傷男「…は?」
253 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/25(水) 23:13:00.31 ID:pcLh4ORuo
屍音「」バタッ

屍男「」ピクピクッ



傷男「...」

傷男(…ど、どうなってやがる。俺の反射神経が死ぬ寸前に限界でも超えたのか?)

傷男(それとも―――――)



屍男「」ピクッピクッ


スタスタ


傷男「…」

傷男「…てめぇがどんなやつかは知らないが、怪物を狩るのが俺の仕事だ」チャキッ

傷男「…じゃあな」
254 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/25(水) 23:13:48.52 ID:pcLh4ORuo
スゥゥゥゥゥゥッ.........




傷男「…霧?」ピクッ

傷男「…ッ!?」クルッ














「やっと見つけた…」スタスタ

「まったく…手間かけさせやがて」スタスタ
255 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/25(水) 23:14:54.16 ID:pcLh4ORuo
スゥゥゥゥゥゥッ!!!!!


吸血娘「...」バサァ




傷男(…新手か)





吸血娘「…!」ギロッ





傷男「!?」ビクッ

傷男(こ、こいつの眼は…怪物なんて生優しいもんじゃねえぞ。間違いなく強いっ…!)





屍男「」ピクピクッ

吸血娘「…良かった。まだ息はある」

吸血娘「待ってろ、すぐに終わらせてやる」
256 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/25(水) 23:15:25.18 ID:pcLh4ORuo
今日はここまで
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/25(水) 23:20:24.82 ID:npCDEJBso
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/25(水) 23:21:08.55 ID:INFjCzudO
乙。って続きが気になって眠れんのだが
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/25(水) 23:22:48.06 ID:7FalLNjVo
乙。頑張れハンター
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/26(木) 10:16:03.73 ID:jW21oYxAo
頑張れハゲ
261 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/26(木) 23:28:40.84 ID:Zw6ntVHno
傷男(…間違いなく出来る。今まで出会ったやつらの中でも群を抜いてるぞ)

傷男(まさかこんな大物とご対面するとは…さすがに一人だと荷が重いな。つーか正面でやり合う相手じゃねえよ、絶対無理だわ)

傷男(…どうやら切り札を使う時が来たな。こういう不測の事態に備えておいて正解だった)




吸血娘「…」スタスタ




傷男「…ッッ!!!」チャキッ


バンバンッ!!!!!!!




吸血娘「...」スゥ
262 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/26(木) 23:29:59.51 ID:Zw6ntVHno
傷男(弾が貫通した!?霊体化しているのか、実体が存在しないのか)

傷男(とにかく隙を作らねえと。アレの一撃は人外だろうが幽霊だろうが関係ないからな。当たりさえすれば確実に葬れる)

傷男(もう目立つとかそんなこと言ってる暇はない。こっちも手段は選ばねえぞ)


傷男「ッソラッ!」ポイッ





吸血娘「…」







ピカァッッッッ!!!!!!!!!

キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!!
263 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/26(木) 23:32:03.26 ID:Zw6ntVHno
傷男(五感への直接攻撃はやつらの対抗策としては一番だ。どんな強靭な肉体や能力を持っていたとしても、この攻撃は防ぐのは不可能と言ってもいいからな)

傷男(これでやつの目と耳は封じた…後は任せたぞ。出番だ)ピッ





『.........!』ダッ





吸血娘「……閃光か。ん」ピクッ

吸血娘「…あと5秒」



傷男(4…)



吸血娘「…3」



傷男(2!)


吸血娘「…1」
264 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/26(木) 23:32:53.54 ID:Zw6ntVHno
『神は我が砦、我が強き盾。破れることなし』フッ




吸血娘「…っ!?」クルッ




修道娘「主よ!どうか我が手に戦う力を与えたまえ!!」シュゥ




吸血娘「…!」










傷男(決まったッ!!これでッ…)
265 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/26(木) 23:33:45.99 ID:Zw6ntVHno
修道娘「…っ!?」フラッ


吸血娘「…」



修道娘「」バタッ




傷男「…は?」




吸血娘「…不意打ちはいい作戦だった。最初から二人で戦うより、敢えて伏兵を忍ばせておけば、相手は敵は一人だと完全に思い込む」

吸血娘「で、隙が生まれたところを後ろからズドン。でも残念…こんな体温が高い人間を見逃すわけないでしょ?」ニヤァ


ゲシッ


修道娘「」




傷男「…っ!?」
266 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/26(木) 23:35:20.50 ID:Zw6ntVHno
傷男(な、なぜ最初からこちらが二対一だと分かっていた…!感知能力を持っていたのか!?)

傷男(いやそれよりも…どうやってクソガキを倒した?何も見えなかった。ただやつに攻撃を当てる瞬間に何かが起こったことは確かだ。何か...)

傷男「…...」チラッ





修道娘「」





傷男(…恐らくまだ死んでない。外傷がないところを見ると、精神的な攻撃か毒か…)

傷男(…間に合うはずだ、まだ...)


傷男「…ッッッ!!!!」チャキッ
267 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/26(木) 23:36:08.61 ID:Zw6ntVHno
吸血娘「あぁ、まだやるんだ、仲間が倒されて、独りになっても」

吸血娘「でも残念、もう終わってるんだよ。お前たちの負けだ」




傷男「…は?何を言って」


フラッ


傷男「!?」ピクッ




傷男「な、んだ…これ……」



傷男(や、やべぇ…意識が堕ちッ…何をされた...?)
268 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/26(木) 23:36:56.30 ID:Zw6ntVHno
プーーーーーーーーーーン


傷男(…?い、一瞬…耳元で、何かが聞こえ…...)

傷男(ま、まず…目が開けられなっ――――)




傷男「…ク……ソが……...」バタッ

傷男「」








吸血娘「…雑魚が」


屍男「……終わ…ったのか」フラッ


吸血娘「!?」ビクッ

吸血娘「お、おい大丈夫か!ハゲ!お前めっちゃボロボロだぞ!」
269 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/26(木) 23:37:48.39 ID:Zw6ntVHno
屍男「…あ、あまり無事とは言えんな。喋るの、も…きつい」


吸血娘「お、おう...でも生きてるんだな。鏡で自分の姿見た方がいいぞ。正直、私でも吐きそうなぐらいグロくなってる」


屍男「そ、そうか…それよりも...」チラッ






修道娘「」

傷男「」






屍男「…勝った、のか?」

吸血娘「うん、楽勝」
270 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/26(木) 23:38:51.99 ID:Zw6ntVHno
屍男「…気絶しているのか。ということは...」

屍男「そうか。アレを…使ったのか」

吸血娘「そう、私の切り札にして―――眷属」



プーーーーーーーーーーン





ピタッ


蚊『』




吸血娘「モスちゃんをね」
271 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/26(木) 23:39:42.48 ID:Zw6ntVHno
吸血娘「この子のおかげでもう一人の狩人がどこにいるのかも察知出来たし、私の血をあいつらに注入することで意識を奪うことができた」

吸血娘「まったく…ヴァンパイアの眷属が蚊ってのはちょっとアレだけど、人を殺すのにこれ以上の便利なモノもないよ。まさに人類の宿敵だね」


屍男「…あぁ、そうだな……グゥッ!?」ビクッ


吸血娘「ちょっっ!ほ、本当に大丈夫!?肩貸そうか?」


屍男「いや…いい。一人で立てる…クッ……」グッ

屍男「それにお前では…俺の体重を、支えることは出来ないだろうしな」


吸血娘「…そこまで憎まれ口を叩けるなら問題ないね。心配して損した」

吸血娘「…さて」チラッ
272 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/26(木) 23:41:03.84 ID:Zw6ntVHno
修道娘「」

傷男「」







吸血娘「あの狩人共を殺して終わりにするか。私の、ヴァンパイアの血は人間には猛毒だけど、殺すまでには至らないからね」

吸血娘「まったく…まさかまだ町にいるなんて。早く出て行けば長生きできたのに」


屍男「…よく俺がここで戦っていると分かったな。家からはかなり離れているはずだが」


吸血娘「あぁ…それね」
273 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/26(木) 23:42:00.28 ID:Zw6ntVHno
吸血娘「なんていうか…虫の知らせみたいなのを感じたんだよね。ハゲの帰りも遅かったし、ちょっと心配になって探しに行ったんだ」

吸血娘「そしたら向こうの方から爆発音が聞こえて、モスちゃん達がここを見つけて急いで駆け付けたってわけ」


屍男「…そうか。今回ばかりは本当に助かった」

屍男「お前がいなかったら…間違いなく俺は死んでいたからな。礼を言う」


吸血娘「…!」カァ

吸血娘「そ、そんな真面目な顔するなよ!照れるだろ!」

吸血娘「あーもう!早く殺して帰るぞ!私はチョコアイスが食べたいんだからな!」スタスタ


屍男「…あぁ、そうすると」

屍男「…ッ!」ズキッ
274 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/26(木) 23:42:42.45 ID:Zw6ntVHno
修道娘「」


吸血娘「…勿体ないな。食べ頃だし、いつもなら血を吸いたいところだけど…狩人の血を飲むのはちょっと危ないからな」

吸血娘「…悪く思わないでよね。この世界は負けた方が悪いんだから」シュッ









ガシッ








275 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/26(木) 23:43:23.22 ID:Zw6ntVHno
吸血娘「…?」















修道娘「」

傷男「」



屍男「...」グッ
276 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/26(木) 23:43:58.46 ID:Zw6ntVHno
吸血娘「…ちょっとハゲ、何で私の手を掴んでるの?殺せないんだけど」

屍男「...」

吸血娘「あ、もしかして肉が食いたいの?やめときなって、狩人の体は全身が武器みたいなもんだから、どこにどんな仕掛けがあるか分からないんだよ」

吸血娘「聖水を飲んで力を増強してるやつもいるって聞くし、怪物のお前が食べたら最悪死ぬかもしれないんだぞ。だから―――」



屍男「…違う、そうじゃない」

屍男「こいつらを殺すのは…よそう」



吸血娘「………は?」
277 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/26(木) 23:46:30.79 ID:Zw6ntVHno
今日はここまで
実は最初は吸血娘と執事の蚊の話にしようと思ったんですがいつの間にかハゲが出てきました
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/27(金) 00:41:24.07 ID:hDmu8YZnO
ハゲを見かけたら10匹いると思えって言うしね
279 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/27(金) 20:11:47.11 ID:3iWUpKkco
ごめんなさい今日は更新出来ないです
大体あと二回分の投下で終わると思うのでハロウィンには完結すると思います
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/28(土) 03:05:33.23 ID:KLKPZGXBo

楽しみだったから短く感じるなぁ
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/28(土) 14:20:53.39 ID:ljV6t1OAO
別の作品とか書いたことある?
あるなろ見たい
282 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/28(土) 22:59:14.85 ID:X1cgnwtdo
吸血娘「ちょ、ちょっと…自分が何言ってるか分かってんの?頭大丈夫?」

吸血娘「こいつらを殺さないって…意味分かんないんだけど」


屍男「…」ギュッ


吸血娘「い、いいから早く離せよ!今ここでこいつらを殺さなかったらどうなるか分かってんの!?」

吸血娘「こっちは二人とも顔見られてんだぞ!それに住処もバレてる!いくら私が強くてもカバー出来る範囲は限界がある!」


屍男「…殺さなくても、お前には記憶を消す力があるだろう」

屍男「それを使えば…」


吸血娘「バカ!そんなの通じるのは一般人だけだ!こいつら狩人は普段から私たちの存在を知っているんだぞ!!」
283 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/28(土) 23:00:01.61 ID:X1cgnwtdo
吸血娘「記憶を消すって言っても完全に消えるわけじゃない…鉛筆で書いた文字を消しゴムで消したように、どうしても跡が残るんだ!こいつらは絶対にすぐ思い出す!そしたらどうなるかぐらいお前でも分かるだろ!」


屍男「…分かっている。もしこの狩人を生かしていたら…俺達の未来は破滅しかないだろう」

屍男「だがそれでも…俺は殺せない。殺させない」


吸血娘「だっ…だから!さっきから意味分かんないって言ってるだろ!?なんで殺さないんだよ!?何か考えでもあるの!?」


屍男「…」

屍男「…俺が今まで殺してきたやつは悪人ばかりだった。どいつもこいつも、その瞳は欲望に塗れて、他者を傷付けることに何も躊躇はしないクズばかりだ」

屍男「だが…この二人は違う。こいつらは…悪人じゃない。目を見て分かったんだ」
284 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/28(土) 23:00:59.85 ID:X1cgnwtdo
屍男「…こいつらの瞳には確かに正義があった。クズとは違う…他者のことを守ろうとする正義が」

屍男「狩人の本質というのは…そこから来ているんだろう。自らの命を危険に晒してでも、異形の者に立ち向かう…人々の為にな」

屍男「…俺は、そんなやつらを殺すことなんて出来ない。むしろ尊敬に値する存在だと思う」


吸血娘「ハァっ!?お前本格的に頭おかしくなったんじゃないのォ!?」

吸血娘「確かにこいつらはいつも仕事で殺してるやつらとはちょっと違うけどさ、お前を本気で殺そうとしてたんだぞ!!」

吸血娘「そんなやつらをノコノコ生かしておくつもり!?いつかまた絶対襲ってくるぞ!!!」
285 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/28(土) 23:02:26.55 ID:X1cgnwtdo
屍男「…それでも、俺には無理だ。理解してくれとは言わない…自分でも支離滅裂だと思う」


吸血娘「っっ…!!」

吸血娘「も、もういい!お前は多分、殺されかけて頭の回路がおかしくなってるんだ!」グイッ

吸血娘「どけ!私が力ずくでもそいつを殺す!!!!!」グッ



屍男「…すまない、それを見逃すわけにはいかない」スッ



吸血娘「…ッ!?」

吸血娘「わ、分かってんの!?そいつらの前に立つってことがどういうことか…!」
286 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/28(土) 23:03:20.37 ID:X1cgnwtdo
屍男「…あぁ、分かっている」

屍男「例え…お前と敵対することになっても、この狩人は殺させはしない」





修道娘「」

傷男「」





吸血娘「……...」

吸血娘「…な、なんでだよ。私は…ハゲを助けたんだぞ」

吸血娘「わ、私の身より…その狩人の命の方が大事なの...?」



屍男「...」
287 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/28(土) 23:04:16.92 ID:X1cgnwtdo
屍男「…お前とこの二人の命、どちらかを天平に描けるとしたら俺は間違いなくお前を選ぶ」

屍男「だが…今はどちらの命も助かるんだ。なら…俺はこの道を選ぶ」

屍男「…許してくれ、どうしても譲れないモノがあるんだ。それが何かは分からないが…これだけは守りたい」



吸血娘「…」

吸血娘「…もういいよ、話しても無駄だ」



吸血娘「私はそいつらを殺す、お前が何を言っても…それだけは聞けない」
288 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/28(土) 23:05:45.99 ID:X1cgnwtdo
屍男「…ッ!!」グッ











吸血娘「ッッッ――――!!!!!」ダッ










ウーウー ウーウー





吸血娘「…!?」ピクッ

吸血娘「こ、このサイレンは…!」
289 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/28(土) 23:06:26.34 ID:X1cgnwtdo
屍男「…どうやら、あの爆発音に寄ってきた者は他にもいたようだな」

屍男「もうすぐそこまで警察が来てる…時間切れだ」




吸血娘「…チッ!」スッ





スゥゥゥゥゥゥッ…





屍男「…霧になって帰ったか」

屍男「…」チラッ
290 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/28(土) 23:07:17.47 ID:X1cgnwtdo
修道娘「」

傷男「」






屍男「……...」

屍男「…俺は」






「おい!そこで何をしている!!」





屍男「…!」ダッ





「待て!!!!逃げるな!!!!」
291 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/28(土) 23:08:49.27 ID:X1cgnwtdo
ダダダダダダダダッ!!!!!



屍男「ハァッ…!ハァッ…!」ダダッ


屍男(…あの時)

屍男(爆弾で吹き飛ばされ、意識が飛びそうになった瞬間に…確かに聞こえた)

屍男(誰かの叫び声と…逃げろという声が)

屍男(叫び声の方に身に覚えはないが、もう一つの方は間違いなく...)


屍男(俺の声だった)


屍男(心の声でも、過去に言った覚えもない…ということは、俺の失われた過去の中で発言したものなのかもしれない)

屍男(もしそうだとすれば…もう一度、死の瀬戸際になれば記憶が戻るかもしれない。今回は欠片しか掴めなかったが、次こそは...)
292 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/28(土) 23:10:10.55 ID:X1cgnwtdo
ピギッ


屍男「ウグゥッッ!?」ビクッ

屍男(グッ…そ、そうだ…まだダメージが完全に回復していなかった)

屍男(急に動いたせいで傷が開いてきた…ここでまた意識を失ったら全てが無駄になる)

屍男(…家に戻るのは無理だな。あいつのところに行くか)





コンコン コンコン





ガチャ
293 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/28(土) 23:10:56.20 ID:X1cgnwtdo
魔女「はぁい、どちらさま…って」



屍男「」



魔女「!?」



魔女「えっ!?ウソっ!?ゾンビくん!?」

魔女「だ、大丈夫!?いや全然大丈夫そうに見えないけど!死にかけにしか見えないけど!」



屍男「」



魔女「…し、死んでる」
294 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/28(土) 23:12:23.69 ID:X1cgnwtdo
………………………………………………………………………………
……………………………………………



屍男「」

屍男「」ビクッ


屍男「」パチッ


屍男「…ここは、あの女の家か」

屍男「…家の前までに行った記憶はあるが、そこからが思い出せないな。倒れたのか」

屍男「…時間は昼の1時か?半日近く寝ていたのか」スッ



スタスタ スタスタ




魔女「〜♪〜〜♪」




屍男「…おい」
295 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/28(土) 23:13:13.20 ID:X1cgnwtdo
魔女「…ん?」クルッ

魔女「あっ!ゾンビくん!良かった、気が付いたみたいね」


屍男「…あぁ、すまないな。ベットまで運んでもらって」


魔女「いいのよ…事情は大体ドラキュラちゃんから聞いたわ」

魔女「それにしても、まだ狩人が町に残ってて遭遇しちゃうとはね…怪物であるアナタが生き残っているのは奇跡と言っていいわ」


屍男「…そうだな。あいつの助けがあと一分でも遅かったら、俺はここにいなかっただろう」


魔女「それでも、狩人相手に抵抗してたゾンビくんも凄いわよ?でも本当に良かったわ、意識が戻って」

魔女「四日間ずっと寝込んでたからねぇ…このまま本当の死体になっちゃうかと思ったわ」
296 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/28(土) 23:14:07.36 ID:X1cgnwtdo
屍男「…四日、だと?」



屍男「あの戦闘から…四日も経っているのか?」

魔女「えぇ、もしかして気付いてなかった?」

屍男「…あ、あぁ、てっきり半日しか過ぎてないかと」

魔女「まあいいわ。ちょうどランチも出来た頃だし、一緒に食べましょうか」

魔女「私も…ゾンビくんと話したいこともあるし」
297 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/28(土) 23:14:45.49 ID:X1cgnwtdo
モグモグ モグモグ


屍男「」モグモグ

魔女「さすがに四日も食べてないとお腹が空いてるみたいね。私のも食べる?」


屍男「…あぁ、貰っておく」モグモグ


魔女「...」

魔女「ねえ、ゾンビくん。どうして狩人を殺さなかったの?」


屍男「」ピタッ


魔女「ドラキュラちゃん、態度には出さなかったけど相当怒ってたわよ。いや…あれは怒ってるというよりも戸惑ってるって言った方が近いか」

魔女「正直、私も同意見。理解出来ないわ」
298 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/28(土) 23:15:31.42 ID:X1cgnwtdo
屍男「…」ゴクンッ

屍男「…あいつにも言ったんだが、俺が殺せるのは悪人だけらしい」

屍男「うろ覚えなんだが、俺はあの狩人をあと一歩のところまで追い詰めた。指を少し動かすだけで殺せるところまで」

屍男「だが殺せなかった...あいつの瞳の中にあったのはドス黒い殺意でも敵意でもない。真っ白な何かだ」

屍男「…俺にはそれが眩しすぎた。だからあの狩人達は殺せなかった」

屍男「私利私欲の為に殺しをしてるんじゃない…彼らの目の中には人を守るという使命が感じられたんだ」



魔女「...」
299 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/28(土) 23:16:15.56 ID:X1cgnwtdo
魔女「まあゾンビくんの言ってることも分からなくはないわ…確かに、狩人は命をかけて怪物や人外に挑んでいる」

魔女「その根本にあるのは…誰かを救いたい、守りたいといった正義感でしょうね」

魔女「でもアナタは怪物なのよ?もう人間じゃない、そんな綺麗ごとは通用しないわ」


屍男「…分かっている。この感情が、俺の存在と矛盾していることも」

屍男「それでも、俺はあの判断を間違っているとは思ってない」


魔女「…」

魔女「そういう頑固なところはゾンビくんらしいわね。いいわ、この件に関してはもう私からは何も言わない」
300 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/28(土) 23:16:58.10 ID:X1cgnwtdo
魔女「さて、ここから本題と行きましょうか。ドラキュラちゃんが狩人に自分の血を注入して倒したって話は聞いてるけど、その効果がどこまであるかは知ってる?」


屍男「…あぁ、聞いたことがある」

屍男「ヴァンパイアの血は人間が摂取すると、量によるが数週間は動けないと」


魔女「そう、今回ドラキュラちゃんが使ったのは眷属の蚊が運べる量の血、ここから計算すると…短くても一週間は意識が戻らないと思うわ」


屍男「…一週間か。俺が四日も寝ていたことを考えると」


魔女「そう、あと数日しか残ってない。顔を見られた二人と、狩人が残っている今、残された道は一つしかない」


屍男「…出て行くしかないか。この町から」
301 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/28(土) 23:18:12.80 ID:X1cgnwtdo
魔女「逃亡先と飛行機のチケットやらは私が用意してあげるわ」

魔女「だから明日にはもう旅立ってもいいように準備はしておいて、このことを帰ったらドラキュラちゃんにも伝えてあげて」


屍男「…あぁ、分かった」


魔女「それと…今晩はドラキュラちゃんの話を聞いてあげて」

魔女「あの子は…狩人に怨みがあったから、今回の件には少なからずショックを受けてると思うから」


屍男「…怨みだと?それはどういう...」


魔女「これ以上は私からは何も言わない。ここから先はアナタが自分で知るべきよ」


屍男「...」
302 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/28(土) 23:19:25.25 ID:X1cgnwtdo
………………………………………………………
………………………………………



ガチャッ


屍男「…」

屍男「あいつは…まだ寝てるか。昼間だしな」

屍男「…先に荷物の整理をしておくか」スッ


屍男(…この町を出るのは俺だけじゃない。顔を見られた以上、あいつも姿を隠さなくてはならない)

屍男(…この家は思い出の場所のはずだ。亡くなった父と共に暮らしていたんだからな...)

屍男(…悪いことをした。本当に...)
303 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/28(土) 23:20:19.15 ID:X1cgnwtdo
チッ…チッ…チッ…



屍男「…そろそろか」



スタスタ スタスタ




吸血娘「…」スッ




屍男「…」



吸血娘「…」



屍男「…」

屍男(…ど、どんな言葉をかければいいんだ…?気まずい...)
304 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/28(土) 23:21:06.34 ID:X1cgnwtdo
吸血娘「…ん」


屍男「…?」


吸血娘「いやだから…ご飯は?私起きてきたばっかなんだけど」


屍男「あ、あぁ…そうだな。すまない、今から準備する」


吸血娘「いやいいよ、ないなら宅配ピザにするから。いつものガーリックミートピザのチーズ120%増し頼んどいて」


屍男「…分かった」
305 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/28(土) 23:21:41.72 ID:X1cgnwtdo
吸血娘「んー♪うっま…何かこの味も久しぶりに食った気がするな」モグモグ

吸血娘「ほら、ハゲにもあげる。トマトいっぱい入ってるやつ」スッ


屍男「...」モグモグ


吸血娘「…いつまでそんなくらいテンションでいるんだよ。一緒にいるこっちの髪までハゲそうだわ」


屍男「…」


吸血娘「まったく…そんなに気にしてるなら最初から殺しとけよ。意味分かんない」

吸血娘「あーあ…私もこの家を離れることになるのかぁ…20年間住んでたところを離れるってのは何か感傷深いっていうか、寂しいなぁ...」

吸血娘「…まあこれも全部誰かさんのワガママのせいだけど」チラッ
306 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/28(土) 23:22:13.83 ID:X1cgnwtdo
屍男「...すまない」


吸血娘「…今日が最後の夜なんでしょ?明日にはもうおさらばか」


屍男「…なぜそのことを」


吸血娘「何となく察するわ。そろそろ私の血の効果も切れるころだし」


屍男「…一つ、聞いてもいいか?」


吸血娘「…なんだよ」


屍男「…あの女から、お前は狩人に怨みがあると聞いた。それは本当なのか」
307 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/28(土) 23:22:48.46 ID:X1cgnwtdo
吸血娘「...あいつ本当に余計なことしか言わないな。個人情報もクソもないわ、上の口と下の口ユルユルじゃん」

吸血娘「はぁ…場所移すか。ベランダに来て」スタスタ


屍男「…あぁ」











ヒュゥゥゥゥッゥ





屍男「…」

吸血娘「今日はちょっと風が強いな。まあいいや」ゴトンッ
308 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/28(土) 23:23:30.46 ID:X1cgnwtdo
屍男「それは...」

吸血娘「お酒だけど、ほらお前も飲め」トクトク

屍男「…ではいただく」ゴクッ


屍男「…これはラム酒か?いい酒だ、美味いな」


吸血娘「お前酒飲めたんだ。飲んでるところ見たことなかったから飲めないかと思ってた」

屍男「別に…飲めないわけじゃない。嗜むぐらいはする」

吸血娘「ふーん、じゃあなんでいつもミルク飲んでるの?好物なの?」

屍男「好物…というわけではないが、ただ飲まないと落ち着かない気がしてな」

吸血娘「…変なの」ゴクッ
309 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/28(土) 23:25:05.13 ID:X1cgnwtdo
吸血娘「…フゥー」

吸血娘「…このお酒ね、父親が好きだったんだ。色も赤いし血っぽくて…だから私も嫌いじゃない」

吸血娘「他の飲むと吐いちゃうんだけどね」 ゴクッ



屍男「...」



吸血娘「私の父親がどうやって死んだかまだ教えてなかったでしょ?教えてあげる...」

吸血娘「…狩人に殺されたんだよ。多分ね」



屍男「…」

屍男「その…多分というのはどういうことだ?」
310 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/28(土) 23:26:32.22 ID:X1cgnwtdo
吸血娘「私の父親ってさ…結構ヴァンパイアの中では有名人なんだよね」

吸血娘「何でも200年以上も前から活躍してたらしくて、その強さから噛み殺し公爵って呼ばれてたみたいだし」

吸血娘「まあ私から見たら、ただの放任主義のクソ親父だったんだけどね」ゴクッ


屍男「...」


吸血娘「で…その父親が急に消えたんだ。今まで家を長いこと留守にしてたことは何回もあったけど…連絡も取れないってことは初めてだったし、何か分かっちゃうんだよね。肉親が死んだっていう感覚が...」

吸血娘「確信したよ。狩人に殺されたってね。私の父親を殺せる相手なんて…"あの狩人"しかいない」


屍男「…あの?」
311 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/28(土) 23:28:04.26 ID:X1cgnwtdo
吸血娘「私たちの世界でもさ…その存在から、関わるのが『禁忌』になってるやつらがいるんだよね」

吸血娘「『魔人』『色付きトカゲ』『悪熊』『メア&リリー』有名なのはこの辺りかな。こいつらは関わること自体が早死にするっていうくらいに触れちゃダメなやつら。レベルが違うバケモン共だよ」

吸血鬼「そのバケモン共の中に…同じく名前を連ねてる狩人がいるんだ。そいつの名前は…『Shadow』」



屍男「…シャドウ?」



吸血娘「うん、こいつはもう何年も前からこっち側で恐れられてる。名前も、顔も、性別も、種族も不明」

吸血娘「でも存在してるってことは確か…こいつの特徴はその狩りのスタイルそのもの、誰にも目撃されることなく標的を殺す」
312 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/28(土) 23:29:09.59 ID:X1cgnwtdo
吸血娘「世界中で、強いってことで有名だった怪物やら人外がある日、突然消えるんだ。まるで存在を消されたように」

吸血娘「で、付いた異名が『Shadow』いつの間にか背後にいる影…洒落てるでしょ?」


屍男「…話は分かったが、そいつが父親を殺したとは限らないんじゃないのか?」


吸血娘「ううん…これだけは間違ってないと思う」

吸血娘「こっち側のやつって名前を売るのが大好きだからさ、狩人にしても人外にしても、名が知れ渡ってるやつが殺されたら絶対に噂が広がるはずなんだよ。俺があいつを殺したってね」

吸血娘「でも『Shadow』に殺された場合は違う。誰もこいつの正体を知らないし、こいつも自分を隠してるから噂が広がらない…だから確信してる。私の父親はあいつに殺されたって」


屍男「…」
313 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/28(土) 23:29:59.78 ID:X1cgnwtdo
吸血娘「はぁ…もしお前が逃がしたやつが『Shadow』だったらどう責任取るんだよ…マジで」


屍男「…いや、それだけはないだろう」

屍男「お前の父は…かなり強かったんだろ?その娘に手も足も出なかったやつらがシャドウとやらなわけがない」


吸血娘「…まあ、それもそうだね。あいつらは所詮二流だったし…」

吸血娘「…ねぇ、もし私が『Shadow』を見つけて、殺そうとしたら…ハゲはまた止める?あの狩人を助けたみたいに」


屍男「…いや、それはない」

屍男「お前の復讐の相手というなら話は別だ。もしその時が来たら…全力で手助けするさ」
314 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/28(土) 23:30:43.26 ID:X1cgnwtdo
吸血娘「ぷっ…助けるって、あいつら相手でもボロクソにやられてたお前が言うなよ」ゴクッ


屍男「…それもそうだな」フッ


吸血娘「…私さ、父親のことはあんまり好きじゃなかったけど、死んだって感じた時は泣いたんだ。今まで何度かそんな想像はしたことがあったけど、涙なんか出なかったのに」


屍男「...」


吸血娘「…やっぱり家族だったんだと思う。自分が思っているよりも、あの人の存在が大事だったんだよ。気付いた時にはもういなくなってたんだけど」

吸血娘「だから…仇は絶対に取ってやろうと思う。それが私の、娘としての役目だと思うから」


屍男「…そうか」
315 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/28(土) 23:31:00.98 ID:6AK1vIJJo
わかった!ハゲが『Shadow』だ!
316 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/28(土) 23:31:36.94 ID:X1cgnwtdo
吸血娘「…...」


屍男「…ん?」



吸血娘「Zzz…Zzz...」スゥ



屍男「…たった数杯でもう酔い潰れたか。無理して飲むからだ」ゴクッ

屍男「…復讐か」

屍男「こいつも…まだまだ子供だと思っていたが、そんなことを考えていたんだな」



吸血娘「Zzz...」グー



屍男「なら…俺も協力する。お前は命の恩人でもあり、俺の初めての友人だ…その時が来たら…」
317 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/28(土) 23:32:24.56 ID:X1cgnwtdo
〜〜〜〜 翌日 〜〜〜〜



吸血娘「ネッッッッッッッム!!!!!!!」

吸血娘「というかめっちゃ頭痛いんだけど…グラグラするし気分最悪…もう寝たい...」


屍男「…我慢しろ、あと数時間もしたら飛行機に乗ってるんだぞ。今寝たら確実に乗り遅れる」

屍男「それに気分が悪いのは前日に酒を飲んだせいだろ」


吸血娘「おえっ…マジで無理…なんでお前全然平気なの…このアルコール漬けの死体め…」

吸血娘「ちょっとトイレ行ってくる…吐きそう」オエッ


屍男「早くしろよ。もうそろそろあの女が迎えに来る時間だ」


吸血娘「分かってるって…いざとなったらあいつの車の中で吐いて嫌がらせするから」バタン


屍男「…頼むからやめてくれ」
318 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/28(土) 23:33:28.48 ID:X1cgnwtdo
ピンポーン



屍男「…ん?もう来たのか」

屍男「おい、時間だ。早くトイレから出ろ」コンコン


『ちょっと待てって言っといて…』

屍男「…仕方ない。落ち着くまで待ってるぞ」スタスタ



ガチャ



屍男「すまない、あいつの調子が悪いみたいでな。少し待ってて――――」






バンッ!!!!!!!!!





屍男「!?」ズドンッ
319 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/28(土) 23:34:58.79 ID:X1cgnwtdo
ジャーーーー

ガチャ


吸血娘「ふぅ、吐いたらスッキリした」

吸血娘「待たせて悪かったな、ハゲ。もういいぞ…って」


吸血娘「…ん?」


吸血娘「あれ…どこ行ったあいつ…もう外に出てるのか?」スタスタ



ボロボロ ボロボロ



吸血娘「!?」

吸血娘「な、なにこれ…玄関が荒れてる。ドアも外れてるし…こ、こんなこと出来るやつなんて一人しかいない」

ネチャッ

吸血娘「血痕…ま、まさか…」


吸血娘「――――――!!!!」ダッ
320 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/28(土) 23:37:18.10 ID:X1cgnwtdo
今日はここまで
最後はハロウィンに投下出来ると思います
321 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/28(土) 23:38:59.83 ID:CT21gSeMo


え?まだshadowも男の過去も出てないのに
あと一回で終われるのか?まだまだ続きそうな感じなのに
322 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/28(土) 23:45:03.76 ID:BIn7rUCio

新手の狩人かこないだの狩人の復活が早かったのか

>>315
ハゲ頭は光ってるんだからむしろshineだろ
323 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/29(日) 03:30:29.62 ID:5j57rZcno
もっと続きそうなのに終わっちゃうのかー
324 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/31(火) 01:26:59.29 ID:bZYgmwwgo
プルルルルル…プルルルルル…

ピッ


魔女「もしもし?ドラキュラちゃん?どうしたの、今から迎えに――」


『ハゲが攫われた!!!!!』


魔女「…え?」


『私がトイレに入ってる間に消えたんだ!玄関で争った跡があって、血痕も残ってる!』

『でも死体はない…どこかに連れ去られたみたいなんだよ!』

『ど、どうしよう…まさかあの狩人達が早く目覚めたのかも…こ、このままだとハゲが!』


魔女「...」

魔女「…落ち着いて、ドラキュラちゃん。死体は残ってないのよね?」
325 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/31(火) 01:27:44.01 ID:bZYgmwwgo
『う、うん…それは間違いない』


魔女「なら狩人の仕業とは考えられないわ。あの人達はわざわざ怪物を攫うなんてまどろっこしいことはしない。殺すか殺されるかの二択だけよ」

魔女「それに、いくら何でも復帰するのが早すぎるわ。仮に目覚めたとしても、向こうも何日も寝たきりだったのよ?そんな病み上がり状態で狩りをするほどの馬鹿だったらとっくに早死にしてるわ」


『じゃ、じゃあ誰がハゲを攫ったんだよ!他に心当たりなんて...!』


魔女「…心当たりならあるでしょう。数え切れないほどに」


『…っ!?それってまさか...』
326 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/31(火) 01:28:55.92 ID:bZYgmwwgo
魔女「私の予想だと、ゾンビくんを攫ったのは人間ね。仕事関係の復讐、というよりお礼参りって言った方が正しいかしら」


『な、なんで人間が私の家を特定できたんだ!?それにそんなやつらにハゲが負けるわけないだろ!』


魔女「…恐らく、情報が漏れたのはゾンビくんからでしょうね。彼にはアナタみたいに姿を隠す能力なんてないから、何かのきっかけで正体がバレたんだと思うわ」

魔女「顔さえ分かれば住所を特定するなんてそう難しいことじゃないわ…いつか警告したことがあったでしょう。今はそれが現実に起こってしまったのよ」

魔女「ゾンビくんが抵抗出来なかったのは…それほどあの戦いでのダメージが響いてたみたいね。もう結構平気な顔してたけど、本人はまだ無理をしてたってことかしら」


『そ、そんな…最悪のタイミングじゃん...』
327 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/31(火) 01:30:02.20 ID:bZYgmwwgo
魔女「…悪い出来事が連鎖するのはそう珍しいことじゃないわ。むしろ不運が不運に重なって不幸になるのよ」

魔女「とにかく、今はゾンビくんを一刻も早く探し出さないとマズい…拉致されたってことはそう遠くないうちに間違いなく殺されるわ。一時間後かもしれないし、五分後かもしれない」

魔女「…早急に見つけないと最悪の事態になるわね」


『……』


魔女「今、ゾンビくんの携帯がどこにあるか分かる?もし本人が持ってたらGPSで一発で分かるんだけど」


『…家のテーブルに置いてある。あいつ普段から携帯持ち歩いてないから』


魔女「…そうなると、人力で見つけ出すしかないわね。私も情報を集めてみるわ」

魔女「ドラキュラちゃんは眷属を使って、広範囲に散策してみて。出来るだけ悪そうな人が関わってると思うから、その人達が集まりそうな場所なら何か手掛かりがあるかも」


『…分かった。何かあったら連絡して』プツッ


魔女「…」

魔女「…ゾンビくん」
328 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/31(火) 01:30:43.93 ID:bZYgmwwgo
吸血娘「モスちゃん、そっちは南をお願い。ガラが悪いヤツらがいたら私に連絡して」

吸血娘「そっちのモスちゃんズは北を、知らせがあったら伝達係を飛ばして」





蚊『』プーーーーーーーーーーン





吸血娘「…...」

吸血娘「私も…行こう」スゥッ
329 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/31(火) 01:31:28.63 ID:bZYgmwwgo
ブゥゥゥン!!!!!


屍男「...」

屍男「…ッ」ピクッ


屍男「…ここはどこだ?…狭いが」

屍男(…一体何があった。確か…家のドアを開けた時に…)












バンッ!!!!!



屍男「!?」ズドンッ

屍男(なっ…撃たれッ……!)バタッ


黒服A「おい、こいつであってるのか?」

黒服B「あぁ、間違いねえよ。手配書の写真通りのハゲだ」
330 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/31(火) 01:33:00.11 ID:bZYgmwwgo
黒服C「しかしこんなハゲにうちの組員が何人もやられてるとはな。とても信じられねえが」

黒服D「たかが一人に情けねぇ…組の恥だわ」





屍男(…なんだ、こいつらは……組?狩人ではないみたいだが)

屍男(うぐッ…!こ、これはただの銃弾じゃない…麻酔弾か、意識が―――!)





黒服A「オラ、早く車に運ぶぞ。港までこいつを連れてくのが俺達の仕事だ」グイッ

黒服B「重てぇなコイツ…三人がかりで運ぶぞ」グッ
331 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/31(火) 01:33:46.96 ID:bZYgmwwgo
屍男「――――!!!!!!」ドンッ




黒服A「!?」ボコォ





屍男「グッ…ハァッ…!」フラッ





黒服B「おい!こいつまだ動けるぞ!!撃て!!!!」




バンバンッ!!!!!!!バンバンッ!!!!!!!




屍男(こ、こんなところで……お、終わって......)
332 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/31(火) 01:34:54.26 ID:bZYgmwwgo
屍男「…思い出しだぞ、全部」

屍男(あいつらは何者だ…?組だのどうとか言っていたが、そうなると仕事関係のやつらか)

屍男(…駄目だ。誰か分からん。その手のやつらはもう何人も殺したからな、特定は無理か)

屍男(…それより、今はここから脱出しなくては。恐らく形状を見るに、ドラム缶か何かに閉じ込められてる状態だ)

屍男(この程度なら問題なくぶち破れ......)グッ


プラーン


屍男(…腕に力が入らん。脚もだ)

屍男(あの撃たれた銃弾が原因か…麻酔が抜けるまで待つしかないか)

屍男(…不覚だった。あの程度のやつらなら普段の俺なら全員始末出来た)

屍男(…あの狩人に負わされた傷がまだ癒えていない。よりにもよってこんな時に)
333 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/31(火) 01:36:24.31 ID:bZYgmwwgo
ブゥゥゥン


屍男(…エンジン音、地面の振動の動きを察するに、ここ車内か?一体どのぐらい時間眠っていた)

屍男(…そしてどこに運ばれているんだ)



『おい、あと何分ぐらいだ?』

『30分ってところっすね。渋滞があったんで少し遅れてますわ』


屍男(声…)ピクッ


『ったく…もうほとんど全員集まってるってメール来たぞ。急がねえと俺の評判まで下がる』

『しかしあれには驚いたな。一発で象3体を一瞬で眠らせる弾を五発も撃たされるとは…バケモンかよ』

『まあもう二度と面を拝むことはないんですしいいじゃないっすか。このまま海に沈めるんでしょ?』


屍男(…沈める?)
334 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/31(火) 01:37:40.43 ID:bZYgmwwgo
『しかし何で拷問しないんすかねぇ、この前のやつは硫酸プールに沈めたのにこいつはそのまま海にドボンなんでしょ?自分あれもう一度見たかったんすけど』

『俺が知るかよ。ただこいつは何人も殺ってるプロだからな。下手に外だすと何されるか分かんねえからじゃねえの』








屍男(…不味いな。いくらこの肉体でも深海に沈められたら脱出は困難だ)

屍男(仮にドラム缶から出られたとしても、外の水圧でペシャンコになる可能性もある…絶体絶命というやつか)
335 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/31(火) 01:38:08.82 ID:bZYgmwwgo
スゥゥゥゥゥゥッ!!!!!


吸血娘「はぁっ…はぁっ…」

吸血娘(クソッ…広範囲に広がり過ぎた…息がきつい…)

吸血娘(…建物の中も捜し回ってみたけど、何も情報がなかった…もうこの町にはいないのか?)

吸血娘(さすがの私でも…郊外まで出られると発見出来る可能性がガクッと落ちる。あれからもう一時間は経ってるんだ。早く見つけないと...)





プーーーーーーーーーーン





吸血娘「モスちゃん、何か見つかった?」

吸血娘「…!」
336 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/31(火) 01:38:58.33 ID:bZYgmwwgo
ブゥゥゥン!!!!!



吸血娘「…あの車か」

吸血娘(モスちゃんが言うには、あの車からは何人もの血の匂いがしたらしい。ってことは乗ってるやつは十中八九そっち側の人間)

吸血娘(…もうあれに賭けるしかない)スゥッ









白服A「おい、早く飛ばせよ。もう全員集まってるらしいぞ」

白服B「そ、そんなこと言われても…兄貴がそこら辺のチンピラをやっちゃって、その後始末してて遅れたんじゃないですか」

白服A「あ?俺が悪いってのか、殺すぞ」

白服B「そ、そういうわけじゃないですよ」
337 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/31(火) 01:40:00.90 ID:bZYgmwwgo
モクモクッ モクモクッ



白服A「…何か煙たくねえか、まさかテメェ吸ってるんじゃねえだろうな」

白服B「え?てっきり兄貴が吸ってるかと思ったんですけど。っていうか俺、運転中で両手塞がってるのに吸えるわけないじゃないですか」

白服A「空調が壊れてんのか。窓開けるぞ」グイッ


白服A「フゥッー、しかしわざわざ全員集まって公開処刑とか意味分かんねえわ。小学生の授業かよ」

白服B「何でもそいつ、俺達の組のやつらを何人も殺してるらしいじゃないですか。見せしめにして動画でも公開するつもりなんじゃないですかね」

白服A「ならもっと見栄えがある殺し方にしろって話だわ。ハゲてるんだから頭に針の植毛をするとか、埋めて日に晒し続けたらどうなるか実験するとかの方が面白いだろ」

白服B「そ、そうですね」
338 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/31(火) 01:41:15.40 ID:bZYgmwwgo
『ミツケタ』




白服A「あ?今何か言ったか?」

白服B「え?何も言ってないですけど」

白服A「っかしーな。女の声みたいなのが聞こえたはずなんだが」

白服B「それってもしかして、前に拉致った女の幽霊かもしれないですね」

白服A「ハッ、馬鹿なこと言ってんじゃねえよ。もしそうならもう一度遊んでやるわ。結構いい声で鳴く女だったからな」




スゥゥゥゥゥゥッ!!!!!
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