吸血娘「死なないハゲってさ、不老不死ってより不毛不死だよね」屍男「…」

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1 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/13(金) 21:02:17.78 ID:dtVbVf21o
吸血娘「って、毛根はもう死んでるか!アッハハハハハハァ!!!!」バンバン

屍男「…」

吸血娘「なんだよしけてんな!お前にはもう湿気なんて関係ないやないかーい!」バシッ

屍男「...」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1507896137
2 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/13(金) 21:03:21.89 ID:dtVbVf21o
吸血娘「んだよ、今日は一段と暗いな。頭はいつも明るいくせに」

吸血娘「育毛剤の副作用で髪だけじゃくて感情も失ったのか?元気出せよハゲ、髪はなくてもお前には私がついてるんだから」


屍男「…少し黙っててくれないか。やかましい」


吸血娘「アんっ!?」ピキッ

吸血娘「調子乗んなハゲ!!!!死ねッ!!!!毛根ごと消え去れッ!!!!」バシバシ

屍男「…頭を叩くのはやめろ」
3 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/13(金) 21:04:10.65 ID:dtVbVf21o
吸血娘「ちょっと頑丈だからっていい気になるなよハゲ!私だって不死身なんだからな!」ゲシゲシ

吸血娘「それにこのサラサラのパツキン!テメェのツルッパゲと比べたらまさに天と地だ!」

吸血娘「あ、地といってもお前のは作物一つも育たない死んだ土地だけどな。砂漠だ砂漠、ホワイトサンズだ」


屍男「…ホワイトサンズは砂丘じゃなかったか?」

吸血娘「知るか!どっちも似たようなもんだろが!」ゲシッ
4 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/13(金) 21:04:57.51 ID:dtVbVf21o
吸血娘「ぜぇ…ぜぇ…ちょ、ちょっと休憩。動き疲れた」

屍男「…相変わらず体力がないな。お前は」

吸血娘「るせーよアホ、私は肉体派じゃないんだよ。脳筋のお前と違って繊細なんだ」

屍男「…モヤシ」ボソッ


吸血娘「誰がモヤシじゃゴラァ!!!!てめぇの腐った汁全部吸うぞゴラァ!!!!!」ガジガジ

屍男「頼むから降りてくれ、動きにくい」
5 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/13(金) 21:06:27.60 ID:dtVbVf21o
吸血娘「ペッペッ、相変わらずまずい血だな。腐ってんじゃないの」ゴシゴシ

屍男「...見て分からないのか」

吸血娘「あーあ、こんなハゲの血じゃなくて、十代のピチピチの処女の血が飲みたいわ。もう長いこと飲んでないし」

吸血娘「いつも飲むのは中年のドラッグとアルコールで薄汚れた不味い血…薬中の血ってマジでゲロ吐きそうになるわ」

吸血娘「お前も食いたいだろ?若い女の肉」


屍男「…いや、俺はいい」


吸血娘「嘘つくなよ、このムッツリが。ハゲは全員ムッツリスケベって相場が決まってるんだよ」
6 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/13(金) 21:08:02.40 ID:dtVbVf21o
吸血娘「ホント、そこら辺の女学生でもさらっちゃおっかな。力を使えば人に見られることもないし」


屍男「...」


吸血娘「冗談だって、そこまでするほど私も悪人じゃないよ」

吸血娘「仕方ない、今度どっかの献血所からまたパクってくるか。直飲みしたいけど我慢してやる」


ピピッ


吸血娘「ん、時間か。行くぞハゲ」スッ

屍男「…あぁ、分かっている」スッ



吸血娘「お仕事の時間だ」
7 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/13(金) 21:09:45.34 ID:dtVbVf21o
……………………………………………………
……………………………………


グチャッ

グチャッ


吸血娘「ふぅ、全部で6人終わりっと」ゲプッ

吸血娘「さすがに飲みすぎたわ…合計50リットル以上はあったからな。お腹パンパン」ポンポン



死体『』



吸血娘「はい、あとはお前の仕事な、片しといて」

屍男「…分かっている」スッ


バキバキッ

グチャッ
8 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/13(金) 21:11:33.20 ID:dtVbVf21o
吸血娘「ねぇ、人間って美味いの?私は血しか飲まないから分かんないし」


屍男「…女は基本的に全員、肉が柔らかくて美味い。男は脂肪がついたデブ以外は淡白な味だ」


吸血娘「ふーん、あそっ」

吸血娘「しかし、今回の依頼のやつも相当な悪人だな。集団強姦の常習犯だって、被害者は恐らく合計三桁以上」ペラッ

吸血娘「未成年の時には数人をバラシて埋めてるって…コワッ、最近の若いやつはなにするか分からんな」


吸血娘「ま、悪いことをしたら天罰が下るのは当然のことだよね。それを私たち怪物がやってるってのは皮肉っぽいけど」
9 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/13(金) 21:13:02.38 ID:dtVbVf21o
屍男「…処理終わったぞ」


吸血娘「よーし、じゃあさっさと撤収だ。早くお風呂に入りたいし」

吸血娘「ハゲ、お前はあいつんところ行って報酬貰ってきて」

吸血娘「あとピザも買ってこい、肉いっぱい入ってるやつな」


屍男「…自分で」


吸血娘「んじゃよろしく。もし買ってこなかったら、お前が寝てる間に頭に永久脱毛のレーザー当てるからな」スタスタ


屍男「...」
10 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/13(金) 21:15:10.85 ID:dtVbVf21o
…………………………………………………………………
………………………………


チリンチリン♪


魔女「いらっしゃーい」


屍男「...」


魔女「おっ、ゾンビくんじゃない、どうしたの?おつかいでも頼まれたのかしら?」


屍男「…金を受け取り来た」



魔女「あーはいはい、いつものやつね。まったく不愛想なんだから」ガサゴソ

魔女「はい、今回の報酬よ」ドサッ
11 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/13(金) 21:16:09.11 ID:dtVbVf21o
屍男「…確認した」スッ

魔女「で、どう?そろそろ慣れた?この仕事も」

屍男「…あぁ、特に不自由はしていない」

魔女「あの子のところだと色々苦労してるんじゃないの?例えば頭に針刺されてヘルレイザーごっこされたり」

屍男「…いや、さすがにそこまではされてない」

魔女「なんだ、つまんないの」


屍男「…」
12 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/13(金) 21:17:10.68 ID:dtVbVf21o
魔女「じゃあ“記憶“の方は?何か思い出したりした?」

屍男「...相変わらずだ。生前の自分が何者だったのかすら思い出せない」

魔女「そう…ま、これだけは気長に行くしかないわね。唐突に全部思い出すわけでもないし」


屍男「前例があるのか?死者が記憶をなくして蘇るなど」


魔女「前にも言ったけど、別に死体が蘇るのはそう珍しいことじゃないわよ?よく言うじゃない、地獄が満員になると死者が地上を歩き出すって」


屍男「…聞いたことないが」
13 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/13(金) 21:18:37.69 ID:dtVbVf21o
魔女「まあ原理は幽霊と変わらないってことよ。違いは肉体が歩かないか、見えるか見えないかの些細な違い」

魔女「でも記憶がないのはちょっと特殊かもね。大抵は未練やら後悔やら、何か思い残したことが起因になって蘇ってるわけだし」


屍男「…未練か」

屍男「一つだけ、この仕事を始めて分かったことがある」

魔女「ほう、なに?」


屍男「…恐らく俺は、生きている時も似たようなことに関わっていた気がする。死というものに関係する何かにな」

魔女「ふーん…それは興味深いわね」
14 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/13(金) 21:19:38.45 ID:dtVbVf21o
魔女「確かに、やけに手際がいいと思ってたわ。正直慣れるにはまだ早すぎるし、気を病んでる様子もない」

魔女「この手の仕事は人を殺すことに何も躊躇がない怪物にしか出来ないからねぇ、もしかして生前はどっかのマフィアお抱えのヒットマンとか?」


屍男「…そうかもな、思い出せないが」


魔女「ま、何か思い出したら相談に来なさいな。お金次第では情報を探してもいいわよ?」


屍男「…検討しておこう。では俺はそろそろ失礼する」スッ
15 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/13(金) 21:21:16.58 ID:dtVbVf21o
魔女「ちょい待ち」ガシッ


屍男「…まだ何か用か」


魔女「ねぇ…今、時間ある?」


屍男「…あると言えばあるが」


魔女「…少し、遊んでいかない?最近溜まってるのよね…色々と」ヒラッ



屍男「...」



魔女「アナタもこの仕事を続けているなら…溜まってるんじゃないの?そういうのは発散した方がいいわよ」
16 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/13(金) 21:22:21.56 ID:dtVbVf21o
屍男「…興味がないな。帰るぞ」グッ


魔女「ちょっとぉ…こんな美女が誘ってるのに、まさか何もしないで帰るつもり?それでも男なのかしら?」


屍男「…俺は死人だ。死体と寝る趣味があるなら、墓場にでも行ってくれ」スタスタ


バタンッ


魔女「…ふっ」

魔女「まったく…お堅いんだから」
17 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/13(金) 21:23:58.01 ID:dtVbVf21o
ガチャッ

屍男「…帰ったぞ」



吸血娘「遅いんじゃハゲェェッッッッ!!!!!!」ブンッ




ブンブンブンッ

グサッ



屍男「...包丁を投げるのはやめろと前にも言っただろ」ブスッ



吸血娘「いいだろ別に!お前どうせ痛覚鈍いんだし、すぐ治るだろハゲ!」

吸血娘「ハゲだけに怪我ないってな!アッハハハハハハハハハァ!」



屍男「…自分で言ったジョークでうけるな」
18 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/13(金) 21:25:29.30 ID:dtVbVf21o
吸血娘「それよりピザはどうした!まさか買ってこなかったんじゃないだろうな!」


屍男「…よく見ろ、ちゃんと買ってある」スッ


吸血娘「うっひょー!さっさと言えよな!この使えないハゲが!」

吸血娘「ん〜〜〜んっま!やっぱピザは最高だね!このジャンクさがたまんない!」

吸血娘「あ、トマトが入ってるところはハゲにやるわ。野菜食べると髪が生えてくるかもな。感謝しろよ」ポイッ


屍男「...少しは栄養を考えたらどうだ。そんな体に悪いものばっかり食ってると成長しないぞ」
19 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/13(金) 21:27:03.05 ID:dtVbVf21o
吸血娘「いいの、ヴァンパイアは血さえ吸ってれば他のエネルギーなんて摂取しなくてもいいんだから」パクパク

吸血娘「あーおいしい…ピザとコーラを作ったやつは天才だな。二十代後半の健康的な女の血くらいうまい」ムシャムシャ


屍男「…さっきまで血を何十リットルも飲んでたくせによく食えるな」


吸血娘「血と食物は別物、吸収機関が違う。あれ、正確には血を飲んでるんじゃなくて身体に取り込んでるんだからね」モグモグ

吸血娘「つーか、お前も似たようなもんだろ。死体6人も食って動けるとか、胃袋どうなってるんだよ」モグモグ

吸血娘「あーっ!ピザうまい!最高!フォウッ!」


屍男「…おめでたいやつだ」
20 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/13(金) 21:28:12.53 ID:dtVbVf21o
屍男「ピザもいいが、報酬も受け取ってきたぞ。確認してくれ」スッ


吸血娘「んー…さていくら入ってるかなっと」ペラペラ

吸血娘「…はぁっ!?たったこんだけぇ!?」


屍男「...少ないのか」


吸血娘「いつもの半分以下じゃねえか!確かに雑魚で楽にやれたけど割に合わない!」

吸血娘「こっちは誰かに目撃されるリスクがあるんだぞ!あのクソビッチめ!!!!」


屍男「…不景気というやつだろう。あと、ビッチとかそういう汚い言葉を年頃の娘が使うもんじゃない」
21 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/13(金) 21:29:52.79 ID:dtVbVf21o
吸血娘「いやどう見てもあいつビッチじゃん!無駄に露出高いし、おっぱいでかいし!歩くポルノじゃん!」

吸血娘「…はっ!?ハゲ!お前まさかやけに帰りが遅いと思ったらあいつと...!」


屍男「帰りが遅かったのはお前がピザを頼むからだろうが」


吸血娘「あんまりあいつと仲良くするなよ!あいつは人間のくせに私たちの世界に干渉しているちょっとヤバいやつなんだからな!」

吸血娘「それに、あの蛇みたいな目…絶対ろくなやつじゃない!ビッチだビッチ!」


屍男「…人間が俺達と関わっているのは珍しいのか?」
22 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/13(金) 21:31:40.63 ID:dtVbVf21o
吸血娘「敵対するなら分かるけど、あいつはこっち側と癒着してるんだぞ」

吸血娘「例えるなら…カマキリの群れの中にいる蝶、すぐ食われてもおかしくないのに、それなりの立場にいる」

吸血娘「それに何かあいつと目を合わせると、観察されているみたいでキモいし…時折口調が別人みたいに変わるし」

吸血娘「なるべく関わらない方がいいやつナンバーワンだわ!私の勘がそう言っている!」


屍男「…まあそれは分かるが」


吸血娘「チッ…次会ったら抗議してやる。あとハゲ、お前そろそろ臭うから風呂入ってこい。くさいぞ」


屍男「…分かった」スタスタ
23 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/13(金) 21:33:18.47 ID:dtVbVf21o
シャアアアアアアアワアアアアアアアア…



屍男「…」クンクン

屍男「…やはり、一日に三回は入らないと臭ってくるか。不便だな」

屍男(香水でも買うか?しかし大の男が香水の匂いがするのは…またあいつに何か言われそうだな)


ゴリッ


屍男「…なんだ、今、何か硬い感触が」

屍男これは…弾丸か?あぁ、前に撃ち込まれていたのを取り忘れていたのか」グチュッ


屍男「…」

屍男「…あれから、もう半年か」
24 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/13(金) 21:37:03.37 ID:dtVbVf21o
▢▢▢▢  半年前  ▢▢▢▢



屍男「」

屍男「」ビクッ



屍男「」パチッ

屍男「...」


屍男「........?」 キョロキョロ


屍男「…ここはどこだ?ゴミが大量にあるが」


屍男「なぜこんなところに…うっ」ズキッ

屍男「――――俺は、誰だ?」
25 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/13(金) 21:39:35.87 ID:dtVbVf21o
今日はここまで
こんな感じで続いていきます
そこそこ長くなる予定です
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/14(土) 00:12:10.05 ID:Y0KeDb8do
乙 期待してる
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/14(土) 10:06:28.22 ID:1Z2P7wUXo
ええな
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/14(土) 10:58:47.43 ID:j8hgkmStO
おもしろい
29 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/14(土) 20:52:18.52 ID:Sq07Y5wLo
ワイワイ ガヤガヤ



屍男(気が付いたら…路地裏のゴミ捨て場で目が覚めた)

屍男(その前のことは何も覚えていない…自分の名前も、出身も)

屍男(…これは“記憶喪失”というやつなんだろうな。自分の過去だけが綺麗に丸ごと抜けている)


屍男(これからどうする。警察にでも行って事情を話せば保護してもらえるか?)

屍男(…いや、警察は駄目だ。なぜかは分からんが、嫌な予感がする)
30 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/14(土) 20:53:30.90 ID:Sq07Y5wLo
屍男(…しかし、動かないと埒があかない。いずれにせよ、このままホームレスのような生活を続けるわけにもいかん)

屍男(人が集まるこの駅前なら、俺のことを知っているやつに声をかけられるかと思ったが…もう日が暮れてしまった)


グゥゥ


屍男(腹が減ってきたな。今日はここで一晩過ごし、明日になっても見つからなかったらおとなしく病院にでも行くか)



「うっ、なんだあのハゲの周り、めっちゃくっせえぞ」

「うわ!ハゲだ!ハゲ菌がうつる!」



屍男「…」
31 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/14(土) 20:55:01.11 ID:Sq07Y5wLo
チッチッチッチッチッチッチッチッ



屍男(深夜の0時か。さすがにもう人はいないな)

屍男(…そろそろ寝るか。こんなところで横になると死体と間違われて通報される可能性がある…少し場所を変えるか)スッ


「ちょっといい?そこの髪がない人」


屍男「…なんだ、俺のことか?」


「そうよ、こんなところで何をしているの?」


屍男「…いや、何でもない。もうここを離れるところだ」

屍男(長居し過ぎたか、怪しまれると厄介だな)
32 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/14(土) 20:56:21.64 ID:Sq07Y5wLo
「ふーん…そう」ジロジロ



屍男(…なんだ、この女は)

屍男(よく見ると…他の人間とは違う雰囲気がある。妖艶…蠱惑的…まるで魔女だな。薄気味悪ささえ感じる)

屍男(格好を見るに、娼婦か何かか?まさか商売の相手を探しているんじゃあるまいな)



魔女「アナタ…もしかして、記憶喪失だったりする?」



屍男「」ピクッ

屍男「…お前は、俺を知っているのか?」
33 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/14(土) 20:57:20.16 ID:Sq07Y5wLo
魔女「残念、会ったこともないわね。でも…」

魔女「アナタに何が起きたかは…知っているかも」チラッ


屍男(この女は…なぜ俺のことを)

屍男(…考えても仕方ないか。今はこの女が一番の頼りだ)

屍男(…勘だが、こいつは何か特別な気配がする)


屍男「…あぁ、そうだ。俺には記憶がない」

屍男「お前は医者か、エスパーか?どちらにしても、俺が何者なのか教えてほしい」


魔女「いいわ、ここで話すのもなんだし、ちょっと場所を移しましょうか。着いてきなさいな」スタスタ
34 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/14(土) 20:58:13.23 ID:Sq07Y5wLo
カランカラン♪


魔女「そこら辺にでも座っててちょうだい。お茶を出すわ」


屍男(…ここは古本屋か?どんな所に連れ行かれるのかと思ったら…意外とまともな場所だな)

屍男(この女の店…にしては似合わないな)


魔女「はい、レモンティー。口に合うかどうかは知らないけど」


屍男「…さっそく本題に入っていいか。お前はなぜ、俺が記憶を失っていると一目でわかったんだ?」


魔女「うーん…そうねぇ…」

魔女「じゃあ気付いてないみたいだし、正直に言ってあげるわ。あんまり取り乱さないでね」
35 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/14(土) 20:58:59.03 ID:Sq07Y5wLo




魔女「アナタ、もう死んでいるのよ。人間じゃない、だからすぐ分かったの」



屍男「………は?」



36 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/14(土) 21:00:04.96 ID:Sq07Y5wLo
魔女「気付いてなかったでしょ、自分が死んでいることに」

魔女「そりゃ駅の前で、死体が意味深な顔をして辺りの人間をチラチラ見てたら…人を探してるか、今夜のディナーを見極めているかのどっちかしかないわよ」

魔女「普通の怪物は私の目を見たら真っ先に警戒するし、アナタの態度を見ると何も知らない、蘇ってからそう日が経ってないアンデッドってことはすぐ分かったわ」

魔女「蘇生した直後は記憶が混乱して、ボーっとしてるしね」


屍男「…待て、勝手に話を進めるな。俺が死んでいるだと?」

屍男「笑えない冗談だ。死体が動くわけがない…俺を馬鹿にしているのか?それともイカれているのか」


魔女「そう言うと思ったわ。じゃあ論より証拠を見せてあげる」チャキッ
37 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/14(土) 21:00:56.84 ID:Sq07Y5wLo
バンッ!!!!!!


屍男「!?」ドンッ

屍男(なっ…拳銃っ…撃たれッ...)



ドサッ



屍男「」

屍男「」


屍男「…??」ピクッ

屍男(…痛みがない?)


魔女「ほら、銃で心臓を撃ち抜かれても生きてるでしょ。これでも普通の人間だっていうの?」

魔女「これが現実、アナタは一度死んで蘇ったゾンビくんってワケ」
38 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/10/14(土) 21:01:59.95 ID:Sq07Y5wLo
屍男(ど、どうなって…撃たれた傷は!?)バッ


ジュゥゥゥゥゥゥッ


屍男「に、肉が集まって再生しているだと…」


魔女「おぉ、再生のスピードはっやーい」



屍男「何がどうなっているんだ…?ぐぅっ」グッ

屍男「俺は……もう本当に……死んで、いるのか......?」



魔女「目の前で手品を初めて見た子供みたいなその顔…髪があったら男前なのにもったいない」
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