国王「さあ勇者よ!いざ旅立t「で、伝令!魔王が攻めてきました!!」完結編

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617 : ◆EonfQcY3VgIs [saga]:2018/11/25(日) 21:00:13.02 ID:h4w+AuR50



ハーピィ「もうちょっとで着きますからね!」バサッ…

黒騎士「ああ。世話をかけるな、ハーピィ殿」

ハーピィ「いいんですよ。………でも、なんだか安心しました」

黒騎士「安心?」

ハーピィ「はい。こうやって、あの時戦った人たちのご子息やご息女が動いてくれている所を、目の当たりに出来たから」

ハーピィ「真実の探求と…世界がまた間違ってしまわないように…いつも三人で会っていらっしゃるんですよね?」

黒騎士「…ああ。だが、まだまだ分からないことだらけで、しばらく気の休まる日は来そうにない」

黒騎士「忽然と消えた冥界と冥王のことも分からないままだし………それに」

黒騎士「…いや、なんでもない」

ハーピィ「黒騎士様…」

618 : ◆EonfQcY3VgIs [saga]:2018/11/25(日) 21:01:11.75 ID:h4w+AuR50

黒騎士「………"少年"の打倒から魔王の死まで」

黒騎士「本当に全てが魔法使いや賢者の手の内なのであったというのなら」

黒騎士「あの魔王勇者大戦を駆け巡った人々にとって、あまりに救いようのない話だ」

黒騎士「彼らは管理者を倒すためとはいえ、犠牲になるために生きていた…一人も残らずだ」

黒騎士「あの、魔王も。…それに生き残った父上と母上でさえ………」

ハーピィ「………」

黒騎士「私はただ、遊び人が残した言葉のように………物語は最後まで分からないもので」

黒騎士「魔王は、それに賭けて戦い、実現したのだと、信じたいだけなのかもしれない」

ハーピィ「黒騎士様…」

黒騎士「いや。しかし、私がこんなことを考えていれば、父上と母上に余計な心労をかけてしまう」

黒騎士「それに、全てを見届けた冥王が宝典に"魔王は死んだ"と記したのだ」

黒騎士「魔王は、もうこの世界には存在しない…」

黒騎士「…ハーピィ殿。私の独り言だと思って、今の話は忘れてくれ」

ハーピィ「は、はい。分かりました」

ハーピィ「さあ、着きましたよ。この扉の奥で、お二人がお待ちです」

黒騎士「ありがとう、ハーピィ殿」

ハーピィ「いいえ。では、私はこれで!」

黒騎士「ああ」


黒騎士「…」

619 : ◆EonfQcY3VgIs [saga]:2018/11/25(日) 21:02:07.37 ID:h4w+AuR50

コンコン…

黒騎士「父上、母上。黒騎士が参りました。失礼します」



「あんたは相変わらずあつっ苦しいわね」

「晴れの席なんだから、堅いのはなしよ」


氷姫「親子なんだから」



黒騎士「…はい。母上」


氷姫「ね、あんたもそう思うでしょ?」



『ああ』

雷帝『久しぶりだな』


620 : ◆EonfQcY3VgIs [saga]:2018/11/25(日) 21:24:13.31 ID:h4w+AuR50


黒騎士『父上も、お変わりなく』


雷帝『ああ。相変わらず声は戻らんし、耳も聞こえないまま』

雷帝『失った腕も生えてきてはくれんようだ。まったく、不便な体になった』

氷姫「文句垂れても元の体に戻るんなら、あたしもあんたに不平をぶつけていればまた目が見えるようになるのかしらね?」

雷帝『…わ、悪かった。そう怒るな』

氷姫「あーあ! 魔法が使えなくなって不自由だわ! おまけに半身は思うように動かないし!」

雷帝『悪かったと言ってるだろう!』


黒騎士「…ふふ」

621 : ◆EonfQcY3VgIs [saga]:2018/11/25(日) 21:25:02.52 ID:h4w+AuR50

黒騎士「席の準備を他の者に任せるような形になり、申し訳ありません」

氷姫「気にしなくていいわよ。皆はよくしてくれてるし、あんたはあんたで例の集まりに行っていたんでしょ?」

黒騎士「はい。賢者について、話をしてきたのですが――」

氷姫「ああ、あとあと! 堅いのはナシって言ったでしょうが」

黒騎士「は、はい。そうでした」

雷帝『緊急を要するものでもないのだろう?』

黒騎士「ええ。まだ予想の域を出ない話もありますし…」

雷帝『ならば、ひとまずこちらに来て、お前も飲め。いいワインを手に入れたのだ』

黒騎士「それはそれは! 父上と飲めるなんて、光栄です!」

氷姫「ほどほどにしときなさいよ。あんた弱いんだから」

雷帝『うるさいな。今日くらいいいだろう』

622 : ◆EonfQcY3VgIs [saga]:2018/11/25(日) 21:25:55.14 ID:h4w+AuR50

黒騎士「ああっ、私がやります!」

雷帝『ふふっ、いいのだ。片腕だって酒は開けられるし、娘に注いでやることも出来る』トクトク…

黒騎士「…ありがとう、ございます」

雷帝『………真面目なお前のことだ。日頃から我々の失ったものの代わりにならなければ、などと考えているんだろうが』

黒騎士「えっ!?」ギクッ

雷帝『お前は何の代わりになる必要もない。逆に言えば、私たちにとって、お前の代わりになるようなものなどないのだ』

黒騎士「…」

氷姫「…世界を変えた、最後の魔王四天王。そんな風に今の世間はあたしたちを持ち上げるけど」

氷姫「だからって、娘であるあんたが全部背負わなくったっていいのよ」

氷姫「あんたのやりたいようにやればいい」

黒騎士「――はい」

623 : ◆EonfQcY3VgIs [saga]:2018/11/25(日) 21:26:39.37 ID:h4w+AuR50

氷姫「あたしたちだって、助け合ってなんとかかんとか戦ってたんだから、さ」

雷帝『背中を預けた結果かは知らんが、お互いあべこべのものを失する形となったわけだがな』

氷姫「まあしょうがないわね。戦いが終わった時、あたしたちは生きてるのが不思議なくらいだったし」

雷帝『本当に、タダでは死なん女だ』

氷姫「あんたも人のこと言えないでしょーが」

黒騎士「………壮絶な、戦いだったのですね」

氷姫「ま、とは言え意識もなくってワケ分からないうちに、全て終ってたわけだからねぇ」

雷帝『体を癒すためにこんこんと眠り続けて、目覚めた時に経緯を聞かされ、戦いの結末を知った』

雷帝『ひどい体たらくさ』

黒騎士「し、しかし…っ、父上と母上が戦い抜かれたからこそ、今の世があるのです!」

氷姫「ふふ。ありがと。あんたは出来た娘だわ。…そうよね。今の世界で、あたしは生きてる」

氷姫「身体はいまいち言うことを聞かないし、魔法の力を失ったあたしに出来ることは、あの頃の半分もなくなった」

氷姫「それでも、どうやらあたしたちはこれまでやってこれたし、あんたもいる」

黒騎士「…はい」

雷帝『これは私たちにとっては………充分すぎるほど、上出来だ』

雷帝『魔族と人間の死が、お互いを食い合う円環の時代は終わったのだ』

雷帝『これからは、命を繋ぐ時代だ』


雷帝『我々にお前という存在ができたように………傷を抱えながら、命は進み続ける』

624 : ◆EonfQcY3VgIs [saga]:2018/11/25(日) 21:27:27.12 ID:h4w+AuR50

氷姫「そういうことよ。だから、あんたもね?」

黒騎士「…? なんでしょうか?」

氷姫「いつまでもあの3バカでつるんでないで、婿の一人や二人、捕まえて来なさいよ」

黒騎士「なっ…!?」

氷姫「ねえ、ちょっと! 誰かいい感じのオトコぐらいいるんでしょ? 母さんに話してごらんよ!」

黒騎士「いっ、いえ! 私にはまだっ、やや、やるべきことがあります故…!」

雷帝『まともに相手をするな。氷姫の思うつぼだぞ』

黒騎士「ち、父上! お助けを!」

雷帝『いや、まあ、しかし』

雷帝『気になると言えば気になるな。誰か候補はいるのか?』

黒騎士「ぇあっ!?」

氷姫「教えなさいよぉ!」

雷帝『酒も入ったことだし、話してみてはどうだ。ん?』

黒騎士「けっ、結託しないで下さいっ!」

625 : ◆EonfQcY3VgIs [saga]:2018/11/25(日) 21:28:06.02 ID:h4w+AuR50

黒騎士「はっ! 客人の迎えの時間が!」

黒騎士「父上、母上! 少しの間席を外しますぅ!!」ピュー

氷姫「あっ、逃げやがった」

雷帝『あの顔、想い人はいるのだろうな』

氷姫「いるわね」

雷帝『………』

氷姫「何しょげてんのよ」

雷帝『しょげてなどおらん!』

626 : ◆EonfQcY3VgIs [saga]:2018/11/25(日) 21:28:49.98 ID:h4w+AuR50

ヒュー ドンドン!


氷姫「あ、もう祭典が始まる」

雷帝『なんだ、まだこちらは揃ってないというのに』

氷姫「まあ、宝典劇まではまだ時間もあるわ」

雷帝『…そうだな』

氷姫「ふふ。今年の宝典劇、あんたの役は火炎山の龍剣士がやるらしいわよ。ちょっと男前すぎるわね」

雷帝『…お前は、毎年私の配役が決まる度に冷やかしてくるのを止めろ』

氷姫「だって、おかしいんだもん」クスクス…

雷帝『………しかし』

雷帝『こうして、酒を片手にあの戦いを振り返ることがあろうなんて、思いもしなかったな』

氷姫「まあね」

627 : ◆EonfQcY3VgIs [saga]:2018/11/25(日) 21:29:36.50 ID:h4w+AuR50

氷姫「あんたなんか、"魔王様が逝かれたのならば、私もお側に!"とかなんとか騒いで大変だったもんね」

雷帝『むぐっ…』

氷姫「はは。まあ気持ちは分かるけどさ」

雷帝『…』

氷姫「――………ジーさんも炎獣も死んじゃって」

氷姫「みーんな、いなくなっちゃってさ」

雷帝『…』

氷姫「………ふがいないったら、ありゃしなかったよね」

雷帝『実際』

雷帝『お前が隣に居てくれなければ、私はおめおめと生き延びた己を許すことは出来なかったろう』

雷帝『今でも許すことが出来ているかは分からんが』

氷姫「…うん」

氷姫「………身体も、心も、ボロボロになってさ………」

氷姫「………ほんと、よくここまで生きてきたよね」

雷帝『ああ…』

氷姫「――でもね」

628 : ◆EonfQcY3VgIs [saga]:2018/11/25(日) 21:30:27.39 ID:h4w+AuR50

氷姫「でも、多分………あたしはいまだに受け入れられずにいるんだ」

氷姫「魔王が――」



氷姫「――魔王が、自ら命を投げ捨ててしまったこと」




雷帝『………』

629 : ◆EonfQcY3VgIs [saga]:2018/11/25(日) 21:31:10.62 ID:h4w+AuR50

雷帝『魔王様』

雷帝『………私だって、受け入れられるものか』

雷帝『あの魔王様が、自ら命を絶たれるなんて』

雷帝『死よりも過酷な呪いの最中にあったとしても、あの方が生きていなくては…っ!』

雷帝『そうでなくては…っ、………そうでなくては!』

氷姫「………うん。そうね」

氷姫「あたしたちを残して死んじゃうなんて…あんまりだよね」



氷姫「バカだよ…魔王は」

630 : ◆EonfQcY3VgIs [saga]:2018/11/25(日) 21:31:52.10 ID:h4w+AuR50

氷姫「魔王」

氷姫「あたしさ、全部終わったら、あんたに謝ろうと思ってたんだよ」

氷姫「昔、冥界の修行の時にさ、あんたに酷いこと言っちゃったからさ」

氷姫「覚えてないだろうけど、それでもさ、あたし…」

氷姫「…」

氷姫「あたし、あの頃は炎獣が好きでさ」

氷姫「炎獣はあんたのことが好きで…雷帝だって、あんたのことが好きだった」

氷姫「妬いたな、ほんと」

氷姫「でもさ…」




氷姫「………もう、そんな事もひとつも、あんたに伝えられないじゃんか」


氷姫「死んじゃったらさ…」

631 : ◆EonfQcY3VgIs [saga]:2018/11/25(日) 21:32:44.45 ID:h4w+AuR50

雷帝『――魔王様…っ』

雷帝『あなたは私のたちの魂だった…!』

雷帝『あなたが笑うから!』

雷帝『だから、私たちはあの過酷な戦いでお互いを信じあっていられた…!』

雷帝『………どうして、どうして逝かれてしまったのですか………』

雷帝『あなたがどんなに己に価値が見出せなくなっても』

雷帝『あなたに生きていて欲しいと願う者は沢山いた…っ!』

雷帝『あなたが生きているだけで………』


雷帝『あの戦いで失われた沢山のことが報われたのに――!』

632 : ◆EonfQcY3VgIs [saga]:2018/11/25(日) 21:33:30.45 ID:h4w+AuR50

氷姫「………ね」

氷姫「あたしたちが子供を育てて、あんなに大きくなったって知ったら、魔王、どんな顔したかな?」

雷帝『………』

雷帝『すごく、すごく驚いて…それから、優しく笑われるだろう』

雷帝『良かったね、と喜んでくれる』

氷姫「そうね…きっとそうよね」


氷姫「………ねえ、魔王。こんな事考えてばっかだよ、あたしたち」

氷姫「あんたがいたから、あたしは生きてる」

氷姫「あんたのおかげで、あたしの手には希望が残ってる」


氷姫「なのにさ」




氷姫「――その後の世界に、あんたが居ないなんて………あんまりだよ」

633 : ◆EonfQcY3VgIs [saga]:2018/11/25(日) 21:34:24.70 ID:h4w+AuR50


雷帝『きっと』

雷帝『きっとまたどこかで会えるはずだ』

雷帝『………盲信だと言われても、私はそう信じる』

氷姫「………………うん」

雷帝『魔王様………』

雷帝『あなたが居なくなったあの日から――』

雷帝『もう、今日で二〇年になるのです』

雷帝『沢山のことが変わり………』

雷帝『………沢山のことが新しく始まりました』





バタンッ!

黒騎士「父上、母上!」

黒騎士「お客さまをお連れしました!」



氷姫「ふふ………ようやく来たってわけ?」

634 : ◆EonfQcY3VgIs [saga]:2018/11/25(日) 21:35:17.28 ID:h4w+AuR50

親爺「よ、よう。魔族の姉ちゃん」

氷姫「姉ちゃん、ってアンタねぇ」

氷姫「今や見た目はアンタのがオッサンでしょうが」

親爺「まあ、そうだけどよぉ」

氷姫「はーあ。あの時はあんなに可愛らしい坊やだったのに」

親爺「うるせぇ! 人間は歳食うのが早いんだよ! …ったく、目が見えないんじゃねぇのかよ」

氷姫「見えなくたって分かるわよ」フフン

雷帝『彼女は、こちらに寝かせよう。背負ってくるのは骨が折れたろう?』

親爺「ああ、すまねぇ。頼むよ」

親爺「ほら、赤毛。着いたぜ…」


赤毛「………………」スヤ…


635 : ◆EonfQcY3VgIs [saga]:2018/11/25(日) 21:36:09.82 ID:h4w+AuR50

雷帝『後の二人はどうしたのだ?』

親爺「ええっと、もうすぐ来るはずなんだが」

氷姫「早くしないと、宝典劇が始まっちゃうわよ?」

親爺「おかしいなぁ………」

「おーい! 金髪ぅ!」

親爺「お! きたきた。おーいっ、こっちだ! 坊主! 三つ編!」


《世界改変の日から、今日でちょうど二〇年っ!》

《輝かしい記念の日となるこの祭典に、相応しい劇をご用意いたしましたっ!!》


氷姫「ちょっと、ほんとに劇始まるってば!」

黒騎士「お客人は、こちらに席を用意したので…」

親爺「ほら、早く早く!」


雷帝『………ふふ』

雷帝『全く騒がしい限りだ』

雷帝『だがまあ………』



雷帝『――こういうのも悪くはない』



雷帝『今は、そう思える』

636 : ◆EonfQcY3VgIs [saga]:2018/11/25(日) 21:37:27.88 ID:h4w+AuR50

《伝説に綴られた、最後の魔王勇者大戦…!》

《その記憶を風化させぬよう、宝典劇が始まり今日でそちらも二〇年!》

《記念すべき式典は、復興を遂げたこの始まりの地、港町で行われます!》

《それではいよいよ始まります!》


《物語は、後に英雄と謳われる魔王と四天王が、港町に迫るその時から幕を開けます!》


《それは皮肉にも、当時の賢王が勇者に旅立ちを命じるその瞬間でした!》


《魔王来襲の報せを手に、伝令は王城の謁見の間に駆け込むのです………!》





親爺「おおっ…、いよいよか…!」

氷姫「………今年もこの子は、眠ったままか」

親爺「ん? …ああ」

赤毛「………………」

親爺「あの時…俺たちを助けてくれた日から………赤毛はずーっと眠りについてる」

親爺「俺としては慣れっこだけどな。………でも」

637 : ◆EonfQcY3VgIs [saga]:2018/11/25(日) 21:38:25.52 ID:h4w+AuR50

親爺「なあ、赤毛」

親爺「そろそろ目覚めてもいいんじゃあないか」

親爺「俺たち、約束通り、あれからずっとこうして待ってるんだぜ………」


赤毛「………………」
















赤毛(…あれ?)

638 : ◆EonfQcY3VgIs [saga]:2018/11/25(日) 21:39:06.99 ID:h4w+AuR50

赤毛(懐かしい声がする)


赤毛(それにこの匂い)


赤毛(潮風の、優しい香りがする………)



キラ…



赤毛(光だ)


赤毛(――ああ。大きな町が見える)



「………。…」

「…っ。………」



赤毛(何か………聞こえる)

赤毛(あたし………………)

639 : ◆EonfQcY3VgIs [saga]:2018/11/25(日) 21:39:56.36 ID:h4w+AuR50

赤毛(………あれは、劇?)



赤毛(王様みたいな格好の人が、舞台の上で何かを言っている………――)





国王「…よくぞ参った。勇者よ」

国王「女神の加護を、真の強さをもつそなたならば、きっと魔王を討てるはずだ」

国王「世界の重みをその肩にかけることを許せ」

国王「勇者よ! 遊撃隊として勇者一行を組織し、魔王を撃破するのだ!」?




赤毛(お祭りみたいに………みんなが劇に夢中になって)

赤毛(それとは別に、あたしを除き込む驚いた顔)

赤毛(そう。この人はきっと――)







親爺「っ!!」

親爺「………赤…毛………っ!!」


640 : ◆EonfQcY3VgIs [saga]:2018/11/25(日) 21:44:08.72 ID:h4w+AuR50


氷姫(――ああ、そうだ)


氷姫(どんなに世界が変わったように思えたって)


氷姫(喜びは必ずどこかにあるはずだから)




氷姫(――希望は)


氷姫(あたしたちの胸の内に、あるはずだから………)


641 : ◆EonfQcY3VgIs [saga]:2018/11/25(日) 21:44:50.83 ID:h4w+AuR50


氷姫(全ての運命が決められた戦いは)



氷姫(もう終わったんだ)



氷姫(あたしたちには明日を生きる権利がある)






氷姫(生きている限り、物語は続くし)

















氷姫(物語は、最後の最後までどうなるか分からないはずだから――――)



642 : ◆EonfQcY3VgIs [saga]:2018/11/25(日) 21:45:53.73 ID:h4w+AuR50















国王「さあ勇者よ! いざ旅立ち――」




「で、伝令! 魔王が攻めてきました!!」
































643 : ◆EonfQcY3VgIs [saga]:2018/11/25(日) 21:46:45.34 ID:h4w+AuR50


















世界のどこか



??「よっ、ほっ」

??「よいしょ…!」

??「………ふー、こんなところかな」

644 : ◆EonfQcY3VgIs [saga]:2018/11/25(日) 21:47:39.16 ID:h4w+AuR50

??「今年はずいぶんいっぱい育ったなぁ」

??「ちょっと、植えすぎたかな?」

??「残らず収穫できるか分かんないや…」

??「冬を越える分の備蓄はもう充分だから、あとは………あ」

フワ…

??「気持ちのいい風………」

??「………ふふ」

??「風を気持ちいいって思えるようになったんだ………私」

??「………」

??「また、始めれられるかな?」

??「希望のある、生を………受け入れられるかな?」

??「ねぇ、どうかな。炎獣…」

??「………」

??「………うん、そうだよね」

??「きっと始められるよね」

??「あの日にもう、魔王は世界から消えたんだ」

??「もう、魔王と勇者のお話はおしまい」



??「今の私は、きっともう、魔王ではない私」


645 : ◆EonfQcY3VgIs [saga]:2018/11/25(日) 21:48:41.14 ID:h4w+AuR50

??「だから始めよう」

??「私の、新しい物語を!」

??「そうして、会いに行こう!」




「――そう、今、ここから!」




646 : ◆EonfQcY3VgIs [saga]:2018/11/25(日) 21:49:20.02 ID:h4w+AuR50






【もう魔王ではない彼女】






647 : ◆EonfQcY3VgIs [saga]:2018/11/25(日) 21:50:00.64 ID:h4w+AuR50










FIN

648 : ◆EonfQcY3VgIs [saga]:2018/11/25(日) 21:50:57.85 ID:h4w+AuR50


























これだけの質量の登場人物と物語を書けて、とても楽しかったです
次は勇者と女神のコメディもの書きたいなぁ


649 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/26(月) 01:32:43.80 ID:ScBPiqrI0
完結乙
面白かったです
650 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/26(月) 03:25:36.61 ID:wLZZs3L10
超大作
映画化決定
おつ
651 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/26(月) 12:11:09.94 ID:ockNmZy6O
完結乙です!
終わってしまった...
652 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/26(月) 19:47:32.23 ID:2kesMabA0
長い間乙カレー
653 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/27(火) 01:43:50.38 ID:G2eR7XaDO

冥王の件は回収せんのか…
654 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/27(火) 23:00:22.24 ID:GYQ0KKF+0
乙!!


655 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/01(土) 02:03:55.66 ID:oVrWudkUo
一昨日まとめサイトで見つけてから二日かけておってきました
感想お疲れ様でした!
次回作も是非よみたいです!
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