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国王「さあ勇者よ!いざ旅立t「で、伝令!魔王が攻めてきました!!」完結編
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1 :
◆cJ/Se2MNFnrs
[saga]:2017/10/07(土) 08:38:36.32 ID:Y9AZ6UEU0
前スレ→ https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1476520312/
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1507333115
2 :
◆cJ/Se2MNFnrs
[saga]:2017/10/07(土) 08:44:00.62 ID:Y9AZ6UEU0
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3 :
◆cJ/Se2MNFnrs
[saga]:2017/10/07(土) 08:47:23.70 ID:Y9AZ6UEU0
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4 :
◆cJ/Se2MNFnrs
[saga]:2017/10/07(土) 08:50:27.49 ID:Y9AZ6UEU0
登場人物まとめ
(前スレの激しいネタバレを含みます。長いので覚えている方は飛ばしてもらって構いません)
・魔王と四天王
魔王
邪神の加護を持つ姫君。人類を圧倒する四天王を配下に持ち、自身も邪神の加護を宿している。先代魔王の娘。
過去、邪神の加護が具現化した「魔人」の危機を炎獣に救われながら、冥王の元で魔法を修めた。
思慮深く、四天王からの信頼は厚い。"魔弓"という波動砲を主な武器とする。
炎獣
炎の四天王。肉弾戦の破壊力はずば抜けており、幾度も人類を圧倒してきた。
また、魔王の「魔人」と戦い続け、共に冥王の元で修行をした過去がある。
精神的に未熟な部分があるが、ひたむきな真っ直ぐさで仲間を救ってきた。
雷帝
雷の四天王。頭脳戦に長け、魔法剣を操る歴戦の武人。先代魔王の頃からの四天王で、幼い現魔王を守るために尽力した。
翼の団との戦いで切り札の魔剣を使うが、軍師の罠により瀕死に陥る。その際木竜に助けられるも、木竜が死亡したことで心を閉ざしている。
木竜
木の四天王。大いなる癒しの力とドラゴンブレスを武器にする老齢の竜。先代魔王の頃からの四天王で、年長者として仲間を見守ってきたが、雷帝を治療していた所を魔法使いの不意打ちを受け、死亡した。
氷姫
氷の四天王。氷の女王と呼ばれる強大な力を持つ魔術師。
冥王の元で魔王、炎獣と出会う。スレた態度を取りがちだが、仲間のことを思っている。
血の繋がらない妹への複雑な思いを抱えている。
5 :
◆cJ/Se2MNFnrs
[saga]:2017/10/07(土) 08:51:44.15 ID:Y9AZ6UEU0
・勇者一行
商人
港町を支配していた武器商会の女社長。王国動乱では独自に動き、教会と取引をしていた。港町にて魔導砲が魔王に破られ、氷姫に殺害される。
武闘家
人類最強と言われる老武人。港町にて炎獣を追い詰めるが、氷姫との連繋に敗れ死亡。
盗賊
辺境連合軍「翼の団」の首領。王国動乱では戦士・僧侶に協力し、翼の力を手に入れるが、魔王への奇襲で返り討ちにあい死亡。
戦士
王国軍の鬼と言われる武人。王国動乱を兄と共に止めようとするが、兄の裏切りにあって失敗。王国将軍として魔王を止めようとするも四天王に破れ、戦死。
僧侶
生まれながらに女神の加護を持つ聖女。教会の暴走を止めようとするも教皇の圧倒的な力の前に倒れ、くノ一を逃がすために転移を使い、その代償に消滅。
魔法使い
至る所に姿を現す謎の人物。その正体は死んだはずの先代魔王の側近らしい。魔王四天王の一人を殺害している。
勇者
女神の神託を受けたと噂される人物。
6 :
◆cJ/Se2MNFnrs
[saga]:2017/10/07(土) 08:54:21.74 ID:Y9AZ6UEU0
・王国側
国王・女王
魔族との和平を望んでいた賢王。王国動乱で教皇に権力を奪われた。
くノ一
女王配下の隠密。戦士と共に王国動乱を止めようとする。その時に義兄妹の忍を失った。僧侶に命を救われた際、「状況を逆転できる鍵を手に入れた」と発言。
兄
戦士の兄。戦士と共に王国動乱を止めるべく動いていたが、建国の儀式で王国側を裏切って教会に下った。正規軍将軍として魔界に攻め込むが、魔王に破れて戦死した模様。
女勇者
前勇者。剣豪、賢者と共に先代魔王を倒した英雄。王国動乱の際、武闘家との一騎討ちに敗れ死亡。
剣豪
前勇者一行であり、戦士と兄の父。先代魔王討伐後は王国にて大将軍として王国軍を御してきたが、教会の策略に嵌められ処刑された。
賢者…前勇者一行。
・教会側
教皇
女神教会のトップ。王国動乱を起こして国王から権力を奪い取った。圧倒的な神秘の力を使い、魔族でさえ操ることができる。魔王の「魔壁」に存在を解体されたが、意識を残し赤毛を我が物にして魔王を打倒せんと目論む。
大僧正
女神教会のナンバー2。王国動乱の首謀者の一人だが、策略を女王に暴かれた。以降、言動が妖しく異様な様子が目撃されている。城下町で赤毛を狙うが、先生に阻まれる。
7 :
◆cJ/Se2MNFnrs
[saga]:2017/10/07(土) 08:56:29.85 ID:Y9AZ6UEU0
・城下町
赤毛
突如城下町の人々が夢に見た神託により、奇跡の僧侶となった町娘。町の人々の手から秘密結社の手によって逃れるも、父や母を救いたいという思いから自ら魔王らと対峙し、追い詰める。今は魔壁により存在を解体され、曖昧な自意識の中で魔王と行動を共にしている。
三つ編
城下町の町娘。赤毛らと秘密結社を結成している一人。少し大人びている。魔壁の内側で、炎獣の側に現れた。
坊主
城下町の商家の息子。秘密結社の一人。泣き虫。魔壁の内側で雷帝の側に現れた。
金髪
城下町のわんぱく小僧。秘密結社の一人。やんちゃだが、リーダーシップを発揮することも。魔壁の内側で氷姫の側に現れる。
神父
城下町の教会の神父。独自の哲学をもち、勇者と魔王の争いをどこか俯瞰で眺めている。赤毛に協力した。
先生
赤毛ら秘密結社メンバーの通う学校の教師。生徒の立場に立って赤毛らを導こうとした。赤毛を守るため、大僧正と戦う。
・その他魔族
冥王
冥界を納める貴婦人。その魔法は魔界の誰しもが一目置くほど絶大。弟子入りした魔王に取り引きを持ちかける。
水精
魔王らと共に冥王に弟子入りした魔族。魔術師としては一流だったが、苛烈な修練についていけず遅れをとっていた。冥界で、虚無と共に氷姫に突如牙を向いた。
虚無
闇部の長。自らを「毒虎」という別の魔族に変化させて冥王に弟子入りし、氷姫の殺害を狙っていた。
鳳凰
先代魔王四天王の一人。魔王の座を狙っている。
玄武
先代魔王四天王の一人。
8 :
◆cJ/Se2MNFnrs
[saga]:2017/10/07(土) 08:58:03.50 ID:Y9AZ6UEU0
●
・あらすじ
魔王と四天王が王国軍本隊を撃破し、港町に迫る場面から物語は始まる。
魔王と四天王は、立ち塞がる勇者一行を一人また一人と撃破し、犠牲を払いながらも王国へと迫っていった。
城下町へと進撃した魔王と四天王の前に、奇跡の僧侶と化した赤毛と大いなる力を操る教皇が現れる。
女神の加護の強大な力を前に魔王らは全滅の危機に瀕したが、状況を打開するために放った魔王の秘技「魔壁」でみなの存在を解体することに成功する。
そこには赤毛と教皇も巻き込まれた筈であったが、教皇は辛うじて意識を残して自らの存在の再構築を始める。
魔王も自分の、そして四天王の存在を再構築するために、記憶や感情のピースを集め始めたのであった。
思い出の旅の中で炎獣は、魔王の持つ邪神の加護が具現化した存在「魔人」との戦いの記憶で、はっきりとした自意識を持つに至る。
氷姫は、冥王の元で魔王と炎獣と過ごした思い出を元に自分を再構築していくが、やがてそれも大きな山場を迎えていた。
修業の日々のなか同門の水精と毒虎に命を狙われた氷姫は、毒虎の正体が闇部の長、虚無であると知る。
炎獣と魔王の協力のもと、水精と虚無を一度退けることに成功するが、依然として彼らの目的が分からないままに、三人は水精と虚無の後を追うこととなるのであった。
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/07(土) 10:49:07.75 ID:BU5XvKQA0
待ってたぞ!頑張ってくれ
10 :
◆cJ/Se2MNFnrs
[saga]:2017/10/07(土) 14:10:55.11 ID:Y9AZ6UEU0
氷姫《…》
魔王《………氷姫は強いね》
氷姫《…ううん。本当は、笑っちゃうくらい弱いのよ》
氷姫《今だってこうやって強がって、感情をさらけ出すまいと必死》
氷姫《弱さをさらけ出せないことは…強さじゃないって、今は分かるんだけど、ね》
魔王《…そっか》
氷姫《ねえ、魔王。この先のこと、あの子達には見せられないわ》
魔王《そう、だね》
魔王《ねえ、あなたたち………?》
金髪《おい! おい、赤毛!》
金髪《赤毛ってば!》
赤毛《………》グタ…
11 :
◆cJ/Se2MNFnrs
[saga]:2017/10/07(土) 14:11:58.69 ID:Y9AZ6UEU0
氷姫《どうしたの?》
金髪《わかんねー! 急に赤毛が眠ってるみたくなっちまって…!》
赤毛《………》
魔王《これは》
魔王《…心が閉じてる。いえ、拐われかけている!》
魔王《これはもしかして………教皇の影響…!? 自我がはっきりしてきたところを、狙ってきたの!?》
グイ…
魔王《!》
金髪《なあ………助けてくれよ…!》
金髪《俺、赤毛の友達なんだよ》
金髪《赤毛を、助けなきゃいけないんだ!》
魔王《…!》
金髪《お願いだよ…!!》
魔王《………》
魔王《分かったわ》
魔王《この子は、私が助ける》
金髪《!》パァ
金髪《ありがとう…!》
魔王《ええ》ニコ
12 :
◆cJ/Se2MNFnrs
[saga]:2017/10/07(土) 14:13:08.71 ID:Y9AZ6UEU0
魔王《氷姫》
氷姫《うん。あんたにそっちは任せるわ》
魔王《………変、かな》
魔王《人間の子供を、助けようなんて》
氷姫《ふふ》
氷姫《あんたらしいわよ》
魔王《…そうかな》
氷姫《あの子達を、お願い》
氷姫《…助けてくれ、か》
氷姫《敵かもしれないあたし達に、あんな真っ直ぐな目でそんなことを…》
氷姫《――もし、あたしもそうできたなら》
氷姫《こんな道を歩かずに済んだかもしれないのにね》
氷姫《………さあ、そんじゃいっちょ、思い出すとしますか》
氷姫《ずっと目を逸らし続けていた、傷を》
13 :
◆cJ/Se2MNFnrs
[saga]:2017/10/07(土) 14:14:51.23 ID:Y9AZ6UEU0
氷姫「…っ」タッタッタッ
炎獣「お、おい氷姫! 待てよ!」
炎獣「本当にこっちであってんのかぁ!?」
氷姫「…」
炎獣「急にどうしちまったんだよ、あいつ…」
魔王「…がむしゃらに走ってるようだけど、氷姫の足取りは確かだよ」
炎獣「じゃあ氷姫には水精達が逃げた方向が分かってるってことか?」
魔王「うん。…心当たりが、あるのかもしれない」
魔王(それにしても…ここは、どこなんだろう? さっきまで私たちがいた冥界とは、気配が完全に変わった)
魔王(冥界を抜けて、別の地域に入った…?)
炎獣「辺りが真っ白で何も見えないぜ…!」
炎獣「ここはどこなんだよ!?」
氷姫「………」
魔王「! 霧が晴れる!」
魔王「何処かの高台に出るんだ!」
ヒュオォ………
氷の領域
氷姫「こ、これは…」
魔王「氷の、世界」
魔王(もしかして、ここは)
魔王(氷姫の、故郷…!)
炎獣「…で、でもよ。おかしくねぇか?」
炎獣「氷の世界なのに、なんで………」
炎獣「――なんで、あっちこっち火の手が上がってるんだよ!?」
14 :
◆cJ/Se2MNFnrs
[saga]:2017/10/07(土) 14:15:57.28 ID:Y9AZ6UEU0
氷姫「…っ!!」ギュウ…!
魔王(…幾つかの旗が見える。あれは、確か)
魔王(海王の収める水部署。そしてもうひとつ、虚無の収める闇部署…)
炎獣「虚無と水精が言ってた"本隊"って、まさか、これのことか…!?」
氷姫「………い、行かなきゃ…!」ダッ
魔王「待って氷姫!!」グィッ
魔王「今行ったら、氷姫の身が…っ!」
氷姫「だからって、ここでぼんやり眺めてろって言うの!?」
氷姫「故郷が、蹂躙されるのをっ!!」
氷姫(――…あれ、おかしいな)
氷姫(あたし、ここを故郷だなんて思ってたのか)
氷姫(未練なんて無いって…そう思ってたのに。とっくに無意味なものになっていたはずなのに)
氷姫(今は、あいつの顔が思い浮かんでしょうがない)
氷姫(あたしの、たった一人の妹)
氷姫(あいつの………結晶花の、顔が)
15 :
◆cJ/Se2MNFnrs
[saga]:2017/10/07(土) 14:45:29.02 ID:Y9AZ6UEU0
氷姫「駄目だ」
氷姫「あたしやっぱり、行かなきゃ!!」
炎獣「お、おい氷姫っ!」
『…お姉ちゃん』
氷姫「!!」
炎獣「な、なんだ?」
魔王(…テレパス!)
氷姫「結晶花っ! あんたなの!?」
結晶花『良かった。本当にお姉ちゃんだ』
結晶花『帰ってきてくれたのね』
氷姫「…っ!」
氷姫「待ってなさい!! 今、そっちに行くからっ!」
結晶花『ありがとう。お姉ちゃん』
結晶花『あなたにひどいことばかりした私達を、助けようとしてくれて』
結晶花『………でもね』
結晶花『ここは、もう』
結晶花『駄目みたい』
16 :
◆cJ/Se2MNFnrs
[saga]:2017/10/07(土) 14:46:58.70 ID:Y9AZ6UEU0
氷姫「――!!」
氷姫「…な」
氷姫「何、言ってんのよ」
結晶花『敵がすぐそこまで迫ってるの』
結晶花『みんな、私を生かすために戦ってくれたけど………やられてしまったわ』
結晶花『水部と闇部が協定を組んで…いいえ、それだけではないわ、きっと』
結晶花『私達は、裏切られてしまった』
結晶花『――長である、私の責任だわ』
氷姫(………待って)
結晶花『だから、無駄なことかもしれないけれど、私も最後まで戦うつもり』
結晶花『お姉ちゃんみたく魔法が上手だったら…転移魔法を使って脱出できたのかなぁ』
結晶花『あはは。出来ないことを言ってもしょうがないよね』
氷姫(待ってよ)
結晶花『でもね、今なら何だってやれる気分だよ』
結晶花『だって、最期にお姉ちゃんと話せたから』
17 :
◆cJ/Se2MNFnrs
[saga]:2017/10/07(土) 14:48:07.76 ID:Y9AZ6UEU0
氷姫「結晶花っ…」
結晶花『あ、また名前呼んでくれた』
結晶花『知ってた? お姉ちゃん、なかなか私の名前読んでくれなかったから』
結晶花『とっても嬉しいな』
氷姫(………あたしは、大馬鹿だ)
氷姫(本当に、あたしが謝りたかったのは)
氷姫(ずっと謝りたいって思ってたのは)
結晶花『ねえ、お姉ちゃん』
結晶花『最期に話せて良かった』
結晶花『勇気をくれて………ありがとう』
氷姫「結晶、花っ…!!」
氷姫「今まで………」ポロ…
氷姫「本当にっ…」ポロポロ…
氷姫「――ごめん、なさい…っ!!」
18 :
◆cJ/Se2MNFnrs
[saga]:2017/10/07(土) 14:49:08.21 ID:Y9AZ6UEU0
結晶花『…お姉ちゃん、優しいなぁ』
結晶花『本当はもっと』
結晶花『甘えたかったな』
氷姫「結晶花…!!」
結晶花『ねえ、迷惑かもしれないけど、聞いて?』
結晶花『私の最期のお願い』
氷姫「っ、なに?」ギュッ…
氷姫「お姉ちゃん、なんでも、きいてあげるから…っ」
結晶花『えへへ。ありがとう』
結晶花『…私の、氷部署の長の座を…』
結晶花『お姉ちゃんに、継いで欲しいの』
結晶花『そして………いつの日か、また氷部署を………』
氷姫「分かった」
氷姫「いいよ、結晶花」
氷姫「それくらい、御安い御用よ」
氷姫「ね、だから、お願いだから」
氷姫「あたし、あんたと一緒に――」
――――ズンッ!!
氷姫「あ…」
19 :
◆cJ/Se2MNFnrs
[saga]:2017/10/07(土) 14:50:10.94 ID:Y9AZ6UEU0
ゴゴゴゴゴ…
炎獣「こ、氷の城が」
炎獣「崩れていく…」
魔王「…っ!」
魔王(テレパスも、消えた…)
氷姫「っ」ガクッ…
氷姫「………………………」
20 :
◆cJ/Se2MNFnrs
[saga]:2017/10/07(土) 14:51:28.35 ID:Y9AZ6UEU0
炎獣「………」
魔王「………氷、姫」
ズズ…
炎獣(? なんだ、この気…)
魔王「………!!」
魔王「この魔力は…っ!」
氷姫「………さな…」
氷姫「――許さない」ズズズズ…!
氷姫(全ての魔力を出しつくせ)
氷姫(破壊の衝動の全てを力に変えろ)
氷姫(もっと)
氷姫(もっとだ)
魔王「この魔方陣…!」
魔王「氷姫っ!! 駄目っ!!」
氷姫「 究 極 氷 魔 法 ! ! 」
21 :
◆cJ/Se2MNFnrs
[saga]:2017/10/07(土) 20:58:52.10 ID:Y9AZ6UEU0
海王「…これで、こっちの始末は終わりじゃ」
海王「しかし…寸での所で氷部署の長の継承を許してしもうたのう」
海王「なんちゅう体たらくじゃ。ぇえ?」
海王「虚無よ」
虚無「………」
海王「娘っ子一人、刈り取れんとはのう」
虚無「…うぬの使いが足を引っ張ったのだ」
海王「水精がか? カッ」
海王「使えん奴っちゅうのは、とことん使えんのう」
海王「ほいで、その水精は何処に――」
ズズ…
海王 虚無「!」
虚無「この気配は…」
海王「誰じゃ、こんな大それた事をしよるのは」
虚無「………うぬが侮った」
虚無「その娘っ子であろうな」
22 :
◆cJ/Se2MNFnrs
[saga]:2017/10/07(土) 21:00:07.51 ID:Y9AZ6UEU0
ゴォオッ!
炎獣「なんだ!? どうなっちまったんだよ、氷姫は!?」
魔王「究極氷魔法の詠唱に入ってるんだ…!」
魔王「魔力の放出量が凄まじくて、私達が近寄ることも出来ない…っ!」
魔王(究極氷魔法は、全ての魔力を喰らい尽くして発動する魔法だ。コントロールし切れなかった時は)
魔王(死が待ってる…! 今の感情に任せた氷姫の詠唱じゃあ………!!)
ズッ
氷姫(死の行進)
氷姫(全ての敵を狩るまで止まらない死神の召喚)
ズッ
氷姫(あたし自身が冥界とのゲートになる)
氷姫(一度死神の鎌を掻い潜ったあたしはもう条件を満たしている)
ズッ
氷姫(深く潜れ。冥界はここからそう遠くない)
ズッ
氷姫(さらかる深みへ)
ズッ
氷姫(あの極彩色の世界へ)
ズッ
死神「…」
23 :
◆cJ/Se2MNFnrs
[saga]:2017/10/07(土) 21:01:14.53 ID:Y9AZ6UEU0
氷姫(見えた…。死神だ)
氷姫(さあ! あたしの魔力を喰らえ!)
氷姫(好きなだけ喰らうがいい!!)
氷姫(代わりによこせ! お前の力を!!)
氷姫(あたしは望むっ!)
氷姫(醜い裏切り者共の断罪を!!)
氷姫(冷徹で犀利な大鎌による制裁を!!)
死神「…」ォオ…
ガシッ
氷姫(っ!?)
氷姫(どうして…。どうして、あたしの体を掴む!?)
氷姫(敵は外だ!! くそっ、言うことを聞けっ!!)
死神「…」
氷姫(…まさか)
氷姫(魔力が…足らないっていうの…?)
氷姫(それとも、あたしが、あんたを牛耳るのに値しない使い手だと…?)
死神「…」
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