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ガヴリールドロップゲーマーズ ACT.3
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/05(木) 16:13:47.32 ID:pO2JNvhi0
このSSはガヴリールドロップアウトのキャラクター達がVRMMORPGの世界を楽しく旅する冒険ものです。
前作
ガヴリールドロップゲーマーズ
ガヴリールドロップゲーマーズ ACT.2
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1507187627
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/05(木) 16:14:26.57 ID:pO2JNvhi0
前回までのあらすじ
ついに始まったVRMMORPG『ドロップクエストファンタジぃ・オンライン』でのゲームライフ。
なんだかんだでギルドホームも手に入れ仮想の異世界を満喫するガヴリール達一行。
あれから一週間……
現在彼女達は始まりの町『スイラ』から遠く離れた地を彷徨っていたのだった。
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/05(木) 16:15:37.16 ID:pO2JNvhi0
第11章『旅の道中とレアモンスター』
砂漠的な何処か……
ガヴリール「あー、暑いなんでこんな所までしっかり再現してるんだよVRめ」
サターニャ「だらしないわねガヴリール、これくらいの暑さで弱音を吐くだなんて」
ガヴリール「そりゃお前は日光を遮断するアイテム『日焼け止め』を使ってるんだから大丈夫だろうけどこっちは本当に暑いんだよ」
サターニャ「仕方ないじゃない、これを使わないと吸血鬼の私はすぐに体力が無くなるんだから」
ガヴリール「ぬわぁー、耐えられんサターニャ!余ってるお前の『日焼け止め』を私によこせ!!」
サターニャ「ぎゃー、なにすんのよガヴリール!これは私たちみんなの全財産の半分のG(ゴールド)を使って買った高級品なのよ!?そんな理由で無駄使いなんて出来ないわよ!!」
ヴィーネ「そうよ、ガヴ 諦めなさい そんな風に暴れたりくっついたりした方が余計に暑くなるわよ」
ガヴリール「うぅ、じゃあヴィーネ、またそこら辺に氷か水の魔法を撃ってくれよ、それで涼むから……」
ヴィーネ「ごめん、もうMPが残ってないわ」
ラフィエル「先ほどから頻繁にヴィーネさんの魔法で涼んでいましたからねー、MPが自然回復するのに数十分は掛かると思いますよ」
ガヴリール「ちくしょう、こうなったら最終手段だ!回復薬をガブ飲みしてやる!!」
ストレージから回復薬を呼び出し、すぐさま瓶の蓋を抜き中味をゴクゴク飲み込むガヴリール
ガヴリール「ぷはぁー うめぇ、回復薬はいつでもキンキンに冷えてて最高だな!味も柑橘類のジュースみたいな感じで美味しいし」
ヴィーネ「もうガヴったら、貴重なアイテムをそんな風に使って……」
ガヴリール「別にいいだろ?回復薬は自分の物なんだし」
ヴィーネ「それはそうだけど、今は私のMPも無いんだから、それで敵に襲われた時は知らないわよ?」
ガヴリール「はい はい、わかりましたよっと」
ガヴリール「それにしてもこの回復薬うまいなぁもう一本飲もうか迷うな」
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/05(木) 16:17:02.43 ID:pO2JNvhi0
ラフィエル「ガヴちゃん美味しそうに飲みますね、私も一本だけいただいてみましょうか」
ヴィーネ「ちょ、ラフィエルまで」
ラフィエル「あらー、これは確かにキンキンに冷えていて美味しいですね」
ラフィエル「ガヴちゃんが飲みたくなる気持ちもわかります」
ガヴリール「どうだ?ヴィーネも飲んでみたら」
ガヴリール「キンキンに冷えてておいしいぞ?」
ヴィーネ「で、でもそれじゃあ回復が……」
ガヴリール「へーきへーき、さっきから散々歩いてるけど敵なんて一匹も出てきてないし」
ガヴリール「それにこんなに暑いんだ、もし敵が出てきても暑くて集中出来ないなんて理由で負けるかもしんないじゃん?」
ガヴリール「だったら飲んでた方が良いって」
ヴィーネ「ガヴがそこまで言うなら、一つだけ……」
ガヴリール(チョロい)
ラフィエル(チョロいですね)
ヴィーネ「あ、本当だ美味しい……」
ガヴリール「だろ?」
サターニャ「あんた達だけズルい私も飲む!!」
ガヴリール「いや、飲むなよ、回復薬は聖属性の物だからお前が飲んだらダメージになるだろ」
サターニャ「うぬぬ」
ガヴリール「ははは、ズルいだろ?それがさっき私がお前に感じた感情だ」
ガヴリール「心して噛み締めるんだな」
サターニャ「この悪魔!ひとでなし!!」
ガヴリール「悪魔はお前で、私はそもそも人じゃないから、なんとも思わないよ」
サターニャ「ぐぬぬ」
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/05(木) 16:18:25.11 ID:pO2JNvhi0
〜〜〜〜〜〜
サターニャ「そういえば私、昨日でレベルが9になったのよね」
ガヴリール「レベル9って……私より一つ上のレベルじゃないか」
サターニャ「ふふーん、すごいでしょ」ドヤ顔
ガヴリール「ぐぬぬ、まさかこの私がサターニャ如きにレベルで負けるとは……」
ヴィーネ「でもおかしいわよね?」
ガヴリール「おかしいってなにがだよ?」
ヴィーネ「だってこのゲームを始めて一週間、一番プレイ時間はガヴが長いはずなのにサターニャにレベルで負けるだなんておかしくない?」
ガヴリール「それはサターニャはデッカい敵にトドメを刺したり出来るし、ヴィーネは魔法で雑魚をまとめて倒す事が出来るのに対して、私は弓でちまちま一体ずつしょうもない敵と戦う事しか出来ないんだから上がるレベルも上がらないんだよ」
ラフィエル「これが前にガヴちゃんが言っていた弓職の不利というものの一つでしょうか?」
ガヴリール「だな」
ガヴリール「一応これでもお前達がイン(ログイン)してない時にも私はレベリングしたりしてるんだぞ?」
ヴィーネ「でしょうね、私なんてまだレベル6だし、8とか9で言い合いっこしてる二人が異常にみえるもの」
ガヴリール「まあこのゲーム、って言うか恐らくVRのゲームはレベルが上がりづらいからなー」
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/05(木) 16:19:11.75 ID:pO2JNvhi0
ヴィーネ「そうなの?」
ガヴリール「ああ、だってフルダイブ式のVRゲームは普通のネトゲと違ってボタンをポチポチするだけの楽なレベリングは出来ないし」
ガヴリール「なんならこっちは身体を動かして攻撃してる分、気を抜くと攻撃がハズレるは反撃を食らうはで散々な目に遭うからな」
ヴィーネ「へー、大変なのね、じゃあ普通のゲームよりこっちの方が不便なんだ」
ガヴリール「良い意味でな」
ヴィーネ「?」
ガヴリール「確かに現実のゲームみたいに全部研究して効率化して楽に出来るようになったら便利だけど、それじゃあつまんないからな」
ガヴリール「それに比べてVRゲームは全部が不確定要素の塊でこれをやれば正解ってのが無くて、全プレイヤーが自分なりの方法を模索する余地があるからやっぱ楽しいんだよ」
ガヴリール「レベリング一つ取ったって、さっき言った身体を動かすがゆえの不確定要素の影響で、普通に考えれば効率の良い雑魚を狩るより格上のボスモンスターを狩りに行った方が結果的に効率がいい時もあるし」
ガヴリール「もうVRMMOの世界はネットの攻略記事をみれば全部解決するみたいなゲームじゃなくなってるんだよ」
ヴィーネ「ふーん、難しいのね」
ガヴリール「ヴィーネもゲームをやってたらいずれ分かる日が来るよ」
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/05(木) 16:20:24.68 ID:pO2JNvhi0
〜〜〜〜
ガヴリール「む、敵感知のスキルが反応してる近くにモンスターがいるぞ」
サターニャ「って言われても周りにそれっぽいものは見つからないけど……」
ラフィエル「恐らくあれじゃないでしょうか」指差し
モンスター?「………………」
ヴィーネ「なにあれ、可愛い!」
サターニャ「確かにっ!!」
ガヴリール「ちょっと待て二人とも!なにナチュラルに触りに行こうとしてるんだよ、危なっかしいなぁ」
サターニャ「だって」
ガヴリール「はぁ、どうみたってこれ罠じゃん、ちなみにみんなにはこいつがどんな風に見えるんだ?」
サターニャ「え?それは勿論、空飛ぶ羽根つきメロンパンに見えるけど」
ヴィーネ「おかしいわね、私には金髪の美幼女に見えるわよ?」
ガヴリール「やっぱりか、そいつは最近噂のレアモンスター『キュートん』だ」
ガヴリール「キュートんは見る者の最も可愛いと思う容姿に見た目を変化させる能力を持っているんだよ」
ガヴリール「ちなみに私にはあのモンスターが妹のハニエルに見える」
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/05(木) 16:21:20.36 ID:pO2JNvhi0
ラフィエル「では、その見た目に釣られて近づいてきたプレイヤーに攻撃してくると言う事でしょうか?」
ガヴリール「いや、違うこいつは攻撃の類は一切しない、ただ可愛い容姿で庇護欲を煽る行動をとってプレイヤーを拐かすだけだ」
ガヴリール「で、こいつに近づいたら最後、その可愛さを愛でている間に、1分で体力の1%の吸収するドレインの魔法を自分の周囲に発動させるんだよ」
ラフィエル「1分で1%ですか、体力が無くなるまでに100分もあるんでしたら、比較的安全なモンスターなのでは?」
ガヴリール「甘いなラフィ、このモンスターが噂になる理由それは出会うプレイヤーみんなが100分間たっぷりこいつを愛でてデスペナを受けてる事にある」
ラフィエル「まさか、そんな訳……」
ガヴリール「ほら見てみろ、私が話してる間にあの二人はもう既にあいつを愛でてるぞ?」
キュートんの虜になっている二人
ラフィエル「わあ、本当ですねもうゾッコンって感じです」
ガヴリール「ラフィは意思が固いみたいだから大丈夫だったみたいだけど、多分私も事前知識がなかったらアレを愛でてただろうし……」
ガヴリール「とにかくあいつは危険だ、早く始末しないと……」弓を構える
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/05(木) 16:22:11.91 ID:pO2JNvhi0
ヴィーネ「え、ガヴ何してるの?弓を構えて……もしかしてこの子を」
ガヴリール「ああそうだ、だから退いてくれ」
サターニャ「ダメよ、こんなに可愛いんだからうちに連れて帰ってペットにするの!」
ガヴリール「はあ、そいつはな一応攻撃はしてこないみたいだけど、HPドレインでプレイヤーを苦しめる凶悪モンスターなんだよ」
ガヴリール「見た目に騙されるなって」
ヴィーネ「で、でも………」
サターニャ「嫌だ!絶対にやらせないわよガヴリール」
ガヴリール「……………………」
ガヴリール「あ!あんな所にボスモンスターが」
二人「え」
ガヴリール「今だ!」
シュタ!
キュートん「きゅ〜」
キュートんのHPが0になった
二人「あぁ〜……」
ガヴリール「お、今のでレベルが上がった、ラッキー やっぱレアモンスターなだけあって経験値高いな」
ラフィエル「流石ガヴちゃん、やり方が最低です(褒め言葉)」
ガヴリール「うるせーよ」
ヴィーネ「ガヴなんて酷い事を……」
サターニャ「うぅ、私がさっきレベル自慢をしたばっかりにガヴリールがあんなに可愛い子を……」
ガヴリール「おいおい、二人とも別にそこまでヘコむ事ないだろ」
ガヴリール「それにほら見てみろよ、擬態が解けて正体が露わになったらこれだぞ?」
グロテスクなモンスターの死体
ヴィーネ「………………」
サターニャ「…………………」
ガヴリール「倒して正解だっただろ?」
二人「……うん、ごめん」
ラフィエル「やはり見た目で何かを判断するのは賢明ではないという事ですねー、勉強になりました」
ガヴリール「そういえばラフィ」
ラフィエル「どうしましたか、ガヴちゃん」
ガヴリール「ラフィにはあのモンスターが何に見えてたんだ?」
ラフィエル「あー、その事ですか」
ラフィエル「それはナイショです」
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/05(木) 16:23:20.49 ID:pO2JNvhi0
12章『新たなる町、新たなる出会い』
水の都『レーカ』
ラフィエル「着きましたね」
ヴィーネ「ここが水の都レーカ……」
ガヴリール「こんな砂漠の中心で水の都か、まさにオアシスって感じだな」
サターニャ「そうね」
ガヴリール「しかし始まりの町からここまで来るまでに歩いて2日(分のプレイ時間)かかるとはな」
ヴィーネ「まだG(ゲーム内通貨)が少ないからって、お金をケチって馬車や飛行船、船の移動手段を使わずに歩いて来たのは失敗だったわね」
ラフィエル「帰りはゆっくりお金を貯めて乗り物に乗って帰りましょう」
ガヴリール「だな」
サターニャ「まあ、そもそもここに来なくちゃいけなくなったのもガヴリールの所為なんだけどね」
ガヴリール「ぐ、」
ヴィーネ「まさかこの前買ったギルドホームが、買ったは良いもののギルド結成クエストを受けてないから中には入れないだなんてね……」
ガヴリール「いやー、あれは盲点だったよな、ギルドって軽いノリで組めるゲーム多いし」
ラフィエル「それであれから一週間、装備やアイテムを買い揃えてから旅に出て、やっとギルド結成クエストを受ける事が出来る町『レーカ』に着いたんですから、本当に大変でした」
ヴィーネ「ほら、あのラフィまでこんなあからさまな愚痴を言ってるんだから、ちゃんと謝りなさいガヴ」
ガヴリール「みんな悪かったって、これでも私だってみんなの為を思って家を買ったんだぞ?」
ヴィーネ「それがわかってるから余計にタチが悪いんだけどね」
ガヴリール「じゃあ私はどうすればいいんだよ……」とほほ
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/05(木) 16:24:06.37 ID:pO2JNvhi0
〜〜〜〜〜
ヴィーネ「とりあえずギルド結成クエストは明日受ける事にして、今日はこの町で装備やアイテムを整えましょう」
サターニャ「さんせー、なんか面白そうな店が沢山あるし見て回りたい!!」
ガヴリール「いや、今、装備やアイテムを整える為に1日置くって言っただろ」
サターニャ「えー」ぶーぶー
ガヴリール「私達は遊びにここまで来た訳じゃ………って何だあのカッコいい弓は!?ドラゴンの骨で作られているのか!めっちゃ欲しい!!」
ラフィエル「ガヴちゃん遊びに来たんじゃないのではなかったんですか?」
ガヴリール「ぐぬぬ、確かに……」
サターニャ「ぷーくすくす、ガヴリールったらラフィエルに怒られてやんの」
ガヴリール「サターニャめ、後で覚えていろよ……」
サターニャ「望む所よ、そっちがその気ならやってやろうじゃない」
二人「うぬぬぬ………」にらみ合い
ヴィーネ「はいはい、二人ともケンカしないの」
二人「だってこいつが!」お互いを指差し
ヴィーネ「だったらこうしましょう、必要なアイテムを揃えた後はみんな好きにこの町を見て回る事にするの」
二人「本当にっ!?」
ヴィーネ「ええ」
二人「やった!!」ハイタッチ
ヴィーネ「はぁ アンタ達は本当に調子がいいんだから」
ラフィエル「そこが二人の持ち味ですからねー」ニコニコ
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/05(木) 16:25:09.11 ID:pO2JNvhi0
数十分後
ラフィエル「大体必要な物は揃いましたね」
ヴィーネ「それじゃあ自由行動開始!夕方になったら一度ここの宿に集合よ、勝手にログアウトしちゃダメだからね?」
ガヴリール「はーい」
サターニャ「早速遊びに行ってくるわね!」ダッシュ
ラフィエル「サターニャさん、一瞬で居なくなりました」
ヴィーネ「本当にあの子は……」
ガヴリール「まあ呼び戻したい時はあいつの所にメッセージ飛ばせば良いし、いいんじゃね?」
ガヴリール「じゃあ私は最初の方にあった店の龍骨製の弓とやらを見に行くか」
ヴィーネ「うーん、私はどうしようかしら?特にこれと言ってやりたい事はないし……」
ラフィエル「でしたら、私と一緒にこの町周辺にあるフィールドの薬草や鉱石の採集に行きませんか?」
ラフィエル「きっと私達の町にはない、珍しい物が沢山あるはずですよ」
ヴィーネ「そう?だったら一緒に行かせてもらおうかしら」
ラフィエル「是非」
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/05(木) 16:26:34.19 ID:pO2JNvhi0
〜〜〜〜
サターニャ「♪♪♪〜」
サターニャ(大体見て回ったけどやっぱり見た事のない町は楽しいわね、次はどこに行こうかしら)
曲がり角で誰かと衝突する
???「きゃっ」
バタン、ぶつかった少女が尻餅をつく
サターニャ「あぁごめんなさい、前を見てなくて……貴方大丈夫?」手を差し出す
???「はい、大丈夫です。こちらこそ不注意でぶつかってしまって申し訳ないです」差し出された手を握る
立ち上がった少女の容姿を改めて見る。
そこに居たのは、金髪碧眼のサラサラなロングヘアーで少し背の低い美少女だった。
真っ白な衣装に身を包み品行方正と言う言葉が似合う佇まいに天使と表現しても違和感のない柔和な微笑みでこちらを見つめてくる……
それはどこかで見た事のある様な容姿で……
サターニャ「って言うかあんたガヴリール!?」指差し
ガヴリール?「?はい、一応そうですか……」
ガヴリール?「えと、そう言うあなたは誰でしょうか?」
サターニャ「はあ?何言ってんのよ?私じゃない」
ガヴリール?「すみません、よくわかりません」
ガヴリール?「もしかして昔に同じパーティに入っていた人だったりしますか?」
サターニャ「なに言ってんのよ、私達さっきまで一緒に居たでしょ」
サターニャ「あんたこそ、その服とか雰囲気が変わってるけど何があったのよ?」
ガヴリール?「?」
ガヴリール?「さっきまで一緒に?少し前まで私はギルドメンバー達と大聖堂に居ましたが?」
サターニャ「あれ?さっきまで私達宿に居たんじゃ……」
ガヴリール?「?」
サターニャ「?」
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/05(木) 16:27:18.92 ID:pO2JNvhi0
数分後
サターニャ「なんだ、あんた私の知ってるガヴリールじゃなかったんだ」
白ガヴリール「まさか私と同じ名前で似た容姿のプレイヤーが他にもいただなんて、世の中すごい偶然もあるんですね」
サターニャ「そうね、ビックリしたわよ、見た目ほとんど同じだし、名前が同じガヴリールだから変に話が噛み合っちゃったし……」
白ガヴリール「ですね、私も少し驚いちゃいました」
白ガヴリール「これも何かの縁ですし、どうですか?サタニキアさんがよければもう少し落ち着いた場所でお話でも……」
サターニャ「いいわよ、私もあんたに興味があるし」
白ガヴリール「本当ですか」パァ
白ガヴリール「では私の行きつけのお店があるので、そこでお食事でもしながら」
サターニャ「食事?このゲームそんな事まで出来るの!?」
白ガヴリール「はい、それは勿論VRですから、それくらいお茶の子さいさいですよ」
サターニャ「お茶の子さいさいって、なんか言い回しが古臭いわね、なんだか昭和臭を感じるわ」
白ガヴリール「そんなぁ、これが今のナウでヤングなじぇけぇさんの間で流行っている言葉と聞いたのに」
サターニャ「そもそもナウでヤングって言葉がナウでヤングじゃないわよ?」
白ガヴリール「なんですと!!」
サターニャ「いや、別にそこまで驚かなくても……」
白ガヴリール「うぅ最近の若者は難しいです……」
サターニャ「あんたもその若者でしょうが」
白ガヴリール「でしたね、えへへ」
白ガヴリール「それでは気をとりなおしてお店へ行きましょう」
サターニャ「おー!」
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/05(木) 16:28:15.59 ID:pO2JNvhi0
〜〜〜〜
白ガヴリール「ここがそのお店ですよ」
趣のある小さな食事処
サターニャ「へぇ、町の大通り以外にもこんな場所があったなんてね」
白ガヴリール「私はこの町が長いので少し詳しいんですよ、通ってやつです」えっへん
白ガヴリール「注文は任せて貰ってもいいですか?」
サターニャ「いいわよ」
店内に入り席につく
白ガヴリール「では、おじさんいつもの二つお願いします!」
大将「あいよ」
サターニャ「わぁ、今のが噂に聞く、『いつもの』で通じるやつ!?カッコいい」
白ガヴリール「ふふふ、サタニキアさんに喜んで貰えたようで何よりです」
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/05(木) 16:29:21.83 ID:pO2JNvhi0
白ガヴリール「それで何のお話でしたっけ?サタニキアさん」
サターニャ「アンタと同じ名前で見た目のガヴリールの話ね」
サターニャ「でもあいつは貴方みたいに上品で良い性格してないわよ?悪魔より悪魔みたいなやつって言うか」
白ガヴリール「気になります、是非続きを」
サターニャ「そこまで言うなら、そもそもあいつと私の出会いは…………」
〜〜〜〜〜〜
白ガヴリール「要するにサタニキアさんとそちらのガヴリールさんは仲良しなんですね」
サターニャ「そんな事ないわよ、私はいつもあいつに振り回されてるんだから」
白ガヴリール「でもいつも一緒に居るんですよね?」
サターニャ「それは……」
大将「あいよ!カラカラ鳥の唐翌揚げ、お待ちぃぃ!!」
目の前に現れたのは、肉の塊、大きな皿に載ったレッグの唐翌揚げ
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/05(木) 16:30:27.87 ID:pO2JNvhi0
サターニャ「うわっ、おっきい……」
白ガヴリール「ふふ、女の子がこんなにジャンクなものを食べるのは、はしたないですかね?」
サターニャ「そんな事ないと思うわよ、ただそれにしてもデカいというか…」
思わず目の前のそれに見惚れる。
黄金色の肉。衣は普通のそれより厚そうだ。
表面はモンスターの肌のようにゴツゴツしていて、至るところでジュウジュウと未だに音を立てている。
ガヴリールの様子を見るに一人一本らしい。
それに箸やフォーク等の食器類がないところから察するに恐らくテーブルの端に置かれているあのキッチンペーパーで肉の先を包んで手づかみで食べるもののようだ。
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/05(木) 16:31:20.19 ID:pO2JNvhi0
時間も時間、それにガヴリールとの話のせいでイイ具合にお腹が空いていて……
サターニャ(でも囓り付きたいんだけど……ちょっと、熱そうなのよね)
肉の先をキッチンペーパーで厚めに巻いて持ち手を作っていると、その横にある小鉢とミルがあるのに今更ながら気が付いた。
白ガヴリール「それは右から粗塩、黒胡椒、一味、七味、山椒、柚子皮が入っています」
白ガヴリール「私のオススメは山椒ですが、一番最初はそのまま食べるのが良いと思いますよ。そこから先はお好みで」
そう言いながらガヴリールは手際良く自分の分のレッグにコリコリと小気味の良い音を立てミルを使い黒胡椒をふりかけ、次に山椒の粉をふかけた。
それら二つの香りが辺りに漂い余計に空腹を刺激する。
まずはガヴリールの言う通りそのまま食べてみよう。
サターニャ(手に持ってみるとかなり重いわね)
レッグはレッグでもなんだか普通の物よりサイズが大きい気がする。
形からしてもそうだ、なにかハンマー的な物でも持っているかの様な気分だ。
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/05(木) 16:32:02.40 ID:pO2JNvhi0
ふうふうと念入りに息を吹きかけて、熱さに怯えながらもそのまま太もも部分に囓り付く。
サターニャ「ふぁふぅい!!」
衣に触れた唇が焼かれたように、熱い!だが、歯は既に衣に達しそのカラッというよりはバリッという感触の、厚く硬い衣を砕いていた。
ここまできたらと、そのまま肉を囓り切る覚悟を決める。
私の歯が厚い衣を噛み砕き、中の肉へ。
サターニャ「!?」
歯が衣を突破した次の瞬間、その下から熱々の肉汁が溢れ出してきた!!
ガタッ!?
思わず腰が引けて椅子が滑ってコケかけてしまった。
だが、口はレッグに喰らい付いたままだ。体は熱さから逃げようとしたが、私の肉を欲した気持ちはまだ挫けてはいない。
そのまま根性で肉を喰らい噛みちぎる。
口の中を転がる肉は肉汁で溢れ、歯形が付いたレッグからはこんこんとわき水のように、後から後から肉汁が生まれて皿へと滴る。
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/05(木) 16:32:55.15 ID:pO2JNvhi0
サターニャ「ふ、ふごひぃ……」
口の中では柔らくみずみずしいとすら感じる肉と共に硬い衣が舞い踊り、硬さと柔らかさが入り交じり交差する。
これはしっかり衣を作ることで肉汁を逃がさず、がっつりと内側に閉じこめているんだ。
サターニャ(…………美味しい)
何より肉と衣には塩と胡椒、そして醤油のかすかな風味がしっかり付けられており、単純ながら万人が好む王道の味に仕上がっている。
………飲み込むのが惜しい。そんなことを考えてしまう自分がいる。
白ガヴリール「いい食べっぷりですね、サタニキアさん」
サターニャ「ま、まあね」
白ガヴリール「どうですか?VR世界でのお食事も悪くないと思いませんか?これでどれだけ食べても太る事もないんですよ」
サターニャ「そうね、確かに悪くないわ」
サターニャ「それにしてもアンタこんなに熱いのに平気なの?」
白ガヴリール「私は慣れているので平気ですよ、ほらこの通り、はむっ」
小さい両手で巨大なレッグを掴み、精一杯の小さな大口でそれを幸せそうに頬張るガヴリール。
美少女故の特権か彼女が美味しそうに肉を食べる姿を見るだけでこちらまで幸せな気分になり、一生でもその光景を眺めていれそうな気分になる。
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/05(木) 16:33:44.24 ID:pO2JNvhi0
大将「はい、スティックサラダ持ってきたよ!」
白ガヴリール「待ってました!」
今度はグラスに入った野菜スティックが登場してきた。
サターニャ(あれ?おかしいわね?)
マヨネーズやバーニャカウダ、ソースみたいなものはないのか?
しかもこのスティックサラダ、きゅうりやにんじん的な野菜も一応入っているが、やたらとセロリ的な野菜の本数が多い。
白ガヴリール「あ、このお店はソースの類がないので、このスティックサラダはそのまま食べるのが基本ですよ」
サターニャ「そうなの?」
白ガヴリール「はい、それでは味気がないと思うなら一度お肉を頬張ってから口にするといいです、意味がわかります」
サターニャ(意味がわかる?)
ガヴリールの助言に従い、一度 肉汁滴るレッグを口にし、を囓ってから口にするといい。
それからセロリ?をパキリッと音を立てて囓る。
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/05(木) 16:34:56.68 ID:pO2JNvhi0
サターニャ「!?!?」
冷たくて、肉厚で、みずみずしく、新鮮さを如実に表す歯触りだった。
そうして、奥歯でそれを噛みしめた瞬間 ……口と鼻に緑の風が吹き抜けた。
サターニャ「 あ、いい。唐翌揚げの後なのに、このセロリっぽいのがいい感じに脂っこさを消してる」
肉汁たっぷりの唐翌揚げだ、どんなに味が良くても口の中はどうしても重くなる。
それが、セロリ?を囓ると途端に爽やかな風が吹き抜けたようにサッパリとするのだ。
たった一瞬で鼻、口、喉 全てが、リフレッシュされる。
他の野菜ではここまでの効果はないだろう。強い香りのあるこの野菜だからこそ、だ。
グラスにこれが沢山入っている訳だ。
サターニャ(全て計算済みってわけね)
サターニャ「美味しい。セロリが、単体でもこんなに美味しいって感じられるなんて……はじめてよ」
ですよね、とガヴリールは少し得意げに言うので、私は頷く。
白ガヴリール「セロリには匂い消しや食欲増進の効果があるらしく、こういう重い料理にはうってつけなんですって」
サターニャ「そうなんだ」
白ガヴリール「まあ、これはセロリじゃなくてセロリっぽい異世界のお野菜なんですが……」
サターニャ「くふふ、私もこの野菜をどう呼べばいいかわからないわ」
白ガヴリール「ふふふ、ですね」
二人の笑い声「はははははは」
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/05(木) 16:35:41.69 ID:pO2JNvhi0
その後、私達は日が暮れるまで肉を食べ、話し合った。
私が唐翌揚げに齧りつき、『あつい!!』と声を上げると、ガヴリールが笑い私が、うるさい、と怒る。
そしてまたガヴリールは笑い、肉に齧りつく。
おいしい。お肉も野菜も食べる物全部がおいしい。
ただこのお店がどれだけうまく味付けしたとしても、こんなに美味しくなるものなのか?
何となく、そんな事を考えていると、さっきまで頭で浮かんでは消え、消えては浮かんでいた事が何だったのか……わからなくなっていた。
私達の会話の内容と言えば、あっちのガヴリールと私の仲についての話で持ちきりだった。
私があいつとは仲が悪いと言えばこっちのガヴリールは様々な話を例に出してそれを否定するという不毛なもの
不毛と言えば不毛だけど、お互いに何かを主張しようとする一生懸命な言葉と気持ちが交わった気がした。
別にそこまでして私がガヴリールと仲が悪いと訴える必要性なんてこれっぽっちもないのに、そこを譲る訳にはいかないとするように、私はありとあらゆる自分の境遇や思い出を口にした。
大抵その話は「それが仲良しさんなんですよ」と優しい反論で跳ね返されまたそれを私が反論する。
そして気がつけば町も暗くなり街灯の火がつき始めていた。
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/05(木) 16:36:30.22 ID:pO2JNvhi0
白ガヴリール「今日は楽しかったですね、サタニキアさん」
サターニャ「ええ、そうね」
白ガヴリール「サタニキアさんのお陰で、暇つぶしに町をブラブラする退屈な一日が、予想外の楽しい一日に変わりました。ありがとうございます」
サターニャ「私も貴方のお陰で楽しい一日が過ごせたわよ」
白ガヴリール「そろそろギルドに戻らないと姉さ……じゃなくてギルドメンバーが心配するので今日はこれで解散ですが」
白ガヴリール「また機会があれば私とお話してくれます?」
サターニャ「もちろんよ、だって私達はもう友達じゃない」
白ガヴリール「友達……サタニキアさんにそう言って貰えて嬉しいです。
ですよね私達はもう友達ですからまた遊べますよね」
サターニャ「当たり前じゃない、今度会った時こそ私とガヴリールの中の悪さを証明してあげるんだから覚悟してなさい」
白ガヴリール「もうサタニキアさんはまたそんな事を言って……」
ピコーン
白ガヴリール「あ、仲間からの呼び出しです。本当にそろそろ行かないといけないみたいですね」
白ガヴリール「サタニキアさん、それではまた」
サターニャ「アンタもね、バイバイ」
こうして私ともう一人のガヴリールの一日は終わった。
新たなる町と新たなる出会い、また私はこの世界の事が好きになったみたいね。
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/05(木) 16:43:47.82 ID:pO2JNvhi0
突然謝罪から入ります。すみません
前回のガヴリールドロップゲーマーズのあとがきパートで次はガヴリールドロップストーリーを書くと言っていましたが現在絶賛スランプ中で中々書けず、先に内容の決まっていたドロップゲーマーズを優先して書いてしまいました。
後は唐突な飯パートからの見苦しい地の文の嵐もすみませんでした。
今日の更新はここまでですがACT.3はまだ残り半分くらい残っているので続けて読んでくれれば嬉しいです。
ついでに暇な人はコメントなんかをくれると嬉しいです。最近自分のSSの方向性を迷走中なので励みになる様な事を言ってくれると助かります
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/05(木) 17:48:46.85 ID:Gmp2+xIt0
乙
今回も面白かった
スランプなら、別のガヴドロSSを書いたらいいんじゃないかな?
これはシリーズものだけど、短編のSSを書くとかすれば創作意欲も湧くからね
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/26(木) 01:42:39.41 ID:lKmtwnYj0
続きはよ
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/11/18(土) 00:52:25.75 ID:Aku7xiWrO
こういう世界観大好きなのでもっと続き読みたい
作者さん頑張って続き頼む!
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/11/18(土) 23:42:05.61 ID:92Wois6p0
第13章『パーティー危機一髪』
ラフィエル「ここが、ギルド結成クエストを受ける事が出来るダンジョン《結束の神殿》ですか」
サターニャ「これぞ神殿みたいな普通のパッとしない神殿ね
ザ・神殿って感じで全然面白くないわ」
ガヴリール「そりゃ神殿だからな、お前は一体神殿に何を求めてるんだよ」
サターニャ「クリエイティブでユニークな時代を先取るイニシアチブ的ラブ&ヘル&デビルズロックよ!!」
ガヴリール「悪かった、お前に意見を求めた私がバカだったな」
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/11/18(土) 23:44:19.50 ID:92Wois6p0
ヴィーネ「ガヴ、このギルド結成クエストはどんな事をするクエストなの?」
ガヴリール「さあ?私も知らない」
ヴィーネ「え、そうなの!?てっきり私ガヴは知ってるものかと思って何も調べてきてないわよ」
ガヴリール「こういうのは何も知らずにやった方が面白そうだし
今回は下調べの類は一切してきてないんだよ」
ヴィーネ「でも危ない仕掛けやモンスターがいるかも知れないのに何の対策もせずにこのまま進んで大丈夫かしら」
ヴィーネ「やっぱり一度戻って情報を集めてからにした方が……」
ガヴリール「ヴィーネは心配性だなー、大丈夫だよ(多分)」
ヴィーネ「そうかしら」
ガヴリール「まーまー、初めてのクエストなんだしさ
小難しい事は考えずに行き当たりばったりで楽しんで行こうぜ」
サターニャ「その通り!!試練って言うんだったら、ありのままの私達で挑戦しようじゃない」
ラフィエル「その意気込みで挑戦して、いつもテストの点が赤点のサターニャさんに言われると少し景気が悪いんですけどねー」
サターニャ「なんですって!」
ガヴリール「冷静に考えたらその台詞、赤点取るやつのじょうとう句だもんな」
サターニャ「あ、あれは私の数々の悪魔的行為に恐れをなした学校側の陰謀で、私の解らない問題だけを厳選したテストが毎回出されているのよ」
ガヴリール「へー」ニヤニヤ
サターニャ「本当よ、全部人間達の陰謀なんだからっ!!」
ラフィエル「本当にサターニャさんのテストの点が陰謀だったらいいんですけどねー」げんなり
ガヴリール「なー」
ヴィーネ「ふふふ」
サターニャ「うぬぬぬ…」赤面
〜〜〜〜〜〜
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/11/18(土) 23:47:29.32 ID:92Wois6p0
ダンジョン奥部
大量のモンスターとボスモンスターから逃亡中
ヴィーネ「やっぱり事前に情報を集めるべきだったわ〜(泣)」
ラフィエル「まさかサターニャさんがダンジョンの全てのトラップに引っかかって
その上、入り口からこのラスボス部屋までの敵全てをトレインして来るなんて誰にも解りませんよ(半ギレ)」
ガヴリール「本当にな!!!(本気ギレ)」
サターニャ「ぎゃー、ラフィエル!!トレインって一体なんなのよ!?」
ラフィエル「トレインとは、一人のプレイヤーが複数のモンスターのターゲットを取った状態で戦闘をせず、そのまま移動する状態の事を指します」
ラフィエル「このトレインは他プレイヤーからすると とんでもない迷惑行為なので、基本的にトレインは控える事が基本的なゲームマナーとされています」
サターニャ「まさに今の私って訳ね、意識しなくても他人に迷惑をかけるだなんて流石私!!ナイス大悪魔ね!!」なーっはははは
ヴィーネ「サターニャ、アンタは少し反省しなさい!!」
サターニャ「はい……」しゅん
ラフィエル「ガヴちゃんこの状況一体どうすれば良いんでしょうか?」
ガヴリール「わかんねーよ!!ダンジョン中の敵どころかボスモンスターにも追いかけ回されてるんだぞ!?こんなの一気にどうにか出来る訳ないだろ!!!」
ラフィエル「ですよねー」
ガヴリール「とはいえ、このまま逃げ続けていてもジリ貧だ。逃げつつ少しずつでもいいから敵を減らしていくぞ」
32 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/11/18(土) 23:54:52.95 ID:92Wois6p0
ガヴリール「《インパクト・アロー》」
一度足を止めたガヴリールがアクションスキルを用いた最大攻撃を雑魚モンスター大群の中心に撃ち込む
ガヴリール「今だ!!」
サターニャ「はあ!!」大剣を振り下ろす
ラフィエル「えい!」片手棍でなぎ払う
二人はガヴリールの攻撃から逃れ、なお追跡してくるモンスターを的確に攻撃していく
そして
ヴィーネ「《アクアバレット》」杖から無数の氷の弾丸を撃ち放つ
三人が行動している間に魔法の詠唱を終えたヴィーネの追い討ちでモンスター達に確実なトドメをさす
ガヴリール「よし!全員、撤退!!」
一同「「了解」」
再びモンスターの大群に背を向け走り出す四人
ヴィーネ「これなら何とか敵を減らせそうね」
ラフィエル「問題は後何回これを繰り返す事になるのか、それとボスモンスターの対応ですね、しかし……」
サターニャ「あんな連携を何回も完璧にこなすなんて無理よ」
ガヴリール「ボスモンスターも私達が手を出すまで黙って雑魚退治させてくれるとは限らないし…
状況は相変わらず悪いままか」
ラフィエル「ですね」
サターニャ「ここで全員やられちゃったら、デスペナルティで装備全損して知らない町で無一文よ」
ガヴリール「ちょ、サターニャ!なに縁起の悪い事言ってんだよ!!
デスペナは全装備ドロップであって無くなる訳じゃないだろ!」
サターニャ「こんな所で落としたら、装備もアイテムも無しの私達が回収なんて出来る訳ないんだから全損であってるでしょ!」
ガヴリール「それは確かにその通りなんだが、みんな今まで勘付いていたけど知らないフリしてた事を敢えて口にするとかお前マジ空気読めよ!」
サターニャ「え、そうだったの!?ごめんなさい」
ガヴリール「こんなアホのせいでみんな全滅とか本気で嫌過ぎる!!」
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/19(日) 00:38:40.11 ID:XfeepnqD0
続き待ってたよ
34 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/12/18(月) 05:48:53.91 ID:Z5U/2SAl0
サターニャ「にぎゃー、敵の魔法で炎が服に燃え移ったぁー!!!」ドタバタ
ラフィエル「サターニャさん私にも燃えうつるので近づかないで貰えませんかね!?」
サターニャ「ぎゃってぇ!!」
ガヴリール「おい、サターニャ!ポーションを掛けて消してみるから今の速度を保ちつつ後ろ向きで走れ!」
サターニャ「そんな事出来るわけないでしょ!バカ!!」
ガヴリール「誰が馬鹿だとこのポンコツ!それなら次は水のブレスを吐く敵の攻撃でも受けとけばいいんじゃないの」
サターニャ「あんた絶対テキトー言ってるでしょ!!」
ガヴリール「こっちだって逃げるので精一杯なんだよ!!」
ラフィエル「二人ともこんな所でケンカしないで下さい」
ラフィエル「あぁこの状況打開する方法はないのでしょうか……」
ヴィーネ「私、一応……当てがあるにはあるわよ?」
「本当に!?」「マジか!?」「あるんですか!?」
ヴィーネ「まだちゃんと試した事のない手だから自信はないけど、多分どうにかなるはず……」
35 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/12/18(月) 05:53:20.97 ID:Z5U/2SAl0
ラフィエル「自信が無くても策があるだけマシですよ、すぐに実行しましょう」
ガヴリール「だな、ヴィーネが一体何をするつもりか知らないけど、もうそれしか当てがない」
サターニャ「ちょっとガヴリール!!敵の水ブレスを受けたらHPがもう三割になっちゃったじゃないどうしてくれるのよ!!!」
ガヴリール「あんな冗談マジで実行する馬鹿がいるかよ!!」
サターニャ「なんですってぇ!!」
ガヴリール「ってこんなコントしてる場合じゃないんだよ、ヴィーネその秘策とやらは一体何をするんだ?出来れば早くして欲しいんだけど」
ヴィーネ「じゃあ詳しい事は省いて説明するからちゃんと聞いてね」
ストレージからアイテムを呼び出しながら
ガヴリール「おう」
ヴィーネ「今から私があのボスを倒してくるから後の敵はみんながやっつけて!!!」
「「「はあ!?」」」
サターニャ「ボスをあんた一人でって、そんな事出来るわけないでしょ!!」
ラフィエル「大規模魔法などを使えばあるいは…しかしヴィーネさん今はそんな魔法を詠唱する時間はありませんよ!?」
ガヴリール「でもボスさえどうにかなればワンチャンあるのも確かだ」
ガヴリール「ヴィーネが何をするつもりかわからないけど頼む!!もうお前しか頼りが居ない」
ヴィーネ「任せてガヴ」
ヴィーネ「私がなんとかしてみせるから!」
ヴィーネが足を止め、武器を構え襲い掛かるモンスターの軍勢に立ちはだかる
そして世界は暗転する……
36 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/12/18(月) 05:56:35.46 ID:Z5U/2SAl0
第14章『眠り姫』
時は一週間前に遡って
ヴィーネ、ゲーム開始から2日目……深い森のフィールドにて
謎の爽やか系イケメンプレイヤー「大丈夫かい?」
ヴィーネ「え、えっと…はい」きょとん
謎のイケメン「それは良かったよ。少しマイナーなフィールドでアイテム採取をしていたら初心者らしきプレイヤーである君が一人でモンスターに襲われていたからね」
謎のイケメン「余計なお節介とは思いつつもつい助けてしまったという訳さ」
ヴィーネ「ありがとうございます」
謎のイケメン「いやいや、こちらこそ助けられてくれてありがとうだよ」
ヴィーネ「?」
謎のイケメン「こういったゲームではああいう人助けは余り褒められた行為じゃないからねぇ」
ヴィーネ「そうなんですか」
謎のイケメン「人によってはモンスターの横取りと言う解釈をする人も多いんだよ」
ヴィーネ「あー、確かにゲームの世界だとそう言う考え方も出来ますね」
謎のイケメン「それにこの始まりの町付近には少し有名なハイエナプレイヤーがいたりしてね。
そのせいもあってこの辺の人はみんな疑心暗鬼と言う事もあるのさ、君も狩をする時は気をつけた方がいいよ」
ヴィーネ「そ、そうなんですか、そんな酷い人が…今度から気をつけますね、あははは」目そらし
謎のイケメン「だから普段は余りあんな風に襲われている人を助けてもあまり感謝されないという訳さ」
ヴィーネ「それは残念ですね」
謎のイケメン「まあ、私も感謝されたくて人助けしてる訳じゃないんだけどねぇ。つい困っている人を見ると身体が勝手に動くというかなんというのかね」ははは
謎のイケメン「悪い癖なのかな」
ヴィーネ「そんな事ないですよ。実際はどうあれ人助けの心を常に持っているのはいい事だと思いますよ」
謎のイケメン「そう言って貰えると嬉しいよ」
37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/12/18(月) 06:00:01.06 ID:Z5U/2SAl0
ヴィーネ「えっと、改めてありがとうございます。危ない所を助けてもらって本当に助かりました」
謎のイケメン「ははは、そうかいそうかいそれは良かった。
なら一度助けてしまったついでに君を近くの村まで送ってあげよう。なにせこの辺りのモンスターはレベルが異様に高いからねぇ」
ヴィーネ「そこまでして貰って本当に良いんですか?もちろん私は助かりますが…でも貴方の負担になったりは……」
謎のイケメン「大丈夫だよ。ちょっとした暇つぶし程度にこの人気の少ないフィールドに来ただけだし負担だなんて事は全然ないさ平気だよ」
ヴィーネ「それじゃあお言葉に甘えてよろしくお願いします。
私のプレイヤーネームはVignette、昨日からこのゲームを始めたばかりの初心者です」
謎のイケメン「ああ、そういえばまだ自己紹介をして居なかったねぇ。
私の名前はMaster しがない通りすがりのプレイヤーだよ。名前は好きなように呼んでおくれ」
ヴィーネ「ならマスターさんと呼ばせて貰いますね。マスターさん」
マスター「そうかい、それなら私は君の事をヴィネットくんとでも呼ばせて貰おうかな」
ヴィーネ「よろしくお願いします」ぺこり
マスター「こちらこそだよ」
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