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◆Xz5sQ/W/66
[sage saga]:2018/01/21(日) 18:58:25.41 ID:kNu55X8Eo
翌日、村の広場には騎士団員たちが集っていた。
宿から現れたチヅルを見つけ、隊員たちを整列させていたロコが走って来る。
「マスター、カレンはしばらくこの村に残るそうです。
魔除けの香や傷薬などで、村をアシストしたいと言ってました」
「……そうか、しかし残念だな。彼女とは旅の途中で出会った仲だが、街まで来れば相応の報酬も出るだろうに」
そうしてチヅルは彼女が近くにいないかと、辺りにカレンの姿を捜してからこう続けた。
「だが、無理強いするのも良くないか。人の為に何かをしたいという遺志を、尊重するのもまた騎士道」
「だったらカレンへの報酬は、ロコが代わりに受け取るなんてのは――」
「調子に乗るな、コイツめ。……皆の用意は?」
「バッチリです!」
団長であるチヅルを先頭にして騎士団が村を後にする。
村人たちは一行に感謝と祝福の言葉を投げ、彼女たちも堂々とした行進でそれに応えるのであった。
また、一方では村を見下ろせる丘の上の花畑からその様子を眺めていた者もいる……カレンだ。
「……とりあえずは、コレで一段落」
呟く彼女の視線は騎士たちに、次いで彼らが帰る先である、遠く辺境の街がある方向へと向けられる。
「カレンめは、無事に一族の役目を果たしました。村人たちの信頼も得て、騎士団にもそれなりの功と傷を……」
呟きが人の耳に届くことは無く。ただ風に撫でられた花びらが舞うと、まるで霧に溶けるようにカレンの姿は見えなくなり、
後にはくすくすと鈴を転がすような笑い声が、揺れる花たちの間に響くだけであった。
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