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川崎「あ……あたしと付き合ってくんない?」 八幡「!?」
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36 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/24(日) 15:54:03.27 ID:3xn1U7prO
クソスレ立てんな
糞八幡豚
37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/24(日) 17:40:03.30 ID:gYW6NLGs0
俺ガイルスレは変なの湧くこと多いけど完結させてくれ
38 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/24(日) 19:20:15.30 ID:lkwuHhOgO
乙
晩飯は済んだだろ
続きを早く頼む
39 :
◆hr9g98PXaA
:2017/09/24(日) 22:52:12.39 ID:wUmnEHnQO
[奉仕部部室]
八幡(あれから何回かデートしたが……)
八幡(ヤバいな川崎超可愛い……)
八幡(今更ながらパンツを見てしまったことが申しわけなくて発狂しそうになる……)
八幡「あ゛あ゛ぁ……」
雪ノ下「……その死にかけた鳥のような声を出すのはやめてくれないかしら。腐敗した空気が充満するのだけれど」
八幡「……はいはい」
由比ヶ浜「……そういえばヒッキー。最近部活来る頻度減ったよね。何かあった?」
八幡「まぁ…………」
八幡(変に隠すと勘繰られそうだ)
八幡「……あった」
雪ノ下「(ジッ)」
由比ヶ浜「(ジーッ)」
八幡「……なんだよ」
40 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 22:54:17.36 ID:wUmnEHnQO
雪ノ下「会話の流れから、あなたにあったその『何か』を話すっていうのがわからないのかしら?」
雪ノ下「それだからコミュ障と呼ばれるのよ」
八幡「お前にだけは言われたくねぇなそれ……」
由比ヶ浜「それで、なにがあったの?」
由比ヶ浜「話したくないならいいんだけどさ……」
八幡(絶対に話したくねぇけど話さないと空気が悪くなる空気になってんじゃん)
八幡「…………」
八幡(心拍数がっ……。プレッシャーが大きすぎる)
八幡(話すべきなんだろうか……いやしかし……)
八幡(う…………)
扉「ガラガラッ!」
平塚「失礼」
雪ノ下「先生、入る前にノックを……」
平塚「あー悪い。次からは気をつけよう」
八幡「それで何の用ですか……」
平塚「進行についてさ」
41 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 22:57:24.91 ID:wUmnEHnQO
八幡「……」
雪ノ下「……」
由比ヶ浜「……」
平塚「どうやら、この頃様子がおかしい」
八幡「ですね。そのせいでこっちは2連勤っすよ」
雪ノ下「そうですよ先生。これでは学業に支障が……」
平塚「……冗談はいい。比企谷、お前はどう考えている」
八幡「……また、来るんじゃないですかね。あれが」
八幡「というか、そっちである程度予測できてるんじゃないですか?」
平塚「ああ」
平塚「昨日はフランスで5等級が出現した」
由比ヶ浜「えっ、そんな……また……」
雪ノ下「それは……予兆なんでしょうか」
平塚「おそらくな。上もそう考えている」
八幡「…………俺らは学校を続けてても大丈夫なんですか?」
由比ヶ浜「先生……」
平塚「問題ないさ」
平塚「……………………今の所はな」
由比ヶ浜「…………そうですか」
平塚「また何かあれば報告に来る。ではな」
42 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 22:58:31.12 ID:wUmnEHnQO
[廊下]
平塚「(スタスタ)」
平塚「……盗み聞きはよくないぞ」
平塚「…………川崎」
川崎「(ビクッ)」
川崎(物音も立ててないし、こっちも見てないのになんで……)
川崎(部室の外から聞いてたけどさっきの会話って一体……)
43 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:00:19.57 ID:wUmnEHnQO
[デパート]
川崎「これ、似合う……かな」
八幡「……そうだな、それの白なら似合いそう」
川崎「こっち?」
八幡「うん。そっちの方がいい」
川崎「じゃこれにする……」
八幡「おう」
川崎(……服選び真面目にやってくれてる……」
川崎(なんだろ……ただ買い物してるだけなのに楽しい……)
川崎「服はこのくらいでいいかな。会計してくる」
八幡「ああ俺が出すよ」
川崎「いっ、いいよ。これくらいは……」
八幡「遠慮しなくていいぞ。ブラックな代わりに高給なバイトしてるから」
川崎「いや、でも……」
八幡「俺の金の使い道なんて本とか日用品くらいだし、勝手に溜まってくんだよ」
八幡「どうせ金使うなら有意義に使いたいからさ」
44 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:02:30.38 ID:wUmnEHnQO
川崎「ありがと……///」
川崎(あたしの家計を考えてくれてるんだよね……)
川崎(申し訳ない気もするけどそれ以上に嬉しい……)
川崎「次は……書店?」
八幡「ああ。行こうか」
川崎「うん」
八幡「うわマジか」
川崎「なに?」
八幡「あれ……」
川崎(あれは……クラスメイトの葉山と……その囲い。こっちに向かって歩いてきてる)
川崎(それなりに離れてるのに戸部がうるさくてここまで声が聞こえる……)
八幡「戸部の声でかすぎだろ……」
川崎「確かに……」
八幡「どうするここは一本道だから引き返すか……? いや、逆を向いても後ろ姿でバレるな……」
川崎(後ろ姿でバレる?)
川崎(ああそっか。あたしくらい髪長い子ってそんないないし、髪色も特徴あるから……)
川崎「それなら道戻った方がマシなんじゃない?」
45 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:04:00.22 ID:wUmnEHnQO
八幡「…………いや、俺に考えがある。そのまま進むぞ」
川崎「……わかった」
八幡「(ジーッ)」
川崎(葉山をガン見してる。どういう意図?)
八幡「(ジーッ)」
川崎(どんどん近づいてくる……。道幅もそんなにないからすれ違ったら確実に見られる……)
八幡「(ジーッ)」
川崎(なにを狙ってるの……?)
八幡「(ジーッ)」
葉山「(チラッ)。(ジッ…………)」
川崎(葉山が気づいた……。めっちゃ見てる)
川崎(あれ、葉山が戸部たちに声をかけて引き返してく……)
川崎(???)
46 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:05:27.77 ID:wUmnEHnQO
八幡「さすが葉山だぜ……」
川崎「今のは?」
八幡「葉山に察させたんだよ」
八幡「あいつなら俺たちの状況を見て、引き返してくれると思った」
川崎「それは……戸部たちがあたしたちに絡むことを避けて?」
八幡「ああ。俺らと戸部たちが接触することで起こりうる諸々の問題を導き出して、それを回避したんだ」
川崎「そんなことわかるの?」
八幡「あの葉山だぞ?」
川崎「すごい信頼だね……」
川崎(本当にすごい信頼……)
川崎(葉山とこいつ、ほとんど接点がないと思ってたんだけど)
川崎(………………あの信頼関係、羨ましい……かも……)
47 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:07:22.13 ID:wUmnEHnQO
[学校・トイレ]
八幡「(ジャー)」
葉山「ヒキ谷くん。となり失礼するね」
八幡「俺が奥のトイレ使ってんのになんでわざわざ隣に来て、さらに失礼するんだよ」
八幡「失礼だって自覚してんならあと2個は開けてやれよ。ここ以外空いてるだろ」
葉山「…………比企谷。君は川崎さんにあのことを話しているのかい?」
チャック「ジッ」
葉山「(ジャー)」
八幡「………………なんの話だ」
チャック「ジッ」
八幡「(スタスタ)」
蛇口「ジャババ」
葉山「……まさか、俺が気づいてないなんて思ってないだろ」
葉山「………………奉仕部、ね」
葉山「部活というより……部隊、じゃないかい?」
八幡「お前ッ!」
48 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:09:19.58 ID:wUmnEHnQO
葉山「別にそのことについて口出しするつもりはないし、口外もしない」
チャック「ジッ」
葉山「(スタスタ)……、君は選べるかい?」
葉山「民衆の命と、川崎さんのどちらかを」
水道「ジャバジャバ」
八幡「……葉山……どういうつもりだ………………」
葉山「学校でそんな殺気出さないでくれよ。俺は一般人なんだよ?」
八幡「答えろ。どういうつもりだ」
葉山「…………」
葉山「このまま続けるのなら、川崎さんと別れるべきだ」
葉山「川崎さんをとるなら、辞めるしかない」
葉山「そう言ってるんだよ」
八幡「なんでだよ。そんなのどっちも……」
葉山「……君の……いや、人の手はそこまで大きくない。それだけは覚えておいたほうがいい」
葉山「いつもの君なら、よく見えていたはずなんだけど(スタスタスタ)」
葉山「…………選択を強いられた時、もし君が彼女を選ばなかったら、きっと君が持っているその感情は──」
八幡「……………………」
49 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:11:02.36 ID:wUmnEHnQO
[水族館]
八幡「うわこの魚、目が死んでる」
川崎「ちょっとあんたに似てるかも」
八幡「どこがだよ」
川崎「目」
八幡「……」
川崎「お土産とか買う?」
八幡「そうだな。記念に買ってくか」
携帯「ピピッ!」
八幡「!!」
50 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:11:55.02 ID:wUmnEHnQO
川崎「ッ」
川崎(なに……めっちゃ怖い顔してる……)
八幡「………………」
八幡「川崎」
川崎「どっ、どうしたの?」
八幡「マジで悪い。急用が入った……」
川崎「……そうなの?」
八幡「本当にすまん。ちょっと行ってくる」
川崎「今すぐなの?」
八幡「ああ……」
川崎(かなり深刻そう……。デートの途中だけどこれは仕方ない……か……)
川崎「じゃあ今度埋め合わせよろしく」
八幡「助かる。もう日が沈んでると思うから帰りは気をつけてな」
川崎「……ん。じゃ」
八幡「おう」
51 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:13:31.08 ID:wUmnEHnQO
[比企谷家・八幡の部屋]
川崎「……」
八幡「……」
小町「おにーちゃーん! 行って来まーす!」
八幡「お、おーう!」
川崎(…………どうしよう…………。ついに家来ちゃった……)
川崎(しかも小町ちゃんは今日友達のお家にお泊まり……)
川崎(親が帰宅するかどうなのかわかんないけど……)
川崎(うぅ…………)
川崎(緊張しすぎて頭まわんない……)
八幡「……お茶入れてくる」
川崎「…………うん」
ドア「ガチャ」
52 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:15:58.90 ID:wUmnEHnQO
川崎(も、もしいくとこまでいっちゃったらどうしよう…………)
川崎(最近は手を繋げるようになったけど……キ、キスもまだだし…………)
川崎(あ、あぁ……)
川崎(心臓がバクバクしてる……ん〜〜…………)
八幡「どういうことなんだよ!(ボソッ)」
川崎(電話してるのかな? めちゃくちゃ怒ってるみたいだけど……)
八幡「さすがに生活に支障がですぎだ」
川崎「……」
八幡「俺なしで繋げな……」
八幡「5等っ……んな、国内にか!?」
八幡「………………ああ。……わかってる」
携帯「パタッ」
八幡「………………………………」
八幡「くそっ……………………………………」
川崎「……」
八幡「(スタスタスタ)」
ドア「ガチャ」
八幡「……………………川崎」
53 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:17:13.67 ID:wUmnEHnQO
川崎「…………どうしたの?」
八幡「親が帰ってくるっぽい……」
川崎「あ……。……じゃ出たほうがいい、よね」
八幡「ああ。マジですまん……(バッ)」
川崎「あっ、頭下げなくても……!」
八幡「ほんとに……最近こんなことばっかで…………すまん」
川崎「……いいよそんなの気にしなくても」
八幡「……ありがとう」
八幡「送るわ」
川崎「うん……」
54 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:18:36.30 ID:wUmnEHnQO
[夕方・公園]
川崎「すごい……」
川崎(夕日が海と空を赤く染めながら水平線に
沈んでいってる。ほんとに絶景って感じ)
川崎(休みの日に遠出した価値はある)
川崎(時間がゆっくり進んでる……)
八幡「人も全然いなくてよかった。ベンチもちょうど西向きだし」
川崎「そだね……」
八幡「…………」
川崎(すごくいいムード……)
川崎「(ワクワク……)」
八幡「…………川崎」
川崎「……ッ。なに?///」
八幡「……お前には話さなくちゃいけないことがある」
55 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:19:45.17 ID:wUmnEHnQO
川崎(……そんな感じじゃないみたい。とってもシリアスな声……)
川崎「……なに?」
八幡「…………大進行って、知ってるよな」
川崎(いきなり!?)
川崎「……うん。知ってる」
川崎「…………たしか、ちょうど10年前ぐらいに起きた侵略のこと……で合ってる?」
八幡「そうだ。合ってる。」
八幡「約10年前に、世界各地で謎の生命体が発見されたんだ」
八幡「仮に奴らのことをメンシュハイトって名で呼んでる」
八幡「メンシュハイトは有機物だろうが無機物だろうが関係なく、無差別に周囲を破壊する」
八幡「あいつらは10年のあの日以来、日本では観測されていない……ことになってる」
川崎「海に囲まれてるからって話だったね。オーストラリアには出てるんだけどね……」
56 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:21:38.39 ID:wUmnEHnQO
八幡「そうなんだ。でも、海で囲まれてるからメンシュハイトが現れないなんてことはない」
川崎「日本にもそいつらが出てるってこと?」
八幡「…………そういうことだ」
八幡「あの日以来、人類は奴らと戦い続けてる」
八幡「もちろん日本も例外じゃない。あの日から奴らの侵略が止まったことなんて一度もない」
八幡「毎日必ず、世界のどこかに現れている」
川崎「なんであんたがそんなことを……」
八幡「メンシュハイトは祈って消えてくれるもんじゃない。話し合いで破壊をやめてくれはしない」
八幡「武力で圧するしかないんだ」
川崎「………………もしかして」
八幡「……俺は防衛軍に所属してる」
八幡「国民にバレることなく、秘密裏に奴らを始末しているんだ」
57 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:23:20.99 ID:wUmnEHnQO
川崎(これは本当の話? まさかこいつがこんな嘘をつくとは思えないし……)
川崎(でもにわかには信じきれない……)
八幡「信じられないのもわかる。俺だって唐突にこんなこと話されたら何言ってんだって思う」
八幡「最近、メンシュハイトの出現率が上がってきて、さすがに国も誤魔化しきれないレベルだ」
八幡「近いうちに少しずつ情報が解禁されるだろうな」
八幡「だからそれを直接自分の目で見るまではこんな突飛な話は信じなくてもいい」
川崎「…………うん。でもなんであんたが? 高校生なんかより………………きちんと訓練された軍人の方がいいんじゃないの?」
58 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:24:47.97 ID:wUmnEHnQO
八幡「…………奴らに対抗する手段としてもっとも有効なのが、奴ら自身を素材にして造られた専用の武器だ」
八幡「それは……まあ平たく言えば使用者のエネルギーを消費して力を増す」
八幡「そのエネルギーってやつはゼイレって呼ばれてるんだが、若ければ若いほどゼイレの貯蓄量は高い。だけど、若すぎるとコントロールができずに暴発する」
八幡「でもそのゼイレってのは、大抵の人間が20歳を迎える前あたりから、目に見えて減少していくんだ」
八幡「そこで、若すぎず、衰えすぎずの年代の『中学校後半から大学生前半』が主力として集められてる」
八幡「もちろんガキよりプロの手腕って思うだろうが、そんなテクニックを軽く超越しちまうパワーがある」
八幡「とまあこんな理由だ……。俺以外にも学校に数人防衛軍のやつがいる」
59 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:25:53.50 ID:wUmnEHnQO
川崎「えっ、そうなの?」
八幡「ああ。今の時代、誰が防衛軍になってもおかしくない」
八幡「……そんなことより」
八幡「俺が今までデートすっぽかしたのはほとんどこれのせいだ」
八幡「だから許してくれなんて言わないけど、それを伝えておきたかった」
八幡「ほんとにごめん」
川崎「……いいよ。けどさ、その話聞く感じ、あたしたちの会う時間はどんどんなくなってくってことだよね?」
八幡「そうなる……」
川崎「…………そっか」
60 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:35:55.40 ID:wUmnEHnQO
[川崎家]
川崎「ただいまー……」
大志「姉ちゃん! ヤバいよ! マジでヤバい!」
川崎「? どうしたの?」
大志「メンシュハイトが日本にも出るかもしれないんだって!」
川崎「えっ!?」
大志「日本には10年前の大進行のときに一回出たきり現れたことねえのに……」
大志「国が、突然街中にメンシュハイトが出たときに、逃げこめる施設とか作ってくらしい」
川崎(あいつ…………本当に…………)
61 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:38:04.63 ID:wUmnEHnQO
[学校・放課後]
八幡「川崎」
川崎「(コクッ……)」
川崎(ここ数週間はデートする回数が一気に減ったなぁ)
川崎(こいつも気にしてるみたいで、下校だけはほぼ毎回一緒に帰ってくれてる)
川崎「時間ある?」
八幡「今のところは。またいつ呼び出されるかわからん」
川崎「そっか……じゃあアイスクリーム屋に寄るだけなら大丈夫、かな?」
八幡「それくらいなら全然余裕だろ」
川崎「良かった///」
川崎「じゃああっちの方にあるから行こっ」
八幡「おう」
八幡「その店ってどんなアイス売って──」
携帯「ピピッ!」
──ズドン!
──ドン!
62 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:39:30.91 ID:wUmnEHnQO
川崎(爆発!? 地面が揺れてる……)
八幡「大丈夫か!(ガバッ)」
川崎「あ、ありがと……///」
八幡「やっべぇ…………」
川崎「…………もしかして……」
八幡「……メンシュハイトだ」
63 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:40:46.89 ID:wUmnEHnQO
[商店街近く]
八幡「おら!(シュッ)」
メンシュハイト「がっ!」
八幡(メンシュハイトは人型だ。初めて見る人間にはあまり殺している場面を見られたくはないが……)
八幡「どんだけ湧いて出るんだっ」
川崎「こ、こいつらがメンシュハイト……。生で初めて見た……」
八幡「見てて気持ちいもんじゃねぇからあんま見ないようにしろよ」
川崎「うん……」
八幡(緊急用の組み立て式簡易装備で戦ってるが、正直これがどのくらい持つのかわからない)
八幡(銃があれば川崎を安全に守れたんだが、あいにく剣タイプのものしか持ってない)
八幡(そこまでしっかり作られたものじゃないから、早めに支部に行って装備の交換と川崎の安全を確保しないと……)
64 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:42:08.57 ID:wUmnEHnQO
八幡(しかし……)
八幡「ふっ!」
メンシュ「ぐぅっ……!」
八幡(もともとこいつらは日が沈んでから出てくるもんだ)
八幡(でも今日はなぜか日があるのに出てくる)
八幡(それどころかいつもの数十倍近くが出現している……)
八幡(明らかに異常だ)
八幡(いつ5等級以上が現れてもおかしくない……。早く川崎を退避させないと……)
八幡「川崎、今から防衛軍の支部に向かう」
川崎「わ、わかった」
八幡「ここからだとけっこうあるから……すこし辛抱してくれ」
川崎「(コクッ……)」
メンシュ「(バッ!)」
八幡「またかっ!(ザッ!)」
メンシュ「ぐっ……く…………」
65 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:45:12.02 ID:wUmnEHnQO
八幡(こんな数じゃ死体の処理もまともにできねぇ……)
八幡(国中が……パニックになる)
66 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:46:42.70 ID:wUmnEHnQO
[防衛軍基地支部前]
八幡「はぁ………………はぁ………………」
八幡(ろくな装備無しに戦ったせいでボロボロだ……)
八幡「(チラッ)」
川崎「すーっ…………すーっ…………」
八幡(怪我と疲労とストレスでもう寝てるみたいだな)
八幡(川崎に怪我させちまった…………。彼氏失格だ…………)
八幡(…………不謹慎だが…………川崎のおっぱいめっちゃくちゃでかいしやわらけぇ……。確かめたことはないが由比ヶ浜並みにあるんじゃねぇのか)
八幡「……はぁ…………はぁ…………着いた………………」
67 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:48:25.23 ID:wUmnEHnQO
[防衛軍基地支部内部]
隊員「ひ、比企谷くん!? まさかその装備で戦ってたの……?」
八幡「……はい。……平塚隊長も近くにいなかったので武器の補充ができませんでした」
隊員「そうでしたか……。その方は?」
八幡「身内です。すみませんこいつの保護をお願いします」
隊員「了解しました。比企谷くんは休まれますか?」
八幡「いえ、装備を整えてすぐに戦線に戻ります」
隊員「そうですか。助かります」
八幡「そいつのこと、頼みます」
隊員「任せてください! ちょっと、手伝って」
隊員B「うっす」
川崎「…………んっ………………」
68 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:49:38.08 ID:wUmnEHnQO
八幡「川崎!(ダッ)」
八幡「お、おい。支部に着いたぞ、もう大丈夫だ」
川崎「比企谷……」
川崎「へ……? あ…………ここがそうなんだ…………」
八幡「お前はしばらくここで休め。怪我の治療も一緒にしてもらう」
川崎「…………ん。わかった」
川崎「………………あんたは?」
八幡「俺は戻らなくちゃいけない。そもそも戦闘員がすくねぇからな。こんだけの数処理しきれない」
川崎「………………ねぇ…………」
八幡「なんだ」
川崎「…………………………行か、ないで………………」
八幡「……っ!」
八幡「それは……」
隊員「(チラッ)」
隊員B「……(ジッ……)」
69 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:51:38.35 ID:wUmnEHnQO
川崎「……………………ごめん。なんでもない………………」
隊員「比企谷くん……(ボソッ)」
八幡「……………………」
──
『君は選べるかい? 民衆の命と、川崎さんのどちらかを』
『…………選択を強いられた時、もし君が彼女を選ばなかったら、きっと君が持っているその感情は──』
──
葉山『……欺瞞だ』
八幡「……欺瞞、か」
八幡(葉山はこういう状況になる可能性を考え言っていたんだろうか)
八幡(俺は…………)
八幡(この気持ちは、偽りなんかじゃねぇ)
八幡(……たとえそうだとしても、俺には使命がある)
八幡「悪い」
70 :
◆hr9g98PXaA
:2017/09/24(日) 23:53:02.55 ID:wUmnEHnQO
川崎「………………」
八幡「行かなきゃ……」
川崎「………………うん…………」
八幡「(スタスタ……)」
川崎「……気をつけて…………(涙)」
八幡「…………っ」
八幡「(タッタッタッタッタッ)」
八幡「(グッ……)」
八幡(彼氏失格だっ! それどころか、俺は人としても終わってる!)
八幡「くそっ!」
71 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:54:10.69 ID:wUmnEHnQO
続きは明日の夜ごろに…… ほな、また……
72 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/25(月) 02:52:16.77 ID:dz9qZFfpO
あえて言うまい。面白かっ「た」
73 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/25(月) 02:55:31.58 ID:UegY5qMpo
色々気になることはあるけど
進行じゃなくて侵攻なんじゃ?
74 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/25(月) 06:46:03.14 ID:GjO2j2k0o
上等な料理にハチミツをうんたらかんたら
75 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/25(月) 06:49:46.26 ID:6wfJnpev0
乗っ取り?
76 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/25(月) 06:52:00.42 ID:3ZnMU27wO
HACHIMANを書きたかったんや……
77 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/25(月) 06:56:31.24 ID:3ZnMU27wO
>>73
こいつら攻めに来てる訳じゃない(っていう設定)だから侵攻じゃないかなと思って
78 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/25(月) 07:00:58.94 ID:3ZnMU27wO
>>75
違うで けっこう冒頭から進行進行言ってるよ
79 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/25(月) 19:54:09.12 ID:xtD/U4gjO
こうなるのは序盤のニュース番組連打で分かってたことだった
でももしかしたら面白いのかもと思って読んでみた
案の定面白くなかったよ
じゃあね
80 :
◆hr9g98PXaA
:2017/09/25(月) 20:35:42.21 ID:rAQ2h7MRO
[医務室]
川崎(最低だ……あたし……)
川崎(あいつが戦場にいるかどうかで生存者の数は大きく変わるはず……)
川崎(それなのにあたしは身勝手な理由で引きとめようとした……!)
川崎(彼女として……人として失格だ…………)
川崎(あいつは今、命をかけて人を救ってるのに……あたしはただベッドで横になってるだけ……)
川崎(大志たちもどうなってるかわからない。あたしじゃ、この状況で探しに行くこともできない)
川崎「なんでっ、こんな……っ!」
川崎「………………(しゅん)」
川崎「……………………比企谷…………(ボソッ)」
81 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/25(月) 20:37:20.26 ID:rAQ2h7MRO
[避難所]
京華「はーちゃん!」
八幡「よう。久しぶりだなけーちゃん」
京華「さーちゃんはこっち!(グッ)」
京華「(とことこ)」
八幡「おおっ」
八幡(第二次大進行で川崎の家は崩壊してしまった。しかし俺の家は無事)
八幡(あの大進行から一週間が経ったが、いまだ学校が再開されるという兆しはない)
八幡(大進行の影響か、メンシュハイトは不定期に大量発生し、俺ら防衛軍は家に帰ることすらままならない状況だ)
八幡(けど無理やり休みを取って来た。数時間だけだが)
82 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/25(月) 20:38:43.62 ID:rAQ2h7MRO
八幡(それと、同時に世界中で行方不明者が数え切れないほど出ている。今では第一次大進行と呼ぶ10年前の大進行でも、同じように行方不明者は続出した)
八幡(俺の家は、父親が行方不明。母親、小町に怪我はない。カマクラは無事)
八幡(川崎の様子と、彼女の家の状況の確認もしたいがために俺はここに来た)
京華「さーちゃん!」
川崎「……ん、あんた……………………」
八幡「……久しぶり」
83 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/25(月) 20:39:33.85 ID:rAQ2h7MRO
なかなか辛辣やな……
84 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/25(月) 20:40:37.88 ID:rAQ2h7MRO
[避難所付近]
八幡「ちょうどベンチがあるし座ろう」
川崎「……うん」
八幡「…………」
川崎「…………なんであたしがここにいるってわかったの?」
八幡「家に行ったら……その…………」
八幡「……近くの避難場所調べて、家から近いのはここかなと思って」
川崎「そっか……。あんたの家は大丈夫だったの?」
八幡「大丈夫だった。ただ、父親が行方不明だ」
八幡「母親は会社のストレスと、父親のことでショックを受けたせいか病んじまって引きこもってる」
八幡「小町も両親がこれで俺も家にいないから帰るたんびに泣いてる」
八幡「…………大丈夫なのは家だけだったよ」
85 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/25(月) 20:42:07.97 ID:rAQ2h7MRO
川崎「…………ごめん(ボソッ)」
八幡「…………まあ、これから頑張って立ち直るさ」
八幡「………………………………どれどけ時間がかかってもな(ボソッ)」
八幡「お前のとこは?」
川崎「あたしの家族は大丈夫だった。大志が怪我しちゃったけどそれくらい」
八幡「そっか……」
八幡(それは良かった、なんて言えない)
八幡(川崎は家を失っている。家族が健在ならばどうにでもなりはするのだろうが、人生設計は大きく狂い、軌道を戻すにしてもロスは大きい)
八幡(元から歩いていた道は随分と遠ざかってしまったのだ)
八幡「大学……行けんのかな」
川崎「わかんない……」
86 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/25(月) 20:43:20.50 ID:rAQ2h7MRO
八幡「……だよな」
──超思考──
八幡(現在、全世界の学校が休校中だ。なにせ下手に外を歩かせてメンシュハイトに襲われようものなら責任を問われてしまう)
八幡(教師たちは教師たちで、公務員として復興のため色々やらされていて授業どころではない)
八幡(人類には今、被害者しか存在していない)
八幡(だからこそ誰もが団結し、助け合い、抗おうとしている)
八幡(いつか助けられたから、今助ける。いつか助けられるため、今助ける)
八幡(助け合いが連鎖して、互いが強く結びつき、誰もが協力し、共生しながら強く生きている)
八幡(皮肉なことに平和が終わってしまってやっと、人々が求める社会が訪れた)
87 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/25(月) 20:49:39.85 ID:rAQ2h7MRO
八幡(しかし、やはり影はあるものだ)
八幡(助け合いの輪が広がるのと比例するように、犯罪は増えていく。政府の腐敗も露呈していく)
八幡(人の清い光が強くなるほどに、醜い影もまた色を濃くする)
八幡「世の中、うまくいかないもんだな……」
川崎「そう…………だね…………。…………世の中のことを高校生のあんたが語るにはまだ早いと思うけど」
八幡「まぁな」
川崎「…………………………」
川崎「あの…………さ…………」
八幡「なんだ?」
八幡(思いつめたような表情だな。相談事だろうか)
川崎「あたしたち……もう、別れよう」
88 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/25(月) 20:50:30.50 ID:rAQ2h7MRO
八幡「……ッ!? は、なんでだ?」
八幡(んな、なんでいきなり……)
八幡(………………いや、いきなりなんかじゃないのかもしれないな)
八幡(……思い返せば思い当たる節はいくつもあるんだ……)
八幡(だけど…………俺は…………)
八幡(俺は、川崎のことが好きだ)
八幡(初めはそんな意識などなかった。誰かと付き会えれば彼女いない歴史=年齢というレッテルを剥がしとることができるから、なんてくだらない思いがあった)
八幡(だけど今は違う。本当に好きだ。ありえないくらい好きだ)
八幡(誰よりも好きだ。これまでの人生でこんだけ人を好きになったことがないってくらい好きなんだ)
八幡(……だからこそ、選ばなくてはいけない)
八幡(だからこそ、俺は……)
89 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/25(月) 20:51:29.08 ID:rAQ2h7MRO
川崎(心臓がうるさい。プレッシャーがすごすぎる……でも、言わなきゃ……)
川崎「あたしたち……もう、別れよう」
八幡「……ッ!? は、なんでだ?」
川崎(すごく驚いてる……。いきなりだったし仕方ないか……)
八幡「…………」
川崎(…………悩んでる……みたい)
八幡「…………」
川崎(あぁ……心臓がうるさい……。答えなんて最初っからわかってるのになんで緊張してるんだろ……)
八幡「……そうだな」
川崎「(ビクッ)」
90 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/25(月) 20:52:24.61 ID:rAQ2h7MRO
八幡「………………………………その方がいいのかもしれない………………」
川崎「…………………………うん」
川崎「………………じゃ、戻る」
八幡「…………ああ」
川崎「(スタスタスタ)」
川崎「………………ッ」
川崎「(スタスタスタ)」
京華「さーちゃん……?」
川崎「……けーちゃん…………」
京華「…………どうして泣いてるの?」
川崎「えっ……?(ポロポロ)」
川崎「(フキフキ)」
川崎「……なんでもない。暇なの? なんかして遊ぼっか」
京華「んー、はーちゃんと遊んであげる! はーちゃんは?」
川崎「……まだ、外にいるかも」
京華「行ってくる!」
川崎「気をつけてね」
京華「うん!」
91 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/25(月) 20:53:51.66 ID:rAQ2h7MRO
川崎(そっか……)
川崎「(ポロポロ)」
川崎「う…………」
川崎(そっか……あたし…………)
川崎「うっ…………うぅ……ひぐっ…………」
川崎(あいつに、「別れたくない」って、言って欲しかったんだ……)
川崎「……えほっ…………うっ………………」
川崎(あたし、あいつのこと……)
川崎(……本気で好きだったんだ)
92 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/25(月) 20:55:15.16 ID:rAQ2h7MRO
[防衛軍基地支部]
平塚「比企谷、昇進おめでとう」
八幡「どうも。ありがとうございます」
平塚「最近はずいぶんと熱心にメンシュハイトを討伐をしているな」
八幡「……そういう仕事ですから」
八幡「それにメンシュハイトの出現も異様に増えてますし、狩れるだけ狩らないと」
平塚「そうだな。だが他の隊員たちもメンシュハイト狩りには精を出しているんだよ。お前だけがずば抜けてメンシュハイトを[
ピーーー
]ことに執心している」
93 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/25(月) 20:56:01.85 ID:rAQ2h7MRO
八幡「何か問題でも?」
平塚「いや、メンシュハイトが減り、世界が平和に近づくのはいいことだ」
平塚「だが無理をしているように見えるぞ」
八幡「無理なんてしてませんよ」
平塚「そうか……」
平塚「…………なにか」
八幡「……」
平塚「忘れたいことでもあるのか?」
八幡「…………」
八幡「……そうかも、しれないです」
94 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/25(月) 20:58:15.48 ID:rAQ2h7MRO
◇
[防衛軍基地支部・小会議室]
平塚「…………昨夜日の暮れから、オーストラリアにメンシュハイトが大量発生した」
由比ヶ浜「また大量発生ですか……」
雪ノ下「……」
八幡「……」
平塚「ああ、また、だ。だが、今回はこれまでよりも規模が大きい。そして……」
平塚「特異な個体が目撃されている」
雪ノ下「5等級以上は確定なんでしょうか」
八幡「そのレベルならアメリカが軽々始末してくれてそうだけど」
雪ノ下「確かにそうね。……そもそもあの大進行から5等級なんてあちこちで目撃・撃破されているはず。ただ5等級が出ただけで騒いだりはしない…………」
由比ヶ浜「…………もしかして……4等級越えだったり……?」
平塚「今の所詳細は不明なんだ。しかし、その可能性は大いにあるだろう……」
95 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/25(月) 21:00:21.64 ID:rAQ2h7MRO
八幡(等級とはメンシュハイトにつけられたランクだ。種類は6等級から1等級まで用意されており、数が小さくなればなるほどにヤバい)
八幡(普段みるメンシュハイトは6等級。ごく稀に5等級が現れる)
八幡(6から5にかわっただけだが、たった1等級の幅はかなり大きい。マグニチュードとかそのレベルだ)
八幡(人類史で最も手強かったメンシュハイトの等級は3等級。第一次大進行の際に出現したとされる)
八幡(各国が総力を挙げて討ち倒し、世界滅亡は免れた)
八幡(なんでそんな強い奴が1等級じゃないのか。それは、「最悪の事態」を想定しているからだろう)
八幡(テストの返却時に「どうせ低い点数だろうなぁ」なんて予防線を張っておくことで、実際に点数が低かった時のダメージを緩和するあの心理と一緒だろう。知らないけど)
八幡「……もしかして援軍っすか」
平塚「そうだ」
96 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/25(月) 21:01:27.93 ID:rAQ2h7MRO
由比ヶ浜「えー……。4等級がいるかもしれないとこに行くとか……うわぁ…………」
雪ノ下「はぁ……」
平塚「そういうことだ」
八幡「……」
97 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/25(月) 21:03:11.43 ID:rAQ2h7MRO
[オーストラリア北部・森林]
八幡(くそ暑い……。雨降ってないのはいいけど流石にきついぜ……)
八幡(視界は悪いし蒸し暑い。もう装備捨ててぇよ)
八幡(今進んでんのは……150名くらいか。顔合わせの時には200名近くいたから残りは後ろか)
八幡(まず平塚隊の人員が奉仕部だけってなかなか問題だよなぁ。あいつら2人ともバックアップ専門だし、戦闘員とかほぼ俺だけでやってるぞ)
八幡(まあでもあいつらの増幅回路と支援がなきゃろくに立ち回れないんだけどな。マジで三位一体。三人寄れば文殊の知恵)
八幡「なぁ、そっちのバックアップが集まってるとこってどうなってんの?」
雪ノ下『ほとんど本部の管制室ね。緊張感がすごくて呼吸が苦しいくらいだわ』
由比ヶ浜『ほんとだよー。てか外国の人、歳同じくらいなはずなんじゃないの? 大人ばっかだよ』
八幡「それが世界の基準だ。日本人は童顔なんだよ」
雪ノ下『メキシコサラマンダー…………いわゆるウーパールーパーに見られる幼形成熟ね」
由比ヶ浜『え?? どういうこと?』
98 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/25(月) 21:04:32.21 ID:rAQ2h7MRO
八幡「外人が老けてんじゃなくて、日本人の見た目が若いってことだ」
由比ヶ浜『あー、なるほどー』
雪ノ下「言ってること始めと同じじゃない……」
女性の声『────────────!!』
八幡「うわっ!」
八幡(なんだ外国語?)
八幡「どうした!」
由比ヶ浜『あはは、なんかヒッキーの心拍数が安定しすぎてて、緊張感が欠けすぎてるって注意されたっぽい』
八幡「あーなんかモニターをまとめ監視してる人とかか」
八幡「てかなんで言葉わかったんだ?」
雪ノ下『こっちのディスプレイに日本語で送られてきたわ』
八幡「なるほどねぇ……」
八幡「じゃ、気ぃ引き締めて行くか」
由比ヶ浜『うんっ!』
雪ノ下『ええ』
99 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/25(月) 21:06:14.72 ID:rAQ2h7MRO
八幡(あれから何時間経ったんだ……)
雪ノ下『比企谷くん、後方は他の隊員が始末したわ』
八幡「了解! おら!(ザシュッ!)」
メンシュ「ガァァ……!」
メンシュ「ぐっ……うっ!」
由比ヶ浜『やっぱその武器強いねー』
八幡「だよな。全然壊れそうにないし好き放題振れる」
八幡(前に5等級を始末した際に、もっとも貢献した俺の部隊に、報酬でそのメンシュハイトの死体が贈与されたが、マジでラッキーだったわ)
八幡(まぁまず死体を研究してからこっちに渡すって話だったから、しばらくしてようやく届き、そして加工されたのがこの刀)
八幡(他の国でも5等級となると弾丸にして消費するのはもったいないからと、ダガーとか装備の一部に組み込んだりとかしてるらしいしな)
八幡(でもよりによって刀とは……開発部はわかってるぜ……)
八幡(刀をぶん回して無双するのは男のロマンだからなぁ)
100 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/25(月) 21:07:57.14 ID:rAQ2h7MRO
雪ノ下『2時の方向から一体。銃で大丈夫』
八幡「おう。(パンッ)」
メンシュ「ガッ……!(パタッ)」
由比ヶ浜『そろそろ減ったかな』
雪ノ下『前衛部隊はまだ交戦中みたいだけれど、しばらくは落ち着けそうね』
八幡「発生源の中心部には後どのくらいで着くんだ」
由比ヶ浜『今の進軍ペースなら1時間くらいかな』
八幡「了解」
雪ノ下『ん、もう少し進んだ場所に川があるからそこで数分の休憩をとるそうよ』
八幡「あー、川あるわあそこか」
101 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/25(月) 21:09:52.81 ID:rAQ2h7MRO
八幡「ふぅ……」
八幡(やっと休憩か……)
八幡(ここに来るまで交戦ばっかりだったけど、他の国の奴ら強すぎて全然ペースが落ちない)
八幡(俺もだが、みんなほとんど疲労はないみたいだな。これなら異常発生が収まるまで殲滅し尽くせそうだ)
八幡(しかしこいつら、本当に俺と同じくらいの歳かよ……。髭生やしてるやつなんて30代のおっさんにしか見えねぇよ)
由比ヶ浜『ヒッキー!』
雪ノ下『比企谷くん!』
八幡「どうした」
八幡(他の奴らにも連絡が入ったみたいだな。みんな耳に装着した無線の指示を聞いてる」
雪ノ下『ありえないほどのゼイレを保有する個体が観測されたわ! おまけにそちらに接近中』
八幡「なっ!」
由比ヶ浜『これ、平塚隊長の言ってたやつっぽい。……今度はちゃんと観測できてる』
由比ヶ浜『……推定等級は………………2等級……………………』
雪ノ下『………………』
八幡「んなっ……馬鹿な…………」
雪ノ下『…………いま審議が行われているわ。おそらく、すぐに撤退の指示が出されるでしょうね』
由比ヶ浜『だからもう動けるように準備してて!』
八幡「オーケー……」
102 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/25(月) 21:10:53.30 ID:U0qw6ijeO
小町と母親だけじゃ心配な比企谷家に川崎家を受け入れる展開じゃないのを見て読むのをやめました
103 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/25(月) 21:11:47.20 ID:rAQ2h7MRO
八幡(重装備ではないから、2、3個装備を付け直してポーチを装着して……これでいいか)
八幡(ほかの隊員たちも動けるように準備してる。それにさっきまで静かだったのにざわめきが大きい)
八幡(マジで2等級なんてのが来るのか……? 観測機の故障を祈るばかりだ)
影「サーーッ」
八幡「!?」
八幡(今、地面を滑るように影が動いていった……)
八幡「(バッ)」
八幡「……なッ」
八幡「雪ノ下……由比ヶ浜、空に……なにか居る……」
雪ノ下『そんな…………』
由比ヶ浜『うそ………………』
八幡「おい!」
八幡(周りもざわめき出した。ん!? 空の にいた奴が降下してる)
???「(スタッ……)」
八幡「謎の個体、河原の岩に着地した。戦闘態勢に入る……」
104 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/25(月) 21:13:34.12 ID:rAQ2h7MRO
八幡(真っ白な……メンシュハイト? ここからじゃちょっと遠くてやっきり見えない)
八幡(ほかの隊員たちもすでに戦闘態勢に入っている)
八幡(……すげぇ緊張感だ。この場にいる全員が白いメンシュハイトの一挙手一投足を監視している)
雪ノ下『比企谷くん…………こちらのレーダーで追っていた件のメンシュハイトの反応が消失したわ…………』
雪ノ下『……そして、その場所への出現が確認された。推定2等級のメンシュハイト…………』
八幡「……指示は」
雪ノ下『……待機、だそうよ』
由比ヶ浜『……いきなりのことで審議が止まっちゃったみたい……。とりあえず指示が出るまではなるべく動かずその個体を刺激しないようにって』
八幡「了解……」
八幡(全員が銃を向け、息を飲んでいる。ヤバい。鳥の声もしねぇし、風も起きねない。静かすぎで鼓膜の裏から心臓の音が聞こえてくる)
八幡(くっそ……。なるべく動かないようにって、こんな緊張状態何分も続けられねぇよ。早く指示を…………)
男性隊員「はぁッ……はぁッ……」
八幡(なんだあいつ……。わりと近くの男の隊員がめちゃくちゃ震えてる)
105 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/25(月) 21:15:05.41 ID:rAQ2h7MRO
男性隊員「はぁッ……はぁッ(ガチャ)」
八幡(銃を構えなおした……。あいつ呼吸が乱れまくってるが大丈夫か……? 周りにいる同じ部隊は白いメンシュハイトに釘付けで男の体調が悪いことに気づいてない……)
男性隊員「はぁッ……はぁはぁはぁ(ギッ……)」
八幡(人差し指が動いてる……まさか引き金を……!?)
八幡「おい! やめ──」
銃声「パァン!」
八幡「(バッ)」
八幡(着弾……したのか?)
八幡(出血したのかどうかも確認できねぇな)
白メンシュハイト「(チラッ)」
レーザー「ビィィンッ!」
──バキバキバキィッ!
八幡(極大レーザーの攻撃!? ……隣の部隊が森の一部とともに消滅しちまった…………。なんて破壊力だ)
男性の声「うおおおおおお!」
男性の声「ファイァァアアアア!!」
八幡(待機って指示だろうが!)
106 :
◆hr9g98PXaA
[sage saga]:2017/09/25(月) 21:16:40.69 ID:rAQ2h7MRO
八幡(巻き込まれないように伏せておくか(バッ))
──ドドドドドンッ!!
──ビィンッ!!
雪ノ下『比企谷くん!!』
由比ヶ浜『ヒッキー!!』
──バキバキバキバキ!!
──ドドドドドンッ!!
──ビィィィンッ!!
…………
八幡(銃声が減っていく……戦力がジリ貧だ……)
八幡(早く! 早く収まれ!)
レーザー「ビィィン!」
八幡「うおお」
八幡(あ、頭の上をレーザーが横切った……。あっぶねぇ……)
──ドンッ!
八幡「爆発っ!?」
由比ヶ浜『今の(ブチッ)』
107 :
◆hr9g98PXaA
:2017/09/25(月) 21:18:17.57 ID:rAQ2h7MRO
──ヒュー
八幡(よりにもよってメンシュハイトの方に飛ばされてる!)
八幡「(ドサッ!)」
八幡「痛っ……!」
八幡(ああ、これ、ダメな奴だ……。爆発と落下のせいで怪我が……)
八幡「………………あ?(チラッ)」
白メンシュ「(チラッ)」
八幡(女の子……? ほとんど人間と同じ姿じゃないか…………)
八幡(…………こんな女の子を……。場違いな感情なのかもしれないが…………可哀想……だろ…………)
白メンシュ「(スッ……)」
八幡(なんで……そんな………………悲しそうな顔、するんだ……………………(ガクッ))
108 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/25(月) 21:19:54.43 ID:rAQ2h7MRO
続きは明日の夜に……
ほな、また……
109 :
◆hr9g98PXaA
:2017/09/26(火) 20:54:33.89 ID:0DhoCUkQO
[病院]
川崎「はぁ……はぁ……(ダダダッ)」
川崎「はぁ……ここ、か…………」
扉「ガラガラ」
川崎「失礼……します……」
──ピッ……ピッ……ピッ……
八幡「………………」
川崎「あ……あぁ……………………(ポロポロ)(フラフラ)」
八幡「………………」
川崎「ごめんなさい…………(ガクッ)」
川崎「比企谷…………(ぎゅっ)」
110 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/26(火) 20:55:54.19 ID:0DhoCUkQO
川崎(1週間ずっと昏睡状態って聞いたけど……)
川崎(絶対に目を覚ます……よね)
川崎(このままずっと起きないなんてことはないはず)
扉「ガラガラ」
小町「……あ、沙希さん。来てたんですね」
川崎(こいつの妹の……)
川崎「う、うん」
小町「……わざわざありがとうございます(ペコッ)」
川崎「いや、別にそんな……」
小町「…………唐突なんですけど沙希さん」
川崎「な、なに」
小町「結婚とか考えてます?」
111 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/26(火) 20:57:05.71 ID:0DhoCUkQO
川崎(けけけけけけ、結婚?)
川崎(結婚って婚姻のこと……だよね……)
川崎(結婚……なぜ結婚……)
川崎「ま、まぁ一応は……」
小町「そうですか……」
川崎「ど、どうして?」
小町「いえ、なんとなく気になったので」
川崎「そ、そう……」
川崎「(チラッ)」
八幡「………………」
──ピッ……ピッ……ピッ……
川崎(結婚……か……)
小町「(ジッ……)」
川崎「(クルッ)」
小町「(スッ……)」
112 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/26(火) 20:58:39.18 ID:0DhoCUkQO
川崎「お花とか持って来た方がいいよね。あたし急いでたから何も持って来てなくて……」
小町「気にしなくて大丈夫ですよ。お兄ちゃんは交友関係がミジンコの全長より狭いので人が来てくれただけで喜びます」
川崎「そ、そう……」
川崎(言い過ぎじゃない? でもこんな冗談が言い合えるくらい仲がいいってことかな)
川崎(人にはブラコンブラコン言うくせに……)
川崎(というかこいつの話ではちょっと病んでるみたいな感じだったけど……けっこう普通に見える。取り繕ってるだけ……かも知んないけど)
川崎「……いつ頃に目が覚めるかとか……わかんないかな」
小町「それがまったく。体の怪我の方はあと2、3ヶ月はかかるそうですけど」
113 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/26(火) 20:59:41.17 ID:0DhoCUkQO
川崎「そんなに……」
川崎(前線で戦ってるから常に命の危険があるんだ……命があっただけマシなのかもしれない)
小町「じゃ、小町は帰ります。沙希さん、またお兄ちゃんに会いに来てくださいね!」
扉「ガラガラ」
川崎「……うん。また来るよ」
小町「ありがとうございます! それでは!」
扉「ガラガラバタン」
川崎「次来るときは……お花、持って来るから」
八幡「………………」
──ピッ……ピッ……ピッ……
114 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/26(火) 21:01:15.73 ID:0DhoCUkQO
[病院]
八幡「………………」
──ピッ……ピッ……ピッ……
川崎(もうすこしで2週間か……。こいつが戦地で倒れてから3週間になるのかな)
川崎(毎日通ってるけど、一向に目を覚まさない……)
川崎「ねぇ、いつになったら目を覚ますの?」
八幡「………………」
川崎「…………」
川崎「……そういえば今朝はあんたのお母さんが来てたよ」
川崎「すっごく疲れてた。……それに泣いてたよ」
川崎「あんたが早く起きないと、あんたのお母さんも小町ちゃんもつらいよ」
川崎「…………あたしも、つらいんだから……」
八幡「………………」
115 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/26(火) 21:02:32.94 ID:0DhoCUkQO
川崎「……この先、何日も、何週間も、何か月も、何年もこのままなんて…………嫌だよ………………」
川崎「……またいっしょに……デートしたいよ………………」
川崎「もっとたくさんお話ししたいよ…………(ポロポロ)」
川崎「ねぇ…………」
八幡「………………」
──ピッ……ピッ……ピッ……
116 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/26(火) 21:03:40.23 ID:0DhoCUkQO
[川崎家]
川崎「……ただいま」
大志「姉ちゃん!」
川崎「……ん?」
大志「ニュース見た!?」
川崎「いや……」
大志「なんか、インドで1等級のメンシュハイトが出たらしいんだよ!」
川崎「いっ、1等級?」
川崎(最近オーストラリアで、初の2等級が出たって話だったのに……)
川崎(人が勝てる相手なの……?)
117 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/26(火) 21:04:43.06 ID:0DhoCUkQO
[奉仕部部室]
雪ノ下「どうぞ」
紅茶「コトっ」
由比ヶ浜「ありがとゆきのん」
雪ノ下「先生もどうぞ」
紅茶「コトっ」
平塚「悪い」
雪ノ下「(スゥ……)それで、どうして比企谷くんを一般の病院へ? 軍の方で様子を見た方が良かったのではないですか?」
平塚「あいつの家族の状態を考えるとなぁ。あの家族から比企谷まで取り上げてしまったら、もう元どおりにはならないだろうからなぁ」
由比ヶ浜「……ヒッキーのお家でなにか……?」
平塚「………………。父親が行方不。母親は日常生活に支障が出るほど精神を病み、妹も若干病んでしまっている」
平塚「比企谷がいてどうにか形をとどめている」
平塚「寝たきりになってしまって、すこし不安定になっているかもしれないがな……」
118 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/26(火) 21:05:48.67 ID:0DhoCUkQO
由比ヶ浜「そうだったんですか……」
雪ノ下「病室であった時にはそのような素振りはありませんでしたが……」
平塚「比企谷がお前たちに自分の傷を晒したことがあったか?」
雪ノ下「…………」
由比ヶ浜「…………」
平塚「そういう兄弟なんだよ、彼らは」
平塚「それよりも……あいつが欠けてしまって私らの部隊は休暇か……」
由比ヶ浜「いつも使ってる小会議室すら使わせてもらえませんしね……」
雪ノ下「他の機能しない部隊も、無理やり休暇を取らされたようだし……一体なんなのかしら」
由比ヶ浜「他の部隊と統合とかはないんですか? さすがに人手が足りてないのに隊員を休ませるって効率が悪い気がするんですけど……」
119 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/26(火) 21:06:50.69 ID:0DhoCUkQO
平塚「まぁ……上が、防衛軍のブラック化を防ぐために尽力してるんじゃないか?」
平塚「適当に違う環境に放り込んだり、精神をすり減らしているやつの精神をさらに削ったりして、簡単に人を使い潰せないのさ」
平塚「なかなか替えのない仕事だからなぁ」
由比ヶ浜「日本企業の闇が垣間見えちゃった……」
雪ノ下「しかしこれからどうしましょうか……」
由比ヶ浜「なんも仕事させてくれないしねー(ぐだー)」
平塚「そうだな……」
平塚「他の休暇中の部隊は……慰安旅行、鍛錬、復興の手伝いなんかをしているな」
由比ヶ浜「ヒッキーがいないのに慰安旅行はちょっとね」
雪ノ下「鍛錬といっても私たちは戦闘員ではないから適切ではないわね」
平塚「なら、……復興の手伝いだな」
平塚「念のために装備やらは持って行こう」
120 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/26(火) 21:08:10.02 ID:0DhoCUkQO
[テレビ]
ニュースキャスター「インドで出現した推定1等級のメンシュハイトですが、依然として東北東に進み続けています」
ニュースキャスター「このメンシュハイト、ときおり姿を完全に観測できなくなるそうですが、どういったことが起きているのでしょうか」
防衛軍幹部「彼らは異次元からやって来ていると言われています。ですので、元の世界とこちらの世界を彷徨っているのだと考えられます」
防衛軍幹部「他には瞬間移動だとかゼイレ化しているだとか、様々な予想がされています」
防衛軍幹部「しかしながら、決定的な証拠がなく憶測の域を出られません」
ニュースキャスター「そうなんですか……」
ニュースキャスター「それと、このメンシュハイトの進路についてですけれども、もしかすると日本へ到達するのでは、と言われています」
ニュースキャスター「メンシュハイトが海をまたいでやってくることはありえるのでしょうか」
121 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/26(火) 21:09:23.64 ID:0DhoCUkQO
防衛軍幹部「少なくともこれまでの記録で海を越えたということはないです」
防衛軍幹部「ですが、今回出現した推定1等級のメンシュハイトに、私たちの常識がどれだけ通用するのかはわからないです」
防衛軍幹部「メンシュハイトが我が国へ来ることはないなどと無責任に断言することはできません」
防衛軍幹部「国民の皆様は、『もしも』を想定し、近くの避難所や避難経路の確認、そして備蓄もしっかりとしましょう」
ニュースキャスター「はい。といことで、続いてはメンシュハイト襲来の際の対応と、非常食の──」
122 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/26(火) 21:10:10.95 ID:0DhoCUkQO
[テレビ・中国からの中継]
リポーター「な、なんということでしょう!」
リポーター「インドに出現後、ネパールを横断し中国に突入したメンシュハイトですが、中露合同の部隊が壊滅状態に陥りました!」
リポーター「危険区域ギリギリの場所でカメラを回していますが! すぐ近くまでメンシュハイトが来ているのか、轟音と揺れが大きくなっています!」
リポーター「ッ!? あっ、あれは! メン──(ブチッ)」
123 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/26(火) 21:11:01.28 ID:0DhoCUkQO
[テレビ・中国からの中継]
ニュースキャスター「えー、推定1等級のメンシュハイトは中国国土を東へ横断し、日本海へと近づいている状況です」
ニュースキャスター「中国からの応援要請により、各国の防衛軍が中国へ向け──」
124 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/26(火) 21:11:35.14 ID:0DhoCUkQO
[マンション]
平塚『……緊急の召集がかかった。ただちに支部へ来るように』
雪ノ下「…………はい」
125 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/26(火) 21:12:38.52 ID:0DhoCUkQO
[病院]
八幡「………………」
──ピッ……ピッ……ピッ……
由比ヶ浜「……はい。わかりました。すぐに行きます」
川崎「…………結衣、あんた………………」
由比ヶ浜「………………」
由比ヶ浜「…………このトランクケース、ヒッキーの装備が入ってるの(チラッ)」
由比ヶ浜「………………いちおう置いてく。もし……、もしヒッキーの身が危なくなったら……」
川崎「…………あたしが守る」
由比ヶ浜「…………うん」
由比ヶ浜「……それの中に入ってる銃は無理だと思うけど、剣なら使えると思う」
由比ヶ浜「でも、危なくなったらまず逃げて」
由比ヶ浜「……ヒッキーを…………お願い(バッ)」
126 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/26(火) 21:13:44.02 ID:0DhoCUkQO
川崎(あ、頭下げなくても……)
川崎「…………うん」
川崎「…………………………命に代えてもあたしが守る」
由比ヶ浜「………………それじゃっ(ダッダッダッダッ)」
川崎(……結衣、泣いてた……)
川崎(もしかして…………(チラッ)」
八幡「………………」
──ピッ……ピッ……ピッ……
川崎(……そっか………………)
川崎「…………絶対に守るよ」
川崎「あんたがあたしを守り抜いたみたいに……」
川崎「…………今度はあたしの番……だね(ぎゅっ)」
八幡「………………」
川崎「……好きだよ………………八幡……………………」
八幡「………………」
127 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/26(火) 21:14:26.73 ID:0DhoCUkQO
[ ]
八幡(……………………………………)
八幡「………………………………声……………………………………?」
128 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/26(火) 21:15:49.15 ID:0DhoCUkQO
[防衛軍基地本部]
──ガヤガヤガヤガヤ
観測員「メ、メンシュハイトの反応消えました!」
司令官「またか!?」
司令官「……アメリカの軍は捉えていないのか」
観測員B「……どの国の観測機も捉えられていないようです」
海老名「……ヤバいですよーこれかなりヤバいです!」
司令官「どうした!」
海老名「対象のゼイレと思わしき波長がですね…………」
司令官「まさか…………」
──ガヤガヤガヤピタッ……
海老名「……韓国にて……観測されました………………」
海老名「…………数秒後に実体化すると思われます」
司令官「………………いよいよまずい状況になってきたなぁ……(グッ……)」
129 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/26(火) 21:16:46.93 ID:0DhoCUkQO
[病院]
──ビーーーーッビーーーーッ
川崎「な、なに?」
川崎(外から聞こえるけど何かの警報?)
窓「ガラガラッ」
──ビーーーーッビーーーーッ
アナウンス『推定1等級のメンシュハイトが日本に出現しました』
アナウンス『場所は、中国地方、鳥取』
アナウンス『繰り返しお伝えします──』
川崎「あ、ああ……嘘…………」
八幡「………………」
130 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/26(火) 21:17:34.23 ID:0DhoCUkQO
[比企谷家・リビング]
小町「…………(ジーッ)」
アナウンサー『ええ、メンシュハイトは上陸後北上を続け、現在は岐阜県に突入したところです(焦)』
アナウンサー『凄まじい速度で移動を続けています(焦)』
アナウンサー『このまま都心部へ進行する恐れがあり、国は──』
小町「…………(ジーッ)」
131 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/26(火) 21:18:42.14 ID:0DhoCUkQO
[ゲームセンター]
──ガンガンガンガン♪
戸部「っべー! 隼人くん今の警報聞いたっしょ!? アイツ静岡まで来てんだって! これマジで千葉来ちゃうんじゃね!?」
大和「そんな縁起でもないこと言うなよ……」
葉山(姫菜からメール……?)
葉山(ポチポチ……ポチ……)
葉山(「今すぐ避難して!」…………か)
大岡「これって避難とかした方がいいんじゃね?」
戸部「それな!」
大和「さすがに千葉には来ないと思うんだけどなぁ……」
大岡「念のためだって!」
戸部「………………海老名さん今どこいんだろ……(ボソッ)」
葉山「…………」
132 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/26(火) 21:19:40.42 ID:0DhoCUkQO
[防衛軍基地支部]
平塚「まっずいなぁ…………」
雪ノ下「どうされたんですか?」
平塚「静岡の東端でメンシュハイトの反応が消えたそうだ」
由比ヶ浜「ま、まさか………………」
平塚「…………千葉にやって来る可能性がおおいにある」
由比ヶ浜「そ、そんな……」
雪ノ下「わ、私たちはどうしたら……」
平塚「ゼイレの供給要員……くらいだな。比企谷がいないのではそのくらいしかできないだろう……」
由比ヶ浜「ヒッキー…………」
雪ノ下「……比企谷くん……」
133 :
◆hr9g98PXaA
:2017/09/26(火) 21:22:25.00 ID:0DhoCUkQO
[病院]
──ビーーーーッビーーーーッ
アナウンス『推定1等級のメンシュハイトが千葉県に出現しました』
アナウンス『県民の皆様は、落ち着いて、速やかに──』
川崎「そっそんな………………」
川崎「(チラッ)」
八幡「………………」
──ピッ……ピッ……ピッ……
134 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/26(火) 21:25:52.00 ID:0DhoCUkQO
書き溜めてた分は全部投稿したから次から更新の量は少なくなると思う
また明日の夜に…… ほな、また……
135 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/09/26(火) 21:50:22.62 ID:TEgh4lXLO
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