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姫川友紀「その手に掴むもの」
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89 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/14(木) 23:21:26.85 ID:A4BQZlQT0
友紀「誰にだって、隠し事の1つや2つあるって」
涼「で、でも」
友紀「大切なのは、相手を大切に想う気持ちがあるかじゃないかなぁ」
友紀「謝りたいって気持ち、涼ちゃんからはしっかり伝わったよ」
友紀「あたしたち、友だちで、仲間でしょ?」
涼「友紀さん……」
友紀「だったら、気にすることなんて何もないんだよっ」
涼「…良いんですか?」
友紀「うん! 気持ちを真っ直ぐ投げ込んできてくれて、ありがとね涼ちゃん」
90 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/14(木) 23:22:55.26 ID:A4BQZlQT0
涼「……どうしても都合が合わなくて、七海さんと裕美さんには、直接は会えませんでした」
友紀「なら、いつかあたしから言っておくよ」
涼「お願いします」
友紀「…1つだけ、良いかな」
涼「? 何でしょうか」
友紀「その新しい事務所ってさ…、」
91 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/14(木) 23:23:27.22 ID:A4BQZlQT0
友紀「涼ちゃんは、行くの嫌?」
涼「っ!」
友紀「本当はやりたいことがあるのに、仕方なく……とかだったら。それは良くないよね」
友紀「涼ちゃんはそこでちゃんと、やりたいことできる? 心に嘘、ついてない?」
涼「……」
92 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/14(木) 23:24:59.45 ID:A4BQZlQT0
涼「…嫌なんかじゃ、ありませんよ」
涼「むしろ、自分から進んで入りたいと思ったくらいなんです」
友紀「うん」
涼「私、夢がありました。憧れというか、目標というか…」
涼「アイドルになったのも、その夢を叶えるためだったんです」
涼「大変だったけど、自分なりに少しずつ進んできて……あと一歩のところまで来てるんです」
涼「夢を実現させるチャンスが、ようやく転がり込んできたっていうか」
友紀「…それが、その事務所なんだ」
涼「はい。このチャンス、逃す訳にはいかないんです」
93 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/14(木) 23:25:54.23 ID:A4BQZlQT0
涼「……諦めたくない」
友紀「…っ!」
涼「きっとこれからも、辛かったり苦しいことはたくさんあるかもしれない。所詮は、叶わない夢かもしれない」
涼「みんなに受け入れてもらえるか不安もあるけど、それでもやりたいんです!」
涼「夢は、夢じゃ終われないから」
涼「…僕が背負う夢は、もう僕だけのものじゃないから」
94 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/14(木) 23:26:59.81 ID:A4BQZlQT0
友紀「……そっか。なら、大丈夫だね」
涼「心配してくれて、ありがとうございます」
友紀「良いの良いの♪」
友紀「ねえ、涼ちゃん」
涼「はい?」
友紀「……いや、涼っ!」ガシッ
涼「は、はいっ」
涼(右手を、掴まれた)
95 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/14(木) 23:28:20.82 ID:A4BQZlQT0
友紀「…」ギュ
涼「友紀さん?」
友紀「……」ニギニギ
涼(手を調べられている…?)
涼「あ、あの」
友紀「うん。良い手してるね、やっぱり」
涼「へ?」
友紀「大きくて、力強くて、ガッシリしてて……」
96 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/14(木) 23:29:09.79 ID:A4BQZlQT0
友紀「これが…さっき、あたしの…っ」ゴゴゴ
涼「いだ、いだだだ! ちょ、友紀さ……?!」ミシミシ
友紀「……とにかく。立派な手だよ」
友紀「涼の手は、ちゃんと夢を掴める手だ」
涼「そう、でしょうか…あいてて……」
97 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/14(木) 23:30:38.78 ID:A4BQZlQT0
友紀「大丈夫、涼ならできる。きっと叶えられるよ」
友紀「正直で、真っ直ぐで、すっごくいいヤツだもん。涼の頑張りは、きっとみんな見てくれてる!」
涼「はい…」
友紀「それに、アイドル応援団長の、このあたしがついてるんだからね」
涼「…えへ、頼もしいなぁ」
友紀「でしょ〜? へへっ」
98 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/14(木) 23:31:36.90 ID:A4BQZlQT0
友紀「涼の夢、あたしは応援する!」
涼「……ありがとうございます」
友紀「周りの目なんか気にしないで、強気でガンガンかっと飛ばしていけば良いんだよ!」
涼「大事なのは心、ですよね」
友紀「うんうん! 目指せ、アイドル界の二刀流! ってね」
涼(ッ!)
友紀「頑張るんだよ、涼!」
涼「…はいっ」
涼(友紀さん。あなたは、やっぱり……)
99 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/14(木) 23:32:21.58 ID:A4BQZlQT0
――
―
友紀「……もうこんな時間かぁ」
涼「あ…そうですね。日が暮れちゃう」
友紀「そろそろ、あたしも帰って良い頃かな?」
涼「えぇ、きっと」
友紀「今日ぐらいは、事務所でビールもおっけーだよね♪」
涼(昨日も飲んだんじゃあ…)
涼「…帰る前に、Pさんに連絡してみると良いんじゃないでしょうか」
友紀「うん、そうする! 楽しみだなぁ〜」
100 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/14(木) 23:33:16.96 ID:A4BQZlQT0
涼「それじゃあ、私も帰ろうかな」
友紀「……そうだね」
涼「はい」
友紀「今日は、本当にありがとね。涼ちゃん」
涼「……こちらこそ、ありがとうございます。とっても楽しかったです」
友紀「へへっ。武田さんとか、夢子ちゃんにもよろしく」
涼「分かりました。お2人にも、どうかよろしく伝えてください」
友紀「まっかせて!」
101 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/14(木) 23:33:49.76 ID:A4BQZlQT0
涼「では、お元気で」
友紀「またねー♪」フリフリ
涼「また…」
テクテク…
涼「…」
涼「……っ」ピタ
102 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/14(木) 23:34:24.93 ID:A4BQZlQT0
涼「…友紀さん!」クル
友紀「お?」
涼「聞いてください、友紀さん! 私……ううん、」
涼「僕は! これからも、僕の夢を追い続けますっ!」
友紀「!」
103 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/14(木) 23:35:10.36 ID:A4BQZlQT0
涼「何があっても負けません!」
涼「今よりも、もっともっとカッコよくなりたいからっ」
友紀「…うんっ」
涼「夢を諦めた人、見失いかけてる人……そんな、誰かの力になりたいから!」
友紀「うん、うん!」
涼「絶対にあきらめない! 必ず、トップになってみせます!!」
友紀「よく言った!」
涼「だから、見ててください!」
104 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/14(木) 23:36:12.05 ID:A4BQZlQT0
涼「今度は、もっとカッコいい僕として! いつかまた友紀さんに会いに来ます!」
友紀「うんっ!」
涼「その時は! 一緒にキャッチボール、してくれますかーっ?!」
友紀「もっちろん! いつでもおいでー!」
涼「ありがとうございます!」
友紀「待ってるからねー!」ブンブン
涼「それじゃあ!」
友紀「ファイトー! 涼ーーッ!!」
タタタ…
105 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/14(木) 23:36:46.99 ID:A4BQZlQT0
友紀「強い子だな、本当に」
友紀「…」
友紀「手、か」
友紀「良いなあ……」
…pipipipi
106 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/14(木) 23:37:29.28 ID:A4BQZlQT0
pipipi…
友紀「…電話」
友紀「プロデューサーから」
友紀「………」
ピッ
友紀「もしもーし。あ、プロデューサー! お疲れさま」
友紀「そろそろ戻って良いの? ちょうど良かった、今行こうと…」
友紀「…ぅえ、迎えに来る? ……う、うん。そっか…。えっとね、今公園で……」
――
―
107 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/14(木) 23:40:47.75 ID:A4BQZlQT0
《Side Y》
P「…あ、いた」
友紀「おそーい」
P「悪い悪い、ちょっとちひろさんに捕まってな」
友紀「ちひろさん? なんで?」
P「領収書出せって。少しぐらいなら、経費で落とせるかもしれないんだと」
友紀「…なるほど」
108 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/14(木) 23:41:54.97 ID:A4BQZlQT0
友紀「何を買ってたのかなぁ? うん?」
P「いや何って……食べ物とか、飲み物とか」
友紀「ケーキもある?」
P「それは、これから取りに…。もしかして、秋月さんから聞いた?」
友紀「うん! 準備終わるまで帰って来るなって」
P「良かった。ちゃんと会えてたんだな」
友紀「で、ビールはあるの?」
P「お前なぁ…」
友紀「どうなの? ねえねえ!」
P「……500を1本。今日だけな」
友紀「うわーい! やったー!!」
P「どんだけ喜ぶんだよ」
109 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/14(木) 23:42:30.36 ID:A4BQZlQT0
友紀「それを聞いちゃ、うかうかしてられないね! 早く事務所に戻らなきゃ!」タッ
P「あっおい、待てって」
友紀「はやくはやくぅー!」タタタ
P「走ってもビールは逃げないぞー」
P「…って、足はえー……」
110 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/14(木) 23:43:20.84 ID:A4BQZlQT0
――
―
友紀「ケーキだぁ!」
P「ちょっと小さかったか…? 人数分大丈夫かな」
友紀「大丈夫だって! ほら、後は帰るだけだよ!」
P「待て待て、ケーキ持ってるんだから。流石に歩いてだろ」
友紀「……ん、そっか」
P「焦らなくて良いんだよ、ゆっくりで」
友紀「はーい」
111 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/14(木) 23:44:20.31 ID:A4BQZlQT0
P「…げ、もう薄暗い」
友紀「日が暮れるの、早くなったよね」
P「だな。この時間、こないだまではまだ明るかった気がするのに」
友紀「秋だねえ………っくしゅっ」
P「寒い? 上着いるか」
友紀「ううん、平気!」
P「なら良いけど」
友紀「きっと誰かがあたしのウワサしてるんだね。ほら、誕生日だし!」
P「なんだそりゃ」
112 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/14(木) 23:45:15.30 ID:A4BQZlQT0
P「風邪ひくなよ? 涼しくなってきたのは良いけど、薄着じゃもう肌寒いくらいなんだから」
友紀「涼しい…」
友紀「秋の月に涼しい、か。ふふ、この時期にぴったりだね」
P「ん? 月はまだ出てないぞ」
友紀「なんでもなーいよっ」
P「ああそう」
113 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/14(木) 23:46:08.31 ID:A4BQZlQT0
P「…で、ユッキは今日何してたのさ」
友紀「うん、涼と遊びに行ってたんだ!」
P「りょう? ……あぁ、秋月さんか」
友紀「涼もね、明日誕生日なんだって。知ってた?」
P「へぇ。いや、知らなかった」
友紀「2人でプレゼント選んだりしたの!」
P「どうせだったら、うちに寄ってケーキでも食べていけば良かったのに」
友紀「…ううん。明日から、ちょっと忙しいみたいだし」
P「そっか」
114 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/14(木) 23:47:24.77 ID:A4BQZlQT0
友紀「これね、涼から貰ったプレゼント!」
P「おー、リストバンドだ」
友紀「かっこいいでしょ? タオルも貰ったし、早速使っちゃった」
P「似合う似合う。その袋も?」
友紀「これは……自分にプレゼント!」
P「欲張りなやつめ」
友紀「へへへ。プロデューサーは、何をくれるのかなぁ」
P「……あげないって言ったら?」
友紀「FA移籍してやる」
P「大袈裟…」
友紀「誠意は言葉じゃなくってね…」
P「冗談だよ。一応用意してるから、後でな」
友紀「わーい!」
115 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/14(木) 23:48:16.96 ID:A4BQZlQT0
P「それにしても、珍しいね」
友紀「なにが?」
P「名前。呼び捨てにしてるの、初めて聞いた」
友紀「あぁー、そうだねぇ…」
P「秋月さんと何かあったの?」
友紀「……ふふっ。それは、プロデューサーにもナイショ」
P「ふーん?」
友紀「女の子には、秘密があるものなんだよ♪」
116 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/14(木) 23:50:49.39 ID:A4BQZlQT0
P「……何か変なモンでも食ったか」
友紀「どういう意味?!」
P「だって、そんな女子力に溢れた言葉、普段は使わないでしょ」
友紀「あ、ひっどーい! あたしだって正真正銘、花も恥じらう乙女座の女なんだよ?」
P「いや、それは知ってるけど…」
友紀「……ふんっ。今日はいつもより、女の子の気分なだけだし」
P「女の子の気分、ねぇ」
友紀「ふーんだ」
117 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/14(木) 23:51:25.11 ID:A4BQZlQT0
P「なに、少しは女の子扱いした方が良い感じ?」
友紀「…普段はしてないような言い方だね」
P「そんなつもりでもないけどさ」
友紀「良いもん、どうせあたしなんか」
P「なんなら、手ぇぐらい繋いでやろうかなって」
友紀「……っ」
118 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/14(木) 23:51:57.39 ID:A4BQZlQT0
P「ははは、なんちゃっ…
キュッ
P「……て?」
119 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/14(木) 23:52:29.21 ID:A4BQZlQT0
友紀「…」
P「あの、ユッキさん?」
友紀「左手、空いてたから」
P「お、おう」
友紀「今日くらい良いでしょ」
P「……別に良いけど」
120 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/14(木) 23:53:10.10 ID:A4BQZlQT0
友紀「…」ニギ
P「…」
友紀「……良いなぁ、男の人の手」ボソ
友紀「あたしも欲しかったなぁ」
友紀「…なーんて」
121 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/14(木) 23:53:48.74 ID:A4BQZlQT0
P「……ほんと、大丈夫かお前」
友紀「…大丈夫だよ」
P「つらいなら、少し休んでいこうか?」
友紀「平気。遊びすぎて、ちょっと疲れちゃっただけだから」
P「疲れてるなら尚更、」
友紀「大丈夫だってば」
P「…そ」
友紀「うん」
122 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/14(木) 23:54:36.91 ID:A4BQZlQT0
P「……まぁ、何があったのかは聞かないけどさ」
友紀「そこは聞いてよぉ」
P「あ、聞いても良いなら聞くぞ」
友紀「あー…やっぱりダメ。ナイショ」
P「どっちだ…」
123 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/14(木) 23:55:48.21 ID:A4BQZlQT0
P「…その、」
友紀「?」
P「何て言うか…アレだ。えーっと」
P「…んん〜〜…」
友紀「な、なに唸ってるの」
P「……よしっ」
124 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/14(木) 23:56:46.96 ID:A4BQZlQT0
P「俺は今から、超恥ずかしい独り言を言います」
友紀「う、うん」
P「できれば、耳を塞いでもらえると助かる」
友紀(手繋いでて塞げないんだけどな)
P「…なんでセンチになってんのかは知らないけど」
P「友紀が女の子で良かったって。俺はずっと思ってるから」
友紀「…へ」
125 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/14(木) 23:57:39.35 ID:A4BQZlQT0
P「男だったら、野球の道に進んでたのかもしれない。もしかしたら今頃、プロで活躍してたりして」
P「でももしそうだったら、今のお前とは会えてなかったし、こうして誕生日祝うなんてこともなかったと思う」
P「俺は今こうして横にいてくれる、女の子の友紀が好きだから。この出会いには感謝してるわけ…」
P「…で、だな……」
友紀「…」
P「……っだぁぁあ恥ずかしい!」
友紀「な、なな…っ、」
126 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/14(木) 23:59:21.98 ID:A4BQZlQT0
P「何だコレめっちゃ恥ずかし……」
友紀「す すすっ、すきって…」
P「…待て、もしかしたら今の超キモかったんじゃないか?」
友紀「あうぅぅぅ……っ」
P「落ち着け俺…。深呼吸、深呼吸」フー
友紀「あ、あたしも。吸ってー……」
P「…なんか、すまん。急に変なこと言って」
友紀「う、ううん…」
P「聞かなかったことにしてくれても、構わないから」
友紀「…」
127 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/15(金) 00:00:21.66 ID:DFI7p8B60
友紀「……ふ、ふーん、そっかそっかぁ」
友紀「プロデューサー、あた、あたしが…す、すきなんだ」
P「いや、ちがっ、お前がってそういうことじゃなくて、」
友紀「…きらい?」
P「…嫌いじゃない」
友紀「じゃあ好きってことだね」
P「いやほら、好きっていうのはだな、お前が男じゃなく女だからというところに係ってるのであって」
友紀「へえ〜、ふーん」
P「話をちゃんと…っ」
友紀「好きかぁ、へぇ…」
P「……もういいやそれで」ハァ
128 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/15(金) 00:00:56.36 ID:DFI7p8B60
P「だから耳塞げって言ったんだ…」
友紀「いやぁ〜聞いちゃったものはねぇ」
友紀(女の子で良かった、だって)
友紀「ふふ。そっかぁ」
友紀「……うん、ありがと。えへへっ」
P「…おう」
129 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/15(金) 00:01:31.77 ID:DFI7p8B60
P「……なあ」
友紀「んー?」
P「もう手離して良いか」
友紀「なんで?」
P「すげー恥ずかしいから」
友紀「んー…」
友紀「ダメー♪」ダキッ
P「ちょっ」
130 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/15(金) 00:02:03.03 ID:DFI7p8B60
友紀「あたしも、プロデューサーのこと好きだよっ!」
P「だから、そういう意味じゃ」
友紀「あたしのはそういう意味だから!」グイ
P「どういう……っておい引っ張んな、危ないから!」
友紀「ぎゅーっ」
P「力強すぎだろ! 放せっ」
131 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/15(金) 00:02:42.64 ID:DFI7p8B60
友紀(……公園で待っている間、ずっと考えていたことがある)
友紀(涼の手が、夢を掴む手なら。あたしの手は何のためにあるんだろう、って)
友紀「ね、プロデューサー。聞いて?」
P「聞くけど…これ、歩き辛くない?」
友紀「つらくない!」
友紀(今ちょっとだけ、その答えが分かった気がするよ)
132 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/15(金) 00:03:59.61 ID:DFI7p8B60
友紀「あたしさ、野球が好き」
P「お、おう。知ってるけど」
友紀(あたしの手では、どうしても届かなかった夢があって)
友紀「でね? 今はアイドルも好き!」
P「……何だ突然」
友紀「プロデューサーのことも好きだし、ファンも仲間も、みんなまとめて全部大好きだよ!」
友紀(でもだからこそ、今この瞬間がある。だったら…っ)
友紀(だったら。きっとこの手は、好きなものを掴むための手なんじゃないかって。そう思った!)
133 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/15(金) 00:04:50.57 ID:DFI7p8B60
友紀「こうして好きがどんどん増えてくのって、すっごく幸せなことだなって思うんだ」
友紀「プロデューサーに会えて、ほんとに良かったよ! 好きをいっぱいくれて、ありがとね」
P「わかった、分かったから。一旦離れて…」
友紀「放さないっ」ギュ
P「いっだだだっ! 腕もげる!」
友紀(バットにマイク、ビールでもプロデューサーでも、何でもバッチ来いだよ)
友紀(1度掴んだ"好き"……あたしはもう、手放すつもりはないからね)
友紀「覚悟しててよ? 絶対、ぜーったい離さないから」
友紀「離れたくないってそっちからも言わせるぐらい、あたしのこと、もっと好きになってもらうからさ!」
友紀「これからもこうしてずーっと、あたしとバッテリー組んでいてほしいなっ! プロデューサー!」
134 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/15(金) 00:05:28.17 ID:DFI7p8B60
P「……よくもまぁ、恥ずかしげもなく言えるなお前」
友紀「恥ずかしくなんかないよ? だって本音だもん」
P「さいですか」
友紀「うんっ」
友紀「…なんでこっち見ないの?」
P「見れるかバカ」
友紀「あ、もしかして、照れてる?」
P「うるさい。照れてない」
友紀「やーい照れてるー! 珍しいー♪」
P「しょ、小学生かお前は…」
135 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/15(金) 00:05:59.22 ID:DFI7p8B60
P「……そっちこそ、覚えとけよ」
友紀「んー?」
P「さっき移籍するとかなんとか言ってたけど、そんなの知らん」
P「FAだろうがポスティングだろうが、お前には絶対させてやらないから。いいな」
友紀「…」
136 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/15(金) 00:07:24.71 ID:DFI7p8B60
友紀「え、ちょ、今何て言ったの…?」
P「は?」
友紀「ごめん、周りの音でよく聞こえなくって」
P「……知らん!」スタスタ
友紀「うぁっ、ちょっとー!」
P「くっそぉ…。バカ、あほ、野球脳、たらし、ガサツ、バカ、声でかい、それから……、」
友紀「なんか悪口言われてる気がする!?」
P「うっさい! 帰るぞ、ほら」
友紀「待ってよぉ……とりゃっ」
P「ええい引っ付くな!」
友紀「良いじゃん、くっついてた方があったかいし!」
P「さっき寒くないって言ってたろ」
友紀「急に冷えてきたのっ」
P「嘘つけ」
友紀「あーさむいさむい! 今日は寒いなー♪」
P「やれやれ…」
P「……まぁ、寒いなら仕方ないか。うん」
おしまい
137 :
◆uMEAzbBMSc
[saga]:2017/09/15(金) 00:10:31.66 ID:DFI7p8B60
おわり
ユッキも涼ちんも誕生日おめでとう
重大発表する直前ぐらいの時間軸を想定……という補足だけ、最後にさせてください
ディアリースターズと876コラボイベントに思いを馳せつつ
138 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/15(金) 02:40:03.81 ID:WPzA9Czpo
乙
乙女なユッキはええのぅ
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