ことり「花になろう」

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219 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:01:37.94 ID:Ohmi38x40
凛「今度凛たちも連れてってね!」

ことり「あ、ことりも!」

希「そうやね、今度はみんなで行こうか」

ことり「うん!」

キーンコーンカーンコーン

希「あ、いっけないもうそんな時間なんや…」

にこ「じゃあね、二人とも」

凛「うん!ばいばーい!」フリフリ

ことり「ばいばいっ」

希「ばいばーい」フリフリ

スタスタスタ

ことり「はぁ」

ことり(時の流れは実に早いモノだった)

ことり(チャイムが鳴り席についた、席について次時計を見た頃にはもう終わりの時間だった)

ことり(その間は瞬くほど一瞬のこと、ことりはただポカーンと唖然をしてるのみだった)
220 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:03:18.28 ID:Ohmi38x40
ことり「イメージの貧困は、イメージが過剰なことだけではなくて、例えばテレビを通じてみんなが同時に同じイメージを受け取っていることからも生じている」

ことり「どんなイメージも共有されているような世界ではあらゆることが“あ、あれだね”“知ってる知ってる”“もう分かってるよ”で済まされてしまうことになる」

「はい、ありがとうございました」

「次園田さん読んでください」

海未「はい」

海未「そこではそれぞれの人が持つ単独性は失われて、みんなが―――――――」

ことり(ただの授業なのに過ぎる時間はは早かった、時間というのはことりたちに楽しむ時間を中々与えてくれなかったんだ)

海未「誰でもない、なんとなく“みんな”みたいな存在になってしまう」

ことり(今日、想像力についてという授業をした)

ことり(ことりにはあまり関係ない話のような気がしたけどことりは真剣に聞いてた)

ことり(なんだかためになる話のような気がして真剣に聞いてた)
221 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:04:09.35 ID:Ohmi38x40
海未「想像力、というのは“実際に経験していないことを、こうではないかと推し量る“ものである」


海未「いくら同じイメージを共有していても、他の人の経験やその時の気持ちは、本当は見えていないのだ」


ことり「…!」

ことり(心のグサッときた)

ことり(ことりの全てを全否定された気持ちになった)

ことり(ただ教科書に書いてある文ってだけなのに、何故かことりの喉元に何かが突き刺さる感覚がした)

ことり(そうするとどうだろう、ことりが次の瞬間何をしたか、答えは簡単だった)


ガタッ


海未「!」

穂乃果「ことりちゃん…?」



ことり「そんなことない!」


222 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:07:25.47 ID:Ohmi38x40
〜その後

ことり「うー…うぅ…」

穂乃果「よしよしことりちゃん」ナデナデ

海未「まったく…考えすぎなのですよ」

穂乃果「そうだよ!」

海未「ことりは想像力が豊かすぎです、あの短い文で自分のことを指してると想像するのはことりくらいですよ」

ことり「だってぇ…」

穂乃果「…ふふっでもその豊かさがことりちゃんのいいところだと思う!」

海未「…まぁそうですね」クスッ

ことり「ふぇ…?」

凛「やーやー!三人ともー!」

穂乃果「あれ?凛ちゃん?」

海未「どうしてここに…」

スタスタスタ

ことり「どうしたの?」

凛「どうしたのもこうしたのも今日は凛のクラスとことりちゃんたちのクラスの合同体育だよー!」

穂乃果「え?!そうなの?!」
223 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:09:36.68 ID:Ohmi38x40
「ええそうよ」

ことり「!」

穂乃果「真姫ちゃん!」

真姫「合同体育って何するものなのかしら…」

海未「合同…ちょっと想像できませんね…」

ことり「合同…なんかみんなでわいわいやるんじゃないかな?」

真姫「まさか…」

花陽「二人ともー!」

凛「あ、かよちーん!」フリフリ

花陽「もー…なんで授業が終わったと同時にことりちゃんたちのところへ駆け出すのさぁ…」

凛「だって合同じゃん!」

真姫「ご、ごめんなさい花陽」
224 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:11:09.43 ID:Ohmi38x40
花陽「別にいいけど…」ツンツン

海未「あれは気にしてますね…」

ことり「う、うん」アハハ

花陽「そ、それで…」



ヒューン!

ズサー…


花陽「なんでドッジボールなんかやってるんですかー!!!」


凛「かよちんこれは遊びじゃないよ!」


凛「授業だよ!」


花陽「なんでドッジボールが授業?!」

穂乃果「忘れたの花陽ちゃん?!今日は合同体育だよ?!」

花陽「合同体育なら体育してくださいよ!」

穂乃果「もう走ったじゃん!残って時間でドッジボールをするのは当然だよ!」

花陽「小学校か!」
225 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:13:34.24 ID:Ohmi38x40
海未「どこを見てるんですか二人とも!まずはあなたたちから外野送りにしてあげましょうか!」ブンッ!

穂乃果「うわぁ?!」

花陽「ぴゃっ…」

凛「もー海未ちゃん手加減してあげてよー!」

海未「敵に情けをかけるほど私は優しくありません」

ことり「あははは…」

ことり(ホントは超優しいクセに…)

穂乃果「くっ…ことりちゃんと海未ちゃんと真姫ちゃんが敵なんて…!」

凛「ここはとりあえず敵の主力の海未ちゃんを落とそう!」

穂乃果「もちろん!」

花陽「そ、そうだね」

シュッ

凛「はいキャッチ!」

凛「そしてこれを海未ちゃんにー…」


凛「と見せかけて真姫ちゃんにシュート!!」


シュッ!!

真姫「うぇえ?!?!」
226 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:14:42.08 ID:Ohmi38x40
スッ

穂乃果「あ、しゃがんだ」

凛「ちぇー今度から足狙おっと」

真姫「なんで私なのよ!」

凛「だって隅っこでずっと逃げてるんだもん!」

真姫「そりゃあ得意じゃないから逃げるのは当たり前でしょ!」

ことり「ま、まぁ二人とも落ち着いて」

ことり(昼前、ドッジボールをした)

ことり(童心にかえってのことらしいけどたまにはこういうのも悪くはないと思う)

海未「ことり、はいどうぞ」

ことり「えっ?!ことりが投げるの?!」

真姫「そうよ!ぶちかましてきなさい!!」

ことり「えぇ?!」
227 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:15:49.23 ID:Ohmi38x40
ことり「じゃ、じゃあ…えいっ!」

穂乃果「よっと!キャッチ!」ニヘヘ

凛「おー!穂乃果ちゃんも投げてきなよ!」

花陽「うん!頑張って!」

穂乃果「うん!ほいっとー!ことりちゃーん!」ブンッ

ことり「きゃっ…」キャッチ

海未「ことり!これは穂乃果からの挑戦状ですよ!穂乃果に投げましょう!」

ことり「う、うん!」

ことり「えいっ!」

穂乃果「にひひーキャッチー!」

ことり「あうぅ…」

穂乃果「これでも食らえー!」ブンッ!

ことり「わわわ」キャッチ

花陽「おお…」

真姫「いい勝負してるわね…」
228 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:17:18.69 ID:Ohmi38x40
ことり「えいっ!」

穂乃果「とお!」

ことり「やあっ!」

穂乃果「それっ!」

海未「熱いですね…」

凛「これは邪魔出来ないにゃ…」

ことり「ふふふっ!」

穂乃果「あはははっ!!」

ことり(久々に汗水流す体験をしたと思う)

ことり(ダンスをしてる時以上に盛り上がってそれは熱かった)

ことり(そして不思議なことに空気中に散乱する汗が煌いてた)

ことり(その光景は他の人にとってどう見えてたんだろう、答えはすぐにやってきた)

穂乃果「ほいっとー!」

ことり「ひゃっ…」ドンッ

真姫「あっ」

花陽「あっ…」

ことり「あちゃー…負けちゃった」

穂乃果「よっしゃー!勝ったー!」
229 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:19:23.37 ID:Ohmi38x40
凛「おお、おめでとう!」

海未「残念でしたね…」

ことり「う、うん…」

海未「ですがあの時のことりの姿、最高にかっこよかったです」

真姫「ええ!見てるこっちにまで熱気が伝わってきたわ!」

花陽「うん!すごかった!」

凛「ことりちゃんも結構やるねっ!」

「お疲れ様!」

「頑張ったね!」

「めっちゃ燃えた!」

ことり「あは…えへへへ…」

ことり(穂乃果ちゃんとの勝負には負けちゃったけどみんなが歓声をくれた)

ことり(みんながくれる歓声が心地よくて、なんだかクセになっちゃいそうで)

ことり(もしかしらライブっていうのもあんな感じなのかなって想像してたらなんだか高揚が止まらなくて、お腹の辺りからすーっと力が抜けていくような感覚に陥ってた)
230 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:20:29.38 ID:Ohmi38x40
穂乃果「えへへ、ことりちゃんやるね」

ことり「穂乃果ちゃんこそっ」

穂乃果「あははっ」

ことり「えへへ」

ことり(もちろん最後は笑顔、後一週間しかないっていうのが分かってるから)


ことり(その“楽しさ”がより身に沁みた)


ことり(楽しいがすごく楽しいに変わって、悲しいがすごく悲しいに変わっていった)


ことり(お昼は三年生のみんなと食べた)

希「それで大丈夫なん?」

ことり「大丈夫って?」

希「衣装だよ、お金もかかるし第一大変やん」

ことり「大丈夫だよ、絵里ちゃんとかにこちゃんも手伝ってくれてるし」

にこ「まぁ悪くはないわよ、もう何人かは完成してるし」

希「そっか、ならよかったよ」

にこ「…でも私と絵里はただのアシスタントだからね、ことりはあまり無理するんじゃないわよ?」

ことり「分かってるよ」
231 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:21:40.95 ID:Ohmi38x40
絵里「…空、青いわね」

希「急にどうしたん?」

にこ「そうよ」

絵里「…自分語りだけどいい?」

ことり「うん、いいよ」

にこ「別にいいわよ」

希「うん、ウチもいいよ」

絵里「じゃあ…言うわね」

絵里「…私、みんなと出逢ってからこの青い空と、オレンジ色の空しか見てない気がするのよ」

絵里「あ、あと曇り空も」

ことり「どういうこと?」

絵里「夜に空を見上げる時がないの、ふと空を見上げるとその空は毎回青色なのよ」

にこ「なんか…深そうね…」

絵里「…そうね、深いかも」

絵里「私ね、空って何も考えてない時に見上げるものだと思ってた」

希「思ってた?」

絵里「ええ、昼休みはよく見上げてたわ、何も考えてなくていい時間だったから」

絵里「でもそれは夜も同じだったはずなの、宿題してご飯食べてお風呂入って後は自由だったはずなの」


絵里「それに夜の空には綺麗な星があるでしょ?この青空とは違う美しさがある」


にこ「ふむ…」
232 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:22:52.91 ID:Ohmi38x40
絵里「条件は夜も昼も同じであるはずなのに、何故私は夜空を見ないの…いや見なかったのかしら」

絵里「…ねえなんでだと思う?」

にこ「えっ…私に聞くの…」

絵里「ええ、というかみんなに聞きたい」

希「そうやねぇ…単純に昼の空が好きだった、或いは夜はえりちも他にやりたいことがあったから、とかかな?昼休みはほーんと仕事もないし遊ぶ道具もないしなーんもしなくていいからね」

絵里「なるほどね」

にこ「じゃあ私はこう、昼は何も考えてなくていい時間とか言ってたけど本当は悩み事がめちゃくちゃあって、だからこそ無限に広がる青い空を見て忘れたかった、私が空を見る時は何かあった時何か忘れたいがために見るのよ」

絵里「なるほど、いい回答ね」

にこ「違うの?いやそもそもこれはクイズなの?」

絵里「…まぁクイズみたいなものかしら」

絵里「ことりはどう?」


ことり「…太陽が見たかったから、かな」


絵里「…!へえ面白いわね、どうしてそう思うの?」
233 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:25:10.64 ID:Ohmi38x40
ことり「半分は希ちゃんと同じかな、太陽がある昼が大好きだったというのが大まかな答え」

ことり「そもそもことりは絵里ちゃんと全く逆だった、夜によく空を見上げてた」

ことり「理由は簡単、月が好きだったから」

希「月が好きだった?」

ことり「そうだよ、あの静かに光る感じが“今の”ことりにはお似合いだと思ったから」

ことり「…ただこの昼頃にある太陽という存在はもっと好きだった」

ことり「どんなに曇っていても光を見せてくれる太陽が好きだった」

ことり「…まぁことりは太陽を見ようとはしなかったけど」

にこ「どうして?」

ことり「それは…なんでだろうね」

ことり(にこちゃんの問いをことりは軽く流した)

ことり(見ない理由なんて簡単だ、穂乃果ちゃんがこの世にいない昼で太陽を見るとどうしてもあの忌々しい記憶が脳裏を過るから)


ことり(ただ、それでも太陽は大好きのままだった)

234 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:26:20.13 ID:Ohmi38x40
ことり「でもね、最近は絵里ちゃんと全く同じ」

ことり「この時間帯に黄昏るように空を見てる」

ことり「だから絵里ちゃんのそのどうしてそう思うという質問に対して返す答えは」


ことり「ことりも太陽が大好きだから、かな」


ことり「ついでに言えば絵里ちゃんは夜、空が見れる状況下にいなかったんじゃないの?」

絵里「というと?」

ことり「簡単に言えば、気付いたらもう朝になってたというのが毎日あると言えばいいのかな」

絵里「…なるほどね、ことりはすごいわね、全部正解よ」

にこ「えっ…」

希「わーお」

絵里「そうなの、夜の空って何故か見れないの」

絵里「時間の流れが異常に早くてね、さっきも言ったけどふと思い見上げればその空は青かったの」

希「確かにウチもその感覚は分かる気がする、夜なんて一瞬でさっ…気付いたら朝になってるもん」

にこ「あー…まぁ私の家はちびもいるから忙しいってのもあるけど確かに夜の空は全然見ないわね…」
235 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:27:19.33 ID:Ohmi38x40
絵里「最近になるまで全然分からなかったけど、その最近になってようやく分かったの」

にこ「何に?」

絵里「この時間が異常に早く感じる理由は」


絵里「みんなと会うのを楽しみにしてるからなんだって」


ことり「!」

希「おぉ〜いいこといいやんえりちー!」ツンツン

絵里「やめっつつかないでよ!」

希「あははーごめんって」

にこ「へぇ…い、いいこというじゃない」

希「突然の告白に、にこっち困惑してるやん」クスッ

絵里「ごめんなさいね、にこ」

にこ「ふんっいいわよ別に」

ことり「ふふふっ」クスッ

にこ「何よ!」

ことり「なんでもないよー」ニコニコ

にこ「なんでもなくないでしょ!」

ことり「なんでもないって〜!」
236 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:29:41.65 ID:Ohmi38x40
絵里「やれやれ…」


希「今が最高、やね」


ことり(絵里ちゃんの話にはとても共感できた、絵里ちゃんも強ちことりと似た心境をしてたのかもしれないなんて親近感がわき始めてた)

ことり(ちょっと真面目な話もしたけどそれを押し止めるように明るい話もすぐに流れ込んできた)

希「それでな!えりちがにこっちのことばっか狙っててな」

にこ「ホントよ!私の事ばっか狙ってるのは何なのよ絵里!」

絵里「だ、だって希のところ行ったらボコボコにされちゃうし穂乃果も一応経験者っぽくて私で太刀打ちできるのがにこくらいしかいなかったのよ!」

にこ「それで私だけ狙うのはおかしいわよ!」

ことり「まぁまぁ」アハハ

希「でも、意外にその行動は賢いんよね」

ことり「確かにそうだね」

絵里「で、でしょ?」
237 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:31:20.71 ID:Ohmi38x40
希「うむっえりちは考えて動けるから意外にセンスあったりするんやない?」

絵里「ほ、ホント?!」

にこ「今はへたくそだけど」

絵里「あうぅ…」

ことり「ふぁ、ファイトだよ」

ことり(そんな話をしてたら昼も終わってた、午後の授業も同じようにすぐ終わった)

ことり(こんなにも誰かと会うのを、誰かとお話するのを楽しみにしてたなんて当たり前の事すぎて逆に自覚が持ててなかったんだ)

ことり(絵里ちゃんのあの一言で気付かされた、今思えばすごくその通りだと思った)

ことり(放課後はいつもと変わらずダンスレッスンだった)

海未「はい、わん、つー、すりー、ふぉー」

凛「ほっほっほっほ」

海未「凛、駆け出し過ぎです、ダンスはもっと遅くていいんですよ」

凛「はーい」

絵里「ことり、そこもうちょっと胸張って」

ことり「こ、こう?」

絵里「そうそう、それを忘れないで」

ことり「う、うん」
238 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:32:47.37 ID:Ohmi38x40
にこ「ふー…相変わらずダンスっていうのは疲れるわね…」

花陽「で、でも始めたての頃と比べると大分マシに…」

にこ「ええそうね…」

穂乃果「まだまだこれから!がんば」

ポツンッ

穂乃果「わっ…?」

ポツ…ポツ…

ポツポツポツ

ザーザーザー…

凛「わわわ!雨だー!」

真姫「うぇええ?!は、早く室内に入らないと!」

花陽「待ってー!」

絵里「最悪ね…放課後はここくらいしかダンス練習で使える場所ないし…」

海未「ダンスレッスンは中止ですかね…」

ことり「そうだね」

スタスタスタ

ことり(突然の雨にダンスレッスンは中止、発声練習かなと思ったけどは今日は解散になった)

ことり(多分真姫ちゃんとか海未ちゃんは残って発声練習すると思うけどことりは傘を持ってきてなくて雨が酷くなる前に帰った)
239 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:34:04.35 ID:Ohmi38x40
ことり「…嘘つき」

ことり(下駄箱から出ようとした時、ふと呟いた)

ことり(昨日見た天気予報に騙された)

ことり「はぁ…」

ことり(下駄箱からことりの家までびしょ濡れマラソンの開幕が見えてきてなんともやるせない気持ちになった)

凛「ことりちゃん!」

ことり「ん?凛ちゃん?」

凛「そ、その…」

ことり「…?」


凛「か…傘、入る?」


240 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:35:19.73 ID:Ohmi38x40


ことり「ふふふっありがとう、凛ちゃん」

凛「ううん、これくらい当然だよ」

ザーザーザー

ことり「雨…すごいね」

凛「突然だったね」

ことり「そうだね」

ザーザーザー

凛「………」

ことり「………」

ことり(会話が長く続かなかった、実はいうと凛ちゃんとことりの二人っきりっていうのは滅多になくてこういう時、何を話していいんだか全く分からない)

ことり(お互い中学生カップルの成り始めみたいに前とは違う方向を向いてなんだか気まずかった)

ことり(そんな気まずさを振り払ったのは凛ちゃんの方だった)
241 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:36:51.60 ID:Ohmi38x40
凛「…今日、かっこよかったよ」

ことり「あ、ありがとう」

凛「見てたらね、心が熱くなったんだ、穂乃果ちゃんとことりちゃんの熱気を感じ取ったって凛は思った」

凛「思わず弾けたくなるような、応援したくなるような気持ちになった」

凛「あ、それにね、感じ取ったのは凛だけじゃない、多分あそこにいた人のほとんどが熱気を感じ取ってたと思う」

凛「そうすると自然に凛は思ったんだ」

ことり「思った?」

凛「うん、そう」


凛「これ、この気持ちってもしかしたらライブに通ずるものがあるんじゃないかなって」


ことり「…そっか」

凛「そう!だから凛、早くもライブの日が楽しみになってきちゃって」エヘヘ

ことり「…うん!ことりもとっても楽しみ!」

凛「でしょー?!そう考えたらなんか心が踊っちゃってね」

ことり「ふふふっ凛ちゃんらしいね」

凛「えー?凛らしいって何さー」

ことり「可愛いって意味だよー」クスッ

凛「もーからかわないでよー!」

ことり「からかってないってー」
242 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:39:11.95 ID:Ohmi38x40
スタスタスタ

凛「…あ、凛じゃあ学校戻るね!」

ことり「が、学校…?!」

ことり「…あっ」

ことり(そうだった、凛ちゃんの家とことりの家は方向が真逆、凛ちゃんが帰りにこっちの道に来ることはないんだ)

ことり「ちょ、ちょっと待ってじゃあここまで来たの?」

凛「それはことりちゃんに濡れないように送るためだよ」

凛「あ、傘は月曜日の明々後日返してくれればいいから!」

凛「じゃあねっ!」ダッ

ことり「あ、ちょっと!」

ことり(大粒の雨に打たれながら大きい水たまりの上を駆けていった、傘を貸してくれるというのなら尚更凛ちゃんがここまでくる理由が分からない)

ことり「…なんだったんだろう」

ことり(そう思いながら黄色の傘をさして帰った)

ことり(今度凛ちゃんにはお礼をしないと、そうことりの責任感が強く警告してた)
243 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:42:48.17 ID:Ohmi38x40
ことり(そして時刻は次の日の昼)

ことり「…」ダダダダ

ことりママ「それが例の出し物の衣装ってやつ?」

ことり「そうだよ、後絵里ちゃんと希ちゃんとにこちゃんのだけなんだから」

ことりママ「あら、もうそんなに進んで…というか絵里ちゃんや希ちゃんも出るの?」

ことり「うんっそうだよ」

ことりママ「何するか…聞いていい?この間も聞いたけど」

ことり「…いいよ、ライブをする」

ことりママ「ライブ?」

ことり「ダンスを踊りながら歌を歌うの」

ことりママ「えっ…そんなことできるの?」

ことり「うんっなんとか出来てるよ」

ことりママ「そう…ならいいけど」

ことりママ「というか歌って?何の歌?」

ことり「オリジナル曲だよ、音ノ木坂祭りのためだけに作ったオリジナル曲」
244 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:45:30.45 ID:Ohmi38x40
ことりママ「あらまぁ…どんな曲なの?」


ことり「…これから未来を進む人たちに向けての歌かな」


ことりママ「…?なんか深そうね」

ことり「…どうかな」

ことりママ「とりあえずことりたちが順調そうなら私は何よりよ、私も見に行くから頑張ってよね」

ことり「えー…見に来なくていいよー!」

ことりママ「ダメよ、愛すべき我が娘のステージを見ない親がどこにいるのよ!」

ことり「はぁ…」

ことりママ「まぁ頑張りなさい、海未ちゃんや穂乃果ちゃんもいるんでしょ?」

ことり「う、うん!」

ことりママ「そういうダンスとかっていうのはみんなで協力しないといけないんだから」


ことりママ「互いが互いを本当に信頼できる関係であるのが重要なのよ」


ことり「わ、わかってるよー」

ことりママ「ならいいけど」クスッ
245 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 21:51:31.23 ID:Ohmi38x40
ことりママ「そういえば…」

ことり「ん?」

ことりママ「凛ちゃんいるじゃない?」

ことり「あ、うん」

ことりママ「凛ちゃん風邪ひいちゃったらしいわよ、凛ちゃんもきっと見せ物の中のメンバーでしょ?練習の方はちゃんと体調管理とか出来てるんでしょうね?」

ことり「え…」

ことりママ「別にことりたちのやり方にケチつけるつもりはないけど」


ことりママ「あまり無理しないようにね…?」


ことり「う、うん分かってる」

ことり「ちょっと凛ちゃんの家行ってくるね!」

ことりママ「いってらっしゃい」フリフリ

ことり(ことりのせいだ、と思ってミシンを止め黄色の傘を持ち水たまりに青空が映る外に飛び出した)
246 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:01:47.08 ID:Ohmi38x40
ことり「じゃーんぷっ!」ピョーン

ことり(水たまりなんてなんのその、高く跳んで乗り越えた)

ことり「ふぅ…はぁ…」

ことり(息を切らしながらも走った、急ぐ必要なんて全く無かったのにことりの体はものすごく急いでた)

ことり(車のよく通る街中を超えて、音ノ木坂高校を通り過ぎて、小さな子供たちがボール遊びをしてる住宅街を抜けた

ことり(途中花屋に寄ってお花を買ったりスーパーでリンゴをいくつか買った)

ことり(そしてまた走ってようやく…)

ことり「ついたぁ…」

スタスタスタ

ピンポーン

「はーい」

ガチャッ

ことり「あ、こんにちは」

凛ママ「おー!ことりちゃん!どうしたの?」

ことり「風邪をひいたときいて凛ちゃんのお見舞いに…」

ことり「あ、これどうぞ…」

ことり(凛ちゃんのお母さんにお花とリンゴを渡した)
247 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:03:39.00 ID:Ohmi38x40
凛ママ「あらー悪いわね…でも大丈夫?風邪移っちゃうかもよ?」

ことり「大丈夫です!」

凛ママ「そ、そう…なら行ってきな、二階だよ」

ことり「はい、お邪魔します」

スタスタスタ

トントン

「いいよー」

ガチャッ

ことり「お邪魔します」

凛「あれ…ことりちゃん…」

ことり「ご、ごめんね…ことりが傘持ってきてなかったばっかりに…」

凛「ち、違うよ!凛が好きでやったことだから!」

凛「だから…別にことりちゃんは悪くないよ?」

ことり「…凛ちゃんは優しいね」

凛「……ううん」

ことり「え?」

凛「とりあえずどこか座ってよ、そこの凛のイスでもいいよ」

ことり「あ、うん」ストンッ
248 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:05:16.56 ID:Ohmi38x40
ことり「熱とかは大丈夫?」

凛「うん!そこまで酷いやつじゃないから大丈夫!」

ことり「そっか、ならよかったよ」

ことり「…」

凛「…」

ことり(凛ちゃんのお部屋にきては如何せん会話が続かない)

ことり(だから凛ちゃんの部屋をきょろきょろと見てた)

ことり(凛ちゃんの部屋は何年前というレベルで久々だったけど昔とさほど変わってなかった)

ことり(…いや、変わってるのかもしれない)

ことり「これ…」

凛「…あ、それは……」アセアセ

ことり(縦長の鏡の横にはそれはそれは綺麗な)


ことり(純白のワンピースがあった)


ことり「…凛ちゃんが着たらきっと可愛いよ」

凛「えっ…」

ことり「まだ着てないでしょ?」

凛「ど、どうしてそう思うの?」
249 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:06:52.49 ID:Ohmi38x40
ことり「値札がついてるもん…」


ことり「…18900円」


凛「!」ギクッ

ことり「凛ちゃんは可愛いよ?」

凛「…ずるいよ、ことりちゃんは」

ことり「えっ?」

凛「ことりちゃんに言われたら本当に凛が可愛いって錯覚しちゃいそうなんだもん!」

ことり「錯覚なんかじゃないよ!本当に可愛いから!」

凛「っ……」

ことり「…」

凛「…はぁ、あのメンバーの中ならことりちゃんが一番女の子らしいって思ってたんだ」

ことり「ことりが?」

凛「うん、手芸とかお菓子作りとか出来るし頭もいいし何より可愛いし」

凛「そんなことりちゃんに、そして後にかよちんに背中を押されたんだからみんなと一緒にステージたたないとって思ったんだ」


凛「…だからお礼がしたかったんだ」


ことり「お礼?」
250 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:09:01.24 ID:Ohmi38x40
凛「凛に出来ることなんて限られてるからさ、絵里ちゃんのような頭脳はないし穂乃果ちゃんのような人を喜ばせる天性の才能もない」

凛「真姫ちゃんのような歌を作ったりする特技があれば海未ちゃんのように強い人でもない」

凛「だから昨日みたいに身近で、凛でも出来そうなことでお返ししたかったんだ」


凛「凛のチカラは、そのくらいのことしか出来ないから」アハハ


ことり「…!」

ことり(凛ちゃんの控えめな笑いに心が震えあがった、自分をよく理解しているから、理解しているからこそ分かる自分の限界に絶望してる顔だった)

ことり(この時ことりの頭に凄まじいほどの電流が走った、思わず目を丸くしてしまうような、何か大切なことを思い出す…いや気付くような感じだった)

ことり(だから次の言葉を喋る時はまず口を“い”にしてから喋った)

ことり「…凛ちゃん」

凛「なに?」

ことり「もしかしたらだけどさ…」

凛「…うん」

ことり「凛ちゃんって…凛ちゃんがあの時ライブをしようと思わなかったのってさ」


ことり「自分と他の人に存在してる差を見たくなかったからじゃないの?」


凛「!!!」
251 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:11:14.06 ID:Ohmi38x40
ことり「…違う?」

ことり(違うのか、と疑問形で聞いたけど凛ちゃんの目は既に丸くなってた、だから確信したよ)

ことり(この問いに間違いはないってね)

ことり「…それは結果的に自分が可愛くないからっていう建前でもあって本音でもある理由を盾にして」


ことり「本質的な理由をいえばそれは他の人との差に絶望したくなかった、そうでしょ?」


凛「………」ウルウル

ことり「あ、やっ…ち、違うのこうじゃないの?って思って…あ、えっと…」

凛「どうして…気付いちゃうのかな…」ポロッ

ことり「!」

ことり(凛ちゃんは泣くことはなかったけど頬に一粒、そしてまた一粒と涙を流してた)

ことり(ことりのインスピレーションは間違ってなかったみたいだった)

凛「…そうだよ、ことりちゃんの言う通りだよ」

凛「今は、一番可愛いって思ってたことりちゃんに可愛いって言ってもらってなんとか首の皮一枚繋げてる状態なんだ」

ことり「…」
252 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:13:23.78 ID:Ohmi38x40
凛「…あ、でもね!ちゃんとライブはやるよ!昨日言ったけどすごく楽しみにしてるし」

ことり「りん…ちゃんっ…」

ことり(違う、凛ちゃんの本心はそんな簡単な言葉だけじゃ振り切れない)


ことり(ことりは凛ちゃんの本心を聴きたい)


ことり(聞いて、みんなが最高の状態であのステージにたてる状態にしたい)

ことり(ここまで話してくれた凛ちゃんを、連れていかないと)



ことり(ここで凛ちゃんの中にある輝きを気付かせてあげることが今の“ことりの役目”であるんだから)



ことり「凛ちゃん」

ナデナデ

ギューッ

凛「にゃっ…」
253 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:14:53.31 ID:Ohmi38x40
ことり「…凛ちゃんはね、誰かと一緒にいてあげることで凛ちゃんのチカラは発揮されるんだよ」

ことり「凛ちゃんがいうこれくらいのことっていうのは力量の問題じゃなくてそのチカラがそれであるっていう意味なんだ」

凛「ん…?」

ことり「つまりはね」


ことり「凛ちゃんのチカラっていうのは誰かと一緒にいることで発揮される、傷を舐めるようなくすぐったい優しさなんだよ」


ことり「きっとこれから凛ちゃんと一緒にいる人全員はこう思うよ」


ことり「凛ちゃんと一緒にいるだけで救われるって」


凛「そ、そんなことないよ…」

ことり「そんななの!」

ことり「凛ちゃんはとにかく可愛いの!愛らしいの!見てるとギュッと抱きしめたくなるの!」

ギューッ!

凛「うぐっ…」

ことり「だからもっと自分に自信を持っていいの!凛ちゃんが他の人と劣ってるところなんて少しくらいしかないから!」

凛「そ、そうなの…?」
254 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:15:53.16 ID:Ohmi38x40
ことり「そう!この前もいったけど凛ちゃんが一番可愛いの!」

ことり「だから、もっと本気で楽しも?」


ことり「ことりはみんなと不安なんて持たずにあのステージに立ちたいの!」


ことり「あそこで本気で楽しみたいの!!」


ことり「憂鬱なんて全て後々!イヤなことなんて全て投げ捨てて笑顔で、汗が無限に出るくらい動いて、心いっぱいに表現してあそこで本当の本気で楽しみたい!」


ことり「凛ちゃんは違う?」


凛「…違わない」

凛「凛もそうしたい…」


凛「凛もそうしたい!」


ことり「でしょ?だからいこうよ、やろうよ!」
255 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:17:11.28 ID:Ohmi38x40



ことり「本気で!」


256 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:17:59.41 ID:Ohmi38x40
凛「うんっ!」

ことり(凛ちゃんは決して他の人と劣ってたりはしない、それは何を比べても劣りはしない)

ことり(凛ちゃんのチカラは直接的な強さは持たないチカラだとことりは思う、誰かといることで、誰かといるだけで発揮される癒しのチカラ)


ことり(凛ちゃんにしかない“可愛い”のチカラ)


ことり(…ホントにずるいチカラだよ)

凛「えへへ、ことりちゃーん」

ギューッ

ことり「もお…風邪が移ったら凛ちゃんが責任とってよ?」

凛「ことりちゃんからくっついてきたらことりちゃんが悪いもーん」

ことり「まったく…」アハハ

ことり(凛ちゃんが元気になって何よりだった、その後ちょっとだけお話をして帰った)

ことり(凛ちゃんが自分の良さに気付いてくれただけで今日凛ちゃんの家にきた甲斐があったと満足してた)
257 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:20:20.12 ID:Ohmi38x40
ことり(帰り、小さい時よく穂乃果ちゃんと海未ちゃんとで遊んでた公園に寄った)

ことり(ブランコが空いてたからブランコを軽くこいでた)

「わー!待ってー!」

「こっちこっちー!」

ことり「…ふふふっ」

ことり(小さい子たちが鬼ごっこをしてた、ことりはそれになんとなく懐かしさを感じて自然とほほ笑んでた)

キィコ キィコ

ことり(ブランコが揺れて軋む音が寂しく響いた)

ことり(またこの音も、懐かしさにめり込むような音だった)

「わっ!そこ水たまりあるからみんな気を付けてよー!」

「分かってるよー!」

ことり「…水たまりか」

ことり「そういえば昔穂乃果ちゃんが…」

ことり(昔穂乃果ちゃんがこの公園で水たまりを跳び超えるって駄々こねてた時があった)

ことり(何回も跳びこえようとして十何回目でやっと跳べた、当たり前だけど今のことりならあのくらいの水たまりは簡単に跳べると思う)
258 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:21:45.78 ID:Ohmi38x40
ことり「…よしっ」

ダッ

タッタッタッ!


ことり「跳べるっ!」


ピョーンッ

ことり(そして何を思ったのか小さな子たちに紛れて水たまりに向かって高く跳躍した)

ことり(無意識だったのかな、その行動はことり自身でも理解出来ないくらい突然だった)

ビシャッ!

ことり「ひゃっ?!」

ことり「!」

ことり(まず、結果からいってことりはびしょ濡れだった)

ことり(そして、次に気付いたのはことりの落ちた水たまりは公園の水たまりではないということ)

ピチャッピチャッ

ことり「これ…」


ことり「この花びら…この花…」



ことり「この花畑…!」



ことり「…間違いない、あの時の……」

ことり(あの時のお花畑だった、穂乃果ちゃんが連れてきた…のかは分からないけど穂乃果ちゃんがいたあのお花畑)
259 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:23:42.24 ID:Ohmi38x40
ことり「あ、いけない」

ことり(カバンが水たまりのど真ん中に置かれてるのに気付いて取りに行った)

ピチャッピチャッピチャッ

ことり(この水たまり、実際歩いてみると分かるけど結構深くて正直いえば水たまりというよりかは湖に近い感じなような気がした)

ピチャッピチャッ

ことり(カバンを取り後ろを向くと赤い花が大々と広がり、よくよく見ると花の無い道には穂乃果ちゃんが踏みしめたと思われる足跡があった)

ことり(そして前を向くと地平線の彼方まで広がる白い花々が見える)

ピチャッピチャッ

ことり(濡れたカバンを抱きしめてその白い花畑に向かった)

ことり(何枚、何十枚、何百枚、何千枚の花びらがひらひらと飛んでた)

ことり(その何枚もの花びらがことりの服や肌、顔にぺたぺたとくっついてきた)

ことり(ただおかしなことにその花びらは一定以上経つと勝手にことりの元から離れていくんだ)

ことり(…別に変なモノは感じてないけど、何も感じてないと言えばそれはウソになる)
260 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:26:59.26 ID:Ohmi38x40
ピチャッピチャッ

ことり「よしっ」

ことり(まぁとりあえず白い花畑に足をつけようとしたんだ)

ことり(ただ、次の瞬間ことりは後ろを振り返ることになる)

ことり(そしてこれまた結論から言ってことりはその白い花畑に足を踏み入れることはなかったんだ)

ことり(その“出来事”が起こったせいで…)


「ダメっ!!」


ことり「?!」ピクッ

ことり「誰?!」

ことり「…あれ?」

ことり(後ろから声が聞こえたからすぐに後ろを振り向いた、だけど後ろに人はいなかった)

ことり(この花畑は広すぎるからもしかしたら目に届かないところにいるのかも、そう思ったけどことりが聞いた声の声量はかなり大きく近かった感じがした)

ことり(だけど、そんな人影はどこにも見当たらない)

ことり「…何なんだろう」

ことり(声が気になって白い花畑の逆方向である赤い花が咲く花畑を目指して歩いた)
261 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:28:19.32 ID:Ohmi38x40
ピチャッピチャッピチャッ

ことり「…びしょびしょ」

ことり(真ん中にいけばいくほど深くなっていって、おかげで靴下はびしょ濡れ、そのせいもあって足がなんとなく重い気がした)

ことり「よいしょ…よいしょ…」

ことり(なんとか足を進めて今度は赤い花の咲く地に足をつけようとした)

ことり「よい…しょ」

ことり(足をつけた、ただその地に降り立った瞬間、声が聞こえたんだ、大きな声が後ろから)


ことり(そして聞こえてきたその声は紛れもない“太陽の声”だった)
262 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:29:27.87 ID:Ohmi38x40



「よーしっ!もう一回!」



ことり「!!」

ことり「穂乃果ちゃん?!」

ことり(後ろを振り向いた…と同時に)


ことり(ことりの視界はブラックアウトした)


ことり(ただ、そのブラックアウトする前に微かに見えたんだ)


ことり(白い花畑に立って手を振る穂乃果ちゃんが)


ことり(だけど、それをことりの記憶に留めておくことは出来なかった、あまりにも瞬間的すぎてすぐにその景色は記憶に残らなかった)

ことり(またしても不思議体験をした、あの世界は一体何だというのだろう)

ことり(全てが謎すぎて一つの解明にも繋がらない)
263 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:32:13.71 ID:Ohmi38x40
ことり「ん…んっ…?」

ことり「ここは…」


ことり「…家だ」


ことり(目を覚ませば案の定、家のベッドで寝てた)

ことり「…あれ?濡れてる……」

ことり(足が濡れてた、靴下は履いてないし勉強机に置かれてるカバンもあの世界ほどではないけど濡れてた)

ことり「…どういうこと?」

ことり(あまりにも難解すぎる現象で混乱した、あの花畑の世界は何?現実なの?現実ならなぜことりは濡れてるの?なぜことりは家で目を覚ますの?)

ことり(…分からない、分からないことだらけで思わず後ろ髪をかいた)

ことり(それであの世界の謎に戸惑ってると突然お母さんの声がした)

「ことりー!ご飯よー!」

ことり「あ、うん!」

ことり(ことりの思考が、なのかな、それとも運命が、なのかな…一度あのことは忘れるようにと促されているようだった)

ことり「…ま、いっか」

ことり(ただことりはそれに従った、理由は分からないけど強いていうなら難しいことは全部後回しにしたくてとにかく今は穂乃果ちゃんがいる日常を楽しんでいたかった、というのが理由かな)

ことり(だからとりあえずこの件は後回しにしたんだ)

ことり(後に色々思ったこともあったけどことりの考えが後でいいっていうならそれは後でいいんだ)
264 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:34:57.25 ID:Ohmi38x40
ことり(そして次、時間を意識する頃はもう既に次の日だった)

ピンポーン

ことり「はーい」

ガチャッ

穂乃果「やっほー!」

海未「こんにちはことり」

ことり「あ、あれ穂乃果ちゃん?!海未ちゃんまでどうしたの?!」

海未「いえ今お暇ですか?」

ことり「あ、うん大丈夫だよ」

穂乃果「なら遊びにいこうよ!」

ことり「遊びに?」

穂乃果「うん!そうだよ!」

海未「言ってたではありませんか近いうち私たち三人で遊ぼうと」

ことり「あ、うん!そうだったね!」

ことり「ちょ、ちょっと待ってて準備するから!」アセアセ

タッタッタッ

海未「まったく…ことりは突然のことだとすぐ焦るんですから…」

穂乃果「アドリブに弱いもんね」クスッ

海未「ええホントですよ」
265 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:36:32.18 ID:Ohmi38x40
ことり(日曜日、穂乃果ちゃんと海未ちゃんとことりの三人で遊ぶことになった)

ことり(突然でちょっと驚いたけどすごく嬉しかった)

ことり「…そうだよね、後少ししかないんだもん」


ことり「たっぷり遊ばなきゃ…!」


ことり(そう思ってありったけのお金を持ってさいっこうに可愛いと思うファッションをして外に出た)

穂乃果「わお…ことりちゃんその服…」

海未「随分と…は、破廉恥で…」

ことり「えへへ」

ことり(気合いをいれる方向を間違えて胸元をちょっと見せつけるような服を着てきちゃった、これじゃあ可愛いとは別で、なんというかデートに行くときみたいな感じになっちゃって)

ザワザワ ヤザワザワ

ことり「うぅ…」

穂乃果「すごーい!ことりちゃん注目の的だよ!」

海未「そりゃあことりがそんな服着たらなりますよ…」

ことり「着てくる服間違えたぁ…」
266 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:37:14.60 ID:Ohmi38x40
穂乃果「私も着てくればよかったー…ん?いや着てくればいいんだ!」

海未「な、なんでですか!」

穂乃果「えっ…いやー…だってね…?」チラッ

ことり「!」

ことり(穂乃果ちゃんの言いたいことはよく分かった、もう数日後にはいなくなっちゃうんだから何をしたって後悔なんてないんだよね)

ことり(だからことりは穂乃果ちゃんに助け船を送ることにした)

ことり「そりゃあ気の変わりようだよね?穂乃果ちゃん」

穂乃果「そうそう!よしっ!そうと決まればせくしーな服を着よう!私の家にごー!!」

ことり「おー!」

グイッ

海未「なんでですかぁ!」ズルズル
267 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:39:36.88 ID:Ohmi38x40


穂乃果「わー!すごいすごい!」


穂乃果「大人だよっ!」


海未「……」

ことり「ん?海未ちゃんどうしたの?」

海未「…あ、いや二人ともなんかすごく大人っぽくて魅了され…ってなんで私まで着てるんですか!」

穂乃果「そりゃあ三人いるんだから三人着るものでしょ!」

ことり「でも二人ともすごく可愛い!いや綺麗なのかな?」

穂乃果「なんかこういうの初めてだからすごい楽しいね!」

ことり「ねっ!」

海未「…まぁ」

穂乃果「よーし!これで街中に出発だー!」

ことり「おー!」

海未「はぁ?!」

ことり(ことりほど派手じゃなかったけど二人もセクシーな感じの服を着て街中に飛び出した)

ことり(もちろん街中に足を踏み入れれば大量の視線を感じるし辺りがざわつき始める)

ことり(そんな街では色々なところに寄りそして遊んだ)
268 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:40:36.34 ID:Ohmi38x40
ことり(ゲーセンに寄った、ただのゲームに命をかけた感覚で遊ぶほどのノリで盛り上がった)

ことり「おらおらおらぁ!!」ドドドド!

穂乃果「ことりちゃん左は任せたよ!!」ドドドド!

ことり「了解!」

海未「ふ、二人熱くなりすぎでは…」ドドド

穂乃果「このくらいが普通だよ!」

ことり「最初から最後までクライマックスだよ!!」

海未「は、はぁ…」

海未「…っ?!ひぃ?!なんですか気持ち悪い生物は…」

穂乃果「いくよ!ことりちゃん!海未ちゃん!」

ことり「うん!」

海未「は、はい!」


穂乃果「よーし!ここで負けたら死だからね!」


海未「はいっ!」

ことり「うんっ!」
269 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:41:16.98 ID:Ohmi38x40
ことり(ゲームセンターで遊んだ、疲れることを知らないままで限界に挑戦した)

穂乃果「よーし!もちろん最高難易度の最難関やるよ!」

海未「はぁ?!無理ですよ!これダンスゲームですよ?!」

ことり「いいじゃんやってみようよ!」

海未「なんでさっきからことりは穂乃果寄りの意見なんですか!」

ことり「いいのっ!今日は遊びつくすって決めたんだから!」

穂乃果「そうだよ海未ちゃん!遊びつくすよ!」

海未「え、えぇ…」

穂乃果「ほっよっ!」

海未「はっふっ!」

ことり「二人とも頑張れ!」
270 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:41:59.79 ID:Ohmi38x40
ことり(ゲームセンターで知った、限界なんて存在しないこしないことに)

ことり「すっごいすっごいよ穂乃果ちゃん!」

海未「こ、こんな大量のメダル何に使うんですか!!!」

穂乃果「まだまだ増やすよー!!」

ことり「次はこれやろうよ!」

穂乃果「いいね!!もうどんどん増やしていこう!」

海未「いくらなんでも増やし過ぎですよ!!」

海未「なんですか50000枚って!!」

穂乃果「この強運の穂乃果に限れば余裕だよ」キリッ

海未「今日帰れますかこれ…」

穂乃果「いざとなったら預ければいいじゃん!」

ことり「そうだよ!」

海未「ま、まぁそうですけど…」
271 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:42:54.93 ID:Ohmi38x40
ことり(その後も色んな場所に寄った、カラオケにいった、ボーリングをした、ダーツをした)

ことり(アクセサリーショップに寄った、コスプレをした、動物園にいった)


ことり(ずっと楽しんでた)


ことり(帰り、海辺によった)

ことり(水平線の彼方に見える夕日を見ながら歩くとピチャっという音がした)

ことり「ふふふっそれっ!」

ビシャッ!

穂乃果「きゃっ!やったなー!それそれっ!」

ことり「あはっ!海未ちゃんも食らえ!」

海未「ちょっ!やりましたね…」

海未「ほらほらほらっ!」

ビシャビシャッ!

穂乃果「あははっ!」

ことり「えいっ!」

海未「もうびしょ濡れになったって知りませんからね!!」
272 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:44:03.43 ID:Ohmi38x40
ピチャピチャッ!

穂乃果「あはは!あは…あははは……」

穂乃果「あはっ…うぅ…ぐすっ…あははっは…」


ポロポロ…ポロポロ…


海未「穂乃果…?」

ことり「…あはっ…あはは…」ポロポロ

海未「ことりまで…どうしたんですか…?」

ことり「う、ううん…!なんでもない…よっ!」ニコニコ

ポロポロ…

海未「いやそれでなんでもないわけないじゃないですか!」

ことり「なんでもないったらなんでもないの!」

ことり「ねっ!穂乃果ちゃん!」

ポロポロ…

穂乃果「うんっ!」

ポロポロ…
273 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:45:17.02 ID:Ohmi38x40
ことり(いよいよことりの心も感極まってきちゃった)


ことり(この三人でこんなに楽しく遊べるのが嬉しくて、でも悲しくて)


ことり(今という今がホントに面白くて、でもそんな面白さももうじき消えてしまいそうで)


ことり(もう、ことりは何を感じればいいのか分からなくなっちゃって、ことりの頭の中がもうぐっちゃぐちゃで)


ことり(笑いながらも泣いてちゃって、そんな中で感情の波でぐちゃぐちゃに心荒らされたことりはどうすればいいのか分からなくてただ、時の流れで動く何かに身を任せてた)


ことり「えへへへへ…!」

穂乃果「あははは…!!」

海未「ふ、二人ともどうしたんですか…」

ことり「なんでもない!ただ、楽しくて!」

穂乃果「そうそう!楽しくて!」


ポロポロポロ…


海未「穂乃果…ことり…」

ことり(今が楽しすぎて、今日の…ううん今までの幸せを一つ一つ意識して数えていく度にこれから変わっていく未来に恐怖を覚えてしまって、自分が何考えてるのかよくわからなくなっちゃって)
274 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:47:19.22 ID:Ohmi38x40



「ねぇ!ことりちゃん!海未ちゃん!」



ことり(そんな時声がしたんだ)


ことり(再臨する恐怖に怯えていたら、太陽に等しい眩しい声が聞こえたんだ)

ことり(ことりはその声の生る方向へ顔を向けた)


穂乃果「四日後のライブ!ぜーったいに楽しくやろうね!!」


海未「は、はい!」

ことり「…うんっ!」

穂乃果「私ねー!ライブまでの四日間、何に対しても本気でやるよー!」

穂乃果「だからー!二人も本気でやろー!!」

ことり(穂乃果ちゃんはことりたちにじゃなく夕日に向かって叫んでた)

ことり(だからことりもそれ同様に夕日に向かって叫んだ)

ことり「分かったー!!ことりも本気でやるねー!」
275 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:49:07.21 ID:Ohmi38x40
穂乃果「あはは!」

ことり「えへへっ!」

キラキラキラ…

ことり(涙はもうさよなら、涙が無くなれば残るのは笑顔だけ)

ことり(今日、お出かけしてほんと良かった)

ことり(もうこの感動は言葉じゃ表しきれないよ、幸せ過ぎて…楽しすぎて…!)

海未「…仕方ありませんね」


海未「私も本気ですよー!!」


海未「本気で穂乃果とことりが好きですー!!」


穂乃果「おー!海未ちゃん言ったなー!」


穂乃果「私もことりちゃんと海未ちゃんが本気で好きー!!!」


ことり「ことりもっ!」


ことり「ことりも穂乃果ちゃんと海未ちゃんが好き!本気で好きだよー!!!」


穂乃果「あははっ」

ことり「えへへっ」

海未「うふふっ」

ことり(あぁ…この出逢いに感謝しないと、そう思ってしまうんだ)
276 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:50:09.32 ID:Ohmi38x40
ことり(ことりの真横にいる太陽がいつか無くなるとしたら、もっと感謝しないと)


ことり(無くなることが分かってるなら、ずっと感謝しないと)


ことり(その後びしょびしょになりながら帰った)

ことり(お母さんに怒られた、でもことりは怒られてすごく嬉しかった)

ことり(お母さんに心配された、でもことりは心配されて嬉しかった)

ことり(感じたもの全てが“素晴らしいモノ”に変わってた)


ことり(ことりは、もう穂乃果ちゃんが消えてしまうことを受け入れたんだ)


ことり(後は楽しむだけ、違うかな?)

ことり(不安なんてないよ、もう楽しむだけ)

ことり「…おやすみなさい」

ことり(今日は色々やって疲れちゃったから早くも明日へとトリップした)
277 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:51:00.78 ID:Ohmi38x40
ことり(そして次の日に聞こえてくるのはうるさい目覚まし時計の音)

チリリリリリリーン

ことり「…!」

チリリリリ ガチャッ


ことり「おはようっ!」

278 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:53:02.24 ID:Ohmi38x40
〜学校、昼

キーンコーンカーンコーン

ことり「はぁ…疲れたぁ…」

にこ「あんたも人気者ね」

ことり「違うよぉ…」

にこ「パソコン開いたらびびったわよ、ことりたち二年生の写真がネットにアップされてて何事かと思ったら超美人が街中を歩いてるとか書いてあってなんだと思ったわよ」

ことり「まさか話題になるなんて…」

にこ「いいやあの二人はまた別の方向だけどあんたは話題になると思うわよ」

ことり「な、なんで?」

にこ「その無自覚なのが腹立つのよ」

ことり「無自覚…?なんか…ごめん…」

にこ「…はぁ別に良いわよ、そうよねことりってそういう人だものね」

ことり「…?」

ことり(次の日の昼、にこちゃんとお昼を食べることになった)

ことり(穂乃果ちゃんと海未ちゃんは絵里ちゃんと真姫ちゃんとでライブの話し合いをするみたいでことりはひとりぼっちだったから丁度よかった)

ことり(暇なお昼に話し相手が出来るのはすごく嬉しいんだけど、話の雲行きがちょっと怪しかった)
279 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:54:54.23 ID:Ohmi38x40
にこ「ことりは小さい時から控えめだったわよね」

ことり「うん、そうだね」

にこ「私はもっと自分を出していけばいいのにってずっと思ってた」

ことり「え?」

にこ「だって昨日話題になったみたいに可愛いんだもの、ああいう服こそことりの良さがよく映えるしなんで前からああいう服を着なかったのか不思議が仕方がないわ)

ことり「だ、だってそれはそんな…ことりには…」

にこ「それ!それなのよ!」

ことり「…?」

にこ「それのせいでダメダメなのよ、ことりは」

ことり「えっ…」


にこ「とても今のことりのままじゃセンターなんて任せられない」


ことり「!」
280 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:56:23.63 ID:Ohmi38x40
にこ「まずね、気迫がない」

ことり「気迫…」

にこ「練習中見てて何にも感じられないの、ただ踊ってるだけで」

にこ「絵里も言ってたでしょ?」


にこ「練習は真剣にやって本番は楽しめばいいって」


にこ「あの程度がことりの真剣だっていうならセンターなんてやめて、あんなんじゃ私はやりたくない」

ことり「…」

にこ「それにね、ことりの一番って教えられたことをちゃんとやろうとする義務感でしょ?」

にこ「義務感が一番だっていうなら尚更センターなんてやる資格はないわ」


にこ「おとなしく絵里か海未にでもセンターを譲っときなさい」


ことり「…」

ことり(にこちゃんの言うことが最もだなと思った)

ことり(だからことりはこう言った)
281 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:57:37.45 ID:Ohmi38x40
ことり「…うん、分かった」


ことり「じゃあ…その二人のどっちかにセンター…譲るね…」


ポロポロ…

にこ「っ!?ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」

ことり「…?」

にこ「今の場面は私センターやりたいって奮いをたてる場面でしょ?!なんでそんなすぐに認めちゃうのよ!!」

ことり「えっ…だってにこちゃんが…」

にこ「違うの!あ、えっと…その…」

ことり「…?」

ことり(にこちゃんにきっついことを言われてものすごくへこんだ、けどその後にこちゃんが慌ただしくして何かを言おうとしてたんだ)
282 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 22:59:38.37 ID:Ohmi38x40
にこ「ん、んん!」

にこ「…私はね、小さい時からアイドルになりたかった」

ことり「…うん、知ってるよ」

にこ「笑顔って言葉に惹かれてアイドルっていう職業にものすごく憧れを感じた」

にこ「でもまぁ私の家庭ってホント無理が出来るような家庭じゃなくて、ちびたちもいるからお金を無理して使って不自由な生活は出来ないし、私がいなかったら家にはちびたちしかいないから時間も取れないの」

にこ「それだけで諦めるような夢だったっていったら違うけど、人の命かかってるくらいなんだから諦めるしかなかった」

ことり「…」

にこ「そんな時、私の近くに南ことりというさいっこうに可愛いのに、アイドルとして最高のポテンシャルを持ってるのにそれを無下にするじんぶちゅ…がいた」

ことり「じ、じんぶちゅ…?」

にこ「うるさい!人物よ!悪い?!」

ことり「い、いやーあはは…」

にこ「…まぁいいわ、私は当時ことりに対して腹が立ったわ」


にこ「アイドルじゃなくても、他の事に対しても活かせる個性を持ってるのにそれを使おうとしないから」


にこ「私には持ってないもの全てをことりが持ってたのにそれを使おうとしないから」


ことり「…」
283 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:01:08.44 ID:Ohmi38x40
にこ「中学校の頃、学年全体でやる劇にヒロインとして抜擢された時あったわよね」

ことり「あ、うん…」

にこ「私はやっとことりが輝ける時が来るのねって思った、実はいうとね、イライラしたのは最初だけ、もう後はずっとことりを応援してた」

ことり「え?」

にこ「こんなにもすごいチカラを持ってる人が近くにいて、それに対して私は夢を追いかけることも出来ないんだからそりゃあ夢に追いつける人を応援するしかないでしょ?」


にこ「口では言わないけど何か私でもしてあげられることをするの、それが私なりの優しさだから」


にこ「…でもね、ことりはそのヒロイン抜擢のやつでさえも他の人に譲った」

にこ「流石に頭にきたわね、あの時は」

ことり「えっ…ご、ごめん…」

にこ「別に良いわよ、昔のことだし」

にこ「ねえことり、あなたってものすごいチカラを持ってるのよ?」

ことり「ものすごいチカラ…?」


穂乃果『…ふふふっことりちゃんの持ってるチカラはすごいんだよ?』


ことり(穂乃果ちゃんも言ってた、一体何なんだろうことりのチカラって)
284 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:02:33.08 ID:Ohmi38x40
にこ「それに気付けないのがことりの最大の弱点なの」

にこ「最高に可愛いし頭もいいしまず人としての個性もバッチリある、それなのにその自分のステータスに気付けないし気付いたとしてもそれを使わないのがことりの最大の失敗なの」

ことり「ことりの…失敗…」

にこ「そうよ、だからねこの際包み隠さず私のスタンスを切り離していうけど」



にこ「今度のステージ、あんたがセンターやるんだから思いっきりことり自身という“自分”を出しなさい」



ことり「自分を出す…?」

にこ「ええそうよ、やっとことりが主役になってステージに立てるの、だからこそこの主役というステージではことりがいつも演じてる脇役のような控えめな感じはいらない」


にこ「今回はことりが主役なんだから遠慮は必要ないの」


ことり「…」

にこ「きっとこんなこと誰も言ってくれないと思うから私が言った、絵里は気付いても多分何かを恐れて言わないだろうし希は気付いてもあえて言わない、穂乃果も同じだし海未や花陽はことりのやり方に任せるだろうし凛や真姫ちゃんはそもそも気付かない」

にこ「だから私がいうの、私がことりの背中を精一杯押すの」


にこ「ことりを応援するの」


ことり「!」

285 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:04:29.71 ID:Ohmi38x40
にこ「さっきダメダメっていったのはことりにもっと頑張ってほしかった、もっと自分を出してほしかったの」

にこ「技術的な面でならもう問題ない、けどまだ最後に、ことりの良さを出し切れてないから」


にこ「それをにこが出させてあげたかったの」



にこ「私のチカラは、誰よりも強く相手の背中を押してあげることだから」



ことり「…!!」

にこ「…この大人気アイドルのにこにーに背中を押されたんだから絶対に頑張りなさいよね?」


ことり「うん…!うんっ!!」

にこ「まったく…ことりが泣くから私まで泣きそうになったじゃない…」

にこ「後…ごめんなさいね、こんな不器用で」

ことり「ううん…いいの、ありがとう」


ことり「ことり…自分を出してみる!」


にこ「ええ!頑張りなさいよね!」

ことり「うんっ!」
286 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:06:12.08 ID:Ohmi38x40
ことり(にこちゃんのチカラ、それは他の人に言えないことをハッキリ言えること)

ことり(それは悪い意味にも繋がっちゃうかもだけど、本音が言えるっていうのはすごくいいことだと思う)

ことり(にこちゃんは根っから優しい人だから、どんなに強くっていっても優しいんだ)

ことり(ことりはにこちゃんの言葉を聞いて心底安心した、そしてにこちゃんに背中を押してもらったんだからこれは頑張らないといけないってそう強く思った)

ことり(なんか不思議だな…きっとこれがにこちゃんのチカラの強さなんだと思う)


ことり(にこちゃんに背中を押された瞬間体が軽くなるようなそんな感覚を覚えちゃって)


ことり(練習も頑張れそうな気がした)

ことり「ほっほっほっ!!」

絵里「はい、そこで決めポーズ!」

ことり「はいっ!」ビシッ

海未「おお…」

絵里「腕をあげたわね…なんか前と全然違うわ…その…気迫っていうか…」

海未「ええ分かります、なんか自然と魅せられるような感じになりました」

にこ「…ふふっ」

希「なんやにこっち急ににやけて気持ち悪い」

にこ「ぬぁんでよ!笑ったら悪いの?!」

希「急に笑うから奇妙さがあるんよ、にこっちの場合は特に」

にこ「私の場合って何よ!」
287 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:06:58.32 ID:Ohmi38x40
凛「いやーことりちゃん輝いてるねー」

穂乃果「そうだね!私も感激しちゃった!」

真姫「なんかもう…オーラを感じるわよね」

花陽「あ、分かります!なんかものすごいピカピカなオーラですよね!」

真姫「そうそう」

ことり「ふふふっ」

ことり(ことり、少しは変われたかな、心の中で自分に、誰かに問いかける)

ことり(にこちゃんのおかげであのステージを更にいいものに出来そうだよ)


ことり(あのステージは九人の本当の本気の想いを乗せて踊るステージだから)


ことり(また一つ、ことりは想いを紡ぐんだ)

ことり(センターの役目はしっかり果たすよ、にこちゃん)


ことり「よーしっ!もうちょっと頑張る!絵里ちゃんやろ!」

288 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:11:04.59 ID:Ohmi38x40
〜その後、家

ガチャッ

ことり「ただいまー」

ことりママ「おかえりなさい、練習の方は順調?」

ことり「うん!順調だよ」

ことりママ「そう、ならよかったわ」

ことりママ「今から何するの?」

ことり「衣装を作るよ」

ことりママ「じゃあ私にも手伝わせてくれない?」

ことり「…え?」




ことりママ「手芸なんて久しぶりね」

ことり「ほんと、さっき聞いた時は出来るか不安だったけど意外に出来るじゃん」

ことりママ「当たり前よ、これでもことりのお母さんをしてるんだから」

ことり「伊達にね」クスッ
289 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:13:19.08 ID:Ohmi38x40
ことりママ「…みんなとは上手くやってる?」

ことり「うん、上手くやってるよ」

ことりママ「そう、希ちゃんとかとはどう?」

ことり「仲良くしてるよ、希ちゃんは小さい時から頼り甲斐があってみんなのお姉さんだよ」

ことりママ「ええそうね…希ちゃんはそうだったわね」

ことり「どうしたの?急に」

ことりママ「いや昔のことりとはもう違うんだなって」

ことり「昔のことり?」

ことりママ「昔のことりは引っ込み思案で、友達も中々作れずにいたじゃない」

ことりママ「…我が子が成長してる姿を見るのは意外と泣けてくるのよ」ウルッ

ことり「お母さん…」

ことりママ「最近のことりはね、すっごく楽しそうなの」

ことりママ「朝は元気な声でおはようって言ってくるし帰ってきたら楽しそうな声でただいまって言うからなんだか私まで嬉しくなってね」

ことりママ「小さい時のことりを思い出したの、無邪気でいつも泥だらけになって帰ってくるから、何をしたんだろうって毎回思いながら洗濯をしてたわ」

ことり「あぁ…えっと…そんな時もあったね」アハハ
290 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:15:18.30 ID:Ohmi38x40
ことりママ「でも中学生になって身の丈を知ったのかしら?急におとなしくなっちゃって」

ことりママ「私は最近の元気なことりが好きなんだけど?」

ことり「むー…身の丈を知ったって学校の理事長が生徒に向かっていう言葉じゃないでしょ」

ことりママ「我が子だからセーフ」フフッ

ことり「困った理事長だね…」

ことりママ「いいのいいの♪」

ことりママ「…まぁきっとことりの近くにいるみんながことりの毎日を楽しくしてるんだって思って、感謝しなさいよ?みんなに」

ことり「それはもちろん!」

ことりママ「ならいいけど」クスッ

ことり「…ねえお母さん」

ことりママ「何?」

ことり「音ノ木坂祭りのステージ…来なくていいって言ったけど、やっぱり…見に来ていいよ」


ことり「…最高のステージにするから」


ことりママ「…!」パアアア
291 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:16:51.57 ID:Ohmi38x40
ことりママ「言われなくても行くわよ!カメラもバッチリ持っとくから任せておきなさい!!」

ことり「そ、そんなことまでしなくていい!」

ことりママ「いいや、可愛い我が子のステージをカメラに収めないなんてもったいなさすぎるわ!」

ことりママ「待ってなさいことり、高性能のカメラでことりのステージをおさえとくから」キラキラ

ことり「はぁ…」

ことり(親バカとはまさにこのこと、まぁそれがお母さんのいいところでもあるんだけど)


ことり(ことりの晴れ舞台、みんなの晴れ舞台を本気で見てほしい、それがことりの想い)


ことり(その想いの強さに、ことりの持ってた針も形を歪ませた)

ことり「あれ…」

ことりママ「あら…珍しいこともあるものね」

ことり「そ、そうだね」アハハ

ことり(お母さんが一緒にやってくれたから衣装作りはかなり捗った)

ことり(ここまでくるとホントに本格的で、本番がより楽しみになってきた)


ことり(不安も悲しみもない、楽しみだけがあるんだから)

292 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:18:58.38 ID:Ohmi38x40
ことり「…さあ、出発だよ」


ことり(ふと呟いた歌詞のワンフレーズ)

ことり(ことりの心は既に乗り気だ、衣装作りをやめ、一日にやることをやってすぐに寝た)

ことり(その日が待ち遠しくて、みんなと会うのが楽しみで)


ことり(早く太陽が見たくて)


ことり「おやすみぃ…zzz」


ことり(誰もいない部屋に一言、おやすみの言葉をかけて今日を終えた)


ピピピピピピ!


ことり(そしてすぐに次の日はやってくる)



絵里「みんなっ!音ノ木坂祭りまであと二日よー!!」

希「おー盛り上がってんなーえりち」

海未「テンションがハイですね」

絵里「当然よ!ここまで頑張ってきたんだから本番は楽しんでいくわよ!」

穂乃果「おー!」

花陽「お、おー!」

真姫「おー?」
293 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:20:45.09 ID:Ohmi38x40
凛「おー!」モグモグ

にこ「こらっ食べながら大声を出さないこと、口から出るわよ?」

凛「えへへごめんごめん」

希「おーにこおかあさーん!」

穂乃果「私を養って〜!」

ギューッ

にこ「どわぁ?!急にこっちくんなっ!」ペシッ

穂乃果「ぶーにこちゃん酷いなー…」

海未「ふっふふふふ…」

にこ「あ?何よ?」

海未「い、いや…にこがお母さんって聞いたらなんか笑っちゃって」

にこ「はあああ??!それバカにしてるわよね?!」

海未「い、いえ…ぷっふふふ…」

にこ「あぁ!いっちょやるかこの破廉恥野郎!」

海未「破廉恥野郎ってなんですか?!」
294 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:21:56.00 ID:Ohmi38x40
希「ネーミングセンスバツやね」

凛「海未ちゃんだかららぶあろ」

海未「凛、死にたいですか?」ニコッ

凛「い、いえ…」

絵里「海未が怖い…」ビクビク

ことり「絵里ちゃんが怯えてどうするの…」

キーンコーンカーンコーン

花陽「あ、あれ?!もうそんな時間?!教室戻らないと!」

にこ「このチャイムは昼の始まりよ?授業がみんな思った以上に早く終わったらこうやって集まったんじゃない」

花陽「あ、あれ…?」

ことり「ふふふっ」クスッ

穂乃果「あはは…」

花陽「うぅ…」カアアア
295 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:24:05.64 ID:Ohmi38x40
凛「はぁ〜今日も疲れたねー」

希「ホントやね〜…」

海未「特に何もしてないような気がするのですが」

穂乃果「いやいやもう座ってるだけで疲れるじゃん!」

海未「それは穂乃果だけです!」

凛「いや〜凛は頭の方が疲れたよ〜」

花陽「あ、私はお腹が疲れたかな…」グウウ

ことり「あはは…花陽ちゃん食いしん坊だね…」

真姫「色々疲れすぎでしょ…」

絵里「そうよ、今日はまだまだあるわよ?」

穂乃果「まぁね」


穂乃果「…後二日か」


ことり「…!」

ことり(控えめな笑みを浮かべて穂乃果ちゃんはそう言った)

ことり「…そうだね」

ことり(後二日、それは色んな意味で後二日)

ことり(でも、もう振り返らないって決めたから)
296 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:25:36.32 ID:Ohmi38x40
ことり「はい、タッチ♪」

海未「はえ?」

ことり「むふふー海未ちゃんが鬼−!」

凛「わー!逃げろー!」

希「お、鬼ごっこやね!屋上だからちょうどいいやん!」

穂乃果「お、やるやるー!」

花陽「え、え…みんな待ってよー!」

絵里「楽しそうじゃない!海未は10秒数えなさいよー!」

にこ「きゅ、急すぎない?!」

真姫「ほんとそれよ!なんで急に鬼ごっこなんか!」

ことり「気分だよー!!」


海未「ええええ?!なんで私が鬼なんですか?!」


穂乃果「早く早く!」

凛「こっこまでおいでー!!」
297 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:26:23.54 ID:Ohmi38x40
海未「え…お、お昼はどうするんですか?!」

希「そんなの後ででいいよー!」

海未「むぅ…仕方ありませんね…」

海未「じゃあ手始めに真姫!あなたを捕まえます!」ダッ

真姫「っ?!なんで私?!」

海未「まてまてまてー!」

真姫「ちょ…まっ…ここ狭い!!」

にこ「狭いくらいがちょうどいいのよ」

真姫「くっ…ここは誰かになすりつける!」

穂乃果「うわっこっちきた!」

凛「逃げろ逃げろー!」

ことり「おー!」

花陽「ま、まって〜…」

ことり「あははははっ!」

ことり(無理矢理にでも流れを変えるのがことり式、もう残りの二日は悲しい思いはしたくないからね)
298 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:27:47.13 ID:Ohmi38x40
にこ「あっつ…」

ことり「ぶふぅ〜…」

希「いやー走った走った」

海未「結局お昼食べれてないじゃないですか!」

凛「いいんだよ海未ちゃん!楽しみは放課後にとっておこう!」

海未「もう楽しみでもなんでもないですよ!」

花陽「うぅ…ぐすっ…お昼がぁ…!」

真姫「よしよし…」ナデナデ

絵里「あははっまぁ残りちょっとあるし食べたい人は急いで食べちゃいなさい」

穂乃果「今日もパンが上手いっ!」パクッ

にこ「はっや…」

ことり(お昼が終わる頃にはみんな汗びっしょびしょだった)

ことり(お昼は急いで食べて昼の終わりのチャイムがなれば一斉に自分の教室に戻っていく)

ことり(ただ、もう残りの時間は音ノ木坂祭りでやることをまとめるような時間だった)
299 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:30:58.97 ID:Ohmi38x40
「ことりちゃんたち出し物するんだよね?」

「頑張って!」

ことり「う、うん!」

「何するのー?」

ことり「それは秘密っ!」

ことり(ここのクラスは学校のお祭りの定番中の定番、メイドカフェをする)

ことり(接客や呼び込み、何か作る人などの係決めをしそれに対して何が必要かなどの確認をした)

ことり(元々そういうのはもっと前から話し合ってたんだけど最終確認って意味で最後にひとまとめ)

ことり(明日は朝から飾り付けや品の準備をしたりで忙しくなりそうだ)

ことり(話し合いが終われば今日のHRは終わり、明日は大変な一日になるからそれの備えだね)


ことり(明後日はもっと大変だけど…)


ことり(そんなHRの終わり、穂乃果ちゃんは凛ちゃんと遊ぶらしくて海未ちゃんは弓道部に顔を出すみたいでことり一人、廊下を歩いてた時)

ことり「あ、絵里ちゃん」

絵里「あら、ことり」

ことり「何してるの?」

絵里「生徒会の仕事よ、こんな早く帰れる日でも生徒会はやることがあるっていうのはホント憂鬱よ…」
300 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:32:27.29 ID:Ohmi38x40
ことり「じゃあ手伝うよ」

絵里「いいわよ、大変よ?」

ことり「ううん大丈夫!」

ことり「ほらっ!やろっ?」

絵里「え、ええ」

スタスタスタ

絵里「あら、あれは」

ことり「真姫ちゃん!」

真姫「二人とも…」

絵里「真姫は帰り?」

真姫「ええ、まぁ」

ことり「じゃあことりたちと一緒に生徒会のお仕事しよ!」

真姫「…えっ?」



スタスタスタ

真姫「ことりって生徒会だっけ?」

ことり「ううん違うよ、今日は絵里ちゃんのお手伝い」
301 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:35:11.77 ID:Ohmi38x40
絵里「ごめんなさいね、真姫まで巻き込んで」

ことり「えっ?」

真姫「えっ…」

絵里「…あ、違うの!わざとじゃないの!」

真姫「お、面白いわね」

絵里「やめて!面白くないなら面白くないって言って!」

ことり「絵里ちゃん強く生きよう…」

絵里「当たり前よ!」

ことり「…」

真姫「…」

絵里「…ぷっ」

絵里「あはははは!」

ことり「ふふふふっ」

真姫「まったく…」
302 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:36:47.85 ID:Ohmi38x40
絵里「私たち、小さい時からこのノリね」

ことり「ねっ」

真姫「そうなの?」

絵里「ええそれは仲良しこよしだったわよ」

真姫「そうなの…」

真姫「…私ね、ことりや絵里たちの輪に入れてすごく嬉しい」

ことり(突然真面目な顔をし、丁度空いてた窓辺から外に顔を出して真姫ちゃんはふとそう言った)

絵里「ええ、私も真姫と出会えてすごく嬉しい」

ことり「ことりも!」

真姫「ありがとう」

絵里「私もあのグループに入れたこと、いつ思ってもすごく嬉しかったわ」

ことり(絵里ちゃんは真姫ちゃんの隣の壁に背中を寄せながら、優しい声でそう言った)
303 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:38:55.30 ID:Ohmi38x40
絵里「私ね、すごく思うんだけどもしみんなに会ってなかったら今頃どうしてたのかしら」

ことり「うーん…分からない…」

絵里「ええそうね、分からないのよ」


絵里「でも怖いの」


真姫「怖い?」

絵里「私は小さい頃から接し方が不器用不器用って言われ続けてきた」

絵里「だから希やにこ、穂乃果やことりと逢ってなんとか人との接し方を学んだの」

絵里「そんな中で私は一つの到達点に辿り着いた」

ことり「到達点?」


絵里「私、みんなが頼ってくれるような賢い人になればいいんだって思った日があった」


絵里「だから超勉強して今では生徒会長!」

絵里「今の私がここにこうしているのはみんながいたからなの」

絵里「だからこそ怖いの」


絵里「みんなと出逢わずに、人との接し方を、歩き方を知らない私が今ここにいたらどうなってたのかが」


ことり「…」

真姫「…」

絵里「…ふふっごめんなさい、こんな話になっちゃって」

ことり「ううんことりも同じようなこと思ったことある分かるよ」

真姫「やっぱり…そういうものなのね」

絵里「ええそういうものなの」
304 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:40:27.29 ID:Ohmi38x40
絵里「だからさっき言った通り、困ったことがあればなんでも相談しなさい?」



絵里「私のチカラはその人にしてあげられることに全力を尽せることだから」



絵里「みんなにいじられたりしてるけどこれでも私は」


絵里「賢い可愛いエリーチカ、なんだから♪」フフンッ


ことり「ふふふっそうだね」

真姫「珍しく頼り甲斐あるじゃない」

絵里「なによ珍しくって!」

真姫「冗談よ、絵里がしっかりしてるっていうのは全員が知ってるから大丈夫だと思うわよ」

絵里「そ、そう…」

真姫「…ねえついで私の話も聞いてくれない?」

ことり「うん、いいよ」

絵里「分かったわ」
305 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:42:36.30 ID:Ohmi38x40
真姫「私もさっき言った通り、みんなに出逢えてホントによかった」

真姫「…元々私って友達とか全然いなくて、小学校も中学校もほとんど一人で過ごしてきた」

ことり「そ、そうなんだ…」

真姫「ええ、だからついこの前、約一週間半前、穂乃果に出会った時は身体が火照るような“熱さ
”を感じた」

絵里「ふむ…」

真姫「話っていってもね、ほんの少ししかないの」

真姫「私が言いたいことはただ一つ」


真姫「これからも、どうぞよろしくお願いしますってね」


絵里「ええ!」

ことり「もちろん!」
306 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:44:00.05 ID:Ohmi38x40
真姫「それで、私みんなと一緒にいて分かったの」

ことり「?」


真姫「私の出来ること、それは私にか出来ないことでみんなを輝かせること」



真姫「それが本当の私のチカラ」



ことり「…!」

ことり(真姫ちゃんの目は輝いてた)

ことり(穂乃果ちゃんのような自分という存在だけで輝く瞳をしてた)

ことり(絵里ちゃんもそうだった、ピカピカな笑顔をしてた)

真姫「だから私にだって頼っていいんだからね、これでも頭はかなりいい方なんだから」

絵里「知ってるよわよーそれ、学年一位らしいじゃない」

真姫「当然よ!」

ことり「す、すごい…」
307 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:45:52.39 ID:Ohmi38x40
絵里「ふふ、こんなところに出逢えて私たち、幸せね」

真姫「ええそうね」

ことり「うんっ!」

絵里「…大切にしていきましょう、このグループを」

真姫「そりゃあね」

ことり「それはみんな同じだよ」


ことり「みんな同じ気持ちを持ってる、それは間違いないよ」


海未『いくら同じイメージを共有していても、他の人の経験やその時の気持ちは、本当は見えていないのだ』


ことり(あの言葉は違う、そうことりの経験が物語ってる)

ことり(絵里ちゃんも真姫ちゃんも、みんな同じ)


ことり(みんながみんなに、出逢えてよかったって思ってた)


ことり(その言葉が、何よりの証明だ)

ことり(本当は見えていないなんてただの屁理屈だ)

ことり「…」ギュッ

ことり(胸元にあるリボンをぎゅっと掴んだ)


ことり(ことりの心はもう、折れない)


ことり(一つの矢だと簡単折れてしまっても、九つ束ねれば折れない)

ことり(もう、本番はすぐそこなんだ)

ことり(残りの二日、ただ楽しむだけじゃ終わらせない)


ことり(この二日間にことりの一年分の、ううんもっと一生分の元気を込めるよ)

308 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:47:03.24 ID:Ohmi38x40
絵里「明日は音ノ木坂祭り準備よ?明後日もだけどちゃんと体調管理はするのよ?」

ことり「もちろん!」

真姫「分かってるわよ」

絵里「…ホントに生徒会の仕事手伝うの?」

ことり「それはそうだよ!」

ことり「…あ、なんかまずかった?」

絵里「い、いやホント時間かかるわよ?今日早く帰れるしもったいなかなーって」アハハ

真姫「別に私は家に帰っても暇だし」

ことり「私も大丈夫!」

ことり(その後真姫ちゃんと絵里ちゃんの生徒会の仕事を手伝った)
309 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:48:08.89 ID:Ohmi38x40
ことり(三人だったからすぐに終わった、外に出て正門を抜けた)

スタスタスタ

ピタッ

ことり「…」

ことり(立ち止まり後ろを振り向いた)

ことり(学校のまたその奥に見える藍色の空が今の時間の遅さを示してた)


ことり(すぐってどのくらいだろう、一日かな、一時間かな)


ことり(ことりのすぐっていうのはホントに、何時間だろうと一瞬のことだった)
310 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:49:36.69 ID:Ohmi38x40
ことり(だからすぐに時間は過ぎ、気付けば学校は祭りの準備で大騒ぎだった)

ことり「わわわわわっ!」

穂乃果「こ、ことりちゃん落ち着いて運ぼう!」

ことり「う、うん!」

穂乃果「よいしょ…よいしょ…」

ことり「ふう…」

穂乃果「やっぱり機材系は重たいね…」

ことり「ねっ…」

希「おーやってるか諸君たち」

穂乃果「あー!希ちゃんどうしてここに?」

希「ちょっと必要なもの取りに行くついでに」

ことり「そっか、そっちは順調?」

希「まあまあかな、まぁやるのはなんてたって平日だからお客さんも文化祭ほど大量にくるわけやないし隅から隅まで完璧にする必要はないんやないかな」

ことり「まぁ確かに…」
311 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:50:59.30 ID:Ohmi38x40
穂乃果「でもでも出来るところまではやるよ!」

希「そうやね!じゃあウチはいくね!」

ことり「うん!わかった、ばいばい」

希「ばいばーい」

スタスタスタ

穂乃果「さて、メイド服は…ってあれは…」

ことり「…!!」


海未「ちょ、ちょっとカメラこっちに向けないでください!」


ことほの「海未ちゃん!」

ことり「おーい!海未ちゃーん!」

穂乃果「何やってるのー!」
312 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:53:12.36 ID:Ohmi38x40
海未「ほ、穂乃果…ことり…」

ことり「きゃー!!可愛いー!!!」

モギューッ

海未「ぐふぅ…」

穂乃果「すごいすごい!海未ちゃんメイドだ!!」

穂乃果「…ところで何でこんなに人がいるの?」

海未「た、試しに着てみてって言われてきたらいっぱい人がきちゃって…」

ことり「そりゃあ海未ちゃん可愛いんだもん!いつもは凛としててカッコいいのにメイド服を着た時の可愛さギャップ萌えがすごすぎるんだよ!!」

海未「は、はぁ…?」

ことり「これはお客さんの数も期待できるね!」

穂乃果「おお!」

ことり「とりあえず海未ちゃんもそこで突っ立ってないで早く準備に移るよ!」

海未「は、はい!」

海未「で、では失礼いたします!続きは明日のお祭りでさせていただきます!」

「きゃー!!」

「絶対行きますー!!!」

穂乃果「すごい人気…」

ことり「海未ちゃん後輩にも先輩にもモテモテだから…」アハハ
313 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:55:03.51 ID:Ohmi38x40
スタスタスタ

「ねー!ことりー!」

ことり「あれ?絵里ちゃん?」

絵里「今こっち体育館の飾りつけしてるんだけど、出し物の確認とかあるの!」

絵里「だからちょっと来てー!」

ことり「あ、うん!」

ことり「ご、ごめん行ってくるね」

穂乃果「うん!行ってらっしゃい!」

海未「いってらっしゃい」

タッタッタッ

絵里「よしっ行きましょう?」

ことり「うん!」
314 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:56:23.22 ID:Ohmi38x40
タッタッタッ!

絵里「お待たせ!連れてきたわ!」

「あ、ことりちゃん!」

ことり「ごめん待たせちゃって」

「ううん!大丈夫!」

絵里「えっとさっき言った通りことりを中心とした九人で歌とダンスを披露するの」

絵里「CDはもうそっちにいってるでしょ?」

「はい!」

絵里「衣装とかもこっちで準備してあって、今日の朝ことりから預かったわ」

絵里「それでお願いがあるんだけど」

「お願い?」

絵里「私たちのやるステージは本物よ、だから最後にしてほしいの」


絵里「私たちが最高のパフォーマンスをするから」


ことり「えぇ?!絵里ちゃんちょっと?!」

「はい!分かりました!超期待してます!」

絵里「ふふふっ任せときなさい」
315 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:57:52.80 ID:Ohmi38x40
絵里「よーしっ!MVP取るわよ!」

ことり「えむぶいぴー?」

絵里「出し物で一番すごいと思ったところに送られる称号よ!これ取って最高の思い出にしましょう!」

ことり「す、すごいね気合いが…」

絵里「当然よ!でもそういうのを取る取らないの前に」


絵里「思いっきり、本気で楽しみましょう?」


ことり「…!」

ことり「うんっ!」

「リハーサルしまーす!出し物を出す人たちはこっちに集まってくださーい!」

絵里「はーい」

ことり「は、はーい!」

ことり(体育館の内装を見れば分かるけど、この空間は“本気”だった)

ことり(私たちが躍るにさいっこうの舞台、さいっこうの熱気を集められる空間だった)
316 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/13(水) 23:58:55.58 ID:Ohmi38x40
「スポットライト準備おっけー!」

「音楽いいよー!」

「マイクもバッチリ!」

ことり「……」


ドクンッ


ことり(私、ここで踊るんだ、そう胸が高鳴った)


ことり(今日はただのリハーサルでみんな出し物を披露するわけじゃないけど、そのリハーサルでさえ見ようとギャラリーが少し来てた)

ことり(ざわざわと聞こえる喧騒に緊張感を感じた)

「最後−ことりさんたちのーえっとー…」


絵里「μ’s!希命名!グループ名はμ’sよ!!」


「最後はみゅ、μ’s!」

絵里「さっことりいくわよ」

ことり「う、うん」
317 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 00:01:02.73 ID:2Lo9u+rk0
スタスタスタ

ことり「!」

ことり(いざ本気の場所で本気のステージに立つと分かる)

ことり(ここで踊る偉大さと難しさが)

ことり「…」

プルプル

ことり(足が震えてた)

ことり(ものすごく怖くなった)

「はい、そこでμ’sの出し物が終わってそこで少し間を開けてMVPの発表に移る、という感じで!」

絵里「ことり、戻るわよ」

ことり「あ、うん!」

スタスタスタ

ことり「………」

ブルブル

ことり(まだ足は震えてた)

ことり(あのステージに立ち、スポットライトに照らされた時、ことりは緊張感のあまり爆発しそうになった)

ことり(これで当日はあれを、あのダンスをたくさんの人の前で踊るんだ)

ことり(ずっと踊るつもりで頑張ってきたけど、今になってその踊ることが果てしなく遠く見えた)
318 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/14(木) 00:03:32.75 ID:2Lo9u+rk0
ことり「…」

ドクンッ

ことり「!」

ことり(胸に両手を当てると聞こえる鼓動、あのステージに対して混乱やどよめき、後は恐怖を覚えてる証拠だった)

ことり「…」ゴシゴシ

ことり(額に流れる汗、ことりは何かに焦りだしてた)

ことり(あのステージに怖気ついちゃったのかな、とにかくことりの心が今のままじゃダメって危険信号と警告を鳴らし続けてる)

絵里「…どうだった?あのステージ」

ことり「…!あ、えっと…ものすごく緊張した…」

絵里「でしょうね、だってあのステージに立ってたことりは全然笑顔じゃなかったもの」クスッ

ことり「絵里ちゃんは…ああいうの平気なの?」

絵里「もちろんっ仮にもバレエをしてたのよ?人前で踊ることくらい慣れっこよ」

ことり「…」
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