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梨子 「ひぐらしのなく頃に」
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176 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/11(月) 22:17:52.18 ID:GPWsP05p0
梨子 (ウイルス…。本当にこれは、ウイルスによるものなのかな)
梨子 (なにかもっと別の…大切なことを見落としている気がしてならない…)
梨子 (でもありがとう、果南さん。)
梨子 (次の沼津は、必ず救って見せます…! だから今回は…)
梨子 (許して…ください)
最後の一撃を喰らい、私の意識は完全に闇の中へと溶け込んでいった。
ーーーーーー
ーーーー
ーー
177 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/11(月) 22:18:49.08 ID:GPWsP05p0
ひぐらしのなく頃に
【神隠し編 ―完―】
178 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/11(月) 22:19:54.40 ID:GPWsP05p0
本日はここまでとさせていただきます。
次回、最終編(回答編)です。
ここまで読んでいただきありがとうございました。ぜひ最後までお付き合い下さい
179 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:06:50.02 ID:FbcA272X0
【訂正】
>>175
のメールですが、届いた時刻に誤りがありました
誤)15:30
正)17:30
180 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:12:56.12 ID:FbcA272X0
一度目なら、今度こそはと私も思う。
避けられなかった惨劇に。
二度目なら、またもかと私は呆れる。
避けられなかった惨劇に。
三度目なら、呆れを超えて苦痛となる。
そして苦痛は決意に変わる。
この街に越してくるのは、これが最後だと。
181 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:13:54.52 ID:FbcA272X0
【解き明かし編】
182 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:14:44.27 ID:FbcA272X0
〜8月26日(月)桜内家新居〜
梨子母 「梨子ー! 荷物運ぶの手伝いなさいよ!
ほとんどあなたの本でしょー!?」
梨子 「分かってるー」
ここ内浦に越してくるのは“4度目”だが、ひぐらしの声が煩く響いているのは変わらない。
荷物を運んでいると、隣家から出てきた千歌ちゃんと目が合う。…まだ向こうは私を知らないから、会釈程度でその時の挨拶は終わった。
梨子 「千歌ちゃん…」
…よし、覚えてる。全部覚えてる。
この街で過ごした3度の夏。最後に力を振り絞って見た、果南さんからのメールも。
183 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:15:27.94 ID:FbcA272X0
…ふと部屋のピアノを目にした時、狂人化した時の記憶がフラッシュバックした。
千歌 『……ぃ たぃ…ょ 梨 ……こ ちゃ……ん』
梨子 「……っ!」
梨子 「…ごめんさい、千歌ちゃん」
梨子 「今度は絶対に…失敗しないから!」
ーーーーーー
ーーーー
ーー
184 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:16:16.61 ID:FbcA272X0
〜8月31日(土)〜
鞠莉 「一ヶ月しか離れてなかったのに、なんだかすごく懐かしく感じるね」
ダイヤ 「はぁ…感謝してくださいよ? こんなに長い間あなたを匿っていたんですから」
鞠莉 「勿論! Thank you ダイヤ!」ギュッ!
ダイヤ 「うぅ…暑い…」
果南 「ほら鞠莉、まだ暑いんだから離れなって……ん?」
梨子 「…………。」
185 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:16:54.61 ID:FbcA272X0
鞠莉 「What? 君、何か用?」
梨子 「あっ、こんに…はじめまして」
ダイヤ 「あなた確か…夏休み明けから転入してくる」
梨子 「桜内梨子です。実はお話があって…」
果南 「話?」
梨子 「はい、私…」
梨子 「この街の呪いを解き明かしたいんです!」
ーーーーーー
ーーーー
ーー
186 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:17:46.89 ID:FbcA272X0
〜鞠莉の部屋〜
果南 「……本気で言ってる? それ」
梨子 「はい、本気です」
ダイヤ 「ではつまり、再来週の土曜日…街で狂人化が大量発生すると?」
梨子 「信じられないこと言ってるのは重々承知です! でも本当なんです!」
鞠莉 「ふーむ…じゃあ君は、どうしてそのことを知ってるのかな?」
梨子 「…実際に経験したから」
187 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:18:41.82 ID:FbcA272X0
果南 「経験した…? 街が滅ぶのを?」
果南さんの問いかけに、私は黙って頷く。
ダイヤ 「あなた、ふざけるのもいい加減に…!」
鞠莉 「待って、ダイヤ。もうちょっと聞いてみようよ」
ダイヤ 「鞠莉さん…?」
鞠莉 「よかったら教えてくれない? あなたが経験してきたこと」
梨子 「…もちろんです」
私は全てを話した。
この夏…3度経験した、ここ沼津での生活を。
188 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:19:09.92 ID:FbcA272X0
果南 「なんで…私のみかんのことまで知ってるの」
鞠莉 「ダイヤの妹さんのことも当たってるんでしょ? ダイヤ」
ダイヤ 「はい…そのことは門外不出であるはずなのですが」
梨子 「…私が知ってるのはここまでです」
果南 「いや、十分すぎるんじゃないかな…」
189 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:20:55.42 ID:FbcA272X0
梨子 「まだ、犯人に繋がる確たる証拠が掴めてないんです。お願いします…私に、協力していただけませんか!?」
ダイヤ 「協力…と言いましても」
果南 「私たちは何をすればいいの?」
梨子 「情報源です。ウイルスのことや、その活性化の噂を流した人を知りたいんです」
ダイヤ 「なるほど…。再来週ウイルス活性化の噂を流す人物を特定すればよろしいのですね?」
果南 「ダイヤ…協力するの?」
ダイヤ 「…私もそろそろ、内浦の怒りに振り回されるのには飽き飽きしていました。真相を知りたいのは、私も同じです」
190 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:21:33.91 ID:FbcA272X0
鞠莉 「…決まりね。私も協力するよ、梨子」
果南 「2人とも…なんでそんな簡単に」
鞠莉 「野暮なこと聞いちゃNoだよ果南」
ダイヤ 「自分を信じて欲しければ、まず相手を信じる…鞠莉さんがいつも仰っているでしょう?」
果南 「…分かったよ。私も色々調べとく」
梨子 「みなさん…ありがとうございます!」
……これで残る課題はあと2つだ。
犯人、そして神具の正体を突き止めなければ。
ーーーーーー
ーーーー
ーー
191 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:22:39.40 ID:FbcA272X0
〜9月11日(水)沼津駅前〜
曜 「…でもよかった。果南ちゃんと千歌ちゃんが仲直りしてくれて」
千歌 「うん。全部梨子ちゃんのお陰だよ」
梨子 「ううん、千歌ちゃんがちゃんと自分の気持ちを伝えたからだよ」
千歌 「いやぁ…えへへぇ」
…結局、大した進展のないままこの日を迎えてしまった。タイムリミットである土曜まであと3日。
しかし今日が一番の勝負時だ。今日は、“あの子達”に会う日だから。
千歌 「…あっ、ルビィちゃん! おーい!」
ルビィ 「あれっ、千歌さん、曜さん! それと…」
192 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:23:16.86 ID:FbcA272X0
梨子 「はじめまして、桜内梨子です」
ルビィ 「あっ、お姉ちゃんから聞いてます! なんでも呪いを解き明かそうとしてるとか…」
千歌 「そうなんだよ! 私達も頑張ってるんだけど…」
曜 「神具のこととか、資料がほとんど残ってなくて…。早くも行き詰まったって感じかな」
花丸 「…あ! 梨子さーん!」
梨子 「花丸ちゃん、こんにちは」
193 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:23:51.64 ID:FbcA272X0
梨子 「花丸ちゃん、どうかな?」
花丸 「いや…それが全然。オラのとこでも資料がまだ見つからなくて」
梨子 「そっか…」
善子 「ずら丸ー? この前の話だけど…」
梨子 「…? あなたは?」
善子 「あっ…はじめまして。津島善子です」
花丸 「あれっ、ヨハネって言わないずら?」
善子 「流石に先輩相手は…」
194 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:24:33.44 ID:FbcA272X0
花丸 「善子ちゃん、オラの幼馴染みなんです。神具のことについて一緒に調べてもらってて」
梨子 「そうだったんだ。ありがとう」
善子 「いえそんな…」
花丸 「なんかここまで謙虚な善子ちゃんは違和感しかないずら」
善子 「うっ、うるさいわね!」
195 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:25:09.38 ID:FbcA272X0
千歌 「梨子ちゃーん、そろそろ行くよー?」
梨子 「あっ、うん。じゃあ二人とも、引き続き調べてもらってもいいかな? 私も色々調べるから」
花丸 「はい、任せてください!」
善子 「ふっ…これも堕天使としての運命」
梨子 「…?」
花丸 「あっ、いつものことです」
梨子 「そ、そう…」
196 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:25:37.96 ID:FbcA272X0
梨子 「じゃあ、よろしくね」
花丸 「はい、さようなら」
曜 「じゃーねー!」
ルビィ 「……あっ」
花丸 「どうしたずら? ルビィちゃん」
ルビィ 「…飴、渡しそびれたなぁって」
ーーーーーー
ーーーー
ーー
197 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:26:07.94 ID:FbcA272X0
〜9月13日(金)梨子宅〜
明日…またあの日が来る。
一週間の疲れを取るため仮眠を取ろうとしたが、その考えが頭にまとわりつき、なかなか眠ることが出来ない。
そんな状態から一気に目を覚まさせてくれたのは、ある一通のメールだった。
花丸 『神具の正体がわりました! 今から私の家に来れますか!?』
梨子 「……っ!」ガバッ!
慌てて飛び出てから気付く。
花丸ちゃんの家ってどこだっけ…?
ーーーーーー
ーーーー
ーー
198 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:26:40.83 ID:FbcA272X0
〜国木田家 客間〜
梨子 「…水?」
花丸 「はい、神具の正体は水でした。通称“狂信水”」
善子 「この水を使うと、使われた人間は一時的狂気に陥り、その後無気力化する…らしいです」
梨子 「やっぱり、ウイルスなんかじゃなかった。…でもこれを犯人はどう使ったんだろう」
善子 「もし梨子さんが言う通り、街の人を全員狂人化させるとなると、全員に水を飲ませることになる」
花丸 「流石にそれは…」
199 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:27:11.80 ID:FbcA272X0
……思考を巡らせる。
1度目。私はおそらく狂人化していた。
あの時、私はそれらしき水を体に含んだだろうか? …いや、そんな記憶はない。
2度目。千歌ちゃんが狂人化したあの時。
私は狂人化しなかった。つまり1度目と変わったところに、狂人化のヒントがあはずだ。
それに、ずっと部屋にいた曜ちゃんも狂人化していなかった。その時の私と曜ちゃんの共通点は…?
3度目。当主様が狂人化した時。
駅前でルビィちゃんと待ち合わせをしていた曜ちゃんは、狂人化しなかった。だが室内にいた人々は揃って狂人化した。
200 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:27:40.49 ID:FbcA272X0
梨子 「…その水って、どのくらい摂取すると狂人化するの?」
花丸 「詳しくは書かれてないんですけど…極めて微量でも狂人化は起きるみたいです」
梨子 「……。」
曜 『私みたいにずっと外にいた人とかは大丈夫なんですけど、室内にいた人はみんな…!』
梨子 「…もし、“飲む”以外でも発症するとしたら…?」
善子 「えっ? でも水なんですから、飲む以外に摂取する方法なんて…」
201 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:28:27.46 ID:FbcA272X0
花丸 「……もしかして」
梨子 「気付いた? 花丸ちゃん」
花丸 「空気清浄機…?」
梨子 「そう。この街でよく見かける空気清浄機、あれはほとんど水式だった」
善子 「…もし、気化した狂信水を吸い込んだだけでもアウトだとしたら」
梨子 「…説明がつく。でも、それをするためには」
花丸 「前もってここら辺一体に水を供給している水道か、配水池に狂信水を混ぜ込む必要があるずら」
202 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:29:14.84 ID:FbcA272X0
梨子 「…明日の朝、一緒に出れる?」
花丸 「えっ、はい!」
善子 「どこに行くんですか?」
その時、微かな振動を体に感じた。
梨子 (ダイヤさんからのメール…やっぱり)
梨子 「…内浦の怒りを、終わらせに行くのよ」
ーーーーーー
ーーーー
ーー
203 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:30:19.21 ID:FbcA272X0
〜9月14日(土)配水池〜
まだ日が昇って間もない頃。
千歌ちゃんと曜ちゃんも連れ、私たちは沼津の水道に繋がる配水池にやって来た。
…沼津一体に水が届く時間から逆算すれば、おそらくこの時間だろう。
梨子 「……やっぱり」
花丸 「…………嘘…ずら」
千歌 「なんで、ここにいるの…?」
「「「「「ルビィちゃんっ!!」」」」」
ルビィ 「…皆さん勢揃いでどうしたんですか?」
204 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:30:45.79 ID:FbcA272X0
梨子 「…ルビィちゃんは何をしてるの? こんな所で」
ルビィ 「ちょっとした散歩ですよ」
梨子 「その手に持ってる水は何?」
ルビィ 「……水分補給は大切でしょう?」
梨子 「でもそれ、ルビィちゃんは飲むつもりないよね?」
ルビィ 「…やっぱりあの時、飴渡しとくんでした」
205 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:31:26.54 ID:FbcA272X0
千歌 「ねぇ…どういうことなの梨子ちゃん。ルビィちゃんは一体…!」
梨子 「見た通りよ。内浦の怒り…その全ての原因は、ルビィちゃんよ」
曜 「嘘だよ…絶対嘘!」
梨子 「…ルビィちゃんは今日のこの時のために、色々準備をしていたんだよ。そうでしょ?」
ルビィ 「…梨子さんはどこまで知ってるんですか?」
206 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:31:53.41 ID:FbcA272X0
梨子 「まず街全体を狂人化させるためには、全員が一斉に水を摂取する必要がある。でもそれはあまりに現実的じゃない」
千歌 「じゃあウイルスの仕業って噂を広めたのって…!」
梨子 「そう、ルビィちゃんよ。みんなに空気清浄機を持たせるためにね」
ルビィ 「……。」
梨子 「そして今日…いや、正確には昨日ね」
携帯を開き、昨日ダイヤさんから受け取ったメールを開く。
207 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:32:24.42 ID:FbcA272X0
9/13 (金)18:27
From : 黒澤 ダイヤ
宛先 : 桜内 梨子
件名 : ウイルスについて
ーー
梨子さんの仰ったとおりでしたわ。
明日、狂人化ウイルスが活性化するという噂が広がっているようです。情報源は不明ですが、これだけ信用されてるとなると、地位の高い者か、専門知識のある方によるものでしょう。
お母様曰く、外出はなるべく避け、空気清浄機をつけておくようにと呼びかけるようです。
208 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:32:52.94 ID:FbcA272X0
梨子 「この噂広めたの…ルビィちゃんだよね」
善子 「確かに、黒澤家の娘の言うことなら、みんな信じるかもね」
梨子 「この話を聞いた市民は全員、空気清浄機を付けようとする。そして室内にとどまり、確実に気化した狂信水を吸い込む」
梨子 (そしてきっと…私の狂人化は)
209 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:34:02.00 ID:FbcA272X0
1度目の狂人化。
あれは恐らく、予め狂信水が塗りこまれていた飴が原因だろう。同じく飴を食べた千歌ちゃんもほぼ同タイミングで発症したことも頷ける。
2度目。
千歌ちゃんは飴によって発症。
曜ちゃんはずっと部屋にいたおかげで、空気清浄機から出る空気を吸わずに済んだのだろう。
3度目。
恐らく狂人化する早さには個人差がある。
当主様が先に発症しただけで、あの後千歌ちゃん達も同じく発症したかもしれない。
……どれにおいても、ルビィちゃんが犯人なら全ての説明がつく。
曜ちゃんとの待ち合わせに来なかったことも。
210 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:34:49.86 ID:FbcA272X0
梨子 「……ルビィちゃん、なんだよね」
ルビィ 「流石にこの現場を見られて、言い逃れはしません」
曜 「ルビィちゃん…どうして?」
鞠莉 「そんなに小原家が気に入らなかったの?」
梨子 「鞠莉さん!? それに果南さんも…」
果南 「鞠莉に呼ばれて、急いで来たんだ。千歌達が揃って出かけたから、何か怪しいって」
梨子 「ダイヤさんは…?」
鞠莉 「呼ばない方が良かったでしょ?」
梨子 「……はい」
211 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:35:23.60 ID:FbcA272X0
ルビィ 「…別に、小原家が憎かったわけじゃないです。ただルビィは、黒澤家としての役目を果たせればそれでよかったんです…!」
梨子 「黒澤家としての役目?」
ルビィ 「……ルビィは、黒澤家から捨てられたんです。ルビィが未熟だったから」
知っている…とは言わなかった。
本人の口から全て語られるのを待った。その方が、みんなにも伝わるだろうから。
ルビィ 「…ルビィは、見捨てられたんです」
千歌 「ルビィちゃん…そんなことが」
212 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:35:51.90 ID:FbcA272X0
ルビィ 「だからルビィは、黒澤家の人間として、しっかりとやるべきことをやれると証明したかったんです!」
ルビィちゃんは涙を流しながら、自分のしてきた事をすべて告白し始めた。
ルビィ 「ホテルが建ったりしたら、黒澤家は威厳を失う! お姉ちゃんもお母さんも困ってた! だから…だからぁっ!!」
梨子 「汚れ役を引き受けた…?」
ルビィ 「…建設員の人に差し入れですって…狂信水を混ぜ込んだお茶を差し出したら、怪しむ様子もなく受け取ってくれました」
213 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:36:42.85 ID:FbcA272X0
ルビィ 「事件が起きて確信しました。狂信水は本物だって…」
梨子 「狂信水は、神社で?」
ルビィ 「お姉ちゃん達の反対運動が成功しますようにって、毎日お参りに行ってたんです」
花丸 「……。」
ルビィ 「毎日通っているうちに、淡島神社についてもっと知りたくなったんだ。それで狂信水のことについて知ったんだ」
ルビィ 「本来ならすぐバレるはずでした。それでルビィだけがお咎めをくらって…でも黒澤家は威厳を保つことが出来る。それで良かったはずなのに!」
千歌 「一向に事件は解決せず、疑いは黒澤家全体に及んだ…。私のところにも」
214 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:37:11.31 ID:FbcA272X0
ルビィ 「訳の分からない呪いなんかの話まで出始めて…お姉ちゃん達が疑われて! 耐えられなかった…!」
曜 「……。」
ルビィ 「ホテル建設が中止になっても、足がつくようにわざと狂人化を起こし続けた。それでもルビィが捕まることはありませんでした」
ルビィ 「それで思ったんです。黒澤家は、本当にこんな街を守る必要があるのかなって」
ルビィ 「こんなにわかりやすい犯行を繰り返してるのに、私にたどり着かないってことは、街の人たちは本気で街のことを心配してないってことですよね?」
215 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:37:37.83 ID:FbcA272X0
ルビィ 「何も生みやしないいじめや嫌がらせだけを続ける人たちに嫌気が差したんです。だから、すべて終わらせようと…」
梨子 「…そうだよね、確かにそうかも」
千歌 「梨子ちゃん?」
梨子 「人は誰だって完璧じゃないし、失敗だってするよ。絶対に次は大丈夫って思ってもダメなときだってある」
ルビィ 「じゃあ…!」
梨子 「でもね、だから学べることもあるの」
216 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:38:24.15 ID:FbcA272X0
鞠莉 「…私はね、いじめを受けて分かった。この街の人は、本当にこの街が好きなんだなって」
ルビィ 「鞠莉さん…」
鞠莉 「今まで反対を押し切って開発を進めたことは何度かあったけど…こんなに熱いハートを感じたのは初めてだったよ」
果南 「…私も、梨子のお陰で人を信じることの大切さを学べたんだ」
梨子 「果南さん…」
217 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:39:13.74 ID:FbcA272X0
梨子 「ルビィちゃん、もうちょっとだけ、みんなを信じてみない?」
ルビィ 「信じる…ですか…?」
梨子 「うん、きっとみんな、まだ学んでる途中なんだよ」
花丸 「……帰ろ、ルビィちゃん」
花丸ちゃんがルビィちゃんに手を差し出す。
ルビィちゃんの目はいつの間にか、狂気的なものから、いつもの可愛らしい目に戻っていた。
ルビィ 「でもルビィ…帰るところなんて」
「それは違いますわっ!!!」
218 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:40:02.40 ID:FbcA272X0
果南 「……ダイヤ?」
鞠莉 「どうして、ここが…?」
ダイヤ 「私に隠し事など10年早いですわ、みなさん」
ルビィ 「お姉ちゃん…」
ダイヤ 「ルビィ…さっきの話、すべて聞いてましたよ」
ルビィ 「お姉ちゃん…。 ルビィ、頑張ったんだよ? 私も黒澤家の1人だってことを…」
ダイヤ 「ぶっぶーーーっ!!! ですわっ!!」
ルビィ 「ぴぎぃっ!?」
219 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:40:44.63 ID:FbcA272X0
ダイヤ 「何を言っているのですかっ! ルビィはれっきとした、黒澤家の一員です!!」
ルビィ 「でっ…でも…っ!」
ダイヤ 「…黒澤家に疑いが向いた時、あなた相当思いつめていたでしょう?」
ルビィ 「だって…元々私のせいなのに…!」
ダイヤ 「お母様はそんなあなたを見て、一度黒澤家という肩書きを外してあげようと提案したのです」
ルビィ 「えっ…それって…」
220 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:41:24.91 ID:FbcA272X0
ダイヤ 「あなたに責任を、欠片でも背負わせたくなかったのです。ですからお母様は、ルビィを1度自由にさせようとしたのです」
ルビィ 「でも…ルビィは…!」
ダイヤ 「本当のことを言っても、あなたは拒否するでしょう? …ルビィは、優しい子ですから」
ルビィ 「お姉ちゃん…」
ダイヤ 「ルビィ、あなたがしたことは間違っています。ですが…またやり直せばいいんです。次からはみんなを、信じられるように」
221 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:42:24.69 ID:FbcA272X0
ダイヤ 「…帰りましょう、ルビィ」
ルビィ 「お姉ちゃん…私…帰って……いいの?」
ダイヤ 「自分の家に帰って、文句を言う人がどこにいますか?」
ルビィちゃんは目を潤わせ、私たちに目をやる。私たちはそっと微笑むことしか出来なかった。……でも、それで十分だった。
ルビィ 「お姉ちゃん…ひぐぅっ…! お姉ちゃぁぁんっっ!!!」
ダイヤさんに泣きながら抱きつく。
ルビィちゃんの落とした容器から狂信水が漏れ、土へと染み込んでいく。
朝日の光が、私たちを眩しく照らし続けていた
ーーーーーー
ーーーー
ーー
222 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:43:16.79 ID:FbcA272X0
〜翌日〜
昨日の活性化で、ウイルスはその効力を失い消滅…狂人化が起きることはもう無い。
この噂が広まるのに、そう時間はかからなかった。時期黒澤家当主までもがその噂を広めているとなれば、至極当然のことであった。
千歌 「一件落着…なのかなぁ」
梨子 「多分…ね。私たちが人を信じていられる限りは大丈夫」
曜 「……気がかりなのは鞠莉さんと果南ちゃんだね。狂人化がもう起きないとは言え、いじめはそうそう無くならないだろうし」
梨子 「ダイヤさんもこれからは積極的に介入していくみたい。取締も強化するって」
223 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:43:43.75 ID:FbcA272X0
千歌 「そうだ! 鞠莉さんや果南ちゃんがみんなに見直されるようなことをすればいいんだよ!」
曜 「……というと?」
千歌 「部活だよ! 一緒に協力してなにか功績を残せば、きっとみんなも…」
梨子 「何をやるか決まってるの?」
千歌 「まだ!」
梨子 「そんなことだろうと思った…」
224 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:44:09.69 ID:FbcA272X0
曜 「…でも、私も協力するよ!」
梨子 「もちろん私も。一緒に頑張ろ?」
千歌 「うん! じゃあ色々調べよ!」
千歌ちゃんは張り切ってパソコンを弄り出す。
今日からの日々を生きるのは私も初めて…これから何が起こるのか分からないが、きっといい方向に行くだろう。
225 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:44:48.94 ID:FbcA272X0
ひぐらしのなく声は、もう聞こえない。
来年…またひぐらしのなく頃。私達は一体、どんな人生を送っているのだろうか。
…きっと、いい未来が待ってるよね。
今の私たちなら、きっと。
ーーーーーーー
ーーーーー
ーーー
ーー
ー
226 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:45:33.85 ID:FbcA272X0
ひぐらしのなく頃に
【解き明かし編 ―完―】
227 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:48:06.60 ID:FbcA272X0
これにて 梨子 「ひぐらしのなく頃に」
完結となります。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
【過去作】
ことり 「私の来世!?」
真姫 「歌に捧ぐ、私の未来」
鞠莉 「殺人鬼 果南」
善子 「私たち、友達よね?」 曜 「こんなの友達じゃないッ!」
228 :
◆bx6hWDVQmQ
:2017/09/13(水) 22:48:47.67 ID:FbcA272X0
トリップキーは【#うみねこ】です。
名前欄に #うみねこ と入力することで書き込みができるようになります。
感想などございましたら、是非宜しくお願いします
229 :
◆bx6hWDVQmQ
[sage]:2017/09/13(水) 22:49:53.82 ID:B293ZUQFO
えっ?これで終わりとか言わないよな?
230 :
◆bx6hWDVQmQ
[sage]:2017/09/13(水) 22:51:34.34 ID:AA0Uz7in0
面白かったわ
ただ描写薄かったせいか推理ができんかったかな
231 :
◆bx6hWDVQmQ
[sage]:2017/09/13(水) 22:53:21.01 ID:2fFVJD3FO
ルビィにどうやってたどり着けるんだろう 証拠が皆無
というか飴を舐めてから発症までの時間、空気清浄機のスイッチを入れてからの発症の時間
その辺が曖昧で何とも言えない
232 :
◆bx6hWDVQmQ
[sage]:2017/09/13(水) 22:54:20.63 ID:RyP9bY9K0
また書いて
233 :
◆bx6hWDVQmQ
[sage]:2017/09/13(水) 23:09:04.76 ID:6NJK96nu0
世奇妙の人だったのか
乙
234 :
◆bx6hWDVQmQ
[sage]:2017/09/14(木) 01:12:40.92 ID:RcfUbAUSO
暇潰し編はよ
235 :
◆bx6hWDVQmQ
[sage]:2017/09/14(木) 23:33:26.26 ID:lD57l4r8O
>>1
グロ
死ぬだけじゃない
236 :
◆bx6hWDVQmQ
[sage]:2017/10/24(火) 02:54:10.73 ID:I04mK6Igo
ルビィの処置が甘すぎないか
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