ぐだ男「おうち帰る」 マシュ「は?」

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202 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/14(木) 20:35:35.03 ID:Q+OkZrTU0
BB『一晩の間、絶対安全に過ごせる隠れ家を用意しましょう』

BB『一晩もあれば、後は私があなたたちの罪を綺麗さっぱり痕跡すら残さず消してあげますよ』

BB『カースド・キューピッド・クレンザーです』

ぐだ男「それそんな宝具だったっけ?」

BB『ま、いいじゃないですか。どうでも』

ぐだ男「まったく……」

ジャック「おかあさん。この先、多分検問所だけどどうするの?」

ぐだ男「……おい。加速してないか?」

BB『え? そうじゃないと検問所をぶち破れないでしょう? 当たりまえじゃないですか』

ぐだ男「ジャックー。衝撃がかかるだろうからシートベルトしめておこうなー」カチャカチャ

ジャック「はーい!」カチャカチャ
203 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/14(木) 20:45:48.64 ID:Q+OkZrTU0
ガシャァァァンッ!

警察官A「ぎゃあああああああ!」

警察官B「イ゛ェアアアアアア!」

警察官C「ひでえぶすっ」

ジャック「あははははははっ! 人がゴミのようだー!」

ぐだ男「あはははははは。もう何も見たくねぇー」

BB『全員死んでませんよ?』

ぐだ男「多分俺の心がそろそろ壊死する」

ぐだ男「……まあ、一段落したな。お母さんに今日は帰れないってメール打っても?」

BB『問題ありません』

ぐだ男「はあ……ある意味好都合だけどさ」ポチポチ

ジャック「二人きりだね、おかあさん」

ぐだ男「お? おう」

BB『いや私もいますけど』

ジャック「黙って? 解体されたい?」ニコニコ

BB『……はーいはい』
204 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/14(木) 20:52:54.87 ID:Q+OkZrTU0
BB(……ちっ。状況が状況だったとは言え、ハメられた感が満載ですね)

BB(辿り着く隠れ家は当然センパイの家ではなく、ジャックさんと二人きりで夜を明かす)

BB(近くに彼を助けるサーヴァントも当然いない。令呪で呼ぼうにも、呼ぼうとしたその時点で瞬殺できる俊敏の持ち主ですしねぇ)

BB(彼女の道徳心と常識の枷を一度でも解いてしまったらお終いですよ、センパイ)

ぐだ男「あー、腹減った」

ジャック「……」

ジャック「おなか……?」

BB(……)

BB(きっと! 大丈夫! 多分!)
205 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/14(木) 21:01:58.78 ID:Q+OkZrTU0
カルデア

BB「さてと。東京の方の私に後は任せるとして、こっちはこっちで視聴を続行しないと!」

BB「あ。もう投票終わって……あーあー見逃しちゃいましたよ」

BB「まあいいや。今からでも楽しくなりそうですし」



ブツンッ


ダヴィンチのアナウンス『えー。緊急連絡。緊急連絡』

ダヴィンチ『エジソンとテスラの大喧嘩の結果、カルデアのほぼ全電力系統にサージが発生』

ダヴィンチ『ごめんねー! 電源を落としちゃいけない重要機関以外の電力供給はストップさせてもらうよーん!』

BB「あんっの電気バカコンビ共ーーーッ!」ガビーンッ


電力が復旧した後、学園の方のゴタゴタはほとんど片付いていた。ただ当然BBには過程がわからなくなったが。
その後、BBの仕返しによってエジソンとテスラは『君の名は』状態になり、二人は自殺寸前まで精神が摩耗しました。めでたしめでたし。
206 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/14(木) 21:04:52.14 ID:Q+OkZrTU0
今日のところはここまで!
207 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/15(金) 18:23:34.68 ID:w+CSx/f80
赤の章(現代悪童旅情 東京〜BBちゃん危機一髪〜)と黒の章(虚構殺人遊戯 才囚学園〜巌窟王の学級日誌〜)でスレ分けしようかな……まあどっちにしても時系列同じだからスレ分けしたところで多少はリンクさせるけど……

まあいいや。ひとまず再開します! あと十分くらいで!
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/15(金) 18:44:16.23 ID:kV+TRAs2O
ダンガンロンパは蛇足でしょ
209 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/15(金) 18:48:55.50 ID:w+CSx/f80
マシュBB『はい到着ーーー! ここがあなたたちの隠れ家ですよー!』

ジャック「わーい! ついたー! 最悪の運転からやっと解放されるー!」

ぐだ男「繊細さの欠片もない運転だったな……!」

マシュBB『えへっ』

ぐだ男「ところでさっきから気になっていたんだが……」

ぐだ男「なんか声がマシュになってないか? BB」

マシュBB『……』

ぐだ男「……いや、気のせいか? 喋り方は完全にBBだもんな……」

BB(よかったー、電話越しで)
210 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/15(金) 18:56:04.67 ID:w+CSx/f80
ぐだ男「で。ここが隠れ家、ね」

マシュBB『御覧の通りの廃ビルです。潰れる前はパチンコ屋だったそうですよ』

マシュBB『明日の夕方までは絶対に人っ子一人来ません。安心して休んでください!』

ぐだ男「食事はどうしたらいい?」

マシュBB『生活必需品はおおよそ中に取り揃えておいたので、中から一切でなくとも問題ないですよ!』

ぐだ男「……身から出た錆なんだからお前にこんなことを言うのは、本当、かなーり癪なんだが」

マシュBB『なんです?』

ぐだ男「マジでごめん。もうちょいソフトに事件を解決してたら、こんなことには……」

マシュBB『よしてくださいな。共犯者からの謝罪なんて聞きたくありません』

ぐだ男「……」

マシュBB『じゃ、そういうことで。あ、そうだセンパイ』

マシュBB『コンドームはあえて設置しておきませんでした! 褒めて!』

ぐだ男「ぶっ殺すぞッ!」
211 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/15(金) 19:05:24.86 ID:w+CSx/f80
ぐだ男(……さて。電話を切った今気付いたが、BBは『外に出るな』とは言わなかったな)

ぐだ男(アイツが言ったのは、この隠れ家の安全性と利便性のみだ)

ぐだ男(理由はわかる。多分、アイツはジャックのことを警戒してんだろうなぁ)

ぐだ男(いざってときは逃げても構わない、か……余計な気を回してるな。ファッション系ラスボスめ)

ジャック「おかあさーーーん! なんでかわからないけど、中に高橋留美子作品が大量に揃ってるーーー!」

ぐだ男「余計な気を回しすぎだアイツは! 本当にッ!」

ジャック「見ないの?」

ぐだ男「見るよッ!」
212 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/15(金) 19:15:56.43 ID:w+CSx/f80
ホテル

マシュBB「……別に今日も、昨日までみたいに観光しててもよかったんですよ?」

マシュBB「私だけでカメラのセットアップはできますし?」

デオン「それなんだが、無計画にじゃんけんでマスターに同行するサーヴァントを決めていた弊害が出てな」

エリザ「今日はジャックの計画していた観光プランを実行する予定だったんだけど、ほら、ね?」

マシュBB「ああ。その点をまったく考慮せずに送り込んだから手持無沙汰、と」

マシュBB「アホしかいないんですか、ここは」フゥ

茨木「ふん。バグの化身に言われたくはないな」

マシュBB「そういえば、昨日と一昨日の旅行計画は誰と誰のものなんですか?」

エリザ「昨日が私」

デオン「浅草が私だな」

茨木「明日は吾が計画した『すいーつびゅっふぇ蹂躙計画』よ。池袋にあるらしいからな?」ニヤァ

マシュBB「あ、それ私も興味ありますね。連れてってくれます?」

茨木「……汝を仲間外れにすると、魔酒も自動的に仲間外れになってしまうからな」

茨木「仕方あるまい」チッ

マシュBB「ありがとうございまーす!」ッシャァ!
213 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/15(金) 19:28:45.99 ID:w+CSx/f80
マシュBB「お、映った映った……!」

デオン「む? ここは廃ビルか? なんでこんなところに」

マシュBB「色々あったんですよねー」

エリザ「そういえばBB。さっき子イヌと電話してたみたいだけど」

マシュBB「説明はしますけど、今は……よし。カメラの自動操縦AIは正常に機能中」

マシュBB「あとはセンパイにバレない限りはオールタイム監視です」

茨木「BBは頭がいいな。何故そんなに残念なのか不思議なレベルの頭の良さよ」

マシュBB「褒めるフリして貶すのやめてくれません?」

エリザ「……なんかもうマシュの姿をしたBBに慣れてきちゃったわ」

デオン「む。しまった。私もだ。もう違和感がない」

茨木「早めに解決しないと取り返しがつかなくなるかもな……?」
214 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/15(金) 19:40:11.39 ID:w+CSx/f80
ジャック「……」

ジャック「鉄砕牙って初期と終盤で明らかに太さが違うよね」

ぐだ男「読むの早いな!?」ガビーンッ

ジャック「おかあさーん。お腹空いたー」

ぐだ男「はいはい。じゃあ何か作ろうか」

ぐだ男「……」

ぐだ男「インスタントしかねぇな。BBのヤツ、ツメが甘いぞ」

ジャック「お湯はあるよ? 電気通ってるから、ポットもあるし」

ぐだ男「うーん。味気ないけど……仕方ないか」
215 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/15(金) 19:59:30.06 ID:w+CSx/f80
マシュBB「サーヴァントに食事は必要ないってもうわかってるはずなのになぁ」

エリザ「だって、本当にお腹が空いた気がするんだもの。要求くらいするわ」

デオン「……彼女の場合は本当にお腹が空いているのか疑問だけどな」

デオン「単純に甘えているだけかもしれない」

茨木「『甘えているフリ』をしているだけ、とも言えるな」

茨木「……吾はその気になれば全力でマスターに甘えることができるが、アレは違うだろう」

エリザ「そういうのやめましょう。気が滅入ってくるから」

茨木「くは。すまぬな」

マシュBB「……」

BB(なんかみんな思い思いの方向にぶっ飛んでる割には仲いいんですよねー)

マシュ(特異点で背中を預ける生活を続けていれば、さもありなんです)

BB(私も仲良くしたいなー!)キラキラキラ

マシュ(……ある意味でもう馴染めているような……いえ、なんでもないです)
216 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/15(金) 20:11:10.05 ID:w+CSx/f80
マシュBB「……あ。忘れてた。そういえばこの状態だと……」

茨木「どうした?」

マシュBB「いえ。二つの人格を独立させた状態で一つの脳にぶち込んでいる状態だと、ちょっと困ったことがあって」

デオン「なんだ。こちらの問題か。いいだろう、もう消えていいぞ」

マシュBB「スイーツビュッフェ行くまで消えません!」

マシュBB「いえ、そんな大した問題じゃないんですよ。ただ『睡眠が必要になる』って副作用があるだけで」

茨木「……別に寝てもよいが」

マシュBB「寝方を忘れました」

エリザ「AI特有の悩みね」

マシュBB「ジャックさんの荷物ってどこです? 彼女には違法ラインの強力な睡眠剤を渡しておいたんですが」

マシュBB「今日はそれ使って寝ます」

デオン「それなんだが、BB。どうしてジャックにだけ色々と危険な玩具を渡したんだ?」

マシュBB「このメンバーの暴走を止めてくれるサーヴァントとして私が送り込んだ子ですからねー」

エリザ「えっ。聞いてないんだけど」

デオン(荷物の中に天然痘ウイルスがあったのは、そのせいか……)

エリザ「まあいいわ。ジャックの荷物はここよ」

マシュBB「さぁて、それじゃあ睡眠薬を拝借してっと……」ガサゴソ

マシュBB「……」

マシュBB「あれ? ない」

デオン「は?」

マシュBB「おかしいですね。ちゃんとここに入れておいたはずなんですが」

茨木「ここにないのなら、ジャックが持っているのではないか?」

エリザ「ああ、アレじゃない? 今、ジャックが子イヌの飲み物に砕いて混ぜた粉末」

マシュBB「ああ、アレですね」

デオン「あ。マスターが寝た」




全員「……」

全員「ジャアアアアアアアアアック!?」ガビーンッ!
217 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/15(金) 20:13:05.67 ID:w+CSx/f80
休憩します!
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/15(金) 20:21:12.60 ID:7uIAKNwDO
まあそうなるわな悪属性だし
219 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/15(金) 20:37:09.87 ID:w+CSx/f80
ジャック「……さーてとっ。今から色々やっちゃうよ!」

ジャック「マシュと契約しているせいで防毒の加護があるからどうだろうなって思ってたけど……」

ジャック「問題なさそうだね。うーん、薬の類は通るのかな? わかんないや」

ジャック「じゃあさっそく」



prrrrrr!



ぐだ男「う、ぐ……電話……!?」

ジャック「あ、やっぱり効き目薄かった」

ジャック「ひょいっと」


スパッ


ジャック「携帯の処理終了。これで今度こそグッスリだよ、おかあさん!」

ぐだ男「ぐー」スヤァ
220 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/15(金) 20:44:15.73 ID:w+CSx/f80
エリザ「今から賭けの内容変更していい?」

マシュBB「いやぁー。もうノーモアベットでしょう」

茨木「呑気だな」

マシュBB「……あっ、痛っ! やめっ……!」

デオン「ん?」

マシュ「先輩ーーーッ! 起きて! お願い起きてーーー!」

エリザ「あ。やっと肉体の主導権戻ったわね」

デオン「おかえりマシュ」

マシュ「ただいまです! そんなこと言ってる場合じゃないですけど!」

茨木「……ま、大丈夫であろうよ」

マシュ「えっ?」

茨木「仲間だぞ。信じてみせよ」

マシュ「……」

エリザ「いや丸め込まれちゃダメよ。茨木の言ってることは典型的な詭弁だから」

エリザ「世の中には信じちゃいけない仲間もいるでしょうに」
221 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/15(金) 20:58:33.66 ID:w+CSx/f80
ジャック「何しよっかな。何しよっかな」

ジャック「……」

ジャック「そういえば茨木、おかあさんのこと食べてたけど……」

ジャック「そんなにおいしかったのかな?」


サクッ


ジャック「うーん……あんまりパッとしないなぁ。私たちの趣味じゃないや」ペロペロ

ぐだ男「ジャック……!」

ジャック「……」

ジャック「やっぱり効き目薄いね? あんまり効いてないでしょ」

ぐだ男「お、前っ……」

ジャック「なぁに、おかあさん。なんでも聞くよ?」

ジャック「……聞くだけ、だけど」

ぐだ男「別に睡眠薬なんてなくっても……俺は抵抗なんかしないぞ……!」

ジャック「……」

ぐだ男「怖がってるのか? いつもはこんな小細工、使わないのに……」
222 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/15(金) 21:03:37.98 ID:w+CSx/f80
ジャック「……」

ジャック「忘れてたんだけどさ。私たちって、殺人鬼だったんだよね」

ジャック「おかしいよね。公園でアイツを切り刻むまでは、本当に普通の女の子の気分だったんだよ」

ジャック「普通の人が誕生日や自分の名前を忘れないのと同じくらい、私たちは私たちのことを殺人鬼だってことを覚えてるのにさ」

ジャック「だからまあ、ショックだったなぁ。助けた相手に、あんな目で見られるなんてさ」

ぐだ男「あれは仕方なかっただろ」

ジャック「……でも理不尽だよ」

ぐだ男「……」

ぐだ男(まあ、確かに。そう言われると、ぐうの音も出ない)

ぐだ男(別にバケモノに産まれてきたくって産まれたわけじゃないしな)
223 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/15(金) 21:10:46.67 ID:w+CSx/f80
ジャック「……ねえ。抵抗しないって、どこまでのことを言ってるの?」

ぐだ男「……」

ジャック「茨木みたいに全身噛み傷だらけにする程度なら大丈夫? デオンみたいに父親母親を邪魔者扱いされて排除されるのもOK?」

ジャック「腹を裂かれても、悲鳴を上げないでいてくれる?」ギャランッ

ぐだ男「痛いのはイヤだよ。当然だろ」

ジャック「そっか」

ぐだ男「……でも、そんなことする必要は特にないだろ」

ジャック「……そう?」

ぐだ男「別にさ、そんなことしたくって睡眠薬入れたわけじゃないもんな」

ジャック「……」

ぐだ男「ジャック……おいで」

ジャック「……ッ!」



ヒュッ!
224 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/15(金) 21:18:50.35 ID:w+CSx/f80
ぐだ男「……ああ、もう。世話を焼かせる……」

ぐだ男「抱き着きたいのなら初めからそう言えって」

ジャック「……ううっ……うえっ……!」

ぐだ男「ほら。体が怠くって、お前の頭を撫でるのにすら一苦労だ。どうしてくれるんだよ」

ジャック「だって……! 昼間に拒絶されたの、本当に……!」

ぐだ男「よくあることだ。これからも何回もある」

ぐだ男「でも大丈夫だ。お前のこと受け入れてくれるヤツなんて、俺含めて他にいくらでもいる」

ぐだ男「……俺は大丈夫だから。薬なんていらなかったんだよ」

ジャック「ごめんなさいっ……! おかあさん、ごめんなさいいっ……」

ぐだ男「……」

ぐだ男「あ、まずい。もう意識が……」

ぐだ男「ジャック……俺は……俺のことを慕ってくれるお前のことを……」

ぐだ男「……」

ジャック「……うう、うええ……!」

ジャック「うえええええええええん……!」
225 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/15(金) 21:24:45.60 ID:w+CSx/f80
マシュBB「……」

マシュBB「ムカつきますね。本当に死んだみたいな顔で寝てますよ」

エリザ「いつの間にか肉体の主導権奪い返しているアンタの方がムカつくわよ」

デオン「マシュー。遠慮はいらないよー。どんどん肉体の主導権を勝ち取っていくんだぞー」ニコニコ

茨木「……ま、吾を従えるマスターが、こんなところで死ぬ道理もあるまいよ」

茨木「信じていたぞ?」

エリザ「ポンコツ首魁のくせして、たまにガチのカリスマ見せるわよね。アンタって」

茨木「たまにではない! 常に出ているから汝が気付いていないだけよ!」

マシュBB「ま、これで峠は過ぎましたかね。後に残っているのは……」

マシュBB「……残って、いるのは……?」

エリザ「……」ニヤァ

マシュBB「……」

マシュBB「あっ」

デオン「気付いたか。まだ峠は残ってるぞ」
226 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/15(金) 21:25:57.84 ID:w+CSx/f80
続きは明日ー!
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/16(土) 09:48:04.09 ID:Fi4KCLR4o
ぐだ子じゃないしエリちゃんなら大丈夫やろ(慢心)
228 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/16(土) 09:52:16.36 ID:7bRVCpvu0
虚構殺人遊戯 才囚学園

巌窟王「……理解に苦しむな。またやるのか。マジックショー」

夢野「マジカルショーじゃ! ……とかお主に言ってもなんか虚しいが……」

夢野「細かいことはよいか。今度は屋外で、この大量の風船を使ったショーをするんじゃ!」

巌窟王「アンジーはどうした? 今回は手伝っていないのか」

東条「捕まえようとしたのだけど、断られてしまったの。何か用事があったようね」

巌窟王「ふむ。今日は妙に落ち着かない様子だったからな。ヤツもヤツで何か考えているのだろう」

巌窟王「まあいい。我が仮初のマスターの理念に従い、お前たちが望むのなら手を貸してやらないこともないが?」

夢野「お主本当にアンジーのことが大好きじゃのう」

巌窟王「俺が? クハハ、まさか!」

巌窟王「俺のマスターは過去現在未来にただ一人。あれとはお互いの利害の一致に伴った薄っぺらな関係しかない」

巌窟王「この関係に抱く想いも、同様に薄っぺらなものだとも」

巌窟王「大体アレは共に歩むにしては幼過ぎる。雛鳥のように後ろをヨチヨチ歩きでついてくる程度が関の山だろうよ」

東条「その割には甘やかしているように見えるけど」

巌窟王「サーヴァントだからな!」ギンッ!
229 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/16(土) 09:58:52.31 ID:7bRVCpvu0
百田「まあ、確かにアンジーに対して特別扱いはしてねぇだろうな」

百田「テメェは俺たちのことみんなが大好きなんだもんな! わかってるぜ!」ニカッ

巌窟王「……気持ちの悪いことを言うな」

夢野「百田。お主どこから湧いて出てきた」

百田「終一を探してたら派手な風船が大量に見えたからよ。ちょっと寄ってみただけだ」

夢野「ついでじゃ。百田も手伝うがよい。風船がもっと大量に必要だから……って、あ!」

フワッ

夢野「あー。一個無駄にしてしまったわい」

巌窟王「クハハ! 任せろ! あの程度の高さ、造作もない!」

ドンッ!

東条「……跳んだわね」

夢野「あ、キャッチした」

百田「おお。無駄に一回転して校舎の屋根に着地したな」
230 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/16(土) 10:03:23.45 ID:7bRVCpvu0
巌窟王「クハハハハハ! どうだ!」

百田「無駄にテンション上げてるなー」

夢野「造作もないって自分で言ってたのにのう」

東条「巌窟王さん。そこ結構な急斜面になってるから、気を付けて降りてね」

巌窟王「任せろ! 昇ったのだから降りることなぞ更に容易い――」

巌窟王「む?」

巌窟王(裏庭に誰かいるな……あれはアンジーと最原か?)

巌窟王(一体何をして……)

アンジー「終一ー! アンジーのお婿さんになってー!」キラキラキラ

最原「ええっ!?」

巌窟王「!?!?」ガビーンッ!


ズルゥッ


百田「足を滑らせたーーーッ!?」ガーンッ!

夢野「言わんこっちゃない!」
231 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/16(土) 10:07:59.79 ID:7bRVCpvu0
巌窟王(バカな……あの子供のように俺の後ろを付いて回っていた夜長アンジーが……!?)

巌窟王(俺はいつかカルデアに帰る。きっとその後、アンジーは幸せな一生を過ごすのだろう)

巌窟王(美術に生き、誰かと出会い、誰かと別れ、誰かと添い遂げ、誰かを見送り誰かに見送られる……)

巌窟王(そんななんでもない、しかし掛け替えのない一生を過ごすのだ……そう思っていた。だが……)

巌窟王(この落下するような浮遊感……俺はショックを受けている?)ヒューッ

百田「うおおおおお! 巌窟王が屋根から落ちたーーーッ!」


ベシャッ


東条「あ、よかった。土の部分に落ちたから、多分死んではいないわ」

夢野「巌窟王ーーーッ!」ダッ
232 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/16(土) 10:16:58.02 ID:7bRVCpvu0
巌窟王(まさか……こんなに早いとは。神への信仰がなければ、あるいは俺がいなければ何もできない、あの童女が……)

アンジーの幻影『神様ー! 追いかけっこしよー!』

アンジーの幻影2『神様ー! 新しい絵を描きたいなー!』

アンジーの幻影3『神様ー! もうちょっと髪を洗う手つきを優しくしないとハゲちゃうよー!』

東条「大丈夫? 気分はどう?」

巌窟王「気分……だと……?」

巌窟王「……」

巌窟王「胸が張り裂けそうで苦しい」

東条「緊張性気胸になっている恐れがあるわね。処置を開始するわ」

夢野「ヒンッ!! 死ぬな巌窟王!」

巌窟王(相手はあの最原か……俺と舌戦を繰り広げ、勝ってみせたあの探偵……)

巌窟王(……)

巌窟王「認めない……まだ不十分だぞ探偵め……!」

東条「百田くん。そこにあるレンガを取ってくれるかしら?」

百田「お? これか」ヒョイッ

巌窟王「クハハハハハッ! 俺はまだ、認めないぞ!」ギンッ

巌窟王「ここから先に進みたければ俺を倒してから――!」

東条「麻酔!」

ガンッ

巌窟王「」ガクリ

東条「あなたには治療が必要よ」

百田「それ本当に麻酔か?」

夢野「巌窟王ーーーッ!」ガビーンッ!
233 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/16(土) 10:21:37.93 ID:7bRVCpvu0
ぐだ男「父ちゃんかお前はッ!」ガバァッ

ぐだ男「……夢か……どんな夢だったか忘れたけど……」

ぐだ男「ん。ここは……ああそうか。逃走中だったな」

ジャック「……すー……」スヤァ

ぐだ男「……」

ぐだ男「……後でBBに電話するか。心配されてたみたいだしな」

ぐだ男「次は誰と一緒になるんかなー」

ぐだ男「……」

ぐだ男「エリザだったら今度こそ死ぬかもな……」
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/16(土) 10:28:34.79 ID:jz6nI7wb0
岩窟王とぐだ男の黄泉路に手招かれコンビww
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/16(土) 10:51:31.69 ID:p8z5A4ILo
東条さんに婦長が憑依してる…
236 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/16(土) 10:55:04.51 ID:7bRVCpvu0
近場の商店街

ぐだ男「だー! やっと見つかった! 公衆電話!」

ジャック「ごめんね。うるさかったから、つい斬っちゃった」

ぐだ男「物理的に斬ることないだろ! 何も!」

ぐだ男「えーと、小銭小銭……」


ジリリリリリリンッ


ジャック「……公衆電話が鳴り始めたけど?」

ぐだ男「ご丁寧にどうも」


ガチャリ


マシュBB『おっはー! 大丈夫ですか。生きてますか。死は救いだと思いますかー?』

ぐだ男「ああ。お前のお陰でなんとかな。もう外を歩いてても大丈夫か?」

マシュBB『大丈夫ですよ。もうあなたたちの罪は綺麗さっぱりなかったことになりました』

マシュBB『ひとまず、どこかでタクシーを拾ってホテルまで来てくださいな』

マシュBB『料金は旅行サーヴァントたちが立て替えますので』

ぐだ男「了解。ジャックを返しに行くよ」

ぐだ男「……で。次に俺と同行するサーヴァントって」

マシュBB『……聞きたいです?』

ぐだ男「……その態度で既に答えたも同然だよ……!」
237 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/16(土) 10:59:47.33 ID:7bRVCpvu0
休憩します!
238 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/16(土) 14:06:37.03 ID:7bRVCpvu0
ホテル

マシュBB「センパイ! よかった! 無事だったんですね!」

ぐだ男「おお、マシュ! 心配かけるようなことは何も起きなかった……ぞ?」

ぐだ男「……」

ぐだ男「……?」

デオン(凄いな。この短時間でもう違和感を覚えてるぞ)

エリザ(面白いから黙ってましょう)プププ

マシュBB「センパイに何かあったらと思うと……私……私……!」

マシュBB「センパーイ!」ダッ

ガシッ

マシュBB「……抱き着こうとしたんですけど、どうして抵抗するんですか?」ギリギリ

ぐだ男「い、いや。なんでだろう。悪寒が酷いっていうか……」ギリギリ

マシュBB「センパーイ。後輩からの好意は素直に受け取るべきですよー?」ニコォ

ぐだ男「……」

ぐだ男「BBじゃねぇかコイツ!」ガビーンッ

茨木「おお。凄いな。バレないように最低限の演技はしていたのに、もう気付いたか」

ぐだ男「マシュの表情でBBの笑い方すんのやめろ! 死ぬほど気持ち悪い!」

マシュBB「オブラートに包むとかできないんですかね?」
239 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/16(土) 14:21:36.34 ID:7bRVCpvu0
かくかくしかじかBBかわいい

ぐだ男「お前なー……マシュに迷惑だからそういうのやめろって……」

マシュBB「えへっ?」

茨木(凄いな。マスターに関する監視についての話題には一切触れずに、旅行サーヴァントのサポートのために来たという口実で誤魔化したぞ)

デオン(伊達にラスボスじゃないんだなぁ)

エリザ(真相を抱えたまま泥を被って肝心なところを隠すのは大得意なヤツだからね)

マシュBB「別にいいじゃないですかー。マシュさんにも一応許可取ってますしー」グリグリ

ぐだ男「事後承諾だろ、その話だと。どう考えても。脇腹のあたり指でグリグリすんのやめろ」

マシュBB「セーンパーイ! 許してくださいよー! 私だって頑張ってるんですよー!」ガシッ

ぐだ男「腰のあたりに纏わりつくのやめろ! 鬱陶しい!」

マシュBB「ほらほらー! 色々と押し付けてあげますからー!」グイグイ

マシュBB「あ、でも心まで好きにできるとは思わないでくださいね! 既に私、好きな人いますので!」

ぐだ男「もう何回も聞いてるからわかってるよ!」

エリザ「……」

エリザ「あれやばいんじゃない?」

デオン「何が?」

エリザ「だってマシュの人格は眠ってるわけじゃないんでしょ?」

茨木「あっ」

マシュBB「……あれ? なんか体温が不自然に上がってきました。あれぇ?」カァァ

デオン「BB! 今すぐマスターから離れろ! マシュの人格の方が限界に近づいてる!」

マシュBB「げっ! さっきから妙に静かだと思ったら!」ガビーンッ!

ぐだ男「……」

ぐだ男「そうだ! お前今、マシュじゃん! やばい、無邪気にじゃれすぎた!」

エリザ(BBと普段からそんなことやってんの?)

デオン(酔狂だなぁ)
240 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/16(土) 14:33:26.77 ID:7bRVCpvu0
マシュBB「今クールダウン中です。いやー、参った参った。初心な女の子とボディをシェアするのって大変ですね」

エリザ「はっ! 純情さで言えばあなただって」

マシュBB「スミス&ウェッソーーーン! あの竜娘を黙らせてよー!」

マシュBB「もーう、BBちゃんはしょうがないなー!(裏声)」

マシュBB「はい! M500−−−!(裏声)」チャリラチャッチャチャーン

エリザ「えっ」

マシュBB「ファイア」カチッ


ドバァァァァンッ!


エリザ「ぎゃああああああ! 危ねぇーーーッ!」ガビーンッ

茨木「これを扱っていたのが狂スロットであれば間違いなくサーヴァントでも死んでいただろうなぁ」

ぐだ男「日本で当たり前みたいにリボルバーをぶっ放すなーーーッ!」
241 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/16(土) 14:40:23.14 ID:7bRVCpvu0
ぐだ男「……で。大体予測はできているが、今日俺に同行するサーヴァントって……」

マシュBB「アレです」

デオン「アレだ」

茨木「アレよ」

ぐだ男「……」

エリザ「満を持して登場した……そう! 私よ!」

ぐだ男「ですよね……」

マシュBB「ご安心を。一応、彼女からは『槍以外の拷問器具や武器』は取り上げてますので」

ぐだ男「槍があればチェイテ城呼べるんだから関係ないだろ……」

マシュBB「……気休めには充分でしょう?」

エリザ「ふふっ。妙な心配はしなくても大丈夫よ子イヌ」

エリザ「今日はしないわ。今日はね」

ぐだ男「……今日は、か……」
242 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/16(土) 14:43:10.96 ID:7bRVCpvu0
ジャック「おかあさーん!」タッタッタッ

ぐだ男「お。ジャック。どうかしたか?」

デオン「む。そういえばさっきから姿が見えなくなっていたな。どこに行ってたんだ?」

ジャック「荷物漁ってたー!」

茨木「あの愉快な玩具群を……?」

ジャック「これあげるー!」

ぐだ男「……これ何?」

ジャック「GPS−! 行方不明になっても安心! すぐ見つけてあげるね!」ニコニコ

ぐだ男「あ、ありがとう……」

ぐだ男(行方不明になるような目に遭うのか……)

エリザ「別れの挨拶は済んだかしら。じゃあ、行くわよ!」
243 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/16(土) 14:43:54.72 ID:7bRVCpvu0
休憩します!
244 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/16(土) 18:08:19.64 ID:7bRVCpvu0
マシュBB「……さぁて。ここからは私たちVSエリザさんの知恵比べになりますね」

デオン「そしてエリザはその知恵比べにすぐ飽きて即行でいつも通りの悪行に戻るだろうな」

茨木「容易に予測できすぎる……」

ジャック「大丈夫大丈夫。早速最初の知恵比べには勝ってるから」

マシュBB「……荷物を漁ってきただけじゃなかったんですか?」

ジャック「そんなに大したことはしてないけど、荷物の内容の確認はしてきた」

ジャック「あのね? デオンのときに使われたチャフを覚えてる?」

デオン「ああ。ちゃんと纏めてペットボトルに詰めてジャックに返したヤツだろう?」

ジャック「で、それを更に私たちが改めて散布装置にぶち込んでみようかな……」

ジャック「ってところで考え直して、改造したの」

マシュBB「え? 改造?」

ジャック「あのね? あれってピンを外してから数秒で起爆するようになってたけど、ピンを抜いた途端に起爆するようにしたんだよ」

ジャック「で、中身も変えた。今アレの中に入っているのは、デオンに対する天然痘みたいなエリザへの対抗策だよ」

マシュBB「……えっ? アンデルセンさんに作ってもらったアレ?」

ジャック「アレ」
245 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/16(土) 18:13:45.53 ID:7bRVCpvu0
エリザ(ふっふっふ……まさか連中は思ってもないでしょうね)

エリザ(私がチャフをジャックの荷物の中からこっそり持ち出してきたなんて!)

※バレてます。

エリザ(今は自動操縦状態になっているドローンが私たちを見張っている状態だけど)

エリザ(さて、ここでチャフをバラまいたら果たしてどうなるかしら?)

エリザ(ドローンは使用不可。その間に私は子イヌを連れてどこかへ蒸発)

エリザ(さぞ驚くことでしょうねぇ! 間抜け面を拝めないのが残念だわぁ!)

エリザ(さあ! 早速コレを使って……)

エリザ「……」

エリザ「こ、子イヌ。ちょっと聞きたいことが……」

ぐだ男「なに?」

エリザ「これ、ピンってどこにあるんだと思う?」

ぐだ男「……え。これチャフじゃん。なんで持ってるの」

エリザ「え、ええと……」

ぐだ男「使っちゃダメだぞ」

エリザ「……」

エリザ「……はい……」シュン
246 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/16(土) 18:21:44.64 ID:7bRVCpvu0
ホテル内

どっかの学士『ああんの、どこに出しても恥ずかしいド低級サーヴァントがああああああ!』

マシュBB「という声がどこからか聞こえてくる程度には予想以上におバカでしたね」

ジャック「……せっかくの『人間化アンプル』が……」

茨木「人間化?」

デオン「……まさか、アンデルセンに作ってもらった品物というのは……」

マシュBB「人外を条件付きで人間へと変える宝具……だったんですが」

マシュBB「ほら。人魚姫は声を代償に人間へと変わっていたでしょう? それと同じものがあの中に入っていたんです」

デオン「普通なら声が出せなくなるというのは紛れもなく副作用、デメリットなんだろうが……」

茨木「エリザに対してのみは『竜の力が使えなくなる』のと『声が出せなくなる』のとで、メリットしか存在せんな」

マシュBB「作らせるのめっちゃ苦労したんですよー! サンクトペテルブルクにカンヅメにさせたりして!」

マシュBB「そう! デオンくんちゃんさんも大好きな、あのサンクトペテルブルクにぶち込んだりして!」

デオン「マシュに感謝しろ。特に感謝しろ。さもなくばこの場でお前の首を斬り落していた」

ジャック「落ち着きなよー」
247 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/16(土) 18:36:12.23 ID:7bRVCpvu0
エリザ「あっ! そうだ! カラオケ! カラオケというものに行ってみたいわ!」

エリザ「私、日本に来たら絶対にコレだけはやっておきたいと思っていたもの!」

ぐだ男(絶対言うと思った!)ガビーンッ

ぐだ男(さて、ここでエリザをカラオケに連れて行ったとしよう。被害人数は如何ほどになるだろうか)

ぐだ男(ソニックブレスがカラオケの個室内で留まるわけもなく、おそらく防音装置を突き破って隣の部屋の人間も死亡)

ぐだ男(更にはわけのわからない共振作用が起き、建物そのものにダメージが行く)

ぐだ男(大地震か終末が来たかのように揺れる建物。エリザの声のダメージが比較的少ない離れた距離にいた者も逃げ遅れ……)

ぐだ男(最終的な被害者は三桁を下らないだろう!)シャキーンッ!

ぐだ男(ということを彼女に素直に言ったところで)

エリザ『いくらなんでもそこまで大きな声は出ないわよ!』

ぐだ男(という『自分自身が音痴である』という点を完全無視した反論で強引に連れていかれてしまうだろう)

ぐだ男(考えろ……! 被害者が一人たりとも出ない、誰もが幸せになる結末を夢想するんだ……!)

ぐだ男(何か……何かないか……!)



エミヤ『――ついて来れるか』

ぐだ男(エミヤ……! 俺に力を貸してくれ……!)
248 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/16(土) 18:40:28.54 ID:7bRVCpvu0
ぐだ男(今打てる最善の手がある! それは!)

ぐだ男「その前にさ。俺、昨日は家に帰ってなかったんだ」

ぐだ男「お母さんのところに帰って安心させたいんだけど」

エリザ「あ、そうね。家族は大事だわ」

エリザ「いいでしょう。まずは先にそっちね!」

ぐだ男(先延ばし! ひとまずコレで時間を稼ぐ!)

ぐだ男(考えろ……逆転の一手をその間に考えるんだ……!)
249 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/16(土) 18:46:20.58 ID:7bRVCpvu0
池袋

マシュBB「うーん。エリザさんがピンを抜いて散布装置を起爆させてくれれば全部丸く収まったのですが」

ジャック「おかしいね。頭脳戦って知能での殴り合いのはずなのにね」

デオン「相手のバカさ加減を計算に入れていなかったせいで逆にこちらがドツボに嵌まるとは」

茨木「実はわざとやっているのではないか?」モヒモヒ

マシュBB「エリザさんですからねー。どちらとも言えるはずです」

マシュBB「……」

マシュBB「さっきからなんか視線を感じるのですが」

デオン「茨木を見ているのだろう。体格にしてはありえないほど食べているからな」

茨木「む? 食べ放題のすいーつびゅっふぇなのだろう? 食べて当たりまえなのではないか?」

ジャック「ひとまずこの場にいる全員の目玉を抉れば視線は気にならなくなるよ?」

マシュBB「ナイスアイディーア!」グッ

デオン「やめろ」
250 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/16(土) 18:47:44.09 ID:7bRVCpvu0
夕飯食べます!
251 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/16(土) 19:40:22.81 ID:7bRVCpvu0
マシュBB「……いや。対抗策はまだ残されてますね」

デオン「アンプル以外でか?」

マシュBB「歌姫の方をどうにもできないのなら、干渉できる場所は限られるでしょう?」

ジャック「……ああ、なるほどね」

茨木「舞台か」

マシュBB「ピンポーン!」

デオン「できるのか?」

マシュBB「この大都市全域を停電させたら、流石にカルデアからの粛清は免れないでしょうから……」

マシュBB「それ以外の方法でカラオケボックスを潰す方法は……」

マシュBB「いえ、違いますね。舞台をぶっ潰すのではなく、歌姫を舞台に行かせない方向で考えるべきです」

デオン「……どうやら考え付いたようだな。認めたくないが、お前の頭脳に関しては信頼している」

マシュBB「あはっ! もっと素直に褒め称えてくださいよー!」

マシュBB「……さて。やりますか」ニヤァ
252 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/16(土) 19:48:43.01 ID:7bRVCpvu0
ぐだ男の家

ぐだ男「ただいまー!」

母「あら。お帰りなさい。昨日はお楽しみでしたね?」

ぐだ男「冗談でも息子に向かって言うセリフじゃないィ!」ガビーンッ

母「……で。そちらの子は?」

エリザ「お初にお目にかかります。エリザベート・バートリーと申しますわ」ペコリ

ぐだ男「え」

エリザ「今日は彼の誘いに甘え、こうして付いてきた次第です」

エリザ「この国には来たばかりで、右も左もわからない小娘ですが、どうかよろしくお願いいたします」ニコリ

ぐだ男「……!?」

ぐだ男「あっ」

ぐだ男(そういえばコイツ、忘れがちだけど貴族だった!)ガビーンッ!

母「あらあらまあまあ……」

母「随分と上品な子ね」

ぐだ男(エリザのことを評しているとは思えないような言葉が出てきた!)
253 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/16(土) 19:55:08.58 ID:7bRVCpvu0
母「……」

母「その角と尻尾は?」

エリザ「あっ」

ぐだ男「まあそうなるよね! そこ気になるよね!」

エリザ「ど、どうしよう子イヌ! せっかくキメたのに早速化けの皮が剥がれちゃう!」アタフタ

ぐだ男「あー……」

ぐだ男「別にいいんじゃないか? 外行きの態度で固める必要はないって」

エリザ「むいー……!」

ぐだ男(演技でできるレベルを遥かに超えていたけどな)

ぐだ男(やっぱコイツ、お嬢様なんだなぁ……)
254 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/16(土) 20:11:43.90 ID:7bRVCpvu0
ぐだ男(さてと。家まで来たのはいいが……果たしてコイツの興味を引くものを俺は用意できるだろうか)

ぐだ男(ゲームか? 小説か? いや……どれも効果は微妙だな)

ぐだ男(音楽ならコイツの興味を引けるだろうが、余計にカラオケに行きたいとか言い出しかねないしな)

ぐだ男(どうする!)ギンッ

母「……この尻尾、本物?」

エリザ「お母さまなら触ってもいいけど……?」ブンッブンッ

ぐだ男(隙を見てBBに電話……携帯はジャックに壊されたので固定電話限定だが……)

ぐだ男(歌姫の方をどうにかすることはほぼ不可能だろうから、舞台の方をどうにかしてほしいが)

ぐだ男(いや、アイツならそんな生易しいことは考えないか。やるとしたらそう)


ドカァァァァンッ!


エリザ「きゃっ」

母「え? 爆音?」

ぐだ男(階段とエレベーターの両方を爆破して俺たちを家に孤立させるとか……)

ぐだ男「……」

ぐだ男「手ェ早ッ!」ガビーンッ!
255 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/16(土) 20:26:42.64 ID:7bRVCpvu0
マシュBB「そう! センパイの家はマンションの一番上! その端!」

マシュBB「つまりエレベーターと階段の両方を潰してしまえば……」

デオン「マスターは下に降りられない。家の中で孤立する」

マシュBB「あーっはっはっは! まあサーヴァントなら下に降りられるでしょうが?」

マシュBB「旅行サーヴァントは原則、目立つことはしないんですよ! できないんですよ!」

マシュBB「だってそもそも申請も許可も偽造ですからねぇ! そこを突かれないためには大人しくするしかない!」

茨木「そこをエリザが忘れていたら?」

マシュBB「私たちの詰みです!」

デオン「ひいてはBBの罪だな」

ジャック「さよならBB。いなくなったらすぐに忘れたいサーヴァント選手権第一位だったよ」

茨木「吾らは汝の勇姿をやはりすぐに忘れたい」

マシュBB「……」

マシュBB「びえええええええええええんっ!」ダバーッ!

デオン「あ、ついに泣いた」

マシュ「……嘘泣きじゃないですね。肉体の主導権私に渡して、本当に引っ込んでしまいました」ポロポロ

ジャック「まだ涙止まってないけど?」

マシュ「嘘泣きじゃないですから……流石にみなさんイジメすぎです……」
256 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/16(土) 20:44:18.69 ID:7bRVCpvu0
BBの日記
みんな酷いです。本当に酷いです。私はただみなさんが面白おかしく無様に足掻いている姿を見ていたいだけなのに。
手足をもがれた虫のように無意味にグネグネしている様を見ていたいだけなのに。

何故理解してくれないのでしょうか。利害は一致しているのに。

……ん? よく考えたらこちらの自業自得でした! ヤッホーーーウ!
さて。あとはエリザさんの知能にかけるしかないですね。私たちの目論見通りに行ってくれれば、あとは何も問題はありません。

あ、そうだ。また巌窟王さんの学級日誌が届いたんでした。
ついでに巌窟王さんが撮ったらしき写真も数点。卒業アルバムに備えろ、というメモ書きも。

……は!? まさか私に作れと!? 流石にそこまでやれないです! こっちも忙しいですし!

写真のデータをコピって送り返しましょう。えいっ。
257 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/16(土) 20:44:57.44 ID:7bRVCpvu0
休憩します!
258 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/16(土) 21:27:02.42 ID:7bRVCpvu0
虚構殺人遊戯 才囚学園

巌窟王「……なんということだ……卒アルの編集の当てが外れた……」

巌窟王「アンジーと俺でやれるだろうか……」

巌窟王「……」

巌窟王「クハハ! 考えていても仕方ない、か。待て、しかして希望せよ、だ!」ギンッ

巌窟王「ひとまずアンジーにこのことを知らせないとだな……」

巌窟王「アイツはまた自分の研究教室に引っ込んでいるのだろうか」スタスタ



五分後

巌窟王「……やめろと言ったのだが、やはり俺の似姿のろう人形を作っていたか」

巌窟王「しかしいないな。どこに行った?」

???「チッ。ここはダメか」

巌窟王「……今、誰かいたか?」

巌窟王「……」

巌窟王「何故だ? 胸騒ぎがする……」
259 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/16(土) 21:39:42.66 ID:7bRVCpvu0
ぐだ男「……なんでだろう。俺自身にはまったく危機は迫ってないはずなのに、胸がゾワゾワする」

エリザ「カルデアにいるサーヴァントが何か危機的な目にでも遭ってるんじゃない?」

エリザ「今は関係ないわよ。休日だし」

ぐだ男「そう、だな。俺にはどうにもできないか……」

エリザ「あーあ。カラオケ行きたかったのに」

母「エレベーターと階段が同時に壊れるなんて、こんな偶然あるのねぇ」

エリザ「ねぇ?」

ぐだ男(絶対に偶然じゃない)

ぐだ男(……)

ぐだ男「あ。そういえば母さん。食糧は大丈夫?」

母「缶詰めと米くらいならあるわよ」

ぐだ男「そっか……じゃあ一応大丈夫かな」

エリザ「缶詰め……あれ美味しいわよね。割と」

ぐだ男(意外とエリザの機嫌もいいし……)
260 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/16(土) 22:26:26.75 ID:7bRVCpvu0
ぐだ男「メシの加工と盛り付けくらいは俺がやるよ。母さんまだ二日酔い抜けきってないでしょ」

母「普段はあんなに飲まないのに、なんであんなにあおったのかしら?」

ぐだ男(つくづくごめんなさい)

エリザ「あっ! 料理なら私も得意だけど?」

ぐだ男「お前は絶対に台所に入るな」

エリザ「」

ぐだ男「俺だってまだ死にたくない」

エリザ「栄養はちゃんと考えてるのに……」エグエグ

ぐだ男「味を考えろ! 味を!」

エリザ「パラケルススみたいな味は整ってるけどそれ以外が意味不明なかき氷よりマシじゃない!?」

ぐだ男「どっちもどっちだッ!」
261 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/16(土) 22:43:28.21 ID:7bRVCpvu0
母「……ふふっ。仲がいいのね」

エリザ「あっ」

エリザ「……」カァァ

ぐだ男「恥ずかしがらなくていい。大体のことは許せる人だから」

エリザ「もうちょっとしおらしくしていようって思ってたのよ……」

エリザ「……いいふうに見られたいって思って当然でしょ?」

ぐだ男「……」

ぐだ男「そうだな。俺もそうかも」

エリザ「え」

ぐだ男「俺の家にお前を呼んでさ。俺のテリトリーでもてなしてさ」

ぐだ男「……お前に笑って欲しいって思ってるよ」

エリザ「……」

エリザ「はっずいわね。お互いに。顔から火が出そう」カァァ

ぐだ男「俺もだ」

母(初孫は近いわねー)
262 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/16(土) 23:05:12.08 ID:7bRVCpvu0
prrrr

ぐだ男「……このタイミングでの電話……」

母「はいはい、今行きますよーっと」

ぐだ男「いい! 多分俺あてのヤツだから!」


ガチャリンコ


マシュBB『私が来た!』

ぐだ男「やっぱりな」

マシュBB『話が早いですね。ひとまず言いたいことが一つ』

マシュBB『エレベーターの方は一日で修理が終了する程度の損傷しか与えてないので、頑張って!』

ぐだ男「……」

マシュBB『今夜はお楽しみですね?』

ぐだ男「……」

マシュBB『……電話越しで無言の圧を放つの、やめてくれません?』

ぐだ男「ロクでもないこと考えさせたらお前の右に出るヤツはいないよ」

ぐだ男「悪の素質がないだけ新宿のアーチャーよかマシだけどさぁ」

マシュBB『そうだ。やっと伝える機会が来たので教えておきますね』

マシュBB『あのチャフの散布装置、ちょっとした仕掛けが施されてます』

ぐだ男「仕掛け?」

マシュBB『あれをエリザさんが使うと、エリザさんは人間化した上に声が出なくなります。使うかどうかは任せますが』

ぐだ男「……もう使わないでいいだろ」

マシュBB『芽はおおよそ摘みましたが、念のためです。それでは』

ぐだ男「ああ。じゃあな」
263 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/16(土) 23:12:51.85 ID:7bRVCpvu0
そろそろ寝ます!
264 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/17(日) 07:52:40.27 ID:XMU1sJYp0
マシュ(……BBさんはいつの間にかカルデアにいた謎のサーヴァントですが)

マシュ(先輩とは仲がいいですよね)

BB(ま、色々とあったんですよー。さっきも言いましたけど好きな人は別にいますんで、そう心配しなくても大丈夫です)

BB(恋人? 思い人? そういうのとは無縁ですね)

BB(強いて言うならモルモットと美人研究員。どんなに良く言っても利害の一致に伴った相棒?)

マシュ(……良く言い過ぎです)

BB(面倒くせぇー……相棒でもアウトなんですか……)

BB(私がセンパイにベタベタするのがイヤなら、先回りしてあなたがベタベタしてればいいのに)

マシュ(いや、それは……)

BB(変な遠慮や臆病が産むものなんて、非生産的なものばかりですよ。私とか)

マシュ(……?)
265 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/17(日) 08:05:07.08 ID:XMU1sJYp0
BB(そういえば、どうするんです?)

マシュ(どうするとは?)

BB(もう残ったサーヴァントはあなただけですけど。センパイとの同行サーヴァント)

マシュ(……)

マシュ(……ハッ!?)ガビーンッ

BB(え。今気づいた?)

マシュ(ど、ど、どうしましょう……何かお土産とか買った方がいいのでしょうか。あわわ)

BB(あははっ! 面白いほど狼狽してますねぇ!)

BB(あはははははははは……)

BB(あー、もう! 世話焼けるなぁ!)
266 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/17(日) 08:17:11.15 ID:XMU1sJYp0
エリザ「缶詰めも、ちょっと調理すれば結構バケるものねー。おいしかったわよ?」

ぐだ男「エミヤならもうちょっと上手くやれたんだろうけどなぁ」

エリザ「贅沢は言わないわ。今は、だけど」

ぐだ男「助かる」

母「お風呂が沸いたわよー」

ぐだ男「……先に行っていいぞ」

エリザ「じゃあ遠慮なく……」

エリザ「……」

エリザ「……好みの子がいれば『入浴剤』にしたのに」

ぐだ男「忘れたころにぶっこんでくるのやめろ!」
267 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/17(日) 10:58:46.41 ID:XMU1sJYp0
母「……」

母「セアカサラマンダーは浮気を許さない爬虫類だそうよ?」

ぐだ男「突然なに!?」ガビーンッ

ぐだ男「……あとセアカサラマンダーはトカゲっぽいけど両生類だよ!」

母「あなたの部屋、そういえば音は漏れないような作りだったわね」

ぐだ男「余計な気を回さなくていいから!」



風呂場

エリザ「……そういえばネロとかあの発情狐とか、マスターと一緒に風呂入ったとか言ってたわね」

エリザ「どうせなら私も一緒に……」

エリザ「……恥ずかしすぎて死んじゃいそうだからパスね」
268 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/17(日) 11:14:48.11 ID:XMU1sJYp0
茨木「なんだ。ジャックのときよりも平和ではないか」

デオン「流石にアイツもやることなすこと先回りされたら仕方あるまいさ」

ジャック「好みの女の子もいないみたいだしねー」

茨木「……そういえば、今更気にすることでもないかもだが」

茨木「吾の場合の対抗策はどのようなものだったのだ?」

ジャック「神便鬼毒酒だったよ。ジュースみたいな缶に入れてた」

マシュBB「冷蔵庫に入れなくっても常にキンキンに冷える、ちょっとした謎技術も使ってました」

茨木「ん? 待て。酒呑が神便鬼毒酒を他の誰かに振る舞うことなぞ」

マシュBB「もちろんありえませんでしたよ。なので臭気から成分をできる限り分析して模倣した神便鬼毒酒レプリカです」

マシュBB「酒呑さんに味見させてみたら『流石に味は数段劣るけど、これと言って何が悪いって点もあらへんなぁ』と笑ってましたよ」

マシュBB「安酒らしい味わいだー、とか言って」

ジャック「……ん? 待って。茨木。知らなかったの?」

茨木「なに?」

ジャック「だって、チャフだけじゃなくって新便鬼毒酒レプリカも無くなってたんだよ?」

ジャック「私たちはお酒を飲まないし、デオンも安酒には興味ないだろうし……マシュは?」

マシュBB「知らないって言ってますけど」

デオン「……ジュースみたいな缶に入れていた、と言っていたな?」

茨木「冷蔵庫に入れなくともキンキンに冷えていたんだったか?」

全員「……」



マシュBB「ま、まさかですよね?」
269 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/17(日) 11:19:26.92 ID:XMU1sJYp0
休憩します!
270 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/17(日) 16:08:18.18 ID:XMU1sJYp0
ぐだ男「……女性の風呂って長いんだよなー」

ぐだ男(エリザに関しては角とか尻尾とか長い髪とか、洗わなきゃいけないポイントが大量にあるから更に)

ぐだ男「暇だ……そして今度こそ平和だ……」

prrrrr!

ぐだ男「電話?」


ガチャリンコ


マシュBB『センパイ! 多分まだ間に合います!』

ぐだ男「一体どうした?」

マシュBB『これは詳細を省くが、結論を言うとセンパイは死にます』

ぐだ男「一体どうした!?」ガビーンッ!

マシュBB『エリザさん、着替えと一緒に何か缶のようなものを持っていきませんでしたか!?』

ぐだ男「……」

ぐだ男「なあ。前々から薄々感付いてたけど、やっぱりお前監視してるだろ」

マシュBB『……』

マシュBB『……バトンタッチ』

ぐだ男「あ?」

マシュ『……ハッ! えっ!? BBさん!?』

ぐだ男「BBはお前……いや、違うな。お前マシュか! 紛らわしい!」

マシュ『BBさんは引っ込んでしまいました。ああもう、都合が悪くなった途端に!』
271 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/17(日) 16:13:26.24 ID:XMU1sJYp0
マシュ『さっき発覚したことなのですが、おそらくエリザさんはジュースと間違えて缶に入った神便鬼毒酒を持って行ってます!』

ぐだ男「マジで?」

マシュ『もしも! もしアレをエリザさんが飲んだら、悪酔い必至です! 今までの工作が全部パァです!』

マシュ『なんとしてでも飲まれる前に取り上げてください!』

ぐだ男「取り上げろって言ったって……どこにあるんだ?」

マシュ『どんな状況でもキンキンに冷える特殊加工がされているということなので、おそらくエリザさんはそれを……』

ぐだ男「ああ、わかった。風呂上りの冷たいジュースは美味しいもんなぁ」

ぐだ男「時間が惜しい。色々言いたいことはあるが、また後で、だ」

マシュ『御武運を! 先輩!』
272 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/17(日) 16:19:52.51 ID:XMU1sJYp0
エリザ「ふぅー。いいお湯だったわ。ちょっと長風呂になっちゃったけど」

エリザ「でも備えあれば嬉しいのよ! キチンと水分は持ってきているわ!」

エリザ「まったくもう。BBはジャックばかり贔屓しすぎなのよ。私のことも少しは労ってよね」

エリザ「オヤジ臭い趣向だけど、誰も見ていないし。さあ今こそ……」グッ


バターンッ!


ぐだ男「エリザァ! それを飲むなーーー!」

エリザ「……」

エリザ「……えっ」

ぐだ男「ぎ、ギリギリだったか! まあいい! とにかくそれをこっちによこせェ!」ダッ

エリザ「あ、ちょっ、やめ……これ私の……」ヒョイッ

ぐだ男「いいから!」スカッ

エリザ「良くないわよ! ていうか私、バスタオル一枚なんだけど! やめ……!」ヒョイッ

ぐだ男「ここまで来てー! BBたちの工作を台無しにするわけにはいかないんだよォ!」スカッ

ぐだ男「生きるためにだ!」

ぐだ男「うおおおおおおおおおおお!」

エリザ「きゃっ」


ハラリッ

ドターンッ!
273 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/17(日) 16:28:47.56 ID:XMU1sJYp0
ぐだ男「……掴んだ! 回収成功! SCP財団でもやっていけるんじゃないか、俺は!」

エリザ「……あ、あう……!」カァァ

ぐだ男「お?」

ぐだ男「……」

ぐだ男(全裸のエリザを組み敷いている)

ぐだ男(誰が?)

ぐだ男(……俺だ!)ガビーンッ!

エリザ「……い、イヤァ……心の準備が……まだなのにィ……!」エグッ

ぐだ男「前々から気になってたんだけど、お前確か結婚したの十五歳だよな? 男慣れしてなさすぎじゃないか?」

エリザ「い、今の私は十四歳よぅ……!」

ぐだ男(いけない。混乱しすぎて変なこと口走った! あわわわわ!)
274 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/17(日) 16:40:34.95 ID:XMU1sJYp0
エリザ「うう……で、でも……男はみんな狼なんですものね……」

ぐだ男「えっ」

エリザ「……いいわよ、来ても……怪物を殺すのはいつだって人間でしょ……?」

ぐだ男「えっ。えっ」

エリザ「……茨木がアンタにしたみたいに、私のことも食べてもいいわよ?」

ぐだ男「エリザさぁん!? 決意固めるの早すぎじゃない!?」ガビーンッ

ぐだ男「なんでこういうときだけ諦め早いんだ!」

エリザ「……興味ないの?」

ぐだ男「……」

ぐだ男(今それを考えたくはなかった! 白い肌! 上下する胸! どこからどこまで柔らかそうなカラダ)

ぐだ男(そう! うっかり手元に飛び込んでしまったこのチャンス! 無駄にするにはあまりにも惜しい!)

ぐだ男(普段は高圧的で嗜虐的な性格が先行してて絶対考えることはないが、コイツ一応美少女なんだよなぁ!?)

ぐだ男(そうだ……このチャンスを拒むのに必要なのは鉄の心……!)



エミヤオルタ『――ついて来れるか』

ぐだ男「……」

エミヤオルタ『……』

エミヤオルタ『ん? おい。おい。返事をしろ。ついてくるんだよな? ついて来れるんだろう?』アタフタ

ぐだ男(うおおおおお! 当然だ! 俺は……俺は……!)ガタガタ!
275 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/17(日) 16:51:40.63 ID:XMU1sJYp0
エリザ「……それとも……私に魅力はない?」スッ

ぐだ男(葛藤している内に、組み敷かれているエリザに空いている右手を握られた)

ぐだ男(空白に等しい脳内に、それを拒む余剰などあるわけもなく、エリザに導かれるままに移動したそれは――)

エリザ「……ちょっとはあるわよ」


ムニュ


ぐだ男「――」

ぐだ男(しっとりと濡れた胸へと置かれた)

ぐだ男(決して大きくはない。だが、触れた先からくっついて、少しずつ沈み込んでいくようで――)

エリザ「っ」

ぐだ男「あ、ごめん。痛かった?」

エリザ「……別に、いい……」プイッ

ぐだ男「……」

ぐだ男(俺はどうしたらいい!? 答えろ! 答えてみろ! 俺の脳内のエミヤオルタ!)


ダァンッ


エミヤオルタ『もう知らん。理性だけは殺してやったからありがたく思え』スタスタスタ

ぐだ男(エミヤオルタ貴様ァァァァァァァ!)ガビーンッ!
276 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/17(日) 17:01:25.18 ID:XMU1sJYp0
プッツーン!

ぐだ男(き、切れた……俺の中で何かが切れた。決定的な何かが……)

ぐだ男「エリザ……」

エリザ「んっ……!」



母「さっきドタバタ音がしたけど、大丈夫ー?」ヒョコッ

二人「あっ」

母「……」

母「……ごめんなさい」シュンッ

ぐだ男「いや、いいんだよ! 助かったよ! なんかクールダウンした一瞬で!」

エリザ「で、出てって! 今更さけど凄く恥ずかしくなってきたから!」アワアワ

ぐだ男「うん、ごめん! 本っ当ごめん!」バッ

母「初孫チャレンジ失敗」ボソッ

ぐだ男「今なんて言った!?」ガビーンッ!
277 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/17(日) 17:05:25.00 ID:XMU1sJYp0
休憩します!
278 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/17(日) 22:21:40.35 ID:XMU1sJYp0
ホテル

マシュBB「風呂場周辺にカメラ取り付けてなかったの痛かったなぁ」

茨木「まあ絶対に面白いことにはなっておっただろうな」

茨木「……ふむ。神便鬼毒酒レプリカは回収終了か」

茨木「吾の嫌いなものは毒入りの酒だぞ? あんな胸糞悪いものを用意して……いい度胸よな?」

マシュBB「胸の大きさなら自信があります!」

マシュBB「……」

マシュBB「……今はマシュさんの体ですけど!」

デオン「マシュだってそれなりにあるぞ」

ジャック「これで今度こそトラブルの種は消えたかなぁ」

マシュBB「……まさかエリザさんが神便鬼毒酒を持っていったことについて、私に怒る気はないですよね?」

マシュBB「ジャックさんの荷物を勝手に漁ったのはエリザさんですよ?」

マシュBB「そもそもジャックさんにそんな物を持たせたお前が悪い、という反論も筋違いです」

マシュBB「この旅行に乗ったのはあなたたちですしね」

デオン「……そうだな。私たちが全員悪い。だが」

茨木「必死よな。そこまで吾たちに怒られるのがイヤか?」

マシュBB「精神的な耐久度そろそろ残ってないんですよ」

ジャック「結構メンタル弱いよねー。変なところで強靭なのに」

マシュBB「さて。じゃあそろそろ寝る時間ですかね。まあエリザさんのこと、布団は別々に注文するでしょうが」
279 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/17(日) 22:24:27.95 ID:XMU1sJYp0
エリザ「……」

エリザ「一緒の布団で寝たい」

ぐだ男「意外な提案だな」

エリザ「……ダメ?」

ぐだ男「俺はいいよ。でもお前、さっきあんなことがあった後で」

エリザ「お願いだから決心鈍るようなことを、これ以上言わないでよ……」

ぐだ男「……」

エリザ「……わかるでしょ?」カァァ

ぐだ男「……」ダラダラダラ
280 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/17(日) 22:33:50.88 ID:XMU1sJYp0
マシュ「わかりません。わかりませんッ! 何一つとして!」ズガァァァンッ!

茨木「ぎゃあっ!? 突然出てきおったな!?」

マシュ「こ、こんな……お母さまが同じ屋根の下にいるのに、そんな……!」

マシュ「先輩! まさかこんな提案に乗ったりはしないですよね!?」

マシュ「色々な意味で危険すぎます!」

バチバチッ

マシュ「ぐっ」

マシュBB「……ビックリしたぁ。いきなり肉体の主導権を強奪されました」

デオン「奪還の間違いだ外道」

ジャック「私たちだけなら、それっぽいことをする前に二人を二度とくっつかないように解体できるけど?」

デオン「アナスイ感あふれる解決方法はやめろ」

デオン「止める権利は私たちにはない。ただ……」

茨木「ただ?」

デオン「……エリザ一人を抱くのなら、私も相手をしてもらわないと不公平だなぁ?」ニヤァァ

茨木「汝は鬼か?」

ジャック「本物の鬼に言われるあたり色々終わってるよね」

デオン「うるさいぞ」
281 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/17(日) 22:41:21.05 ID:XMU1sJYp0
ぐだ男(考えろ……今のエリザはBBたちの妨害工作によって徹底的に牙と翼を折られた無垢な子竜だ)

ぐだ男(抱こうと思えば抱ける。特に拒絶はされないだろう)

ぐだ男(……というかあまりにも魅力的すぎて多少のデメリットは目を瞑ってもいいくらいだが……)

ぐだ男「……」

エリザ「……」カタカタ

ぐだ男「……はあ」

ぐだ男「やめよ。流石に震えてる女の子襲うほど狼になれないよ」

エリザ「……ヘタレ」

ぐだ男「お互い様だ。ほら、布団は二枚敷くぞ」バサッ

エリザ「……怖いのは確かにそうだけど」

エリザ「ちょっとくらいのリスクなら目を瞑ってもよかったわ」

ぐだ男「……やっぱりサーヴァントとマスターって似るのかな。俺も似たようなこと考えてたよ」
282 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/17(日) 22:48:43.61 ID:XMU1sJYp0
エリザ「……布団、くっつけて」

ぐだ男「あいあい。電気消すぞー」

パチンッ

エリザ「うん。あのね、マスター」

ぐだ男「なんだ?」

エリザ「……寝ている間、手を握ってるくらいはいいでしょ?」

ぐだ男「それくらいならお安い御用だな。ほら」

エリザ「……ん」キュッ

エリザ「え、へへ……あったかい」

エリザ「……寒くなったらくっついてもいいでしょ?」

ぐだ男「それは」

エリザ「勘違いしないで。くっつくだけよ」

ぐだ男「……勝手にすればいいんじゃないか?」

エリザ「ありがと……」

エリザ「……なんでかしら。カラオケにも、スイーツビュッフェにも行ったわけじゃないのに」

エリザ「本当、なんでもないことしかしてないのに。凄く幸せだわ」

ぐだ男「……それはよかった」
283 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/17(日) 22:56:49.27 ID:XMU1sJYp0
エリザ(……まあそれはそれとして、頭痛は酷いわね)

エリザ(コイツ、人が好すぎるわ。竜の娘と同じ部屋で寝るなんて)

エリザ(……ふ、ふふっ。寝ている間に拘束することなんて私には簡単よ)

エリザ(延長コード。ガムテープ。服。無意味に置いてあるダンベル。その他様々なもので雁字搦めに縛り上げることは簡単よ)

エリザ(BBは私の槍以外のすべてを拷問器具を奪ったつもりでしょうけど、拷問なんて身の回りのもので簡単に済ませられるわ!)

エリザ(指一本を噛み千切ってやろうかしら……腕一本をへし折ってやろうかしら……両目を抉って飴玉みたいに舐めてみたいわ!)ゾクゾクッ

エリザ(とっても頭が痛いの。それくらいなら許してくれるでしょう?)

ぐだ男「エリザ」

エリザ「んっ? なに?」

ぐだ男「俺も幸せだよ」

エリザ「……」

ぐだ男「いや、まあ、それだけだ。うん。もう寝よう?」

エリザ「……」

エリザ(また今度にしましょう)
284 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/17(日) 23:10:58.58 ID:XMU1sJYp0
茨木「……特に何も起こってないようだな?」

デオン「チッ」

ジャック「白百合の騎士が聞いて呆れるなぁ」

マシュBB「消化不良なら私と賭けチェスでもします?」

デオン「やめておく」

マシュBB「おや。生前ではかなりやったものだと聞いていましたが?」

デオン「流石にカモる相手くらいは選ぶさ」

茨木「というかデオン。生前そんなくだらないことやってたのか」

デオン「略奪よりは幾分かマシだと思うが?」

ジャック「どっちもどっちだよー」

マシュBB「……さてと。それじゃあ明日は……」

デオン「マシュの番だが……まさか貴様まで行くとは言わないだろう?」

マシュBB「一人じゃ心細いんですって」

茨木「本当にそう言っているのだとしたら魔酒よ。頼る相手を致命的に間違っておるぞ」

ジャック「ウサギの足に願掛けした方が千倍生産的なのに」

マシュBB「み、見返してやるぅ……!」ワナワナ
285 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/17(日) 23:13:17.76 ID:XMU1sJYp0
続きは明日!
286 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/17(日) 23:42:04.85 ID:6VhHrOTU0
おつ
287 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/18(月) 08:22:30.49 ID:Zkbjj15e0
虚構殺人遊戯 才囚学園

赤松(巌窟王さんが私たちを守ってくれたおかげで、この極限の状況下においても私たちは正気を保っていられた)

赤松(きっと頑張れば全員で脱出できるはず……そう思った矢先だった)

赤松(アンジーさんの殺人未遂事件が起こったのは)

赤松(第一発見者は巌窟王さんと、それに同行していた最原くん)

赤松(現場は三階の空き部屋三つの中の、真ん中の部屋。その床下)

赤松(アンジーさんは何故か泥酔した状態で、荒縄で雁字搦めに縛り上げられ、無抵抗に医療用ヒルの群れに血を吸われていた)

赤松(助け出されたアンジーさんは尚も意識不明。生死の境をさまよっている)

赤松(こんな惨い殺し方でアンジーさんを葬ろうとした人が……私たち十六人の中にいる……?)

モノクマ「犯人を議論したいのなら裁判場を貸してあげてもいいよ! 面白いしね、うぷぷ!」

赤松(そして始まった……命はかかってないけど、緊張感だけは本物の、疑似学級裁判が)
288 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/18(月) 08:32:18.99 ID:Zkbjj15e0
王馬「いや議論するまでもないだろ! こんなグロい殺し方でアンジーちゃんを殺そうとするのは……!」

王馬「超高校級の昆虫博士の獄原ゴン太しかいねぇーだろうがよォーーー!」ズバァァァンッ!

獄原「ち、違うよ! ゴン太は虫さんに人殺しをさせたりしないんだッ!」アタフタ

春川「でも現実に、あの医療用ヒルは獄原の研究教室で育てられていたヤツだよね?」

獄原「う、うん。そうだけど。でもそもそも、ゴン太の研究教室にいたヒルさんを全員かき集めたとしても」

獄原「あんな……人一人を殺せるような量の血を吸ったりできないんだよ!」

東条「……確かに。獄原くんの研究教室にいたヒルだけで人を殺せるとは思えないわね」

東条「体格の小さい星くんなら別だけど、今回襲われたのは夜長さんなのだし」

最原「ゴン太くん。発想を変えてみよう。どうやったらあの数のヒルだけで人を殺せるようになるのか」

獄原「い、イヤな発想の変え方だね……」

最原「ごめん。でも超高校級の昆虫博士であるキミの力が必要なんだ」

巌窟王「……例えば、だが。ヒルが飲んでいたアンジーの血液に何らかの『混ぜ物』がしてあったとしたら、どうだ?」

最原(……混ぜ物……?)

最原(いや、でも意外だな。生徒同士で争わせるのは理念に反するだろうに。巌窟王さんがヒントを与えるようなことを言うなんて)

最原(……考えるのは後にしよう。ヒルにゴン太くんの想定以上の、それこそ人が死にかねない量の血を吸わせる方法……!)

最原「アレしか考えられないよね。発見時のアンジーさんは何故か酷く酔っていて、酒臭かった」

最原「……多分、ヒルを狂わせた元凶は『アンジーさんの血中アルコール濃度』……平たく言えば酒だよ」

百田「さ、酒だぁ?」
289 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/18(月) 08:39:28.39 ID:Zkbjj15e0
獄原「あ、そっか。それならありえるよ」

獄原「ヒルさんたちにとって、アルコールは麻薬に等しいからね。満腹中枢がおかしくなっちゃうんだ」

獄原「もしも血を吸われている人の血中に、大量にアルコールがあったとしたら……」

獄原「うん! あの数のヒルさんたちだけでも、一人を殺す程度なら充分足りると思うよ!」キラキラキラ

王馬「空気読めよゴリラ! そんな誇らしげに言うな!」

獄原「ご、ごめん」

王馬「まあそれは置いといて……酒? 学園の中に酒なんてあったっけ?」

最原「あったと思うよ。さっき『酒の持ち主本人』から教えられたから間違いない」

東条「……私の研究教室の隠し扉の先よ。今まで言う機会がなかったけど、ワインセラーがあったの」

天海「東条さんの?」

東条「……でも私は犯人じゃないわよ」

天海「さて、それを決めるのは、俺でもキミでもないっすけどね」

東条「……」
290 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/18(月) 08:49:35.07 ID:Zkbjj15e0
茶柱「で、でも本当に、アンジーさんはお酒を飲んだっていうんですか?」

春川「あるいは血中に直接注射された……とも考えられない?」

巌窟王「いや……アンジーは間違いなく酒を口から飲んだはずだ」

巌窟王「最原。その根拠、お前なら答えられるだろう?」

最原「……」

最原(なんだ? さっきからの巌窟王さんの態度。まるで僕を試しているような……?)

最原「ええっと……うん。アンジーさんの口の中は、何かを無理やり突っ込まれたみたいに荒れ放題だったんだ」

最原「多分だけど、あの荒縄で雁字搦めに縛り上げた後で、無理やり酒瓶を口の中に押し込まれたんだろうね」

夢野「き、聞けば聞くほど、今回の犯人はエグすぎるぞ……!」ガタガタ

キーボ「……そういえば、あのアンジーさんを縛り上げた荒縄。あれは真宮寺くんの研究教室にあったものでは?」

真宮寺「あ、本当だ。よく気づいたネ」

百田「なんだ? 今回の犯人は、やたらあっちゃこっちゃから材料を調達してんな」

春川「獄原の研究教室の医療用ヒル。東条の研究教室の酒。真宮寺の研究教室の荒縄……」

春川「どれも鍵がかかってない研究教室だから、これで容疑者を限定するには弱すぎるけど」

最原(無視するのは無理、っていう程度には気になるな……)

最原(……ゴン太くん、東条さん、真宮寺くんの中に、犯人がいるのか……?)

最原(アンジーさんを殺そうとした犯人が)
291 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/18(月) 08:58:29.78 ID:Zkbjj15e0
カルデア

BB「おおー……気になる。先が気になりますよ、この展開……」

BB「犯人は一体誰――」



prrrrr!


BB「っと、いいところなのに!」

ガチャリンコ

BB「はいはい! こちら可愛いBBちゃんです!」

マシュ『あ、あの……さっきから肉体の主導権私に渡して、どこに行ったのかなって思って……』

マシュ『心配になって電話したんですけれども……』

BB「えっ」

BB「……あっ! もう朝!? 嘘でしょお!?」ガビーンッ!

BB「リアタイで見たかったのにいいい!」


結局BBは今回も見逃した
292 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/18(月) 09:09:36.42 ID:Zkbjj15e0
ホテル

マシュBB「あー……あーあーあー……」

マシュBB「体がもう一つ欲しい」

デオン「次にそんな悍ましいことを言ったら今すぐカルデアに戻って斬ってやるからな」ギリィッ

茨木「万死に値する」

ジャック「裸に剥いて雪山に放置したい……」

マシュBB「そこまで言います!?」ガビーンッ!

マシュ(犠牲は私一人で充分です)

BB(マシュさんまで!)
293 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/18(月) 09:17:41.97 ID:Zkbjj15e0
マシュBB「さてと。じゃあ作戦会議でもしますか。しばらく二人で相談しますので、話しかけないでくださいねー」

デオン「……余計な入れ知恵はするなよ、BB」

マシュBB「変なことは言いませんよ。大胆なことは言うかもしれませんが?」ニヤァ

茨木「デオン。次に、なんて悠長なことは言わずに今コイツを斬るべきでは?」

デオン「マシュの名誉のためにも、いっそのこと体ごと殺るのも優しさか……」ギャランッ

ジャック「マシュ……大好きだよ……!」エグッ

マシュ「やめてください! 大丈夫ですから!」

デオン「冗談は置いといて、そろそろエリザとマスターが起きる時間だな」

茨木「監視再開だな」

ジャック「わーい!」
294 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/18(月) 09:23:53.85 ID:Zkbjj15e0
休憩します!
295 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/18(月) 18:15:33.47 ID:Zkbjj15e0
旅行サーヴァント概評(BBちゃん独断と偏見込み)

マシュ・キリエライト
むかしの自分を見ているようでイライラする。
私とセンパイがベタベタしているのを見てモヤッとした気持ちになるのは、まあ別にいいとして。
泣き寝入り率がかなり高いのがネックすぎます。いい子ちゃんすぎてかなりつまらない子。
ただ、こういう真面目な人ほど一旦坂を駆け下りれば止まらなくなるので、そこら辺だけは楽しみです。

シュヴァリエ・デオン
エリザさんの拷問癖、茨木さんの堪え性の無さ、ジャックさんのキレッキレな殺人癖。
それらすべてを無表情で流して引っ張っていける強さを持っているのに、なんで私のことだけ見逃してくれないのか理解不能です。
ジッサイコワイ。
あの王妃がいない場所だと自分に甘く他人にももっと甘い、みたいなスタンスを取っているようです。
私にも甘くしてもらえませんかね。

エリザベート・バートリー
私にとってはとても馴染みの深いサンシタその一。
頭の中は糖度ガン上げのスイーツ系サーヴァント。
デオンさんに並んだ古参のサーヴァントなので、バカっぽい言動の割に経験値はすさまじく高いです。
皮肉なことに経験値の高さのせいで著しいテンションのカーミラ化が起きていますが、そこを指摘したらガチで殺されかねないので内緒です。

茨木童子
酒呑童子の腰巾着、あるいは金魚のフン。
ひとまず甘いお菓子を与えておけば文句は言わないので、(使い勝手は)いい子。
更に、このメンバーの中では意外なことに気遣いが一番できます。
他のメンバーもこの子くらい頭スッカラカンならなぁ。

ジャック・ザ・リッパー
私がこの旅行に同行させたクレーバーサイコロリ。
目的はサーヴァントたちが暴走したときに、その凄まじい俊敏でもって制圧すること。
……なのですが、うっかりしてました。この子自身も暴走率高いんです。
一歩間違えたら大惨事でした。彼女のサイコ加減舐めてたなぁ。
次はもう間違えません。
296 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/18(月) 18:26:43.49 ID:Zkbjj15e0
エリザ「……すかー……」スヤァ

ぐだ男「……」

ぐだ男(背中に思いっきりくっつかれてるぅー……)

ぐだ男(ほとんどないも同然だが、胸のあたりが柔らかくって気持ちいい)

ぐだ男(薄いけどないわけじゃないのだ!)

ぐだ男(とか言っている場合じゃないな。これは。どうしよう)

ぐだ男(エリザを起こさないように布団から出れるだろうか?)

ぐだ男(……)

ぐだ男「出来る。出来るのだ」

ぐだ男「ゆっくりそーっとそーっと」

エリザ「ハッ」パチリ

ぐだ男「寝覚め良すぎ!」ガビーンッ!

エリザ「……」

エリザ「……おはよ」カァァ

ぐだ男(火竜じゃないはずなのに体温がめっちゃ上がってきた)

ぐだ男「あ、ああ。うん。おはよう」

エリザ「昨日寒かったから、くっついたわ。いいって言ったでしょ?」

ぐだ男「……その……色々柔らかくって……落ち着かないんですが……」

エリザ「サイッテー!」バシッ

ぐだ男「俺に当たるなよ!」
297 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/18(月) 18:36:30.25 ID:Zkbjj15e0
ぐだ男「……朝になったな。確認するべきことは一つだ」

エリザ「え? 何? 夢じゃないかどうかの確認? 拷問技術があるからすぐにできるけど?」

ぐだ男「ほっぺ抓る程度に留めておけよ。そうじゃなくって」

ぐだ男「エレベーター、そろそろ修理終わったかなって」

エリザ「ああ……」

エリザ「……あんまり長居すると里心付いちゃいそうだから、もう帰る準備するわね」

ぐだ男「了解。じゃあ俺はエレベーターの確認してくる」

エリザ「修理できていたらさっさと帰るわ。お母さまに挨拶してからだけど」

ぐだ男「……」

ぐだ男「ところで里心って……お前、ホテルでも上手くやってるんだなぁ」

エリザ「心外ね。あっちにいるサーヴァントたちはみんな仲間よ」

ぐだ男「BBもか?」

エリザ「忌々しいけどね。腐れ縁よ」

ぐだ男「……そうか」
298 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/18(月) 18:45:23.83 ID:Zkbjj15e0
ホテル

デオン「……ふむ。アイツ、身内には甘いな。ちょっと信用しすぎじゃないか?」

ジャック「あー。普段は憎まれ口ばっかり叩いてるくせに、いざってときには一番最初に泣いちゃうからねー」

ジャック「ほら、終局特異点でマシュが蒸発死したときもさ」

デオン「懐かしいなぁ。確かにこっちまで胸が痛くなるくらい泣いてたなぁ」

茨木「仲間のために泣けるのに、なんで他の人間に対しては……」

デオン「ははは。茨木。そこまでだ」ニコニコ

ジャック「多分その台詞はそれ以上言ったら私たち全員に刺さる。やめておこう?」ニコニコ

茨木「都合の悪いところから目を逸らす天才だな汝ら」

茨木「……む?」

デオン「どうした?」

茨木「BBとマシュはどうした?」

デオン「……ッ!?」

ジャック「あっ、いない」
299 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/18(月) 18:52:56.27 ID:Zkbjj15e0
デオン「……くそっ! やられた! BBにマシュを連れていかれた!」

ジャック「やっぱり余計な入れ知恵される前に殺すべきだったねー? マシュごとでもいいからさ」ギャランッ

茨木「よせよせ。流石にもう魔酒も成長したのだ」

茨木「なんでもかんでも鵜呑みにするような子供ではない」

デオン「確かにそうだが……」

デオン「……」

ジャック「カルデアにいるサーヴァントに連絡してBBを暗殺してもらう?」

デオン「難しいな。私たちの申請と許可の偽造を担当しているのがそもそもBBだ」

デオン「カルデアにそんな連絡を入れた途端に何をされるか……」

茨木「静観しかあるまいよ。まあアイツも流石に限度は知っておろう」

茨木「命懸けで悪ふざけをするというのなら、こちらも命を狙うが、それだけだ」

デオン「……仕方ない。剣を向ける先がないのなら、な」

ジャック「保留! だね!」
300 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/18(月) 19:03:47.04 ID:Zkbjj15e0
東京某所

BB(ふっふっふー! これですよ、これ! 私が送ったプレゼントボックスの中には私の人格以外にも色々入ってたのです!)

マシュ(な、な、ななな……)

BB(大胆ベビードール、スケスケネグリジェ、甘々フリル付きブラ&パンツ……)

BB(色々ッ! そう! 本っ当に色々と持ってきましたよ! あなたのために! あなたのために!)

マシュ(恩着せがましい! 着ませんよ、こんなもの!)

BB(ああっれー? 照れちゃってる系ー? マシュちゃんキャーワーイーイー!)

マシュ(急にギャル調にキャラを変えないでください! 誤魔化せませんよ、そんなのでッ!)

BB(……)

BB(リスクなしにリターンは得られない)

マシュ(は?)

BB(ガッカリです。あなたはこれまでの特異点で、一体何を学んできたというのですか?)

マシュ(!?!?)ガビーンッ!

BB(様々な犠牲があったはずです。勝ち続けてきた以上、それは決して無駄な犠牲ではなかったはずですが)

BB(散々打ちのめされてきたでしょう? そして、過程があるからこそ結果は実を結ぶということを知ったはずです)

マシュ(……)

BB(……欲しいんでしょう? というより、他の誰にも渡したくないんでしょう?)

BB(センパイのこと)

マシュ(それは……)

BB(誤魔化す必要はないんですよぉ。このグレートデビルBBちゃんが、その願いを叶えてあげますからねー)

マシュ(……それは……)

マシュ(……)

BB(ふふふー)ニヤァ
301 :爆死の人 ◆SxyAboWqdc [saga]:2017/09/18(月) 19:04:40.68 ID:Zkbjj15e0
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