【艦これ】甘々っくす

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80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/10(日) 22:42:33.96 ID:wInqmCpf0

伊14「コラー提督ー!なんか酒の肴になるようなネタはないのかー!」

千歳「お酒の席の話題といったら色事でしょう。これだけ沢山の女の子に囲まれているんですから浮いた話の一つや二つないんですか?」

提督「ええい絡むな酔っ払い」

鳳翔「あらあら、絡み酒はいけませんよー」

鎮守府の一角に設けられた小さな居酒屋『鳳翔』。
普段は艦娘の飲み会にあまり顔を出さないが、今日は提督も参加し飲み会が行われていた。
久々の参加に艦娘らも盛り上がり、あれやこれやといじりまわす。
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/10(日) 22:44:05.38 ID:wInqmCpf0

隼鷹「そういやぁさ小耳に挟んだんだが、お前さん最近ドイツのロリっ娘とよろしくやってるみたいじゃないか」

伊14「んードイツのロリっ娘っていうと思い当たるのが三人ほどいるけど・・・」

隼鷹「ホラ、あの赤毛でツリ目の奴だよ」

千歳「あぁ、マックスさんのことですね」

提督「どこからそんな情報を・・・別になんにもしてないよ。まぁ確かに最近マックスとよく夕食とか一緒に食べたりするんだけどね」

ポーラ「んん〜、それはほんとですかぁ〜?」

那智「お、お、なんだなんだ。貴様はああいった幼い娘が好みなのか」
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/10(日) 22:45:54.94 ID:wInqmCpf0

提督「人をロリコンみたいに言うんじゃないよ。別に狙ってああなった訳じゃなくていつの間にか自然とご飯を作り合う仲になってたってだけだよ」

伊14「ええーいいなー。私も提督と一緒にご飯食べたーい」

千歳「ダメですよー提督。あんな小さな娘に手を出しちゃ」

隼鷹「あんなちっちゃいナリでもちゃんとやることやってんだねぇ。提督ぅ〜あんま無茶させんじゃないよ〜?」

提督「だからなんもしてないってば」

酒を煽りながら改めて自分は潔白であると繰り返す。
しかしみんなから返ってきた反応は提督の予想していたのとは違ったものだった。
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/10(日) 22:47:52.04 ID:wInqmCpf0

隼鷹「へっ?部屋に呼んで飯食う仲なのになんもしてねぇの?」

提督「しちゃマズイでしょ。まだ小さい女の子なんだし」

那智「我々艦娘において見た目と年齢は一致しないぞ。外見程度の些細なことは気にせずガツンと一発決めたらどうだ」

提督「えぇ、那智はそういうこと言う人じゃないと思ってたのに・・・」

隼鷹「種無しー」

伊14「意気地無しー」

ポーラ「根性無しー」

提督「ひどい言われようだ・・・手を出したら出したで憲兵だなんだと騒ぐくせに」

那智「だがそういう時は男の方からリードしてやるものだろう」

千歳「ダメですよー提督。女の子に恥をかかせちゃ」

提督「君さっきと言ってること違くない?」

84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/10(日) 22:49:17.58 ID:wInqmCpf0

伊14「提督ってばマックスさんに対して思うことはなんにもないの?」

提督「とてもいい娘だけど恋人ではないし、それに仲が良いと言ってもご飯を一緒に食べたり、体調が悪い時に看病してくれたり、あーんしてもらったり、海に行ったり、お酒飲んだりするくらいで特別仲がいいってわけでもないよ」ハハハ


ポーラ「えー・・・」

伊14「あほくさ・・・」

千歳「なんだ、ただの惚気ですか・・・」

隼鷹「おーい鳳翔さん、このカクテル甘過ぎんよー」

鳳翔「おかしいですねー、辛口のウィスキーのはずなんですけどねー」
・・・・・
・・・・
・・・
・・

85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/13(水) 23:17:29.70 ID:3aDobMvn0
申し訳ありません
使っているパソコンが不調でONOFFを繰り返していたところデータが壊れたとのことで、初期化もしてみましたが改善しないため業者に出しております
しばらく投稿が止まりますが、パソコンが帰ってきしだい投稿します
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/14(木) 13:39:16.16 ID:D0dHxUkko
うい
しゃーない
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/27(水) 07:33:34.57 ID:Jnw2G3xV0
落ちないように
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/23(月) 08:25:01.58 ID:R76+XkZKo
まだPC直らなさそうです?
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/24(火) 19:32:25.42 ID:1/DR3q6R0
いえ、帰ってきました。
しかししばらく間が空いたためダレてしまっておりました、申し訳ありません
待ってくださっていた方々、ありがとうございました。

続き投下させていただきます。
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/24(火) 19:55:50.51 ID:1/DR3q6R0

世界の国々には祭り・儀式・神事といった多種多様な行事があり、一年中どこかでなにかしらの行事があると言っても過言ではない。
日本も例に漏れず年間を通して様々な行事がある。

その中でも2月14日、若い少女たちが(男たちも)色めき立ち大騒ぎするイベントがある。

Z3「バレンタインよ」

Z1「バレンタインだね」

伊8「バレンタインですね」

呂500「バレンタインですってー」

プリンツ「私たちの国では男性から女性へ花を渡すけど、ヤーパンでは女性が愛する男性にチョコを渡すみたいですよ。変な行事ですねー」

伊8「ドイツのも日本のも、私たちがまだ艦だった頃にはなかった文化ですけどね」

呂500「ちなみにお世話になった人へ渡す義理チョコや友達同士で渡す友チョコ、自分のためのマイチョコ・・・男性同士で渡す〇モチョコなるものもあるんですってー」

プリンツ「キャー!」

呂500「キャー!」

Z1「わー・・・」

Z3「えー・・・」

伊8「あー・・・」
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/24(火) 20:01:36.97 ID:1/DR3q6R0

Z1「それで、マックスは今年も提督にチョコ渡すんでしょ?」

Z3「別に深い意味は無いわ。普段お世話になっているお返しってだけ」ぷいっ

伊8「あらあら、ほんとうですかー?」

プリンツ「そうですねー深くないですよねー丸見えですもんねー」

呂500「この日のために何度も練習した渾身のザッハトルテですって」

Z3「それは出来の悪いものを渡したら恥ずかしいっていうだけで・・・」

Z1「試作したケーキを全部処理してたビスマルクさんが、体重計に乗って青ざめるくらいにはたくさん作ったよね」

Z3「もうっ、なんだっていいでしょう!」

からかってくる仲間たちの相手をしつつ、あくまでなんとも思っていない風を装う。
それでも、期待せずにはいられない。
これを受け取ってくれた人が喜んでくれることを。
おいしいよと笑顔を見せてくれるところを。
顔を赤くしてチョコを抱きしめる姿は誰が見ても恋する少女のものだった。

・・・・・
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/24(火) 20:02:47.38 ID:1/DR3q6R0
バレンタインのネタを書いてて思ったけど、鎮守府中の艦娘たちがその日に合わせてチョコ作るとしたら厨房が大混雑になりそうだよね。
各部屋に調理設備があるとも思えないし。
そして艦娘がごったがえす厨房内で本命か義理なのかを探り合う水面下の争いが行われるわけだ。
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/25(水) 01:20:35.32 ID:mFwUjqq9o
提督糖尿になってまう
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/25(水) 14:16:01.88 ID:Q+2lwUaRo
戦場と化すのか
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/25(水) 20:38:01.56 ID:qBqkzkzm0
女子寮だし部屋ごとに台所くらいありそうだけど女の戦い的にはない方が面白いねw
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/25(水) 22:56:24.82 ID:i7onokjl0

提督「チョコレートとラブレターをもらいました」

Z3「えっ?」

なかなか執務室に入れずしばらく扉の前でウロウロしていたマックスだが、仲間に背中を押され意を決しチョコを渡しに行く。
緊張の面持ちで部屋に入るとすでに色々な娘から貰ったのであろう、チョコレートの山に囲まれた提督がいた。
若干ムッとした気持ちになるがそこまでは予想の範疇、毎年見る光景である。

しかし今回違っているのは机の上に可愛く装飾された恋文が乗っていることだ。
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/25(水) 22:57:58.45 ID:i7onokjl0

Z3「まさか、それ、全部?」

提督「いいや。チョコレートはみんな義理でくれたものだよ。金剛あたりは『バーニングラブなチョコレート』って渡してくれたけど、まぁこれはいつものことだし」

Z3「そう・・・」

提督「でも一人だけね、僕のことを慕ってる、もっと親密になりたいって言って恋文をくれた娘がいたんだ」

Z1「・・・」

提督「いきなりだったからびっくりしたけど、前から僕のことが好きだったんだって。手紙にそう書かれていたよ」

Z3「・・・」

Z3「・・・・・・」

Z3「・・・・・・・・・」



Z3「・・・・・・・・・ふーん」


98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/25(水) 23:00:27.86 ID:i7onokjl0
あ、しまった
マックスの中に一人レーベがまじってしまった・・・

申し訳ありません、上げ直します
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/25(水) 23:01:43.53 ID:i7onokjl0

Z3「まさか、それ、全部?」

提督「いいや。チョコレートはみんな義理でくれたものだよ。金剛あたりは『バーニングラブなチョコレート』って渡してくれたけど、まぁこれはいつものことだし」

Z3「そう・・・」

提督「でも一人だけね、僕のことを慕ってる、もっと親密になりたいって言って恋文をくれた娘がいたんだ」

Z3「・・・」

提督「いきなりだったからびっくりしたけど、前から僕のことが好きだったんだって。手紙にそう書かれていたよ」

Z3「・・・」

Z3「・・・・・・」

Z3「・・・・・・・・・」



Z3「・・・・・・・・・ふーん」

100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/25(水) 23:03:00.98 ID:i7onokjl0

提督「いやー、モテないモテないと思っていたけど僕も案外捨てたもんじゃないなぁ。はっはっはっは」

人生初の告白をされ、浮かれた提督は饒舌にその時の様子を語る。
マックスの表情がどんどん暗いものになっていくが、舞い上がっている提督はそれに気づけない。


馬鹿みたいにペラペラと話す提督を見やり、鎮守府に来たばかりの頃のような冷たい表情でマックスはつぶやく。



Z3「ふーん・・・そう、そうなの。よかったじゃない・・・」

・・・・・

101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/25(水) 23:14:09.28 ID:i7onokjl0

Z1「あ、お帰りマックス。どうだった提督の反応は――」

Z3「・・・」

廊下の隅でマックスが執務室から出てくるのを今か今かと待っていたドイツ組の面々。
マックスが部屋から出てきたのを見るとワクワクしながら駆け寄るが、冷え切ったその表情を見ると言葉を詰まらせる。

呂500「えーっと、マックス、さん?」

プリンツ「か、顔怖いですよー?」

伊8「あの、なにかあったんですか?」

Z3「別に、なにもないわ」

Z1「でもその様子は・・・チョコも渡せてないようだし・・・」

Z3「悪いけど少し一人にしてもらえるかしら」

そう言うとなにも寄せ付けぬという様子でマックスはスタスタと歩き去ってしまう。

Z1「あ、ねぇちょっとマックス・・・」

伊8「いえ、あれはしばらくそっとしておいた方がいいと思います」

Z1「でも・・・」

慌てて追おうとしたレーベだが、伊8に制止され歩みを止める。
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/25(水) 23:15:11.00 ID:i7onokjl0

プリンツ「これは・・・間違いなくアドミラール関係ね」

呂500「ですよねー・・・」

Z1「バレンタインのチョコを渡しに行って・・・」

プリンツ「あの様子で帰ってくるって・・・」

呂500「嫌な予感しかしないですって・・・」

伊8「マックスさんに聞いても話してはくれないでしょうし、これは直接提督に聞きに行くしかないですね」

・・・・・
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/27(金) 22:48:51.10 ID:/HpQC/z40

マックスが出て行った後の執務室で、腕組みをした提督は一人頭を悩ませていた。

提督「うーん、来たと思ったら特に何もなくすぐに出て行ってしまったな」

提督「自意識過剰かもしれないけど、マックスからはチョコ貰えると期待していたんだけどなぁ」

提督「やっぱり告白されたなんて話したのがマズかったか?いやしかし・・・」


コンコン


提督「!」
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/27(金) 22:51:57.81 ID:/HpQC/z40

悶々としていた提督だが、部屋に響くノックの音で現実に引き戻される。
マックスが戻って来てくれたのかと思いパッと顔を上げるが、聞こえてきたのは期待した人物とは違う声だった。

Z1「ちょっといいかな、失礼するよ提督」

提督「あ・・・レーベか。どうしたんだい?」

Z1「少し聞きたいことがあるんだ。なんかマックスの様子が変なんだけど――」

・・・・・
・・・・
・・・
・・

105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/27(金) 22:57:23.30 ID:/HpQC/z40

Z1「は?」

ビスマルク「ちょっと待って、どういうこと?マックスがいるのに他の娘からの告白を受けたっていうの?」

提督「い、いや受けたわけではなくて本命だって渡されたのがあるよって話をしただけで――」

『立ち入り禁止』の札がかけられ施錠がされた執務室。
そこにはマックスを除く全てのドイツ艦(+伊8)が執務室に集合し、円を書くように並んだ彼女らの中心に提督は正座させられ聴取が行われていた。
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/27(金) 23:01:08.45 ID:/HpQC/z40

プリンツ「ちょっと軽率すぎじゃありませんか?それを聞いてマックスがどう思うか考えなかったの?」

提督「だって別に付き合っているわけでもないし、僕ごときが誰かに告白されたからってそんなに気にするとは・・・」

伊8「あれだけ一緒に過ごしていたのにマックスさんの気持ちに気づかなかったの?口にしなくたって伝わるものはあるでしょうに」

提督「確かにマックスとの仲は悪くないし、いい雰囲気だなーって思う時もあったけど、お互い好きって確かめたわけじゃないし慕ってくれてるって確証はないわけで・・・」ごにょごにょ

ビスマルク「呆れた、こんな腑抜けだったのうちのアドミラールは」

グラーフ「では確証が持てないから他の奴になびいたと?言葉にしなければ気持ちが汲み取れないほどの愚か者なのか貴殿は」

提督「いや、僕なんて全然モテないし、マックスほどいい娘だったら引く手数多で他にいい男がいるかもとか・・・」
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/27(金) 23:05:42.86 ID:/HpQC/z40

プリンツ「じゃあなんで自分からは事を進めるつもりがないのにあんな気を持たせるような関りをしたの?」

呂500「それともマックスさんの初心な反応を見て楽しんでいただけだとか?」

提督「ま、まさか!そんな弄ぶような真似するものか!」

Z1「じゃあマックスから言い出すまで放っとくつもりだったの?」

伊8「提督から告白する気はなかったくせに」

グラーフ「はっきりと口にしてちゃんと伝えるべきはあなたの方ではないのか?」

提督「でも、今までがとても心地よい関係だったから・・・。下手に仲を深めようとしたらその関係が壊れてしまいそうで・・・」
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/27(金) 23:11:01.61 ID:/HpQC/z40

目の前の艦娘たちから次々に指摘をされるが、なおも提督はぼそぼそと言い訳がましい言葉を紡ぐ。
はっきりしない提督の態度に業を煮やしついにビスマルクが机を叩いて身を乗り出す。

ビスマルク「さっきから『だって』とか『でも』とかモジモジと女々しい奴じゃのう!キンタマ付いとんのかおどれは!」ガタッ

呂500「ビスマルクさん落ち着いて!キャラが違いますって!」

伊8「でも怒る気持ちもわかります。提督ってばはっきりせずに言い訳ばかりです」

プリンツ「はぁーアドミラールにはがっかりです。あれだけ好意を示されておいて、情けない『ヘタレー』ね」

グラーフ「あの娘を傷つけておいてこのまま放っておく気か?アドミラール」

Z1「どうするの?ううん、どうしたいの提督?」

真っ直ぐ視線を逸らさずレーベが見据えてくる。
他の娘も無言の圧力で返答を促す。
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/29(日) 14:33:59.61 ID:mSFbP5Ew0

提督「・・・ああ、そうだ。臆病だったんだ自分は。なんとなくとはいえマックスの気持ちに気付いていながらはっきり言葉にせず、グダグダと誤魔化して!その上バレンタインなんかに浮かれてマックスを傷つけてしまったんだっ!」

そう言うと
ガツン!
と、思い切り提督は自分の顔を殴りつけた。
頭の中で火花が散り目の前がチカチカする。
鼻血が溢れ口の端からも血が流れるが、なんとか倒れずに耐える。

呂500「うわぁ!てーとくなにやってるんですって!」

提督「っっっ痛う・・・気にしないでくれ、これはどうしようもない自分への仕置きだ」

プリンツ「だからってなにも自分を殴ることないのに・・・」

Z1「もうっ、そこまでしろとは言ってないよ」

提督「いや、みんなに説教されて自分の不甲斐なさがよくわかったよ。たまらず殴りつけたくなるくらいにはね」

提督はまだ血の止まらぬ鼻を押さえながらも顔を上げる。
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/29(日) 14:40:09.73 ID:mSFbP5Ew0

提督「もう遅いかもしれない、許してもらえないかもしれない、それでもちゃんとマックスに謝りたいんだ。みんなマックスがどこに行ったか心当たりはないか?」

先ほどまでの頼りない姿とは違い、目に光を宿した提督を見てレーベ達も表情を和らげる。

ビスマルク「ふん、ようやく腹を決めたようね」

呂500「マックスさんならきっと許してくれますって」

グラーフ「フッ、いいだろう。私の稼働機も全部出して探してやる。見つけたら離さぬようちゃんと捕まえてくるのだぞ」

プリンツ「ヘタレ―な提督だけど応援してあげます」

伊8「真剣に向き合えばマックスさんはちゃんと応えてくれるはずです」

Z1「きちんと提督の気持ちを伝えれば、遅いってことはないはずだよ。今度こそ誠実に提督の気持ちを伝えてあげて」

提督「ああ、もちろんだ・・・」

皆からの激励を受けて提督は立ち上がる。
離れてしまった大切な人を、もう一度迎えに行くために。
・・・・・
・・・・
・・・
・・


111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/29(日) 22:53:24.35 ID:mSFbP5Ew0

水平線にかかる太陽を前にして一人海岸に座っている人影がある。
その小さな人影は冷たい北風が吹く中厚着もせず、水平線に沈みゆく夕日を眺めていた。

夕日に照られたマックスはもう何度目になるかわからない自問自答を繰り返していた。
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/29(日) 22:54:18.44 ID:mSFbP5Ew0

気にしないようにと思っても告白されたと嬉しそうに話す提督の姿が頭に浮かぶ。
彼はどうしてあんなことを言ったのか。
いや、わかっている。
所詮あの人と自分は上司と部下の関係、少しだけ仲が良かったに過ぎず恋慕の対象ではなかったということだ。
そう、少しだけ仲が良かっただけ。
一緒に食事をしたりデザートやお弁当を作ってくれたり励ましてくれる程度の・・・
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/29(日) 22:57:11.78 ID:mSFbP5Ew0

提督の声、一緒の会話、食べた食事、過ごした時間・・・
提督との思い出が頭に浮かぶと目から何かが溢れそうになり、膝に顔を押し付けて抑える。
涙目になりながら、自分はクールなタイプだと思っていたがこんなにも落ち込みやすかっただろうか、と考える。
きっと変えられてしまったのだ
あの人と過ごしたことで、あの人の優しさを知ったことで・・・

114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/29(日) 22:58:20.58 ID:mSFbP5Ew0


提督「ここにいたんだねマックス」



Z3「!」

不意に背後から声を掛けられ物思いに耽っていた体が跳ねる。
今まさに思いを馳せていた人物に声をかけられ心臓が飛び出しそうになるが、表面上は努めて冷静に振舞い、振り向かぬまま何事もないように返事をする。

Z3「なに?なにか用?」

声色が意識せず棘を含んだものになる。
他の子の申し出を受けておいて私を慰めにでも来たのだろうか。
今更そんなことをされても余計みじめな気持ちになるだけなのに。

115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/29(日) 23:02:26.37 ID:mSFbP5Ew0

Z3「食事の誘いならお断りするわ。今日はそういう気分じゃないの」

素っ気なく突っ撥ねその場から立ち去ろうとするが、回り込んだ提督に進路を塞がれる。

提督「いや、食事の誘いなんかじゃない。マックスに謝らなければならないことがあってきたんだ。聞いてもらえないか」

Z3「なに?別にあなたはなにもしてないでしょう。なにを謝ることがあるというの」

提督「先ほどの執務室でのことだ」

Z3「っ・・・!」

嫌だ、聞きたくない。
そう思うが言葉は出ず、提督はそのまま話を続ける。

提督「告白に浮かれて君を傷付けてしまった」

Z3「やめて」

提督「言う必要のない、誰よりも言うべきではない人につまらない自慢話をしてしまった。本当にすまなかった」

Z3「やめて。そんな――」

そんなまるで自分が振られてショックを受けたような言い方は。
言葉は続かず涙声で声が詰まる。
ああ情けない、平静を装っていたのにこのザマだ。
やっぱり自分は相当弱くなってしまったらしい。
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/29(日) 23:04:21.54 ID:mSFbP5Ew0

提督「マックス」

Z3「・・・・・・なに」

提督「告白してくれた娘はちゃんと断るつもりだ」

Z3「え・・・?」

提督「大切な人がいるからと。本当に想いを伝えなきゃいけない人がいるんだと。今は、その人が誰なのかちゃんとわかったから」

Z3「・・・」

提督「マックス」

Z3「・・・なに」

提督「君に伝えたいことがある」
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/29(日) 23:06:18.63 ID:mSFbP5Ew0

マックスが顔を上げないため視線は合わないが、提督は構わず膝を折り頭の高さを揃える。

提督「自分の本当の気持ちに気付けず、君をないがしろに扱ったことを改めて謝らせてくれ」

Z3「・・・」

提督「意気地無しだし根性無しだし、艦隊指揮以外には料理を作るくらいしか能のない男だが―」

提督「心から君のことを大切に思っている。君のことを部下ではなく一人の女性として守っていきたいんだ。だからどうかこの指輪を・・・」
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/29(日) 23:08:38.51 ID:mSFbP5Ew0

そう言って取り出したのはケッコンカッコカリの指輪。
最高練度の者もおらず、渡す当てもないためずっとしまい込まれたままだった指輪を提督は持って来ていた。
満を持してと指輪を取り出し、マックスの指にはめようとする。

が、しかし―――

Z3「イヤ」

指輪をはめようとするその手をペシっと叩き、マックスは拒否の意を示す。
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/31(火) 23:03:04.36 ID:eb927Zun0

提督「っっっ・・・!」

断られる可能性も考えていたとはいえ、あまりに素っ気ない態度に提督は酷くショックを受けた顔をする。
しかし先に傷つけてしまったのは自分の方、これは自業自得だと己に言い聞かせる。
拒否されたのであればそれ以上余計なことはできない。
提督はぎゅっと拳を握り下を向いた。

120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/31(火) 23:06:12.32 ID:eb927Zun0

提督「そうか・・・」

Z3「謝罪が軽い、言葉が安い。償いで指輪を渡すとかなにを考えているの?しかもそれは本営から支給された指輪でしょう。軍の備品でプロポーズするとか雰囲気も何もあったものではないわ。・・・それに鼻にティッシュが詰められてるし、顔も腫れてる。酷い有様よ」

散々に言われるが返す言葉もない。
提督は悲痛な表情のまま絞り出すように声を出す。


提督「ああ、そうだな・・・。君の言う通りだ。失礼な真似をして申し訳―――」

Z3「それに」
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/31(火) 23:09:51.37 ID:eb927Zun0

うなだれ立ち去ろうとした提督だったが、話はそこで終わらなかった。
マックスの声にもう一度提督は顔を上げる。



Z3「それに、私はまだ指輪を付けられる練度ではないもの」



122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/01(水) 19:53:32.23 ID:TL4+qS2xo
おちゅ
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/11/02(木) 01:44:08.52 ID:Fs1EpfTi0

提督「・・・えっ?」


Z3「大切にしてくれるというのなら、押し入れの奥に引っ込めておくような真似はしないでちゃんと海域に出して。私は軍艦よ、使われなければ錆びてしまうわ。それを私に渡すというのなら受け取るのに相応しい練度になるまでちゃんと育ててからにしてちょうだい」

提督の目を真っ直ぐに見ながらマックスは言う。

Z3「いつかそのレベルになって、その時あなたを許せていたら・・・もしかしたら受け取るかもしれないから」

そう一気に話し終えるとプイっとそっぽを向く。
簡単には許さない、しかし猶予を与えてくれるということらしい。

提督「はは・・・」

一度は諦めた提督だが、完全には拒絶されなかったことに安堵したような笑いを漏らす
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/11/02(木) 01:45:17.13 ID:Fs1EpfTi0

Z3「でも」

しかしまたしても話はそこで終わらず、今度はズイっと顔を近づけ念を押すように言う。

Z3「一度私に渡すと言ったのだから他の娘に渡したらダメ。浮気は許さないわ。すぐに最高練度になるからそれまで待ってなさい」

提督「そんな風に言われては気の迷いなんて起こせないな。わかった、君が受け取ってくれるまで辛抱強く待つよ」

Z3「まだ受け取るとは言ってないわ」

提督「猶予をくれただけでも十分だよ。完全に愛想を尽かされたと思っていたから」
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/11/02(木) 01:46:31.12 ID:Fs1EpfTi0

ようやくいつもの表情に戻った提督がマックスの手を取る。

提督「でも僕は意思が弱くて臆病者だからね、君が成長するまで我慢できるだけの安心材料が欲しい」

そう言ってマックスを抱き寄せる。

Z3「もうっ!反省の気持ちはないの?少し気を許すとすぐ調子に乗るんだから」

提督「そう言わないでよ。ようやく自分の気持ちに向き合うことができたんだ。これからは誤魔化さず正直に想いを表現していきたいんだ」

しばらく提督の腕の中でもぞもぞと抵抗していたマックスだが、やがて諦めたのか動くのをやめる。
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/11/02(木) 01:47:25.44 ID:Fs1EpfTi0

Z1「・・・仕方ないわ。一回だけ、よ」

溜息をつくとマックスは目を閉じる。
そして提督の顔に手を添え、ほんの一瞬



触れるか触れないかの短さで唇を重ねた。


127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/11/02(木) 01:51:03.71 ID:Fs1EpfTi0

提督「!」

Z3「ほらっ、これでいいでしょう?後は練度が上がるまでまっていなさい」

恥ずかしそうにそう言うと、真っ赤な顔を隠すためか提督の胸に顔を埋めてしまう。

提督「ああ、今はこれで十分だ。ありがとう、愛してるよマックス」

Z3「っっっ〜〜〜///」

自分に正直になった(なり過ぎた)提督は恥ずかしいセリフを恥ずかしげもなく素直に伝える。
マックスは返事ができず耳まで赤くなった顔を隠すようにより強く提督にしがみつくのだった。

・・・・






Z1「仲直りできたみたい、だね」

グラーフ「ああ、これで一件落着だな」

ビスマルク「・・・」無言のガッツポーズ

伊8「ふふ、雨降って地固まる。曖昧な関係だった二人にはいいきっかけでしたね」

呂500「ねぇ!今チュッってしてませんでした?ねぇ!ねぇ!!」

プリンツ「なにを話していたのかは聞き取れなかったですけど、当然この後は朝まで二人して近代化改修を・・・。あーいいですねー」
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/04(木) 12:56:07.15 ID:ep4p9CzpO
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/08(日) 11:14:52.94 ID:shGYIULwO
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