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少女「コミケ行くので泊めてください!」男「は……?」
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561 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:36:13.10 ID:d5mh3pIZo
運転手「…………」
運転手「モチロン、今までに使用した武器の他にも、このクルマには」
運転手「対戦車用も含めていくつかの弾薬を積んでいます」
運転手「だが、ソレではおそらく奴には通用しない」
運転手「奴を倒すには、焦土兵器でもなければ……」
少女「……。さすがに、東狂の街を荒野には出来ませんね」
男「焦土兵器が無いと倒せない警察官って何なんだ……」
男「だいたい、荒野にはならなければ、重火器使ってもいいのか……」
562 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:36:47.60 ID:d5mh3pIZo
運転手「ともかく、大橋に入ります。直進!」キキ
ブオオオオオオオ
少女「……あ」
少女「左手。東の海から、日が昇って……」
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563 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:37:14.57 ID:d5mh3pIZo
男「…………」
男「暁の水平線か。眩く照らされる海……」
少女「ミナモに朝日がきらめいて。……美しいです」
男「――――!?」
男「ちょっと待て。太陽を背にして飛んでいる、アレは……!!」
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/ ̄ ̄_人_ キラン!!
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564 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:37:42.59 ID:d5mh3pIZo
運転手「―――ま、さか」
運転手「署長のバイク……!?」
少女「え……!?」
少女「……あ! 本当だ、バイクがコッチに向かって飛んでる!!」
男「そ、そこの埠頭を踏み台に飛び上がったのか!? そんなムチャな……!」
運転手「マズい、追いつかれる……!!」
ピー ピー ピー
565 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:38:09.29 ID:d5mh3pIZo
運転手「……? こんな時に無線通信!?」
ピッ
運転手「誰だ! 何の用か知らないが、今は取り込み中だ!!」
無線『―――、一日遅れの“雨”が降る。傘が無いなら、左にかわせ』
運転手「……!!」
男「な……?」
少女「こ。この声は……!!」
566 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:38:36.22 ID:d5mh3pIZo
運転手「……そうか。そういうコトか」
キキ!!
署長「とらえた――――!」
少女「白バイ……。上から来ます!!」
男「つ。潰される……!」
運転手「―――急発進。フルスロットルゥゥ!!」
567 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:39:03.65 ID:d5mh3pIZo
――虹の大橋 ビッグサイト側
自転車「フーン、フーン♪」チリンチリン
パトカー「ちょっと、ソコのキミ!!」プァンプァン
自転車「げ……!」
パトカー「こんな時間に自転車で出歩いて」キキッ
パカッ
警察官「いったい何してるんだ?」
自転車「ええ……、と、ですね。実はCOMIKEに行くために」
568 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:39:34.28 ID:d5mh3pIZo
警察官「ふぅん。COMIKEに、ね……」
警察官「いったいどこから来たの?」
自転車「愛智県の小牧t……」
パトカー「バキバキバキバキ!!!!!! メキメキメキメキメキメキ!!!!」
警察官「えっ!!?」
トラック「お……? あ。悪いな! パトロールの兄ちゃん!」
トラック「トラックでパトカー、ぺしゃんこにしちまったわぁ!!」
569 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:40:02.42 ID:d5mh3pIZo
トラック「ガッハッハッハ!!!」バンバン
警察官「えっ? えっ!!?」
自転車「うわあ……。これはヒドい」
トラック「そんなコトより、おとーさん! もう無線入れたんでしょ、ジュンビするよ!」
トラック「おうよ。コロンビア・AAモデル、装填! 発射よーい!!」
トラック「撃ェェェェェェェェェェェェいッッッ!!!!!!」
シュボボボボボボボボ!!!!!!!!!!!!
570 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:40:29.11 ID:d5mh3pIZo
――虹の大橋 中央部
運転手「―――急発進。フルスロットルゥゥ!!」
ギャリギャリギャリギャリギャリ!!!!!!!!!!!!
男「左に発進したはいいけど……。白バイにすぐに追いつかれますよ!?」
少女「待って……。何かが、飛んでくる!!」
ヒュルルルルルル…
運転手「……なるほど」
571 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:40:55.83 ID:d5mh3pIZo
運転手「これは、たしかに“雨”ですな」
男「え……?」
少女「あ……、“雨”って。もしかして……」
少女「あのデタラメに飛んでくるミサイルのコトですかぁぁぁ!!!?」
ヒュルルルルルル…
署長「なん―――、だと―――!!!」
572 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:41:22.96 ID:d5mh3pIZo
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573 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:41:50.49 ID:d5mh3pIZo
/して )⌒! ilゝて
/ ( ノ )/ コ
(( \Wl レ/l /
ヽ il´ ̄ ヽ,,/ !V
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.. .. .. ノ 丶 "'-,, `-,,,,-'--''::: ̄:::::::''ニ;;-==,_____ '" _,,--''"
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二.ll.| . 二 ̄ ̄|=,ィ'⌒ニニエニニil]1lー-il]|_三rーilil ̄| .i|..| ||lll|||ii|||lliii..| ||ll|i.: ;: ;: ;: ; ::; : ;:; :; : :: 、/ `" "´ ,, ‐"
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韭| |:::.. .. |巫|il]il]|_三‐┬ lil「l ̄|i、_r lil「l韭l《fニニll ̄'' ;~'',;''゚ ;~'',;'', ;~,;''゚ ;~゚''゚ ;~'',;'',;''゚ ;~,;, ‐''"~ ̄.つ _/`
574 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:42:19.82 ID:d5mh3pIZo
署長「ぐわああああああああああああ!!!!!!」
運転手「ぐぅ……っ!」
少女「ミサイル、数十発……。虹の大橋の中心をぶち抜きました!」
少女「大橋の中心部は完全に崩落。私たちのいるほうと、向こうで分かれています」
少女「そして、私たちのいる反対側、崩れた橋の向こう岸にいるのは……」
署長「ぐっ……」
少女「署長の姿です! 完全に署長の追跡を止めました!!」
575 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:42:46.91 ID:d5mh3pIZo
男「は……、はは。やったのか……」
男「今日だけで、いったい何回、爆発が起こったんだ……?」
少女「しかし。この数十発のミサイルの主は、いったい?」
少女「見たところ、発射角がデタラメ過ぎて、橋の架かっている湾内はおろか……」
少女「都心のほうまでミサイルが飛んでいますが……」
トラック「はっはっはァ!! それなら大丈夫だ!!」
トラック「ミサイルはヒトの住んでる地域に飛ばないようセッティングしてるんでなぁ!!」
576 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:43:15.23 ID:d5mh3pIZo
男「お、大型トラックから声が……!?」
少女「この声……。さっきの、無線の!!」
運転手「……まさか、お前たちまで現れるとはな」
トラック「よう」ガバッ
組長「愛と正義の救援隊、到着だァ!!」
大家「あ、私もいますよー」
男「お。大家さん……!」
少女「それに大家さんのお父さんも!!」
577 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:43:50.68 ID:d5mh3pIZo
組長「おお、おお! バカ娘のタナコども! 一昨日のケバブ屋以来だな!」
組長「謎の特殊部隊に襲われたってのに、元気そうで何よりだ!!」バンバン
大家「ぐふっ……」
少女「な、謎の特殊部隊って……」
少女「大家さんのお父さん、高雄山の特殊部隊のコトを!?」
組長「ああ、モチロン知ってるぜ。なにしろ」
組長「特殊部隊をハデに爆撃したのは、ウチの組のモンだからな!!」
少女「え。く、“組”って……?」
578 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:44:30.64 ID:d5mh3pIZo
男「ああ……。さすがに説明しなきゃならないか」
男「大家さんの家は、このへん一帯の地主なんだ」
男「そしてお祭に出店なんかもよくする」
男「……ここまで聞いて、何か思い当たる職業は無いか?」
少女「そ……。それは、ウワサに聞く、アレですか」
少女「大好きなモノは、金、女、暴力」
少女「失くした小指は忠誠のアカシ」
少女「恐怖を恐怖で支配する、ヤのつく自営業そのヒトであるとっ!!」
579 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:44:57.53 ID:d5mh3pIZo
組長「はっはっはァ! そりゃまあ言いすぎだがよォ!!」
組長「場合によっては、そういうコトもある」
男「ひえッ……」
少女「おトナリさんが実は極道だった……」
少女「アパート暮らしとかは、かくも面白いモノなんですね!」
大家「はいはい。お喋りはそのへんで」
大家「まずは男さん。目的を達成できたようで何よりです」
男「あ……」
580 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:45:24.23 ID:d5mh3pIZo
大家「次に少女ちゃん。勝手なコトして、男さん困らせたらダメですよ?」
少女「……はい。スミマセン」
大家「うん。わかればいいんです」
大家「そして運転手さん!!」
運転手「何ですかな。組長のお嬢どの」
大家「……あ、あなたが。伝説の?」
運転手「いかにも。もっとも、伝説かどうかは、私には判断しかねますが」
組長「はっはっはァ! まあ、イカれた暴走伝説ってやつだ!!」
581 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:45:51.87 ID:d5mh3pIZo
大家「友人さんのコトも含めて、色々と問い詰めたいコトはありますが」
大家「まあ、今はそれどころではないようですね」
プァンプァンプァンプァン!! プァンプァンプァンプァン!!
少女「げ、このサイレンは……」
少女「向こう岸にパトカーの大軍が!!」
男「今はまだ向こうにいるが、コッチに周ってくるのも時間の問題だな」
大家「はい。ですからお三方は、今すぐCOMIKE会場に直行してください」
582 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:46:18.53 ID:d5mh3pIZo
少女「え……」
大家「どうせ行くんでしょう? COMIKE」
男「…………」
少女「……ええ。モチロンですとも!!」
少女「だって私は、そのためにこの街に来たんですから!」
男「…………」フッ
運転手「良いカノジョさんですな」
男「さて。何のコトだか」
583 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:46:47.61 ID:d5mh3pIZo
大家「良いヘンジです。そうこなくっちゃ」
大家「それと、男さん! コレを」ポイッ
男「……ん? おとと、ウワァ!!」ドカッ
大家「忘れ物ですよ」
大家「COMIKEに向かう戦士には必需品じゃないんですか、そのバッグは」
男「持ってきてくれたんですね……。昨日の装備を入れっぱなしにしておいて良かった」
男「ありがとう」
大家「いいってコトですよ」
584 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:47:14.04 ID:d5mh3pIZo
大家「では、この場は私たちに任せてください!」
大家「さあ。パトカーの集まっていない、今のうちに!!」
運転手「……かたじけない!」ブオオオオオオオ
少女「大家さーん! ありがとうございましたー!!」
男「このお礼は、必ず!!」
シュゴオオオオオオオオ!!
大家「……行きましたか」
組長「やれやれ。ハデにやってくれたモンだぜ」
585 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:47:56.54 ID:d5mh3pIZo
組長「山ン中での撃ち合いくらいならともかくよォ」
組長「橋の真ん中がゴッソリいっちまったとか、どうすんだ?」
大家「私としては、都心のほうに飛んでいったミサイルも気になるんですが……」
大家「……あ。山毛線、全線運行見合わせみたいです」テロテロリン♪
大家「車線に爆発物落下とかで」
組長「はっはっはァ! こりゃあ大事故だなァ!!!」
大家「笑ってる場合じゃないですから……」
組長「だが、あの嬢ちゃんは帰ってきて、全員無事で、万事うまくいった」
586 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:48:24.07 ID:d5mh3pIZo
組長「そうだろう?」
大家「…………」
大家「まあ、たしかに?」
大家「終わり良ければすべて良し、といいますか。当初の目的はすべて達成できましたね」
組長「そうそう! あとは自分で自分のケツを拭くだけだ!!」
大家「といっても、高雄山での爆発事件隠蔽、首都高のETC破壊の損害賠償支払い」
大家「タクシー速度超過事件の揉み消し、それにこの虹の大橋の崩落事件弁明……」
大家「ああ、そういやさっき、なんかパトカー一台も潰してましたっけ」
587 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:48:53.04 ID:d5mh3pIZo
組長「はっはっはァ! そのへんの事後処理はお前に任せるぜ!!」バンバン
大家「ぐふ。ホント、都合いいんだから……」
プァンプァンプァンプァン!! プァンプァンプァンプァン!!
署長『そこのトラックの持ち主!! 組長だな、動くな!!!』
大家「あ。署長さんの白バイ来ちゃいましたよ。どうやって逃げるんですか?」
組長「ん? 今回はヘリも出してないし、逃げ場無えなあ」
大家「……え。それって……」
588 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:49:21.05 ID:d5mh3pIZo
組長「そう! 夏の海なら安心だァ!!」
組長「飛び込めェェェ!!!!!!」
大家「ウソだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」
ドボーン
ドボーン
589 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:49:47.44 ID:d5mh3pIZo
最終章 中編は以上になります。
最終章 後編は、無事に完成した場合は、明日18時ごろの開始を予定しています。
590 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/30(水) 19:19:32.95 ID:hQ2pvBbRo
うーん。急に安っぽくなっちゃったな
ファンタジー要素はタイムトラベルとヤクザくらいにして欲しかった。いくらヤクザでも
ロケランやミサイルなんて持ってる訳ないし少女一人のために橋に大穴空けるとか迷惑過ぎるだろ…
591 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/30(水) 20:06:55.98 ID:0A8d/kAGo
120キロで車が壊れる心配や高速で制限60キロとかどんなとこだよ
120位で車が壊れるなら高速道路事故車ばかりだっつーの
592 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/30(水) 22:40:13.56 ID:g1COK5L4O
はっちゃけててすき
593 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 22:56:24.96 ID:ryO5s5a/o
お前ら東狂に詳しいんだな
東京は知ってるけど東狂の事はなんもわかんないわ俺
594 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/31(木) 01:47:42.10 ID:1cu7x3KR0
>>590
>>591
はーい、創作物にマジレスお疲れ様ですぅ
お薬出しとくんでおかえりくださいねぇ
595 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/31(木) 01:56:41.48 ID:P+FeLjUao
毒の沼地が出てたりする辺りで既に東京ではない
596 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/31(木) 02:24:10.83 ID:H4p1k+wCo
そのへんはギャグ描写だと思ってた
橋壊してギャグはムリがある
597 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/31(木) 10:26:28.94 ID:Fd6ks/Uoo
東狂という街の日常ですな
598 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/31(木) 17:38:01.08 ID:/afqZnA4o
サイレントヒルとかいう県がありそあな世界観だな
599 :
◆mclKiA7ceM
[saga]:2017/08/31(木) 18:00:34.81 ID:YzE8DNDmo
それでは、無事に完成しましたので、最終章 後編を開始します。
最後は150レスほどの予定です。
600 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:02:17.79 ID:YzE8DNDmo
――鷲ントンホテル前
キキッ
運転手「ひとまずココでよろしいですかな」
男「あ……、ありがとうございます」
男「なんかとんでもないコトになっちゃったんですけど……」
運転手「いやいや。年甲斐もなく私も、楽しませてもらいましたぞ」
少女「アレで、まだ余裕があったと……? このヒトの本気とはいったい……」
601 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:03:21.42 ID:YzE8DNDmo
運転手「おそらく私のクルマは、既にマークされているハズ」
運転手「このままココにいてはメイワクがかかるので……」
運転手「ホトボリが冷めるまでは、どこかに身を潜めていますかな」
運転手「それでは、私はこれで」
運転手「お二人とも。三日目、楽しんでくだされ!」
ブロロロロロ…
男「ええ! 運転手さんも、お元気でー!」
少女「捕まらないよう、頑張ってくださいねー!!」
602 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:03:48.93 ID:YzE8DNDmo
男「…………」
少女「…………」
男「行っちゃったな」
少女「ええ。トンデモナイおじいさん……、いやおじさんでしょうか」
少女「とにかく常軌を逸したアラフィフの方でした」
男「常軌を逸したといえば……。お前」
男「あの特殊部隊は、いったい何だったんだ?」
少女「…………」
603 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:04:16.93 ID:YzE8DNDmo
少女「平たくいえば、私の敵のようなモノです」
少女「私たちは普段、彼らを相手に戦っています」
男「……冗談じゃないんだな」
少女「ええ」
少女「でも、今日だけは、今だけは、ソレを忘れたいと思います」
少女「こんな爆速で走ってきたなら、ヤツらも捕捉できていないでしょうから」
少女「……いいですよね?」
男「……ああ。モチロンだ」
604 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:04:44.97 ID:YzE8DNDmo
男「ちょうど、もうすぐ始発の時間だな」
少女「最終日の今日も、やっぱり始発ダッシュって、やってるんでしょうか?」
男「そりゃ、まあ……。やらない理由が無いしな」
男「むしろ、基本的に来場者は三日目がイチバン多い」
男「今日が最も激しい始発ダッシュになるんじゃないか?」
少女「おお。それは……」
少女「この目で確かめるしかありませんね!!」
男「言うと思ったよ」
605 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:05:12.95 ID:YzE8DNDmo
――シーサイド線 国際展覧場駅
アナウンス『走らないでくださーい。走らな……』
始発組「「「「「「始発からきますた!!!!!!」」」」」」ドドドドドドドド
__―_____ ̄ ̄ ̄ ̄‐― ̄ ̄―‐―― ___ ̄ ̄――― ___―― ̄ ̄___ ̄―==―_―____
―― ̄ ̄___ ̄―===━___ ̄― ―――― ==  ̄―― ̄ ̄___ ̄―===━―― ̄ ̄___
,.';' ┌┐ .ロロ┌┐ .ロロ┌┐ .ロロ ┌─┐
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__ _ _ __ __ __ __ _ __ ..'';;';';;,., │└──┐ │└──┐ │└──┐ | .. |
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| | |__| | | l ┌─┘...;;'';';';;'';;';'';';';;;'';;'';;;
|__| ` ̄ .rっ |___| vymyvwymyvymyvy、
|| mVvvMvyvmVvvmvyvmVvv、
|/⌒ヽ /^ヽ (^^) /^ヽ (^^) /^ヽ(^^)/^ヽ
(^ω^ )(ω^ )/⌒ヽ(^ω^)/⌒ヽ^ω^) ( ^ω)-っ
rっ ./⌒ \ | _二二二つω^ )(\ ( ^ω^ )二⊃ /⌒ヽr
||. ⊂二(^ω^ )二ノ /( ^ω^ ) ⊂二\\_/⌒ヽ二二( ^ω^)二⊃
|/⌒ヽ /^ヽ (^^) /^ヽ (^^) /^ヽ(^^) rっ. ( ^ω^) | /
(^ω^ )(ω^ )/⌒ヽ(^ω^)/⌒ヽ^ω^) ||. ^ω)-っ. _) ( ヽノ
/⌒ \ | _二二二つω^ )(\ ( ^ω^ )二⊃. |/⌒ヽ /^ヽ (^^) /^ヽ (^^) /^ヽ(^^)/^ヽ
⊂二(^ω^ )二ノ /( ^ω^ ) ⊂二\\_/⌒ヽ二二(.(^ω^ )(ω^ )/⌒ヽ(^ω^)/⌒ヽ^ω^) ( ^ω)-っ
ヽ | (´ ._ノ ヽ /⌒ヽつ \(. ./⌒ \ | _二二二つω^ )(\ ( ^ω^ )二⊃ /⌒ヽr
ソ ) \\⊂二二二( ^ω^ )二 ⊂二(^ω^ )二ノ /( ^ω^ ) ⊂二\\_/⌒ヽ二二( ^ω^)二⊃
( < \ レ’\\ ヽ / i ). ヽ | (´ ._ノ ヽ /⌒ヽつ \( ^ω^) | /
\|\| レ (⌒) | /ノ ̄ ソ ) \\⊂二二二( ^ω^ )二二二⊃ ⊂_) ( ヽノ
⌒| / ( < \ レ’\\ ヽ / i ) ノ ノ>ノ
\|\| レ (⌒) | /ノ ̄ レレ
__―_____ ̄ ̄ ̄ ̄‐― ̄ ̄―‐―― ___ ̄ ̄――― ___―― ̄ ̄___ ̄―==―_―____
―― ̄ ̄___ ̄―===━___ ̄― ―――― ==  ̄―― ̄ ̄___ ̄―===━―― ̄ ̄___
606 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:05:40.68 ID:YzE8DNDmo
少女「うわキモ! ……いえ、失礼」
男「失礼しなくていいぞ。実際ここまで数が多いと、さすがにキモい」
男「……と、いうか、目の焦点の合ってないヤツらが」
男「もう数人じゃ、きかないんだが……」
少女「なのにこの数。彼らはいったい、何故、そこまでして……?」
少女「COMIKEへの情熱というだけでは、もはや割り切れないと思うのですが」
男「ああ。それは、今日が三日目だからだろう」
少女「三日目……? たしか男性向けの日だっけ」
607 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:06:07.02 ID:YzE8DNDmo
男「そうだ。…………男性向けだ」
少女「……。ああ……」
少女「そういうコトですか……」
男「元来、COMIKEというのは、女性の参加者が中心となって始まったと聞く」
男「現在でも基本的にCOMIKE以外の同人誌即売会といえば、女性が中心らしい」
男「だが……。COMIKEだけは特別だ」
男「参加者の比率も男が多く、男性向けの頒布物も多く出展される」
男「つまり、日本中の、その、愛好家が……。今日、この日に集まる」
608 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:06:34.07 ID:YzE8DNDmo
少女「……。なんとも、原始的なハナシに聞こえますが……」
少女「いえ。だからこそ、生きようとする意志! あふれんばかりの生命力!」
少女「底無しのバイタリティー!! まさしく崇高なリビドーを感じます!!」
男「言いつくろってるけどコイツら全員変態ってコトだからな」
少女「いえいえ。ソレ言っちゃオシマイですよ」
少女「私たちだって立場は同じですし」
男「ぐ……。まあ、俺だって気にならないといえばウソになるし」
男「否定は出来んな」
少女「それも含めて、情熱的なこのお祭が、私は好きですよ!」
609 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:07:00.57 ID:YzE8DNDmo
男「いちおうフォローしておくと、健全な頒布物と、健全じゃない頒布物の種類の割合は」
男「一説によると、およそ7対3だという。CDや雑貨もあるからな」
男「まあ、出回ってる数となると、結局逆転するんだが……」
「「「「「「ウオオオオオオラッシャァァァァァァァァァァァァァァァァァァイイイイイイ!!!!!!」」」」」」
ザワザワ
少女「こ……。この、叫び声は……!」
男「来たか……!!」
610 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:07:34.16 ID:YzE8DNDmo
スタッフ長「ぬかせぃ始発組!」
スタッフ長「力を以て事を成すなど徹夜組だけで十分!」
スタッフ長「苦情、主張があるのならまず話し合い!」
スタッフ長「その為ならば我ら三百兵、一丸となって機を刻もう!」
スタッフ長「行くぞ友よ、魂(いのち)を此処に―――!」
テルモピュライィ・エノモタイア
スタッフ長「駅前門のぉ、守護者ァァァア!」
611 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:08:01.16 ID:YzE8DNDmo
:! .: : :.; :l{ }/ } ( _} j{ }/ j{ / | レ,' :! | |
00 .: :: .;: i{しi }/ }i し'{ }/ | { | |
「二^^l ,:: :: .;:|} ト、 丿 て j} ( : l
| | ;‐i .: :: .;:iヽ、 }i _} i{ /{i / Y´. l.i !l
「二__lニ ニl :: :: .;:|;. \ }i ト、 i{ ノ / / ,イ´ | l. l!
〈/!_| ;‐i :: : ノ〉 _ ノ´ し' / j{ /.゙:. :.: li !
lニ ニl :゙) 廴ノ{ `! j{ j{ (.|;.:. :.: | |
〈/!_| { しi {廴i{ / j{/´. :. :.:. l!l
! :il | : :l .;:,:| { `ヽ、 て :l.:. :.: !i il
:| | : : ト、Y¨リ ノ j{ |.:. :.: i! ... |:
:! l l :: : }i | ) }! /{ ) /⌒ ,イ. |:. :.;.:: l l
:: il |! ..: :}!{ ヽ、{ }/ 弋 て _ノ /. i:.:. :.: | |
:: | i:. .,:: リ ) }i )_ 廴/ j{ /{. |:;.:. :.: ! l
| :| | ! : :: .;:i }ヽ、_}i て/ {i|....:. :.: ;‐i .:: |
i l! l l :. .:: :: .;:|,ィイ 丿 ¨ /j{ / . |.:. :.: lニ ニl | |
l! | :.. | | .: :: .;:゙( | `¨ヽ、 >´ / /... i:.:. :.: .〈/!_| ;‐i l !
l| || .:; | : :: .;:゙) ノ ノ {_ /⌒... |;.:. :.: lニ ニl i ::
. l | :! | .:! : :: .;:.リ \ てノ}. :.:. :.: 〈/!_| ._ _ | |
. | ! | | : :: .;:,:| \ ≦´ _ノ′ノ{ :l.:. :.: l . //// i!. |
i| ! i : :: .;:i ヾ廴__) __て´/ 才'し'/ :.: |l O' O' | |
. :! .:: | : :: .;: ,:|... )_ / ノ / |:. :.;.:: !| .:: |
:l l! l .: :: .;:;: 丿 ノ\_ 廴/ / /{|. :. :.: | | l! ::
ll |l ,:: :: .;:| ⌒´ `Y / j{ /..:;.:. :.: :i | | |
:l l! l .: :: .;:;: 厶 j{ j{/.. i:.:. :.: | | l! ::
ll |l ,:: :: .;:| ;:: `) 'し' |:;.:. :.: :i | | |
612 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:08:27.91 ID:YzE8DNDmo
少女「ぐっ。すさまじい、火柱……!!」
男「スタッフ兵たちの気迫がカタチとなり、炎となって燃え上がっているのか!?」
少女「人間聖火というワケですね。私も燃えてきました……!」
野次馬「今年もスタッフ長がついに点火したぞ!!」
野次馬「いったいどっちが勝つんだ……!?」
スタッフ「スタッフ長。今年の夏、最後の戦いです! 頑張りましょう!」
スタッフ長「…………」
スタッフ長「退くなら今のうちだぞ」
613 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:08:54.88 ID:YzE8DNDmo
スタッフ「……!」
スタッフ長「この戦いは、三日間で最も激しいモノになる」
スタッフ長「加えてこの天候。昨日までの鬱憤を晴らすような、快晴……」
スタッフ長「撤退は負けではない。逃走は恥ではない」
スタッフ長「退き際を見極められるのも、また一流の戦士だ」
スタッフ「……いえ、スタッフ長」
スタッフ「我らスタッフ一同。夏のCOMIKEも、冬のCOMIKEも、スタッフ長についてきました」
スタッフ「かつてのジェノサイドCOMIKEを経て、紡いだこの絆」ゴオオオオオ
614 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:09:21.56 ID:YzE8DNDmo
スタッフ「生半なコトでは燃えつきません!!」ゴオオオオオ
男「300人のスタッフ兵からも、炎が……!」
少女「暑苦しい……。だけど、コレがスタッフたちの絆!!」
野次馬「そうか、あのジェノサイドCOMIKEの時も……」
野次馬「COMIKE雲は別にスタッフ兵関係無いのがスゴいよな」
スタッフ長「…………」フッ
スタッフ長「そうか」
スタッフ長「カクゴは出来ているんだな」
615 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:09:49.57 ID:YzE8DNDmo
スタッフ「ええ」
スタッフ長「ならば、行くぞ」スッ
スタッフ長「これが最後の戦いの始まりだ!!」
スタッフ長「ここから先は! 始発組も! 野次馬も! 一歩も通すな!!!」
スタッフ長「駅前門を守れ!! 安全な来場のために!! 参加者を誘導しろ!!」
スタッフ長「行くぞ……、選ばれし300のスタッフ兵たち!!!」
コ ミ ケ ッ ト
スタッフ長「 C o m e G e t (来たりて取れ) !!!!!!」
616 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:10:16.40 ID:YzE8DNDmo
__―_____ ̄ ̄ ̄ ̄‐― ̄ ̄―‐―― ___ ̄ ̄――― ___―― ̄ ̄___ ̄―==―_―____
―― ̄ ̄___ ̄―===━___ ̄― ―――― ==  ̄―― ̄ ̄___ ̄―===━―― ̄ ̄___
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/へ | .|
/ | \ |「芸芹|
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| | | _| {云V云}. | _ // Λ⌒ー<\\,」ー |ノ⌒>// Λ
|テVテ]| //  ̄\/⌒\| !zzz| |//⌒\ / Λ/⌒\ \ r― <  ̄.| |
/ | |ム「 |⌒ | | / ⌒\V| |____,| | { { .Λ  ̄└―┘ー | | |
〉― {  ̄ノ ノ | | ノ__ \.,┘从.Lノ { { Λ { | | |
{ノ⌒\{こ}∠ | | /´ ̄⌒^<{こニ} __ ――{ { Λ{\ッ_ _ッ/ | | |
{ __/ / ⌒''< ___ _ { { | ノ  ̄}{ ノ | | |
\ j }Lr_ 人_r/ ノ{レ } Τ\ .{ { | {_ ̄}{ ̄_/| | |
. \\ / _八 个 _,/_ { / { }{ } \\{ { |\_____ ノ .| | |
\\ Г | ) 个〈 \/ \;;: __/ \ ::;;::イ \{ { | \  ̄\ { | | |
\\| | 」_ ∨ } } { =个= _ノ{ { { |\ \ \ .| | |
\\ } 「二二二∨^\}_―=‐ } { =个= _ノ { { { | \ /⌒ | | |
{\)^ヘ.|⌒\ニニ} }ニ― { { =个= ノ.ィiΛ { { |\ \_/ 「 | | |
\__ノ ∨ ._-ニ= しノ {\__ _,、<ニニニ}. { { | \ 厂 | .∨
_-ニ- ̄/ | {二二ニニニニ/⌒V .{ { / | \/ | | ∨
_-ニ- ̄∨ { | {^\ニニニニ/ .|. ∨ / | } | | ∨ |
_-ニ- ̄ ∨ { | ∨ \ニニ/ | ∨ / | / |/ニニ} /
/_/ ∨八 ___ノi ∨ \{ ____ | ∨ / /|___/ |/⌒ | \/
{ニ{ニニニ| ∨ / \.\ ∨// / .「ニニニ|
∨{ニニニ| ∨ { } \_/ / |ニニニ/
〈{ニニニ| ∨ ∨ ノ { / |ニニニ/
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―― ̄ ̄___ ̄―===━___ ̄― ―――― ==  ̄―― ̄ ̄___ ̄―===━―― ̄ ̄___
スタッフ「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおお…………!」」」」」」
617 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:10:44.70 ID:YzE8DNDmo
――シーサイド線 国際展覧場駅前
ミーンミンミン ミーンミンミン
少女「最後まで、アツい……。方たちでしたね……」
男「ああ……」
スタッフ長「今年も良い勝負だった。次は冬コミで会おう」ガシッ
始発組「ああ……! 始発組の新たな団結力、見せてやるぜ」ガシッ
スタッフ長「でも駅のホームで走るのは危ないからやめろよ」
始発組「ふひ、サーセン」
618 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:11:13.81 ID:YzE8DNDmo
少女「それにしても……。今日は、暑いですね……」
男「ああ。一昨日、昨日と、曇ってたり雨だったからな」
男「晴れてる今日が夏コミ本来の姿というべきか」
男「いや、この暑さでも、じゅうぶん涼しいほうなんだが……」
少女「朝でコレですよね。昼にかけて、もっと気温が上がるのかと思うと」
少女「…………」
男「……帰るか?」
少女「いいえぇ? 帰りませんとも!!」
少女「私は黒ずくめさんとの約束を果たさなければなりませんからァァ!!」
619 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:11:40.55 ID:YzE8DNDmo
男「そうだな。コスプレの約束を……」
男「あっ」
少女「……なんですか、そのやべーコト思い出したみたいな『あっ』は」
男「……いや。今朝、お前がいなかったからさ」
男「今日は参加しないって、友人通して黒ずくめさんに伝えちゃったんだよね」
少女「ハァァ!!? なに勝手なコトを……!!」
少女「……って、私のせいですよね。ほんと勝手なコトしてスミマセン……」
男「い、いや。謝るな。早とちりした俺も悪いし」
620 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:12:13.83 ID:YzE8DNDmo
男「……となると、どうしたモノか」
少女「黒ずくめさん、今日は一般参加だから、早ければ」
少女「もうこの待機列のどこかにいるんじゃないですか?」
男「ううん……。とりあえず、電話してみるか」プルルル
黒ずくめ『はい、もしもし』ムシャムシャ
黒ずくめ『……あっ、男さんですか!?』
男「ああ、そうだ」
男「その……、友人の奴から連絡は、いってるか?」
621 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:12:46.87 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ『はい。今日は参加なされないと……』
男「ええと、そのハズだったんだが」
男「少女の奴が見つかったんで、良ければ、今から参加したいなー、と……」
黒ずくめ『えっ? 本当ですか!?』
男「ああ。ムシの良いハナシだとは思うが……」
黒ずくめ『いや、いや! 大歓迎ですよ!! 少女ちゃんいます!?』
男「うん、ココにいる。おい、少女……?」
少女「…………」コク
少女「お電話代わりました。少女です」
622 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:13:14.00 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ『少女ちゃん……』
少女「……スミマセン、私のせいで色々振り回しちゃって」
少女「男さんにも、友人さんにも、黒ずくめさんにもメイワクかけちゃって」
男「…………」
少女「でも。そんな私を許してもらえるのなら」
少女「もう一度だけ! COMIKEに参加したいんです!!」
黒ずくめ『…………』
少女「…………」
623 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:13:42.35 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ『少女ちゃん』
少女「はい」
黒ずくめ『僕は、君が今までどんな人生を送ってきて、何を考えているのかは、わからない』
黒ずくめ『昨日なにがあったのかも、僕は知らない』
黒ずくめ『でも。ビッグサイトの前では、誰でも、等しく参加者の一人だ』
黒ずくめ『君にはCOMIKEに参加する資格がある』
少女「……!」
黒ずくめ『君さえ良ければ。ゼヒ、このお祭に参加してほしい』
624 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:14:08.84 ID:YzE8DNDmo
少女「……は! ハイ!!」
少女「聴きましたか、今の声……!」
少女「ああ、もう。トロけちゃいそうです……」
男「…………」ボリボリ
男「……もう一回、代わってもらっていいか?」
少女「え。男さんも、黒ずくめさんの声聴きたいんですか?」
男「いやそうじゃなくて。訊かなきゃいけないコトがあるから」
少女「……? はーい」
625 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:14:36.45 ID:YzE8DNDmo
男「すまん、もう一度俺だ。一つ訊きたいコトがある」
黒ずくめ『はい? なんでしょうか?』
男「黒ずくめさん、今どこにいる?」
男「ビッグサイトの近くにいるなら、合流したいんだが……」
黒ずくめ『ああ、それなら。近くにいますよ……!』
黒ずくめ『有開パークビルってわかります?』
男「ああ。たしか、鷲ントンホテルのすぐトナリの……。そこに?」
黒ずくめ『はい。一階のマグロナルドで、朝食中です』
626 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:15:05.89 ID:YzE8DNDmo
男「わかった。今すぐ行って構わないか?」
黒ずくめ『ええ。朝食がまだでしたら、一緒に食べましょう』
男「そうするよ。じゃあ」ピッ
男「黒ずくめさん、鷲のトナリのマグロナルドで朝飯中だそうだ」
少女「マグロナルド……? って、ハンバーガーのチェーン店ですよね?」
男「ああ、そうだが。ソレがどうした?」
少女「いや。黒ずくめさんも、ハンバーガーとか、食べるんだなって」
少女「てっきりケーキと紅茶しか食べないようなヒトだと……」
男「そんなヤツはCOMIKEではとっくに死んでるな」
627 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:15:33.66 ID:YzE8DNDmo
――有開パークビル 1F マグロナルド
黒ずくめ「あ。男さーん、少女ちゃーん! コッチですよー」
男「どうも。今日は私服から黒ずくめなんですね」
黒ずくめ「ええ。もっとも、コスプレ用の衣装ではありませんが」
少女「くくく、黒ずくめさん!! ここここんにちは!!」
黒ずくめ「昨日ぶりだね、少女ちゃん。でもこの時間帯なら、おはようかな」
少女「そそそそうですね! おはようございますですともっ!!」
男「キンチョーしすぎだろ……」
628 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:16:08.17 ID:YzE8DNDmo
男「もう注文は済ませてきた。相席、良いか?」
黒ずくめ「ええ、構いませんよ。少女ちゃんも、どうぞ」
少女「え? 私なんかが黒ずくめさんの前の席で、良いんですか!?」
黒ずくめ「モチロンだよ」ニコ
少女「わっはー、エスコートする姿もイケメン……!」
少女「立てばイーグル、座ればオパール、歩く姿はクロスイレンというやつですね!!」
男「テキトーに黒っぽいモノ挙げてみました感ありがとう」
黒ずくめ「フフ。二人とも面白いなあ」
629 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:16:35.15 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「まるで、長年連れそった夫婦……」
黒ずくめ「いや、違うか。でもとにかく、そんなカンジがする」
男「いちおう三日前に会ったばかりなんだぞ?」
少女「夫婦……、ですか。たしかにそのくらい一緒にいたかもしれませんね」
男「あーコイツついに壊れやがった」
黒ずくめ「くっ、くっ、くっ。本当、面白いよ」
男「そういや黒ずくめさん、今日は一人なのか?」
黒ずくめ「いや。昨日と同じ連れが二人、いたんだけどね」
630 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:17:01.85 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「あ、コーヒー飲ませてもらうね」ズズッ
少女「連れのお二人さん……?」
黒ずくめ「ほら昨日、列を誘導していた係員のオトコが、いただろう」
男「ああ……」
黒ずくめ「それと後ろで本を出してくれていたオトコもね」
男「案外、オトコと一緒にCOMIKEに来てたんだな」
男「てっきり女の子でも、はべらせてるモノかと」
黒ずくめ「くっ、くっ。ヘンな言い方はよしてくださいよ」
黒ずくめ「二人は大学の時のサークル仲間なんです。あと数人、いますが」
631 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:17:28.55 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「ああ、そうだ。昨日の同人誌は、読んでくれたかな?」
少女「えっ? あっ、ハイ! モチロン読みましたとも!」
少女「なんというか……。打算の無い、とってもキレイな、愛の物語でした」
少女「プラトニックラブといいますか!!」
男「…………」ハハッ
黒ずくめ「うん。以前のモノとはいえ、たしかに精魂込めて描いたモノだからね」
黒ずくめ「楽しんでくれたなら幸いだ」
黒ずくめ「……で。実は、その同人誌のモデルなんだが……」
少女「は? モデル?」
632 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:17:54.99 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「うん。実は、あの一連の同人誌の登場人物には」
黒ずくめ「モデルにさせてもらった友達がいてね……」
黒ずくめ「それが、サークルを手伝ってくれた、彼らなんだ」
少女「まじですか!」
男「……。そういえば、ちょっと、似てたかも……」
黒ずくめ「ふふっ。さすがに本人たちに教えたら、顔を赤くしてたけどね」
少女「現実世界から着想を得る、というコトですか……。ナルホド」
男「いやナルホドじゃないからな。コワいな、COMIKE……」
633 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:18:22.09 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「…………」ジー
男「……?」
男「……あの、俺が何か?」
黒ずくめ「ああ。いや、その……」
黒ずくめ「ふふ」
男「何だその意味深な笑いは!!」
黒ずくめ「ふふふっ」
634 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:18:49.59 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「いや、男さんはノーマルのほうが合っている気がします」
黒ずくめ「ああ。僕の個人的な見解ですよ?」
黒ずくめ「男さんは、男さんの思うように、生きていただければと」
男「コワい。コワいなぁ、ホント、COMIKE……」
少女「……? それで、黒ずくめさん」
少女「昨日のお二人はどうされたんですか?」
黒ずくめ「ああ……。その二人なんだけどね」
黒ずくめ「さっきの山毛線運行見合わせだかなんだかで、足止め食らってるんだ」
635 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:19:18.65 ID:YzE8DNDmo
男「山毛線が運行見合わせ……?」
男「いったいどういうコトだ?」
黒ずくめ「うん。なんでも、山毛線の線路で事故があったとか」
黒ずくめ「たしか……。爆発物が落下、だったかな?」
男「爆発物が……」
少女「落下……?」
男&少女「「…………」」
黒ずくめ「……?」ズズッ
636 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:19:47.09 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「どうしたんだい二人とも、アイマイな表情で沈黙して」
男「いやぁ……。なんでもナイデス」
黒ずくめ「そうかい? ならいいんだけどね」
少女「ちょっと、ヤバいですよ男さん!」ヒソヒソ
少女「あのミサイル、モロ都市部に着弾しちゃってるじゃないですか!!」
男「ううん。でも爆発物が落下ってだけで」ヒソヒソ
男「人身事故にはなってないみたいだし……」
男「いちおう組長さんは有言実行したのか。セッティングのやつ」
少女「でも山毛線って数百万人に影響あるんですよね? 泣き出すヒトいますよ……」
637 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:20:30.47 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「……で。なら、タクシーで来ればいいじゃん、って言ったんだけど……」
黒ずくめ「片方が、何万人が詰めかけてる駅のホームに閉じ込められてるうちに気分悪くなったらしくて」
黒ずくめ「今、二人して自分のホテルの部屋に、こもってるんだ」
少女「そうだったんですか……」
黒ずくめ「一昨日に昨日と、COMIKEに連れ回した僕も悪いんだけどね」
黒ずくめ「オトコならもうちょっと根性見せてくれないかなー」
男「ははは……。まあ、COMIKEは普通のヒトにはキツいからな」
黒ずくめ「まったく。だけど、それで困ってたんだ」
638 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:20:56.90 ID:YzE8DNDmo
少女「困ってた……? お二人と合流できないコトですか?」
黒ずくめ「モチロンそれも困るんだけどね」
黒ずくめ「コスプレ先行入場の通行証が余ってしまうから」
少女「コスプレの。先行入場……?」
黒ずくめ「あ。そうだ!」
黒ずくめ「なら、先行入場の通行証がもったいないし」
黒ずくめ「二人も僕と一緒に会場に入るというのはどうかな?」
男「は……?」
639 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:21:23.59 ID:YzE8DNDmo
少女「コスプレの、先行入場。そんなコトが、出来るんですか?」
男「聞いたコトがある……。コスプレイヤー限定のサービスだが」
男「サークル参加者と同じ7時半から、先に入場できるシステムがあると」
黒ずくめ「うん。COMIKEの開催前に、ネット上で申し込めるんだけどね」
黒ずくめ「当選すると、通行証が発行されて、当日早く更衣室を使えるんだ」
少女「……。それは、良いシステムだと思いますが……」
男「…………」
少女「単刀直入におうかがいします」
640 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:21:50.20 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「……? 何かな」
少女「そのコスプレ通行証を使って、早くにサークルの列に並んだり」
少女「……というコトは、可能なんですか?」
男「…………」
黒ずくめ「…………」
黒ずくめ「いや、それは不可能だ」ニコ
少女「え……?」
黒ずくめ「先行入場できるといっても、更衣室からの移動には制限があるからね」
641 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:22:17.44 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「……チケットと同じような使い方は出来ないよ?」
少女「……!!」ギク
黒ずくめ「ふふ。期待した?」
少女「い、いえ。そういうワケでは、ないのですが……」
黒ずくめ「準備会もソコはちゃんと考えているね」
黒ずくめ「僕としても、コスプレを利用して、チケット組まがいのコトをされるのは」
黒ずくめ「とうてい承服できるコトじゃない」
男「…………」
642 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:22:54.89 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「まあ、気にするコトは無いさ」
黒ずくめ「元はベンリなアイテムなんだから、正しく使えば、正しいアイテムになる」
黒ずくめ「そうだろう?」
少女「……!」
少女「はいっ!!」
黒ずくめ「うん、うん。やっぱり君は、暗い顔より、元気な顔がイチバンだ」スッ
少女「ひゃあっ! ほ、ホッペタ撫でないでくださいよぅ……!」テレテレ
男「…………」ヤレヤレ
643 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:23:24.11 ID:YzE8DNDmo
男「……ちょ。ちょっと待ってくれ……」
男「それは俺もコスプレをするというコトか?」
少女「……! 男さんのコスプレ姿!」
少女「見たい! ゼヒ見てみたいです!!」
男「えぇー……。俺、別に興味無いんだが」
黒ずくめ「くっ、くっ。ムリにする必要は無いと思いますけどね」
黒ずくめ「せっかくコスプレ先行入場するんだし、少しはどうですか?」
男「えぇー」
644 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:23:56.15 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「といっても、凝ったコトをする必要はありません」
黒ずくめ「ザンネンながら僕は女モノのサイズの服しか持ち合わせていないですし」
黒ずくめ「でも、ほら、今年はアレが流行ってるじゃないですか」
男「アレ?」
黒ずくめ「あの、FG○にも登場してる。エジプトの……」
男「ああ。メジェド様か」
黒ずくめ「そう。白い布に目を描いて被るだけのやつ」
黒ずくめ「アレならカンタンに出来るんじゃないですか?」
645 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:24:23.88 ID:YzE8DNDmo
男「……コスプレ。やる、のか……」
少女「男さん。チャレンジ、チャレンジ! ですよ!」
男「はあ……。わかったよ」
男「コスプレ先行入場して、コスプレしないのもマナー違反だろうしな」
少女「やったー!!」
黒ずくめ「それじゃあ、キマリというコトで」
店員「失礼します。コチラ、ご注文の朝マッグとハンバーガーになります」
少女「おっ、やったー! ありがとうございます!!」
646 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:24:50.90 ID:YzE8DNDmo
少女「いっただっきまーす!!」パクパク
黒ずくめ「何を注文したんですか?」
男「朝マッグを、俺とコイツの分、2つと……。ハンバーガー数個だ」
黒ずくめ「ハンバーガー数個? ソレは……」
男「コイツが食べる」
黒ずくめ「え? 少女ちゃんが?」
男「ああ。こう見えて、けっこう大食いなんでな。コイツ」
少女「んぐっ。ばばば、バラさないでくださいよー!!」
647 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:25:17.40 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「あはは……。よく食べるのは、イイコトだよ」
男「朝マッグとかせっかく量少ないのに、追加注文してちゃ意味無いと思うんだがな」
黒ずくめ「でも、これからCOMIKEに臨むのなら、エネルギーは蓄えたほうがいいですよ」
男「たしかに。待機列に並ぶワケでもないし、まあ、いいか……」
少女「んー、これがあの、有名なマッグのハンバーガーかぁ!!」モグモグ
少女「この安っぽさが良い!!」バーンッ
男「こら、デカい声でそういうコト言うな……!」
黒ずくめ「あはは」
648 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:25:43.87 ID:YzE8DNDmo
――有開パークビル前
少女「ごちそうさまでしたー!!」
黒ずくめ「さあ、そろそろ時間だ。ビッグサイトに行こうか」
男「ああ。その前に、LAMSONに寄らせてくれないか?」
黒ずくめ「国際展覧場駅前の?」
男「実は、昨日の着の身着のままで来ててな……。いや、服は着替えてるが」
男「装備の食糧の備蓄が心もとないんだ」
黒ずくめ「わかりました。そういうコトでしたら、まず寄りましょう」
649 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:26:15.67 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「あっ……」
男「どうかしたか?」
黒ずくめ「いや、さっきおハナシしてた、コスプレ先行入場通行証ですが……」
黒ずくめ「本来なら、申請した本人しか使えないんです」
男「まあ、それこそ転売して使われたりしたらマズいからな」
黒ずくめ「まあ。サークル入場と同じで、厳しく取り締まってはいないと思いますが」
黒ずくめ「万が一、目をつけられた場合は引き下がるので、そのつもりで」
黒ずくめ「その時は僕も一般入場の入口から入りますよ」
男「……。できるだけ、この待機列に、並びたくはないんだけどな……」
650 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:26:42.50 ID:YzE8DNDmo
MVvvMvyvMVvvMvyvMVvv、MVvvMvyvMVvvMvyvMVvvMVvvMvyvMVvvMvyvMVvv、MVvvMvyvMVv
Λ_ヘ^−^Λ_ヘ^−^Λ_ヘ^Λ_ヘΛ_ヘ^−^Λ_ヘ^−^Λ_ヘ^Λ_ヘヘ _,.ヘ ,.ヘ ヘ _,.ヘ ,.ヘ
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少女「うひゃあ……。もう、パークビルのすぐ近くまで」
少女「みんなカラーコーンの内側に座ってますね」
男「昨日の同じ時間でも列はここまで来てなかったぞ……。やはりコレが三日目か」
651 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:27:09.43 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「晴れだから人が集まったのか、人が集まったから晴れたのか」
黒ずくめ「三日目の参加者が晴れ男、晴れ女説。あるね」
男「集まってる人間の性質からして、あまり前向きに考えたくはないが……」
少女「ああ。でも、おぼろげな白い雲がまばらにかかった、朝の青い空を背にした」
少女「ビッグサイトの前に、色んな格好をした人々が集まって……」
少女「いよいよCOMIKEの最終日が。はじまるんですね!!」
男「……。そうだな」
黒ずくめ「ふふ。本当にCOMIKEをイチバン楽しんでいるのは、彼女のようなヒトなのかもしれないね」
652 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:27:36.67 ID:YzE8DNDmo
スタッフ「東待機列は既に封鎖されました。西待機列に回ってくださーい」
スタッフ「Hey, you! I said that you can not enter the east!」
スタッフ「不要打入列! 子曰! 學而時習之! 不亦説乎!!」
待機列「おぉー……」パチパチパチ
男「今のは……。日本語の後のやつは、英語か?」
黒ずくめ「そして最後は中国語ですね。ウワサのトリリンガルスタッフかもしれない」
男「さ、三か国語……? スゴいヒトがスタッフにいるんだな……」
653 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:28:03.49 ID:YzE8DNDmo
――LAMSON 国際展覧場駅前店
店員「ラー…」
店員「ラーシャッセー…」
少女「て。店員さんも、息絶え絶えです……」
男「コンビニもついに三日目だからな」
男「しかしこのヤツれよう。まさかワンオペ? まさかな……」
黒ずくめ「あ。男さん、この白い透明なゴミ袋でいいですか?」
男「ああ……。うん。いいよ」
654 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:28:29.86 ID:YzE8DNDmo
少女「……!」
少女「み、見てください男さん!!」
男「……? どうした」
少女「あ、あれだけ食べ物が詰まっていた商品棚が!」
少女「まるで虫に食い荒らされたかのように、穴だらけになっています!!」
男「本当だ、品揃えがまばらになっている……」
男「いよいよ佳境というワケか……」
655 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:28:57.32 ID:YzE8DNDmo
店員「……!!」ガタッ
シュババババババ
少女「うっ……。店員さん、ものすごい速さで商品を補充していきます!」
男「寸分の狂いも無い手つき……。コンビニ店員も極めればアレほどか」
黒ずくめ「コンビニ店員ってたまにとんでもないヒトいるよね」
黒ずくめ「でも、僕の売り子も負けていない」
黒ずくめ「もし僕のところの金髪が太陽の下であれば、通常の三倍の速さで品出しを……」
男「黒ずくめさんの売り子はサンフラワーか何かか……?」
656 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:29:25.13 ID:YzE8DNDmo
――LAMSON 国際展覧場駅前店 前
男「梅おにぎりは買ったな。それじゃあ、そろそろビッグサイトに行くぞ」
少女「ま、また梅おにぎりですかぁ……?」
黒ずくめ「くっ、くっ。梅干しは、腐りにくいからね」
男「そういうコトだ。おにぎりの具の定番なだけはある」
少女「ツナマヨが食べたいですよぅ」
男「さっきハンバーガー食ったろう、まだ味の濃いモノ食い足りないのか」
黒ずくめ「それじゃあ行こう。待機列を尻目にビッグサイトに入るのは、ちょっと気が引けるけどね」
657 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:29:51.83 ID:YzE8DNDmo
――ビッグサイト コスプレ参加者 先行入場入口
黒ずくめ「3人。登録料、3000円です」
スタッフ「はい、確認しました。更衣室は男性女性ともに会議棟ですが」
スタッフ「女性は東8ホールも使えます。混雑の分散にご協力ください」
黒ずくめ「ありがとうございます」ニコ
男「ふぅーっ。怪しまれずに通れたな」
黒ずくめ「オドオドしてたら当然怪しまれます。こういうのは思い切りがダイジですよ」ニコ
男「営業スマイルとか、トクイそうだもんな……。ハハハ」
658 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:30:18.97 ID:YzE8DNDmo
少女「…………」
男「……? どうした、少女」
少女「……本当に、これで良かったんでしょうか」
黒ずくめ「…………」
少女「黒ずくめさんのお連れさんが、間に合わなかったのは、仕方ないとしても」
少女「ルールを破って、私たちが入っちゃって……」
男「…………」
黒ずくめ「……そうだね」
659 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:30:46.78 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「これは人間の集まりだ」
黒ずくめ「当然ルールは守るべきだが、バカ正直でいては痛い目を見るコトもある」
黒ずくめ「……昨日の、君たちのようにね」
少女「…………」
黒ずくめ「いや。ソレに関しては、僕にも責任があるんだが」
男「黒ずくめさん。アレは……」
黒ずくめ「わかっています。友人さんや死神から聞いている」
黒ずくめ「昨日はイレギュラーな事態があったと」
男「……。そういえば、今日は、友人たちは……?」
660 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:31:14.76 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「さあ。朝に所用があるとは聞いていますが」
黒ずくめ「……もしかしたら、その“後始末”に動いているのかもしれませんね」
男「アイツら……」
黒ずくめ「とにかく。色んな人が集まる大きなイベントである以上、臨機応変な対応が必要だ」
黒ずくめ「モチロン、ルールを破るコトを正当化してるワケじゃない」
黒ずくめ「でも、少しずつ助け合い、少しずつ出し抜き合う」
黒ずくめ「それがCOMIKEというイベントの実情なのかもしれない」
少女「…………」
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