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少女「コミケ行くので泊めてください!」男「は……?」
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440 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/26(土) 20:28:36.74 ID:dYpRuSkSo
おつおつ
行楽地限1なったなーとか
COMIKEに行った時のことが思い返されるようで面白い
441 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/27(日) 00:23:09.58 ID:dLlVHNuUo
少女の正体予想ついてたがやっぱりなーと思った
442 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sa?りや、ふや、なからはらるなわge]:2017/08/27(日) 04:36:43.18 ID:NYrKgx1JO
、家やわ、蘿諭?、蘿、わらほり?る、
皿府愛菜や蘿。やはらららら、はほやなはしは、ら?や
443 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/28(月) 09:33:12.50 ID:Ihjy91cWo
追いついた
楽しみしてます
444 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/28(月) 22:55:32.56 ID:5juCgtwI0
なんだかすごいSSに出会ってしまった
結構ボリュームあるけど一気読みしちゃったよ
続きも期待
445 :
◆mclKiA7ceM
[saga]:2017/08/29(火) 18:02:54.97 ID:IiVBuModo
感想ありがとうございます。AAを含めてとはいえ、既に
200KBを超えていますが、お楽しみ頂けているようで幸いです
>>440
当日参加された方ですか、恐縮です
実際の出来事と異なる部分は“COMIKE”限定のイベントということでお楽しみください
お待たせしました。完結の目途が立ちましたので、
最終章は前編、中編、後編に分けて今日から更新します。
それでは、最終章 前編を開始します。
今回は少ないですが30レスほどの予定です。
446 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/29(火) 18:04:03.27 ID:IiVBuModo
ふと、目が覚めた。
あけぼのというには深すぎる、大都市の外れの、住宅街を包む夏の宵闇。
壁時計の針がさすのは丑三つ時。
ふと、窓から吹き込む夜の風に、目が覚めた。
なんとなく二度寝するのもきまりが悪いような気がして、
冷たい床から体を起こす。
だが。そこまで脳が覚醒して、……引っかかった。
この二日は、たしかに深夜に早く起きていた。
だが、早すぎる。
早く目覚めすぎるのも体に悪い、起きるのはせいぜい午前3時ごろ。
誤差といってしまえばそれまでかもしれない。
だが、今の時刻は、午前2時を少し過ぎたあたり。
なぜ俺は、今日に限って、少し早く目が覚めた?
447 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/29(火) 18:04:37.35 ID:IiVBuModo
そこまで頭を巡らせて。
俺は、自分を眠りから揺り起こした要因に気付く。
風。
ベッドのそばにある窓から吹き込む、間近の秋を思わせるほのかに冷たい風。
しかし俺は、この風をしばらく肌で感じてはいなかった。
記憶が確かならばおよそ二日間ほど。
昨日までは何か、窓の風を、さえぎるモノがあって――――
いない。
この二日、いつのまにか見慣れた姿になっていた、彼女。
少女の姿が、そこには無かった。
448 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/29(火) 18:05:04.13 ID:IiVBuModo
男「…………」
男「そうか」
男「…………」
男「アイツは、行ったか」
449 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/29(火) 18:05:32.51 ID:IiVBuModo
男「キレイに自分の荷物だけ無くなっていやがる」
男「干しといた、昨日の服も……」
男「見事に無いな」
男「……ふう」
男「そりゃあ、もともと一人暮らしだし」
男「寂しいってこたぁ無いが……」
男「……ちょっと、薄情なモンだな」
450 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/29(火) 18:06:00.37 ID:IiVBuModo
男「…………」
男「……となると、今日の予定も、変更か」
男「今日の天気は、一日を通しての晴れ」
男「予想最高気温は30度。べらぼうに暑くはないが……」
男「それでも進んで外に出たくはないな」
男「加えてビッグサイトなら。人々の熱気で、気温はマシマシだ」
男「そんなところに、好きこのんで行く理由は……」
男「もう、無いな」
451 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/29(火) 18:06:27.66 ID:IiVBuModo
男「やれやれ」
男「…………」
男「……いや、ないな」
男「目当ても無いのに行っても、疲れるだけだ」
男「が、目が覚めちまったモンは、仕方がない」
男「どうしようかね」
男「…………明るいな」
452 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/29(火) 18:06:54.79 ID:IiVBuModo
男「……月か」
男「満月とはいかないが、たいした光だな」
男「それでも、夏は空気中の水分が多いから」
男「さほどクッキリ見えているワケじゃないんだろうが」
男「でも、たとえば冬なら、空気が澄んで」
男「星も瞬いて……」
男「…………」
453 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/29(火) 18:07:24.08 ID:IiVBuModo
男「……やめだ、やめだ」
男「アイツは、自分の意思で、行った」
男「ソレを俺がああだこうだ考えてどうする」
男「こんな時は月見酒だ」
ガサゴソ
男「一杯いくらの安物の酒でも」
男「気晴らしくらいにはなりますよってね」
454 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/29(火) 18:07:51.41 ID:IiVBuModo
トクトク
男「…………」
ズズッ
男「…………」
男「まっず」
455 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/29(火) 18:08:18.50 ID:IiVBuModo
ケータイ「プルルル! プルルル! プルプルプル!」
男「ん……?」
男「こんな時間に誰だ。メイワク電話か?」
男「…………」
男「友人か」
男「真夜中にいったい何なんだ。ったく……」ピッ
456 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/29(火) 18:08:46.69 ID:IiVBuModo
男「はい、もしもし。俺だが」
友人『んんwww男氏wwwヤケモーニンwwwwwwぺゃっwww』
男「おはようという時間でもないだろう」
友人『それはwwwたしかにwww』
友人『しかし業界のアイサツは、すべてヤケモーニンですなwwwぴゃっwwwwww』
男「そんなコンビニか何かみたいな……」
男「いや、そんなコトはどうでもいい。こんな時間に何の用だ」
友人『んんwww男氏、黒ずくめ氏から聞きましたぞwww』
友人『三日目の今日はコスプレで参加する予定だとwww』
457 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/29(火) 18:09:13.83 ID:IiVBuModo
男「…………」
男「いや、その予定だが」
男「申し訳ないが取りやめるコトになった」
友人『んん!?www何故ですかなwww』
友人『少女氏は乗り気であったと聞いているwwwwww』
男「その少女がいないんだ」
友人『…………んん?www』
友人『それはwwwいったいwwwどういうコトですかなwwwwww』
458 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/29(火) 18:09:40.52 ID:IiVBuModo
男「だから、少女は、もう俺の家にいないんだよ」
男「昨日は、昼は俺のメシ食って、夜は出前で寿司とって」
男「それでさっさと寝たんだが」
男「いま起きたら、少女の姿が消えていた」
男「荷物も無い。自分の家に帰ったんだろう」
友人『……んんwwwだからソレはどういうコトですかなwww』
友人『我、まったく状況がつかめないwww』
友人『少女氏は、ザシキワラシか何かであったとwwwwww』
男「どうしてそうなる」
459 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/29(火) 18:10:07.93 ID:IiVBuModo
友人『男氏、少女氏とケンカでもしたのですかなwww』
男「あいにく、一切断じて何も無い」
友人『では、何故wwwwww』
男「俺にもわからんよ」
男「ただ……」
友人『ただ?www』
男「アイツはどうも、満足したみたいだ」
男「この街に来た目的を終わらせてな」
460 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/29(火) 18:10:38.01 ID:IiVBuModo
友人『んんwwwそのような抽象的なコトを言われても、まったくワケがわからないwww』
友人『我にもわかるよう説明するべきwww』
男「そう言われても、俺もこうとしか説明しようがない」
男「少なくとも、目的の一つはCOMIKEみたいだったが……」
男「それも、昨日、ああだったしな」
友人『…………』
男「そういうコトだ」
男「で、お前、結局何の用だったんだ?」
461 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/29(火) 18:11:05.69 ID:IiVBuModo
友人『……いや、我、今日の朝はちと所用がありますのでwww』
友人『今のうちに、コスプレに関して、何か手伝えるコトがないかとwwwwww』
男「お前、コスプレの用意まであるのか……。ホント全方位だな」
男「だが。ソレも必要無くなった」
男「コスプレする当人がいないんだからな」
友人『…………』
男「本来なら俺から断りを入れるべきだが」
男「お前さえ良ければ、黒ずくめさんに伝えてくれないか」
462 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/29(火) 18:11:34.60 ID:IiVBuModo
男「少女がいなくなったから、コスプレは出来ない」
男「俺も、三日目は、行く気は無い」
男「……って」
友人『…………』
男「理にかなってはいないんだろうが」
男「……それだけのために会うのも、バツが悪くてな」
友人『……わかりましたぞ』
友人『ですがwww男氏はソレで、いいのですかなwww』
463 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/29(火) 18:12:02.83 ID:IiVBuModo
男「……? どういう意味だ」
友人『んんwww文字通りの意味www』
友人『男氏はソレで後悔は無いのですかなwwwwww』
男「…………」
友人『……んん、では我はまだ今日のサークルチェックが終わっていないwww』
友人『それではこれにてwwwぺゃっwwwwww』
プチ
ツー ツー ツー…
464 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/29(火) 18:12:29.97 ID:IiVBuModo
男「…………」
男「言いたい放題、言いやがって……」
男「…………」
男「だけど俺は、アイツの保護者でも何でもないんだぞ……」
男「何の権利があって、何の責任がある……」
男「…………」
465 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/29(火) 18:12:58.04 ID:IiVBuModo
男「…………」
男「……ちょっと、外の空気でも吸うか」
ガチャ
――アパートの外廊下
ヒュウウウウウウ…
カタカタカタ
男「…………」
466 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/29(火) 18:13:25.99 ID:IiVBuModo
男「……月がまぶしいな」
男「相変わらず、ボロっちいアパートだ」ギシ
男「風呂設置する余裕があるなら」
男「リフォームの一つでもしやがれっての」
大家「いやー、すみませんね。そんなお金無くって……」
男「……!」
男「な……。……、な……」
大家「私が出店した稼いだお金で、少しでも男さんたちに還元できればいいんですけどね」
467 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/29(火) 18:13:53.13 ID:IiVBuModo
大家「というのは冗談ですが」
男「冗談なんですか。断固リフォームする気は無いというコトですね」
大家「ええ。そんなコトしても、私に一銭のトクもありませんので」
男「コッチはコッチで、現金なヒトだ」
大家「……で。男さん」
大家「こんな朝早く、いや夜遅くに、いったいどうしました?」
男「…………」
男「……それは、コチラのセリフですよ」
468 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/29(火) 18:14:20.62 ID:IiVBuModo
大家「え? 私ですか?」
大家「私はホラ、大家として、アパートの掃除なんかもしなきゃいけないのでー」サッサッ
男「…………」
大家「で、どうしましたか」
大家「もしやとは思いますが、……少女ちゃん案件ですか?」
男「……!」
男「…………」
大家「ふふっ、その顔は、アタリって顔ですねー」
469 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/29(火) 18:14:48.85 ID:IiVBuModo
男「……どうして」
大家「え? だって私、会いましたもん」
大家「少し前、男さんの部屋を出ていく、少女ちゃんと」
男「……!!」
男「お、おい! アイツは! アイツはどこへ行った!?」
大家「…………」クス
大家「気になりますか?」
470 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/29(火) 18:15:17.89 ID:IiVBuModo
男「……!」
男「……いや。べ、別に」
大家「ふっ、ふっ、ふっ。男さん、面白いなあ」
大家「そこまで取り乱しておいて、真逆のウソつくんですか?」
男「……ちっ」
大家「もう。オトコのヒトって、ほんとメンドクサイですねえ」
大家「心配だから、行き先を知りたい」
大家「気になるから、追いかける」
大家「それでいいじゃないですか」
471 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/29(火) 18:15:46.30 ID:IiVBuModo
男「…………」
大家「…………」
大家「だーっ、もう。ホントにスナオじゃないんだから……」
大家「……じゃあ。コレは私のヒトリゴトです」
大家「聞くも聞かないも、動くも動かないも、男さんの自由です」
大家「それに関して私は何も思いませんし、何も言いません」
大家「ソレでいいですね?」
男「…………」
472 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/29(火) 18:16:15.50 ID:IiVBuModo
大家「ヘンジが無いってコトは、承諾と捉えますよ」
大家「……そうですね。少女ちゃん、荷物を持って向こうの道に走っていきました」
大家「方角でいえば西。ちょうど太陽の沈む、夜明けとは逆の方向ですね」
大家「もっとも、今はまだ、朝焼けの時間には早いですが」
大家「あと少女ちゃん、なんでどこか行くのかって私が尋ねたら、こうも言ってました」
大家「『私はもう、ココにいちゃいけないから。ココにいる資格は無いから』」
大家「『男さんのメイワクになりますから』……」
大家「って」
473 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/29(火) 18:16:43.07 ID:IiVBuModo
男「…………」
男「……アイツめ」
男「勝手なコトを……!!」ダッ
大家「ちょ、ちょっと! どこへ行くんですか!!」
大家「まさか本当に少女ちゃんを追いかけるつもりですか!?」
大家「西ってコト以外何もわからないんですよっ!?」
男「そんなコト、知ったことか!!」
474 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/29(火) 18:17:09.98 ID:IiVBuModo
男「ココにいる資格は無い? 俺のメイワクになる!?」
男「そんなコト、一方的に聞かされて、黙ってられるかっ!!」
大家「…………」
男「……大家さん。情報ありがとう」
男「アテはある。だから、あとは俺一人で探します」
男「それでは」ダッ
大家「……待ってください」
475 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/29(火) 18:17:39.90 ID:IiVBuModo
男「……?」
大家「…………」キュポ
無線『……繰り返します。お嬢、目的の少女、発見しました』
無線『どうやら高雄山に向かっているもよう。タクシーを使用しています……』
男「……、そ、それは……」
大家「もしかするとこういう事態になるかと思って、組のヒトに尾行してもらっていました」
大家「私のこまやかな心遣いに感謝してくださいね?」
男「…………」
476 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/29(火) 18:18:09.55 ID:IiVBuModo
大家「さて、高雄山といいましたか」
大家「けっして近くはない場所ですが、クルマかっ飛ばせば、まだ間に合います」
大家「さすがに朝のタクシーは巡回していない時間帯ですので」
大家「深夜勤務のタクシーのケツを叩く、というコトになりそうですが」
大家「……どうしますか?」
男「そんなの、考えるまでもない」
男「少女を追います」
大家「…………」フフ
男「ありがとう、大家さん。やっぱり優しいですね」
477 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/29(火) 18:18:36.70 ID:IiVBuModo
大家「ふふ。カタギのヒトに良い印象与えるのも、大切なシゴトなのでー」
大家「あんまりカン違いしないでくださいねー?」
男「わかってますよ」
男「それでは、俺はこれで……!」ダッ
大家「ええ! 思う存分、やっちゃってきてくださーい!!」
大家「……さて」
大家「組員さん。高雄山に向かうとおぼしきヒトは、本当に少女ちゃんだけですか?」
478 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/29(火) 18:19:09.44 ID:IiVBuModo
無線『いえ。少女さんと同時に、いえ、少女さんを追うようにして……』
無線『数台のナンバープレートの無い車も高雄山に向かっています』
大家「……なるほど。私の直感も、捨てたモンじゃないですね」
大家「コチラ側ではないにしろ、尋常ではないのも確かでしたか」
大家「―――では皆さん。この夏、大一番のシノギです」
大家「組長には私から伝えます。組員の皆さんは、いつでも“動ける”態勢で、山へ」
大家「有事の場合は、現場判断での介入も許可します」
無線『了解です。お嬢』
479 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/29(火) 18:19:36.56 ID:IiVBuModo
大家「ええ。お互い、頑張りましょう」ピッ
大家「……今日はCOMIKEの、三日目でしたか」
大家「まったく。どこのシマの人間だか知りませんが」
大家「カタギのヒトが楽しむお祭の日をジャマするのは、いただけませんね」
大家「さーてと。東狂、救っちゃいますか!」
480 :
◆mclKiA7ceM
[saga]:2017/08/29(火) 18:20:12.36 ID:IiVBuModo
最終章 前編は以上になります。
最終章 中編は、明日18時ごろの開始を予定しています。
481 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/29(火) 18:32:39.13 ID:mQNEKt+so
おつ
482 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/29(火) 19:00:53.74 ID:F0JrUj/Uo
おつんつん
483 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/30(水) 03:50:03.37 ID:hRLlOjlhO
乙
484 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/30(水) 09:14:13.54 ID:vZZooRDzo
しかしこの男落ち着きすぎというか老け過ぎてて三十代後半くらいにしか思えん
大学生はないわ
485 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/30(水) 16:52:52.84 ID:ul3bUiA0O
絶対に「〜コポォ」とか語尾についてるはこの大学生たった数回でここまで詳しいとか怪しすぎる
友人とかにだまって絶対何度も足運んでる歴戦の戦士やんか
486 :
◆mclKiA7ceM
[saga]:2017/08/30(水) 18:00:12.28 ID:d5mh3pIZo
それでは、最終章 中編を開始します。
今回は100レスほどの予定です。
487 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:00:56.63 ID:d5mh3pIZo
――高雄山 頂上
ヒュウウウウウウ…
少女「…………」
少女「さすがに、夏でも、晴れてても」
少女「標高の高いところの夜は、寒いなあ」
ヒュウウウウウウ…
488 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:01:24.17 ID:d5mh3pIZo
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489 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:01:51.56 ID:d5mh3pIZo
少女「…………」
少女「真夜中なのに、あんなに煌々とネオンが輝いている」
少女「この世界は、あんなにもたくさんの人が暮らしてて……」
少女「そして、その人々には」
少女「それぞれ一人一人に、目的が、嗜好が、人生がある……」
少女「かぁ」
少女「…………」グス
490 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:02:20.85 ID:d5mh3pIZo
少女「あはは、なんで泣いてるんだろ」
少女「おじいちゃんにはたくさんメイワクかけちゃったなあ……」
少女「でも」
少女「ホテルのバイキングで、魚のカブトやお肉ばっか取って怒られたり」
少女「カップ麺に一緒にお湯をそそいだり」
少女「スーパーで食材買ってきて、一緒に料理作ったり」
少女「お寿司の出前でイチバン高いヤツ頼んじゃったり……」
少女「小っちゃいころみたいで、楽しかったなぁ」
491 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:02:49.00 ID:d5mh3pIZo
少女「って、食べるコトばっかりだ」
少女「あはは。他には……」
少女「…………」
少女「COMIKEかぁ」
少女「ありえないくらい、いっぱい人がいて……」
少女「ふふ。えっちな本やアクセサリーなんかも、いっぱい買って」
少女「……タイヘンなコトもいっぱいあったけど」
少女「想像通りの。いや、想像以上のお祭だった」
492 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:03:16.44 ID:d5mh3pIZo
少女「でも」
少女「あのお祭は、集まった数十万人という人々が」
少女「あんなに色んなヒトがいるのに」
少女「皆。少しずつルールを守って」
少女「絶妙な自由と秩序のバランスの上で成り立っている」
少女「だから」
少女「私みたいなヤツが、いちゃいけないんだ……」
493 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:03:42.86 ID:d5mh3pIZo
少女「私みたいな、心の汚れたヤツが……」
少女「…………」グス
少女「おじいちゃん。ごめんね……」
男「ココにいたか」ザッ
少女「……!」
少女「……お。…………男、さん……」
494 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:04:09.55 ID:d5mh3pIZo
男「…………」
少女「…………」
男「…………」
男「……まあ、その、なんだ」
男「別れのアイサツのヒトコトくらい、しておくべきかと思ってな」
少女「…………」
少女「……どうして、ココがわかったんですか?」
男「あー……」
495 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:04:37.07 ID:d5mh3pIZo
男「一つは、情報のタレコミ」
男「プライバシーに配慮して名前は伏せるが。お前を心配してくれている、ヒトがいた」
少女「…………」
男「そして、高雄山でも、頂上にいると思ったのは」
男「東狂の海のハナシしてたろう。眩い海、瞬く星……」
男「海でも空でもないが、山でそれらにイチバン近い場所といえば」
男「この頂上だと思ってな」
少女「…………」
496 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:05:04.61 ID:d5mh3pIZo
男「俺の推理は以上だ」
男「だけど、なんでお前がココに来たのか、そんなコトはセンサクせん」
少女「…………」
男「…………」
男「だけど、ゴカイは解いておきたい」
少女「……?」
男「お前、俺のメイワクになるから帰る、とか言ったらしいな」
少女「え……!」
497 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:05:32.11 ID:d5mh3pIZo
男「あー。タレコミ元、バレちまったか……」
男「まあいいや。大家さんも共犯ってコトだ」
男「あのヒトも、あのヒトなりにお前のコト、心配してたぞ」
少女「……そうですか」
男「とにかく。お前が自分のコト、俺のメイワクになるとか思ってるなら」
男「ソレはマチガイだ」
男「お前のコトをメイワクだなんて、一度も思ったコトは無い」
少女「男さん……」
498 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:05:58.77 ID:d5mh3pIZo
男「それよりもな。この二日間……。いや、出会った日も含めれば、三日間か」
男「俺はお前と一緒にいて、楽しかった」
男「そりゃあ人の多いCOMIKEは苦行のヒトコトだったが……」
男「それでも、お前と行くCOMIKEは、楽しかった」
男「ガラにもなく、今日も行ってやろうか、なんて一瞬思ったくらいだ」
男「お前がいないんなら、行く意味も無いけどな」
少女「…………」グス
男「少なくとも、この三日間、俺は娘が出来たみたいで楽しかった」
男「だから……」
499 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:06:25.41 ID:d5mh3pIZo
男「俺のメイワクになるとか、言わないでくれよ」
ギュッ
少女「……!」
男「こんな明るい子に、そんな風に自分を責められたら……」
男「哀しくなるだろ……」
少女「……男さん…………」
500 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:06:52.86 ID:d5mh3pIZo
男「お前はメイワクなんかじゃない。俺が断言する」
男「お前さえ良ければ、来週も、来月も、いつまでも……」
男「俺と一緒にいてほしい」
少女「男さん……」
少女「……うぅ。私も、私だって……」
少女「男さんと一緒にいたいですよぉ……!!」
男「…………」
少女「うっうっ。うぅ、うわぁぁぁ――――ん…………」
501 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:07:19.77 ID:d5mh3pIZo
男「……落ち着いたか?」
少女「……ハイ」
男「なら、戻ろう」グッ
少女「…………」
少女「それは、出来ないんです」
男「どうして」
少女「…………」
502 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:07:46.44 ID:d5mh3pIZo
少女「……私が、この街にいられるのは、あと一日」
少女「今日にはもう、帰らなくちゃいけませんから」
男「だったら、今日一日だけでも」
男「今日一日だけでも、一緒にいるコトは出来るだろう」
少女「…………」
少女「だけど」
少女「私なんかが、戻っていいんでしょうか」
少女「戦士の戦利品を盗もうとした、私なんかが……」
503 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:08:13.34 ID:d5mh3pIZo
男「…………」
男「……そうだな」
男「窃盗未遂でも、窃盗は窃盗」
男「見つかれば許されるハナシじゃあないだろう」
少女「…………」
男「でも」
男「集まった数十万人だって、全員が全員根っからの善人じゃない」
男「ちょっとくらい心に後ろ暗いところだってある。人間なんだから」
504 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:08:41.50 ID:d5mh3pIZo
少女「…………」
男「……ナットクいかないって顔だな」
男「…………上を見ろ」
少女「上……?」
男「夏の夜明けは早いが、まだ日は昇っていない」
男「空を見てみろ。黒い夜の空を」
少女「空……」
505 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:09:08.27 ID:d5mh3pIZo
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506 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:09:36.58 ID:d5mh3pIZo
少女「…………」
少女「きれい」
男「だろう。ココは、東狂で最も空に近い場所の一つ」
男「最も星がよく見える場所の一つだ」
少女「こんな星空が、本当にあるなんて……」
少女「まるで天然のプラネタリウムだなぁ」
男「なんじゃそりゃ」
507 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:10:03.96 ID:d5mh3pIZo
男「……これでも、夏は空気中の水分が多いから、冬のほうがよく見える」
男「街の光が届くこんなところより、内陸の山のほうが、もっと星はよく見えるぞ」
男「自然は限りなく広い」
男「お前の目に見えている部分なんて、ほんの一部なんだ」
少女「…………」
男「って、大学生風情が何を、ってハナシだがな」
男「だけど。ヒトも、同じコトだ」
男「見てみろ、星を」
508 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:10:30.71 ID:d5mh3pIZo
男「様々な大きさ、様々な色、様々な輝きをする星が、無数にある」
男「俺たちの目に見える太陽系の星から、銀河の果てまで、限りなく」
男「そして、無窮に瞬く星々……」
男「とはいうが、永遠に輝きつづける星なんて、この世には存在しない」
男「すべてが等しく有限で。すべてには等しく終わりがあり」
男「だからこそ、こうして今を、きらめくんだ」
少女「…………」
男「人間だって、色んなヤツがたくさんいて、色んな考えを持ち、ソレを表現している」
509 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:10:57.58 ID:d5mh3pIZo
男「だからこそ。俺も、お前も」
男「COMIKEっていう、デカいお祭に、心惹かれるんじゃないか?」
少女「…………」
男「そして、俺もお前も、その一員だ」
男「スタッフも、サークル参加者も、一般参加者も」
男「それは店と客の関係じゃなく、等しく皆が同じ“参加者”」
男「……それが、COMIKEの理念の一つだ」
少女「参加者……、ですか」
510 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:11:24.71 ID:d5mh3pIZo
男「そうだ。だから、悔やむ意味はあっても、恥じる必要はない」
男「幸いにも、表現する手段は、黒ずくめさんや友人が用意してくれている」
男「だから」
男「あと一日だけ、COMIKEに戻って、悔いの無いように参加しても」
男「いいんじゃないかと、俺は思うがな」
少女「…………」
少女「ふふっ」
男「む。何がおかしい」
511 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:11:52.23 ID:d5mh3pIZo
少女「いえ。オカシクはありませんが」
少女「男さんは、いつでも、同じコトを言うんだなって」
男「はぁ? こんな……、ハズカシイことっ、言ったのはコレが初めてだと思うが」
少女「ふふ。目は口程に物を言う」
少女「というワケではありませんが、いつも心に思ってるコトは」
少女「ふとした時に口をついて出るモノですよ」
男「そうか。……用心しなければな」ムム
少女「ふふふ」
512 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:12:19.25 ID:d5mh3pIZo
男「で、どうする。それでもなお行くというのであれば、止めはしないが」
少女「……いいえ。戻りますよ、私は」
少女「今年の夏のCOMIKEの、最終日」
少女「二人で。いや、みんなで」
少女「悔いの無いように楽しみましょう」
男「…………」
男「そうだな」
ザワ…
513 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:12:46.34 ID:d5mh3pIZo
少女「あ……」
男「朝日が……」
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514 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:13:13.35 ID:d5mh3pIZo
少女「きれいですね……」
サワ…
少女「朝日とともに、光も、風も、鳥も、一緒に動き出して……」
男「…………」
男「太陽が昇れば、小さな光は消えていく」
男「いや……。太陽という大きな光に、集まっていく」
男「行こう。俺たちも、俺たちの場所に集まっていく時間だ」
少女「はい!!」
ザッ
515 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:13:40.63 ID:d5mh3pIZo
男「……?」
チャキ チャキ チャキ チャキ
特殊部隊「動くな!!」
男「……!!」
少女「……、……」
ザッザッザッザッ ザッザッザッザッ
チャキ チャキ チャキ
516 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:14:08.04 ID:d5mh3pIZo
男「……おい。何のマネだ、これは?」
特殊部隊「動くなと言っている」チャキ
特殊部隊「…………」チャキ
特殊部隊「…………」チャキ
特殊部隊「…………」チャキ
男(拳銃を構えた迷彩服が、6,7……、およそ十人足らず)
男(COMIKEのコスプレ……、というワケではなさそうだな)
男「おい、少女」
517 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:14:35.03 ID:d5mh3pIZo
少女「…………」
男「なんだ、コレは。お前の友達か?」
少女「……いえ」
少女「こんな悪そうな友達がいたら、怒られちゃいますから」
男「…………」タラ
男(……サッパリ意味がわからんが)
男(ヘタに動けば、明日のお天道様は拝めないコトはわかる)
男(まずはコイツらの目的がハッキリしないと……)
518 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:15:09.45 ID:d5mh3pIZo
少女「わかっているぞ。目的は私だろう?」
男「……!」
特殊部隊「そうだ。スナオじゃないか」
少女「いやー、見慣れた顔だからな」
少女「おおかた。私がココに戻るのを、この数日、ずっと待ってたんだろう」
少女「暑い中、雨の降る中。ご苦労ってモンだ」
特殊部隊「それ以上喋るな」チャキ
519 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:15:36.49 ID:d5mh3pIZo
特殊部隊「“ブツ”のある場所に、案内してもらおうか」
少女「…………」
男「…………」
少女「……すいません、男さん」
男「……?」
少女「残念ですけど、ココでお別れみたいです」
男「な……!」
520 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:16:04.55 ID:d5mh3pIZo
少女「さすがに。一人、二人ならまだしも」
少女「十人近くが相手では、さしもの私も、手も足も出ません」
少女「おい! このヒトは関係無い。解放してやれ」
特殊部隊「ふん……。いいだろう」
男「…………」
少女「男さん。少しの間だったけど、楽しかったです」
少女「この数日間は、私の短い人生の中でも、イチバン輝いていたと思います」
男「おい! そんな言い方……」
521 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:16:31.69 ID:d5mh3pIZo
少女「行ってください」
少女「これは、私の戦い」
少女「あなたを巻き込むワケには、いきませんから」
男「…………」
特殊部隊「……ハナシは決まったようだな」
特殊部隊「それでは、“ブツ”を見せてもらおうか」
少女「ええ。それなら、こ……」
ヒュルルルルルル…
522 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:16:58.76 ID:d5mh3pIZo
男「……ん?」
男「なんだ、この音…………」
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523 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:17:27.04 ID:d5mh3pIZo
ズガァァァァァァァァン!!!!!!!!!!!!
特殊部隊「ッ!!?」
特殊部隊「総員、伏せろォォォッッ!!!!」
男「な……、な……!?」
少女「なんですか、コレ……!」
ヒュルルルルルル…
524 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:17:54.67 ID:d5mh3pIZo
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\_)\/ミ:::.:.. ..:.::ゞ-≡三ミミ:、 " _,人,、_ /( ' '
`ヽ.__ノーシ=二≡=、;::=-::.:.. ’.:.::=、彡 、 ,:彡'=三≡ヾV て / ◇
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)三:::... ..::::゙ミ、:.. ..::-=:ヾ:;:./=≡:::.....:.:/ミ::.:.. ..:.::-=ミ:v' て_ _
⌒ヾミ=-:/=::... ..:.::゙ミ:=-=彡'::. _冫三::; ..:.:::::::|ミ:::.:.. .・.:.::-=彡':.;. (_ <>
<7 )ミ/三::. ..:::`ミv彡::.:.. )三:::... ..::::゙ミ、:.. ..::-=彡三=三ミミ:v'´
_ノ三|三:::::... ∵ ..:.::=il=::.. ⌒ヾミ=-:/=::... ..:.::゙ミ:=-=彡'::.. ..::::=三|!l
´⌒):..ヾミ=-.::; ..-彡ミ:::.. . )ミ/三::. ..:::`ミv彡:::.:.. .::-=彡ノム _
ヽ∧ヘ、ヘ人从ヽ∧ヘヘ从ヽ_ノ三|三:::::... ∵ ..:.::=il=::. ・..:.::三ミ:、て ̄
´⌒):.ヾミ=-.::; ..-彡ミ:::... . ..::::ノソ⌒` 、
ヽ∧ヘ、ヘ人从ヽ∧ヘヘ从ヽ∧ヘ、ヘノ(
525 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:18:22.40 ID:d5mh3pIZo
特殊部隊「ぐわああああああッッッ!!!」
特殊部隊「敵襲、敵襲! いったいどこに……!?」
男「おい、少女! お前の手引きか!?」
少女「知りませんよ! こんな超火力出せる重火器持ち込んでませんし!!」
組員「男さん、少女さんですね」ヌッ
男「……!? どうおわぁぁぁぁっっっ!!!」
少女「黒服のヒトたち……。いったいどちら様です?」
526 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:18:52.30 ID:d5mh3pIZo
組員「私どもは貴方がたの味方です」
組員「それとも……。お嬢の部下、と申し上げたほうが通りが良いでしょうか」
男「ああ、大家さんの……!」
少女「えぇ? 大家さんがお嬢で、部下って……、えぇ!?」
組員「細かい説明は後で」
組員「あの特殊部隊は、我が組の精鋭が抑えています」
組員「お二人はコチラへ」
組員「友人さんから連絡を受けたという“有志”の方が、お待ちです」
527 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:19:32.81 ID:d5mh3pIZo
男「え、友人の奴が……? いったい誰を……」
___00 __ ∩ ∩
└‐┐l ___n_ ___n_ ___n_└┘/7 ∪ ∪
(ノ フl.「 フl.「 フl.「 <ノ ○ ○
,、-,、
´,,r'´,,、'⌒'ヽ, ` .、
〃/〃,r'⌒`ヾ ` .、
!il! i,l',l'i, ,-─- 、 ,'´",, ` .、
i l i!i 〃'⌒`' 、`ヽ、∵'` ` .、 ,,.
,i i i!i. {'l〃,、-,、 ヽ,ヽヽ ` .、 ` .., _____,, -'''"´
, i i i!\{i! i'r'~`',ミ ヽ,゙i}i、 _,ィ≦
'i,i .'i, ,i〃´` 'i, ','i i,}, ≠==≦、 ,ィ≦≦≦
':, 'i,' i,'i, ( ) i 'i, l゙} {==(◎)==j {≦≦≦≦
'i, 'i、、 i ! i'} ゞ===' ゝ≦≠"´
:' , 'i、 、`ー''" i ,i'i,i'l} : ,,.. ''"
∵ ,' , .'h、 `-,、,,ノ ,i!l川 ; __,,.. ''" ,,
:'', '. ・ .`-,、,,_,,,ノ斗' { 《≧イ ,,.. ''"
≠彡 \ ( ,,.. ''"
`ー─── "
528 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:20:03.79 ID:d5mh3pIZo
少女「く、クルマ!?」
男「……ちょっと待て。このタクシーは……!!」
運転手「ええ。お久しぶりです」パカッ
運転手「およそ半日ぶりですな」
男「う、運転手さん……!」
少女「あなたが、一体どうして……」
運転手「いや。今日もいつも通り、日が昇ってから動き出す予定だったのですが」
運転手「息子に呼び出されましてな」
529 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:20:34.06 ID:d5mh3pIZo
男「え……? 息子って、いったい誰」
運転手「さあ、ウカウカしてるヒマはありませんぞ!」
運転手「この山を脱出します。はやく後部座席に!!」
男「わ。わかりましたけど……」パタン
少女「……そ、その口調。まさか……」
組員「それでは、運転手さん。お二人をお願いします」
運転手「任されましたぞ。走り屋の誇りにかけて」
運転手「目指すは、朝日をその逆三角形に浴びる、ビッグサイト!!」
530 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:21:00.48 ID:d5mh3pIZo
運転手「んん、久方ぶりの全力全開!!」
ギュルルン!! ギュルルン!!
運転手「―――フルスロットル以外はあり得ない!!!」
ブオオオオオオオン!!!!!!!!!!!!
531 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:21:27.63 ID:d5mh3pIZo
――首都高速道路
ブオオオオオオオ
少女「……高雄山が、みるみる遠ざかっていく」
男「い、いったいこのクルマ、何キロ出てるんですか!?」
運転手「今、120キロになりましたな」ブオオオオオ
男「ブッ壊れますよ!?」
運転手「私の運転に耐え得る程度の改造は施していますので」
532 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:21:54.81 ID:d5mh3pIZo
男「だいたい、何もこんなに急がなくても……」
男「謎の特殊部隊は、組員のヒトたちが止めてくれてるし……」
ドォォン!!!!!!
少女「あ。また、山のほうで爆発が」
少女「アイツら、ホンモノの仕事人ですよ。大丈夫かな……」
運転手「ほっほ。ご安心を」
運転手「仮に相手がホンモノだとしても」
運転手「彼らもまた、“ホンモノ”なので」
533 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:22:21.93 ID:d5mh3pIZo
プァンプァンプァンプァン!! プァンプァンプァンプァン!!
男「……!?」
パトカー『そこの暴走タクシー!! 今すぐ止まれぇぇぇ!!!』プァンプァンプァンプァン
運転手「おっと……。サツの小僧の群れが、何か言っていますな」
男「う、運転手さん? ココの高速道路の制限速度は!?」
運転手「ん……。たしか、通常は60キロでしたかな」
男「ダブルスコア!!」
534 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:22:49.32 ID:d5mh3pIZo
男「俺たち、そこまで急いでませんから! 法定速度内で走りましょう!?」
運転手「残念ながら、一度動き出した“相棒”は」
運転手「私にも止められないのです」
男「うっそだー!!!」
少女「でも……、男さん! 私、燃えてきましたよ!!」
少女「不肖私。カーチェイスは何度か経験がありますが」
少女「こんなにアツい逃走劇は、コレが初めてです!!」
男「君も君で何でカーチェイスの経験なんてあるのかな!」
535 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:23:17.16 ID:d5mh3pIZo
パトカー『そこの……、暴走タクシー……。今すぐ……、止ま……』プァンプァン…
少女「……みるみる、遠ざかっていきますね」
運転手「既に老いぼれた身ですが、ぺーぺーの若造どもには負けませんぞ」ブオオオオオ
運転手「というか量産型の白黒パンダごときの出力に」
運転手「我が“相棒”が、遅れをとる道理がありませんな」
運転手「なあ、相棒!!」
タクシー「…………」
536 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:23:43.18 ID:d5mh3pIZo
男「…………」ハハッ
少女「ちょ、ちょっと待ってください!!」
少女「進行方向にETCのレーンが!」
二|≧s。
二|==== ≧s。
二|========|\
二|========|\|
二|========|\|\ .|「う≧s。
二|========|\|\| .|___|__
二|==/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄::| __,,|王王王|──|
二|==| |ニニニニニl | .|二二二二二二::|
二|==| |ニニニニニl | |--|--|--|--|--ll| ┌───┐
二|==| |ニニニニニl | /|--|--|--|--|--ll| | _|
二|==| |ニニニニニl | |/|--|--|--|--|--ll| ,ィ⌒ヽ/| ̄ ̄ ̄ ̄ |
二|==| |ニニニニニl | |/|--|--|--|--|--ll| |-_-_| |/| lニニニl | ____
二|==| |ニニニ,|二| ̄ ̄¨l|__ |/|--|--|--|--|--ll| __ |-_-_| |/| lニニニl |/|]]]]]|
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二l ̄ ̄ ̄¨|_,|二| |=ニ二二二二二二二二二二_|王|-|-_-_|]|/| lニニニl |/|]]]]]|ニ|
|_,|二| | jI斗-‐''´ ̄/) `ヽ、 -=ニ二ニ=-_ ̄ ̄ ̄二二二ニ=---.|ニ|__
-─  ̄ ̄__|二 -‐‐''゙゙ ̄ 。o</ `ヽ、、  ̄-=ニ二ニ=-_  ̄
__,,..-‐‐''゙゙ ̄ 。s< _ ‐¨ \ヽ  ̄‐-=ニ二ニ=-_
。s≦ _ ‐¨ \\  ̄ ̄-=ニ
。o≦ _ - ¨ \\
。o≦ _ ‐ ¨ \\
537 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:24:10.43 ID:d5mh3pIZo
運転手「―――む」キキッ
ギュリルルルルララララララララララララ!!!!!!!!!!!!
男「ちょ、ちょっと! 車体がイケナイ声あげてますよ!!」
運転手「―――奔れ! 天馬の如く!!」
ヒヒイイイイイインンンンンンンンンンンン!!!!!!!!!!!!
少女「ま……、まるで! クルマから出る摩擦音が、馬のいななきのようです!!」
538 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:24:38.65 ID:d5mh3pIZo
男「というか奇蹄目の鳴き声そのものではァ!!?」
運転手「久方のエキサイトに相棒も悦んでおりますな」
運転手「さあ、ここからですぞ!!」バッ
シュオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!
少女「車体が、空気の層を破って……! いや、走りながら取り込んで!!」
少女「いわば風の結界!! インビジブル・アーマーを作りだしています!!」
運転手「数多のライバルと渡り合うためには……。こういった技術も必要だったのですよ」
男「いったいナニと戦ってたんですかぁぁぁ!!?」
539 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/30(水) 18:25:05.71 ID:d5mh3pIZo
ETC係員「ん……? なんだありゃ…………」
ETC係員「ってぇ!? う、うおああああああああああああ!!! 轢かれるぅぅぅ!!!!!!」
/し'7
/´刀 ./ /
/ .yく( {
運転手「どいた、どいたァァ!!」 / _イ l| / /`l
/ / l l| _」 l |刀
/ / l lレ′ _ l |レ'
/ ヽ レ、ゝィ.__.. //-‐''´ヾ=,'
/ ハ ヽ、 / __ /
,r 'j ,r'ゞ, ,r ' ´ `丶、 ,r、 ./ / ヽ { l ,r''7゙/ ./ /
,イ ゞ'´:`イ ,r ' ´ `丶、 `ヾ /:;/ // l / ヽ-' {/ / / ./ /
/ 〈 } (´ ) :`i `ヾ /:;:;:;/ ¨`イ、 . レ′ l / l / ィ.__.. -‐z
_,,イ从 / / _,,、 ,r '´ /:;:;:;:;,/ `ゝ レ′ .レ゙/ _ /
/:;´i (´, ):`i/ ,イ ゝ.::. '' ,,:: ::´ `: (: フ /:;:;:;:;:;:;/ ,.‐( ..:: ,,`ヽ l ,r''7゙// ,'
/:;:;:;:;:;i ゞ,,-‐,ゞ、 /:;:;:;:;/ ヾ, {/ / ∠ノ
/:;:;:;:;:;:;:;:;l `ゞ ,,ノ( ヾ ,.‐( ..:: ::´ `: (:,/:;:;/`‐-‐' .: ) '' ,,:: ;; `;.) / /,r‐r‐z
:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;,! r≡=、_ ゙ト、 (イ //'' ,,:: ::´ _,,、-‐─ー-‐、 / l. / l / ノ
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,彡イ'´ '' ,,:: :: jソ ⌒ヽ:: ..::. '' ,,:..:) ) ,.イソ´_,、-‐'''"´:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;,! ::.⌒ヽ:: ゝ、 ." / /
ゝ.::. '' ,,:: ::il 、 /i //:;/i:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;// / ゞ / /
、 ' '¨ ,.‐( ..:: ,ノ,l l //:;/ /:;:;:;:;/二/´ ̄:;:;:;:;:;:;,イ ) :` ,,.. j. i /
`丶、 ,.人 .:.: .:⌒ヽ., `i | |::.⌒ヽ:: ,! !:;:;l/:;:;:;:;:;:;:;:;,、rー、-‐ '"ソノ`ゞ ,,ノ( ヾ.,, ..) レ′
_,、-‐ ─‐-t‐r‐-、 _,ィ イ iユ /:;/:;:;ゞ -‐''"´7 ,r‐7 ,、ノノ ..::) )
_,、-‐'' "´:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;,!イl ji三彳 , /i ,/:;/:;:;.;;::;:;:;:;三彡// ,/ / /
二ゞ:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;,!イl ,!l´ ̄ ゙´ l/ i':;/:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;,//イ , ! ´``ゞ ,,ノ( ヾ.,, ..)
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