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海未「静岡旅行です!」
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/15(火) 09:48:27.71 ID:gmcJBnky0
昨日ラブライブ!板に投下していたものです。
続きも込みで投下していきます。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1502758107
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/15(火) 09:49:04.64 ID:gmcJBnky0
園田海未です。
この日記を使うのも久しぶりですね。もう捨てられていると思っていましたが、ちゃんと綺麗に保管してあったのは驚きです。
スクールアイドルダイアリーと高校の時ににこは言っていましたが、もう高校生どころか社会人になってしまっていますしこれは何の日記なのでしょう?
そのうち穂乃果あたりが名前を付けそうですが…それは今は置いておきましょう。
今回、この日記をつけたのは9人でとある事情から静岡県へ旅行へ行く機会があり、
まるで高校生に戻ったかのように楽しかった数日間を、文字に残しておこうと私が思ったからです。
そのことをにこに話したときにこの日記を渡されて現在に至っています。
後々みんなが読むと思うと少々気恥ずかしい気持ちもありますが…
前置きが長くなるのもいけませんね。思い出せる限り、書いていこうと思います。
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/15(火) 09:50:02.28 ID:gmcJBnky0
〜1日目〜
真姫「ちゃーす」
海未「お久しぶりです、今年の頭以来ですね」
真姫「そうね。わざわざ北海道からお疲れ様」
私は高校を卒業し大学へ進みましたが、その後就職の都合で北海道に住むことになりました。
おかげで9人に会うのはちょっとした一大イベントになってしまっています。
初日は私が東京にいき真姫の家で一晩泊めてもらい、2日目の朝に出発する予定になっています。
真姫「とりあえず突っ立ってないで乗りなさいよ」
海未「そうですね。それでは失礼します」
真姫は彼女らしい真っ赤な外装の車で空港まで迎えに来てくれました。私は車には疎いので車種などはわからなかったのですが、いつも私が買った軽自動車の百倍は良い車だというのは素人目でもよくわかりました。
海未「真姫、これが私の運転することになる車ですか?」
真姫「違うわ。こっちは私が運転するX1、海未に任せるのはX2よ」
海未「ふふっ、上司にガンダムで物を例える人でも居るんですか?」
真姫「いけない、完全に素でイミワカンナイこと口走ってたわ」
海未「いえいえ、私の上司にも居ますからわかりますよその気持ち。でも真姫の上司はそこまで年上じゃなさそうですね」
真姫「すごいわよね。例えなくてもこれだけである程度お互いの近況がわかるんだもの」
今回の旅行では真姫の家から2台車を出してもらうことになっており、片方が真姫でもう片方が私が運転して、2台に分かれて移動することになっています。
保険もばっちりという真姫のお墨付きもあったので、大人になった今だからこその車での旅行にしました。
就職してからはずっと北海道なので、実はこちらの土地での運転は免許を取ってから初めてで少々緊張していたのは正直なところです。
真姫「楽しみね、明日」
海未「ええ、とても」
真姫「Aqoursの子たちに会えると思う?」
海未「どうでしょうか…いい大人が声をかけたら警察を呼ばれてしまうかもしれませんよ」
真姫「そこまで犯罪臭するような雰囲気出してないでしょ!常識の範囲で挨拶すれば大丈夫よ…」
海未「そうですか?真姫みたいなサングラスをかけた人が車から降りてきて声をかけたら誘拐犯に見えるかもしれませんよ?」
真姫「…中々言うようになったわね」
海未「ふふっ、すみません」
私たちの今回の旅行の目的は、たまたま動画で見かけたAqoursというスクールアイドルに興味を持ったからです。
同じ9人だからなのか。はたまた別の惹かれる理由があったのかはわかりませんが、私たち9人はいつの間にか彼女たちを熱心に応援していました。
そこで穂乃果が「Aqoursのみんなのことをもっと知りたいから、今年は9人で静岡に行こうよ!」と突拍子もないことを言い出して…
たまたま社会人の9人の予定が空けれたのは奇跡に近いですが、なんとか9人での旅行が実現しました。
もっとも、明日から全員揃うというわけではないのですが…そこは仕方ありませんね。みんな忙しいでしょうから。
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/15(火) 09:51:03.47 ID:gmcJBnky0
真姫「着いたわ。荷物だけ家に置いてちょうだい」
海未「これからどこかへ向かうのですか?」
真姫「夕ご飯、まだでしょ?せっかくだし家の人に車出してもらってどこかで一杯飲みましょうよ」
海未「真姫からそんな言葉が飛び出すなんて、人生何が起こるかわかりませんね」
真姫「何よ、別にいいでしょ」
海未「ええ、手持ちはあるのでどこでも大丈夫ですよ」
真姫「どうせ海未なら奢られないだろうし、高いとこなんて行かないわよ。明日からが本番なんだから」
海未「かんぱーい!」
真姫「かんぱーい!」
他愛のない近況の話から、私たちのラストライブのことまで…酔った勢いで変なことも言っていた気がします。
1日目の夜はこうして更けていきました……
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/15(火) 09:52:07.85 ID:gmcJBnky0
〜2日目〜
気づけば真姫の家の天井を見上げていました。
飲みすぎたから記憶が飛んでしまった…というわけではなく、あまりに楽しすぎて一瞬で時間が過ぎてしまい内容を詳しく書き出せないといった感じですが。
込み入った話もしていましたからちょっとここには書けないというのもありますが。
海未「真姫は…まだ寝ていますか。癖でどうしても無駄に早起きしてしまいますね」
少し身支度を整えて、おそらくまだ寝ているだろうことりと穂乃果と私のグループLINEに今日の合流場所・時間を改めてメッセージで送っておきました。
送ってから気づきましたが、頻繁にやりとりしてますし通知とか切ってますよね?でもことりは切ってなさそうな感じも…
海未「既読はついていませんし、睡眠の邪魔はしなかったみたいですね」
今日からうんと遊ぶのですから、今のうちに寝ておいてくださいね。
そんなことを思いながら時間を潰しているうちに真姫も目覚めて朝食へ。
真姫「やっぱり海未って早いわよね」
海未「どうしても早く目覚めてしまって…このままではあっというまに老け込んでしまいそうです」
真姫「食も細いし、ほんとに早死にしそうよね」
海未「今日は真姫がキレキレですね」
真姫「ふふ、昨日のお返し」
社会人になってからは泊めてもらうためにこうして真姫と2人で会うことが多くなったのもあって、高校時代よりも親密になれたような気がします。
昔はあまりこういう軽口は言わなかったので新鮮です。
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/15(火) 09:52:59.17 ID:gmcJBnky0
真姫「そういえば穂乃果って夜勤明けをそのまま回収するのよね?」
海未「そのはずですね。今日は東京で穂乃果とことりを回収して車で沼津へ、現地で凛と花陽と落ち合う予定です」
真姫「その次の日ににこちゃん、絵里、希が合流するわけじゃない。つまり行きの車は2台使って4人なのよ」
海未「そう…ですね。何か問題が?」
真姫「2人と2人になるんだから、寝るであろう穂乃果が乗ったほうが退屈しちゃうじゃない」
海未「本当に気が回るようになりましたね」
正直全く考えていませんでした。真姫がここまで周りを気遣ってくれるのは、最初を知ってるだけに感慨深いです。
この日記を見られたら怒られてしまいそうですが。
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/15(火) 09:53:29.97 ID:gmcJBnky0
真姫「穂乃果も留年していまだにコンビニで夜勤だものね。最初は涙出るほど笑っちゃったけど」
海未「大丈夫です。本人もまるで気にしていないので」
社会人9人と前述していましたが、実は穂乃果だけまだ大学生なんですよね。
一時期は留年と聞かされ眩暈がしましたが、「遊びすぎて留年しちゃった!」と笑いながら聞かされた時は私まで笑ってしまいました。
一年分の学費は自分で払うとバイトを始めた行動力は素直に素晴らしいのですが、その気概を最初から課題と単位に出していれば…
真姫「おかげで穂乃果はバイト代わってもらうだけで予定が空けられたから、不謹慎だけど今回に限っては好都合ね」
海未「そうですね…不謹慎もなにもにこや凛がネタにしていじってますし今更ですよ」
真姫「まぁわざわざ北海道からきてもらって運転手までさせるんだから、穂乃果は私が引き受けるわ」
海未「そこまで気を回さなくても私は大丈夫ですよ」
真姫「私が気にするのよ。久しぶりに海未と会えて寝ないかもしれないけど、それはそれで穂乃果が後々しんどいだろうし」
海未「それもそうですね…本当に真姫はしっかりしていますね。ありがとうございます」
真姫「べ、別に!当たり前でしょ!」
真姫の心遣いに感謝しつつ、それぞれ真姫はX1に。私はX2に乗りそれぞれ穂乃果とことりの家に向かいました。
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/15(火) 09:54:56.37 ID:gmcJBnky0
海未「ことりとも会うのは久々ですね…2人だけというのはそれこそ数年ぶりかもしれません」
向かう途中に色々なことを考えるたびにみんなに会いたい気持ちが一層強くなっていきます。
普段メッセージのやり取りや電話を頻繁にしているので寂しくはないのですが、会うとなるとやはり特別な気持ちがこみ上げてくるものです。
カーナビ通りに車を走らせて、近くのコンビニへ駐車すると既にことりが待っていました。
ことり「海未ちゃーん!」
海未「こっとりー!」
幼馴染との久々の再会に少し変な言い方で呼んでしまいましたが、気にもせず抱き合ってしまいました。
昔なら恥ずかしさが上回っていたでしょうが、今となっては私のほうからこういうことをしてしまっているのですから人生何が起こるかわかりません・
真姫に言える立場じゃないですね、これでは。
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/15(火) 09:57:15.85 ID:gmcJBnky0
ことり「海未ちゃ〜ん、くすぐったいよ〜」
海未「はっ、すいません。ついどさくさに紛れておしりを撫でてしまいました」
ことり「海未ちゃん、大人になってから平気でこういうことするようになったよね〜」
海未「何故でしょうね。邪な気持ちは微塵もないのですが…学生時代をお固く過ごしてきた反動が行動に出てしまうのかもしれません」
ことり「最初はびっくりしたけど、もう何も感じなくなるくらいおしり触られちゃったよ」
海未「すいません…ちゃんと他のメンバーのおしりも触るのでそれでどうにか帳尻を…」
ことり「帳尻でうまいこと言ったみたいな顔されても…あとそれ状況が状況ならとんでもない浮気発言だよ」
海未「変な状況にならない人間関係だからこそ言ってるんですよ」
ことり「ええ〜ことり傷ついた〜」
海未「あっはっは、ジュース一本で手を打ってください」
ことり「ありがと〜♪」
学生時代とは違うおふざけをしながらも、やはり変わっていない私たちの友情を再確認しつつ、私たちは出発しました。
行先は沼津インターを出た近くにあるコンビニです。
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/15(火) 09:58:00.42 ID:gmcJBnky0
海未「くっ!なんなんですかここは!!まるで地獄絵図じゃないですか!!」
ことり「ひぃぃ〜!海未ちゃ〜ん!」
まさか東京で最初のハプニングが起こるとは夢にも思っていませんでした。ハプニングというほどでもないのかもしれませんが…
海未「町田から高速に乗るというのに真姫が良い顔をしていなかったのはこういうことですか…!」
町田のインターは北海道の広く走りやすいぬるま湯に浸かっていた私にはまさしく地獄。
とんでもない渋滞にくわえて高速の乗り口は(え?これどうやってこの車の波に乗っかればいいんですか?)と固まってしまうほどでした。
ことり「ていうかどうして北海道から来た海未ちゃんが運転してるの?」
海未「ことりはまだ免許を持ってなくて、穂乃果は夜勤明けでとても人の命を預けられる状況ではなかったからです…」
ことり「あ〜確かに…あはは」
海未「いや〜〜〜!!こわいこわいこわい!!無理です無理です!!」
ことり「ひぃ!海未ちゃん頑張って〜!おねがぁい!」
海未「んはぁっ!ことりはずるいです!仕方ありません…首都高アタックです!」
ことり「行先は沼津だからね!?大丈夫!?」
海未「わかっています!わかっています!行きますよぉおおおお!!」
ことり「わぁ〜〜〜〜〜〜!あっはははははは!!」
大人になったからこその状況、会話のはずなのに。
私たちの心は、あのときのように。学校で過ごしていたあの頃のような。そんな気がしました。
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/15(火) 09:58:51.36 ID:gmcJBnky0
海未「想いんぉぉぉん乗せてぇぇぇ♪ハッピーハッピートレイントゥゴー♪」
ことり「汽車ぽっぽ〜って感じの振り付け可愛いよね!ぽっぽ〜♪」
高速に乗ってしまえば後はなんのその。曲を大音量で流しながら私たちはAqoursについて話しながら風を切っていました。
海未「なんだかAqoursの曲の歌詞はすごく私は魅力的に思えるんですよね。中には私たちにも向けられているような…といいますか」
ことり「例えば?」
海未「『ダイスキだったらダイジョウブ!』、『夢で夜空を照らしたい』あたりですかね。『待ってて愛のうた』もそんな感じがします」
ことり「あ〜確かに言われてみればそうかも。作詞してた海未ちゃんが言うとほんとにそんな感じがするかも」
海未「歌の解釈は人それぞれですからあくまで私個人の感想ですよ」
ことり「うんうん、でもやっぱり私もそう思うな」
海未「解釈が一致するのは珍しいですね。…いえそういう部分が近いからこそ9人全員が応援できたのかもしれません」
ことり「ふふ、そうかも」
きっと、こうして集まって同じものに夢中になって、話しあえて意見を交換して。
こんなにも居心地がいい友を持てたのが本当に幸せなんだなぁと。久々の再会がそう思わせたのかもしれません。
そのとき車内で『届かない星だとしても』が流れていました。
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/15(火) 10:01:30.97 ID:gmcJBnky0
穂乃果「海未ちゃーん!ことりちゃーん!」
海未「穂乃果〜!お久しぶりです〜!」
ことり「穂乃果ちゃ〜ん!」
真姫「ほんとに夜勤明けなのかしら…ずっと元気に起きてたけど」
先に着いていた真姫たちと車を降りて再会できました。穂乃果が元気そうでなによりですね。
着くまで熟睡してるかもとことりろ話していましたが、そもそもこの旅行の発案者は穂乃果でしたね。
私たちを同じか、それ以上にこの旅行を楽しみにしていたのでしょう。
海未「ところで穂乃果、単位のほうは大丈夫なのですか?ちゃんと余裕をもってこの旅行に参加しているのでしょうね?」
ことり「就活だってしなくちゃだもんね〜。穂乃果ちゃん大丈夫?」
穂乃果「んも〜〜〜〜〜!!車の中で真姫ちゃんに散々いじられたネタでいじめないでよぉ〜〜!!」
海未「ふふふ…すみません…!」
ことり「なんかお約束だから言わなくちゃいけないかな〜って」
穂乃果「二人ともひどいよ!!穂乃果怒っちゃうよ!!」
真姫「おこりんぼ大会〜」
穂乃果「んんんんぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!」
ことり「穂乃果ちゃん迫真すぎだよ!怖いよ!」
海未「元スクールアイドルがしてはいけない顔ですよ…」
笑いながら馬鹿なやり取りをしつつ軽く話をしてから今夜の宿にチェックインする流れに。
本当なら高海さんのところの旅館や小原さんのところのホテルに泊まりたかったのですが、諸々の事情からお流れに。
流石に9人を夏の旅行シーズン直前に予約できる宿は有名どころにはありませんね…もう少し早く計画すべきでした。
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/15(火) 10:02:00.51 ID:gmcJBnky0
海未「もう既に宿には凛と花陽が待ってるみたいですね。待たせても申し訳ないですし向かいましょうか」
真姫「そうね。早く会いたいし、食事でもしながらゆっくり話しましょ?」
穂乃果「さんせー!真姫ちゃん!GOだよ!」
ことり「海未ちゃん、ホテルまでよろしくね」
再びX1とX2に乗り込み、私たちは再び車を走らせました。
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/15(火) 10:03:37.60 ID:gmcJBnky0
穂乃果「凛ちゃ〜〜〜ん!花陽ちゃ〜〜〜〜ん!!」
凛「穂乃果ちゃ〜ん!」
花陽「みんな〜〜〜!」
宿で迎えてくれた凛と花陽に穂乃果が飛び込んでいきました。まるで犬のようで微笑ましいです。
凛「穂乃果ちゃん!クソ学生はもう卒業したかにゃ??」
穂乃果「よーし!凛ちゃんちょっと表出ようか!」
凛「望むところだよ!夏のパッショネイトにゃ!」
宿に入ったかと思ったらすぐさま駆け出していく穂乃果と凛。
ちょっと騒ぎ出すきっかけに仲良し特有のマナーの悪さが見え隠れしていて、凛が絵里の物真似をしていた時やにこに寒いと言い放っていた時を思い出します。
凛「あ!真姫ちゃん!海未ちゃん!ことりちゃん!ひっさしぶりにゃ!後でじっくりお話聞かせてね!」
とだけ言い残して穂乃果の後を追って外に飛び出していきました。
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/15(火) 10:04:13.81 ID:gmcJBnky0
花陽「あはは…とりあえずみんな、久しぶり♪」
海未「ええ。花陽も凛も元気そうで何よりです」
ことり「花陽ちゃん久しぶり〜♪」
真姫「私は二人にはなんだかんだで結構会ってるのよね」
飛び出していった凛のぶんも合わせて花陽と互いの近況報告を。
私以外は東京で職に就いていますが、凛と花陽が先に電車で現地の下見を引き受けてくれてたので前日から沼津へ向かってくれていました。
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/15(火) 10:04:46.19 ID:gmcJBnky0
花陽「バッチリ美味しいところはリサーチ済みだから安心してね!」
真姫「という名目で早めに言ってたくさん食べてたわけね」
花陽「そ、そんなことないよ真姫ちゃん!ほんとに!ちゃんと回るところだってリサーチしたんだよ!」
海未「花陽のことですからちゃんと両立させているとは思っています。ですがそれはそれとして太りますよ?」
花陽「うう〜…それを言われるともう絶対太る予感しかしないよ〜…」
ことり「でもっ、花陽ちゃんのオススメのところに行きたいな〜!」
真姫「まぁ花陽なら間違いはないから信頼はしてるわ」
海未「そうですね。体重が増えたら昔みたいにみんなで走ればいいだけですし」
花陽「みんな…!」
真姫「いや感動するポイントじゃないでしょ」
そんな花陽の案内で私たちが向かうことになったのは、そう。
『炭焼レストランさわやか』
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/15(火) 10:05:56.76 ID:gmcJBnky0
花陽「というわけでやってきました!さわやか!!」
真姫「すっごいテンションね」
凛「ここのハンバーグほんとに美味しいんだよ。これで凛たち3回目だもん」
海未「昨日で2回も行ったのですか!?」
花陽「それぐらいしないとここは味わいつくせない…!仕方がなかったの…!」
ことり「そんなに…?」
穂乃果「とりあえずはやく頼もうよ〜!穂乃果もうお腹ペコペコだよ〜!」
真姫「はいはい、げんこつハンバーグを6人前でいいんでしょ?」
凛「そうだよ!ソースはオニオンがおすすめにゃ」
ことり「セットでご飯も付けていいよね?」
穂乃果「うん!やっぱりハンバーグにはご飯を…」
花陽「待って!!!!!!!!!!ご飯は待って!!!!!!!!!!!」
4人「!?」
花陽が、あの花陽がご飯の注文に待ったをかけた…?
あの思考停止ご飯一択こそが至高と言い続けて、ご飯への感謝の曲を作詞してほしいとこっそりLINEしてきたことのある花陽が…?
私は何が起きたのかわかりませんでした。最初に音ノ木坂が廃校になるかもという張り紙が目に入った時を思い出すほどの衝撃が全身を駆け巡りました。
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/15(火) 10:07:05.03 ID:gmcJBnky0
花陽「私みたいにご飯だけでもガンガンイケるって人はご飯でも大丈夫だけど、私でもここだけはパンを勧める」
真姫「どういうこと…?花陽、頭でも打ったんじゃない?」
凛「まぁまぁ、ここはかよちん以外はパンにしとこ?穂乃果ちゃん飢えて隣のことりちゃん食べちゃいそうだよ」
穂乃果「ことりをおやつにしちゃうぞー!」
ことり「やんやん!食われそうですぅ〜!」
真姫「そうね…わかったわ。それじゃご飯は1つで…」
海未「いえ、2つでお願いします」
花陽「!?」
海未「覚悟は、あります」
花陽「海未ちゃん…!本気なんだね…!」
凛「別に好みの問題だからご飯派は普通にご飯でいいと思うにゃ〜」
負けられない戦いがそこにはありました。私はどちらかというとご飯派。正直どっちでもよかったのですが花陽のノリにあてられてしまいました。
配られたパフェが書いてあるシートを目の前で焼いてくれるハンバーグの油避けに使うなど、初見ではまず狩られる罠を花陽と凛のアシストで回避。
そしてソースは自分でかけ、お好みでソースの量の調節や塩胡椒を振る。
その赤みがかったままの肉は口に入れるとジューシー、しかし店の名のとおりの爽やかな味わいでとても食べやすい。
そう、まるでハンバーグだけを永遠に口に運んでいたくなるような…
海未「…はっ!」
花陽「気づいたようだね、海未ちゃん」
海未「そんな…!この私が…!」
海未「ご飯とおかずの食べるペース配分を間違えた…!?」
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/15(火) 10:07:37.14 ID:gmcJBnky0
花陽「そう、私くらいのご飯好きじゃないと初見でのペース配分は無謀…!だからこそパン…!パンが安牌…!」
海未「そんな…!こんないつも穂乃果に注意していたことを私が…!」
花陽「そして海未ちゃん、周りを見て」
海未「周り…?」
そこには焼きたてふわふわのパンをゆったり食後に手を付ける4人の姿がありました。
真姫「悪くないわね…また来てあげてもいいわ」
ことり「ほんとにおいしー!女の子でもすっごく食べやすいよ〜!」
凛「穂乃果ちゃん!この余ったソースをパンにかけるのもね…」
穂乃果「うめええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!」
なるほど…。これは花陽の言うとおりでしたね。私があまりにも迂闊でした。
花陽はこれに昨日の時点で気づき、自分のポリシーに反してでも私たちを導こうと…
海未「は、花陽…」ポロポロ
花陽「海未ちゃん、泣かないで。いいんだよ」
海未「ですが花陽!私が軽率なことをしたばかりに、花陽の経験を…!」
花陽「いいの。例え間違えてしまっても、何度だって最初からやり直せる。誰かの言葉を胸に、最初から…新しい気持ちで!」
海未「やり直せる…」
花陽「そう、だからまた明日に始めよう。私たちの…」
海未「2ndさわやか…!!」
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/15(火) 10:08:28.22 ID:gmcJBnky0
名残惜しくもさわやかを後にした私たちは、軽く車で下見も兼ねて内浦のほうを見て回ってから宿へ戻りました。
三津シーパラダイスや淡島への観光は9人揃ってから行きたいと前々から計画していたので、そちらは明日へ回すことになりました。
宿に戻ったところで温泉にも入り、布団の準備も済ませ語らいの時間へ…これぞ旅行の醍醐味といったところでしょう
凛「は〜〜…落ち着くにゃ〜」
海未「やはり畳の部屋はいいものですね。大部屋ですし6人で寝れるというのもいいですね」
穂乃果「今回は花陽ちゃんたちもいるから、もっと豪華になった修学旅行って感じがするよ!」
真姫「確かに、合宿の時に私の別荘以外で寝泊まりするって高校の時はできなかったものね」
ことり「そうだよね〜。なんだかすっごく新鮮な気分」
花陽「あ、私トランプ持ってきたよ♪」
その時、私の周りの世界が色を変えました。
どうして今まで忘れていたのでしょうか。穂乃果をことりに一度も勝てなかった、あの屈辱を。
穂乃果「ははははははは花陽ちゃん!??べべっべ別に今日じゃなくてもいいんじゃないかな!!!」
ことり「そっそそうだよね〜〜!明日には9人揃うわけだしそのときでも…」
海未「ダメです」
一刻でも早く、あの時のリベンジがしたい。
一度も勝てなかった、あの結果を。勝ち数0を。
0を1にしたい。
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/15(火) 10:09:06.84 ID:gmcJBnky0
海未「ことりィ!!はやく、はやく配ってください!!!」
ことり「ひぃ!はいぃ!!」
穂乃果「もうダメだよ…今日はもう寝られないかも…」
真姫「どういうことよ…」
私に見えるのはいかにして勝つか。あの日掴みとれなかったものを諦めないという一点のみ。
きっとAqoursの方々も同じ気持ちだったのでしょう。今、ようやく私と彼女たちの想いが一つになった気がします。
凛「海未ちゃんが考えてること、よくわからないけど絶対違うと思うな」
花陽「ほ、ほら!作詞していた海未ちゃんだからこそ感じ取れる何かがあるのかもしれないし…」
海未「何をわけのわからないことを!いざ尋常に…勝負です!」
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