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魔女「お眠りなさい、安らかに――」 女騎士「くっ、やめろ……!」
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/12(土) 19:11:42.71 ID:+UMJIFc20
百合です
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1502532702
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/12(土) 19:13:07.76 ID:+UMJIFc20
魔女「ほうら、大人しく横になりなさい?」
女騎士「くぅ……! 負けん! こんなフカフカのベッドなんかに私は……」
魔女「はい、お行儀よくしましょうね〜?」
女騎士「フカフカの枕になんかぁー!」
魔女「ちゃんと肩までお布団かけないと駄目よ」
女騎士「……お布団いいにおいするぅ……」
魔女「ほら、目を閉じて?」
女騎士「くっ、勝手に瞼が落ちて……!? どういうことなんだ……!」
魔女「さ、ご本を読んであげましょうねぇ」
女騎士「駄目だ、身体が……!? なんて恐ろしい魔法なんだ……。だが私は決して負けない! 魔女の思い通りになど、騎士の誇りにかけても絶対に――」
魔女「むかーしむかし、あるところに……」
女騎士「……スヤァ」
魔女「あらあら」
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/12(土) 19:14:24.07 ID:+UMJIFc20
〜都の東「蜘蛛の森」魔女の屋敷〜
・
・
・
女騎士「熟睡してしまった……」
魔女「おめざのお茶はいかが?」
女騎士「ああ、いただこう……」
魔女「はい、……よく眠れたかしら?」
女騎士「そうだな、五日ぶりくらいに」グビー
魔女「もう……、駄目よう、ちゃんと寝ないと」
女騎士「それができれば、怪しげな魔女になど頼ったりするものか」
魔女「大変ねぇ」
女騎士「……た、他人には話すなよ。国と国の神に仕えるべき騎士が、異端の……」
魔女「おかわりいる?」
女騎士「いただこう。……異端の魔女のもとに出入りしているとなれば」グビー
魔女「一族郎党八つ裂き火あぶり?」
女騎士「あ、いや、そこまでじゃないかな……」
魔女「おかわりいる?」
女騎士「いただこう」
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/12(土) 19:15:14.47 ID:+UMJIFc20
魔女「別にしないけどねぇ、人に話したりなんて」
女騎士「ならいいんだが……」
魔女「というか、私はただ、ベッドを貸してるだけだし」
女騎士「嘘だ! 絶対嘘だ!」
魔女「えぇ……」
女騎士「いつも不思議な魔法で眠らせるくせに! 私は! 私はそういうのはやだって言ってるのに、いっつも!」
魔女「だから、魔法なんて使ってないって言ってるじゃない……」
女騎士「嘘だぁ……、あんな簡単に眠らされるの……絶対普通じゃないもん……、絶対おかしいもん……」
魔女「もん、って」
女騎士「魔法だもん……」
魔女「……おかわりいる?」
女騎士「いただこう」
魔女「……魔法だと嫌なの?」
女騎士「それは、嫌だろう。なんか怖いし……」
魔女「じゃあ、もう来ない?」
女騎士「それは……」
魔女「……」
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/12(土) 19:15:59.27 ID:+UMJIFc20
女騎士「ま、また世話になる、かも……。眠れないようだったら……」
魔女「嫌なんじゃないの?」
女騎士「……魔法じゃないんだよな? 本当に」
魔女「魔法じゃないけど。魔女は魔法なんて使えないし」
女騎士「なら、まぁ……」
魔女「……」
女騎士「嫌ってわけじゃ、ない……かな……」
魔女「……おかわりいる?」
女騎士「いただ……すごい飲ませてくるなお前!」
魔女「作りすぎたのよう」
女騎士「たぷたぷなんだが!?」
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6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/12(土) 19:17:13.84 ID:+UMJIFc20
〜翌日・都の中心部、騎士団詰所〜
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・
副団長「それでは、騎士団長の女騎士殿より、訓示をたまわる!」
女騎士「……コホン、みn――」
副団長「諸君は清聴するよう!」
女騎士「………………」
副団長「では団長殿」
女騎士「あ、うん」
女騎士「えー……、みなも知っての通り、先の大戦から5年。我らが王都はかつてない平和を享受している」
女騎士「民は増え、街は大いに賑わっている」
女騎士「それに伴い、国の矛であり盾である騎士の役目も、変わりつつある……」
女騎士「近年では、いくつもの騎士団が解散、残る騎士団も縮小を余儀なくされているが……」
女騎士「戦場ばかりが騎士の舞台ではない!」
女騎士「今の平和な世こそ、人々が心安く暮らせるよう尽力する!」
女騎士「これこそが騎士の矜持であり、我らが『銀顎のオオクワガタ』騎士団の誇りである!」
女騎士「おのおの、そのことを深く、心に留めておくように!!」
「「「「ハイ!!」」」」
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7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/12(土) 19:18:11.22 ID:+UMJIFc20
〜訓練所〜
騎士A「団長さぁ……」
騎士B「ん?」
騎士A「今日は元気そうだったな」
騎士B「な。最近何だかキツそうだったけど」
騎士A「クマとか作ってなー」
騎士B「悪い話ばっかりだもんな、ここんとこ」
騎士A「背負いこむもんねぇ」
騎士B「背負い込むもんなぁ」
騎士A「……でも、たまーにあるよな、良さそうな日」
騎士B「たまにあるな」
騎士A「何だろうねぇ」
騎士B「何だろうなぁ」
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/12(土) 19:19:12.67 ID:+UMJIFc20
騎士A「良さそうな日の団長さぁ……」
騎士B「ん?」
騎士A「良いよねぇ」
騎士B「……良いよなぁ」
騎士A「パァっとさぁ、花みたいでさぁ、あの顔で『がんばったな!』なんて言われた日にはさぁ! 俺はさぁ!!」
騎士B「落ち着いて。分かるけど落ち着いて。すごい分かるけど」
騎士A「毎日良さそうだといいんだけどねぇ」
騎士B「そうだなぁ」
女騎士「なーんだぁーお前たちぃー」
騎士A「あっ」
騎士B「ひっ」
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/12(土) 19:19:53.97 ID:+UMJIFc20
女騎士「私の考えた訓練メニューじゃ、しゃべりながらでも余裕ってわけだなぁー!?」
騎士A「い、いや、そそそういうわけではぁ……」
女騎士「いいだろう! 特別に! 私が! みっちりと! 稽古をつけてやるからな!」
騎士B「あ、ぁ……」
女騎士「優秀な我らが騎士二人相手だー! これは私も手加減できんなぁー! はーはっはっは!!」
騎士A(いい笑顔だ……)
騎士B(いい笑顔だ……)
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10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/12(土) 19:20:29.78 ID:+UMJIFc20
〜夜・女騎士宅〜
女騎士「……ふぅ」
女騎士「今日の分の作業は、これで終わりかな」
女騎士「明日の準備も済んだ……」
女騎士(今日は特にいい汗流したし)
女騎士(よく眠れそうだな……!)
女騎士「さて……、父様、母様、おやすみなさい」
女騎士「……」
女騎士「……」
女騎士「…………」
女騎士「………………」
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/12(土) 19:20:56.36 ID:+UMJIFc20
女騎士「……」
女騎士「……」
女騎士(明日は他所の騎士団との公開演習……)
女騎士(……)
女騎士(そういえば……)
女騎士(万が一の時の、救護の手順は大丈夫だったろうか……)
女騎士「……」
女騎士(……念のため、最寄りの医療施設を調べ――……)
女騎士(いや、明日の朝、事前に連絡を入れて……)
女騎士「……」モンモン
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