翔太郎「学園艦?」フィリップ「ゾクゾクするね」

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52 : ◆naranciafLZ1 [saga]:2017/08/22(火) 21:52:09.83 ID:VLO0tF4mo
室内は暖かなランプ色の光で満たされ、糖蜜をかけたようなオーク材の梁が輝いている。
重厚なデスク、厚みのある絨毯、壁に掛けられた絵画など、黒森峰における戦車道の地位の高さが伺えた。

みほ「お母さん、単刀直入に聞きます」

みほは、デスクに肘をつく母親に対峙した。
昨年まで身にまとっていた黒い制服のスカート、そのポケットから細長い棒状の物を取り出す。
みほが握りしめると『パンツァー!』という音声が執務室に響いた。

みほ「先日突然送られてきたこれ、そして黒森峰の生徒がドーパントになり私の友達を襲った事件」

嚥下し、軽く息を吐く。

みほ「お母さんが関係しているんですか」
53 : ◆naranciafLZ1 [saga]:2017/08/22(火) 21:52:56.29 ID:VLO0tF4mo
しほ「関係しているとしたら、どうします」

みほ「止めます。力づくでも」
54 : ◆naranciafLZ1 [saga]:2017/08/22(火) 21:53:58.45 ID:VLO0tF4mo
ここまで
今週も風都探偵面白かったですね
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/22(火) 22:16:41.58 ID:h+vNCMVRO
もしこのしほに例の決め台詞を吐いたら何と返すのだろうか?
克己の「今さら数えきれるか!」みたいな奴を期待
56 : ◆naranciafLZ1 [saga]:2017/08/23(水) 08:37:04.71 ID:wHixPrHyo
しほ「そう……あなたならそう言うでしょうね」

みほ「お母さん、やっぱり」

しほ「残念だわ」

いつの間にかガイアメモリを手にしているしほがスイッチを起動した瞬間、みほの意識は刈り取られる。
視界が暗転する寸前に『ジェネラル!』という音声がかろうじて耳に残った。
57 : ◆naranciafLZ1 [saga]:2017/08/23(水) 08:37:31.23 ID:wHixPrHyo
同時刻、秋山優花里は黒森峰の道路甲板を散策していた。

優花里「はぁ〜、サンダースもすごかったですが黒森峰もさすが戦車の本場ですねえ。見どころが沢山です」

その目の前に鳥のような意匠をもつ台形の物体が、風を切って飛来する。
その物体は優花里の前でくるりと宙返りすると、緑色の光を吐き出した。

優花里「な、何なんですか」

フィリップ「やあ、キミとは一度会ったね。秋山優花里」

緑色の光がおさまったそこには、もう一人の探偵、フィリップが忽然と立っていた。
58 : ◆naranciafLZ1 [saga]:2017/08/23(水) 08:37:56.87 ID:wHixPrHyo
優花里「あなたは確かフィリップさん。ど、どこから?」

フィリップ「そんなことはどうでもいい。何故キミがここにいる?」

優花里「私ですか。私はその、西住殿の付き添いで」

フィリップ「西住?」

そこへ奇妙な車両が向かってくる。
前半分は古風な自動車、後ろ半分はキャタピラ駆動の荷台になっているトラックだ。
59 : ◆naranciafLZ1 [saga]:2017/08/23(水) 08:38:23.14 ID:wHixPrHyo
優花里「わぁ! ハーフトラック、マウルティアじゃないですか!」

フィリップ「マウルティアというのか。興味深い。検索を開始したいくらいだ……」

優花里「あ、興味あります? あれはドイツ軍を代表する軍用トラック、ブリッツを改修したハーフトラックといいまして」

優花里が堰を切ったように話し出す。
彼女はミリタリーマニアなのだ。
常に話相手に飢えており、トラックから出てきた銀髪の少女にも気が付かない。
60 : ◆naranciafLZ1 [saga]:2017/08/23(水) 08:38:52.53 ID:wHixPrHyo
エリカ「秋山優花里、ウンチク話は後にしてもらえる?」

優花里「出た! 逸見エリカ!」

エリカ「何よ! ここは私の学校なんだから出て来たっていいでしょ! ったくもう、早くこいつら引き取って帰ってちょうだい」

エリカが親指で示した荷台を二人は覗く。

フィリップ「翔太郎!」

優花里「西住殿!」

エリカ「よくわからないけど、偵察行為もほどほどになさいな。それじゃあ」

T号戦車の履帯を回して、ハーフトラックは去っていった。
61 : ◆naranciafLZ1 [saga]:2017/08/23(水) 08:39:19.98 ID:wHixPrHyo
ここまで
62 : ◆naranciafLZ1 [saga]:2017/09/03(日) 11:12:13.81 ID:udNgOEPso
目を覚ましてまず、体全体の鈍痛を感じた。
次に、視界を埋め尽くすのは事務所の天井であることがわかり、相棒の声が聞こえてきた。

フィリップ「翔太郎、気がついたかい!」

翔太郎「ああ、助けてくれたんだな、フィリップ」

フィリップ「いや、それは」

優花里「お兄さんは西住殿と一緒に運ばれてきたんです。私たちは受け取っただけで……」

翔太郎「なんだって?」

亜樹子「あ、みほちゃんも起きたよ!」

優花里「西住殿!」

翔太郎「何がどうなってやがんだ……」

フィリップ「翔太郎、一度状況を整理しよう」

翔太郎「ああ、そうだな」

鳴海探偵事務所には、普段あけない扉がある。
玄関を入ってすぐ左、俺愛用の帽子が所狭しと掛けられたその扉の先には

みほ「うわぁ〜!」

優花里「まさしく秘密基地ですね〜!」

フィリップ「ラボ、と呼んでくれたまえ」

翔太郎「はは、ちょっとしたもんだろ」

コンクリート打ちっぱなしの空間に金属製の足場が組んである。
壁面にはホワイトボードが何枚も貼られ、フィリップの自由な思索の跡が一面に広がる。
そして足場のない部屋の中央には、何やら土台のような構造物と厚みのある背丈ほどの大きなメダルが直立していた。
とまあ、今は敢えてぼかして描写することにする。
63 : ◆naranciafLZ1 [saga]:2017/09/03(日) 11:24:08.06 ID:udNgOEPso
翔太郎「今回の事件の大まかな流れは……」

1.ブリッツドーパントに秋山優花里と五十鈴華が襲われる
2.ブリッツのガイアメモリはT2だった
3.黒森峰の学園艦にガイアメモリを生産している拠点がある
4.ガイアメモリ生産拠点には風都に現れたブリッツより強力なブリッツドーパントがいた
5.西住みほの母親、西住しほがドーパントに変身

翔太郎「こんなところか」

みほ「あ、その前に」

0.西住みほに『パンツァー』のT2メモリが郵送されてくる

翔太郎「なるほど」

みほ「差し出がましい真似を……」

亜樹子「いいのよ! 助かるからどんどん発言して!」

みほ「あはは、でもお母さんには一瞬でやられてしまったので、詳しいことはわからなくて」

優花里「なんだか、非日常過ぎて現実感が湧きませんね」

亜樹子「そりゃそうよねえ。私も最初は信じられなかったし!」
64 : ◆naranciafLZ1 [saga]:2017/09/03(日) 16:19:14.92 ID:udNgOEPso
翔太郎「それで、『検索』はできそうか?」

フィリップ「問題ない」

フィリップは肩幅ほどに足を開き、掌を上に向けて両腕を広げたお決まりのポーズを取った。

フィリップ「検索を始めよう」

この瞬間から、フィリップは脳内に存在する『地球の本棚』に居所を移す。
俺たちにはわからないことだが、相棒曰く真っ白な空間に本棚が浮かんでいる。
そんな場所を歩いて本を読んでいるようだ。

フィリップ「キーワードは『ブリッツ』『T2ガイアメモリ』。だがこれでは前回の検索と同じだ」

翔太郎「前は工場の場所がわかればそれでよかったからな」

フィリップ「ああ。だが事態は動いている」

翔太郎「『適合率』はどうだ?」

フィリップ「やってみよう……少し変化があった。しかしまだ753件」

翔太郎「全部読むには多すぎる、か」
65 : ◆naranciafLZ1 [saga]:2017/09/03(日) 16:19:43.56 ID:udNgOEPso
みほ「あの……私、気を失う前に聞こえたんです。ほんの少しですけど」

翔太郎「教えてくれ」

みほ「多分、ガイアメモリの音……『ジェネラル』って」

翔太郎「フィリップ聞こえたか。追加ワード『ジェネラル』でどうだ?」

フィリップ「もうやっている。うん、ビンゴだ。一冊に絞り込めた」
66 : ◆naranciafLZ1 [saga]:2017/09/03(日) 16:27:28.88 ID:udNgOEPso
何回か更新しましたが今日はここまで
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/09/05(火) 11:24:15.81 ID:FxJ4bLQvO
Wは見てないけど面白い
68 : ◆naranciafLZ1 [saga]:2017/09/05(火) 21:02:27.06 ID:mTE/vWaUo
相棒が目を開く。

フィリップ「謎は全て解けた」
69 : ◆naranciafLZ1 [saga]:2017/09/05(火) 21:03:21.62 ID:mTE/vWaUo
その頃、風都署では交通課の面々に混じって刃野刑事と真倉刑事が事務処理に追われていた。

真倉「刃野さん、これ俺たちの仕事なんすかねえ?」

刃野「仕方ねえだろ。超常犯罪捜査課は、超常犯罪が起きてない時は便利屋なんだよ」

真倉「だからって! 交通課の連中、戦車道の試合に使う許可書類、全部俺たちに丸投げですよ。もうやってらんないっすよ〜」

刃野「んなこと俺に言われてもな……お。真倉、ほれ」

真倉「なんすか?」

刃野「昆布茶が切れてる! 買ってこい!」

真倉「あーもう、わかりましたよ!」
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/05(火) 21:33:53.79 ID:WhWghUSA0
そういや新ライダーはウサギと戦車だったな
かりなちゃん大喜びだ
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/05(火) 21:56:13.16 ID:N7CkNZ5IO
むしろ新ライダーは日本が3分割され、各々首都が存在していて、もしクロスさせようものなら学園艦もその行政の下に置かれて交流なんか著しく制限されそう
つまりはノットマッチング
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/05(火) 22:08:44.51 ID:zEsrXUBP0
W以降のライダーは地続きらしくてな…
10年前に分割されたというのなら、Wの時代にはすでに分割されてたはず
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/06(水) 14:15:36.41 ID:gv1+mACfo
便利な言葉、パラレル
74 : ◆naranciafLZ1 [saga]:2017/09/10(日) 20:03:18.62 ID:f19TNv0jo
刃野「……だがこの書類、尋常じゃないなあ。指定区域住民の避難までやるってんだから」

『無制限の砲撃を許可する』

刃野「俺が心配することじゃあない、か。さーて、お仕事お仕事!」

何かを気にした様子の刃野だったがそれは一瞬で、引き続き淡々と事務処理を続けていく。
75 : ◆naranciafLZ1 [saga]:2017/09/10(日) 20:03:56.44 ID:f19TNv0jo
一方超常犯罪捜査課の課長である照井竜はフィリップから連絡を受け、鳴海探偵事務所に向かっていた。

照井「左の意識が戻ったのはいい。しかしブリッツのT2メモリ……」

照井の手の内には紫色のガイアメモリ。それを一瞥するとライダースジャケットのポケットに仕舞う。

照井「ここにあるのはブリッツ。左を襲ったドーパントもブリッツ、つまりブリッツのメモリは複数存在している?」

??「その通りだ。しかし数にも限りがあるので返してもらおう」

照井「なに!」
76 : ◆naranciafLZ1 [saga]:2017/09/10(日) 20:04:41.68 ID:f19TNv0jo
照井の眼前に稲光が落ちて、アスファルトがスパークする。
すぐさま愛用のバイクを停めヘルメットを外す。

??「今のは威嚇射撃だ。次は当てるぞ? 仮面ライダー」

照井「その電撃……お前もブリッツドーパントか」

ブリッツOL「そうだ。だが他のブリッツドーパントとはわけが違う。オーバーロードとでも言おうか」

照井「ふざけたことを!」

照井は赤いガイアメモリを天にかざす。
刻印された文字は『A』。
『アクセル!』の音声が封じられた記憶とともに流れ出し、操縦桿型のバックル『アクセルドライバー』に『加速』の記憶がチャージされた。

照井「変……身!」

バックルを中心に赤い光が照井を包み込む。
光が収まるとそこには、真っ赤な鎧を身にまとった青い瞳の仮面ライダー、アクセルが立っていた。
77 : ◆naranciafLZ1 [saga]:2017/09/10(日) 20:06:14.15 ID:f19TNv0jo
短くてすんません

Wオーズフォーゼ辺りは繋がってる感じもしますが、映画のときだけってことで一つ
ビルドまだ見れてない…

それではまた
78 : ◆naranciafLZ1 [saga]:2017/09/10(日) 20:22:13.00 ID:f19TNv0jo
>>76

誤 操縦桿型の
正 ハンドル型の
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/10(日) 22:01:32.15 ID:O1cdij6b0


ちなみにドライブのVシネマでアクセルがマッハ・チェイサーと共演した模様
80 : ◆naranciafLZ1 [saga]:2017/09/13(水) 18:38:56.72 ID:VjBoeORqo
仮面ライダーアクセル「ドーパント犯罪の重要参考人として、署まで同行願おうか」

ブリッツOL「断る」

アクセル「ならば手荒になるが、文句は言うなよ!」

ブリッツOL「良いだろう」

ブリッツの両足に紫電がバチリと走る。

ブリッツOL「だが私を捉えられるかな?」

アクセル「俺に、質問するなぁ!」
81 : ◆naranciafLZ1 [saga]:2017/09/13(水) 18:39:56.84 ID:VjBoeORqo
アクセルは大型の片手剣『エンジンブレード』を振りかぶると、脚に力をためて大きく踏み込む。
爆音と共にアスファルトが砕け、『加速』の戦士にふさわしい高速の剣戟が振るわれた。

アクセル「はぁっ!」

ブリッツOL「ふっ」

しかしブリッツ・オーバーロードはこれを低くしゃがんで回避した。
紫電の輝きが、激しい破裂音をかき鳴らしながらブリッツの脚を包み込んでいく。

アクセル「ちぃっ!」

反撃を察したアクセルは振り抜いたエンジンブレードを咄嗟に引き戻すと、右手でグリップ、左手は剣先に添えるようにして刀身を盾にする。
82 : ◆naranciafLZ1 [saga]:2017/09/13(水) 18:40:34.21 ID:VjBoeORqo
ブリッツOL「徹甲弾」

敵の行動は至ってシンプルだった。
曲げた脚を伸ばして跳躍、そして引き絞った右拳でアクセルに殴り掛かる。
ただ、その一連の動作が恐ろしく速い。

ブリッツOL「はぁっ!」

アクセル「ぬぅん!」

だがアクセルもスピード自慢の戦士。辛うじて動きを捉え、刀身でのガードに成功するが

アクセル「うおおおおお!?」

ブリッツの拳から流れ出した電流が、エンジンブレードを伝ってアクセルに襲いかかる。
メタリックレッドの装甲は枷にしかならず、全身がスパークする。

アクセル「ぐっ、うああああ!」

数秒の後、チャージした電気を放出しきったブリッツは拳を引く。
アクセルは膝から崩れ落ち、所持していたブリッツメモリが路面に転がり落ちた。

ブリッツOL「装甲を徹すから徹甲弾というのだ。覚えておくと良い」

メモリを拾おうとするブリッツ・オーバーロード。
しかし仮面ライダーは両腕を突き、片膝を立て、懸命に立ち上がる。
83 : ◆naranciafLZ1 [saga]:2017/09/13(水) 18:41:39.01 ID:VjBoeORqo
アクセル「まだだ……」

ブリッツOL「しぶといな。私の用件はメモリの回収で君を痛めつけることではないのだが」

アクセル「お前は重要参考人から容疑者に変わった。逃がす訳にはいかない」

ブリッツOL「立つのもやっとな様子で、どうやって捕まえるんだ?」

アクセル「俺に質問するなと言っている!」

アクセルはオレンジ色のメモリを取り出す。
刻印は『E』。
エンジンブレードの刀身を、グリップ上部のヒンジを中心に折り開き、『エンジン!』の音声を起動して挿入、刀身を元に戻した。

アクセル「さあ! 振り切るぜ」

グリップのトリガーを一度引くと『スチーム!』の叫び、それに呼応してブレードの排気口から大量の蒸気が噴出する。
ブレードの向きをコントロールして蒸気を背後に流したアクセルは、爆発的な推力を得て斬りかかった。
84 : ◆naranciafLZ1 [saga]:2017/09/13(水) 18:42:21.92 ID:VjBoeORqo
アクセル「はあああっ!」

ブリッツOL「速い! しかも熱を持った斬撃だと……!」

敵もナックルガードで刃を受け止めるが、それに構うこと無く、がむしゃらに剣を振るい続ける。
蒸気を撒き散らしながらの連撃に、ブリッツの声から余裕が消えた。

アクセル「おおおおおおお!」

ブリッツOL「くぅっ! 鬱陶しい!」

敵の電撃がチャージされ、仮面ライダーを弾き飛ばす。

ブリッツOL「君ではブリッツの能力には勝てない。諦めてくれ」

アクセル「それを決めるのはお前じゃない」

ブリッツOL「そうか。なら力づくだな……徹甲弾」

必殺の拳を構えるブリッツに、アクセルは自然体で対峙する。

ブリッツOL「死んでも恨むな……よ!」

脚に溜めたエネルギーで神速の踏み込みを見せるドーパント。
85 : ◆naranciafLZ1 [saga]:2017/09/13(水) 18:44:45.99 ID:VjBoeORqo
アクセル「それを、待っていた」

仮面ライダーは片手剣のトリガーを引く。

『エレクトリック!』

ブリッツOL「はぁっ!」

アクセル「ふぅん!」

ブリッツOL「剣を拳に合わせたところで!」

ブリッツの動きに合わせたアクセルに、鎧通しの電撃が襲いかかるかに見えた。
しかし、

ブリッツOL「なに? 流れていかない、だと!」

アクセル「電気を使うのはお前だけじゃあない、ってことだ!」

機械刀のブレードに電光が走っている。
ギジメモリ『エンジン』はガイアメモリではないが、エンジンブレード専用に開発されており、様々な特殊能力を発揮できるのだ。

ブリッツOL「しかしその出力ではな」

アクセル「お前の技を弾ければそれで十分だ!」

ブリッツOL「タネが割れていればいくらでも対応はできる」
86 : ◆naranciafLZ1 [saga]:2017/09/13(水) 18:45:22.27 ID:VjBoeORqo
剣戟と打撃、スピードに優れた両者の戦いは激しさを増していく。
金属音と破裂音が鳴り続き、やがてどちらからともなく距離を取った。

アクセル「そろそろ終わりにするとしよう」

ブリッツOL「同感だ」

『エンジン! マキシマムドライブ!』

先に仕掛けたのは仮面ライダー。
繰り出すのはエンジンメモリを最大開放し、『A』の字に3回斬りつける必殺技だったが

ブリッツOL「徹甲……」

一撃目をかわされ、二撃目の振りかぶりに合わせて致死の拳がアクセルを襲う。
カウンター気味に入ったそのパンチは思いの外軽く、電撃の予感に身構えたが

ブリッツOL「榴弾!」

ドーパントは電流を流し込むのではなく、拳で紫電を爆ぜさせた。
仮面ライダーが吹き飛び、蓄積ダメージとマキシマムドライブの中断で変身が解除される。
87 : ◆naranciafLZ1 [saga]:2017/09/13(水) 18:45:59.99 ID:VjBoeORqo
路面を転がった先で顔を上げた照井の目に映ったのは、T2メモリを片手に弄ぶ怪人の姿だった。

照井「貴様、最初からそのつもりで!」

ブリッツOL「そうだ。言ったろう、私の目的は君じゃない、メモリだとな」

紫のシルエットが、踵を返す。

照井「ま、待て!」

ブリッツOL「待てと言われて待つやつがいるか?」

ブリッツ・オーバーロードは足元に稲光を煌めかせて、走り去った。

照井「ちぃっ!」

してやられた形になる。
ブリッツのメモリが何本あるか照井は知らないが、敵の戦力が増すことは明らかだ。
膝をつき、呟いた。

照井「俺に質問するな……!」
88 : ◆naranciafLZ1 [saga]:2017/09/13(水) 18:47:23.28 ID:VjBoeORqo
ここまで
照井の戦いが長くなってしまいましたが戦車戦もやるのでご安心ください
レス励みになっております
ありがとうございます
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/13(水) 23:08:58.45 ID:HWAIup4VO
黒森峰勢強過ぎない?って思ったけど、むしろブリッツメモリが強過ぎるのか(ランバ・ラル感)
90 : ◆naranciafLZ1 [saga]:2017/09/19(火) 21:21:40.62 ID:uHmyh5YQo
検索を終えたフィリップは、瞑目を解いて壁面のホワイトボードに向かう。

フィリップ「まずブリッツメモリについてだが、単なる電気のメモリではない」

翔太郎「違う? でも俺は確かにビリビリを食らったぜ」

フィリップ「落ち着きたまえ。『単なる』電気のメモリではないと言ったんだ」

亜樹子「そうよ、落ち着きが足りないのよあんたは!」

翔太郎「なんだと!?」

亜樹子「なによ!」

二人「「ぐぬぬぅ〜!」」
91 : ◆naranciafLZ1 [saga]:2017/09/19(火) 21:22:09.76 ID:uHmyh5YQo
みほ「あの、話の続きは……」

二人「「あ。」」

フィリップ「全く、キミたちのほうがよっぽど子供じゃないか」

翔太郎「そいつは失礼いたしました、もう邪魔はしねえよ」

亜樹子「ごめんなさーい」

フィリップ「そうしてくれ。さてブリッツメモリに封じられた記憶だが、『電撃戦』というようだ」

優花里「電撃戦ですか!」

翔太郎「なんだぁ? その、電撃戦ってのは」

優花里「その質問には不肖、秋山優花里がお答えしましょう!」

翔太郎「お、おう」
92 : ◆naranciafLZ1 [saga]:2017/09/22(金) 21:25:42.76 ID:+nuzc3Blo
優花里「電撃戦の定義には諸説ありますが、狭義においては第一次世界大戦後に確立された装甲部隊を中心としたドクトリンのことを言います」

亜樹子「ドクトリン?」

優花里「ああすみません、軍事理論、指導方針のようなものだと思ってください」

亜樹子「わ、わかった」

しばらく優花里ちゃんの独擅場が続く。
彼女は明朗な声色で話しながら、ホワイトボードに読みやすい文字を散りばめる。
しかし知らない言葉だらけで俺と亜樹子はちんぷんかんぷん、本当に日本語で喋っているのか? と思ってしまうほどだった。
93 : ◆naranciafLZ1 [saga]:2017/09/22(金) 21:26:10.49 ID:+nuzc3Blo
優花里「というわけで、戦車と大量の無線機により、敵の弱点の把握と即時撃破を可能にした画期的戦術なんです」

みほ「簡単に言うと、戦線をえいやっ! て突破して敵が混乱してる隙にボコボコにしちゃう感じです」

優花里「流石西住殿、簡潔にまとめる力も一流です!」

翔太郎「なんだかよくわからねえが、その電撃戦の記憶が重要なんだな」

我ながら間抜けなセリフに、相棒がわざとらしくため息をついた。

フィリップ「翔太郎、キミの理解力の無さには感嘆するよ」

翔太郎「俺のことは良いから! 続き!」

ほんの少しの気恥ずかしさに、俺はソフト帽をかぶり直した。
94 : ◆naranciafLZ1 [saga]:2017/09/22(金) 21:26:41.53 ID:+nuzc3Blo
フィリップ「わかった。この電撃戦の記憶だが、僕たちが戦って感じた電気を操る能力の他に、機動力、防御力も大きく強化されるものだ」

翔太郎「確かに、ルナトリガーの誘導弾が全然通用しなかった」

亜樹子「速くて硬いって、ズルいじゃん!」

フィリップ「そう。亜樹ちゃんの言うとおりブリッツメモリは理不尽なほど強力だ。しかしその真価はどうやら戦闘力では無い」

優花里「十分兵器として強力に思えますけれど」

フィリップ「西住みほ、キミならわかるんじゃないか?」

みほ「はい。おそらくは」

翔太郎「なんなんだ、いったい」
95 : ◆naranciafLZ1 [saga]:2017/09/22(金) 21:27:09.32 ID:+nuzc3Blo
みほちゃんは俺たちを見回すと、少し呼吸を整えて話しだした。

みほ「電撃戦の特徴として先程優花里さんが言ったこと、その一つに通信網の整備ということがあったと思います」

翔太郎「ああ、確かそう言ってたな」

みほ「通信網と言っても現代に生きている私達にその価値はわかりづらいですけれど、広い戦場で起きていることをタイムラグ無く司令部が把握できることは、とても強力です」

みほ「そしてブリッツドーパントは電撃戦の記憶を持ち電気を使うドーパント。なら通信網に相当する能力も備えていると考えられます。そうですよね、フィリップさん」
96 : ◆naranciafLZ1 [saga]:2017/09/22(金) 21:27:49.12 ID:+nuzc3Blo
彼女の言葉に対しフィリップは大仰に頷く。

フィリップ「素晴らしい。その通りだ。そしてキミの説明は最後の一ピースをはめることで完成する」

優花里「通信網を活かすには指令を出す人物が必要。つまり指揮官……」

翔太郎「ジェネラルメモリ、か」

フィリップ「そう。西住みほの母親が持つそのメモリこそ、すべてのブリッツを統べるものに他ならない」

みほ「お母さん……」

母親がドーパント犯罪に加担している。
ショックだろう。
俺は暗い空気を気にしない風を装って、相棒に声をかける。

翔太郎「ジェネラルメモリの能力は何なんだ?」

フィリップ「ああ、それは……」
97 : ◆naranciafLZ1 [saga]:2017/09/22(金) 21:29:28.14 ID:+nuzc3Blo
ここまで
10月2日のスピリッツは絶対買いましょう(ダイマ)
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/22(金) 22:31:41.03 ID:WaYvlH/S0

新ライダーの世界は船あっても都市間の行き来難しそうだったな
99 : ◆naranciafLZ1 [saga]:2017/09/29(金) 22:29:28.14 ID:KoVORp7Ro
その時、俺のスタッグフォンが着信音を鳴らした。

翔太郎「照井? もしもし」

照井『ハァ、ハァ……』

翔太郎「おいどうした! 何かあったのか?」

照井『ぐっ、すまない。ブリッツメモリを奪われた。恐らく左が戦ったのと同じ相手だ』

翔太郎「なんだって!?」
100 : ◆naranciafLZ1 [sage]:2017/10/23(月) 11:53:59.14 ID:Tbqvf30ro
今週末から来週くらいには更新できると思います
おまたせして申し訳ないです
101 : ◆naranciafLZ1 [sage saga]:2017/11/26(日) 12:47:51.68 ID:kSJA1elK0
照井『俺は俺で奴を追う。お前たちも、気をつけろよ』

翔太郎「追うってお前、負傷してんじゃねえのか? おい、照井!」

しかし電話はそこで切れてしまう。

亜樹子「竜くん、どうかしたの?」

翔太郎「敵にやられたらしい」

亜樹子「えっ!」

翔太郎「ま、それでも一人で追いかけるってさ。んでフィリップ、続きだが」

亜樹子「ちょっと待って!」
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