ある門番たちの日常のようです

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421 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/20(金) 19:44:35.24 ID:h3CksNhQo
酉でググれば全部?出る
422 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/20(金) 19:56:19.72 ID:HLwV7I1A0
ttp://elephant.m.2chblog.jp/tag/%E2%97%86vVnRDWXUNzh3
↑まとめサイトであれだけど、作者の前シリーズとかがこちらに

ttp://elephant.m.2chblog.jp/article/52198542?guid=ON
↑こっちがコラボ相手の( T)シリーズ(色々話題に出てるネタがこっち
423 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/21(土) 02:20:26.74 ID:9he//26/o
>>421-422
ありがt……歌丸とかも繋がってる……?
424 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/21(土) 03:13:48.29 ID:M9olXEdA0
>>423
そこは流石に違うけど、( ^ω^)・流石兄弟・('A`)のシリーズが同じ世界線
日本側の色んな話と独軍所属の('A`)が奮闘してる欧州戦線があって、まずそっちを読んでみたらいいかも

…久々に色々と読み返してみて、日本というか海軍側が異次元過ぎて笑ったw
425 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2017/10/21(土) 14:38:44.69 ID:u+oWGrCOO
「──────ウゥッ、ウアァアアアアアッ!!!』

「ヒッ」

「сатана………」

ロバート=ブルース=バナーがハルクに変身する時みたいな凄まじい声量の雄叫びが空間全体を震動させ、ロシア兵が全員怯えた表情で後退る。反射的に四人ともAK-12を射撃体勢で構えたが、最早物理的な圧力すら感じられる声に圧倒されて引き金を引くことはできなかったようだ。

『イギィイイイッ……グァッ、アァアアアアッ!!!」

「っ……」

艤装を装備した艦娘の膂力は人間など比べものにならない。そして艦娘の中でも、艦の等級によって出せる能力には大きな差がある。

こんなに激しく暴れられては、近づきたくても近づけない。全身を内側から火箸で突かれているかのように身悶えのたうつГангутの姿を、俺達はただ黙ってみていることしかできない。

歯痒い状況に、Верныйが下唇を噛みしめる。

《少尉、いったい何が起きたんですか!?》

(,,#゚Д゚)「敵襲を受けただけだ、増援は必要ない!各位、持ち場を離れるな!!」

(; ̄⊥ ̄)「っ……!?」

当たり前の話だが、あれだけの大声ならば当然同じ階に居るカラマロス達のところからは余裕で聞こえる。無線機からの声に強めの一喝を返し、“敵”という語感にファルロがぎょっとして俺の方を振り向いた。
426 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2017/10/21(土) 14:41:03.36 ID:u+oWGrCOO
その間にも、Гангутの狂態は治まらない。床に仰向けになり、激しく身体を波打たせ、喉から凄まじい叫び声を出し続ける。

「ゥア゛ア゛ッ……』

────やがて、“それ”は起きた。

( ゚∋゚)「………色が」

最初に変化を始めたのは、Гангутの髪の色だった。振り乱される銀髪が先端から4、5センチほどにかけて黒ずんでいく様を、Ostrichが見つける。

「ギッ………っ!!?』

瞬間、最後に一度びくりと震えて身体を大きく反らせたままГангутの動きが完全に止まった。

(;゚⊥゚)「………こ、これは」

髪の変色が、先端から全体へと瞬く間に拡大する。シルクの布の上にインク壺でもひっくり返したみたいに、引きずり込まれそうな程深い“黒”が白銀を塗りつぶしていく。

パキパキと乾いた音がして、彼女の皮膚が剥離していく。剥がれ落ちた皮膚は床に落ちる度黒い靄のようなものを発して消えていき、靄は彼女の周りで絡みつくように渦巻いている。

肌の色は「白」という点は変わらないが、健康的な瑞々しさは失われ体温が感じられない病的なものへと変化する。皮膚の剥離に応じてやがて服からも黒い靄が立ち上りはじめ、そこから数秒と経たずにどろりと全て溶けてしまった。

『……………アァアアア』

“彼女”の喉から迸っていた、苦悶の叫びが安らかな吐息へと変わる。服が消失し生まれたままの姿に戻った状態を恥じ入る素振りすら見せず、ゆっくりと立ち上がる。

今やそこに、艦娘【Гангут】の姿はどこにもない。

蝋人形のように血の通っていない肌。動きに合わせて揺れる、黒く暗い髪。ガラス玉のように無機質な青い眼。

『…………アァ、アァアアアアッ!!!!』

────その眼の奥に煮えたぎるのは、俺達“人間”に対する身震いするような激しい憎悪。
427 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2017/10/21(土) 14:42:31.76 ID:u+oWGrCOO
『人間………ニンゲン…………沈メテ、沈メテ………殺シテヤル!!!!』

壊れたレコーダーのような、周波数の合わないラジオのような、ひび割れた声。一際大きな声で俺達への底なしの殺意を喚きちらしながら、奴はこちらに向かって一歩踏み出す。






(,,゚Д゚)「────五月蠅え」

それは、俺が奴の眼前まで飛び込んだのとほぼ同じタイミングだった。

(,,#゚Д゚)「────ッ!!」

『カッ………!?』

奴の髪と同じ、無機質な黒い輝きを放つ刃を一閃する。身を守るため咄嗟に掲げられたが遮るよりも早く、首筋に俺のブレイドがめり込む。

(,,#゚Д゚)「ゴルァッ!!!!」

勢いそのままにブレイドを振り抜くと、【戦艦ル級】の頭部は胴を離れ、傷口からは青い体液が迸った。

「ヒィイイっ………!?」

そのまま高々と舞い上がったル級の首は、天井にぶち当たって軌道を変えるとロシア兵の一人の足下で跳ねる。

尻餅をついたそいつのズボンの股ぐらに、じんわりと湿り気のある染みが広がっていく。
428 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2017/10/21(土) 15:08:44.65 ID:u+oWGrCOO
頭を失って床に仰向けに倒れ、噴き出る血に併せてビクビクと震える胴。

俺は振り切ったブレイドを逆手に持ち替えると、人間なら心臓がある場所に刃を突きたてる。

マナーモードのガラケーよろしく蠢いていた首無し屍体は、もう数秒ほど地面でのたうった後ゆっくりと動きを緩めやがて完全に止まった。

( ゚∋゚)「…………そこまでする必要あったか?」

(,,゚Д゚)「トドメを刺しておいて損は無い。世界中のイカレ頭脳が集まった“海軍”の生研がまだ解き明かしきれてない相手だぜ?」

ヒト型は急所がほぼ人間と一致しており、特に首は即死に追い込めるため白兵戦において真っ先に狙われる箇所だ。過去に斬首した屍体が復活したという話も聞かない。

だが、“裏返り”に関してはまだ“海軍”でもごく少数しか確認できていない特殊事例だ。何が起こるか解らない以上、渡る石橋は念入りに叩いておいて損は無いだろう。

(,,゚Д゚)「本当はミキサーにぶち込んで粉々にしてぇぐらいなんだがな。

ファルロ、他に敵影はねぇみたいだし、残念ながら“目的”は果たされちまった。俺とOstrichでカラマロス達を回収するから先に」

ガチャリ。

金属音と共に、俺の後頭部に冷たい何かが押しつけられる。

(,,゚Д゚)「……………はぁ」

ため息は幸せを逃がすなんて迷信があるが、既に十分不幸せな今の状態でついても問題はないだろう。

(,,゚Д゚)「何の用だ?Верный」

「何の用か、だって?」

うんざりした口調で後ろの暁型駆逐艦2番艦に声を掛ける。返ってきた声は、しぃが以前俺に作ってくれた手作りパン(という名の撲殺兵器)よりも固い。

マジで何だったんだあのパン。某筋肉が両手の握力総動員して握りつぶせないって完全に未知の物質なんだけど。
429 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2017/10/21(土) 15:35:51.07 ID:u+oWGrCOO
「惚けないで欲しいね。何の用かなんて解ってるくせに。

……アレは、いったい何?」

(,,゚Д゚)「アイツ曰くパンらしいがなぁ……試しで適当に投げつけたら防弾ガラス割れたときは何事かと」

(?゚∋゚)「何の話だ……」

(,,゚Д゚)「間違えた、こっちの話だ」

「ふざけないで」

イジェメックP-443の銃口が、より強い力で頭に押しつけられる。押された振りをして少しだけ頭を動かしOstrichの方を見ると、視界の端に映った姿から察する限り奴も同様に銃を向けられているようだ。

二挺拳銃かい、格好いいね。艦娘の腕力なら拳銃程度の衝撃容易く抑え込める、照準のブレはあまり期待できない。

「私達の仲間が、Гангутが、“艦娘が深海棲艦に”変わった。艦娘として戦争に参加してからも、“海軍”にいた頃だって一度もそんな話は聞いたことがない。

例えば他の皆がそうなってしまったような、寄生体によるものとも変態の仕方が明らかに違った。

そして、即座に敵と断定したり“裏返し”なんて言葉が直ぐに出てくることから考えて、貴方たちはこの事象の存在を知っていた」

仲間を目の前で凄絶極まりない形で失った事に対する悲しみのせいか、俺達が情報を隠していたことを知っての怒りによるものなのかは判別がつかない。

ただ、俺を詰問する声はほんの僅かにだが震えていた。

「洗いざらい、今のことについて話して貰おうか。じゃなきゃ、貴方の頭に風穴を開ける」

(,,゚Д゚)「それやったら日米と“海軍”敵に回すことになるから洒落にならねえぞ」

「昔、祖国のアニメでやっていたこの言葉が私は大好きなんだ。バレなきゃ犯罪じゃない」

(,,゚Д゚)「やべえよやべえよ……ファルロ提督殿、オタクの艦娘を何とかしてくれ。このままじゃ国際問題まっしぐらだ」

( ̄⊥ ̄)「…………」
430 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2017/10/21(土) 16:45:39.74 ID:u+oWGrCOO
ガチャリ。

そんな音が五つ、後ろで聞こえた。

(,,゚Д゚)「………おい、そりゃあ看過しかねるし笑えねえ」

流石に、面食らう。おそらく部下共々俺とOstrichに向かってAK-12を構えているであろうムルマンスク鎮守府の提督に、俺は険しい声を投げかける。

(,,゚Д゚)「何の真似だゴルァ。異国のとはいえ曲がりなりにも階級が上の人間に対して言葉遣いが酷すぎるって話なら今更だぞ」

( ̄⊥ ̄)「許可を出したのは私自身だ。そのことにとやかく難癖着けるほど器は小さくない。

………だが、これほどの重大事を隠し立てしていた得体の知れない軍事組織の人間を信用してやれるほどできた人間でもない」

ファルロの口調はВерныйに比べれば冷静で、語尾に震えや動揺も見られない。

それでも、腹の内からふつふつと沸き上がってくる隠し切れないほど大きな怒りは有り有りと感じることができた。

(# ̄⊥ ̄)「ヨシフル=ネコヤマ少尉、事象の存在どころか、“これ”がГангутの身にも起こる可能性があることすら事前に知っていたのだな!?何故、何故それを黙っていた!!?」

(,,゚Д-)「端的に言うと超機密事項だからだ。“海軍”ですら、上層部とごく一部の精鋭部隊しかこの事は知らない。

ネタばらしをすると時雨と江風を突入前に地上に行かせたりカラマロス達を遠ざけたのもそれが理由だな、本当はあんたらも遠ざけたかったが、納得しないだろうからやむなく同行させた」

(# ̄⊥ ̄)「この………っ!」

(,,゚Д゚)「怒らないでくれねえかなファルロ=ボヤンリツェフ提督。俺としてはアンタのことは気に入っていたし、この件を黙ってるのははっきり言って本意じゃなかったんだ。

俺はアンタと敵対したくない、もし希望があるなら“可能な限り”聞くぜ」

(# ̄⊥ ̄)「ならばあの現象について教えろ!“裏返し”とは何か、どうやってГангутが戦艦ル級になったのか、そして貴様らがあの現象についていつから知っていたのか、全てをだ!!」
431 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2017/10/21(土) 17:21:13.05 ID:u+oWGrCOO
(,,゚Д゚)「残念ながらそれは“可能な限り”の範囲外だ」

(# ̄⊥ ̄)「このっ……!」

(,,゚Д゚)「だが、教えてやれる方法はある」

銃の引き金を引きかけたらしいファルロの動きが止まった。逆に、Верныйはその動きで頭蓋骨に穴を開けさせるつもりなんじゃないかってくらい一際強く銃口を当ててくる。

(,,゚Д゚)「これは“海軍”のみが把握してる極秘事項だ。ならば“海軍”に入れば良い。

ファルロ提督、アンタウチの軍に入らねえか?ロシア軍の籍も別に抜く必要は無いし、その実力なら十分に」

………二十云年の人生で初めて知った事実。耳元でイジェメックP-443を撃ち鳴らされると五月蠅さのあまり痛みと吐き気を覚える。

別に知りたくはなかったし、今後役立つ情報でもないが。

「私を怒らせないでくれ…………!」

煙を立ち上らせてまだ微かに熱を持っている銃口を再び突きつけながら、“信頼”の名を冠する駆逐艦の不審に満ちた怒声が響く。

「“海軍”の存在が世界の助けになっていることは私も十分承知しているさ。でも、それを差し引いてもあの組織はあまりにも腐りすぎている!アメリカと日本の利権を守るために作られて殆ど私物化され、外交の道具として駒のように人間や艦娘を使い玩ぶ組織に私達の司令官を入れろって!?

冗談じゃないよ、絶対にそんなことさせるもんか!」

(,,゚Д゚)「………やれやれ、美しい上官への敬愛に涙が出てくらぁな」

しかも、だいたい事実なので言い返せやしない。いやホント、こいつが“海軍”にしばらくでも大人しく所属してたのは奇跡か何かだな。

(,,゚Д゚)「で、提督殿はどうする?あんたも部下と同じ意見か?」
432 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2017/10/21(土) 18:46:40.39 ID:u+oWGrCOO
( ̄⊥ ̄)「………」

(,,゚Д゚)「言うまでもないことが、軍組織が腐ってるのはどの国も同じだ。深海棲艦なんざそっちのけで陸海軍の主導権争いに国家間の艦娘利権の奪い合いなんてのは日常茶飯事、寧ろ“海軍”の存在によってそれらは緩和されている面すらある」

「詭弁を言わないでくれ!!!」

(,,゚Д゚)「認めたくない気持ちは解るが事実だ。日米の艦娘利権を守るという点が組織された最大の理由なのも事実だが、俺達の存在は間違いなく国連なんざ比べものにならない強力な抑止力だ。それに、内部に入ればそこから“海軍”の体質を変えるトロイの木馬にだって成れるとは考えられないか?」

「っ………!!!」

Верныйが言葉に詰まる。反論できないほど俺が正論だったというわけではない。どうも向こうの怒りが天元突破して言葉に詰まったようだ。

(,,゚Д゚)「んで、どうするよ提督殿。“海軍”のモットーは来る者は拒まずだ。ロシアも日米へのパイプが更に太くなることを考えれば“海軍”への協力を惜しむとも思えない」

( ̄⊥ ̄)「………」

(,,゚Д゚)「後ろでいきり立ってる駆逐艦も、アンタの命令なら聞くだろうしな。再入隊ってのは聞いたことないが多分受け入れてくれる。

祖国のためにもなって、アンタの部下を苦しめた【世界最強の軍隊】を内側から変えることも出来る。どうだ?」

( ̄⊥ ̄)「…………。すまない、少尉」

下ろされかけていたAK-12が、再び構え直される音。

それが何よりも雄弁に、俺に拒絶の意志を伝えてきた。

( ̄⊥ ̄)「私は祖国の利益以上に、自分の部下の気持ちを慮りたい。ましてや君達は共闘する相手に隠し事をした信用ならない存在だ、その誘いは受けられない」

「司令官………!」

(,,゚Д゚)「……そうかい」
433 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2017/10/21(土) 19:17:41.56 ID:u+oWGrCOO
(,,゚Д゚)「残念だよ」

それは、望んでいた答えとは真逆のもの。その一方で、絶対にそう返ってくると予想がついていたものでもある。

だから俺は、躊躇無く次の行動に移ることができた。

「えっ」

しゃがみ込む。ただそれだけの単調な動きだったが、何の予備動作も必要ないため兆候を掴まれて先手を打たれる心配は無い。射線から、視界から唐突に目標が消えたことで、虚を突かれたВерныйの反応が一瞬遅れた。

「……………っ!!?」

俺が床に手をついたところで、奴はようやく銃の照準をこちらに向けた。

だが、その時には俺は既に持っている。

先程銃口を突きつけられた際に捨てていた、足下のブレイドを。

(,,゚Д゚)「────っ!」

振り向く。銃声が鳴る。頬を弾丸が掠めていくが、お構いなしに刃を一閃させる。

(;゚⊥゚)「やめっ」








鮮血が飛び散る。

暁型駆逐艦2番艦の首が、胴体を離れて宙を舞った。
434 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2017/10/21(土) 19:52:03.79 ID:u+oWGrCOO
銀髪の美少女の首は、呆けた表情を浮かべたまま宙を舞う。そのまま床で一度バウンドすると、ル級の生首に引き寄せられるようにして転がっていきその横で停止した。

( ゚⊥゚)「あっ、」

(#゚⊥゚)「ァアアアアアアガアアアアア!!!!!」

そこまでの動きを見届けて、ようやくファルロ=ボヤンリツェフは「何」が起きたのかを理解したらしい。ワケのわからない、最早人語の体を為していない叫び声を上げてAK-12をこちらに向ける。

(,,゚Д゚)「遅ぇ」

(;#゚⊥゚)「グゥッ………アァアああああああっ!!!!!」

その時には既に懐に飛び込んでいた俺は、ブレイドで両手を小銃ごと斬り落とす。ファルロは一瞬凄まじい痛みに顔を歪めたが、常軌を逸した精神力でこれを堪えると俺ののど笛に噛みつこうと顔を飛びついてくる。

(,,;゚Д゚)「っ、野郎!」

(; ⊥ )「アガッ………」

腹に膝を入れ、そのまま胸に刃を突き通す。口からどす黒い血が噴き出して、弱々しい息を漏らしながら地面に倒れ込んだ。

(#゚∋゚)「ふんっ!」

「ヴェッ」

「ゴガッ」

Верныйが始末された時点で、Ostrichもまた動いている。入り口に待機していたロシア兵4人の内2人の頭を振り向き様に鷲掴みにすると、それぞれ司令室の扉に叩きつける。

「イガッ!?」

「чёрт!!!」

更にもう一人、首根っこをふん捕まえて床に引き倒すと喉を踏み抜いて首の骨を折る。流れるような殺戮で残りが自分一人になったところで、そいつはようやく脳が再起動したらしく悪態と共にOstrichに向けて銃を構えた。

「─────クハッ……!?」

そして、俺が横から投げつけたブレイドに頭を刺し貫かれて前のめりに崩れ落ちる。
435 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2017/10/21(土) 20:11:33.89 ID:u+oWGrCOO
(; ⊥ )「ゴハッ、ガハッ……ハッ、ハッ……」

(,,゚Д゚)「……ん?ああ」

束の間訪れた静寂は、直ぐに激しく咳き込む声によって破られた。其方に視線を向けると、血だまりの中でなおも起き上がろうともがいているこの鎮守府の提督殿の姿があった。

まぁ、間もなく「元」が役職名の前につくことになるが。ロシア軍にも2階級特進ってあるんかね。

(?゚∋゚)「………最後の言葉でも聞いてやるために生かしたのか?」

(,,゚Д゚)「まさか、単なる殺し損ねだ」

正直なところ、腕を斬り落とされてもなお反撃してくるとは思わず胸を狙った突きは手元が狂ったことは否めない。心臓をぶち抜くはずだったブレイドは僅かにズレたようで、辛うじて即死は免れさせたらしい。

(; ⊥ )「お前………何故……Верныйまで………」

最後の情けで早くトドメを刺すためブレイドを構えて近くまでいくと、荒くか細い呼吸の中で辛うじて声を絞り出し向こうが問いかけてきた。

(,,゚Д゚)「っしょ」

( ⊥ )・∴∵゚。「バファッ」

だが、聞く気は無いのでとっととル級の時と同じように心臓を刺し貫く。ファルロは最後に一度だけ息と血を吐き出して、それから永遠に沈黙した。

( ゚∋゚)「……終わったか?」

(,,゚Д゚)「終わった。カラマロス達を呼ぶぞ、撤収だ」
436 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2017/10/21(土) 20:34:42.42 ID:u+oWGrCOO
別に、いまわの際の問答ぐらい答えてやってももう任務に大きな支障は無い。だが、その“必要”もないのなら別に聞かない。

ファルロの実力は高かったし、僅かな交流だったが垣間見えた人間性には尊敬も感じていた。“海軍”への誘いの言葉に込めた本気も、決して小さくはない。

でも、“それだけ”だ。

(,,゚Д゚)「カラマロス、任務は終了した。

撤収するぞ。司令室前で俺達と合流しろ、速やかに地上階に移動する」

《了解です。………あの、ファルロ提督達ロシア軍部隊は………》

(,,゚Д゚)「司令室内に待ち構えていた深海棲艦の【寄生体】に攻撃を受けВерныйを含めて全員が死亡。また、Гангутも既に殺害されていた。生き残ったのは俺とOstrichだけだ」

《……………》

(,,゚Д゚)「どうした?早く戻ってこい」

《…………………Yes?sir》

最重要機密を知られ、“海軍”に反抗的な思想を持ち、何の手違いか【記憶処理】も施されないままの艦娘を抱え、唯一あいつらが生き残る道だった選択肢を捨てた。あのロシア人達との数時間の交流が、奴等を“殺さない”理由としてこれらを凌駕することは有り得ない。

(,,゚Д゚)「Wild-Catより統合管制機」

('、`*川《こちら管制機、どうしました?》

ファルロ=ボヤンリツェフは、変わらない。

今までに積み重ねてきた屍の山に。

これから進む先に伸びる骸の道に。

たった一つ屍体が増える。










(,,゚Д゚)「任務を完了した。これより離脱を開始する」

俺の“日常”においては、ただそれだけの話だ。
437 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage]:2017/10/21(土) 20:42:00.61 ID:u+oWGrCOO
ようやくあとエピローグ書いて終わりますぅうううう……2ヶ月半もかかるってなにやってんだあたしゃ…。

本日or明日、どちらかの深夜でエピローグ投下して完結です。

後もう少しだけお付き合い下さいませ!!!
438 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/21(土) 21:50:11.87 ID:NsqY5VKio
おつおつ
439 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/21(土) 22:38:52.00 ID:M9olXEdA0
えげつねえええ…となったけど、事ある毎にリスクを増やすなんて無理だはなあ…
これだけ無双してても「目撃者無し」ともなれば、武勇伝もあったもんじゃないのが勿体無いがw
それとキングダム最新刊発売やったぜ
440 : ◆vVnRDWXUNzh3 [saga]:2017/10/21(土) 23:52:11.63 ID:qyTbpVtSO







《臨時ニュースです。ロシア連邦政府は本日未明、深海棲艦からムルマンスク並びにその周辺都市への攻撃を受けていたと発表。世界各国に大きな衝撃を与えています》

《CNNの取材に寄れば、アメリカ合衆国政府はこの襲撃事件を“把握していなかった”とコメント。在ロシアアメリカ人に犠牲者は確認されていないとも併せて発表しました》

《ロシア国防省は情報の隠蔽を“国内外の混乱を避けるため”とした上で、深海棲艦の完全な撃退に成功したと戦果を強調》

《しかしながらムルマンスクが被った損害は極めて甚大であると見られ、一説にはほぼ全ての住民が犠牲になったとも───》

《国内外ではチェルノブイリ原発事故以来となる国家ぐるみの大規模隠蔽に非難の声が噴出。特にムルマンスクに親族がいた人々を中心に、ロシア連邦各地で反政府デモが次々と発生しています》

《中東のイスラーム武装勢力の複数が動画サイトに声明を発表。これらは何れもムルマンスクはロシアが【艦娘】という神の意志を冒涜する存在を重用したために不幸に見舞われたのだという内容のもので間接的に【艦娘】制度それ自体への批判も含まれ────》

《日本海上自衛隊の第1防空機動艦隊を主力とした、二本、インド、アメリカの連合艦隊はアラビア海に到達。しかし一部中東国が【艦娘】戦力を含んだ艦隊の接近や領海の通過に難色を示しており、補給要請も保留されていることから欧州への艦隊到達は想像以上に難航しています》
441 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2017/10/22(日) 00:01:50.07 ID:oKNZ8oGNO
《偉大なる総書記様は深海棲艦という大いなる脅威に対抗するべく人民の団結を促すと同時に、“叡智の炎”を我が国も一刻も早く手に入れる必要があると決断した!》

《北朝鮮国営テレビの核開発の再開宣言とも取れるこの発表について、アジアを中心に世界中で動揺が広がっています》

《フォックス=カーペンター国務長官はCNNの取材に対し、事実確認中であることを理由にコメントを差し控えました》

《茂名官房長官は緊急記者会見を開き、北朝鮮のこの放送について「もし本心からの宣言なら言語道断だ」と強い不快感を示しました》

《中国政府は未だコメントを発表していませんが、インド、マレーシア、フィリピンなどアジア各国は「人類の団結を乱す行為だ」として北朝鮮を痛烈に非難。日本の意見に同調する動きを見せています》

《欧州各国の殆どとロシア連邦が日本の非難声明に追従する中、イギリスはこの件についても沈黙を保つ様子》

《北朝鮮の深海棲艦を口実とした核武装開発の再開は今後中東を中心に各国へと飛び火する可能性が懸念され、アメリカを中心に各国の警戒が強まるものと見られます》
442 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2017/10/22(日) 00:06:30.07 ID:oKNZ8oGNO






彡(-)(-)「───『我々の正直さが他国にとって実は恐るべきものだ、などと我々自ら大まじめに信じていたのは、我々には何も見えていなかったということであった』」

目の前に座る男───日本国首相、南慈英の静かな声が部屋に響く。噛みしめるように瞑目しながら諳んじられるその台詞は、ある程度知識(間違っても「教養」ではない)がある自称平和主義者が耳にすれば即座に口角泡を飛ばし噛みつくことだろう。

彡(゚)(゚)「『これによって大国の信用と、とりわけ小国の好意を容易に得られると思っていたのだ』

ホンマ、ええこと言っとるわ」

( ФωФ)「アドルフ=ヒトラーの言葉でありますな」

彡(゚)(゚)「せや」

我が輩の言葉に、首相は頷く。彼はつい1分前まで国内外の様々なニュースを矢継ぎ早に映していたテレビにちらりと視線を向けた後、ふぅと息を吐きながらリモコンを右手から机の上に投げ捨てた。

彡(゚)(゚)「何度読んでも、感心すると同時に笑ってまうわ。“これはどこの島国に向けられた言葉やろなぁ”って。

国際社会においては、善良も正直も美徳と違う。ただひたすらに忌むべきものであり、最大の害悪や。それを、“戦前”の日本は解っていなかった」

( ФωФ)「仰るとおりです」

彡(゚)(゚)「今のニュース見たやろ。全ての国が“自分たち”の事だけを考えて最も大きな利益を得ようと互いに横目で睨みあっとる。

そして、それこそが【外交】の最も正常な姿なんや」

ここで首相の言う「戦前」とは、無論第二次大戦のことではなく(いや、あながち其方も間違いではないのだが)深海棲艦との戦争を指す。日本の外交が「お嬢さんをあやすようなもの」と揶揄されていた時分であり、今でも十二分にお花畑な国民の脳が「平和」というドラッグによって完全に機能を失っていた頃でもあった。

日本にとって最大の幸運は、奴等との戦争が始まる直前に「ちょっとした刺激」を求めて──断言するが彼奴らの大半はまともな政治思想を持って政治家を選んでいない──国民が南慈英を首相に押し上げた点だ。これで共栄党や民心党が引き続き政権を握っていたらと思うと、背筋が凍る。
443 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2017/10/22(日) 00:18:08.65 ID:oKNZ8oGNO
突如現れた未知の敵に対する、国会を通さない独断での自衛隊防衛出動決定。それは確かに“議会制民主主義”の大原則を無視した行動であり、やっていることは軍事独裁者と変わらないという意見も表面上は正しい。実際、これらの意見・批判は政権奪還を狙う野党を中心に発覚直後から噴出し今でも政権反対派の主要な批判点の一つでもある。

だが、彼らはそもそも国体が守れなければ議会制民主主義もクソも無いということを毛頭理解していない。

深海棲艦という、“突如”現れた膨大な戦力を持つ謎の侵略軍。そんなものを相手取って、会議を開き自衛隊の運用が正しいことか話し合い決議しまた会議を開き……などとやっていれば、おそらく海上防衛線の構築すらまともにできぬまま日本本土は奴等によって蹂躙されていただろう。日本がもしも完全に壊滅していればおそらく【艦娘】技術の実装もできていないか或いは大幅に遅れていたはずで、割りと大まじめに今頃世界が滅亡間近だった可能性も否めない。

だから我が輩は、テレビで単細胞な評論家がしたり顔をしてこの事を批判するときに失笑を禁じ得ない。

そのおかげでお前がそこに存在できているということが解らないのか、と。

彡(゚)(゚)「とりあえずロマ助、ようやってくれたわ。これで今回も、“計算通り”にワイらが一番大きな見返りを得られる」

( ФωФ)「首相、いい加減その“ロマ助”というのはやめていただけると助かるのであります」

彡(゚)(゚)「何でやロマ助」

( ФωФ)

彡(゚)(゚)「どないしたんやロマ助」

( ФωФ)「……もういいです」

まぁ、だからといって我が輩個人がこの男が好きかと問われれば答えはNoだが。

ロマ助って何なのである犬猫じゃあるめぇし。
444 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2017/10/22(日) 00:19:23.18 ID:oKNZ8oGNO
思考が苛立ちから明後日の方向にズレてしまったので、深呼吸して心を落ち着ける。

全く、この首相閣下とどこぞの筋肉提督だけは本当に心の底から苦手である。

( ФωФ)「先ず、既にご存じのことと思われますがムルマンスク戦の最終的な結果報告から一応。

ロシア連邦軍との共同作戦の結果、同市をはじめトゥロマ川沿岸都市全ての防衛に成功。攻勢をかけてきていた深海棲艦は、増援も含めて9割強を撃沈。ベルゲンより来襲した敵【泊地】航空隊に関しても、約7割を撃墜し甚大な損害を与えました」

彡(゚)(゚)「まぁあのキン肉マンの鎮守府とロマ助のコンボやからなぁ。そこに二大国の援護もあればそらそうよ」

向こうは純粋に褒めたつもりなのかも知れないが、“アレ”とセット扱いされて無意識に眉間に皺が寄ってしまう。この無神経さもまた、我が輩がこの男をいまいち好かない理由だ。

彡(゚)(゚)「んで、こっちの被害は?」

( ФωФ)「投入戦力の3割程度が。一時の死傷率に比べれば圧倒的にマシであるが、まだ高いですな」

彡(゚)(゚)「“海軍”は組織の特性上戦力の大規模な拡充・補充ができへんからな。大正義アメリカがバックアップにいるとはいえ何とか損耗は抑えんと」

( ФωФ)「艦娘部隊には轟沈者はいません。ただ、コラ湾を封鎖した艦隊は流石に数的不利が厳しく半数が中破以上の損害を受けているのであります。

それと………“青葉”が中破状態で保護されました」

彡;(゚)(゚)「ファッ!!?」
445 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2017/10/22(日) 00:42:30.59 ID:oKNZ8oGNO
首相が上擦った声で驚愕の声を上げ、椅子からずり落ちる。アニメキャラクターのように大袈裟だが、言ってしまえばこれでも妥当どころか若干控えめなリアクションと言える。

なにせ、我が輩がわざわざ強調するような青葉と言えばあの筋肉達磨の鎮守府に所属する悪鬼羅刹しかいないのだから。

彡;(゚)(゚)「うせやろ……あの青葉がそんな大ダメージ受けるとか、ゾーマでもおったんか?」

( ФωФ)「ゾーマ如きがあの青葉を止められるのかは議論の余地がありそうですが、より厄介なものが………【バグ】が、来ていたと」

彡(゚)(゚)「……! なるほどな、納得したわ」

( ФωФ)「本人の証言や戦闘スタイルから察するに、おそらく例の重巡リ級eliteかと。向こうも無傷ではなかったようですね。青葉曰く中破に近い損害は与えたらしいであります」

何故突然ヨーロッパからロシアくんだりまで移動してきたのかは不明。だが、あの青葉と互角に渡り合える戦闘センスに深海棲艦としては豊かすぎる表情、わざわざ味方を囮にしておびき寄せてからのタイマンという見ようによってはこちらをなめているとしか思えない戦法などはアルカンタラマールやベルリンの情報で浮かび上がってきた同個体のイメージと酷似する。少なくとも偽物・見間違いの線は極めて可能性が低い。

( ФωФ)「寧ろ、良く中破で済んだと感心するところだったかも知れませんな。あのリ級eliteがどれぐらいで復活できるのかは解りませんが、しばらく動けないとしたら特に東欧連合軍の反攻作戦には大きな好機になります」

彡(゚)(゚)「はー……しかし予想以上にきっっっつい戦場やったんやな。こんなことならガス田開発の日本参画とГангутの譲渡以外にもロシアにふっかけとけばよかったわ」

(;ФωФ)「…………は!?」

今度は、我が輩が驚愕の奇声を上げる番だった。
446 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2017/10/22(日) 00:47:41.34 ID:oKNZ8oGNO
やっぱ今夜中は流石に無理やったか……明日(というか、今日)、正真正銘の最後更新
447 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/22(日) 01:07:02.22 ID:N1Mbfp8A0
おつおつ
この世界の北を筆頭にしたお花畑共は、本当に幸せなんだろうけど殲滅されればいいのにw
首相やるやん…と言うか、国として致命的なスキャンダルをもみ消して貰ったなんて、それこそ独裁的な国だと尚更内外問わずバレたら即死するはなw
448 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/22(日) 01:24:47.91 ID:7hDIrAMMo
おつです
大魔王より強いリ級エリート……
449 : ◆vVnRDWXUNzh3 [saga]:2017/10/22(日) 23:12:33.87 ID:N6bKefKp0
(;ФωФ)「し、首相!い、今何と!?」

彡(゚)(゚)「せやからロシアが北極海で躍起になってやってるガス田開発の護衛役を日本の艦娘が内密に負担する代わりに、ガス田のプロジェクトに日本の企業も噛ませてこっちにクソ格安で天然ガスを売るよう圧力を───」

(;ФωФ)「そっちではないのである!いや、そっちも色々おかしいけど!!」

ただでさえシェールガス革命以来不安定な状況になりつつあった大得意先・ヨーロッパ市場の物理的壊滅で、死活問題に直面しているロシアの天然ガス事業。そこに横槍入れるって鬼か何かかと思ったが、それ以上に重要な「資源」についての言及に思わず椅子から立ち上がる。

(;ФωФ)「天然ガスの後です、後!!Гангутを譲渡させたと言いましたが………!」

彡(^)(^)「おう、正確には日本やなく“海軍”にやがな」

三国志に登場する曹操孟徳は、その辣腕から【治世の能臣、乱世の奸雄】と謳われた。ここまでの危険人物だと実際に“能臣”たり得るかは不明だが、少なくとも“奸雄”であることは間違いない眼前の男は事も無げにそう言って不敵な笑みを浮かべた。

笑うといっそう醜男だなこいつ。

彡(゚)(゚)「今滅茶苦茶失礼なこと考えんかったか?」

( ФωФ)「気のせいでありますハハハハ」

彡;(゚)(゚)「お、おう」

釈然としない表情を浮かべつつも、南首相はそれ以上追求してこなかった。

彡(゚)(゚)「まっ、元々民間に存在がバレるとマズい“海軍”は別として、ムルマンスク防衛にはアメリカ軍もかかわっとったからな。ロシアが“単独で防衛した”っちゅー体裁を保つためにこれらの情報は関係国に口止め。更にムルマンスク基地の再建に日本からノウハウと資金を提供するついでに、他に建造済だったГангутを“将来的なロシア国防力増大のための研修”名目で海軍に強奪したんや」

(;ФωФ)「…………」

資金・ノウハウ提供の“代わり”ではなく“ついで”という言い方を聞く限り、おそらくこの男Гангутの提供もロシア連邦に対する「貸し」にしてある。

幾ら亡国の危機を救って貰ったとはいえ最新鋭かつ最重要軍事機密を分捕られながらそれすら日本への「借り」として扱われるロシア政府の面々には、流石の我が輩も同情の意を禁じ得ない。

彡(゚)(゚)「そこまでやっても連日反政府デモなんやから可哀想やなって」

すげぇ。「可哀想」の部分に1ナノミクロンも感情が籠もっていないのである。
450 : ◆vVnRDWXUNzh3 [saga]:2017/10/22(日) 23:13:36.60 ID:N6bKefKp0
ツッコみどころは山とあるが、日本にとって最大限の“国益”をとりまとめたのは間違いないのでコメントは差し控えよう。それに、Гангутが“海軍”に提供されるなら先に知っておきたいこともある。

( ФωФ)「Гангутの配置先はどこになるのでありますか?単艦か複数かによっても編成が変わってきますが」

彡(゚)(゚)「2隻来る予定やが片方はアメリカ側が管理してる鎮守府に配属されるよう手配したから問題あらへん」

さりげなくアメリカにも恩売りつけてやがる。しかも自国じゃなくて他国の艦娘で。

彡(゚)(゚)「んで、ウチに来る方のガンちゃんやが、筋肉んとこに送るやで」

( ФωФ)

彡(゚)(゚)「筋肉んとこに送るわ」

( ФωФ)

彡(゚)(゚)「………筋肉んとこに」

( ФωФ)「聞こえているので三回言わなくても大丈夫であります。つーか正気か貴様」

彡;(゚)(゚)「ワイは仮にも一国の首相で、お前の階級“海軍”ではともかく日本国内やと一等海尉の筈なんやが……」

あぁ畜生、胃が痛むのである。

( ФωФ)「一番練度が高い……というか明らかに一線を画した鎮守府ですから戦力強化“のみ”で見たら最も適した選択であることは認めます。

しかしながら、一番頭のネジが外れてる鎮守府もあそこであります。首相はドイツから様変わりしたビスマルクについて怒りの電話が連日飛び込んできたことをもうお忘れですか?」

彡(゚)(゚)「あれは滞在先だった大洗警備府の影響もあったし最終的にドイツも戦力強化を感謝しているからセーフ」

( ФωФ)「何一つセーフじゃねえよ」

毟り取るようにして向こうの権益に手を出した挙げ句希少な最新鋭艦娘を頭のおかしい変態にして突っ返したとなれば、怒り狂ったロシアが深海棲艦そっちのけでこっちに銃口を向けてくるのではと不安になる。流石にこれは極端に過ぎる予想だが、ドイツの時のように半ば笑い話で済む程度の問題で終わるとは思えない。

彡(゚)(゚)「何を勘違いしとるのか知らんけど、これはロシアの要望も入れてのことやで?」

…………は?

彡(゚)(゚)「あの筋肉共の暴れぶりを知ったロシア政府から直々の使命や。艦娘戦力に乏しい分、極限まで質を高めた戦艦娘が1隻欲しいからそこに送って鍛えてくれってな」

( ФωФ)「デアリマスカ」

世界は順調に狂いつつあるようだ。

我が輩が想像していた方向性とは少し違うが。
451 : ◆vVnRDWXUNzh3 [saga]:2017/10/22(日) 23:20:37.69 ID:N6bKefKp0
彡(゚)(゚)「………さて、今回もしっかりと日本にとっての“国益”は確保した。

せやけど、そろそろもう一度“世界全体”で物事を見なあかん段階でもある」

南首相はそう言って足を組み、より深く総理執務室の椅子に腰掛けた。

その眼差しは今までと一転して険しく、微塵の戯けも存在しない。

彡(゚)(゚)「単刀直入に聞くで。この戦争で、“人類”は“深海棲艦”に勝てるか?」

( ФωФ)「無理であります」

故に、我が輩も誤魔化しや皮肉を挟まず真剣に答える。

( ФωФ)「各国の足の引っ張り合いがどうとか、そう言う次元ではありません。深海棲艦と人類の間には、それだけ互いが保有する物量に差があります。場合によっては、質の面ですらその内凌駕される………或いは疾うの昔にされているかも知れません」

彡(゚)(゚)「………悲観的な内容であること自体は予想しとったけど、そこまでかい。ムルマンスクで与えた打撃は少しとはいえ影響せんのか?」

( ФωФ)「ムルマンスクの艦隊はただの偵察部隊です、首相」

彡;(゚)(゚)「………」

蒼白になった首相の頬を、冷や汗が一滴伝っていく。とはいえ、“青葉中破”の報の時に比べて動揺は遙かに小さい。

向こうにとっても、ある程度予想済のことだったようだ。

( ФωФ)「存外驚かないものですな」

彡;(-)(゚)「前線からの報告でどうも臭い雰囲気はあったからな。それでも“どうか予感が外れますように”と願ってたんやが」

湯飲みを持ち上げ、グビリと大きく喉を鳴らして茶を飲み干す。落ち着いたらしい首相は、汗をハンケチで拭いながらこちらに視線を戻した。

彡(゚)(゚)「一応聞こうか。最終的に【第二次マレー】にすら匹敵するほどの巨大艦隊がただの偵察部隊に過ぎないと思う理由を」

( ФωФ)「【Black Bird】の襲撃が少なすぎる。突入時に30機前後が襲ってきた後は音沙汰無し、もしあの攻勢が本攻めならこんなことは有り得ないのであります」

【Black Bird】───ルール地方上空でアメリカ空軍のストライク・パッケージを一方的に殲滅し、ベルゲンでは北欧連合空軍を蹂躙した深海棲艦側の最新航空兵器。球形の機体にカラスの羽根のような両翼と二本の足を持つという特徴的なフォルムからその名前が着けられている。

武装は、凡そ近代戦闘機と威力の差がほぼ無い機関砲のみ。大きさは大凡通常種のイ級と同程度なので視認はできるし、どうやら空対空ミサイルによるロックオンも可能だという。最高速度はマッハ1.9〜2.1と深海棲艦や艦娘達の艦載機基準で考えれば破格といっていいが、F-15やF-35と大差があるわけではない。

はっきり言って、カタログスペックだけなら近代戦闘機にとっては的がデカくなった分寧ろ従来の敵艦載機よりやりやすい面すらあるだろう。
452 : ◆vVnRDWXUNzh3 [saga]:2017/10/22(日) 23:22:47.79 ID:N6bKefKp0
では、何故【Black Bird】がこれほど恐れられ、実際に人類の航空機を相手にして一方的に制空権を奪うことができるのか。最大の理由は、その旋回性能にある。

奴等は、超音速域においての“自在な旋回”を可能とする。

( ФωФ)「ロックオンしても後ろを取っても、此方の最高速に匹敵する速度で急上昇や急降下をして視界から消える、振り切ったと思っても音速旋回で此方は為す術無く後方に占位される……たった一晩で、人類が保有する既存の戦闘機は全て過去へ置き去られました」

唯一の弱点は火力の貧弱さだが、空対空戦闘においてはそれでも十分すぎる破壊力を持つ。あの航空力学を無視した馬鹿げた旋回性能があればさしたる問題にはなるまい。

( ФωФ)「確かに護衛航空隊はかなり速い段階で奴等の接近を捕捉していたから、少なくともルールほど一方的になった可能性は低い。だが、F-35といえどあの黒鳥相手では勝算は1割もあるまい。それでも、向こうはその1割で受ける損害すら嫌ってろくに戦闘せず離脱した。

向こうにとって今回のムルマンスク攻撃が、我が輩たちが思っていたよりも遙かに価値が低かった証左であります」

彡(゚)(゚)「その1割すら嫌いたいほど向こうにとって希少な兵器だった可能性もあるやろ」

( ФωФ)「完全に否定はしません。が、深海棲艦が正真正銘“本腰”を入れた欧州攻勢においては深海棲艦側はベルゲン上空に50機を越える黒鳥を投下しました。

そしてこの戦闘においては、向こうは僅か四機ながら被撃墜機を出しています。損耗を嫌ったとしても、やはり此方を一機も撃墜せず退くのはやり過ぎと言わざるを得ません」

彡(゚)(゚)「………まぁ、そっちの方が合点はいくわな。何の工夫もなく同じやり口にボコボコにされた敵の爆撃部隊の醜態にも説明がつくわ」

ふむ、やはりどんなに気にくわなくても理解力の高い相手との会話は疲れなくて済むからいい。
453 : ◆vVnRDWXUNzh3 [saga]:2017/10/22(日) 23:25:21.49 ID:N6bKefKp0
( ФωФ)「仰るとおり、“以前より数を増やした”以外の変化を見せず結局青ヶ島やベルリンと同じ轍を踏んで壊滅した空襲部隊の愚かさも、“奴等が主戦力ではない”と考えると納得できます。

学習能力が無いか単純な練度が低いか、奴等にとってどれだけ失おうとも痛くも痒くもない戦力がそれなりに人類にとって重要な拠点に派遣された、これがおそらく今回の真相です」

彡(゚)(゚)「では、その“威力偵察”で奴等が見たかったものとはなんや?」

( ФωФ)「寄生体という新たな個体種を試したかったのもあるでしょうが……最大の目的は人類側の“対応力”の限界を見極めることではないかと」

ヨーロッパにおいて広大な橋頭堡の建設を許し、人類の勢力は大きく減退している。この状況で連続的にムルマンスクを失陥すれば我が輩たちが窮地に陥ることは、深海棲艦側もよほどのバカでなければしっかりと理解していたはずだ。

だから奴等は、仮に我が輩たちが“偵察”と事前に見破っていたとしても相応の戦力を投入して迎撃せざるを得ない規模の艦隊を差し向けてきた。一応許す範囲で出し惜しみはしたが、それでもこちらの“限界”を向こうがある程度推測するには十分だろう。

彡(゚)(゚)「向こうが此方の限界を悟り本格的な大攻勢に転じてきたとして、何年耐えられる?」

( ФωФ)「“海軍”、日本、東欧連合軍、アメリカ、インド、ロシア………これらを主力に持ち堪えて五年。希望的観測で中国とイギリスも勘定に入れて七年といったところです」

我が輩もまた、喉を潤すため湯飲みに口をつけ傾ける。冷め切ったほうじ茶の渋みが、舌の上に広がった。

( ФωФ)「なお、これは深海棲艦側が“現状維持”の戦力でこのまま戦争を続けた場合と仮定しての試算です。向こうの進歩速度が我が輩たちのそれを上回れば、人類滅亡のタイムリミットは無制限で切り上がっていくのであります」
454 : ◆vVnRDWXUNzh3 [saga]:2017/10/22(日) 23:33:30.78 ID:N6bKefKp0
コチコチコチコチコチ。

総理大臣執務室の壁に掛けられた時計が、静まり返った部屋の中に五つ音を刻む。

彡(゚)(゚)「……………キッツいなぁ」

5秒間続いた沈黙に終止符を打ったのは、この国の最高権力者の方だった。

彡(゚)(゚)「五年、或いはそれ以下か。艦娘利権盾に取った今の外交路線じゃもう時間が足りないやんけ」

( ФωФ)「間違いなく足りません。が、首相には引き続き今の方針で各国をとりまとめていっていただきたい」

彡(゚)(゚)「……日本を中核とした、【世界統合海軍】の設立なぁ」

( ФωФ)「ええ。深海棲艦の無限に等しい物量と人類が相対するためには、これ以上の策は存在しません」

彡;(゚)(゚)「うーーーーん…………」

南首相は難しい表情で腕を組み天を仰いだ。

ギョロリギョロリ、不気味に大きい両眼が天井を意味もなく見回す。

彡;(-)(-)「そら、アンタの立案通りに行けば軍事的にも大きいし、日本にとってもこの上なく巨大な利益が転がり込む。そう言う意味ではワイも賛成やで?

でも、時間はあるんか?」

( ФωФ)「作ります。

先も言いましたが、保って五年という時間は“双方が”なんの進歩もなく現有戦力でぶつかり続けた場合の試算であります。我が輩たちの技術革新や軍拡の速度が向こうを上回れば、逆転とまでは至らずともこれを引き延ばすことは幾らでもできる」

彡(゚)(゚)「儲からなくなるのは嫌やけどこの際国益ガン無視して連合軍設立の方に全リソースツッコむのも」

( ФωФ)「6年前付け焼き刃の団結で深海棲艦への対抗を声高に叫んでいた国際社会が今どんな有様か、首相閣下はお忘れでありますか?」

彡;(゚)(゚)「むむむ」

( ФωФ)「何が むむむ だ!」
455 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2017/10/22(日) 23:45:25.13 ID:N6bKefKp0
無論我が輩としても、“日本の国益”など人類が完全に消滅すれば戯れ言にすらなりはしないと理解している。だから多少は我が国にとって不利益が生まれようとも、より迅速かつ強固に“超国家的な軍事機構”を作り出す方法があるなら其方を優先することは吝かではない。

だが、現実はどうだろうか。滅びの危機にあるヨーロッパですら、未だ完全な団結は為されていない。誰もが“自分は滅びずに済むかも知れぬ”となんの根拠もない希望に縋り、国家の指導者共は国益ですらない“私益”が揺らぐことを恐れて隣国の危機に目をつむり耳を塞ぐ。

我が輩が敬愛して止まぬ眼鏡フェチ漫画家の現行作品で、かつて第六天魔王と呼ばれた男が口にしていた台詞を思い出す。

( ФωФ)「『奴らがどんなに強大だろうが領主は軍権を絶対に手放さねぇよ。

その「世界滅ぼし軍」に最後の城を攻められて最後の尻に火がついて腹切る直前までそのまんまだバーカ』」

彡(゚)(゚)「ホンマノッブはええこと言うわ」

(′ФωФ)「偉人の含蓄ある名言の後に漫画の台詞を添えるとは我ながら低俗でしたな」

彡(゚)(゚)「いやいや、ワイも漫画は好きやで……それに、その台詞は多分真理やしなぁ」

国家権力が存在する限り、そしてその中に為政者達が抱える「個人の権益」が内包される限り、彼らの多くが軍権を手放すことは有り得ない。なぜなら軍権とは、多くの事柄からそれらを守ることが、或いはそれらを肥やすことができる存在だからだ。

故に、軍権が及ばぬ範囲から奴等の権益を奪い取り、それらを担保に軍権を“差し押さえる”必要がある。そして必死に働けば権益と軍権を増やして返してやると、餌をちらつかせて手懐け、忠実な猟犬として解き放つ。

困難で遠大な話だが、そうでもしなければ深海棲艦の物量に即時対応できる軍事機構は設立し得ない。

そして“艦娘”という深海棲艦に対抗できる資源の最大保有国が日本である以上、この島国が政治力を最大限に活用してこれを成し遂げるしかないのである。
456 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2017/10/23(月) 00:24:24.00 ID:wQDSgDey0
首相は、懐から葉巻を取り出すと口に咥えて火を付ける。しばらく紫煙が先端から立ち上る様を物憂げな表情で眺めた後、彼はおもむろに口を開いた。

彡(-)(-)-~「………ま、ワイはあんたほど頭はようできとらん。実際、【統合海軍】設立の道筋についても代案が有るわけでもない。

現状はこれが“最善の道”やし、ワイも日本が富む上に世界も守れるなら一石二鳥や」

一際大きく煙を吐き出しながら、彼は我が輩を真っ直ぐに見据える。

決意の感情が奥に揺らめく、力強い瞳だった。

彡(゚)(゚)「こっちはどんな小汚い手使ってでも【統合海軍】設立に向けての動きを加速させるよう最大限努力したる。そっちも、なるべく深海棲艦の奴等に苦い汁を飲ませ続けてあらゆる策を用いて粘り倒してくれや」

( ФωФ)「…………当然のことです」

…………好き嫌いと、その人物の有能無能は別次元の問題だ。

やはり我が輩は南慈英という人間を好きになれないが、それでもこの男が日本国首相だったという幸運を感謝する。

彡(゚)(゚)「しかし粘り倒す言うても、アテはあるんか?人類側の今の技術や外交事情で生産力・戦力増産の面で深海棲艦と競争するのはどう考えても無謀の極みや。となると次に打つ手は“質”の向上に伴う少数精鋭での穴埋め、せやけどこの戦況でそんな穴埋めができるクラスと言えば、それこそ“海軍”並みの────」

( ФωФ)「首相………否、“海軍”総司令官補佐」

提示された疑問を半ばで遮り、我が輩は一束の資料を掲げてみせる。

( ФωФ)「その件ですが、“アテ”は既に用意してあります」







表紙には、気怠げな目付きをした一人のドイツ軍人の写真が添えられていた。
457 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2017/10/23(月) 00:39:01.89 ID:wQDSgDey0










「─────ってことは、戦車は全部点検が終わっているって事だな?」

「ええ、彼女の管理はしっかりしているのでチェック漏れが無いことは解っています」

「連携予定のストーシュル少佐の機甲部隊は?」

「予定配置についたってさっき連絡があったんです!イタリア軍の空軍部隊も出撃、15分後には攻撃を開始するんです!」

「ミルナやジョルジュも準備は終わってたわよ!廊下ですれ違ったけどやる気満々だったわ!」

「………じゃあ俺作戦開始まで何もしなくてよくね?つーか何もさせないでくれ、頼む」

「ダメよAdmiral!部下の士気を上げるのも貴方の役目なのよ!?」

「そのAdmiralってのマジでやめろ。それに俺が出て誰の士気が上がるんだよ」

「少なくともデレ中尉の士気は跳ね上がるのは解ってます」

「…………なんでそこでツンの名前が出てくるんだ?」

「僕、たまに少尉の頭がいいんだか悪いんだか解んないです………」

「だいたいなんで俺が指揮官なんだ………階級はミルナ中尉の方が上だし頭のできもティーマスの方がいいし───Verdammt」

嗚呼、マンドクセ。
458 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/23(月) 08:01:49.54 ID:Y16554wWo
いいねぇ
459 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/23(月) 14:54:37.55 ID:5y0bXKYA0
ロマさんも南総理も凄すぎるなw
それに皮肉気味でもあるけど、その政治力・外交力の一端をあの面々が支えてるのがなんとも
460 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2017/10/23(月) 21:34:07.29 ID:wQDSgDey0
よく、ドイツ語は演説向きの言語だって話を耳にする。何でも勇壮な響きの単語が多くアクセントも相手を「のせ」やすいため、大衆を高揚させ煽動する際に大きな助けとなるらしい。

まぁ、政治家なんていう七面倒な職につく予定もなければハーケンクロイツを掲げてミュンヘン辺りで崇高な使命を胸に抱いて決起する情熱も持ち合わせていなかった俺にとっては、はっきり言ってどうでもいい話だ。

………どうでもいい話、だったのだが。

(#゚д゚ )「─────Achtung!!!」

('A`)「…………コッチミンナ」

今俺は、1000人強の武装した兵士達の前でそんなドイツ語の特徴を最大限に生かす必要性に直面している。ミルナ中尉の(無駄に)良く通る声で全員が一斉に直立不動となり、心ない部下達によって壇上に追いやられた憐れな痩せぎすの陸軍少尉へと視線を集中させる。

あの大侵攻によって最前線都市に様変わりしたドレスデンは、今では東欧連合軍にとって重要な軍事拠点の一つだ。住民は悉く強制的に疎開させられ、元から済んでいた奴等は誰一人残っていない。変わって今街の中に居るのは、俺達ドイツ連邦軍を含む【東欧連合】に参加した国から派遣された軍人達。

今俺の後ろにある元ショッピングモールも、今や立派な軍事施設に様変わりだ。広場には兵士と整備済のPT-91【トファルディ】並びにレオパルト2、それに大小様々なタイプの輸送ヘリや戦闘ヘリが家族連れの代わりに雁首を揃え、屋上には即席の対空機銃座が晴れ渡った空ににらみを利かせている。

別段俺にとっての故郷だったり、或いは初恋の相手とのロマンスとかがあった思い出の地だったりというわけではない。それでも、ごく普通の営みが築かれていたはずの街が戦場になる事への哀愁を禁じ得ず────

( <●><●>)「少尉、貴方が街の光景に思いを馳せ憂うフリをしてこの場をうやむやにしようと思っているのは解ってます」

('A`)「ナンノコトデスカナ」
461 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2017/10/23(月) 21:37:19.71 ID:wQDSgDey0

壇上で後ろに立つティーマスが、小声で囁きながら俺の脚を他の奴等にバレぬよう小突く。痛みに顔を少ししかめながら誤魔化してみせたが、眼前の1000人分を遙かに凌ぐ強く鋭い眼光を背に感じたので直ぐにやめた。

('A`)「………つってもさ、真面目な話俺に何を言えってんだよ。割とマジでイヨウ中佐何を考えて俺をこの場に引っ張り出したの?階級だって高くねえしミルナ中尉やサイ大尉みてえに気が利いたことも言えないっての。いじめ?いじめなの?」

( <●><●>)「別段気の利いた事なんて言わなくていいですよ。貴方の口べたさ加減じゃ泣いてる5歳児だってあやせやしないでしょうに」

('A`)「お前俺の部下だよね?実は俺の暗殺を狙ってる悪の組織の手先とかじゃないよね?」

ぶっちゃけ事実なのがまた悲しくなる。

( <●><●>)「それと、少尉は“ドク=マントイフェル陸軍少尉という存在”が声を掛けることの効果をどうも過小評価している節がある。

別に上手くやらなくていい、少尉が言いたいことを適当に並べるだけで十分です」

('A`)「心温まる激励どうも」

デキる部下を持って幸せだね、あぁ。涙を禁じ得ないよ。

('A`)「………………はぁ」

とはいえ、この場に立ってしまった(立たされてしまった)以上逃げ場はない。それに、時間も刻一刻と迫っている。

('A`)「──────今回の作戦で、あんたらの指揮を取るドク=マントイフェル陸軍少尉だ」

だから俺は、部下のアドバイスを受け入れつつ観念して口を開いた。
462 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2017/10/23(月) 21:47:42.69 ID:wQDSgDey0
機動迎撃大隊………イヨウ中佐曰く「何でも屋」。それを構成するのが、ジョルジュ、ミルナ中尉、サイ大尉、ツンの四人を先頭に俺の前に並ぶ約1000人。

居並ぶ顔ぶれは本当に様々だ。ドイツ・フランス合同旅団から引きぬかれたフランス兵もいれば、サイ大尉に着いてきて共に編入されたアメリカ海兵隊もいる。俺やミルナ中尉の部下だった顔ぶれもちらほらあるし、どうも学園艦から志願してきたらしい年端もいかねえガキも、ほんの数人だがツンの後ろで列に加わっていた。

だが、今はその誰もが緊張と隠し切れない恐怖を浮かべて俺に視線を向ける。

無理もないよな。なんせ、今から参加させられる作戦が作戦だから。

('A`)「さっきも聞いたとおり、俺達の“この部隊”としての初出撃は間もなくだ、作戦要綱に変更はほぼない。

現在このドレスデンに向かって南進している深海棲艦の群体を、市街地付近まで引きつけて機甲戦力を集中運用し攻撃。

陸空連合軍並びに艦娘部隊との緊密なる連携によってこれに甚大な損害を与えた後、反転攻勢を以て敵制圧下に置かれたラーデンボイル、マイセンを奪還する。

今回の目的はただ敵の攻勢を押しとどめるだけじゃない。直後に行われる反攻戦まで含めての1セットになる」

要は、機動防御戦術の発展系と言える。地獄のヨーロッパ戦線における反撃の始まりとしてはなかなかど派手な花火になることは間違いない。

当然、「成功すれば」というのが大前提だが。

('A`)「進撃してきている深海棲艦の数は、あくまで概算だが優に300を越える。それも、後方での敵の動きを見るにこの一波ではほぼ間違いなく終わらない。

おまけに何とか敵の攻勢を撥ねのけて攻勢に出ることができたとすれば、戦線維持のため更なる増援が派遣される可能性が高い。

少なくとも、第二次マレー沖海戦の4倍弱。総司令部が計算している、俺達を含むドレスデン防衛軍が相手取らなければいけない深海棲艦の総数だ」

「「「………!」」」

1000人が、ほぼ同時に息を呑む音が広場に満ちる。
463 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2017/10/23(月) 22:00:49.00 ID:wQDSgDey0
('A`)「隠し事は苦手なんではっきりと言うが、この作戦の成功確率は低い。どれだけこっちに都合よく計算しても30%あるかないかってところだ。よしんば成功しても、ドレスデン防衛軍が受ける損害は計り知れない。

それは、この大隊も同じだ。何人死ぬか────いや、何人しか生き残れないかは、正直俺にも解らない。全滅したって何もおかしくない」

…………ほれ見ろ、素直にミルナ中尉やサイ大尉に任せりゃいいものを俺にやらせたばっかりにこのざまだ。今やサイ大尉の後ろに並ぶアメリカ海兵隊を除いた全員が葬式場のように陰気な顔つきで俯き、今にもすすり泣きが聞こえて来かねない。
  _
(;゚∀゚)「………」
 _,
ξ゚听)ξ「………」

ジョルジュが「オイオイ大丈夫かよ」とでも言いたげに目配せを飛ばし、戦車隊の乗組員達が並ぶ列からはツンも怪訝な表情で俺を睨む。

そんな顔しないでくれよ。なにせ俺は純粋な人間なんでね、副官に真摯にアドバイスを受けたから実行しただけさ。

……そうだな、どうせなら“徹底”するか。別に俺だって、率先して部隊の労働意欲を下げたいわけでもない。

せめて、せいぜい肩の力を抜いてこいつらが戦えるよう努力しよう。

('A`)「………そんな、地獄そのものの方がよほどマシな作戦に、今からあんたらは駆り出される。一応この大隊の現場指揮官である俺は、きっとあんたらにこう言わなきゃ行けないんだ。

祖国のため、人類のために、命をなげうって戦えってな」

('A`)「でも、俺はそんなこと死んでも口にするつもりはない。

俺自身、そんなことこれっぽっちも思っちゃいない」
464 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2017/10/23(月) 22:22:23.55 ID:wQDSgDey0
現状を説明したときよりも、ずっと大きなざわめきが目の前で飛び交う。アメリカ海兵隊の奴等ですら、少し驚いた表情を各々に作って俺の方を見ていた。

('A`)「俺は一介の陸軍少尉に過ぎない」

それらをあえて完全に無視して、言葉を続ける。俺の、「思ったままのこと」を。

('A`)「身体能力は高くないし、射撃の腕も至って平凡。ハリウッド映画の主役みたいに特別な能力も無ければ、後ろにいる戦場の女神様みたいに大昔の軍艦の力を宿してもいない」

「………フフンッ♪」

ξ#゚听)ξ

Bismarck ziewが、褒められたと見るや誇らしげに背後で鼻を鳴らす。瞑目し腕を組んでふんぞり返ってる様が有り有りと目に浮かぶ。

……ところで、ツンがやたらと不機嫌そうな理由が解らん。

('A`)「そんな俺が、祖国ドイツの命運やら地球人類の存亡やら背負えると思うか?勘弁してくれ。んなもん乗せられたら重量オーバー、一瞬でぺちゃんこになっちまう。

そんなもん押しつけられても迷惑なだけなんだよ、面倒くせぇ。何千万だか何億人だかの運命について考える余裕なんてない、俺は俺自身の世話で一杯一杯だ。

だから俺は、自分のことだけを考えて、自分のためだけに戦う」
465 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2017/10/23(月) 22:52:11.99 ID:wQDSgDey0
いつの間にか、ざわめきは止まっていた。ミルナ中尉達の後ろに整列する1000人は、俺がつらつらと並べた軍人にあるまじき怠惰な心情に呆気にとられている。憤るべきか、ジョークとして笑うべきか………互いに顔を見合わせ首を傾げている。

('A`)「この中に、スーパーマンみたいに深海棲艦を拳一つで粉砕できる奴はいるか?いたら手を上げてくれ」

誰も、手を上げない。

('A`)「日本の特撮ヒーローのように、全長40Mの光の巨人に変身できる奴は?」

誰も、手を上げない。

('A`)「闇の魔法使いみたいに、短い呪文一つ唱えるだけで敵を殺すことができる奴は?」

誰も、手を上げない。

('A`)「じゃあ、何の特殊能力も持たない“普通の人間”は?」

────ツンやミルナ中尉を含めて、全員の手が一斉に上がった。

('A`)「これで解っただろ?今この場に、“人類の命運”なんていうバカでかいもんを、“祖国の名誉”とかいう無駄に重いもんを抱えられる特別な人間なんて一人も居やしない。強いていうならBismarckだが、あいつにしたって幾ら何でも一人で全人類の救世主になれってのは無理難題だ。そんなこと、お伽話に出てくる完全無欠の主人公にしか許されない」

('A`)「…………だから、俺達が“そんなもの”のために戦う必要はない。命を賭ける必要はない。

ただ、俺達自身のために戦う必要はある」
466 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2017/10/23(月) 23:21:09.40 ID:wQDSgDey0
('A`)「深海棲艦は、俺達人類を明らかに皆殺しにしようとしている。

だから“対話”で解決なんてできやしないし、戦わずにいればどのみち俺達はいつか一人残さず殺される」

('A`)「“スーパーヒーロー”がいないのは、ここに限った話じゃない。世界中がそうなんだよ。どうか誰かあいつらをやっつけてくださいって願ったところで、誰もやっつけちゃくれない。

なら、俺達でやるしかないだろ?」

嗚呼、畜生。

やる前はあんだけ文句たらたらだったのに、小っ恥ずかしい。

(#'A`)「国家の名誉?人類の存続!?んなもん、俺達自身が死ねばケツ拭く紙ほどの役にも立ちはしない!せいぜい家族がいたときに、雀の涙ほどの見舞金が送られるぐらいだ!

そしてそんな端金一回貰うよりも、てめえと百万遍言葉を交わす方が家族もてめえ自身も嬉しいだろうがよ!!」

言葉に熱が籠もるのを、抑えられない。
467 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2017/10/24(火) 00:26:09.30 ID:hkVftlJ20
(#'A`)「俺達はいったい何のために生きてきた!?これから先何のために生きていくんだ!?

国家のためか?人類のためか?違う、俺達自身のためだ!俺達自身が生きたいから生きていく!」

('A`#)「俺達がこの場で武器を取り、押し寄せてくるディープワン共に立ち向かう理由は何だ!?名誉のためか?自己犠牲のためか!?違う!俺達自身のためだ!

俺達が明日を生きるために、今日という日を戦い抜くために銃を取る!!」

いつの間にか、俺は声を限りに叫んでいた。

大隊の奴等は、身動き一つしない。全員が真剣な表情で、痩せぎすな陸軍少尉の言葉を聞いている。

(#'A`)「大隊指揮官として、俺から作戦前に一つだけ“厳守”すべき命令を一つだけ出す!

生き抜け!!生きて、生きて、生き抜け!!!」

('A`#)「戦場に出る以上死ぬときは死ぬ、だから“死ぬな”なんて無理難題は言わない!だけど、“生きる”努力だけは絶対にやめるな!弾薬が切れたら奴等の眼球にナイフを突きたてろ!脚が折れたら這ってでもその場から逃げろ!腕を失ったら歯で噛みつけ!

どうせ俺達の戦いぶりなんざ、何百年経ったって“お話”になんてなりはしない!艦娘というヒーローの横で、こんな人達も居ましたって十把一絡げに纏められて終わりだ!」

('A`)「ならば安心して、美しく死なずに意地汚く生き足掻け!!名誉をかなぐり捨てて運命に中指突きたてて、最後まで生きるために戦い続けろ!!国家だの人類だのへの貢献のためなんて“言い訳”は許さない!!死にたくないと自分が思う限り、諦めずに生き続けろ!!」
468 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2017/10/24(火) 00:50:42.85 ID:hkVftlJ20
(;'A`)「そして………グゥエッホグエッホ」
  _
( ゚∀゚)「よーよー、のど飴いるかドクwwwwww」

息が切れ、激しく咳き込む。張り詰めていた空気が途端に弛緩して何人かが苦笑いを漏らし、それはジョルジュの茶々によって全員の爆笑へと伝播した。

俺自身、咳き込みながら思わず笑ってしまう。全く、慣れないことはするもんじゃない。

とはいえ、さっきまでの葬式場みたいな雰囲気は全員から綺麗さっぱり消えていた。

('A`)「……ゴホン。

さて、今日この日より、俺達は腐れ深海野郎共に反撃を開始する!さっきも言ったが、これは俺たち一人一人が、自分のためにやる戦いだ!」

(#'A`)「国土を取り戻すためじゃない、俺達がビールを飲み交わせる酒場を取り戻すための!

軍人として栄誉を得るためじゃない、俺達が人間として生きて笑い続けるための!

人類のためじゃない、俺たち自身のための!」


(#'A`)「俺達の、平穏でつまらない“日常”を守るための戦いだ!!

総員、戦闘準備急げ!!」 







「暁の水平線を、取り戻しに行くぞ!!!!」

「「「「Jawohl!!」」」」
469 : ◆vVnRDWXUNzh3 [saga]:2017/10/24(火) 01:06:28.60 ID:hkVftlJ20






《緊急ニュース速報です。先程東欧連合軍総司令部より発表があり、ドレスデン近郊において発生した深海棲艦との戦いに圧倒的勝利を収めたとのことです》

《機甲師団と空軍の緊密な連携によって張り巡らされた重厚な阻止火力戦の前に、深海棲艦側は序盤で甚大な損害を受ける形になり─────》

《ベル=ラインフェルト陸軍統合司令官のコメントによると、正確な数は把握していないものの損害は投入戦力の10%に満たないものと見られ………》

《連合軍部隊は速やかに反転攻勢を敢行、深海棲艦側に支配されていた幾つかの都市を奪還した模様で────》

《総司令部発表によれば、艦娘【Bismarck ziew】と陸軍戦力を統合した混成機動部隊が極めて大きな役割を果たし連合軍の勝利に繋がったと………》

《苦境が続くフランスや北欧三国では、この勝利に人々が大きく沸き立っています》

《この勝利に乗じて東部戦線でもポーランド軍を主力とする連合軍機甲師団がオーデル川を渡河。橋頭堡の確保に成功したと大々的に報じており────》

《日本のミナミ首相は東欧連合軍の歴史的勝利を賞賛し、彼らの奮戦に応える意味でも艦隊の到着は不可欠であると中東諸国に圧力を───》

《ベルリン、パリ、ベルゲンの相次ぐ失陥以来絶望的な状況が続いていたヨーロッパにあって、この勝利は非常に大きな意味を持つことでしょう。

トソン=カーヴィル大統領はホワイトハウスから、「この勝利は明け方に水平線から顔を覗かせた太陽の如く人々の心に希望の光を灯すだろう」と談話を発表、フランスへの支援も本格化させていく見込みで────》
470 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2017/10/24(火) 01:10:03.11 ID:hkVftlJ20




〜ある門番たちの日常のようです〜

完!これ
471 : ◆vVnRDWXUNzh3 [saga]:2017/10/24(火) 01:19:14.41 ID:hkVftlJ20
と、言うわけで、記念すべきマッスル鎮守府との本格的なクロスオーバー第一作目完結と相成りました。マッスルさん、魅力的なキャラクター達をこの複雑怪奇な(だけの)世界観に貸していただきましてありがとうございます。感謝のしようもありません。

そして支援レスを下さった読者の皆様、本当にありがとうございます。今回リアルとss内双方での大小様々なやらかしからストーリーが遅々として進まない中、それでも温かいお言葉を掛けていただいたことで何とか無事完走させることができました。ただ、書いてる間にキングダム発売日が過ぎてしまったときは本気で絶望しか感じなかったです。

もしマッスル鎮守府シリーズのほうはまだ未読だよという方がいらっしゃいましたら、エレファント速報はじめ幾つかのサイトで纏められておりますので是非お目通しください。

ここで出てきた( T)や青葉は本来の魅力の1/100も引き出せていないので、是非脊髄反射で暴れ回るキチガi………ゆるふわ愛されコメディをお楽しみいただければと思います。











因みに責任は負いかねます。
472 : ◆vVnRDWXUNzh3 [saga]:2017/10/24(火) 01:26:02.56 ID:hkVftlJ20
で、以降の展望ですがちょっと今作の反省点があまりにも多すぎるので諸々の見直しをしてからという形になりますので、やや期間が開く可能性が高いと思われます。ただ、間にミセ*゚ー゚)リと( ^ω^)それぞれの短編を上げるかも知れないのでそっちは書くとしたらそこまで時間はかからないかも知れないです。

では、今回はこれにて。

皆様、重ね重ねありがとうございました。
473 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2017/10/24(火) 01:31:35.21 ID:hkVftlJ20
このssはss速報vip、ギコ猫、しぃ猫、杉浦ロマネスク、やきうのおにいちゃん、地獄の血みどろマッスル鎮守府シリーズの提供でお送り致しました


 ?n               ?n
 (ヨ?)              (?E)
 / |      ?  ?       | ヽ
 \?\/(ФωФ)/彡(゚)(゚)ヽ/ /
  ?\(uu     /    ?uu)/
    |     ?∧     /?

  __
  / )))   _
`/ イ~   (((ヽ
(  ノ      ̄Y\
| (\ ∧_∧ | )
ヽ ヽ`( T)/ノ/
 \ | ⌒Y⌒ / /
  |ヽ  |  ノ/
  \トー仝ーイ
   | ミ土彡/
   )   |
   /  _  \
  /  / \  ヽ
  /  /   ヽ |
474 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2017/10/24(火) 01:33:51.13 ID:hkVftlJ20
過去作一覧
歌丸「お待たせいたしました」提督「大喜利のコーナーです」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1464871917/

ダージリン「こんな言葉を知っていて?大喜利はいいぞ」歌丸「三枚やって」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1469614519/

( ^ω^)はホームレスのようです
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1488188452/

( ・∀・)戦車道連盟広報部のようです
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1488284987/

( ´_ゝ`)流石な鎮守府の門番さんのようです(´<_` )
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1489148331/

( ^ω^)戦車道史、学びます!のようです
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1489304048/

川 ゚ -゚)艦娘専門店へようこそ!のようです
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1489478497/


('A`)が深海棲艦と戦うようです
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1489759020/

( ^ω^)戦車道史、教えます!のようです
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1490100561/

|w´‐ _‐ノv空に軌跡を描くようです
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1490532219/


l从・∀・ノ!リ人 流石なれでぃたちの大騒動のようです
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1491313655/

( ^ω^)その時、戦車道史が動いた!のようです
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1491739394/

( ´_ゝ`)流石な鎮守府が安価で運営されるようです(´<_` )
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1492601807/

川д川 ある鎮守府が呪われたようです
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1493264370/

('A`)はベルリンの雨に打たれるようです
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1494212892/

では、HTML申請して参ります
475 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/24(火) 01:46:49.42 ID:IKCJPG/A0
お疲れさまでした!
若干成長してるドクにも、サラッと勝利をかっさらった面々にもワロタ
…待ちわびてたであろうリ級を、相打ち気味でも行動不能にしてた青葉もMVPなんだからこの世界は恐ろしいw
476 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/24(火) 06:39:51.90 ID:LdDUkyA/O
乙、今回もおもしろ熱かった

タイトルにもなったのにほとんどギコに出番取られた流石兄弟ェ……
477 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/24(火) 07:30:23.98 ID:4okm0Y3Xo
激しく乙

>>476
今回の門番はギコとしぃのことだぞ
478 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/24(火) 07:45:52.89 ID:eL5oZ3UcO
おつおつ
479 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/24(火) 14:16:48.45 ID:byI1dPxFO

マッスルの方よく知らない身としてはなんじゃこの時雨ってなった
480 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/24(火) 14:44:55.27 ID:DS9wnwVSo
まあ乙
他所とクロスする意味が欠片もわからんかったが
481 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/24(火) 20:16:58.72 ID:Oi2HNaCRO

マッスル鎮守府の人とのコラボは良かったと思うな。あくまでもマッスル鎮守府全開過ぎずに素材を殺して無い感じが絶妙。

マッスル鎮守府の人は早く過去話書くんだよ。おうあくしろよ
482 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/25(水) 01:23:48.83 ID:/YuoaphA0
元々日本側の描写がブーン先生と流石兄弟の所属している所くらいだったし、世界を滅ぼしかねない深海側の大攻勢を跳ね退ける「人類側の主力」として海軍が打ち出されその一部としての投入されたんだから重要かと。
…ギャグテイストでもかけないと、禁断の破壊兵器の大規模実戦投入によって、人類のパワーバランスごと崩れかねないしw

それにマッスル鎮守府の新作にも期待せざるをえないしなあw
483 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/27(金) 21:00:43.36 ID:EVDukzoe0
一気読みした
今回特にファルロとか容赦ない展開だったから読むのに体力使ったわ
ともあれ乙
484 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/31(火) 21:12:08.88 ID:stTq/B2l0
お疲れさまでした!
今回もとても楽しく読ませていただきました。
続編も期待してます!
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