高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「探り合いのカフェで」

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39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 23:02:04.01 ID:XM/SNCIS0
>>38 3行目と7行目の加蓮のセリフ、「検討」は「見当」の誤りです。申し訳ありません。


藍子「加蓮ちゃんに、あと2つだけ、質問です」

加蓮「うん」

藍子「最近、このカフェに1人で来たことはありますか?」

加蓮「ないよ。1人で来ても楽しくないって分かったもん」

藍子「この仕掛けの中で、加蓮ちゃんはずっと演技をしていましたか? それとも……」

加蓮「たぶんだけど素が混ざってるとは思う。ずっと仮面をかぶってたら疲れちゃうもん」

藍子「分かりました。ちょっと整理しますね」メヲツブル
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 23:02:33.94 ID:XM/SNCIS0
藍子「うん、……うん。確か――」ブツブツ

加蓮「…………」

藍子「私と加蓮ちゃんが……カフェに……2日前で――」

加蓮「…………」(髪の先をいじりだす)

藍子「あの時は……加蓮ちゃんが……」

加蓮「…………」(メニューを何度もパラパラと捲る)

藍子「……よしっ」

加蓮「!」

藍子「それなら、こっちの」スッ

藍子「ネイルの道具が入った、インディゴカラーのプレゼント。こっちが、加蓮ちゃんのですよね?」

加蓮「……」
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 23:03:04.04 ID:XM/SNCIS0
加蓮「……根拠」

加蓮「藍子の考えた、"私の考えたこと"。自信は?」

藍子「そこそこ」

加蓮「藍子にしては強く出たね」

藍子「あなたのことですから」

加蓮「聞かせて?」
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 23:03:34.01 ID:XM/SNCIS0
藍子「まず加蓮ちゃん、さっき、ずっと演技をしていた訳ではないって言いました」

加蓮「うん」

藍子「最初にプレゼントを並べた時、加蓮ちゃんはこう言いましたよね」


加蓮『ちなみにインディゴカラーは藍子にちなんで合わせてみました』


加蓮「あっちゃー……」

藍子「すごく自然な言い方だったので、きっとあれは演技ではないと思ったんです」

加蓮「はいはいせーかいせーかい。それだけー?」
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 23:05:04.14 ID:XM/SNCIS0
藍子「いいえ。次に、プレゼントを用意した時のお話です」


加蓮『簡単に結べるヤツだからね。店員のを真似しちゃった』
加蓮『そうそう、2日前に揃えたんだったっけ』


加蓮「…………ん?」

藍子「あれ? どこか間違っていましたか……?」

加蓮「あ、や……。よく覚えてたね。藍子って勝負にそこまでマジになるタイプだっけ?」

藍子「加蓮ちゃんのお話ですし」

加蓮「……"揃った"って言い方だったら、マグカップに合うマドラーを探してたのかもしれないよ?」

藍子「違います。そこではありません。加蓮ちゃんが私へのプレゼントを用意してくれたのは、2日前なんですよね?」

加蓮「うん」

藍子「結び方を、加蓮ちゃんは"店員さんの真似をした"って言いました」

加蓮「それが?」


加蓮『4日ぶりくらいだっけ?』
藍子『そうですね』


藍子「加蓮ちゃんが最後にこのカフェに来たのは、4日前。プレゼントを揃えたのは2日前」
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 23:05:34.50 ID:XM/SNCIS0
藍子「そして、結び方は店員さんの真似をしたってことは――」


藍子『最近、このカフェに1人で来たことはありますか?』
加蓮『ないよ。1人で来ても楽しくないって分かったもん』


藍子「前々から店員さんと打ち合わせをした、ってことは、できないハズです」

藍子「加蓮ちゃん、今日ここに来て店員さんにお話して、箱を渡してもらって、それを真似た……んですよね?」

藍子「真似たのは、結び方で区別がつかないように、でしょうか」

加蓮「……で、それでこの辺の話がどう正解に繋がるの?」

藍子「加蓮ちゃんはすごく真面目でいい子です。イタズラをする時もいつだって全力ですよね」

藍子「もし、もっと日にちや時間に余裕があったら、もう少し店員さんとよくお話をして、計画を企てることができます」

藍子「例えば……。……例えば、はちょっと思いつきませんけれど……」
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 23:06:04.56 ID:XM/SNCIS0
藍子「あ、思いつきましたっ。例えば、店員さんにもっとネイルのお話をしてもらったり、逆に加蓮ちゃんがマグカップの話をしたり」

藍子「そうしたら、私をもっと上手く騙せると思いますし――」

藍子「それだけの余裕があれば、加蓮ちゃんは絶対にそこまでしますよね?」

加蓮「…………ん」

藍子「そうではないってことは、これって、今日急に決めた仕掛けですよね?」

藍子「急に決めた仕掛けなのに、加蓮ちゃんが偶然"店員さんの用意しそうな"マグカップを」

藍子「店員さんが偶然"加蓮ちゃんの用意しそうな"ネイルセットを」

藍子「お互いが用意していた、っていうのは……ちょっと、おかしいと思います」

加蓮「成程ね。仕込む時間があれば敢えてお互い逆にするって仕掛けもできるけど、急に決めたならそうではないと」

藍子「はい。――それと、もう1つ」

加蓮「ん?」
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 23:06:33.99 ID:XM/SNCIS0
藍子「これは推理ではありませんけれど……」

藍子「それに、もし、事前に用意する期間があっても、きっと加蓮ちゃんなら」

藍子「自分の大好きな物を人に用意してもらって、人の大好きな物を自分が用意する、なんてこと、しないと思うから……」

加蓮「…………」

藍子「私、最後の最後で、ちょっとだけ悩みました。加蓮ちゃんのどっちを信じればいいんだろうって」

加蓮「どっち、っていうのは……」

藍子「イタズラとイジワルに全力な加蓮ちゃんか、好きな物には全力で好きな加蓮ちゃんか」

藍子「ちょっとだけ悩んで――」(インディゴカラーの箱を手に取り)

藍子「やっぱり私は、好きな物に全力になる加蓮ちゃんを信じたくなっちゃいました」ニコッ

加蓮「っ……」
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 23:07:04.04 ID:XM/SNCIS0
藍子「あたっていますか……?」

加蓮「…………完敗! 私の負け!」

藍子「やったっ♪」

加蓮「あーもう! ホント……ホントにも〜〜〜〜!」

藍子「あんまり周りの人を困らせちゃダメですよ、加蓮ちゃん。意味のあることでも、ですっ」

加蓮「そ、そこだけは誤解を解かせて! 計画持ちかけたら悪い顔で乗ってきたのあっちだから!」

藍子「……向こうの方から見守ってる店員さん、顔を真っ青にして首を横に振っていますけれど」

加蓮「私今日は藍子に嘘だけはついてないでしょ!」

藍子「それもそうですね。それなら、加蓮ちゃんを信じることにします」
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 23:07:34.11 ID:XM/SNCIS0
藍子「でも、この仕掛け、楽しかったですよ?」

加蓮「楽しかった、って……。こんなのただのイジワル――」

藍子「解いていく途中で、加蓮ちゃんがどう考えて、どう行動したのか……加蓮ちゃんの気持ちになって、色々推理できちゃいましたから♪」

加蓮「〜〜〜〜〜〜〜!!」ツプセ

藍子「きっと小説の探偵さんにはできないことですよね。だって、今回の犯人さんは私の大好きな――」

藍子「? 加蓮ちゃん?」

加蓮「〜〜〜! 〜〜〜〜!!」ジタバタ

藍子「そんなに悔しかったんですか……?」

加蓮「ちがっ……うぅ、トイレ行ってくる!」バッ

藍子「はあ」
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 23:08:04.29 ID:XM/SNCIS0
<ばたばたばた
<がちゃん!

加蓮(〜〜〜〜〜〜〜!)

加蓮(あーあーあーあーあーあーあー!)

加蓮(なんでこう……ぜんぶ見抜いてくるしぜんぶ覚えててくれるし! それに最後の……最後のあの笑顔!)

加蓮(色々反則でしょうが! 私を惚れさせる気か!)

加蓮(あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜………………)

加蓮(…………!!! ………………!)

加蓮「……すぅー、はぁー」

加蓮「あー……うー……」

加蓮「ごほんっ。あーあーあー……」

加蓮「……」

加蓮「よしっ」パンッ
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 23:08:33.96 ID:XM/SNCIS0
<がちゃ
<てくてく


加蓮「お待たせ藍子」

藍子「お帰りなさい、加蓮ちゃん」

加蓮「ごめんねー? ちょっと悔しくてつい――」チラ

加蓮「ん? 何これ。テーブルに……猫の写真と、家の写真?」

藍子「ふふ♪ これ、片方は私が撮った写真です。そして、もう片方は、最近店員さんが撮った写真だそうです。さっき借りちゃいました」

加蓮「……ねえ。もしかして」

藍子「さて問題です。加蓮ちゃん。どっちが私の撮った写真でしょうか♪」

加蓮「んなっ! ……ぜ、絶対当てる。いやそれだけじゃない。全部暴く。絶対暴いてやる〜〜〜……っ!!」

藍子「……♪」
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 23:09:03.93 ID:XM/SNCIS0


おしまい。
読んでいただき、ありがとうございました。

52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/25(火) 23:28:34.06 ID:v2ORGFYDO
おつですー
待ってましたー

店員さんがプレゼント用意するって、何気に胆力ある感じがしますねー
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/26(水) 02:07:40.15 ID:IMOnIR1H0
おつおつ。
新作お待ちしてました。あーちゃんの全てお見通し(信頼)って感じとそれに照れる加蓮ちゃんに凄く癒されました。
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/26(水) 08:16:52.84 ID:W/w8uOdJ0
おつー
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/27(木) 03:59:19.41 ID:p3aXB58Io
これは真っ赤な加蓮がトラプリに拡散ですね…
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