高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「探り合いのカフェで」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 22:40:52.83 ID:XM/SNCIS0
――おしゃれなカフェ――

北条加蓮「こんにちは、藍子♪」

高森藍子「こんにちは、加蓮ちゃんっ」

加蓮「4日ぶりくらいだっけ?」

藍子「そうですね。今日も元気そうで、ちょっぴり安心しましたっ」

加蓮「4日くらいでバテたりはしないよ〜」

藍子「あはっ、そうですよね♪」

加蓮「……」ニコニコ

藍子「……」ニコニコ

加蓮「……」ニコニコ

藍子「……」ニコニ...

藍子「…………あれ?」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1500990052
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 22:41:33.55 ID:XM/SNCIS0
――まえがき――

レンアイカフェテラスシリーズ第51話です。
以下の作品の続編です。こちらを読んでいただけると、さらに楽しんでいただける……筈です。

・北条加蓮「藍子と」高森藍子「カフェテラスで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「カフェテラスで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「膝の上で」
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「最初にカフェで会った時のこと」

〜中略〜

・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「薄明るい自室で」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「過ぎた後のカフェテラスで」
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「靄々の桜流しに」
・高森藍子「加蓮ちゃんの」北条加蓮「膝の上に 2回目」

お久しぶりです。
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 22:42:03.66 ID:XM/SNCIS0
加蓮「何? どうしたのー? んー?」

藍子「いえ……。あれ? ……あれ??」

加蓮「じっと見ちゃって。私の髪に何かついてる?」

藍子「そんなことは……。……すみません、なんでもないんです」

加蓮「ふぅーん」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 22:42:33.41 ID:XM/SNCIS0
加蓮「あ、そうだ。今日は――」

藍子「!」

加蓮「何食べる? サンドイッチとか軽い系でもいいしがっつり行ってもいいんだけど、コーヒーだけってのもアリよね」

藍子「……あれ?」

加蓮「はい、メニュー」スッ

藍子「あ、はい。ありがとうございます……??」ウケトル

加蓮「……」

藍子「……」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 22:43:03.99 ID:XM/SNCIS0
加蓮「そうだ」(自分のカバンを漁る)

藍子「!」

加蓮「はいこれ。前に借りてたヘアピン、返すね」

藍子「え」

加蓮「ホント助かったっ。衣装に合うのがなくてさー。色々コレクションしたつもりだけど、私もまだまだだったね」

藍子「……役に立ててよかったです……」ウケトル

加蓮「……」

藍子「……」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 22:43:37.95 ID:XM/SNCIS0
加蓮「そーいえばさ。プレゼント――」

藍子「!」

加蓮「をファンからもらったんだけど、食べ物系ってNGじゃん?」

加蓮「バームクーヘンを贈ってくれたファンがいたみたいなの。それがすっごくもったいなくてさー」

加蓮「どこのお店のなのか調べるまですっごくかかっちゃった。藍子ってそういうことない?」

藍子「……ないと思います」

加蓮「ホントにー?」

藍子「あったかもしれませんけれど」

加蓮「そっか」

藍子「……」

加蓮「……」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 22:44:03.82 ID:XM/SNCIS0
藍子「……あの、」

加蓮「も〜、どうしたの藍子? メニューを握りしめたまんまで」

藍子「いえ、」

加蓮「のんびり屋なのはいつも通りだし相変わらずノロマで周りに置いていかれないか心配だけどやっぱり藍子は藍子なんだろうなーって思うけど、」

藍子「それは――ってそれ褒めてます? それとも私、貶されてます?」

加蓮「褒めて貶してる」

藍子「どっちですか〜」

加蓮「いいじゃん。褒めて貶して。褒め殺しっていうのも疲れるでしょ?」

藍子「私はいっぱい褒めてあげる方が好きかな……」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 22:44:33.61 ID:XM/SNCIS0
加蓮「で結局何を注文するの。ほら、あっち見て。店員が直立不動になってるよ。ふふっ、命令を待ってる執事みたい」

藍子「あっ。そうですね。待たせているなら、早く決めちゃわないとっ」パラパラ

加蓮「藍子ってあんまりお嬢様感ないなー。未央や茜と一緒にいるからかなぁ」

藍子「何にしようかなぁ……」パラパラ

加蓮「藍子ちゃんがお嬢様感を出せる相手、募集中〜♪ なんてっ」

藍子「決めましたっ。私はホットケーキにします」

加蓮「ひとくち」

藍子「もう、しょうがないですね」

加蓮「やったっ。じゃー私はサラダ小盛りでー。あ、そうだ。藍子にもあげる」

藍子「ありがとうございますっ」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 22:45:03.57 ID:XM/SNCIS0
加蓮「すみませーん」

藍子「注文――あ、あの、店員さん? 何かあったんですか? どうしてそんなに、緊張した顔……」

加蓮「ほらほら。きっと藍子が載ってる雑誌でも読んだんだよ。そうだよね?」チラ

藍子「……すっごく首を縦に振っていますね。そんなにしたら、目、回しちゃいますよ?」

加蓮「ホットケーキとサラダ小盛ー。と、アイスティーと……ココア辺りかなぁ」

藍子「あ。飲み物のこと忘れちゃっていました」

加蓮「お願いねー」ヒラヒラ

藍子「お願いします」ペコッ
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 22:45:33.67 ID:XM/SNCIS0
加蓮「……あーあー。左手と左足が同時に出ちゃってる。(小声で)隠し事の下手な人だ……」

藍子「そんなに緊張させてしまうようなこと、最近あったかなぁ……、……かくしごと?」

加蓮「あ。……あー。ほら、よくさ、マンガとかドラマとか。あるじゃん。ああいうの」

藍子「確かによくありますよね。どんな隠し事をしているのかな……?」

加蓮「隠し事なんだから暴いちゃダメだよー」

藍子「それを加蓮ちゃんが言うんですか」

加蓮「私だからいーの」

藍子「なんだか納得できてしまいますね」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 22:46:03.67 ID:XM/SNCIS0
加蓮「〜〜〜♪」

藍子「……」

加蓮「〜〜〜♪」

藍子「……」

加蓮「〜〜〜♪」

藍子「……あ、あの」

加蓮「んー?」

藍子「えっと……。……加蓮、ちゃん?」

加蓮「何ー?」

藍子「……いえ……。何でも」

加蓮「そっか」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 22:46:33.69 ID:XM/SNCIS0
藍子「…………」

藍子「…………」

藍子「…………???」


加蓮(……ふふ♪ そうだよね。こんな反応になるよね)

加蓮(誕生日なのに何も言ってこない。私が知ってるってことを藍子だって知ってる筈なのに)

加蓮(別に藍子は主張が弱い子じゃないけど、でもやっぱりこう、あんまりワガママを言ったりはしないんだよね)

加蓮(周りに背中を押されて、色々仕掛けられて、それでようやくモバP(以下「P」)さんに言うって程度)

加蓮(昔はそうでもなかったらしいけどねー……)

加蓮(それはともかく。「あんまり言わない」なら――「言わせたくなる」よね?)

加蓮(ふふふー。先回りして、店員にも頼んだのは成功だったねっ♪)
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 22:47:03.64 ID:XM/SNCIS0
――回想:約1時間前――

加蓮『すみませーん。アイスコーヒーお願い。……藍子? 後で来るよ。何? そんなに楽しみなの?』

加蓮『だから藍子は私――まいっか。そうだ店員さん。ちょっとお願いがあるんだ。藍子絡みで』

加蓮『……なんでそこで目ぇ輝かすかなぁ。分かりやすすぎ』

加蓮『今日さ、藍子の――知ってる? プレゼントも用意した? そっか』

加蓮『それなんだけど、2つお願いしたいことがあって』

加蓮『まず1つは、私が解禁するまで言わないで欲しいの。……まーまー。そんなに困らせはしないから♪』

加蓮『それから、もう1つは――』

――――。

加蓮『……話が分かるじゃん♪』

――回想終了――


藍子「うーん……」

加蓮(悩んでる悩んでる。さて、どう来るかな?)
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 22:47:33.76 ID:XM/SNCIS0
藍子「うーん…………」

加蓮(自分が誕生日だってことを素直に言うか。回りくどく来るか。それとも、私が言うのをひたすら待つか)

藍子「ううーん…………」

加蓮(相変わらず藍子は困ってるところも藍子だよね。うんうん)

藍子「ん〜〜〜…………」

加蓮(……困ってるところ、かぁ)

藍子「ん〜〜〜〜〜〜………………」
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 22:48:03.73 ID:XM/SNCIS0
加蓮(でもさ。私って普段からけっこう藍子のこと困らせたりしちゃうからなぁ……)

藍子「!」

加蓮(うーん……。やっぱり、こういうのは良くな)

藍子「む〜」プクー

加蓮「い――……? あははっ、どうしたの。急にぷくーって。何か意地悪されたことでも思い出した?」

藍子「たぶん、今まさにイジワルされてると思うんです。私」

加蓮「店員から?」

藍子「違います」

加蓮「藍子を困らせるなんて悪い人だね。ちょっと文句言ってくる」

藍子「加蓮ちゃんからですよ!」
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 22:48:35.00 ID:XM/SNCIS0
加蓮「私、何も言ってないよ?」

藍子「何も言っていないからです!」

加蓮「そっかそっか。藍子ちゃんは私に何を言ってほしいの?」

藍子「それはっ、……、…………ぅ〜」

加蓮「ふふっ」


加蓮(……やるからには徹底的って言うし? あははっ、いいや♪)


加蓮「あ、店員さんだ――相変わらずロボットみたいな動きしてるね……」

藍子「……」プクー
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 22:49:03.69 ID:XM/SNCIS0
藍子「……」クンクン

藍子「! ホットケーキのいい匂い……!」ペコリ

加蓮「(単純……)サラダも美味しそー。あれ、前の時よりトマトが増えてない?」

藍子「そうなんですか? あ、本当だ。プチトマトが増えていますね」

加蓮「ここのトマトってなんでこんなに美味しいんだろうねー」

藍子「カフェで食べる野菜って、すっごく美味しいですよね♪」

加蓮「ドレッシングとか切り方とかにコツがあるのかな」

藍子「私も真似して、家でいろいろ試してみているんです。でもどうしても上手くできなくて」
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 22:49:33.80 ID:XM/SNCIS0
藍子「うぅ……店員さん。せめてヒントだけでも!」

加蓮「……すごく迷って拒否するってことは、このやり取り初めてじゃないの?」

藍子「えへ。だって知りたくなっちゃうじゃないですか。こんなに美味しいんですから!」

加蓮「今度私にも教えてね。……包丁の握り方とか」

藍子「それくらいなら私が教えてあげますから……」

加蓮「猫の手だっけ」

藍子「そうですよ。こう、猫みたいに手を丸くして」

加蓮「猫の気持ちで」

藍子「にゃー♪」

藍子「……って撮らないでください! ニヤニヤしないでください!!」

加蓮「藍子の猫ポーズゲットー♪ よかったね店員さん。良い物見れて」

藍子「うぅ……。加蓮ちゃんのばかぁ……」

加蓮「藍子も店員さんも顔真っ赤だよ。おもしろーい」
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 22:50:03.85 ID:XM/SNCIS0
加蓮「あ、他のお客さんに呼ばれてるみたいだよ。また後でね」ヒラヒラ

藍子「……ホットケーキ、いただきますね」テヲアワセ

藍子「……」モグ

藍子「……美味しい……♪」

加蓮「あむあむ。……しゃきしゃきー。サラダ美味しー」

藍子「ココアも甘くて、冷たいのにすごくほっこり――」ハッ

藍子「!」

藍子「…………」プクー

加蓮「お。またハムスターになった」
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 22:50:33.87 ID:XM/SNCIS0
藍子「…………」プクー

加蓮「……ふふっ。ホットケーキ、食べないと冷えちゃうよ?」

藍子「……」

加蓮「出した物は美味しいうちに食べてほしいって思ってるんじゃないかなー」

藍子「……。いただきます」モグ

加蓮「ふふふ」

……。

…………。

藍子「ごちそうさまでしたっ」パン

加蓮「ごちそうさまでした」パン
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 22:51:03.78 ID:XM/SNCIS0
藍子「ふぅ……。お腹いっぱいで、ちょっぴり眠たくなってきちゃいました」

加蓮「外暑かったもんねー。少し寝てく?」

藍子「それもいいかも……。ここは涼しくて、つい、うとうと――」ハッ

藍子「違うんです! 私はまだ加蓮ちゃんに問い詰めてませんっ! ここで寝る訳にはいかないんです!」

加蓮「何を?」

藍子「それは、…………も〜〜〜〜!」

加蓮「あはははっ」
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 22:51:33.90 ID:XM/SNCIS0
藍子「はあ……。1つ、聞いてもいいですか?」

加蓮「ん。何?」

藍子「加蓮ちゃんって、いい子ですよね」

加蓮「藍子よりは悪い子だけど?」

藍子「私の知ってる加蓮ちゃんはとっても真面目でいい子です」

加蓮「……ならなんで聞いたのよ」

藍子「よくPさんや奈緒ちゃんに、冗談を言ったりして困らせたり……私にも、よくイジワルしますけれど、」

加蓮「ほら悪い子」

藍子「意味もなく周りを困らせるような人ではありませんよね?」

加蓮「……さーぁね。道具を隠したり、できっこないことを無理強いしたりばっかりだったよ?」
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 22:52:33.83 ID:XM/SNCIS0
藍子「それを悪い子だって言うなら、私だってそうです。私だって、小さい頃はそうでしたもん」

加蓮「藍子が? ちょっとそれは信じられないなー」

藍子「ワガママを言ったり、周りを困らせることを言ったり――」

加蓮「……ふふっ」

藍子「とにかくっ、加蓮ちゃんはいい子なんです。私の知っている加蓮ちゃんは――」

藍子「……いい子だって、信じていいんですよね?」

加蓮「ん……」

加蓮(……………………)

加蓮「藍子」

藍子「はい?」

加蓮「誕生日、おめでと」

藍子「へ? ……え!?」
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 22:53:03.82 ID:XM/SNCIS0
加蓮「だから、誕生日おめでとう、藍子。ハッピーバースデー」

藍子「…………????」

加蓮「変なことやって困らせてごめんね?」

藍子「……? …………??」

加蓮「この辺が潮時だし。私は藍子のリアクションが楽しみであってさ、困らせたい訳じゃないし」

加蓮「あと……信じてもらえなくなるのって、やっぱり――」

藍子「……何だったんですかこれ〜〜〜〜〜〜〜!!!」ガバッ

加蓮「わ!?」

藍子「何だったんですか!? 何だったんですかこれ!?」

加蓮「え、いや何って」
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 22:53:33.86 ID:XM/SNCIS0
藍子「私、何か加蓮ちゃんを怒らせちゃったんじゃないか、とか」

藍子「もしかしたら夢の中なのかな、とか」

藍子「ひょっとして1日寝過ごしちゃってるのかな、とか」

藍子「色々考えちゃいましたよ!!」

加蓮「そ、そんなに色々考えちゃってたかー」

藍子「色々考えちゃいました!!」

加蓮「あははは……。いやほら、藍子がどういう反応するかな〜、なんて?」

藍子「む〜〜〜〜〜〜〜」
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 22:54:03.78 ID:XM/SNCIS0
――10分くらい経ちました。――

加蓮「第2ラウンド」

藍子「第2ラウンド?」

加蓮「ここにピンクのリボンでラッピングされた箱とインディゴカラーのリボンでラッピングされた箱があります」

藍子「ありますね」

加蓮「ちなみにインディゴカラーは藍子にちなんで合わせてみました」

藍子「ありがとうございます♪」

加蓮「この色、好き?」

藍子「好きになっちゃいました。加蓮ちゃんは薄荷のお花、好きになれましたか?」

加蓮「……ん」
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 22:54:33.85 ID:XM/SNCIS0
加蓮「で。この箱、片方はさっき店員が持ってきてくれました」

藍子「はい。持ってきてくれましたね」

加蓮「あの店員、ホント藍子のこと好きすぎでしょ」

藍子「あはは……。きっと、加蓮ちゃんのことだって大好きですよ」

加蓮「だといいけどね。さて藍子ちゃんに問題です。どっちが私からのプレゼントでしょうか?」

藍子「どっち、って……さっき加蓮ちゃん、カバンからピンクの方を取り出しましたよね? なら、そっちが加蓮ちゃんのじゃ――」

加蓮「ホントにそれでいいの?」

藍子「えっ」

加蓮「ピンクの方が私からのプレゼント。ホントにそれで大丈夫?」

藍子「それはどういう……」
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 22:55:03.88 ID:XM/SNCIS0
加蓮「ちなみに私、今日さ、藍子が来る1時間前からこのカフェに来てたんだ」

藍子「1時間も前から!?」

加蓮「ちなみにこのクイズ、外したら……」

藍子「は、外したら」ゴクッ

加蓮「さてさっきの猫ポーズの藍子ちゃんは誰に贈ろうかな。やっぱり未央かな。きっと1日で事務所のみんなに拡散してくれるだろうし」

藍子「!?」

加蓮「それとも春菜がいいかなー。眼鏡以外でも猫好きアイドルで通ってるし。みくちゃんに対抗して猫耳ユニットとか出来上がらないかなー」

藍子「!?!?」

加蓮「今なら春頃に撮った、私の膝の上で丸くなって眠る藍子ちゃんもセットで――」

藍子「待ってください! 私もうちょっと考えますから! だからスマートフォンに指をかけるのはストップ! ストップで!!」

加蓮「ふふふ」
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 22:55:33.90 ID:XM/SNCIS0
藍子「ぜー、ぜー、ぜー……。わ、分かりました。加蓮ちゃん。どっちが加蓮ちゃんの用意した物か、当てればいいんですね?」

加蓮「そういうこと」

藍子「と言われても、ヒントがなさすぎますね……。中を見るのはダメなんですか?」

加蓮「ん、いいよー」

藍子「じゃあ、開けちゃいます」(ピンクのリボンを解き始める)

加蓮「……自分で選んだプレゼントを目の前で開封されるのってやっぱ緊張するよね。何度やっても慣れないや」

藍子「? ってことは、こっちが加蓮ちゃんの用意した――」

加蓮「あーっ。しまったーっ。ついうっかり口が滑っちゃったーっ」

藍子「ええぇ……」

加蓮「にやにや」
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 22:56:33.77 ID:XM/SNCIS0
藍子「……とにかく中身を見てから考えますっ」シュルル

藍子「わぁ! 可愛いマグカップ♪ あっ、これマドラーもついてる。これは、猫の肉球でしょうか?」

加蓮「可愛いでしょ。今日は猫をよく見る日だね」

藍子「私も、ここに来る途中でお昼寝している猫さんを見ましたっ。あまりに気持ちよく眠っていて、写真を撮ることができなくて……」

加蓮「起こしちゃいそうだった?」

藍子「うぅ。はい」

加蓮「藍子は優しいねー。さ、もう1つの方も開けてみてよ。ほら、早く早く♪」

藍子「はーい。こっちは――」シュルsyル

藍子「あれ? 色々入っているんですね。しゃかしゃか、って音がしました」パカッ
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 22:57:03.85 ID:XM/SNCIS0
藍子「これは……ネイルの道具、でしょうか?」

加蓮「よくわかったね」

藍子「前に加蓮ちゃんがつけているところ、見たことありますから。確か、リムーバーに、ジェルに、後は……」

加蓮「また今度詳しく教えてあげる」

藍子「お願いしますっ」

加蓮「ふふっ」

藍子「プレゼントありがとうございます、加蓮ちゃんっ」

加蓮「それはまだ早いよ。どっちが私のか、まだ分かってないでしょ?」

藍子「ふふ、そうですね」
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 22:57:33.98 ID:XM/SNCIS0
藍子「確認ですけれど、これはどちらかが加蓮ちゃんの用意した物で、どちらかは店員さんが用意してくれた物なんですよね?」

加蓮「うんうん」

藍子「普通に考えたら、ネイル道具の方が加蓮ちゃんらしいですけれど……」

加蓮「でも私が取り出したのはピンクの方だった」

藍子「それに加蓮ちゃん、最近ネイルのお仕事をよくしていますよね」

加蓮「色々あってさ。ほら、前の撮影仕事の頃、フットネイルにハマってたんだ。サンダル履く季節だし」

藍子「足の指にも、ネイルってするんですか?」

加蓮「もちろんするよ」

藍子「手だけだと思っていました」
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 22:58:04.68 ID:XM/SNCIS0
加蓮「ちょうどネイルをしている時に、Pさんがうちに来ることがあってさー」

加蓮「……あ。言っとくけど、資料を届けに来てくれただけだよ?」

藍子「ふんふん……あれ? もしかして――」

加蓮「ん?」

藍子「あ、いえ。それより、続きを話してくださいっ」

加蓮「……? フットネイルの話をしたら盛り上がって。盛り上がったって言っても私がずっと話してたんだけど」

加蓮「そしたらネイルのお仕事が急に増えました」

加蓮「相変わらず何でもアイドルのことに繋げるアイドルバカだよねー、Pさんって」

藍子「ふふ。加蓮ちゃんだってそうじゃないですか」

加蓮「しつれいなー」
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 22:58:34.40 ID:XM/SNCIS0
藍子「Pさんが前に言っていましたよ。もう少し刺激のない格好にしてほしい、って」

加蓮「刺激? ……あー……あー、うん。分かった、って伝えといて」

藍子「はーい」

加蓮「ネイルってさ、本格的なのだとつけるのも剥がすのも時間かかるんだよね」

加蓮「それにリムーバーとかジェルとか塗るから、料理する人には難しいの」

加蓮「でも、入門用……っていうか、お手軽用? すぐつけてすぐ剥がしてー、ってネイルもいっぱいあって」

加蓮「そういうヤツなら、料理してる人でも簡単に使えるんじゃないかな?」

藍子「……つまり?」

加蓮「で、あの店員さ、藍子につられて写真の話とかよくするようになったよね。カフェにもそれっぽいのがあるし」

藍子「……うぅ。ヒントを探そうとしたら、逆に難しくなってしまいました」
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 22:59:03.96 ID:XM/SNCIS0
加蓮「他に聞きたいことは?」

藍子「じゃあ……。そうだっ。加蓮ちゃん。このラッピングは、どこで用意した物なんですか?」

加蓮「包装紙は家にあったヤツと、あとリボンは雑貨屋で探したっけ」

藍子「どっちも同じ結び方でしたよね」

加蓮「簡単に結べるヤツだからね。店員のを真似しちゃった」

藍子「ふむふむ。ラッピングの色を選んだ決め手は?」

加蓮「それは――って、こらっ。直接聞くのは反則!」

藍子「えっ」

加蓮「えっ」

藍子「……あ。そうですよね。加蓮ちゃんが選んだ色が分かれば、答えも分かってしまいますよね」

加蓮「無自覚……! これだから天然って怖い……!」

藍子「天然じゃないです! ただ今のはちょっと見落としていただけですから」
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 22:59:33.85 ID:XM/SNCIS0
加蓮「とにかくその質問はNGです。ダメ」

藍子「それなら……加蓮ちゃんが――」

藍子「!」

加蓮「ん?」

藍子「加蓮ちゃんが、……まぐかっぷ! を、用意したのは、いつですか?」

加蓮「……………………えぇ……それでカマかけたつもりなの……?」

藍子「……えへ」

加蓮「……。私が"プレゼント"を決めたのは――」

藍子「あぅ」
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 23:00:03.95 ID:XM/SNCIS0
加蓮「結構悩んだからなぁ。確か……。そうそう、2日前に揃えたんだったっけ」

藍子「2日前ですね。……2日前?」

加蓮「なんかおかしいこと言った?」

藍子「いいえ。では、次の質問です」

加蓮「……む。ねぇ、これってなんか私が問い詰められてるみたいなんだけど。私だって藍子に質問――」

藍子「うーん。あとは何を聞けばいいのかな……」

加蓮「質問ないなら質問しなくていいでしょっ」ビシ

藍子「あうっ。なんとなくそういう雰囲気かなって」
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 23:00:33.91 ID:XM/SNCIS0
加蓮「……てゆーかちょっといい?」

藍子「どうぞ」

加蓮「"あとは"って、もしかして……検討ついてる?」

藍子「なんとなく?」

加蓮「うぇ。じ、じゃあさっさと回答コーナーに行っちゃおう。外したら藍子ちゃんの写真大拡散だからね」

藍子「急かさないでくださいっ。それに、もう少し考えたいんです」

加蓮「なんとなく検討はついてるのに?」

藍子「せっかくやるなら、びしっと正解したいじゃないですか」

藍子「いつか秋の日にやった……秋染め、でしたっけ? あれと同じで」

藍子「適当に言って、正解するんじゃなくて」

藍子「しっかり、加蓮ちゃんの仕掛けたこと、考えていること……分かってから、正解にたどり着きたいんです」

加蓮「…………そっか」
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