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【モバマスSS】傾奇者→歌舞伎者
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1 :
オリP
[saga]:2017/07/15(土) 23:17:01.77 ID:yQzEqY9W0
梅雨。
一面に広がる曇天の下、しとしとと降り続ける。予報によれば後二、三日はこのままらしい。
この雨のせいでグラウンドを使う部活はみな、屋内でのトレーニングを余儀なくされ、活気のいい声があちこちから聞こえてくる。
その喧騒から逃れるため、特別教室棟にいた少年は落ちている一冊の本に目を止めた。
「まえだ、けいじ?」
マンガで雄々しい男性が一面に描かれている。中を見ると、やはり雄々しい。迫力のあるコマ割りで主人公が武器を持って戦っている。
「あー!」
マンガに夢中になっていたせいで、女子生徒の大きな声に必要以上に驚いてしまう。
「それ、アタシの本!」
大きな声を上げた女子生徒がこちらにやってきた。やや緑がかった黒髪で、前髪を切り揃えているのが特徴的。メモクリッとしており可愛らしい印象を与える。
制服を着崩した服装の女子生徒が多い中、彼女はしっかり着こなしている。そして学年を表すリボンは赤。少年の青――一学年よりも一年先輩であることを表している。
「そうだったんですか。すみません。勝手に読んでしまって」
「あー。別に謝らなくていいよ。あたしが落としたものだし、雨で汚れてなくてよかった……」
少年は先輩にマンガを返す。彼女は一応汚れがないかマンガを開いて確認する。
「無事で良かった。拾ってくれてありがとう!えーっとお名前は?」
少年は自分の名前と学年を教える。
「なるほど、後輩君なわけか!学校には慣れたかな?」
「まあ、それなりには……」
「困ったことがあれば、アタシに相談しなさい!アタシは丹羽仁美!先輩だからさ!」
仁美はポンポンと少年の肩を叩く。
「少年は、これ読んでたけど慶次に興味ある?もしかして知ってる?」
仁美は、仁美を輝かせて少年に近づく。こういう経験が乏しい彼は目を泳がせながら、
「い、いや……。聞いたことないんですけど……」
「まあ、そうだよね……」
それを聞いて仁美は肩を落としてため息を交じりに話す。明らかに落胆している。それを見て少年も少し罪悪感を覚えてしまう。
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