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【艦これ】古鷹「届かぬ声」
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101 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/22(土) 00:41:02.39 ID:VmGxwzXbO
>>100
常識だよな
「実は」とかいらなかったでしょ
あと花火は音が聞こえなくても振動はわかる
というか音より振動のおかげで迫力を感じてるので古鷹の感想は的外れ
提督可哀想とか負い目を感じさせたいんだろうけど、無理矢理過ぎて不自然
せっかく地の文書いてるのに展開が雑で、ギャップが酷い
102 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/22(土) 03:51:00.36 ID:55EAMzRro
音無しの振動だけで迫力を感じられる自信無いわ
103 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/22(土) 04:41:54.69 ID:9Cq1lmNDO
>>101
つんぼニキとかいるんすね〜
104 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/22(土) 20:22:59.07 ID:XEERp+ado
>>100
突発性難聴とかならしばらくは問題ないんでは?
105 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/23(日) 18:08:04.32 ID:Vejl1zqB0
お待たせしました!
続きやっていきます。
106 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/23(日) 18:08:59.60 ID:Vejl1zqB0
〜鎮守府〜
ガチャッ
青葉「?」
古鷹「…」スタスタ
青葉「あ、古鷹さん!」
衣笠「お帰りー、今日は帰ってこないかと…」
古鷹「…」スタスタ
衣笠「…ってあれ…?」
青葉「ふ、古鷹…さん…?」
古鷹「…」スタスタ
衣笠「…行っちゃった…何だかとても暗かったような…」
青葉「だ、だって古鷹さんとあの司令官ですよ!? 一体…何が…」
衣笠「取り敢えず今は…関わったらいけなそうだね…」
青葉「…」
107 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/23(日) 18:09:47.59 ID:Vejl1zqB0
ガチャッ
加古「ん? あぁ、古鷹…おかえ…」
古鷹「…」
加古「…って、帰ってきて早々何で毛布に包まるんだ…? 何か話を…」
古鷹「…」
加古「…!」
加古「あ、えっと…あぁ〜、寝てたら何かお腹が空いたな! ちょっと食堂行ってくる!」ガチャッ
バタン
古鷹「…」
古鷹「う、うぅっ…」グスッ
古鷹「嫌…だよぉ…!」
108 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/23(日) 18:10:21.58 ID:Vejl1zqB0
青葉「か、加古さん! 古鷹さん、どうでした…?」
加古「あー、あれはダメだね…」
衣笠「だ、ダメって…?」
加古「…暫く一人にさせておきたいよ」
青葉「…やっぱり、何かあったんですね…」
加古「…」
衣笠「フラれちゃったのかな…」
109 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/23(日) 18:11:30.74 ID:Vejl1zqB0
古鷹「ん…」パチッ
加古「…」
古鷹「加古…?」
加古「〜…」
古鷹(あれ、加古…? 声が聞こえない…?)
青葉「…〜…」
衣笠「…」
古鷹「あ、あおば! きぬがさ!」
古鷹「!?」
古鷹(声が出ない…いや、聞こえてない?)
古鷹(さっきから皆口を開けて何か話しているのに…声が聞こえない!)
提督「〜! 〜!」
古鷹「あっ! ていと…」
古鷹(嘘…提督の声も、私の声も…)
古鷹「あああー!」
古鷹(叫んでも、何も聞こえないよ…!)
古鷹(周りの音さえ、聞こえない…これが無音?)
………
……
…
古鷹(…怖い)
古鷹(怖いよ…嫌、助けて…加古…青葉…衣笠…皆…!)
古鷹「提督!!」
110 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/23(日) 18:12:49.82 ID:Vejl1zqB0
加古「…古鷹!」
古鷹「!」バッ!
古鷹「はぁ…はぁ…」
加古「だ、大丈夫か…すごくうなされてたけど…」
古鷹(…夢…?)
古鷹「…加古…?」
加古「う、うん…あたしだけど…」
古鷹「…!」ギュッ
加古「うおっ、え、何? どうしたの急に…」
古鷹「良かった…聞こえる…加古の声が聞こえるよ…」
加古「そりゃ提督じゃないんだからさ…」
111 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/23(日) 18:16:46.04 ID:Vejl1zqB0
加古「…成程、耳が聞こえなくなった夢かぁ…」
古鷹「…とっても、怖かった…独りで…本当に何にも聞こえなくて…頭がどうにかなりそうだった…」
加古「…そっか…」
古鷹「! そ、そういえば今何時!?」
加古「今? 今は…8時だよ。今日は早起きでしょ」
古鷹「朝…」
加古「…今日の朝会でさ、聞いたよ」
古鷹「…」
加古「提督が…解任になるって」
古鷹「…」
加古「そう言われた時には、みんなもう大騒ぎで…よっぽど好まれていたんだね…あたしも提督は好きだったけど」
加古「…古鷹は昨日聞いたんでしょ?」
古鷹「…」コクリ
古鷹「告白もしたけど…失敗しちゃった…」
加古「…」
加古「そっか…」
112 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/23(日) 18:18:36.10 ID:Vejl1zqB0
〜執務室〜
提督「…」
提督「…」チラッ
手紙の山「」
提督(みんなからの手紙…全部目を通したが、納得いかないとの声が全員…)
提督(普段厳しい霞や曙…俺の事が苦手だと思っていた山城や大井達なんかも、たくさん書いてくれていた…)
提督(こんなに俺の事を思っていてくれたなんて、俺としては嬉しいが…)
提督「…」
提督(…もう戻れない、か…)
113 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/23(日) 20:17:32.98 ID:Vejl1zqB0
〜数週間後〜
提督「俺があの鎮守府の提督だ! よろしく!」
新米提督(以下女提督)「よ、よろしくお願いします!」ペコリ
提督「それにしても新しい提督が女性だったとは! 立派だな!」
女提督「あ、ありがとうございます!」
女提督(この人が…優しそうな人だけど、ちょっとうるさいかも…でも、耳が聞こえていないらしいし…)
提督「じゃあ早速鎮守府に行こうか!」
女提督「はい!」コクリ
114 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/23(日) 20:21:17.63 ID:Vejl1zqB0
〜鎮守府〜
シーン...
女提督「な、なんだか静かですね…」
女提督(やっぱり、まだ新しい提督の私の事を認めてくれていないよね…この提督は好かれそうだし…多分私は嫌に思われてるんだろうなぁ…)
提督「古鷹!」
古鷹「…はい」
古鷹「こんにちは。古鷹です。貴女がこれからの私達の提督ですね? よろしくお願いします…」ペコリ
女提督「あ、はい! よろしくお願いします!」
提督「じゃあ早速で申し訳ないけど、古鷹に鎮守府の案内を頼んでいるから行ってきてくれ!」
女提督「わ、分かりました!」ビシッ
115 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/23(日) 20:27:04.34 ID:Vejl1zqB0
古鷹「ここが食堂です」
女提督「へぇ〜、広いですね…」
古鷹「はい、艦娘は多いので…」
古鷹「…!」
女提督「え、何ですか? どうしました?」
古鷹「あ、ごめんなさい! ただ、提督の方と会話するのは初めてだったので…」
女提督「…あっ…そう、ですよね…」
古鷹「…会話できるってだけで、私達は幸せなんでしょうね…」
女提督「…」
女提督「あの人はいつから耳が聞こえなかったんですか? まさか…生まれつき?」
古鷹「いえ…生まれつきではないんですけど…突然だったようです。それで、私達の提督となった時にはもう…」
女提督「…突然…」
古鷹「それでも、提督は頑張ってきました。これからもそうだと思いましたが…」
古鷹「…あっ、ごめんなさい…女提督さんが悪いわけじゃないですよ?」
女提督「…はい」
116 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/23(日) 20:44:34.53 ID:Vejl1zqB0
提督「お疲れ様! 鎮守府はどうだった!?」
女提督「と、とても立派でした!」コクリ
提督「これからは君の鎮守府になるんだから、設備とかもよく確認しておくように!」
女提督「は、はい…」
古鷹「…」
提督「? どうした古鷹!? 調子悪いのか!?」
古鷹「あ、いえ…」フルフル
提督「そ、そうか! 辛かったら交代しても大丈夫だからな!」
古鷹「はい…」コクリ
女提督「…?」
117 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/23(日) 20:53:00.18 ID:ci3tWQRM0
〜
女提督「古鷹さんって、あの提督の事苦手なんですか?」
古鷹「!? そ、そんな事ないですよ!」
女提督「あ…ごめんなさい…いきなり…」
古鷹「…あっ…わ、私もいきなり大声出しちゃってごめんなさい…」
女提督「…いえ…」
女提督「ただ…なんだか、提督との間に距離があるように見えて…」
古鷹「距離…」
女提督(普通だよね。提督の耳が聞こえないから、気遣ってるだけだよね…)
古鷹「…」
118 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/23(日) 20:56:47.45 ID:ci3tWQRM0
古鷹(…そっか)
古鷹(確かにあの時から私と提督の間には…距離が空いてしまったような気がする…)
古鷹(それでも提督は頑張って私に笑顔で接してくれるけど…こんな私はいつまでも過去を引きずっていて…)
古鷹「…はぁ…」
加古「でかい溜息だなーもう…」
古鷹「あ、ごめんね加古…」
加古「いや良いけどさ…どうせ提督絡みの事だし」
古鷹「うっ…」
加古「でもあまり悩んでたらいけないと思う。あたし…はちょっと得意じゃないから、青葉とか衣笠に相談するのもありだと思うし」
古鷹「うん…」
加古「…うじうじ考えてたら、もう終わっちゃうよ? 提督だってもう残り少ないんだから…」
古鷹「…分かってるよ…」
加古(本当かねぇ…)
119 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/23(日) 21:45:31.99 ID:ci3tWQRM0
フタフタマルマル
女提督(はぁ…疲れた…)
女提督(…やっぱり、なんだか艦娘の目線が痛かったなぁ…)
女提督「まあ仕方ないよね…これから信頼を得ていかないと…ふぁ〜あ…」
女提督「確か私の部屋は…ん?」
女提督(誰だろ、こんな時間に明かりを点けて…)チラッ
提督「…」ペラッ
提督「…」
女提督(提督さんだ…何か書類を見てる…凄い人だなぁ、耳も不自由で解任も決められたのに遅くまで…)
女提督「…いや、書類はもう私に渡されて明日からやる筈だよね…?」
女提督「じゃあ今提督さんが見てるのは…?」
120 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/23(日) 22:32:27.77 ID:ci3tWQRM0
提督(…医者から受け取った俺の耳に関しての書類…)
提督(治療は困難とはいえ、これから改善されて音が聞こえるようになる可能性は0%、ではないと…)
提督(…受けるべきだろうか…)
トントン
提督「!」ビクッ
女提督「あっ、ごめんなさい! 驚かせるつもりは…」ペコリ
提督「あぁ、大丈夫だから顔を上げて! どうしたんだ!? もう遅いのに!」
女提督「えっと、ペンは…」ゴソゴソ
女提督「あった。これで...」カキカキ
『提督さんがまだ明かりを点けて仕事をしていたと思ったので』
提督「あはは、もう俺がやる仕事なんて全然ないさ! 今のはちょっとプライベートの予定を立てようとね!」
女提督(提督さんが気付いてないだけで、申し訳ないけど内容を見てしまったのは黙っておこう…)
女提督「そうでしたか♪」ニコッ
121 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/23(日) 22:34:29.83 ID:ci3tWQRM0
女提督「はい、お茶をどうぞ」コトッ
提督「ありがとう!」
提督「…女提督は不安か!?」
女提督「…はい…」コクリ
提督「…でも大丈夫さ! みんなは今戸惑ってるだけで、本当はとっても優しいから!」
提督「こんな俺を支え続けてくれたしな!」ゴクッ
提督「ん、美味しいな!」
女提督「…」
女提督(それは、貴方が素晴らしい人だからです)
女提督(…今自分でちゃんと話せているのか、それは届いているのか…そちらの方が不安で不安で、仕方ないのに…)
女提督(私なら到底、耐えられない困難なのに…)
提督「さて、やる事がないからって夜更かしは駄目だな! もうそろそろ寝るか!」
女提督(健気なこの人を、私も支えてあげたい)
女提督「! …ふふっ、なんだ…そういう事でしたか…この人が好かれる理由も分かるような気がします…」
女提督「あの、提督…」トントン
提督「? なんだ!」
女提督「…」カキカキ
女提督「…」スッ
『もう少しだけ、お時間を頂けますか?』
122 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/23(日) 22:35:55.77 ID:ci3tWQRM0
明日から続きをやります。
来週中には終わるかもしれません。
123 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/24(月) 01:30:37.31 ID:QEIqtBIA0
おつおつ
124 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/24(月) 10:17:58.37 ID:jd4rVKPro
NT-Rの流れ
125 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/24(月) 11:02:11.97 ID:nZwSJwIgO
???「この泥棒猫…」
126 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/24(月) 21:03:57.48 ID:4JNqtE530
やっていきます。
127 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/24(月) 21:06:36.82 ID:4JNqtE530
翌日
古鷹「提督、おはようございます」
提督「…」ススッ
古鷹「…?」
提督「…」グッ!
古鷹「えと…何ですか、そのハンドサインは…?」
女提督「手話ですよ」
古鷹「あ、女提督さん。おはようございます」
女提督「おはようございます」
古鷹「それで、手話って…?」
女提督「あー、あまり馴染みがないですよね…軍なら他の信号とかもありますし…」
古鷹「?」
女提督「手話というのは、手で話すと書いて手話なんです。つまり耳が聞こえなくても、口で話さなくても相手に言葉を伝える事が出来るんです」
古鷹「…そ、そんな事が…」
女提督「軍に入る前に色んな事をやってまして。中でも手話は不自由な耳や口を持つ人に役立つと思ってたまたま練習してたんです♪」
古鷹「! 女提督さん…」
128 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/24(月) 21:20:07.07 ID:4JNqtE530
女提督「因みに今のは『おはよう』と言いました」
古鷹「成程…」
古鷹「…」
古鷹「あのっ、女提督さん! ぜひ私にもお教えください!」
女提督(そういうと思ってました)
女提督「ええ、良いですよ♪」ニコッ
女提督「…本当は手話のやり方の紙があったんですが、持っていかれちゃいましたしね」
古鷹「え、誰に…?」
女提督「青葉さんです♪」
古鷹「!」
129 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/24(月) 21:21:16.32 ID:4JNqtE530
〜食堂〜
青葉「皆さーん! 良い情報が手に入りましたよー!」
長門「全く、朝から賑やかなやつだな…」
陸奥「? なになに…えっ、手話…?」
長門「?」
陸奥「…」
陸奥「へぇ〜…」
長門「な、なんだ? その顔は…」
陸奥「新しく来た提督も中々やるわね…♪」
長門「?」
130 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/24(月) 21:22:13.26 ID:4JNqtE530
時雨「…こう、かな?」
村雨「うーん…ちょっと難しいね…」
白露「えー、簡単だよー?」ススッ
時雨「わっ…流石姉さん…」
夕立「因みに今には何て言ったっぽい?」
白露「いちばーん!」
暁「わ、私だって…か、簡単よ! レディならこれくらい出来て…あ、あれ…?」
雷「意外と楽しいわね♪ これなら司令官と楽に話せるし、もっと頼ってくれる筈だわ!」
電「え、えと…えと…」
響「この文字はこうやって…うん、そうやるんだよ」
電「! ありがとうなのです!」
131 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/24(月) 21:23:03.86 ID:4JNqtE530
女提督(よ、予想以上に広まってる…!?)
女提督(みんなには新鮮で良かったのかな…)
トントン
女提督「! は、はい!」クルリ
漣「女提督さん、あの手話っていうの教えてもらえますかー?」
女提督「わ、私?」
漣「だって紙だけ見たって分からないんですもんー!」
潮「お、お願いします…提督の役に立ちたくて…」
曙「…わ、私は一応よ…ただ、手話を使って話せばあのクソ提督のうるさい声が聞こえなくて済むと思ったから…」
朧「…紙でも分かると思うけどなー…あ、でも私も一応…」
女提督「…はい、良いですよ♪」
132 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/24(月) 21:24:33.42 ID:4JNqtE530
〜
提督「なんかみんな、徐々に手話っていうのを覚えてきているな!」
女提督「そうらしいですね…」
提督「でも確かに手だけで出来るって便利だもんなー!」ススッ
女提督「ふふっ、今のは言ってる事とちょっと違いますね。本当はこういう…」スッ
提督「あ、こうか!?」
女提督「はい、順調に出来てきてますね♪」ススッ
提督「えーっと…今の手は…出来てるってことか!?」
女提督「はい♪」
提督「ありがとう!」
提督「…でも、なんか申し訳ないな!」
女提督「?」
提督「女提督は、俺の為に手話を広めてくれたんだろ!?」
女提督「そう、ですけど…」コクリ
提督「みんなが覚えてきてくれたところで! 俺はもう行っちゃうからな!」
提督「みんなには申し訳ない!」
133 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/24(月) 21:37:31.42 ID:4JNqtE530
女提督「…そんな事…言わないでくださいよ…」スッ
提督「…! そ、そうだよな! すまなかった!」
女提督「…」
提督「…」
提督「じ、じゃあ早速仕事するか!」
提督「分からなかったら俺が教えるからな!」
女提督「はい…」コクリ
134 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/24(月) 21:40:31.68 ID:4JNqtE530
女提督「え、えーっと…ここは…」
提督「あっ、そこはここに名前を書いて! それからこっちには印を!」
女提督「は、はい…!」
提督「女提督の字って綺麗だな!」
女提督「え、普通ですよ…?」
古鷹「提督の字は…」スッ
女提督「ん?」
女提督「あ、あはは…元気いっぱいな字ですね…」
古鷹「仕事は出来るんですけどね…」
135 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/24(月) 21:42:07.41 ID:4JNqtE530
阿武隈「提督、艦隊が帰投しましたー」
提督「あ、ご苦労様!」
女提督「ご苦労様です」
阿武隈「あ、あぁ…えっと…はい、報告書です」スッ
提督「俺じゃないよ! こういうのは全部女提督に渡してくれ!」
阿武隈「あっ、すいません! ど、どうぞ!」
女提督「私こそごめんなさい…提督っぽくなくて…」
女提督「えっと…あぶくま、さん…?」
阿武隈「…あ、ちゃんと艦娘の名前は覚えてくれてたんですね…因みに漢字はどうですか?」っ紙
女提督「漢字? 漢字は…」カキカキ
『阿武隅』
阿武隈「違いますぅ! もぉー!」
女提督「えー!? ご、ごめんなさい…」
提督「? あぁ、阿武隈の字はこうだよ!」カキカキ
『阿武隈』
阿武隈「あっ、そうです! えへへ、流石ですね!」
提督「当たり前だ! お前の名前なんだからな!」
阿武隈「わ、私の名前…は、はい!///」
女提督「うぅ…もっと勉強しなきゃ…」
古鷹「だ、大丈夫ですよ? そんなに落ち込まなくても…」
136 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/24(月) 21:52:48.25 ID:4JNqtE530
提督「あ、そうだ!」
提督「ちょっと俺は用事があるからあとは頼んだ!」
女提督「え? あ、はい!」
古鷹「あ、あの…私もついて行って良いでしょうか…?」ススッ
提督「…大丈夫だ! 大した事じゃないから! それより古鷹は女提督の事よろしくな!」
古鷹「…はい…」
提督「んじゃ行ってくる!」
ガチャッ
バタン
女提督「…大体、予想はつきますね」
古鷹「…」
137 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/24(月) 22:16:02.35 ID:4JNqtE530
今日はここまで。
また明日出来たらやります。
138 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/24(月) 22:37:22.79 ID:oB2cjAU5o
おつ
139 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/24(月) 23:46:45.86 ID:b4O3TwWD0
乙
140 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/25(火) 20:48:14.57 ID:sgr7EHxb0
ガチャッ
夕立「提督さん! 夕立…ってあれ?」キョロキョロ
時雨「あれ、居ない…?」
女提督「あ、夕立ちゃんと時雨ちゃん…どうしたんですか?」
夕立「夕立もちょっと手話を覚えたから、提督さんと一緒にやりたかったっぽい…」
時雨「どこに行ったのかな…?」
女提督「提督なら出掛けましたよ。何やら用事があるようで…」
夕立「…」ションボリ
女提督「あっ…」
女提督「…そうだ! 夕立ちゃん、覚えてきた手話を私に見せてくれますか?」
夕立「ぽい?」
女提督「提督が帰ってきたら一緒に出来るように、もっと練習しましょう♪」
時雨「…そうだね。女提督さんに教えてもらった方が上達すると思うし…提督も喜ぶかも」
夕立「! 夕立、頑張って練習するっぽい!」
女提督「ふふっ♪」
141 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/25(火) 20:50:43.11 ID:sgr7EHxb0
〜
「へぇ、手話ですか! …新しく来た提督さんが…成程」
「う〜ん…うちに手話が出来る子はいたっけか…」
「…ごめんね、また紙に書かせてもらうよ」カキカキ
「…そうだね。しかし…前にも伝えた通り、治療はやはり難しい…後遺症も残ってしまう可能性もある…」カキカキ
「…それでも受けるというなら、私も全力を尽くすよ」カキカキ
「…」
「…」
「…分かりました」コクリ
142 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/25(火) 20:51:51.99 ID:sgr7EHxb0
フタヒトマルマル
〜執務室〜
ガチャッ
提督「…」スタスタ
女提督「あっ…提督…」
提督「! あ! 女提督!」
女提督「!」シーッ
提督「…?」チラッ
夕立「ぽい…zzz」
時雨「すぅ…」
提督「…」ニコッ
女提督「…」ニコッ
女提督「ちょっと、移動しましょうか…」ススッ
提督「…! …」コクリ
143 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/25(火) 20:54:07.57 ID:sgr7EHxb0
〜鎮守府(外)〜
提督「…女提督!」
女提督「はい…?」
提督「…」ススッ
スッ
スッ
女提督「…!」
提督「どうだ!? 伝わったか!? この声も伝わってるか怪しいけど!」
女提督「…ええ、伝わりましたよ」ススッ
提督「…そうか! なんか、手話っていうのはすぐ覚えられるもんだな! それとも、自分の身の事だからかな!?」
女提督「…」
女提督(…提督…)
女提督(私はこの鎮守府に来て、日は浅いですが…ひとつだけ確信した事があります)
女提督(…この鎮守府には、貴方は必要です)
女提督(例え耳が不自由でも…上からの命令であっても…)
女提督(貴方は、ここにいるべきです)
女提督「…治療、頑張ってくださいね」
144 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/25(火) 21:02:09.41 ID:sgr7EHxb0
〜
女提督「というわけで…提督は現在、鎮守府から離れ、聴覚の治療に専念しています」
ザワザワ
ガヤガヤ
古鷹「あっ、あのー! もう少しだけ静かにしてください!」
女提督「…なので、少し早いですがその間は私がここの提督となります。よろしくお願いします」ペコリ
パチパチ... パチ...
女提督「…」
漣「あのー!」
女提督「! は、はい…?」
漣「ご主人様って耳が聞こえるようになったら、ちゃんと戻ってくるんですかー!?」
女提督「…分かりません…そのまま解任される可能性の方が高いでしょう」
曙「はぁ!? 何でよ! その耳の治療が終わって無事だったなら解任は取り消しにならないの!? それに、私達は別に今のままでも良いじゃない!」
曙「どうして、今更解任なんか…!!」
潮「あ、曙ちゃん…落ちついて…?」
漣「…お、お騒がせしましたー…」
漣「…」
ザワザワ
女提督「…他に、質問のある方は…?」
シーン...
女提督「…では、以上となります」
145 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/25(火) 21:04:52.73 ID:sgr7EHxb0
女提督「はぁ…」
女提督(流石に、いきなりの報告過ぎたかな…)
女提督(あんな空気になるのも当たり前だよね…)
古鷹「女提督さん…お疲れ様です…」スッ
古鷹「良かったらお茶、飲んでください
女提督「古鷹さん…ありがとうございます」
古鷹「…いえ…」
女提督「…古鷹さんも、びっくりしましたよね」
古鷹「…はい…」
女提督「皆さんより先とはいえ、今日の朝でしたからね…」
古鷹「…はい」
古鷹「…」
146 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/25(火) 21:10:37.73 ID:sgr7EHxb0
女提督「あの、古鷹さん」
古鷹「は、はい」
女提督「少し変な事…聞いても良いですか…?」
古鷹「変な事…?」
女提督「…」
女提督「古鷹さんって…」
女提督「提督の事、好き…ですよね?」
古鷹「! …」
147 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/25(火) 21:12:20.38 ID:sgr7EHxb0
古鷹「…どうしてそう思ったんですか?」
女提督「…なんとなく、です…」
古鷹「な、なんとなく…?」
女提督「はい…女としての勘というか…提督との態度とか…様子を見てたら…そういう感じに、思えたんですけど…」
女提督「ま、間違っていたら…」
古鷹「いいえ」
女提督「!」
古鷹「…好きですよ、あの人が…」
古鷹「今も…いえ…これからも…きっと、ずっと…」
女提督「…」
古鷹「一度告白したんですが、失敗しちゃって…」
古鷹「…いや…失敗…?」
古鷹「…ふふっ」
古鷹「…あぁ…あの人の中では、私は告白した事にはなってませんでした」
女提督「…」
148 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/25(火) 21:16:33.67 ID:sgr7EHxb0
古鷹「…私ったら…本当にダメ、ですね…」
古鷹「私の声は、提督に届かなかったんです」
女提督「ち、違います! 大事なのは声ではなく、気持ちが届いているかで…」
古鷹「それも届かなかったんです!」
女提督「っ…」ビクッ
古鷹「声だけじゃないんです。想いも…届かなかったんです…」ジワッ
古鷹「私は女提督さんから手話を学びました。これで届く? 私の気持ちは届く…!?」
古鷹「…でも、もういないじゃないですか!!」
古鷹「提督は…もう…いないじゃないですかぁ…!!」ポロポロ...
女提督「…古鷹、さん…」
提督『みんなが覚えてきてくれたところで! 俺はもう行っちゃうからな!』
提督『みんなには申し訳ない!』
女提督(…)
古鷹「こんな別れ…嫌ですよぉ…!!」ポタポタ...
149 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/25(火) 21:18:14.36 ID:sgr7EHxb0
数日後
〜執務室〜
女提督(提督が居なくなってから、この鎮守府は少し…いえ、かなり寂しくなりました)
天龍「…ほらよ、遠征の報告書だ」
女提督「ありがとうございます」
天龍「…あのよ」
女提督「はい…?」
天龍「その…提督が治療? 受けてるっつー所から、何か…情報とかは入ってこないのか?」
天龍「聴覚の、様子とか…」
天龍「あっ、別に俺が気になってるわけじゃねぇぞ!? ただ駆逐艦のやつらがあいつに会いたいってうるさくてよ…」
女提督「…」
天龍「ったく…大人しく待ってろよな…って、もう戻って来ないんだっけか……くそっ」
女提督「…ごめんなさい」
天龍「…なんでお前が謝るんだよ…」
天龍「…それじゃあな」ガチャッ
天龍「…何かあったら…連絡頼む…」
バタン
150 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/25(火) 21:22:31.08 ID:sgr7EHxb0
女提督「はい…えっ!? あ、ごめんなさい! はい…以後気を付けます…はい…」
女提督「…失礼します」
ガチャッ
女提督(私が来て何週間かな…)
女提督(はぁ…失敗ばかり…私、やっぱり提督向いてないのかも…)
女提督(こんな時、提督が居たら何ていうか…)
女提督(って、そんな事考えてちゃダメ! 私はこの鎮守府を守っているんだから…自分で何とか頑張らなきゃ…)
トゥルルルル
女提督「あ、また電話…?」ガチャッ
女提督「は、はい…」
女提督「…えっ?」
151 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/25(火) 21:25:19.57 ID:sgr7EHxb0
〜病室〜
ガラガラ!
女提督「提督!」
提督「!」
女提督「あ、良かった…元気…そうではないですけど…」
「…こんにちは。あなたが提督さんが言っていた新しい提督さんかな?」
女提督「! どうも、こんにちは」
女提督「…それは私の事です…」
「…ちょっとこちらへ」
女提督「…分かりました」
女提督「…提督、数日間も空けちゃいましたが…手話はまだ覚えていますか?」ススッ
提督「!」コクッコクッ
女提督「あぁ、良かった…♪」
女提督「…では提督、ちょっと待っていてください」ススッ
提督「…」コクリ
152 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/25(火) 21:57:05.21 ID:sgr7EHxb0
〜
女提督「お待たせしました」
提督「…」
女提督「…治療を受けている間に、声の出し方や口の動かし方が分からなくなってしまったらしいですね」ススッ
女提督「…余計なストレスを与えないよう、声を出さないように言われたからでしょうか?」
女提督「…提督の元気な声、聞きたかったんですけどね」ススッ
女提督「でも、今はこうやって手話がありますから…」ススッ
提督「…」
提督「…」チラッ
女提督「…?」
女提督「あっ、手や腕に点滴をさせられてるせいで上手く手話が使えないんですか…それなら…ペンとメモ帳を…」
女提督「はい、どうぞ。書くくらいなら大丈夫でしょう…」スッ
提督「…」
提督「…」カキカキ
提督「…」スッ
『ありがとう』
女提督「…お礼なんて、必要ありませんよ…♪」ススッ
153 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/25(火) 21:57:49.21 ID:sgr7EHxb0
提督「…」カキカキ
『鎮守府のみんなは?』
女提督「…とても良い子達ですが、やはり提督に会いたいようです…」ススッ
提督「…」ニコッ
提督「…」カキカキ
『俺も会いたいな』
女提督「治療が終わったらぜひ来てほしいです♪」ススッ
提督「…」
女提督「そ、そうだ! あの子達も随分と手話が上手になったんですよ!?」ススッ
女提督「私に出来る事はこれくらいですけど、提督の帰りを待っていますから」ススッ
提督「…」ニコッ
「すいません、そろそろ…」
女提督「あ、分かりました。それでは提督、また…」ススッ
提督「…」スッ
女提督「あっ、ペンとメモ帳。ありがとうございます」
提督「…」フリフリ
ガラガラ
バタン
154 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/25(火) 21:59:08.20 ID:sgr7EHxb0
女提督「…」ペラッ
女提督(声は聞けなかったけど、提督とは色々紙で話せた…)ペラッ
女提督「…今度、提督用の紙でも買ってこよう♪」
女提督「あ、その前に皆さんにこの事を教えてあげて…」
女提督「ふふっ、提督が帰ってくるのも時間のうちかな…♪」
女提督(皆さん、どんな顔するだろう…)ペラッ
女提督「ん…?」
女提督(メモ帳に一枚折り目がついてる…私何かメモしてたっけ…?)
女提督「…」
ペラッ
『あいつらを頼んだよ』
155 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/25(火) 22:00:30.14 ID:sgr7EHxb0
〜鎮守府〜
古鷹「!」
女提督「…」スタスタ
古鷹「女提督さん! どこに行ってたんですか…? いきなり留守したらダメですよ!」
女提督「あっ、ごめんなさい…」
古鷹「…急用でしたか? 次からはちゃんと言ってくださいね?」
女提督「はい…」
古鷹「…ここの提督は、あなたなんですから…」
女提督「…」
女提督(そんな事ないですよ)
女提督(あの人が提督です。治療が終われば帰ってきます)
女提督(…そう言いたい)
女提督(けど、そんな無責任な事…言えない…)
女提督(本当に…提督は帰ってくるのかな…)
女提督「…」チラッ
メモ帳「」
156 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/25(火) 22:02:26.74 ID:sgr7EHxb0
数時間前
女提督「お願いします! もう一度! もう一度だけ話させてください!」
「も、もう今日は終わりです!」
女提督「少しで良いです! 一分間でも!」
「提督さんは今治療中です!」
女提督「嫌…!」
「お願いします! 落ち着いてください…!」
女提督「…」ガクッ
女提督「…てい、とく…」
〜
157 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/25(火) 22:03:02.93 ID:sgr7EHxb0
古鷹「女提督さん」
女提督「っ!」バッ
古鷹「…聞かせてください」
女提督「…」
古鷹「…提督の事…」
女提督「…どうして、それを…」
古鷹「…」
古鷹「…なんとなく、です」
女提督「!」
古鷹「勘ですよ…勘…」
女提督「…」
158 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/25(火) 22:05:31.75 ID:sgr7EHxb0
古鷹「…」ペラッ
『ありがとう』
ペラッ
『鎮守府のみんなは?』
ペラッ
『俺も会いたいな』
ペラッ
ペラッ
ペラッ
『あいつらを頼んだよ』
古鷹「…」
古鷹「なんですか、それ」
古鷹「私達は…まだ何も言えてないのに…」
古鷹「提督だけ、好き勝手に伝えたい事だけ伝えて…!」
古鷹「ズルいですよ…!」ポロッ
159 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/25(火) 22:07:22.62 ID:sgr7EHxb0
女提督「…明日、もう一度行ってきます」
古鷹「!」
女提督「私だって、納得いきませんしね」
女提督「…一緒に、行きませんか?」
古鷹「…ぐすっ…」グシグシ
古鷹「…はい」
女提督「治療が終わったら…あの人を連れて帰るんです」
古鷹「…はい!」
女提督「ふふっ…♪」ニコッ
古鷹「えへへ…♪」ニコッ
160 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/28(金) 19:52:38.92 ID:SacNfDZL0
翌日
女提督「古鷹さん、準備は出来ましたか?」
古鷹「は、はい」
女提督「なら早速行きますか!」
古鷹「そうですね…」
金剛「女提督ー、代理はもう慣れてるからいいですケド、どこへ行くんデスカー?」
女提督「気にしなくて大丈夫ですよ。ちょっとした用事ですから♪」
金剛「…古鷹も?」
古鷹「はい…少しの間、お願いします」
金剛「まあ良いネ。気を付けて行ってらっしゃいデス!」
161 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/28(金) 19:53:43.15 ID:SacNfDZL0
古鷹「…金剛さんに、言わなくていいのですか?」
女提督「…」
古鷹「代理もやってくれますし、やはり事情は話しておいた方が…」
女提督「…金剛さんに話したら、淡い期待を持たせちゃいますからね」
女提督「勿論提督が戻ってくるよう私も色々とするつもりですけど…もし、それが無理だったら…」
女提督「…もっと、悲しくなるじゃないですか」
古鷹「…」
女提督「だから言いませんでした」
女提督「…本当に提督が戻ってきたときは…その時に伝えるさけです」
古鷹「…そう、ですね…」
古鷹「…分かりました…」
162 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/28(金) 19:55:34.73 ID:SacNfDZL0
ガラガラ
女提督「おはようございます、提督」ペコリ
提督「!」
女提督「…あのメモは…見なかった事にします」
女提督「あと今日はもう一人、お見舞いに来てくれましたよ♪」ススッ
スタスタ
古鷹「て、提督…」
提督「! ふぅ…あ!」
女提督「えっ!? な、何と言いました!?」
提督「ふう…たあー!」
古鷹「提督…!?」
女提督「…ずっと声を出していなかったせいか、口も回らず既にまともに話せる状態ではないそうです…」
古鷹「…!」
古鷹「…」
古鷹「…これは、私の名前を呼んでくれてるのでしょうか…?」
女提督「た、多分…」
提督「…」ニコニコ
163 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/28(金) 19:56:28.60 ID:SacNfDZL0
「あー、女提督さん。すいません、少しお時間を…」
女提督「あ、はい…」
女提督「…古鷹さん」トントン
古鷹「は、はい。何ですか?」
女提督「私、少し席を外すので提督と話してあげていてください」
古鷹「…分かりました」
提督「ふぅ…あぁ〜!」
女提督「あ、あとこれはメモ帳とペンです」
女提督「点滴をやってる今じゃ、碌に手話もできませんから…」スッ
古鷹「ありがとうございます」
164 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/28(金) 19:57:55.52 ID:SacNfDZL0
古鷹「…提督。お久しぶりです」ススッ
提督「…」カキカキ
『久しぶり』
古鷹(女提督さんから聞いてましたが…提督、病人のようになって…)
提督「…」ニコニコ
古鷹「…」ギュッ
提督「!」
古鷹「…手、握らせてください…」
提督「…」
古鷹(なんで、この人がこんな目に遭っちゃうのかな)
古鷹(…この人は、悪くないのに…)
古鷹(一生懸命、頑張ってきただけなのに…)
提督「ふー! あー!」
古鷹「…!」
提督「…」ニコッ
古鷹「…大丈夫です…私は大丈夫ですよ…♪」ニコッ
165 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/28(金) 20:03:06.53 ID:SacNfDZL0
古鷹「提督、治療の方はどうですか?」ススッ
提督「…」カキカキ
『よく分からないけど、このままだったら改善できるかもって』
古鷹「本当ですか!?」
古鷹「じ、じゃあ提督は戻ってくるんですね…?」ススッ
提督「…」
提督「…」カキカキ
『それは分からない』
提督「…」カキカキ
『完全には治らないらしいから』
古鷹「そ、そんな…」
166 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/28(金) 20:11:06.15 ID:SacNfDZL0
提督「…」カキカキ
『それにこのままだとお前達にも迷惑がかかるからな』
古鷹「そんな事を言わないでください! …迷惑なんかじゃ、ありませんよ!」ススッ
古鷹「…それに私達は…それで頑張ってきたじゃないですか…!」ススッ
提督「…」
ガラガラ
女提督「お待たせしました」
女提督「ふふっ、提督! 素晴らしい回復らしいですね! まだ音は聞こえてないようですが、数日後には少しずつ…」ススッ
女提督「…って、あれ…?」
古鷹「…」
提督「…」
女提督「えっと…あと一週間くらいで退院できるという吉報だったんですけど…」
167 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/28(金) 20:12:03.63 ID:SacNfDZL0
〜
女提督「え、提督が鎮守府に戻らないかもしれない?」
古鷹「…」コクリ
女提督「ど、どうして…だって、提督だって皆さんに会いたがってたみたいですし…」
古鷹「…それでももう、自分のせいで迷惑はかけたくないそうです。女提督さんに、全て任せると…」
女提督「…」
女提督「迷惑をかけたくない、ですか…」
古鷹「…女提督さん、ごめんなさい」
女提督「は、はい…?」
古鷹「…やっぱり私は…提督と一緒に居たいです。あっ、女提督さんが嫌いなわけではないですけど…」
女提督「…分かっていますよ。誰だって好きな人とは一緒に居たいですから」
女提督「それに言ったでしょう? 提督を連れて帰ると…」
古鷹「…はい…!」
女提督「それにしても全く、古鷹さんの気持ちも知らないであの人は…」
女提督「大体、提督が居なくなった方が皆さんに迷惑がかかるというのに…」
古鷹「…ふふっ…」
女提督「ど、どうしました…?」
古鷹「あ、ごめんなさい…ただ、女提督さんが来てまだ数週間しか経ってないのに、ここまで私達の事で真剣になってくれてると思うと…嬉しくてつい…」
女提督「…そんな、私はただのお節介焼きですよ…♪」
古鷹「…それでも、ありがとうございます」
女提督「…じゃあ、どういたしまして♪」
168 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/28(金) 20:13:18.78 ID:SacNfDZL0
加古「あ、古鷹ー。金剛が女提督と出掛けてたとかなんとか聞いたんだけど…」
古鷹「う、うん…ちょっとね」
加古「…?」
加古「まあ多分、提督の事でしょ?」
古鷹「うっ…」
古鷹(さ、流石に加古にはバレバレだなぁ…何でこういう時だけ鋭いんだろ…)
加古「それで、どうだった? 様子とかなんか…」
古鷹「…順調だそうだよ。少し聴力は改善されるようだし、一週間後には退院できるって」
加古「へぇ〜! なら安心だな!」
古鷹「…でも、ここに戻ってくるかはまだ分からないけどね…」
加古「…そ、そうなんだ…」
古鷹「…心配しないで。きっと提督は…連れてくるから」
古鷹「それと、この話はくれぐれも言わないように。分かった?」
加古「…うん、分かったよ」
169 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/28(金) 20:17:32.43 ID:SacNfDZL0
女提督「…」カキカキ
古鷹「お疲れ様です。休憩をとられたらどうでしょうか?」
女提督「あ、古鷹さん…そうですね。少し休憩しましょうか…」
女提督「…ん〜!」ノビー
古鷹「…女提督さんって、少し提督と似ていますね…仕事に没頭しすぎるところとか…」
女提督「え?」
古鷹「あっ、いえ…何でもないです。仕事の方は慣れましたか?」
女提督「うぅ〜ん、程々にですかねぇ…」
古鷹「焦らずゆっくりやっていきましょうね」
女提督「…はい♪」
170 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/28(金) 20:19:38.91 ID:SacNfDZL0
女提督(そういえば、提督は古鷹さんの事をどう思っているのでしょうか)
女提督(…悪くは思ってないと思うけど…)
古鷹『…好きですよ、あの人が…』
古鷹『今も…いえ…これからも…きっと、ずっと…』
女提督(初めは苦手なのかと勘違いした。でも、古鷹さんは…)
女提督「…」
女提督(提督も、そこまで鈍感じゃないですよね…?)
171 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/28(金) 20:21:36.23 ID:SacNfDZL0
数日後
「お待たせしました」
女提督「いえいえ、全然大丈夫ですよ」
古鷹「それで、提督は…」
「申し訳ありません、その前に時間を少し頂けますか?」
女提督「え、ええ」
「…今回はお二人とも来てください」
女提督「…はい」
古鷹「…分かりました」
172 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/28(金) 20:25:47.17 ID:SacNfDZL0
「…というわけで、提督さんは予定通り退院は出来ます」
古鷹「! ではもう声や音が聞こえる状態なんですね!?」
女提督「ふ、古鷹さん」
古鷹「あっ…すいません…」
「いえ、大丈夫です。それでその聴力の事なんですが…確かに彼の耳は改善され、音を拾えるようになりました」
女提督・古鷹「!」
「しかし…やはり、それは何度も言いますが完全とは言えず…そこに問題があります」
173 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/28(金) 20:32:53.33 ID:SacNfDZL0
「問題…それは何と言っても、後遺症でしょう」
女提督「後遺症…」
「耳鳴り…目眩…難聴…こればかりは対処しきれませんでした。何しろ治療を受けるタイミングが遅かったので…」
古鷹「…そうですか…」
「…少しでも耳が聞こえるようになっただけでも奇跡です。彼は頑張りました」
「そして、これからは彼だけでなく、あなた達も一緒に頑張らなければいけません」
古鷹「私達も…?」
「このような後遺症を負ってしまえば、これまで以上のストレスや不安で精神が持たないことでしょう。なので…あなた達が彼を見守り、彼を助けてあげてください」
古鷹「…はい」
女提督「分かりました」
174 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/28(金) 20:33:44.50 ID:SacNfDZL0
ガラガラ
古鷹「提督!」タッタッタ
提督「!」
古鷹「提督、大丈夫ですか!?」
提督「…あ…」
古鷹「…?」
提督「…ふる、たか…?」
古鷹「は、はい! 私です、古鷹です!」
提督「…」
古鷹「てい、とく…?」
提督「…」ポロ...
古鷹「!?」
女提督「!」
175 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/28(金) 20:35:00.82 ID:SacNfDZL0
提督「古鷹…古鷹!」
古鷹「…提督!」
提督「聞こ、える…古鷹の声が…聞こえる…!」ポロポロ
古鷹「…!」
提督「古鷹…!」ギュッ
古鷹「あっ…」
古鷹「提督…うっ…うぅ…」ポロッ
古鷹「うぁ…うわあああああん!!」
古鷹「ぐすっ…でいど、ぐぅ…!」
提督「なんだ、古鷹! なんだ!?」
古鷹「古鷹、の…声…届いで…ますか!?」
提督「ああ、届いている! 届いているよ!」ポロポロ
古鷹「うわぁぁぁぁん…!!」
176 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/28(金) 20:49:11.34 ID:SacNfDZL0
〜
提督「えっと、見苦しい所を見せたな。まさか俺が泣くなんて…」
古鷹「…仕方のない事です…寧ろ提督は、よくここまで一人で頑張れました…」
提督「え?」
古鷹「あっ…仕方のない事ですよ! 寧ろ提督はよくここまで頑張ってこれました!」
提督「…ははっ!」
古鷹「…?」
提督「…それが、古鷹の声なんだな」
古鷹「は、はい…?」
提督「…可愛い声だ」
古鷹「!///」
古鷹「も、もう! 何ですかいきなり!///」
提督「…」
提督「いつぶりか。こんなに感動したのは」
古鷹「…」
177 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/28(金) 20:50:10.68 ID:SacNfDZL0
女提督「どうやらまだ問題はあるようですが、ひとまず聴力が回復して良かったですね!」
提督「! …女提督…ありがとう、これはお前のお陰でもある」
女提督「え!? い、いえ…べ、別にそんな事は!」
提督「…お前も綺麗な声をしているんだな」
女提督「っ!///」
提督「…まだ鮮明には聞こえないけど…分かるよ…少なくとも声は」
女提督「…もう。なら、良かったです…」
女提督「…それで、提督! 鎮守府には戻ってきて…くれるんですか…?」
提督「え?」
女提督「鎮守府には! 戻ってきてくれるんですか!?」
提督「…鎮守府に、か…」
178 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/28(金) 20:53:09.70 ID:SacNfDZL0
提督「…いや」
古鷹「!」
提督「多少耳が聞こえるようになっても…完全ではないんだろう? …俺のせいで、みんなが危険に晒される事になるかもしれない…」
提督「だからさ、女提督…鎮守府の事、お前に任せても良いかな…?」
女提督「提督…!」
古鷹「何を今更怖がっているんですか!?」
提督「!」
古鷹「私達艦娘は、最初から危険なんて承知で戦っています!」
古鷹「提督は元々耳が聞こえない状態で頑張ってこれたじゃないですか!」
古鷹「それに…提督は、私達をそんな柔に育ててきたんですか!?」
提督「そんなことは断じてない!」
古鷹「なら! 私達にも提督の荷を積ませてくださいよ!」
提督「っ…」
古鷹「もう…これ以上離れるのは…嫌なんです!」
提督「古鷹…」
179 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/28(金) 20:54:40.98 ID:SacNfDZL0
女提督「提督! 私からもお願いします!」
提督「女提督まで…」
女提督「お願いします! …あの鎮守府のみんなの為にも、戻ってきてください!」
提督「…」
提督「…お前達は、それで本当に…本当に良いのか…?」
提督「…こんな、俺でも…」
古鷹「…提督だから、ですよ」
提督「…」
古鷹「提督が! 良いんです!」
提督「…そうか…」
提督「…はぁ…はは、逞しくなったな…」
提督「それなら…」
提督「これからも、ずっと迷惑をかけるかもしれないけど…」
提督「…どうか、よろしく頼む!」ニコッ
古鷹「…はい!」ニコッ
180 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/28(金) 21:00:41.69 ID:SacNfDZL0
女提督「今度またすぐ来ますからね!」
提督「ああ…」
ガチャッ
バタン
提督「…」
提督「…」ポロッ
提督「…ん…?」
提督「あ、あれ…俺…また泣いて…」グシグシ
提督「…」ポロポロ
提督「…何でだ…? 何で、泣いてんだ?」
提督「ははっ、こんなところ古鷹に見られたらどう思われるかな…」
提督「って、もう泣いてるところ見られてたか…」
提督「…戻ってきてほしい、か…こんな俺でも」
提督(…やっぱり、俺は幸せ者だな)
提督(あんな恵まれたやつらに会えて…)
提督「ははは! はは…」
提督「…」
提督「…うっ…うぅ…」ポロポロ...
181 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/28(金) 21:03:07.16 ID:SacNfDZL0
女提督「提督の落ち着いた声…初めて聞きましたね」
古鷹「はい…」
女提督「…泣いたところも、初めて見ました」
古鷹「はい…」
女提督「…」
女提督「…大丈夫ですか、古鷹さん?」
古鷹「…」
古鷹「…ごめんなさい」
女提督「…良いですよ! これでみんなが喜んでくれるなら、私も嬉しいですから」
古鷹「これから、どうするんですか…?」
女提督「ん〜…まだ考えてませんが…取り敢えず、提督が退院したら一緒に大本営の所へ行き、提督の再着任を要求します」
女提督「私の事は…まあ、流れに身を委ねます」
女提督「…後悔はしてませんから」
古鷹「…ありがとう…ございます」
女提督「…いいえ♪」
182 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/29(土) 05:42:41.63 ID:m1ObkRPoo
DJDJ……
183 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/29(土) 13:21:56.61 ID:zwG5od/80
数日後
提督「…」
「…さ…」
提督「…」
「提督さん!」
提督「! あ、はい!」
「お迎えが来ましたよー!」
提督「お迎え…?」
ガラガラ
古鷹「提督!」
提督「古鷹! お、お前も来たのか!?」
古鷹「はい!」
184 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/29(土) 13:22:53.39 ID:zwG5od/80
提督「ありがとうございました」
「いえいえ。これから苦しい事もあるでしょうけど、その時はまた来てくださいね。お大事に!」
提督「…」ペコリ
女提督「ありがとうございます。では…」
提督「…」スタスタ
古鷹「…」ギュッ
提督「! …」ギュッ
女提督「ふふっ…♪」
185 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/29(土) 13:23:33.34 ID:zwG5od/80
〜
女提督「では、古鷹さんはここで待っててくださいね」
古鷹「は、はい…」
提督「…行ってくるよ」
古鷹「はい…行ってらっしゃい、です…」フリフリ
スタスタ
提督「…女提督」
女提督「はい?」
提督「…ありがとうな」
女提督「…どういたしまして」
186 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/29(土) 13:24:28.82 ID:zwG5od/80
コンコン
ガチャッ
女提督「失礼します!」
提督「失礼します」
「ふむ…電話をもらったが、何の用だ?」
女提督「…提督を、連れてきました」
女提督「彼は聴覚の治療を続け、なんとか音を聞き取れるほどに回復しました」
「何?」
女提督「…お願いします! 彼を…もう一度提督に再着任させてください!」ペコッ
提督「お願いします!」ペコッ
「…急だな。聴覚が回復? では私の声も聞こえているというのか?」
女提督「…もう少し、大きく話していただければ…」
「…成程…な」
女提督「…」
187 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/29(土) 13:25:04.35 ID:zwG5od/80
「…それで、もし彼が戦線に復帰した場合だが…」
女提督「!」
「…君はどうするつもりだ?」
女提督「…」
「まさか、自分の後の事を考えずに言ってきたわけではないだろう? 彼が戻れば、君は提督じゃなくなる。どうするつもりだ?」
女提督「…」
女提督「…私は…」
女提督「…私は、あの鎮守府の提督として着任し、気付いた事があります」
女提督「…それは何といっても…彼が必要だという事です」
188 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/29(土) 13:26:38.17 ID:zwG5od/80
「…彼が必要? 確かに彼は指揮官として聴力が失われている割には優秀だが、提督なら代わりが…」
女提督「いません」
「!」
女提督「提督の指揮が優秀なのも、彼女達を想う気持ちがあるからです」
女提督「聴力が失われている割に優秀? …それは彼自身だけでなく、周りの艦娘達も提督と手を取り合っているからです」
女提督「…私では、あの鎮守府の中では彼以上の存在になる事は出来ませんでした」
女提督「きっと、他の誰もが出来ません…あの鎮守府の提督は…彼が適任なのです」
「…」
189 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/29(土) 13:27:39.71 ID:zwG5od/80
女提督「…私の事は…お任せします」
「…」
女提督「…以上です」
「そうか…」
「…提督!」
提督「! は、はい!」
「…本当に聞こえているのか!?」
提督「…聞こえてます!」
「…君はどう思う?」
提督「…自分も、戻れるなら戻りたいです」
提督「…そして艦娘達と、また共に歩んでいきたいです」
「…久しぶりだな。少しでも君との会話が出来たのは…」
「分かった。この件に関しては考えておこう。下がれ」
女提督「! ありがとうございます!」
提督「ありがとうございます!」
190 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/29(土) 13:28:10.81 ID:zwG5od/80
スタスタ
古鷹「あ、どうでした!?」
女提督「どうやら考えてくれるそうです♪」
古鷹「本当ですか!? 良かったー!」
女提督「はい♪」
提督「…じゃあ…戻ろうか」
提督「早く、みんなの所に…」
古鷹「はい!」
女提督「皆さんきっと、驚きますよー♪」
191 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/29(土) 16:13:39.53 ID:zwG5od/80
ヒトキュウマルマル
〜鎮守府〜
ガチャッ
金剛「あ、お帰りなさ…!?」
提督「…ただいま、金剛」
金剛「…て…」
金剛「てーとくー!!!」ビューン!
金剛「バーニングラァァブ!!」ダキッ!
提督「おっと! あはは、元気そうで良かった!」
金剛「あ、そうデス! えっと…手話は確か…」
提督「…大丈夫だ」
金剛「えっ?」
提督「…金剛…お前の声も…聞こえるよ」
金剛「…Really?」
提督「…」コクン
金剛「…っ!」ギュッ
提督「今までありがとうな…これからもよろしく」
金剛「…提督…あまり無理しちゃ、ノーなんだからネ…?」
提督「ああ」
192 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/29(土) 16:14:54.43 ID:zwG5od/80
テートクー! シレイカーン!!
ワイワイギャーギャー
古鷹「…」
女提督「行かなくていいんですか?」
古鷹「…皆の気持ちも分かりますから、私はちょっと大人しくしてます」
女提督「…取られないようにしてくださいね?」
古鷹「が、頑張ります…///」カァァ
衣笠「古鷹! ちょっと説明してよー!」
加古「なー、あっちで何があったんだ?」
古鷹「わ、私!? 提督が教えてくれるんじゃ…」
加古「あんな状態じゃあたしは無理だよ。古鷹に言ってもらった方が早い」
衣笠「本当にね…青葉はすっ飛んで行っちゃったけど…」
古鷹「…わ、分かったよ」
193 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/29(土) 16:15:32.93 ID:zwG5od/80
衣笠「耳が聞こえるように…かぁ」
古鷹「ちょっと大きな声で話さないと届かないけれどね」
加古「だから提督の声も落ち着いてたんだな。前までは声量がめちゃくちゃで話もたまに通じなかったのに」
衣笠「前までっていうか、あれが本当の提督だと思うけど」
古鷹「…でもね。まだ問題があるの」
加古「…問題?」
衣笠「提督に何か、あったの?」
古鷹「…それは…」
194 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/29(土) 16:16:38.78 ID:zwG5od/80
女提督「後遺症があります」
金剛「コーイショー?」
女提督「提督は少し音が拾えるようになりましたが、その後も耳鳴りや難聴、目眩が起こる事もあるんです」
長門「ふむ…それは何とかならないのか?」
女提督「そればかりは…」
長門「…そうか…」
女提督「なので、皆さんの力が今まで以上に必要になるとの事です。提督が辛い時は…支えてあげてください」
長門「元よりそのつもりだ…ありがとう、女提督」
女提督「…いえ♪」
陸奥「それでも勿体無いわね…こんな良い人が私達の提督の為に…何か出来たら良いのだけど…」
女提督「必要ありませんよ。それに私は、ここで大切なことを学べましたから♪」
長門「大切なこと?」
女提督「…はい。人にとって大切なことです」
女提督「だから私からお礼を言わせてください」
女提督「…ありがとうございました」
195 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/29(土) 16:17:11.28 ID:zwG5od/80
提督(はぁ、疲れた…病み上がりにはキツかったな)
提督(沢山驚かれて…抱きつかれて、泣かれて…)
提督(…だが…やっぱりここは心地が良いな)
古鷹「提督!」
提督「あぁ、古鷹…」
古鷹「…今日はお疲れ様です」
提督「…ああ」
古鷹「それで、疲れているところで申し訳ないんですけど…」
提督「え?」
古鷹「あっ、疲れているところで申し訳ないんですけど!」
提督「…あ! 全然大丈夫だ。どうした?」
古鷹「…少しだけ…」
古鷹「少しだけ、私と外を歩きませんか…?」
196 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/29(土) 16:19:15.47 ID:zwG5od/80
スタスタ
提督「この風景、花火大会に行った時みたいだな」
提督「星はないけど、月が綺麗だな」
古鷹「は、はい! そうですね…花火大会の時みたいで…」スタスタ
古鷹「…」
提督「…なあ、古鷹」
古鷹「はい…?」
提督「…ありがとうな」
古鷹「もう、何回目ですかそれ…またどこか行く気ですか?」
提督「そうじゃないよ! ただ…何回もお礼を言いたくてな。とてもお礼じゃ返せないが…」
古鷹「…いいえ、いつも世話になってる提督の為ですから!」
提督「…耳が聞こえない俺の方が世話になってるけどな」
古鷹「そんな事ありません!」
提督「…そ、そうか…?」
古鷹「…はい♪」
197 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/29(土) 16:21:08.77 ID:zwG5od/80
提督「古鷹」
古鷹「はい」
提督「お前と女提督には、特に感謝している…俺、正直ここにいるのがまだ信じられないほどだ」
古鷹「大袈裟ですよ…もう…」
提督「…本当に、恵まれたやつだよ、俺は」
提督「突然失聴して…戸惑って…解任と言われて…途方に暮れていた」
提督「でも、そこからお前達は俺を救い出してくれた」
提督「…全く、奇跡の連発だったな!」
古鷹「…」
古鷹「…いいえ、奇跡ではありません」
提督「えっ…?」
古鷹「…これは、奇跡ではないです!」
198 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/29(土) 16:23:28.45 ID:zwG5od/80
古鷹「…全部、全部…」
古鷹「提督だから、起きた事なんです」
提督「俺だから…?」
古鷹「提督が一生懸命で! いつも優しく、笑顔で! 皆を支えてくれたから起きた事なんです!」
古鷹「私達も、女提督さんも、提督を治療してくれた方も、大本営の方も…」
古鷹「提督の人柄に惹かれたから起こった事なんですよ!」
提督「…」
古鷹「だから、奇跡ではないです」
古鷹「これは…提督」
古鷹「貴方自身の力なんですよ」
古鷹「貴方の人に好かれるような人柄が、自分を救ったんです…」
提督「…」
提督「俺自身の、か…」
199 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/29(土) 16:25:35.62 ID:zwG5od/80
古鷹「…今日、誘ったのは訳があります!」
提督「訳…?」
古鷹「聞いてください」
提督「…あ、ああ…」
古鷹「…」
古鷹「……」
提督「ふる、たか…?」
古鷹(…言うんだ、私…今度こそ、告白を…)
古鷹「…」ガクガク
提督「だ、大丈夫か…?」
古鷹「…すぅ〜、はぁ〜…」
古鷹「提督! 私は…」
古鷹「…」
古鷹「っ!」
古鷹「貴方のことが!」
古鷹「好きです!!」
200 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/29(土) 16:27:46.88 ID:zwG5od/80
提督「…!」
古鷹「…ずっと好きでした!」
古鷹「…前は耳が聞こえてなかったので、もう一度言います」
提督「前…?」
古鷹「花火大会の日。提督が私に提督をやめると言った時です」
提督「え…」
古鷹「…いつも優しく、誰に対しても隔てなく接する…提督に惹かれました」
古鷹「弱音も見せず…病院に行った時は、見せてくれて嬉しかったですけど…私達に笑顔を振りまき、皆を明るくさせてくれる…そんな提督が大好きです」
古鷹「…提督とずっと一緒に居たい、私はそう思いました」
提督「…」
提督「…それが、古鷹の…本音なのか?」
古鷹「…はい」
提督(そうか…あの時、泣いていたのは…俺を止めようとしただけではなく、想いを伝えようとしたこともあったのか…)
提督「…」
提督「…ありがとう」
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