【剣神】姫「疲れた、おんぶして」勇者「はいはい」

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1 :VIPにかわりましてSNIPERがお送りします [saga]:2017/07/07(金) 19:47:31.80 ID:GOT7g0KYO


勇者「乗り心地はどうですかぁ?」

姫「最悪ね、速く静かに歩いてよ」

勇者「はいはい」




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1499424451
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/07(金) 19:50:55.08 ID:GOT7g0KYO

姫「勇者、お腹すいた」

勇者「パンを持って来ようか」

姫「作ってよ」

勇者「半日はかかるけど」

姫「待ってるから速く作ってよ」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/07(金) 19:57:08.88 ID:GOT7g0KYO


勇者「出来はどう?」

姫「中はふんわりしてて外はさっくり、良いブレッドね」

勇者「味は」

姫「最悪ね。あぁ、でも苺ジャムと合いそうかな?」チラッ

勇者「はいはい用意してあるよ」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/07(金) 19:57:44.55 ID:GOT7g0KYO
おやすみなさい
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/07(金) 23:13:22.64 ID:A5F9d2kfo
パクりやん
6 : ◆WslPJpzlnU [saga]:2017/07/08(土) 00:17:07.74 ID:wCtdKChZ0


姫「おはよう」

勇者「おはよう」

姫「歯磨きしたいー……」ゴロンッ

勇者「洗面所あるだろ」

姫「抱っこ」

勇者「はいはい」

< バサッ

姫「……ん、ありがと」


7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 00:21:16.37 ID:wCtdKChZ0


姫「寝間着やだ、着替えさせて」

勇者「ならメイド達呼んで来るよ」

姫「今日はドレスは着ないの、察してよね」

勇者「察して、って?」

姫「勇者の服と同じデザインのコスチューム作らせたの」ばさっ

勇者「おー、ちっちゃい可愛い」


8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 00:23:17.88 ID:wCtdKChZ0


勇者「着替えるのはいいけど、何で俺が手伝うんだ」

姫「面倒くさいからよ。早くして」

勇者「これどう外すの」ぶちっ

勇者「……千切れた」

姫「……最悪ね、今日は部屋から出ないで過ごすから」べしべしっ

勇者「下着くらい他にあるんじゃ?」

姫「今日はあれを着けてアンタと遊びたかったのよ、ばか」

勇者(どうせ下着なんて着けてても見えないのになぁ)


9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 00:25:18.23 ID:wCtdKChZ0

姫「フルハウス!」

勇者「……ツーペア、負けたなー」

姫「ふふん、ポーカーだと勇者は弱いのねいつも」

勇者「ギャンブルだしなぁ、それに勝ったら怒るだろ姫」

姫「当たり前でしょばか、はい私が勝ったからまたマッサージしてよ」

勇者「はいはい」もみもみ

姫「はぁぅ……ぅっ……ん」


10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 00:27:16.50 ID:wCtdKChZ0


勇者「今日は雨か……どうする?」

姫「外の散歩はムリね」

勇者「またトランプする?」

姫「じいやも混ぜたいからそこまで連れてって」

勇者「はいはい」がしっ

姫「お姫様抱っこは恥ずかしいからやめてよ」

勇者「はいはい」

姫「とか言いながらやめてないじゃないっ」

勇者「お姫様なんだからこれで正解だよ」


11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 00:29:44.99 ID:wCtdKChZ0


大臣「おやおや姫様、何かご用ですかな?」

姫「トランプでもしようかと思ったの、じいやも来なさい!」ビシッ

大臣「……姫様、当座は少し上品に振る舞って下され」

姫「なんでよ」

大臣「今宵は遠路はるばる伯爵様も見えておりますのじゃ」

姫「最悪、追い返してよ勇者」

勇者「さすがに大貴族相手はマズいだろこのドアホ!」

大臣「姫様は王女ですぞ勇者殿」


12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 00:34:19.83 ID:wCtdKChZ0


伯爵「ほほう! 此方に居ましたか、噂に聞くラダトームの姫様は実に美しいですなぁ!」

姫「……」

大臣「姫様、この方がメルキドを治める辺境伯、伯爵様でございます」

伯爵「どうぞお見知り置きを、ラダトーム王女の姫君」ニコッ

姫「っ、あ…………勇者……」

勇者「んー? はいはい。すいませんがちょいと通りますよっと」

伯爵「ふむ? どうされたかな」

勇者「姫様は調子が悪いだけです」スタスタ



13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 00:36:38.84 ID:wCtdKChZ0


姫「……なんか、眠い」

勇者「部屋に戻るか」

姫「戻らない。それよりおんぶしてよ勇者」

勇者「はいはい」ヨイショット

姫「このまま城の中歩いてて……」

勇者「はいはい」てくてく


14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 00:39:59.28 ID:wCtdKChZ0


勇者「……」

姫「zZZ」すやすや

勇者(まさか背中に乗ったまま寝るとは)スッ

姫「……んん……」もぞっ

勇者(ベッドに寝かせたし、また後で来るか)パサッ

姫「んっ、やだ……」ぎゅっ

勇者「起きてるのか?」

姫「……すぅ、すぅ……」

勇者「……(暫く隣にいようか)」

15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 00:41:57.75 ID:wCtdKChZ0


〜【その夜】〜

勇者「お呼びですか王様」ザッ

王様「勇者よ、姫がまた勝手に伯爵殿に挨拶せず帰ったらしいな」

勇者「はい」

王様「教育係は古来よりそなたの一族が担って来たのだぞ、どうなっている」

勇者「はい」

王様「今度の満月の夜我が城で舞踏会を開く、その日までに改めさせよ」

勇者「はい」


16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 00:44:02.85 ID:wCtdKChZ0


姫「疲れた、おんぶして」

勇者「もう少し歩いてみないか」

姫「なんでよ」

勇者「今度舞踏会があるらしい、一応姫の体力作りを……」

姫「何それ、私嫌よ」

勇者「……まぁそうか」がしっ

姫「いたっ、急におんぶするから顎ぶつけたじゃないばかっ」


17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 00:46:16.90 ID:wCtdKChZ0


姫「勇者、バラ園連れてってよ」

勇者「咲いてないぞ」

姫「咲いてるわよ」

勇者「はいはい、なら大臣の頭頂部も花が咲いてるさ」

姫「本当なんだから! 行きなさいよ!」

勇者「はいはい、髪を引っ張るな。大臣になっちゃうぞ」

姫「勇者の髪は黒くてフサフサだから平気でしょっ」


18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 00:48:40.53 ID:wCtdKChZ0

────・・・


姫「ほらね、たんぽぽ咲いてる」

勇者「あー……姫が撒いたのか?」

姫「この間ふーふーして撒いたのよ」

勇者「水は雨だけか、逞しく育ったな」

姫「アンタとは大違いね」

勇者「はいはい」なでなで


19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 00:49:49.59 ID:wCtdKChZ0


姫「今日なんか暑いわね、扇いでよ」

勇者「それ脱いだらどうかな」

姫「勇者と同じ服なのになんでアンタは涼しそうなのよ」

勇者「交換してみる?」

姫「ばかじゃないの、サイズが合わないでしょ」

勇者「はいはい、合えばいいんだなー」

姫「……ばか、なんでそうなるのよ」


20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 00:52:44.30 ID:wCtdKChZ0


メイド「キャー! スライムが台所に……!」

姫「勇者、メイドが!」

勇者「スライムがこんな所に?」


勇者「……!」

スラ「ぴっぴきぴー!」

勇者「……だめ、姫は怖がりだから」

姫「余計なこと言ってないで追い出してよ!」

勇者「はいはい」がしっ

スラ「ぴー……」


21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 00:56:10.79 ID:wCtdKChZ0


兵士「申し訳ありません! まさかスライムに侵入を許すとは……」

姫「この陽気じゃ居眠りしても仕方ないわよね」

勇者「でも心配になるなぁ」

兵士「も、申し訳ありません姫様! どうか王様には……っ」ガシッ

姫「っひ……!」


< ガッ!
勇者「……気安く触るな、別に咎めるつもりはない。落ち着けよ」ギロッ

兵士「っ……はぃ、申し訳ありませんでした……!」ビクッ


22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 00:59:37.40 ID:wCtdKChZ0


姫「あんなに怒る必要あったの?」

勇者「一応。じゃなくて、怒ってないだろ?」

姫「怒ってたでしょ」

勇者「怒ってない」

姫「……ふぅん……そう。ところで勇者……」チラッ

勇者「はいはい、おんぶだろう?」バサッ

姫「ん、楽ちん楽ちん♪」ぎゅっ


23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 01:04:56.21 ID:wCtdKChZ0


< 「おや? もしや姫様ではないですか?」


姫「っ……」びくっ

勇者「……」

伯爵「おー、奇遇ですなラダトーム姫! いやはや、今宵もなんとお美しい!」

姫「……」

伯爵「はっはっは、そう緊張なさらずとも大丈夫ですよ」

勇者「伯爵様、本日はどういった要件でここに?」

伯爵「なに、ちょっと王様とティータイムを楽しんでいただけですとも!」

伯爵「実に有意義な茶会でしたよ? 勇者くん……♪」ニッ

勇者「……」


24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 01:10:39.54 ID:wCtdKChZ0


伯爵「所で、何故に姫様は君の背中に?」

勇者「……先程城内に魔物が侵入した際に、足を挫いたらしく」

姫「ちょっと……?」

勇者「そうですよね姫様」

姫「……えぇ、そうね。早く医務室に連れてって勇者」

勇者「はいはい、ではこれで」スタスタ

伯爵「ええ、お大事に」


伯爵「……チッ」


25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 01:12:02.30 ID:wCtdKChZ0


姫「さっきの何よ」

勇者「なんとなく」

姫「嘘なんか吐いて、ばかじゃない?」

勇者「まぁ、ごめん」

姫「最悪ね、当分は毎日移動する時アンタにお願いするしかないじゃない」

勇者「……はいはい」なでなで

姫「なに撫でてんのよ」


26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 01:13:53.36 ID:wCtdKChZ0


姫「勇者、痛い」

勇者「またか、どこだ?」

姫「言う必要ないでしょ! ホイミかけてよぉ」

勇者「はぁ? とりあえず、はいはい」ポゥ……

姫(もう……定期的に胸が張って痛いなぁ)


27 : ◆3Jh764FmrU [saga]:2017/07/08(土) 01:15:15.67 ID:wCtdKChZ0
おやすみなさいなの
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/08(土) 02:01:23.06 ID:/UapoArmo
丸パクりやん
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/08(土) 02:27:03.27 ID:ttuWyDKUO
>>28 ヒント:本人
30 : ◆WslPJpzlnU [saga]:2017/07/08(土) 08:29:47.01 ID:wCtdKChZ0


姫「ねぇ勇者、ちょっと休憩しても良い?」

勇者「駄目」

姫「いいじゃない、ちょっとくらい」

勇者「そのちょっとが八回も続いてるからだよ」

姫「だって、各領地についての勉強って苦手で……」

勇者「いけません」

姫「むぅ」

勇者「はいはい、そのむーって言うのも八回目」


31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 08:56:53.24 ID:wCtdKChZ0


勇者「地図のここ、答えてごらん」

姫「……ど、ドムドーラ……」

勇者「ちがーう。ラダトーム北西にある町はガライの町だよ」

姫「ぁ、あはは、そうだったかしらー?」

勇者「こっちの湖に囲まれた都市は?」

姫「…………メルキド」

勇者「メルキドは例の伯爵が統治している、ラダトームから南端に進んだ山岳地帯の奥にある辺境領」スッ

勇者「ラダトームから東の湖に囲まれたこの都市は、リムルダールだな」

姫「……」

勇者「女の子が白目を剥くんじゃありません!」


32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 09:07:39.92 ID:wCtdKChZ0


勇者「久しぶりに城の外へ出るな」

姫「珍しくお父様が外出を許してくれたものね」

勇者「まあ、そこはお使いだからなんだけどな」

姫「最悪ね、お使いに手間取った事にして遊ぶわよ」

勇者「はいはい(楽しそうな声だな)」


33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 09:08:39.19 ID:wCtdKChZ0


姫「勇者、あれやりたい」

勇者「射的か」

姫「ボウガンなんて触ったことないけど、やりたい」

勇者「矢は俺が付けるから、姫はよーく狙って撃つんだ」

姫「うん!」


34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 12:19:44.48 ID:wCtdKChZ0

< パスンッ

姫「……当たらない」

勇者「残り二本まだ矢があるよ」

姫「最悪な気分、やめる」

勇者「そっか」チャカッ

< スコンッ!

< 「おお! 兄ちゃん大当たりだぜ! あと二本の竹筒を落としたら景品やるよ!」

姫「……」

勇者「どうかした?」

姫「おんぶして、それから……私は見てるから勇者が代わりに当てなさいよ」

勇者「はいはい。オヤジさん、矢を五本追加」


35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 12:41:02.37 ID:wCtdKChZ0


────・・・


姫「……もふもふしてる」モフモフッモフッ

勇者「ぬいぐるみっていう、子供向けの可愛い玩具だよ」

姫「城には無いけど、なんでなの」

勇者「王族には必要ないんだってさ」

姫「……そうね、必要ないわ」



姫「だから城に入る前に、勇者にぬいぐるみあげるから大事にしなさいよね!」ぐいっ

勇者「はいはい」

姫「おぶって!」

勇者「はいはい、よっと」

姫「……ぬいぐるみ、大事にしなきゃ怒るからね」

勇者(持っててあげるから、俺の背中で泣きそうになるなよ)


36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 12:53:29.18 ID:wCtdKChZ0


姫「zZZ」

勇者「寝てるのか……ま、いいか」

勇者「丁度いいから用事を今のうちに済ませるかね」

店主「おや、勇者様いらっしゃい」

勇者「ラダトーム王のオーダーしていた物を取りに来た」

店主「ラダトーム王様の! となるとそちらの方が姫様?」

勇者「ああ」


37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 13:20:09.99 ID:wCtdKChZ0


店主「王族の、それも姫様のドレスを見繕えるとは! 一職人として光栄ですな、ささどうぞ御用意してあります!」

勇者「なんだこれ」

店主「ラダトーム王様のオーダーで作りました、姫様の舞踏会でのドレスになります」

勇者「露出が多すぎるぞ」

店主「そう言われましても」

勇者「……仕方ない、代金はこれでいいな」

店主「ありがとうございます」


38 : ◆WslPJpzlnU [saga]:2017/07/08(土) 13:36:50.34 ID:7YgCcWaIO

〜〜【ラダトーム城】〜〜


勇者「帰ってきたぞ姫、起きな」ユサユサ

姫「ん……おはよ」

勇者「おはよう」

姫「……この体勢つかれた」

勇者「降りるか」

姫「抱っこ」

勇者「はいはい」ぎゅ

姫「おやすみ……」

勇者「また寝るのかよ!」


39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 13:38:59.22 ID:7YgCcWaIO


メイド「お帰りなさいませ」クスクス

勇者「笑うなよ……」

メイド「小さな頃から仲が良いですね、姫様と勇者は」

勇者「俺の一族はロトの代から王家に仕えてるからな」

メイド「素直じゃないですねー」

勇者「素直だよ俺は」


40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 13:42:29.46 ID:7YgCcWaIO


勇者「こちらがドレスになります」バサッ

王様「おぉ! 実に美しいではないか」

勇者「王様、姫様には必要ない露出が含まれていますが、これは?」

王様「何を言うか、そなたが不甲斐ないばかりにわざわざ作らせたのだ」

勇者「は?」

王様「今度の舞踏会を通して、メルキドの辺境伯である伯爵殿に姫の婚約者となる事を許すつもりなのだ」

勇者「……!」

王様「……その目、何か言いたいならば申すが良い」

勇者「いえ……」


41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 13:56:43.49 ID:7YgCcWaIO

────・・・


姫「……勇者、つかれたよ」

勇者「体力作りもかねて、練習した方が上達するぞ?」

姫「何よ、私は絶対に踊らないからね! なんで私が舞踏会に向けて練習しなきゃいけないのよ!」

勇者「……」

姫「勇者なんて嫌い」

勇者「……はいはい」


42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 14:01:23.74 ID:7YgCcWaIO

< 「I、2、I、2、そこでステップ……」

< タッ タッ、スーッ

< 「あっ!」ずるっ

< ドターン!


姫「勇者ぁ……っ」

勇者「ごめん、じゃない! 大丈夫か足!」バッ

姫「挫いたのに大丈夫な訳ないでしょばかぁ……っ」

勇者「悪かったよ、無理に踊らせようとした俺が悪かった」

姫「待って……ホイミは部屋に着いてからかけなさいよ、話があるし」

勇者「…おう」


43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 17:10:48.48 ID:7YgCcWaIO


姫「こ、婚約? 私が、伯爵と!?」

勇者「ああ、それでせめて少しは踊れるようにって」

姫「それで心配したつもりなの?」

勇者「そりゃ心配だよ」

姫「……本当最悪、ばか勇者……ホイミはかけなくていいわ」

勇者「でも踊れないだろ」

姫「踊らない、そもそも踊れないの知ってるくせに」

勇者「……」

姫「出て行ってよ、勇者……っ! 出てって!!」


44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 17:15:26.82 ID:7YgCcWaIO


勇者「あー、初めて追い出された」

メイド「こんな庭園でどうしました?」

勇者「なんでもないよ」スタスタ

メイド「元気ないですね」

勇者「そりゃーもう泣きたいくらいにな」

メイド「私の師がそんな弱気でどうするんですか、何があったんです?」

勇者「……いや、本当に何でもないんだ。悪いのは俺だから」スタスタ

メイド「はあ……」


45 : ◆WslPJpzlnU [saga]:2017/07/09(日) 04:31:23.94 ID:OULwOB0O0


勇者「ただいま」

勇者(まあ兵舎の角部屋で独り暮らしなんだから返事があるはずない)

勇者「…………」

勇者(もう姫のわがままを聞いてあげられないな)

勇者(このまま隠し通したら、姫の心が壊れるかもしれない)

勇者(………ラダトーム王女。姫の持つ確認出来た病の数は小さな疾患含めて22種類)ガサッ

勇者(その内、キアリーで治せた物は19種類)

勇者(だが再発した。何度も、何度も……)

勇者(今の姫は……幼少期の専属薬師がそんな彼女を一度攫い、身代金を要求してきた事件の時に男性恐怖症にも似た病も患っている)

勇者(……踊れるわけがない、そんなのは、分かってた)

勇者(足だって度重なる高熱の影響で上手く踏み込めない、近くに人がいなければ死への恐怖で眠る事も出来ない)

勇者(姫の人生、16年間で3度も呪いに似た原因も分からない病で昏睡してる……ああ、そうだ。俺は彼女を……)


46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/09(日) 04:40:27.09 ID:OULwOB0O0


勇者(……こんな現実を見せて、どうするんだ)

勇者(姫が結婚すれば将来は安泰だ)

勇者(きっと俺より優秀な魔法使いもムーンブルク大陸から雇える)

勇者(姫の人生は明るいはずじゃないかよ)


  『勇者……おんぶ』


勇者「…………はいはい」

勇者「っ、空耳……か」


47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/09(日) 04:45:20.69 ID:OULwOB0O0


────・・・


姫「なんでいるのよ」

勇者「鍵開いてたぞ」

姫「最悪、なんで開けるのよばか」

勇者「眠れないだろ」

姫「眠くない」

勇者「この時間は眠くなるからいつも撫でてたろ」

姫「……」

勇者「……」なでなで


48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/09(日) 04:47:19.62 ID:OULwOB0O0


姫「……勇者」

勇者「んー」なでなで

姫「私のこと、嫌いになることあるの?」

勇者「ならないだろ、姫に嫌われる事はあってもさ」

姫「……そう」

姫「明日は一緒に踊りの練習手伝ってくれる?」

勇者「はいはい、おやすみ」なでなで

姫「なによ! ばか!」


49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/09(日) 04:49:02.43 ID:OULwOB0O0


勇者「……やっぱり難しいな」

姫「特にターンがね」

勇者「なんか、姫の足が折れそうで怖いな」

姫「そこまで貧弱じゃないわよ、ばかっ! んきゃぁ!?」グキッ

勇者「はいはい、既に挫いたのな」ホイミ


50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/09(日) 04:50:20.83 ID:OULwOB0O0


伯爵「これはこれは、姫様、もしや舞踏会に向け練習を?」

姫「!」

勇者「ええ、まあ。少し苦戦していますが」

伯爵「なんと、私が少々見ましょうか姫様」

姫「っ……」びくっ

勇者(……)


51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/09(日) 04:54:21.92 ID:OULwOB0O0

< よた……よた……


伯爵「……ふむ、お世辞にもダンスが上手いとは言えませぬな」

姫「っ、勇者!」

勇者「はいはい……伯爵殿、姫様はこれより少々移動しますので」

伯爵「おやそうですか、では私もそろそろ行きましょうかな」

姫「申し訳ございません、伯爵様……」

伯爵「いえいえ! これだけ美人な姫様のお手を取る事が出来たのですからな! 柔らかな肌の感触、忘れませんぞ?」ニタァ

姫(………っ)ぎゅぅ

勇者「……」

52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/09(日) 07:45:49.47 ID:OULwOB0O0


伯爵「いやあ楽しみですな、16になったばかりとはいえ美しくなられた姫様と踊れるとは」

王様「しかし姫は少々礼儀作法に欠ける、教育係たる者がしっかりしないのだ」

伯爵「おやいけませんよ王様、彼はとてもよく働いている様だ」

王様「む? 伯爵殿は勇者の奴をご存知だったか」

伯爵「えぇ、彼は実によく『働いていましたよ』」


53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/09(日) 07:54:49.75 ID:OULwOB0O0


伯爵「それはそうと……随分とこの城は魔物の侵入を許してしまうのですね」

王様「何を言っている?」

伯爵「先日、小耳に挟んだのですよ。衛兵がうたた寝をしてる間にスライムが中に入り込んでしまったとか?」

王様「……事実だ」

伯爵「スライムすら侵入してしまう城……おお恐ろしい、民衆が聞いたらどんな顔をするか」

王様「伯爵殿、何を言っている?」

伯爵「噂は聞いている筈ですよ? ラダトーム王」

伯爵「『かの予言が示した者』が、ドムドーラを滅ぼしたのだ。とね」

54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/09(日) 08:04:24.94 ID:OULwOB0O0


王様「馬鹿な、あれは不運な事が重なって起きた天災によるものだ!」

王様「大地震が起きた後にドムドーラは火災により焼け野原となってしまった、一夜の出来事だ。誰もたまたま逃げられなかっ……」

伯爵「本当に、そんな事があると。そう思うのですね?」ニタァ

王様「……伯爵、貴様何を言いたい」

伯爵「よく御考え頂きたい。果たして今のままでこの国を守れるか否か、そして我がメルキドが誇る『ゴーレム』の守護を民が求めるか否か」

伯爵「仮に、メルキドの技術が欲しいならば……私が望む事は一つですよ」

王様「……」

伯爵「私を王族に加えて頂きたい、あの姫様を妻としてね」ニコッ

55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/09(日) 08:10:19.75 ID:OULwOB0O0


────・・・


姫「けほっ、けほ……勇者、おんぶ」

勇者「まだ熱が引いたばかりなのに、平気なのか? この間のダンスの練習以来高熱で伏せってたのに」がしっ

姫「治ったわよ、もう」フンスッ

勇者「そうか、無理はしちゃだめだぞ?」

姫「今日は城の裏庭に行くわよ!」ぺしぺし

勇者「はいはい頭叩くな」


56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/09(日) 08:19:53.67 ID:OULwOB0O0


〜【ラダトーム城・裏庭】

メイド「あれ、何しに来たんですか姫様と勇者さん」

姫「散歩!」

勇者「仕事中か? 悪かった」

メイド「いえいえ、1人で草刈りするよりは楽しいです」

勇者「1人? 他のメイドは?」

メイド「伯爵様をもてなす為に他の仕事中ですよ」

姫「……あの人、また来てるの」

勇者(最近頻繁に来てるな、王様と何を話しているんだ? ……姫の事か?)


57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/09(日) 08:21:08.64 ID:OULwOB0O0


姫「勇者、私メイドの手伝いをするわ」

勇者「なんで」

姫「メイド1人じゃかわいそうじゃない!」

勇者「あー、メイドは手伝って平気か」

メイド「助かりますよ」

姫「ほらね! 私だってたまにはメイドの手伝いくらい……」

勇者「はいはい」がしっ

姫「なんで勝手に私を背負うのよ」


58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/09(日) 08:21:37.98 ID:OULwOB0O0


勇者「草刈り鎌は危ないんだ、もし姫が怪我したりしたら大変だろ」

姫「最悪ね、女は鎌も使えないっていうの?」

勇者「姫の手にこんなの刺さった所見たくない」ギラッ

姫「………」ぞぉ

勇者「わかってくれて良かった」

メイド(なんか面白いなぁこの2人)


59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/09(日) 08:22:47.01 ID:OULwOB0O0


勇者「終わったな」

姫「は、早い……」

メイド「大丈夫ですか勇者さん」

勇者「大丈夫」

姫「ほとんど1人で刈ったわねアンタ……」

勇者「どうだった?」

姫「え? そりゃかっこよ……って、何言わせたいのよばかっ」

勇者「はいはい」

メイド(勇者さん満足そうな顔してる)
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/09(日) 08:25:45.15 ID:OULwOB0O0


姫「ふぁぁ……気持ちいい陽気ね」

勇者「風とかいい具合だな」

メイド「ここは私もお気に入りの場所なんです、実は。気に入って貰えて何よりです」

姫「……勇者」

勇者「?」

姫「よいしょ、しばらく勇者がベッドになっててよ。落とさないでね」よじよじっ

勇者「はいはい」なでなで


61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/09(日) 08:27:45.44 ID:OULwOB0O0


メイド「……勇者さんと姫様は、いつからお知り合いに?」

勇者「なんだ急に」

メイド「なんとなく気になりまして、ほら、私がこの城に来た時にはお二人はそんなご関係だったので」

勇者「なんとなくか、んーと……」

姫「……♪」zZZ

勇者「……多分赤ん坊の時からかな」

メイド「へー、えっ?」


62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/09(日) 08:32:08.61 ID:OULwOB0O0


勇者「……両親が今の王の教育係で、俺も親と同じように姫の教育係になったんだ」

メイド「勇者さん、歳は?」

勇者「19……当時は3歳で俺はよくわかってなかったよ」

メイド「凄まじい記憶力ですね」

勇者「ああ、不思議だよな」

姫「zZZ」

勇者「姫との記憶は全部欠ける事なく覚えてるんだ」


63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/09(日) 08:33:53.33 ID:OULwOB0O0


勇者「今まで色々あったな、病気とか怪我とか」

メイド「姫様、昔から体が弱かったですよね」

勇者「……必死に姫の病気治すために色々学んだな」

メイド「魔法も?」

勇者「ああ、姫を守る為に必要な力は全部」

メイド「惚れそうです」

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