【安価】Timeless Heroes【クロスオーバー・ヒーロー】

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186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/16(水) 12:43:54.55 ID:iHrqj+snO
マダー?
187 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/16(水) 14:58:18.66 ID:U3R2g18Ao
*

 かくしてアズマは情報屋A.S.A.Pの手を借りて、カラムが遺した情報を信頼できる人物にリークすることで未然に軍諸機関に悪用できないよう牽制する試みに出た。
まず、A.S.A.Pが勧める記者へのアポイントメントを取る為に24時間時間が欲しいと言った。
それまでの間、指名手配中のアズマはどうにかして自分の身を守り続けなければならない。

 アズマはA.S.A.Pが教える逃走ルートを利用して、ヒーローから逃げ続けた。
ルートはスラム街、地下駐車場、ショッピングモール裏など、どう見てもヒーローがパトロール範囲に入れていないであろう場所であった。

 次にアズマが訪れた場所は、下水道。鼻を突く汚臭と溜まった気がタイムレスとして鋭敏になった感覚を刺激した。

不快感に襲われながらも、ダニも見つからないであろうこの場所は疲れた体を癒すのには十分であった。
彼はため息をつきながら、湿った壁に背中を預けると、どこからともなく声が聞こえて来た。

「――1976年」

「――5月29日」

「電気技工士の父と母の元に生まれ――」

「――11歳の時、親の離婚により母方の叔母の家に預けれられる」

最初は何を言っているのか分からなかった。

「貧困層にありながら、勉学に秀でており優秀な成績で大学に入学、卒業」

「大学在籍時――唯一無二の親友に出会う」

しかし、ここまで来て、この声の主が誰≠フことを話しているか分かった。

「卒業後、給与と保証金を実家に仕送りする為、軍に入隊」

「コンラッド=バジョット隊に配属」

「コンラッド式メンタルトレーニング第一期生として志願。その後、大規模作戦に幾度も参加し優れた戦歴を上げるようになる」

アズマの額に冷たい汗が伝った。


――彼≠ヘアズマ≠フことを語っていたのである。それも彼自身しか分からないようなことを。


「驚いた?」

彼≠ヘいつの間にかアズマの間合いに張り込みへらへらと笑って見せた。
188 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/16(水) 15:16:01.75 ID:U3R2g18Ao
 アズマはその速さに驚き、これ以上近寄られないよう距離を取った。
アズマについて語った男は、黒いパーカーにフードを深くかぶっており、顔がよく見えなかった。
だが、その声の感じから若いことは分かった。

「お前……ヒーローか?」

アズマが尋ねると、男は首を振り、こう言った。

「あんな甘い連中と一緒にしてもらったら困るよ。あいつらはターゲットを基本的に殺すことは許されない」
「気絶させるか、自分の攻撃に目を向かせてRSフォースに撃たせるか、だろ」
「俺達≠ヘ違う」
「俺はコンラッド大佐の私設部隊に雇われた。ブラックドッグ≠チて言えば分かるかい」

その名前に聞き覚えがあった。最近名の知れたタイムレスがヒーロー・ヴィラン関係なく殺害されている。
その事件現場に描かれる黒い犬のスプレーアート。
捜査関係者は彼をタイムレス狩りのブラックドッグ≠ニ呼んでいた。
ブラッグドッグは再び、アズマとの間合いを詰めながら言った。

「俺(ブラック・ドッグ)は不吉の証! 俺を見た奴は必ず死ぬ! アンタも死ね!」

彼は腰の大型ナイフを抜き、アズマの首にそれを押し当てて、思い切り引いた。
189 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/16(水) 15:36:31.08 ID:U3R2g18Ao
アズマはすぐさま自分の身体を黒い装甲に覆わせた。ナイフは彼の喉笛を切り裂くことが出来ず、外皮と擦れて赤い火花を散らした。

 この数日でアズマは自分の能力を知ることができた。
まず、この外皮は精神が落ち着いているときであれば、自分の意志で自由に発現させることが出来ること。
次に、怒り≠解放して砕け散った外皮は6時間程で回復すること。
全ての外皮が散った時に現れる、紅い姿は防御は弱いが運動性能が格段に上昇すること。
最後に、ジェモンに攻撃された時に分かったこと。怒り≠コントロールして放出すれば空を飛べること。

 二人の攻防が続いた。アズマは相手が殺しに来ていると分かっている以上、こちらも本気でやらねばと攻撃をしていた。
しかし、決め手に欠けていた。
ブラック・ドッグはすばしこく攻撃しにくい上、こちらの手の内が読まれているかのように攻撃をふさがれ反撃されるので対応しきれない。
それに、この場で怒り≠放出できない理由があった。

「どうしたの、アズマさん! 俺を殺してみなよ!」

 ブラック・ドッグは相も変わらずすばしこく、こちらを挑発しながら攻撃してきた。

アズマの余裕は失われつつあった。
それが彼の目論見とも言える。苛立ちは能力に暴走を与え、いつ何時怒り≠解放してしまうか分からない。
アズマは自らの心に自制を呼びかけた。
190 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/16(水) 15:59:17.69 ID:U3R2g18Ao
「おいアンタ! 何でさっきから切り札¥oしてこないワケ?」

ブラック・ドッグは挑発を止めない。
こちらの弱みにすでに気付いていたのである。
彼はわざとらしく大声で言った。

「ああ、そうか! ここは下水道! ガスが溜まりやすい上に何かに引火したらすぐに酸欠になっちまう!」
「ああ、そうか! 分かったぞ! アズマ=コンドー! お前はタイムレスなんかになっても呼吸器官は人間の時のまんま!」
「それにお前の身体は熱に満ちている!」

ブラック・ドッグはすぐさまパーカーのポケットから小型の機械を取り出し顔面に押し当てた。
すると機械は変形し、犬の顔に似たガスマスクになり、彼の顔面に装着された。
更に彼はポケットからスプレー缶を出した。

 爆発物と誤認したアズマは一瞬、怯んだ。
その隙が仇となった。ブラック・ドッグはスプレーをアズマの身体に振りかける。

アズマの身体に激痛が走った。痛みのあまり、汚水の中に転び、のたうち回った。

「痛くて聞こえてないだろうがこれはただの液体窒素」
「だけど、お前の熱い身体と、遠くの人間を察知できるくらい鋭敏になった感覚であれば、その痛みは普通の人間にこれをかける何百倍も痛いはず!」
「どうだ! 痛いだろう? 痛くて痛くて殺してほしいくらいだろ!」
「でもまだ殺してやらなーい!」

ブラック・ドッグは液体窒素の入った缶を投げ捨て、次のスプレー缶を出す。
すると、その缶を周りに振りまいた。

 痛みにもがき苦しみながらも、アズマはそれが何なのか凝視しようとした。
その時、視界がぐにゃりと歪んだ。そして、とてつもない吐き気が彼を襲った。

「神経毒さ! 呼吸器が人間と同じならこれも苦しいだろうと思ってさ! 用意したんだ!」

アズマはもがけばもがくほど空気が吸えず、苦しみ、身体に残る痛みと共に短時間で衰弱していった。
191 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/16(水) 16:11:16.73 ID:U3R2g18Ao
アズマは薄れ行く意識の中で色々なことを考えた。

(俺はこれから死ぬのだろうか)

(俺が死んだらカラムの意志は――リンは――)

(あいつ、俺のことを過去だけでなく能力と弱点まで……俺も知らなかった弱点が……)

(もっと力があれば……ここで死ぬわけには――)

(クソ……クソ……クソ……ッ! もっと……力を――!)

強い後悔が怒り≠ノ変わり、その中から不甲斐ない自分とブラック・ドッグに対する憎しみ≠ェ心に満ちた時、アズマの意識は深い海に落ちて行った。

*

「あれェ? もう死んじまったのか?」

アズマは小さく蹲り、呼吸をしていなかった。

「チェッ、つまんないの」

ブラック・ドッグはつまらなさそうにその身体を軽く蹴った。
その時、アズマの身体は内側から紅く輝いた。

「なんの光――」

下水道に強い光と激しい炎が走った。

*

約束の時間まで23:00、22:59、22:58、22:57…

*
192 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/16(水) 16:13:41.95 ID:U3R2g18Ao
#3 Chaser

to be continued…
193 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/16(水) 16:22:07.58 ID:U3R2g18Ao
Next…

First Timeless Hero:Ultimate fate of the universe

#4 Time of fate 運命の時まで…
 怒り≠ノ次ぐ新たな能力憎しみ≠フ解放を行ったアズマは小さな繭の中で仮死状態に陥っていた。
沈下した下水道に新たな刺客達が現れ、アズマを発見する。コンラッドの命に従い、彼らはアズマをとある場所≠ヨと連れ去る。
運命の時まで残り19時間――
194 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/16(水) 16:47:15.81 ID:U3R2g18Ao
【#1解説】
・このコーナーでは話の中で説明しきれなかったことを今後のネタバレをしない程度に解説します

☆今回短くね?:イベントが多いから許して

☆タイムレス用拘束台:便利アイテム。費用が馬鹿にならないので一警察署に2台くらいしか置いてない。アズマは事件の重要参考人としてこれが使われました。みんなビビってたんです

☆アズマって変身解除できるの?:精神が落ち着いている限りは可能です。怒ると医師関係なく変身します。

☆タイムレスの中途覚醒条件:これはあくまでエズメ警部の推測です

☆タイムレスの法的保護:登録法云々でもめた上、今の法律があります。

☆タイムレスの拘留期間:長い

☆ファラリス自治区:タイムレス人権に手厚い保護法を敷いた自治区。高い金を払って住むことができます。かなり平和な場所で、富裕層のタイムレスはここに移住してます。

☆超人保護局:自由の国なので、登録しない自由とそのメリットも教えてくれます

☆何があっても絶対壊れないUSB:アズマの能力は指向性を持たせることが出来るので、攻撃があたりにくいです。手の中が一番安全かも(適当)

☆ヒーロー:政府に登録したタイムレスが国の正義に従って、人命救助・ヴィラン退治を行う職業。国ごとにヒーローがおり、国の顔としてお国柄が見えてくる。なのでタレント活動もする。

☆ヴィラン:犯罪者

☆RSフォース:Riot suppression force(暴動鎮圧部隊)の略。ヒーローと連携しながらヴィランを捕えたりするサポートチーム。汚れ役。
195 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/16(水) 16:56:33.33 ID:U3R2g18Ao
【#1解説(人物編)】
・今回出て来た名前アリのキャラクターは後のシリーズに出ることを想定して作られたキャラクターです。ネタバレしないようにおさらいしていきましょう

☆エズメ=ピール警部:しがない中年警部。人柄が良いので周りから好かれている。借金をしてファラリス自治区に娘を引っ越させた。次作に関わらせたい。

☆ミシェリン=ルーロウ=ボルダック(ミシェル=ボルダック):超人保護局の案内役

☆サムライヒーロー・ジェモン(マスター・ジェモン):安価を頂いた時から考えていたキャラ。日本からアメリカに移籍したヒーロー。日本での人気は無かった。

☆A.S.A.P:情報屋。A.S.A.Pは、as soon as possible(可及的速やかに)の略。メールに書いたりするのに使う。

☆ブラック・ドッグ:タイムレス狩りのヴィラン。スプレーアートが趣味。
196 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/16(水) 17:03:27.85 ID:U3R2g18Ao
【refer to…#3】
・このコーナーでは皆さんのこんなアイデア・意見を参考に書いたことをお知らせするコーナーです。皆の意見がこんな感じで反映されているとお話しします。

☆侍をモチーフとした姿で、白い着物に蒼い袴を着用し、帯刀している:ジェモンのキャラクター作成の参考にしました

☆あとアズマがarmy入りした経緯とか知りたい:ブラック・ドッグが話す形でお話ししました。

☆カラムとは違ったおちゃらけた性格とか良さそう、陽気な黒人枠的な:A.S.A.Pのキャラクター作成の参考にしました。

☆コンラッドによって雇われた『タイムレス狩り』の殺し屋。
 本人にしか知り得ない弱点を突いてくる。
 本人はタイムレスではない。
 見た目は人畜無害そうな好青年。
 常にヘラヘラとした笑みを浮かべている:ブラック・ドッグのキャラクター作成の参考に大いになりました。ありがとうございました。

☆精神改造を受けて任務に疑問を持たないようにされている:コンラッド式メンタルトレーニングというワードを考えるきっかけになりました。
197 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/16(水) 17:04:41.12 ID:U3R2g18Ao
・では一旦中断

・質問、意見、要望、アイデアについてはまだまだ募集中です!

・ではこのへんで
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/16(水) 17:25:08.10 ID:FdTcq0SXO

ブラック・ドッグのキャラいい感じだなあ
次回あっさり死んでそうだけど
199 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/16(水) 19:36:54.98 ID:U3R2g18Ao
・再開します。

・これから2話くらいは連戦に次ぐ連戦展開になるかもしれません。

・残り3話、折り返し地点

・ここまでで全てにおいて(設定・展開含め)質問はありますか?

・決めることがあるので質問なんかない場合は「はよ」と言ってください

・30分或いは「はよ」3つで次に進みます
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/16(水) 19:43:18.56 ID:0kYQV8CD0
あんまり疑問点の考察とかしないで読む派です
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/16(水) 19:51:24.50 ID:Ptd3g0l+0
はよ
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/16(水) 19:59:05.69 ID:HHS/FoLg0
はよ
203 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/16(水) 20:07:46.33 ID:U3R2g18Ao
・では、今のところ変な所はないっつーことで進めていきます

・次は件の敵キャラ(ヴィラン)募集についてです

・ヴィランはこの物語での悪役・敵役なだけで、その内、配属替えやヒーロー転向もあるかもしれません

・前回時点で、キャラ自体を募集することを予告していましたが、実際どちらがいいでしょう?

・負担はどちらも変わらないと思います

・なので、ここで以下二つの中からどちらか選んでいただきたいのです

1キャラ安価:>>1が用意したテンプレを使ってキャラを作る

2今までの作り方:安価から得たイメージからキャラクター作成の参考にする

3その他:ほかにいい案があるなら教えてください

↓先にいただいた3つの意見を優先して進めていきたいと思います
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/16(水) 20:08:25.23 ID:YlcmqfIFo
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/16(水) 20:11:16.47 ID:HHS/FoLg0
2
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/16(水) 20:13:57.65 ID:Ptd3g0l+0
2
207 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/16(水) 20:21:42.62 ID:U3R2g18Ao
・ではいただいた意見を優先して、今まで通りの作り方で行きたいと思います

・これから皆さんのアイデア・意見を参考にヴィランを考えていきます

・募集するヴィランのイメージとしてはこんな感じです

【こんなキャラなんです】

・#4でアズマを捕え、立ちはだかる敵

【こんなキャラを想定して書きたいです】

・ヴィラン寄り(ようするに悪玉ってこと)

・人間(タイムレスであっても無くてもかまわない)

・コンラッドにアズマの持つデータを生死問わず奪うことを条件に雇われている或いは元から彼に仕えている

【聞きたいこと】

・上を踏まえた上でどんな敵が出てくると面白いですか?


・こんな感じで募ります。

・次回は複数体出てくる予定なので、できるだけたくさん集めたいと思います。少しずつやっていきます

↓1〜3
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/16(水) 20:27:51.60 ID:Ptd3g0l+0
超人的な頭脳を持つタイムレスだが、思考の箍が外れたマッドサイエンティスト。
その危険性から隔離されていたが、政府と『解放』と『実験施設及び動物(人間含む)の提供』を条件とした取引でアズマを捉えようとする。
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/16(水) 20:28:28.59 ID:HHS/FoLg0
棘のような触手を背中から生やしている高慢な女性
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/16(水) 20:32:25.71 ID:0kYQV8CD0
内部分裂起こしそうな横暴な女キャラが見たい
211 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/16(水) 20:36:17.44 ID:U3R2g18Ao
>>210
次作で嫌というほど見せる予定です

・更に集めます。もうちょっとアイデアをお借りしたい

↓1〜3
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/16(水) 20:42:43.82 ID:f//NUxb7O
動物性愛者で筋骨隆々な黒人男性
様々な動物と会話でき信頼関係を築いている
社会的にお目こぼしをしてもらう代わりに、動物を使った任務で協力している
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/16(水) 20:50:08.56 ID:DHFTKN9KO
ただ「タイムレスを狩ってみたい」という好奇心とその腕前から雇われた軍のスナイパー
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/16(水) 20:59:55.94 ID:0kYQV8CD0
自分の技術を誇示したい欲が強い天才ハッカーの若者とか
正義感は強いけど、まだ何が正しいか自分の頭で考える脳がなくて、他人にすぐ影響される
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/16(水) 21:11:55.81 ID:f//NUxb7O
人種とかの設定は詳しくあるんでしょうか?
東南アジアや南米系もいたらいいな
日系はキャラ立てしやすそうだけれど、それ以外はシナリオ上の設定に結びつけるのは大変そうだけれど…
216 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/16(水) 23:00:41.82 ID:U3R2g18Ao
>>215
一応設定されているキャラはいます。
アズマは名から察せる通り日系。カラムは本文にもある通りインド系移民(インド系アメリカ人)。
A.S.A.Pは黒人。ジェモンは本名ですが、純日本人です。
描写の無いものに関しては、エズメ=ピール警部は、ヒスパニック系と妄想していたりします。それ以外だとコンラッドは特に白人というイメージで書いています。
確かにシナリオ設定に結び付けるのは難しいですね。勉強します。

・皆さんのアイデアのおかげで私設部隊の設定が出来上がりました! ありがとうございます

・一旦中断

・質問、意見、要望、アイデアについてはまだまだ募集中です! 感想励みになります! ありがとうございます!

・ではこのへんで
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/20(日) 23:26:04.62 ID:NRMj6yVDO
更新はしばらく出来なさそう?
218 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/23(水) 15:44:57.73 ID:cG9LBXvXo
・ゆっくりとはじめていきます
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/23(水) 15:50:13.75 ID:lg4NJiIp0
待ってた
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/23(水) 16:03:21.52 ID:cn3AoUB90
キター(゚∀゚)!
221 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/23(水) 16:09:43.43 ID:cG9LBXvXo
#4 Time of fate

 ――あれから1時間後。
 未だ煉瓦造りの壁が燻る古い下水道に、男女二人が足を踏み入れた。彼らには目的があった。
 今から一時間ほど前、ターゲット――アズマ=コンド―を追わせたブラック・ドッグの生命反応が忽然と消えた。彼の生死を確かめる為、更にアズマの回収をする為に彼らは来たのである。
そう、彼らもブラック・ドッグと同じコンラッド=バジョット大佐の手下である。

「生きてると思うか? あの小僧」

屈強な男は女の方に尋ねた。黒髪をポニーテールに纏め上げた美女はのんきに答える。

「彼、しぶといもの。きっと生きてるわ」


 彼らは暫く歩くと、倒れているブラック・ドッグを見つけた。男は小柄な彼をひょいと背負うと

「ほれ見ろ、死んでる」

と呆れたように言った。すると、後方で大きな咳き込みがあった後

「死んでなんかいねえ、勝手に殺すなオッサン。シグナルはターゲットに吹っ飛ばされた時壊れただけだ」

とブラック・ドッグが息を吹き返した。

「ほら、余計なこと言ったから生き返っちゃったわ」

「悪ィ冗談はやめろって!」

女は、ブラック・ドッグをからかい、その犬の顔に似たマスクの鼻をちょんとつついた。
222 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/23(水) 16:20:48.87 ID:cG9LBXvXo
「で、ターゲットは?」

男はブラック・ドッグに聞いた。彼は数m先を指さした。
そこには大きな黒い繭のようなものが落ちていた。男は気味悪そうにゲェっと餌付いた。

「これがアズマ=コンドーなのか?」

「ああ。気を失う前にコイツ体中から糸を出して、こうなりやがったところまでは覚えている」

「気味悪ぃ」

「全くだ。気色悪いんだよタイムレスなんて連中は」

ブラック・ドッグらは悪態を付いた。それに関して興味なさげに女は繭に近付き、無警戒に触った。
繭の奥からは微かに拍動する音が聞こえていた。

「見て! 生きてる!」

女は少女のように無邪気に二人に叫んだ。

「あの繭、どうした方が良いと思う、ブラック」

「殺さないのか?」

「命令が変わった。生きたまま持って来いとさ」

「聞いてないぞ糞ッ……」

大男は背中のブラック・ドッグに指示を仰いだ。
大男は彼のその戦闘力自体は低いと見ており侮ってはいるものの、その情報収集能力やタイムレスを多数殺してきた経験から導き出される観察眼については信用に値すると考えていた。
少なくとも学のない自分の勘よりは宛てになると。
ブラック・ドッグは答えた。

「前にも似たタイプの虫型タイムレスを殺したが、繭みたいなのを作るのは初めて見た」
「だが、大概繭ってもんは虫が変態前に行うものだ」
「アイツの性質から考えて……この繭から出たら奴はさらに強くなる。或いはあの中で回復しているのかもしれねえ」
「繭を破壊しろ。中のアイツをそこから引きずり出せ」

「どろどろに溶けてなんかねーよな」

「黙ってやれっ」

大男はナイフを取り出し、繭にそれを刺した。
繭からは黒い粘液がぶしゅりと吹き出し、三人の顔を汚した。
223 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/23(水) 16:23:01.71 ID:cG9LBXvXo
ある程度繭を切り裂いていくと、そこから裸のアズマが転がり出て来た。

「あらご立派!」

女は粘液に濡れたアズマをべたべたと触りながら喜んだ。

すると、何かに気付いたようにブラック・ドッグは大男に「脈を調べろ」と言った。
大男は首を横に振った。
繭と違い、脈を感じないのである。胸が動いている様子もない。

「死んでいるのか」

「分かんねー。タイムレスだからな。何でもありだ。戻るぞ。ドクターに解析してもらうんだ」

「分かった」

大男は言われたままアズマを更に背負おうとした。その時

「おっと、その前に!」

ブラック・ドッグは、左手を見るよう大男に指示した。
224 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/23(水) 17:52:24.02 ID:cG9LBXvXo
 左手は強い意志の下、硬く握られていた。その中には恐らく彼らの雇い主が求めている重要なデータがあるのであろう。
大男はブラック・ドッグに話した。

「強く握っているだけに見えるが? ならこじ開けちまえば」

「見ろ。掌のそこだけ硬化している。恐らく覚醒した時からこの状態だったんだと思うぜ。守れるよう進化したんだろ。よっぽどあのUSBを守りたかったんだろうな」

「そんなに友情≠ニやら大事だったのかねェ。冷血漢の元軍人アズマ=コンドーがここまで躍起になるたあ――」

「そりゃ子供の時から親戚の世話になってて、そこの家に迷惑かけないよう奨学金稼ぐためにガリ勉してたんだ
。アイツもカラム博士に会うまではそれなりに孤独な生活を送ってきたんだろうよ」

「さっすがA級プロファイラーだな、ブラック・ドッグ先生はよォ」

「うるせえ。帰るぞ」

 3人はアズマを連れて、下水道を奥へ進む。これから向かうのは彼らの拠点。
――コンラッド=バジョット邸である。

*
225 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/23(水) 18:07:33.39 ID:cG9LBXvXo
*
 ネイビーの家系であるバジョット家に生まれたコンラッドは、裕福な家庭で育った。
彼は父に代わって少将まで務めた祖父が勉強と愛国心とは何たるかを教わった。ただし、彼の祖父は暴力的な教え方を好んだ。
度重なる暴力と監禁により彼の心は歪んだものへと変わった。
彼の国を愛する心は、暴力的な防衛心、国の意志に反する者への激しい嫌悪感を中心に固められていったのである。
このことは軍の内部の人間は皆、知っていることであった。

 彼は軍人としては優秀であった。
それ故に、誰も言及されない事柄であったのである。

 彼は現在、NROの上級顧問として在籍している。
国家安全の為、新型偵察衛星による朝鮮民主主義人民共和国への警戒案を秘密裏に樹立させており、評価が上がっている一方、更にその裏で私設部隊を作り上げ、彼の信じる道に反したものに対して彼なりの正義≠執行しているのである。
226 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/23(水) 18:09:53.42 ID:cG9LBXvXo
 それがこうして郊外に聳え立つ屋敷、コンラッド邸に集まる5人の構成員である。

5人はコンラッドを囲んで会食をしていた。

「やあ、みんな。よく集まってくれた。嬉しいよ」

コンラッドは食事の手を止めて全員に言った。
全員は彼の言葉を無視して下品に食事を続けた。コンラッドは話を続ける。

「……君たちは我が国の為に集まってくれた。勇気ある英雄達だ。君たちの人数は分隊にも満たないが、その力は大隊に勝る」

「英雄(ヒーロー)? 俺達、世間的にはヴィラン側だけどな」

 コンラッドと向かい合って、奥に座る包帯で全身を巻いたブラック・ドッグが口をはさんだ。コンラッドは話を続ける。

「英雄は高潔なる意志の下に戦わなくてはいけない。君たちはその条件に十分当てはまる正しい者たちだ」
「……我々は国の忠実なる犬でなくてはいけない。我々は正義を執行する忠犬となって働く必要がある」
「私は、それを遂行する為の私設部隊にそろそろ名前を付けようと思う。どうだね?」

「好きにしたまえ。私は寛大だ」

ブラック・ドッグの隣に座る熟年の男性は言った。

「"Dogs"……これが我が部隊の名前……」
「我々は……この国を守る……忠犬だ……」
「タイムレスが現れ、この国の正義は変わった。一人のタイムレスによって世界の勢力が覆る。それ程彼らの力は大きいということだ」
「その脅威にアメリカは……この国に住む我々は常に晒されている」
「恐怖の中で暮らすことは辛いものだ……かつて私も恐怖の中で暮らしていた」
「恐怖は打ち消さねばならない。打ち消すためには力が必要だ……君たちの力が……必要だ」
「"Dogs"……世界の不安は我々が取り除く……あのデータを以て……」
「返してもらうぞ……アズマ=コンドー……"あのデータ"はもうお前の親友のものという範疇を越えている。あれはアメリカの……世界のものだ!!」
227 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/23(水) 18:28:21.30 ID:cG9LBXvXo

「ブラック・ドッグ、お前の名前を参考にしてコードネームを付けた。犬(dog)の部隊だからな。それにちなんだ方が面白いと思った」

「好きにしろ。俺らは好きにやれりゃあ良い」

「では――」

 コンラッドはブラックドッグの隣に座る熟年男性を手のひらで指した。

「Dr.マギネシア。貴方を今日からマッド・ドッグ(狂犬)と呼ぶ」

熟年の男――マッド・ドッグは嬉しそうに山高帽をぐいと上げてみせた。

「私の部下の中からスカウトした――ハウンド・ドッグ(猟犬)」

大男はそう呼ばれた。

「パピヨン」

女はそう呼ばれた。
彼女は不満げに頬を膨らます。

「ちょっとコンラッドぉ、私は前のコードのままなのォ?」

「パピヨンはパピヨンでも今はPhaleneだ。それに私はお前の本名を知らない」

「蝶から犬へ格下げね」

パピヨンはコンラッドから、その意味を聞き肩をすくめた。
228 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/23(水) 19:07:58.18 ID:cG9LBXvXo
「最後に――」

 コンラッドは隣に座る黒人の青年を見た。
彼は図体は大きい割に、気が小さく会食が始まってからおどおどとしており、食事については一切手を付けていなかった。

「どうした、ペット・ドッグ(飼い犬)。食欲がないのか?」

 ペット・ドッグと呼ばれた青年はそうコンラッドに聞かれたが、もじもじしており中々言葉が出てこなかった。
その態度に苛立ったハウンドは、テーブルを思い切り蹴った。テーブルの上のワイングラスが転がり落ち、割れる。
音に驚いたペットは小さな悲鳴を上げた。

「いや、その――」

ペットは弁明する。

「"メリー達"がまだ何も食べていないんだ。だから僕は……後で……良い」

それを聞くとコンラッドは「そうか」とだけ答え、使用人に"メリー達"に対し"餌"の用意をしろと命じた。
使用人が部屋を出ていくと、コンラッドはペットに「食べたまえ」と肩を叩く。
冷めてしまったテーブルの上の料理が下げられ、新たに料理が置かれた。
229 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/23(水) 19:13:41.10 ID:cG9LBXvXo
「あのガキに随分とお優しいなァ、コンラッド殿ォ」

皆、用意された飯を意地汚く喰らう中、ブラック・ドッグはペットの待遇の差を不満げに言った。

「口を慎め、ブラック」
「彼は優秀なタイムレスだ。今回の"更なる計画"に必要不可欠な人員なのだ」

「……けっ、こいつもタイムレスかよ! どいつもこいつもタイムレスタイムレス……」

ブラックは床に唾を吐き、大広間を後にした。彼はその行動が分かる通り、大のタイムレス嫌いであった。

それを皮切りに他の構成員も何かと理由を付けて広間を去って行った。

残ったのはコンラッドとマッド・ドッグだけとなった。
230 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/23(水) 19:21:32.43 ID:cG9LBXvXo
「ドクター、アズマの様子は?」

コンラッドが口を開いた。マッドは答える。

「坊やはまだ眠ったままだ、コンラッド。私もそろそろ研究室に戻るよ。"アレ"をはじめようと思っていたところだ」
「"再実験"成功の暁には坊やは私のものになるのだろう?」

「構わない。あのデータさえ無事であれば、奴はもう用済みだ」

「そうか、そうか。ははは」

マッドは杖を回し、上機嫌で大広間を出て行った。
彼が向かう先は、屋敷の中に在る自分の研究室であった。
Dogsの構成員は事情により、全員拠点持たず活動する者ばかりであった為、コンラッドが屋敷の部屋を一人ずつに明け渡したのである。
彼らはコンラッドの想定以上に実力が高かったが、それと同時に個性も強かった。
"首輪"が必要であった。
 彼らはコンラッドの許可無しに、この屋敷を出ることはできない。
無断で外に出よう、勝手な行動を起こそうものなら、彼の正義に反したと見なされすぐさま粛清の準備が始まるであろう。
Dogs以外にも私設兵はいる。その意識をさせることで暴走の抑止力にしたのである。

 マッドの笑い声は屋敷に響き渡った。

*
231 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/23(水) 19:39:33.27 ID:cG9LBXvXo
*

 研究室の中央にはベッドが置かれていた。そこに裸で横たわるのは、コンドー=アズマ。
彼は仮死状態にあった。呼吸は無く、脈も機械を通さなければ確認できない程弱いものとなっていた。

 ベッドの前に立つのはマッド・ドッグこと――マギア・マギネシア博士。
彼は眠るアズマの口元に酸素マスクを付けた。アズマの眠りは更に深い眠りの中に落ちていった。

マッドは眠るアズマの左掌を、それはまるで恋人の物のように撫でた。その手は固く閉ざされたままである。
マッドは呟く。

「ああ……私のかわいい坊や……ブラックから聞いたよ。お前は友人の為に、その身体を黒く染めて戦っていると」
「私はその魂を尊敬する。お前の精神性はまさに――タイムレス・ヒーロー(超越した英雄)と言えるだろう」
「しかし、そんなお前の身体にメスを入れるのは本当に心苦しいよ……でも仕方ないのだ」
「固く閉ざされた手を開かせるためには……"切断"するしかないんだ……許してくれ、坊や」
「君の身体は"苦痛"を与える度、強くなっていくそうだ。手術中に覚醒されては大変だから麻酔は強いものを使わせてもらうよ――」
「ははは、かわいい、私のかわいい坊や……目が覚めた時、守るべき"親友の意志"が己の手首ごと消えていたら……どんな顔をすることか」
「ははは、ははは、ものすごく――楽しみだ」

マッドは静かにメスを取った。

*
232 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/23(水) 19:42:38.50 ID:cG9LBXvXo
・中断

・最後に向けての大事な回。最長になるかもしれません

・ここが全体の1/5です

・意見、アイデアについてはまだまだ募集中です!

・ではこのへんで
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/23(水) 19:53:28.92 ID:cn3AoUB90
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/23(水) 19:58:06.20 ID:lg4NJiIp0

どのキャラも魅力的に描かれていて素敵だ
235 : ◆RbLyhCxL4nw3 [sage]:2017/11/08(水) 21:35:48.34 ID:AzPHANmro
保守
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