他の閲覧方法【
専用ブラウザ
ガラケー版リーダー
スマホ版リーダー
BBS2ch
DAT
】
↓
VIP Service
SS速報VIP
更新
検索
全部
最新50
千歌「カタストロフィ…か」
Check
Tweet
1 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/18(日) 00:40:31.45 ID:eX5gz9H+0
ラブライブ!×GANTZパロです。
前作
千歌「GANTZ?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1477559947/
穂乃果「とあるマンションの一室で」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1483797702/
曜「千歌…ちゃん?」高坂「……」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1491145319/#footer
原作を読んでいなくても楽しめるように書いていますが、前作からの設定やストーリーを引き継いでいるので
上記の作品を先に読んだ方がより楽しめる内容となっています。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1497714031
2 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/18(日) 00:41:32.11 ID:eX5gz9H+0
〜沼津 某マンションの一室〜
GANTZ『ヨーソロー 57点 TOTAL98点 おわり』
曜「……終わり」
ラストミッションを無事に生還した曜達
いつもの採点画面には点数の他に『おわり』の文字が表示されていた
長年に続いた異星人との戦闘に終止符が打たれたのだ。
ただ、これにより新たな武器の取得やメモリー内の人間の再生が不可能となってしまった
この部屋で死んでいった人々は、もう二度と生き返らない。
梨子「――これで全員の採点が終わったね」
善子「何だかんだ私達、三年近くこの部屋に呼び出されていたのよねー」
ルビィ「そ、そんなに経ったの!?」
ダイヤ「私達が高校生だった頃から戦っていましたからね……そのくらいはとっくに経っていますわね」
鞠莉「懐かしいわねー、みんなに卒業証明書を渡したのが昨日の事のように感じるわ〜♪」
鞠莉「まぁ、果南と曜が同じタイミングで卒業するとは思わなかったケド」ニヤニヤ
果南「もうっ!! そのネタでいじるのは止めてよね!」
3 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/18(日) 00:43:17.72 ID:eX5gz9H+0
理亞「んで、これからどうするの?」
花丸「どうするって…帰るんじゃないの?」
理亞「そうじゃない、ラストミッションが終わったって事は……そう言う事でしょ?」
聖良「……そうね」
果南「次は例のカタストロフィ…か」
曜「もうすぐ来るんだね…“世界の終わり”が――」
4 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/18(日) 00:44:11.74 ID:eX5gz9H+0
〜数日後 静岡市 某大学キャンパス〜
「おーい、なべ〜〜」フリフリ
曜「んー? どうしたの?」
「この後、部活ってあるの?」
曜「今日は無いよー」
「お! だったらさ、今夜に他の大学の人と合コンやる事になってるんだけどさー」
「なべも一緒に行かない?」
曜「あー……ごめん、今日は予定入ってるんだよね」
「あらら、それは残念…」ガッカリ
「だから言ったでしょ、曜はそういうイベントには参加しないって」
「分かっちゃいたケド…なべが来るって言えば絶対人集まるじゃん? 前回のミスコンでぶっちぎりの一位だったわけだし」
「ま、仕方ないね。また誘うよ」
曜「……うん、また今度ね」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
5 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/18(日) 00:45:34.23 ID:eX5gz9H+0
曜(さて、メールでは今日鞠莉さんが迎えに来ることになってるけど…)
曜(待ち合わせ場所どころか、時間も知らされて無いんだよね)ピピッ
『マリー:明日、迎えに行くからね(^^♪』
曜「……うん、分からん」
曜「本当に来るのかな?」ムムム
――ガヤガヤ、ヒソヒソ
曜(…なんか、出口付近が騒がしいぞ?)
曜(それに、やたらと視線を感じる……)
「あ、あの〜」トントン
曜「はい?」クルッ
「渡辺さんって…実はお嬢様だったの?」
曜「……はい!?」
「校門の前に如何にも執事って感じの人が立っているし、その近くには立派なリムジン……渡辺さんを待っているみたいだよ?」
曜は思わず頭を抱え、大きくため息をつく
曜「あー…迎えに来るってそう言う事か」
曜は校門の前で待っている執事の元へ近づく
曜の姿を確認した執事は丁寧に一礼した
執事「渡辺様、お待ちしておりました」
曜「ど、どうも」
執事「これより渡辺様を浦の星女学院までお連れ致しますので、どうぞご乗車下さい」ガチャ
曜「あ、ありがとうございます……」
――――――
6 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/18(日) 00:46:37.73 ID:eX5gz9H+0
車内には既に梨子と善子が乗っていた
二人とも静岡県から少し離れた大学に通っているので、先に迎えに行ったのだ
車内には栓が開けられたシャンパンが数本転がっていた。
善子「おっそいわよー、よーぅさぁ〜ん///」ヒック
梨子「もう、だから飲み過ぎだって言ったのに……」
曜「……どうしてこの子は出来上がってるのさ」ジトッ
梨子「執事の方が、冷蔵庫の中の飲み物は自由に飲んでいいって言っていたのよ」
7 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/18(日) 00:47:28.54 ID:eX5gz9H+0
善子『え!? この高価そうなシャンパンもいいんですか!!?』キラキラ
執事『え、ええ。その中の物はお嬢様が皆様の為に用意したものですので』
梨子『でも、これって相当高いんじゃ……』オロオロ
執事『そうですね…一本数万円はするかと』
梨子『す、数万円!? 流石にそれは――』
善子『う〜〜〜ん、最高に美味しい////』ゴクゴク
梨子『もう飲んでるし……』アゼン
8 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/18(日) 00:49:22.38 ID:eX5gz9H+0
曜「えっ!? まさかここに転がってる空ボトル全部がそのシャンパンなの!?」
梨子「その“まさか”です…」
善子「せっかく飲んでいいって言ってるんだから〜、飲まなきゃ失礼でしょおぉ///」ヒック
曜「あ、あはは……」
執事「皆様、これより内浦に出発しますので、席にお座りください」
曜「あ、分かりました。すぐに座ります」
――――――
9 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/18(日) 00:50:30.78 ID:eX5gz9H+0
曜(…それにしても、この執事さん)チラチラ
執事「……(運転中)」
曜(何だか隙が無いって言うか、威圧感があるというか…只者じゃない感じ)ジッ
執事「…渡辺様、どうかされましたか?」
曜「へ!? いや、別に何でもないですよ!!?」ビクッ
曜(ウソでしょ…何で気が付いたのさ!?)
梨子「…この執事さん、物凄いんだよ?」
曜「へ?」
梨子「この車に乗る前、厄介な人たちに絡まれたんだけど――」
――
――――
――――――
10 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/18(日) 00:52:07.16 ID:eX5gz9H+0
梨子「――あの、予定が入っているのでもう行ってもいいですか?」ギロッ
「えー、いいじゃん! その予定はキャンセルしてよ」ニタニタ
「私らと遊んだ方が楽しいからさぁ」
梨子は数人の男女グループに絡まれていた。
自分では地味だと公言しているが、どう見たって地味ではない
それどころか、モデルやアイドルをやっていると言われてもなんら疑問に思われない程の容姿であるのは間違いない。
内浦から離れた土地で暮らすようになってから、そこそこの頻度で知らない人から声をかけられるようになっていた。
梨子(……失敗した、どうして今日に限って下にスーツを着てきて無いのよ!)
「ほら、行こうよ!」ガシッ
梨子「っ!? 触らないで!!」バッ!
肩を掴んできた手を思いっきり叩き落とす
かなり強めに叩いたせいか、叩かれた相手の表情が険しくなった。
「…ってぇなあ! 軽く触っただけじゃん」
「ちょっとぉ……今のは無くない?」ギロッ
梨子「……何、私が悪いの?」
「当たり前じゃん? こっちは手ぇ出してないわけだし」
梨子(いや、思いっきり掴んだでしょ)
「ちょっとこっちが優しくしてるからって、調子乗り過ぎじゃん?」
三人の男がジリジリと距離を詰めてくる
普通の女性ならば筋肉質の若い男に詰め寄られれば恐怖で動けなくなるだろう。
ただ、梨子は“普通の女性”ではない
幾多の化け物との死闘を生き残った彼女にとって、彼らなどただの雑魚だ。
梨子(流石にスーツ無しじゃ力負けするわよね……掴まれる前に急所に叩きこんで即逃げる。よし、これでいこう)グッ
重心を軽く落とし、臨戦態勢に入る
その時――
「――桜内様…でございますか?」
11 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/18(日) 00:53:09.89 ID:eX5gz9H+0
突然、後ろから自分の名を呼ぶ女性の声がしたのだ
梨子「…へ?」クルッ
執事「あぁ、やはり桜内様でございましたか。鞠莉お嬢さまより梨子様をお迎えに上がるよう承りました」
梨子「鞠莉さんが?」
執事「ええ、すぐ近くに車を用意しています。どうぞこちらへ」
「おい、ちょっと待てよ!!」
執事「…何でございましょう?」
「何勝手に連れて行こうとしているわけ? こっちが先なんだけど!?」
梨子(いやいや、勝手に連れて行こうとしたのはそっちでしょ)
男の一人が伸縮警棒を取り出す
武器を目視した執事の顔が一気に険しくなった。
執事「…随分と物騒な物をお持ちで」
「うるせぇ、怪我したくなかったら大人しく帰れ!」
梨子「あなた…自分が何をしているか分かっているの!?」
「やかましいわ! てめぇが素直に従ってればコイツはケガしないで済むんだよ!!」
彼は明らかに興奮状態に陥っている
周りにいる仲間も止めるよう色々と言っているようだが、全く耳に入っていない
いつ襲ってきてもおかしくない状況だ。
執事「お止めなさい。ケガだけじゃ済みませんよ?」
「はっ!! そりゃ済まないだろうな!!!!」ブンッ!
男は警棒を振り上げる
刃物に比べ、殺傷能力は低いものの、打ち所が悪ければ死に至る危険な武器だ
安易に人に向けていい代物ではない。
そんな凶器を躊躇いもなく、執事の頭に振り下ろす
12 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/18(日) 00:54:43.47 ID:eX5gz9H+0
梨子「危な――」
執事「……ハッッ!!!!」キュイィィィン!!
――バキッ!!
梨子は目を疑った
執事が見事な上段回し蹴りを繰り出し、振り下ろされる警棒を弾き飛ばしたのだ。
…それだけならまだ分かる
その弾き飛ばした警棒、地面に落ちた音から察するに金属製だった
にもかかわらず、その警棒、蹴られた箇所がぐにゃりと折れ曲がっているのだ。
凄まじい破壊力だが、当然人間の足で繰り出せる威力ではない
梨子「あ、足……足は大丈夫なんですか!!?」
金属をへし折ったのだ
少なくとも骨にヒビが入っていても不思議ではない
だが……
執事「ええ、この通り大丈夫ですよ」
その場でぴょんぴょんと元気に跳ねる
全くケガは無かったのだ。
「はぁ? ……ちょっ、え??」ゾワッ
執事「どうです? こう見えて私、結構強いのですよ?」
「あ、あぁぁ……」
執事「…もう二度と、桜内様の前に現れない事を誓ってくださいね?」ニコッ
――――――
――――
――
13 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/18(日) 00:55:48.08 ID:eX5gz9H+0
梨子「――っとまあ、こんな事が」
曜「な、何者なの……この執事さん」
執事「あまり暴力は好きでは無いのですが…緊急事態だったので止む追えず」
梨子「何か格闘技をやっていらっしゃるのですよね?」
執事「ええ、若い時に空手を少々。お嬢様のボディーガードも兼ねておりますので、私自身もそれなりに強い必要がありますので」
曜(金属製の警棒をへし折れるのに“それなり”の強さですか……)
梨子「そう言えば、回し蹴りのフォームが鞠莉さんとソックリだった気がしたのですが」
執事「ええ、私が鍛えさせて頂きました」
梨子「やっぱり」
執事「幼少期の頃からずっと一緒に訓練していましたからね……今やお嬢様は、私よりも随分と強くなられましたよ」フフフ
曜「へぇ…だから鞠莉さんはあんなにも強いんですね」
梨子「……」
梨子(でも…いくら空手の使い手と言っても、人が金属の棒を蹴りで折れるものなの? しかも無傷で)
梨子(足に鉄板を仕込んでいた? それとも……いや、まさかね)
執事「……話している間に、到着しましたよ」
曜「いつの間に…結構早く着いたね」
善子「……」
梨子「ん? そう言えば、よっちゃん さっきからずっと黙ってるけど、どうし……」
善子「………………っうっぷ」
曜「ちょちょちょちょっ!?」
善子「ぎぼぢわるい……吐きそ…うっぷ…」
梨子「執事さん!! 袋、ビニール袋おおお!!!!」ゾワッ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
14 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/18(日) 00:56:46.03 ID:eX5gz9H+0
〜浦の星女学院 理事長室〜
理事長室に入ると、そこには既に鞠莉以外のメンバーが揃っていた。
アルコールと車酔いで顔面蒼白となっている善子を見て慌てるルビィ
事情を説明すると、先ほどとは打って変わり、何とも言えない表情を見せる。
ルビィ「――それで、善子ちゃんはグロッキーなんだね」アハハ…
花丸「相変わらずの酒癖ずら」ジトッ
善子「……う、うるさいわよぉ」グッタリ
梨子「はぁ…さっき散々吐いたから、少しソファーで横になっていれば楽になるでしょう」
曜「理亞ちゃんと聖良ちゃんも来られたんだね。お仕事は大丈夫なの?」
聖良「はい。今日の収録は全て済みました」
理亞「あの人、テレビ局の屋上にヘリを待機させていたのよ? まさか東京からここまでヘリで来るとは思わなかったわ」
曜「さ、流石アイドル……鞠莉さんからの扱いも一味違うねぇ」
果南「いやいや、リムジンで迎えに来てもらった曜達も大概だと思うよ? 内浦在住組はここまで徒歩だもん」
ダイヤ「それよりも、呼び出した張本人がまだ不在というのはどういう事ですの?」イライラ
曜「執事さん、何か聞いていませんか?」
執事「申し訳ありません、もう間もなく到着すると思いますが……」
――ガチャ
鞠莉「Oh!! みんな集まっているようね? 良かった良かった」
15 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/18(日) 00:57:44.84 ID:eX5gz9H+0
ダイヤ「…遅いですわよ!」
鞠莉「Sorry♪ これの最終調整に手こずっちゃってね」ゴトッ
そう言うと、鞠莉は持っていたアタッシュケースを真ん中の机の上に置き、中身を見せる
そこには人数分の腕輪型の装置が綺麗に収められていた。
梨子「これって、私達が付けてる通信機と同じ物……だよね?」
鞠莉「Yes! 今まで使用していたこの通信機の改良型って感じね」
ダイヤ「改良型ねぇ……具体的には何が変わったのです?」
鞠莉「ボディの耐久性と通信可能距離のUPとタッチパネル以外に音声操作が可能になりました〜」
聖良「音声入力ですか!?」
花丸「み、未来ずら〜」キラキラ
鞠莉「まずマイクが拾える声で、『コンタクト』と言う、その後に通信したい相手の名前を言えば自動的に繋いでくれるわ」
理亞「マイクが拾える音量は?」
鞠莉「周囲が相当うるさく無ければ、日常会話程度の声量で反応するように調整している。口元に近づければ小声でもOKよ」
果南「なるほど、これでいちいち操作しなくてもいいって事か」
鞠莉「驚くのはまだ早いわ」
曜「まだ機能があるの?」
鞠莉「音声操作はただのオマケ、本命はこの機能よ」
曜「?」
鞠莉「な・ん・と、この装置でガンツの転送機能を使用可能となりました〜♪」
16 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/18(日) 01:00:12.94 ID:eX5gz9H+0
梨子「……はい!?」
ダイヤ「そ、そんな事が可能なんですか!?」
鞠莉「ほんっと、大変だったんだよ? ラストミッション後、ガンツにパソコン繋いで、毎日毎日一人で黙々と解析していたんだからね! 理事長の仕事もちゃんとしながら」
ルビィ「す、凄い…」
鞠莉「『コール、ガンツ』の掛け声の後に、転送したい対象と場所を言えばガンツが転送をしてくれる」
曜「おお!」
鞠莉「転送出来るのは、この装置を付けた人を中心に3メートル以内の人間とその人が身に着けている物だけよ」
梨子「転送できる場所は?」
鞠莉「一応、地球上どこでも転送できると思う。例えば、この場所に転送して欲しかったら『コール、ガンツ、浦女の理事長室に転送しなさい』って言えば大丈夫だと思うわ」
梨子「なるほど、転送したい場所を言えばいいんですね」
花丸「…あれ?」
ルビィ「どうしたの、花丸ちゃん?」キョトン
花丸「この装置を使えば、ガンツの転送機能が使えるんだよね?」
鞠莉「ええ、そうよ」
花丸「だったら、どうして転送機能でみんなを連れてこなかったの? そうすればわざわざヘリやリムジンなんか使わなくても楽に連れてこられたのに」
鞠莉「それは…」
善子「…馬鹿ね、ずら丸」ムクリ
花丸「善子ちゃん?」
善子「装置を身に着けてないと転送機能は使えないのよ? さっきまでこれを持っていない私達がどうやって転送でここに来られるって言うのよ」
花丸「でもでも、装置を付けた人が迎えに行けばいい話ずら。こんな便利な機能があるなら、使わない理由が無いよ」
善子「……確かに」
17 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/18(日) 01:01:09.30 ID:eX5gz9H+0
花丸の問いかけに、全員が同じ様な疑問を抱く
明るい表情で装置の説明をしていた鞠莉の表情が暗くなった。
鞠莉「そうね…これには二つ理由があるわ」
理亞「二つ?」
鞠莉「まずは、さっきも言った通り今の今まで最終調整をしていたから。装置が未完成だった訳だから、使えないのは当然でしょう?」
花丸「それはまぁ……」
鞠莉「もう一つは……ガンツの転送機能がまだ使用出来ないからよ」
ダイヤ「…使用できないですって? それにしては、随分詳しく説明していましたけど」
鞠莉「それは、ガンツを解析して私が設定したものを説明しただけよ。残念ながらまだ実験はした事がないから本当に転送が出来るか、正直分からない」
果南「うーん…イマイチ理解出来ないんだけど、そもそもどうしてまだ使えないのさ?」
鞠莉「ガンツの機能全てにロックが掛かっているのよ」
果南「ロック? 解除出来なかったの?」
鞠莉「その気になれば無理やり解除出来るかもしれないけれど、下手な事して本当に使えなくなったら困るし。それに……」
善子「それに?」
鞠莉「このロック、解除される時間が設定されていたの。…恐らくこの解除される時間が、カタストロフィ当日だと思う」
果南「……っ」
聖良「……それで、その解除される時間というのは…いつ頃になるんですか?」
鞠莉「――今日の午前0時、カタストロフィは明日訪れるって事よ」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
18 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/18(日) 01:01:48.11 ID:eX5gz9H+0
曜「…ただいま」ガチャ
曜母「あら、おかえり。どうしたの? 忘れ物?」
理事長室でのミーティングを終え、一度実家に帰宅した。
曜は大学進学に伴い、キャンパス周辺のアパートで一人暮らしをしていた
長期休暇や年末以外は実家に帰る事は少ない
何もない平日に戻ってくることは珍しかった。
曜「あー、うん、ちょっとね。教授が急遽出張しちゃってさ、一週間休校になったんだよ」
曜(まあ、ウソだけど)
曜母「そうなの? まあいいわ。丁度お父さんも帰って来てるのよ」
曜「え!? パパが帰って来てるの!!?」キラキラ
曜母「今は出掛けているけどね。もう少ししたら戻ってくると思うわ」
曜「そっか…良かった。本当に…良かった…」
曜母「曜ちゃん? 何か…あった?」
曜「…何でもない、先にシャワー浴びてくるね」
曜母「…?」キョトン
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
19 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/18(日) 01:02:49.54 ID:eX5gz9H+0
〜沼津市 某マンション GANTZの部屋〜
すっかり日が落ち、家の明かりがぽつぽつと目立ち始める。
鞠莉はガンツが置かれたマンションの一室からこの風景を眺めていた。
部屋に置かれたノートパソコンのモニター画面は複数のタブで埋め尽くされ
中央にはロック解除までのタイムリミットが表示されていた。
時刻は18時30分
日付が変わるまで後5時間半といったところだ
機能が解放されたタイミングで装置のアップデートを行う必要がある
なので一足先に部屋で待機しているのだ。
鞠莉「……みんな、これから夕食の時間かしらね」
カタストロフィに一体どんな事が起きるのか、全く想像が出来ない。
ただ、この当たり前の日常が崩れ去るであろう事は間違い無かった。
今日が最後の晩餐になるとは、全人類のほとんどが想像もしていないだろう。
執事「……お嬢様」
鞠莉「あら? あなたも来ていたの」
執事「日付が変わるまで5時間以上ございます。それまで、ご家族で過ごされてはいかかでしょうか?」
鞠莉「……いいえ、戻らないわ」
執事「……かしこまりました」
何故帰らないのか
執事には想像も出来なかったが、鞠莉本人が帰らないと言っているのだ
素直に従うしかない。
20 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/18(日) 01:04:20.02 ID:eX5gz9H+0
鞠莉「そ・れ・よ・り、今は二人なんだから堅苦しい言葉遣いは無しよ! 執事モードはOFFにしてくださーい」
執事「……分かったよ、鞠莉ちゃん」
鞠莉「そうそう♪」
この執事は鞠莉と付き合いが長い
自室や二人きりでいるときはタメ口で会話するようにしているのだ。
最初は抵抗があったようだが、今では随分砕けた口調で会話が出来るようになっている。
執事「…鞠莉ちゃんが前からお願いしていた、地下シェルターの備品の最終チェックが終わったよ。内浦市の人々全員が一か月暮らしていけるだけの備蓄は用意出来た」
鞠莉「そう、ギリギリ間に合ったのね」ホッ
執事「転送機能がちゃんと使えれば、町民全員を安全に避難させる事が出来ると思う。内浦には何人配置するの?」
鞠莉「曜と鹿角姉妹に任せる事になっているわ。残りのメンバーは沼津市や静岡市に行ってもらう予定よ」
執事「……私も一緒に戦っちゃダメ?」
鞠莉「それは前にも言ったでしょ? あなたには避難してきた町民を守ってもらう」
執事「でも……私の使命はお嬢様を、鞠莉ちゃんを守る事だよ」
鞠莉「そうね、確かに貴方が一緒ならとても心強いわね」
執事「だったら!」
鞠莉「でもダメ」
執事「……っ」
鞠莉「私達が思いっきり暴れられる為にも、あなたには後ろでみんなを守って欲しいの」
鞠莉「これは信頼できるあなたにしか任せられない事、分かって頂戴」
執事「……はい」
鞠莉「よろしい♪ あーあ、何だかお腹すいたわね〜」
執事「ふふ、これから用意するからちょっと待ってて」
鞠莉「お願いするわ」ニコッ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
21 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/18(日) 01:05:10.88 ID:eX5gz9H+0
〜20時30分 黒澤家〜
花丸「ぐぬぬ……」
ルビィ「は、花丸ちゃん……お姉ちゃん……!!」
ダイヤ「…さあ、引きなさい!!」キッ
花丸「…よし、これだああ!!!!」シュッ
ダイヤ「ぴぎゃああ!!?」ガーン
花丸「いやったあ!! オラの勝ちずら〜!!」
ダイヤ「何故……何故一対一になると勝てないのです!?」
ルビィ「お姉ちゃん、ババ抜き弱すぎだよぉー」ケラケラ
ダイヤ「おかしい…今回は表情に出ていないハズなのに!」
花丸「視線でバレバレずら。ダイヤさんがカードゲームで勝つには手札を見ちゃダメだね」
ダイヤ「きいいぃ!! 悔しいですわ!!!!」プンプン
ルビィ「じゃあ、もう一回……」
ダイヤ「キリがいいですし、そろそろ寝ましょうか」
ルビィ「……え?」
花丸「そうですね…今度ゆっくり休める時がいつになるか分からないですし」
ダイヤ「さてと、じゃあトランプは片付けますね」
22 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/18(日) 01:05:57.28 ID:eX5gz9H+0
ルビィ「……嫌だ…」
花丸「ルビィちゃん?」
ルビィ「嫌だ…まだ寝ないもん……」
ダイヤ「ルビィ…一体どうし」
ルビィ「だって寝ちゃったら明日になっちゃうじゃん!! 明日になったら…もう……」
ダイヤ「……」
花丸「…ルビィちゃん……」
ルビィ「嫌だ…嫌だよぉ……」グスン
ダイヤ「……今更何を言っているのです?」
ルビィ「…だって……」
ダイヤ「この日が来ることは、随分前から知っていたではありませんか。今日いきなり知らされた新事実ではありません」
ルビィ「…うん」
花丸「知ってただけマル達はいい方だと思うよ? ほとんどの人は心の準備も出来ないうちに巻き込まれるんだもん」
ダイヤ「花丸さんの言う通りですわ。それに、もう二度とこの日常が訪れないというわけではありませんでしょ?」
花丸「そうそう♪ またこうしてお泊り会をやって、ダイヤさんをババ抜きでコテンパンに負かせてやるずら!」
ダイヤ「…上等ですわ。返り討ちにして差し上げましょう……」ゴゴゴ
ルビィ「……でも私は…」
ダイヤ「安心しなさい。ルビィは私が必ず守ります。他の方々だってそうです。みんなで助け合えば、きっと大丈夫」
花丸「オラ達の事、信じられない?」
ルビィ「……出来る」
花丸「その為にも、今日はしっかり休もうよ。ね?」
ルビィ「…うん、分かったよ」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
23 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/18(日) 01:09:08.42 ID:eX5gz9H+0
〜22時 沼津港〜
善子「――んで、こんな時間に何の用なの?」
曜「今のギャグかな? 私が呼んだだけに」
善子「違うわ!! こんな真夜中に、こーんな か弱い女の子を呼び出しただけの理由はある訳?」
果南「か弱いだなんて…そんな事ないよ///」モジモジ
善子「……って言うか、何で果南さんもここにいるのよ。船の最終日はとっくに終わっているハズでしょ」
果南「そりゃ、水上バイクで来たんだよ。自前のね!!」ドヤッ
善子「あ、はい」
果南「あれ……私のボケは全部スルー??」
梨子「果南さんが…プッ か、か弱い……ふ、ふふっ」
果南「おーい、そこ。笑うならちゃんと笑って。ってか、そこまで笑う事じゃ無いでしょうが」ムッ
曜「まぁ、か弱いとは程遠いよね」
果南「じゃあ、私は一体なんなのさ?」
善子「うーん……霊長類最強?」
果南「…ほーう……今のが最後の言葉になるけど、いいよね?」ゴゴゴ
善子「え、ちょ、は? マジなの?? 顔がマジなんですけどおお!!!?」ザワッ
曜「ふふ、良かった」
果南「?」
梨子「何が良かったの?」
曜「善子ちゃんも果南ちゃんも、梨子ちゃんも……明日の事を気にしてピリピリしていたり、落ち込んでいたりしてると思っていたからさ。こうして冗談言い合ったり、笑ったりできているみたいで安心できた」
梨子「曜ちゃん…」
果南「今のは本気だったけどね」
善子「え?」
果南「え?」
梨子「……あ、あぁ! そう言えば、どうしてこの場所だったの?」
曜「あー…ここってさ、私が初めてミッションで死んだ場所なんだ」
梨子「……!」
果南「そう言えばそうだね……なら、善子のデビュー戦の場所でもあるって事か」
善子「その後のミッションで千歌さんも参戦してきたのよねー。まさか、このミッションで果南さんも死ぬとは思わなかったけど」
曜「え? 千歌ちゃんもここで戦ったの?」
果南「そうだよ。あの時の千歌の戦いぶりは驚いたよ…まるで経験者みたいでさ。まあ、本当に経験者だったんだけど」
24 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/18(日) 01:10:06.88 ID:eX5gz9H+0
梨子「思い出の場所……なんだね」
曜「そんないい場所じゃ……ないよ…」
善子「今、千歌さんが居たらどんな事を話してくれたのかしらね……」
果南「そーだねぇ……きっと私達を励まそうと色々気の利いた事を喋ろうとするけど、結果伝わらなくてあたふたするんじゃない?」
梨子「ふふ、なんか想像出来るかも」
曜「……」
――ブブブブ、ブブブブ
果南「ん? 誰かの携帯鳴ってるよ」
梨子「私のじゃないです」
善子「私も違うわ」
曜「あ、私のだ」
スマホを取り出す曜
画面には未登録の電話番号が表示されていた。
曜「……」
梨子「出ないの?」
曜「知らない人からなんだよね。出るべきかな?」
果南「相手の電話番号は表示されているんでしょ? だったら出なよ」
曜「うーん…分かった」ピッ
曜「……もしもし?」
『あ、出てくれたわね♪ やっぱり真姫の調査は信頼できる』
曜「あの……どちら様ですか?」
『あぁ、ごめんなさい、自己紹介がまだだったわね』
『初めまして、私の名前は“絢瀬 絵里”よ。穂乃果達と同じガンツの東京チームの一員。それより、μ’sの一人って言った方が分かるかしら?』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
25 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/18(日) 01:10:52.72 ID:eX5gz9H+0
鞠莉「……そろそろか」
パソコンのモニターの左下にある時計が23時59分を示している
ガンツの機能が解除されるまで残り一分を切ったのだ
鞠莉「流石に、日付が変わったと同時に異変が起こったりは……しないわよね?」
執事「わ、私に聞かれても……」
鞠莉「その時は音量最大にして全員たたき起こせばいっか! それに、この部屋からなら装置を付けていなくてもここに転送出来るし」
執事「あはは……」
鞠莉「転送機能が使えるようになったら、一旦家に戻るわよ。準備しなさい」
執事「……かしこまりました」
まだ、やれる事、足りない備えはあるかもしれない。
どんな事が起こるか分からない以上、完璧な準備をする事は不可能だ。
でも、出来る努力は全てやったつもりだ。
後は自分の、仲間の力を信じるだけだ。
時刻は午前0時を回った
今、運命の一日が、始まったのだ――
26 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/18(日) 01:13:01.18 ID:eX5gz9H+0
お久しぶりです。
前作で完結と言ったのに、また書き始めてしまいました。
今回も不定期更新ですが、コメント等でお付き合いして頂けると幸いです
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/18(日) 01:23:29.03 ID:WcxPAKvRo
?
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/18(日) 16:06:55.32 ID:A9gC7Bfq0
乙
これからまた楽しみだ
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/19(月) 19:44:13.86 ID:g1wb9lh00
乙
過去作シリーズ全部追ってきたわ
続き楽しみにしてる
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/20(火) 01:45:56.08 ID:rGUlwnhho
ラブライブ要素希薄だしいっそのことオリジナルの方が楽しめたな
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/23(金) 22:22:17.12 ID:ztdSyHhAo
乙!
待ってました!
32 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/25(日) 23:09:38.03 ID:Tv9ZuVSa0
――――――――
――――
曜「…ん、んん〜〜ん……」
――ピピピッ、ピピピッ
曜「んあっ? こんな朝から誰なのぉ……」ピッ
曜「は〜い…曜ちゃんですよぉ〜〜」
梨子『あ! やっと出たわね!!』
曜「ほえ? 梨子ちゃん、どーしてそんなに慌てて――」
梨子『今すぐ外に出て空を見なさい!!!』
曜「……っ!!!?」ガバッ
急いでベランダに飛び出す
目の前に広がる風景は異様なものとなっていた。
建物が壊れたり、燃えたりしている……訳では無い
空の色が明らかに異常だったのだ。
曜「――空が…赤い」
梨子『これってやっぱり…カタストロフィの影響だよね?』
曜「他に何か変わった事は?」
梨子『今、テレビでニュースを観ているんだけど……アメリカやロシア、その他の大国と突然連絡が取れなくなったらしい…』
曜「……ウソでしょ?」
梨子『転送機能はもう使えるから! すぐに部屋に集合だよ!!』
曜「うん、わかった」
梨子『それじゃあ、また後でね――』プツンッ
梨子との通話の後、急いでスーツを取り出す。
慣れた手つきで素早く済ませ、パーカーを羽織った。
クローゼットに隠していたZガンやXガンを引っ張りだし武装する
ふと、自分の手に目を向けると、小刻みに震えていた
パチンッと両頬を叩き、気合を入れる
怖がっている場合では無い
曜「……遂に来たんだね。急がなきゃ!!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
33 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/25(日) 23:10:30.69 ID:Tv9ZuVSa0
曜「パパ、ママ!!」
曜父「おー、今日は早起きだな!」
曜母「そんなに慌てて…どこか出掛けるの?」
曜「……ニュースは観た?」
曜父「ああ、観たよ。日本中の空が真っ赤なんだってな。今日は変な天気だよなあ」
曜母「アメリカが滅んだ…みたいな事をキャスターが言っていたけど、本当なの?」
曜父「そんな事も言ってたな。変なデマを地上波で流すなって感じだよ、全く」
曜「……違う、多分本当だと思う」
曜父「…曜?」
曜「これから日本、いや世界中を巻き込んだ大変な事が起こるんだよ」
曜母「曜…一体何を」
曜「私は…仲間と一緒に戦わなきゃいけないんだ」
曜父「戦うって…何をわけのわからない事を言って――」
曜「『コールガンツ、パパとママをシェルターに転送して』」
――ジジジジジ
曜父「はあ!? か、体が!!?」ジジジジ
曜母「何、何なの!? 説明しなさい!!」ジジジジ
曜「ごめん、全部終わったら説明するから……今は安全な所に避難していて」
曜父「なら、お前も一緒に来なさい!!」
曜「……」
曜母「曜!!!」
曜「……後でそっちに行くよ」
曜母「必ずよ!! 絶対にき――」ジジジ
曜父「約束だか――」ジジジ
両親の転送が完了した
シェルターに避難さえ出来れば、地球が壊されない限り安全は保障されている
曜「パパ…ママ……ごめん、すぐには行けないんだ」
曜「『コールガンツ、私を部屋に転送して』」
――ジジジジジ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
34 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/25(日) 23:11:16.30 ID:Tv9ZuVSa0
〜GANTZの部屋〜
曜「全員集まったね」
果南「朝なのに空が真っ赤っていうのは、気味が悪いよね…」
ダイヤ「“世界の終わり”って感じがしますわ」
ルビィ「……う、うぅ…」ブルブル
花丸「ルビィちゃん……大丈夫?」
ルビィ「へ、平気だ……よ?」
善子「これまで生き残って来たんだから、変に怖がらなければ大丈夫よ」
ルビィ「…うん」
理亞「高海家の人は全員送ったよ。ついでに宿泊客も一緒にね」
曜「そっか、ありがとう」
聖良「半ば強引に転送してしまいましたから…転送先にいる責任者の方には少し迷惑がかかっているかもしれません」
鞠莉「気にしなくて大丈夫よ。その辺はきっちり対応してくれると思うから」
35 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/25(日) 23:12:18.55 ID:Tv9ZuVSa0
梨子「それで…これからどうするの?」
曜「…日本にあるガンツは全部で47個、都道府県に一個ずつしかない。つまり、静岡県の人々は私達10人で守らなくちゃいけない」
曜「でも、私達が守れる命には限りがある」
ダイヤ「……ええ」
曜「最優先はこのマンション周辺の地域。ここが破壊されたら致命的だからね。梨子ちゃん、果南ちゃん、頼んだよ」
果南「了解だよ」ニッ
梨子「分かった」
曜「次は内浦。ここは私と鹿角姉妹が担当する。よろしくね」
理亞「こちらこそよろしく、リーダー」
聖良「任せてください!」
曜「残りのメンバーは被害が大きそうな地区に行ってもらう。私達も街の人全員の転送が完了したらすぐに向かうね」
ダイヤ「該当しそうな場所となると…静岡市になるのですかね?」
善子「こればっかりは予想できないわね。まだ何が起こるかも分かっていないわけだし」
花丸「鞠莉さんの予想だと、宇宙人の侵略……なんだよね?」
鞠莉「今までのミッションが宇宙人との殺し合いだった訳だし、そう考えるのが自然でしょう」
理亞「ま、これで実際は“人類による全面核戦争”とかだったらお手上げだけどね」
36 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/25(日) 23:13:02.23 ID:Tv9ZuVSa0
ルビィ「……あぁ!!」
ダイヤ「? どうしたのです??」
ルビィ「そ、外……外を見――」
――ズドドドーーーーン!!!!!
突如、轟音が響いた
余りの衝撃に一同、その場に転倒する
果南「痛てて……一体何なの?」
花丸「………これは」
梨子「どうやら、鞠莉さんの予想は概ね当たっていましたね」
鞠莉「ええ、でも……」
曜「………はは、冗談でしょ?」
目の前には、今まで見た事も無い程の巨大な飛行物体が沼津の空の大部分を覆っていた
先ほどの轟音は、その飛行物体が投下した巨大兵器だった
50メートルを超す大きさのその兵器は、次々と街の建物を破壊している
37 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/25(日) 23:13:52.54 ID:Tv9ZuVSa0
花丸「こ、こんなのと戦う……の?」
梨子「…いや、あれは無視していいと思う」
鞠莉「そうね、見た所あれは人間を攻撃する事を目的とした兵器では無い。恐らくもう少し小型の兵器が街に降りているハズよ」
ダイヤ「もっとも……実際に行ってみなくては分かりませんわね」
曜「みんな! 今回はいつものミッションとは違う。転送はしてくれるけど、スーツもケガも治してもらえない」
鞠莉「一応、周りの星人の数や心拍数が一定以上に達したら強制的にこの部屋に転送されるよう設定してあるわ」
曜「でも、危ないと思ったら迷わず逃げてね。無理だけはしないって約束して欲しい」
全員無言で頷く
曜「……よし、じゃあ行こう! ――ガンツ!!!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
38 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/25(日) 23:14:35.02 ID:Tv9ZuVSa0
――ジジジジジ
曜「転送場所は浦女の屋上か。鞠莉さんらしいや」
聖良「……良かった、内浦にはまだ被害が出ていないようですね」
理亞「校庭に住民が避難してきているわ。この人達も転送していいのよね?」
曜「うん。内浦の人達全員を受け入れられるんだって」
理亞「……金持ちめ」
聖良「曜さん! 沼津市の方角から来ています!!」
曜「…大きいな。この距離でも見えるなんて」
理亞「見えるだけでも5体……どうするの?」
曜「私が相手をするよ。二人は避難してきた人をドンドン転送して!!」
聖良「了解です! お気を付けて」
理亞「頼んだわよ、リーダー!」
鹿角姉妹と別れ、一人で星人の群れに向かう
山を下り、いつものバス停前に出るとそこには異常な光景が広がっていた
普段は交通量がそれ程多くない道だが、たくさんの車でごった返し、大渋滞となっている。
背後から巨大な何かが近づいている事は全員気が付いているようで、前の車が動かないと悟った何人かは自分の車を乗り捨て、走って逃げだし始めた。
39 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/25(日) 23:15:28.32 ID:Tv9ZuVSa0
曜「皆さん!! そっちに逃げても意味がありません!!! 浦の星女学院に避難してください!!!」
「はあ!? 後ろからあんな化け物が来てるんだぞ!!? この街に居たら殺されちまうよ!」
曜「大丈夫ですから! 私を信じて浦女に向かってください。この事を出来るだけ多くの人に伝えて下さい!!」ダッ!
「ちょっと!! 君はどこに行くんだ!!?」
曜は大声で浦女に避難するように呼び掛けながら走り回る
自分で転送する事も可能だが、今は迫っている脅威を排除するのが先決だった。
星人に近づくにつれ、すれ違う人々の恐怖の表情が色濃く表れていた
星人はもうすぐそこにいる。
曜「――いた!!」カチャ!
40 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/25(日) 23:16:15.67 ID:Tv9ZuVSa0
そこには全長15メートル程の巨人が5体、小隊を組んで付近の人間を殲滅していた。
手には銃の様な武器が握られており、打ち出される円盤状のカッターで逃げ惑う人々を切り刻む。
曜(全身をアーマーみたいので覆ってる……この武器で倒せるの!?)
星人は曜の存在に気が付いていない。
素早くZガンの射程圏内まで接近、すぐさま引き金を引く。
――ズドン!! ズドン!!
二体の星人を押しつぶす
…が、アーマーの周囲にバチバチと電気が走っているだけで、キズ一つ付かなかった
曜「……くっ! やっぱり硬いな!!」ギリッ
他の星人が反撃に出る。
曜は発射されるカッターを避けつつ、確実にZガンをヒットさせる。
曜(一撃で壊せなくても、動きは止められる! 硬いアーマーに守られているとは言え、あの衝撃は全部防げないハズ!)ギョーン! ギョーン! ギョーン!
あっという間にその場にいた星人を行動不能にする
すると……
曜「……え?」
41 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/25(日) 23:17:10.67 ID:Tv9ZuVSa0
黒いアーマーから本体が現れた
顔、目、鼻、口などの基本パーツが人間と全く同じ
まるで人間をそのまま巨大化させた様な風貌であった。
曜「何……人間…なの……?」
巨人兵士「――――っ!!? ――!!!!」
曜(聞いた事無い言葉……宇宙語とかかな?)
巨人兵士の一人が指を銃の形に折り曲げ、曜に向ける
――バチッ!!!
曜「うおお!!? 危なっ!!!」バッ!
指先から発射されたのは電撃だった
着弾した場所のアスファルトが大きく抉れる程の威力、スーツの効果も無力だろう。
他の兵士も続けて発射する。
曜(アーマーはZガンで無力化出来る……本体が剥き出しの今ならっ!!)ギョーン! ギョーン!
――ズドドドン!!!
巨人兵士「っ!!!?」ゾワッ
曜「……悪いね、でも先に襲って来たのはそっちだよ」
巨人兵士「――! ―――!!!」
曜「んー…何言ってるか全然分からないや」
曜「――ここら辺にいる仲間全員集めなよ。私がまとめて相手するからさ!!」
(まあ、伝わってないだろうけど)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
42 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/25(日) 23:17:43.04 ID:Tv9ZuVSa0
「おい! 本当に大丈夫なんだろうな!?」
理亞「大丈夫ですって、安心してください!!」
「きゃあああ!! か、体が!!!?」ジジジジ
聖良「向こうに着いたら、その場にいる執事の指示に従ってください」
理亞「順番に転送しますから、前の人が完了したら前に詰めて下さい!!」
浦女の校庭には避難してきた住民が続々と集まっていた
自分の身体が消えていく様にパニックに陥る人も多少いたが、順調に進んでいる。
聖良「曜さん…大丈夫かしら……?」
理亞「リーダーなら大丈夫よ。……多分」
聖良「いや、曜さんが負けるとは思っていない。ただ……」
理亞「……ただ?」
――ドーン!!!
聖良「…こんな風に、空から来る星人はどうやって足止めするのかなーって思ったんだけど……やっぱ無理よね」アハハ…
「ヤバイヤバイ!! ここにも来たぞおおお!!!?」
「嫌あああああ!!!!?」
「早く!! 早く助けてくれええええ!!!!」
理亞「姉さま!! 皆さんを連れて校舎に避難して! コイツは私が相手する」カチャッ!
聖良「分かった! 任せたわよ!!!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
43 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/25(日) 23:18:34.19 ID:Tv9ZuVSa0
曜『みんな、聞こえる?』
曜『ついさっきアーマーを装備した巨人を撃退したよ』
曜『アーマーはZガンで無力化出来る。本体が出てきたらその他の武器でも倒せる』
曜『分かっているとは思うけど、相手の攻撃は全部避けてね?』
曜『それじゃ、切るね―――』ピッ
44 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/25(日) 23:19:10.01 ID:Tv9ZuVSa0
梨子「……なるほど」
果南「はぁ……」
梨子「果南さん?」
果南「なーんか、今思えば重要な事任されちゃったね」
果南「“私達二人でマンション周辺の巨人を退けろ”なんてさ……曜も無茶言うよね」
梨子「あはは…まあ、このマンションを壊されるわけにはいかない、誰かが守らなきゃいけないですよ」
果南「さて、どうしよっか?」
梨子「今きた曜ちゃんからの連絡では巨人の装甲はZガンで無力化出来るそうです」
果南「へー…」
梨子「へーって…聞いていなかったんですか?」
果南「うん、ボーっとしてたからね!」
梨子「もう! しっかりしてくださいよぉ……」ムスッ
果南「ごめんごめん、次から気を付けるよ〜」
果南「んじゃ、梨子は飛行ユニットで空からZガンで無力化していってよ」
果南「私は丸裸になった奴を片っ端からぶった切っていくからさ」
梨子「分かりました、その作戦でいきましょう」
果南「よーし、頑張らなくちゃね!!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
45 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/25(日) 23:19:55.38 ID:Tv9ZuVSa0
〜襲来から半日経過〜
残りのメンバーは静岡県で一番星人が多く襲来している場所に転送された
鞠莉、花丸はXガンやガンツソードと同様に標準装備の一つであるモノホイールバイクで別の場所に移動していた。
善子、ルビィ、ダイヤは近場の巨人兵士を倒しながら人々を救っていたが
既にバラバラにされた遺体が至る所に転がっている
善子「…カオスね」
ダイヤ「何を突っ立ているのです! 早く攻撃しなさい!!」ギョーン! ギョーン!
善子「分かってるって! でも…もうこんなに人が死んでいるなんて……」
ダイヤ「これは侵略戦争です…人が死ぬのは当たり前ですわ」
善子「…赤の他人とは言え、遺体って何度見ても慣れないわね……」ギリッ
ダイヤ「……ええ」
ルビィ「全員倒せたよ!! 次はどこに……ん?」
ダイヤ「どうしました?」
ルビィ「しーっ……聞こえない?」
善子「……この音は、Xガンの発砲音?」
ダイヤ「近くに鞠莉さん達がいる…わけありませんよね」
ルビィ「とにかく行ってみようよ!」
ダイヤ「ええ、行きましょう」
46 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/25(日) 23:20:46.53 ID:Tv9ZuVSa0
「――おらぁ!! こっちだ!!!」ギョーン!ギョーン!ギョーン!
ルビィ「お姉ちゃん! あれ見て!!」
善子「ヤバイ……囲まれているじゃない!?」
ルビィ「あぁ! う、腕が斬られた!!?」
ダイヤ「急いで助けますわよ! ルビィ、善子さん、Zガンで周りの巨人を無力化してください。くれぐれもあの方に当てないように!!」
善子「そんな初歩的なミスしないわよ!!」ギョーン!ギョーン!
ルビィ「間に合って!!」ギョーン!ギョーン!
――ズドドドドドドン!!!
「はぁ…はぁ……? これって一体……」
ダイヤ「ふぅ…どうやらギリギリ間に合ったようですね。……善子さん!」
善子「すぐに止血するわ! 動かないで待っていて」
「あ、あんた達は?」
ダイヤ「私は静岡チームの黒澤ダイヤですわ。貴女は……他県のチームの方てすわね?」
「あ、ああ……私は愛知チームのイザベラだ」
ダイヤ「イザベラさん…ですわね」
ルビィ「お姉ちゃん! 巨人が立ち上がったよ!!」
善子「この人は一旦あの部屋に転送した方がいいんじゃない? あそこならもう少しマシな手当てが出来るし!!」
ルビィ「お姉ちゃんも一緒について行ってあげて!」
ダイヤ「そうですわね。『コールガンツ! 私とイザベラさんを部屋に転送しなさい!』」
――ジジジジジ
イザベラ「ま、待ってくれ! あっちに仲間を逃がしているんだ!」ジジジジ
善子「何ですって!? ……あ、でもその方角なら大丈夫かな?」
イザベラ「?」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
47 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/25(日) 23:21:28.92 ID:Tv9ZuVSa0
鞠莉「Hey,Hey!! 飛ばしまくるわよ〜〜!!!」ブルルンッ!
花丸「あばばばばばばばばば!! 鞠莉さん! 揺れ過ぎてちゃんと狙えないずら!!」ギョーン!ギョーン!
鞠莉「またまた〜そんな事言いつつ、しっかりヒットさせているじゃな〜い」
花丸「正確性に欠けるんだってば! 常にアクセル全開は危ないずら!!!」
鞠莉「広範囲をカバーするには機動力が必要でしょ? 花丸なら多少の揺れぐらい大丈夫だと思ったから乗せたのよ」
花丸「で、でももう少し安全運転を……」
鞠莉「っ!! 花丸、しっかり掴まりなさい!!!」
花丸「は? え、何、何をするの!!?」
48 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/25(日) 23:22:18.66 ID:Tv9ZuVSa0
鞠莉「シャイニィィィーー!!!」ブウゥゥン!!!
花丸「ずらああああああ!!?」ゾワッ
――グシャ!!
猛スピードで突っ込んだバイクが小型の獣型の星人をまとめて轢き殺す。
進行方向に背を向けて座っている花丸は何が起きているか全く分からず、バイクから落とされないよう必死に掴まるしか出来なかった。
「な、何なの……?」
鞠莉「おお…結構轢いちゃたわね、人は……巻き込んで無いハズ」ダラダラ
花丸「雑っ! 運転も倒し方も雑ずら!!!! 前で何があって何をしたの!!?」
鞠莉「お、落ち着いて…前方で私達と同じ装備をした人が一般人を守りながら戦っているのが見えて……」
花丸「…それを助ける為にバイクで突っ込んだ、と?」
鞠莉「……That’s right♪」ニコッ
花丸「……」ジトッ
「ちょ、ちょっと! いきなり現れた挙句、妙なコントをしないでよ!」
鞠莉「ん?」
花丸「ずら?」
「ここにはまだ一般の人が…ってあれ? いない?」キョロキョロ
鞠莉「安心して? もう全員星人が居ない場所に転送したから♪」
花丸「い、いつの間にガンツに指示したの?」
「転送? ガンツ?? 一体何の話をしているの?」
鞠莉「あら? あの黒い球の事なんだけど…ガンツって名前が正式名称じゃないの?」
「ああ、あの球ってそんな名前だったんですね……えっ!? あの球の機能が自由に使えるんですか!!?」
鞠莉「んー…色々聞きたい事があるんでしょうけど、後にしましょう」カチャッ
花丸「き、巨人が集まってきたずら……」ブルブル
鞠莉「3…いや5体か。悪いんだけど、あなたにも一緒に戦ってもらうわよ」
エマ「は、はい! 私、エマと申します!!」
鞠莉「私は鞠莉よ。エマ、出会って間もないけどそっちの敵は任せたわ!!」
エマ「ま、任せて下さい!!!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
49 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/25(日) 23:23:10.15 ID:Tv9ZuVSa0
ダイヤ「――ひとまず手当はこのくらいで大丈夫ですかね」
イザベラ「驚いた…やってもらえる手当は消毒くらいだと思っていたんだが、まさか縫合に輸血までしてくれるとはな」
ダイヤ「本来なら、専門家に任せるべきなのですが…」
イザベラ「…え? あんた、医者じゃないのか……?」
ダイヤ「ええ、違いますわ」キョトン
イザベラ「………おぅ」サアァァ
ダイヤ「し、処置に問題はありませんわ! 確かに免許等は持っていませんが、その道のプロから指導は受けていましたから!」アセアセ
イザベラ「あ、ああ。助けてもらった身だし、何があっても文句は無いよ」
――ブウゥン…
イザベラ「なあ、黒い球に誰か映っているようだが?」
ダイヤ「あら? どこかのチームからの通信ですわね……って、穂乃果さん!?」
50 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/25(日) 23:23:56.50 ID:Tv9ZuVSa0
穂乃果『あなたはダイヤちゃん…だよね?』
ダイヤ「わ、わたくしの名前をご存知なのですね! 感激ですわ……!」キラキラ
イザベラ(さっきまでとはキャラが全然違うなぁ…)
穂乃果『そ、それは良かったよ。あははは…』
ダイヤ「…ごほんっ、ご用件は何でしょう?」
穂乃果『今そこに曜ちゃんか千歌ちゃんはいる?』
ダイヤ「………」
穂乃果『ダイヤちゃん?』
ダイヤ「今この部屋にいるのは私だけです。他の皆さんは外の星人と戦闘中です」
ダイヤ「千歌さんは……亡くなっていますわ。再生もしておりません」
穂乃果『そっか……ごめんね』
51 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/25(日) 23:24:33.03 ID:Tv9ZuVSa0
ダイヤ「いえ、お気になさらず…」
穂乃果『本題に入るね。敵の宇宙船内部のマップデータってもう手に入れた?』
ダイヤ「んな!? そんなものが既に出回っているのですか!!?」
穂乃果『その反応じゃ、まだ持ってないみたいだね』
穂乃果『今から送るデータには宇宙船に捕らわれた人々が収容されている座標が記されている。これでガンツに正確に転送してもらう事が出来るよ』
ダイヤ「なんと……」
穂乃果『私達のチームは今夜、敵の宇宙船に攻め込みに行く。データはすぐに届くと思うから、どうするかはあなた達で決めてね』
ダイヤ「分かりました。貴重なデータ、ありがとうございます」
穂乃果『それとね……』チラッ
ダイヤ「?」
穂乃果『私達のチームから一人、そっちに応援に向かわせようと思っているんだけど……問題無いかな?』
ダイヤ「え、ええ。それは大変嬉しいのですが……よろしいのですか?」
穂乃果『まあ、本来はそっちのチームの子だからね』ボソッ
ダイヤ「ん? 何かおっしゃいましたか?」
穂乃果『うんん、何も言ってないよ。こっちの状況が落ち着き次第、応援を転送するからよろしくね!』
ダイヤ「はい、分かりましたわ」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
52 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/25(日) 23:25:07.24 ID:Tv9ZuVSa0
善子「だあああ……しんどッ!」ゲッソリ
ルビィ「お姉ちゃんがいないから、ちょっと大変だったね」
善子「取り敢えずここ周辺の敵は倒し切ったかな?」
ルビィ「そうだね…私は近くに逃げ遅れた人がいないか見てくるね」
善子「分かったわ。一旦分かれて探してみましょう」
ルビィ「何かあったらすぐに連絡するね!」
善子「了解よ〜〜」ヒラヒラ
53 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/25(日) 23:25:42.02 ID:Tv9ZuVSa0
善子「――さて、探してみ……ん?」
善子は倒れている巨人兵士の異変に気が付いた
突如、大量の煙を上げだしたのだ
他の巨人はZガンで全身を押し潰していたのだが、この個体だけはダイヤのXガンで頭部のみを破壊しただけ、首から下は無傷だった。
その首元から新たに人型の星人が現れた
身長は2メートル前後、多少大きいがそれ以外は人間と完全に同じ見た目だ
善子(巨人が本体じゃ無かったの? 敵は私達と同じ人間なの……?)
現れた星人と目が合う
善子はZガンを構え、引き金を――
――ダッ!!!!
善子(速っ!!!!?)ゾワッ
星人は目にも止まらぬスピードで善子に襲い掛かる
並の人間では反応する事は不可能
善子も目で捉える事は出来なかったが、これまで培ってきた戦闘経験が無意識に体を動かした
ギリギリで躱せたが、持っていたZガンは粉々に破壊された
54 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/25(日) 23:26:33.66 ID:Tv9ZuVSa0
善子(嘘でしょ!? 巨人の時より強いってどういう事よ!!?)
武器は使ってこないものの、そのスピードとZガンを一撃で破壊する攻撃力は非常に脅威である
星人「ガアアアアア!!!!」ガシッ!
善子「きゃあああ!!」
一瞬、死角に入り込んだ星人は善子の頭部を掴み取り、地面に叩きつける
善子(や…ヤバイ……やられ――)ジワッ
――バンッ!!!
星人の頭部が破裂
絶命した
善子「はぁ、はぁ、ヒック……はぁ、はぁ………?」ガクガク
ルビィ「善子ちゃん!! 無事っ!? どこもケガしてない!!?」
善子「はぁ、はぁ……る、ルビィ………大丈夫…大丈夫よ」
ルビィ「良かった……別れた後、なんとなく振り返ったら煙が上がっていたから……気になってすぐに戻って来たんだよ?」
善子「戻って来てくれて助かったわ…ホント死ぬかと思った……」
ルビィ「…一旦部屋に戻る?」
善子「……いえ、大丈夫よ。でも、一緒に行動して欲しい」
ルビィ「そうだね…私もそう思うよ」
55 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/25(日) 23:27:27.02 ID:Tv9ZuVSa0
ルビィの援護により命拾いした善子
ひとまず二人はこの場から移動を開始した。
だが、二人は気が付かなかった
頭部以外が無傷の巨人兵士は一体では無かった事を……
???(………っ)ギリッ
56 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/25(日) 23:31:20.16 ID:Tv9ZuVSa0
知っている方もいると思いますが、エマ、イザベラはスクフェスのキャラクターです。
前作ではカタストロフィ編を書く予定が無かったのでセリフ内容や口調が若干異なっています。
57 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/25(日) 23:35:22.77 ID:8gLWv7rmo
読んでるぞ
58 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/06/25(日) 23:41:57.18 ID:Tv9ZuVSa0
今回はここまでです。
申し訳ありません…
59 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/26(月) 00:08:11.91 ID:1HclnfIJo
まーた変な展開
60 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/26(月) 23:11:49.19 ID:CnrRQy35o
乙
次回も楽しみにして待ってます
61 :
◆ddl1yAxPyU
[sage]:2017/07/03(月) 17:23:30.67 ID:lHBNWx3u0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
果南『――ああ、巨人から出てきた兵士なら私も戦ったよ?』
善子『えっ!?』
果南『ただ、善子が言うように目で追えない程のスピードは全然無かったよ』
果南『寧ろ私達にビビッてたって感じだったかな』
梨子『敵も私達と同じように個体差があるんだと思う』
花丸『善子ちゃんはいつもの不幸体質でハズレを引いただけずら』
善子『命に直結する不幸は勘弁して欲しいわ……』
鞠莉『結論から言えば、巨人を倒す際は頭だけじゃなくて、首元もしっかり破壊しなきゃダメって事ね?』
善子『ええ、みんなも気を付けて』ピッ
62 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/07/03(月) 17:25:12.22 ID:lHBNWx3u0
曜(…個体差か。だったら私も“ハズレ”を引いちゃったのかぁ)
曜は善子からの通信をただ聞いているだけだった。
無理もない、目の前には善子が警戒を促した敵が立ちふさがっているのだから。
曜は続々と集まってくる巨人兵士を一人で対処していた
Zガンで装甲を剥がし、出てきた中身をもう一度押し潰す
この戦法に徹していたので、本来ならば善子の言う本体が出てくる事は無いハズだった。
しかし、巨人兵士の一体が自らアーマーを放棄し、さらに首元から出てきたのだ
曜(これが本来の姿なんだね。巨人は私達を一度に大量に処理するための兵器って事か)
曜(両手に持ってるマチェットが厄介だな……切れ味も分からないからスーツで防ぐわけにもいかないし)
曜(それに何より――)ギリッ
63 :
◆ddl1yAxPyU
[saga]:2017/07/03(月) 17:26:31.20 ID:lHBNWx3u0
星人「――っ!!!!!」ビュン
星人は一瞬で間合いを詰め、連続で斬りかかる
反応できないスピードではないが、少しでも気を抜いたら見失ってしまう
曜はマチェットの軌道を見極め、避け続ける
曜(このスピードじゃZガンどころかYガンも当たらない! …なら!!)
曜「せいやああああ!!!」キュイィィィン!!
星人「!?」
曜の蹴りが手に当たり、マチェット吹き飛ばす
曜「…ねえ、あなたは向こうの兵士なんでしょ?」
星人「……?」
曜「私ってさ、どこかの軍隊に所属しているわけじゃないんだよね」
星人「……」
曜「訓練された兵士でもない、ただの女の子に苦戦するあなたって……案外大した事ないんだなーって思っちゃったり?」クスクス
星人「――っ!!!」ブチッ
曜の安い挑発に乗った星人は猛スピードで一直線に突撃する
…が、どんなに速く動けても、その軌道が丸見えでは全く意味が無い
曜が取った行動は実に単純だった
体を横にズラし、敵が横切る軌道上にガンツソードを置いただけ
自らのスピードにより、星人の胴体はキレイに斬り裂かれた。
244.21 KB
Speed:0
[ Aramaki★
クオリティの高いサービスを貴方に
VIPService!]
↑
VIP Service
SS速報VIP
更新
専用ブラウザ
検索
全部
前100
次100
最新50
続きを読む
名前:
E-mail
(省略可)
:
書き込み後にスレをトップに移動しません
特殊変換を無効
本文を赤くします
本文を蒼くします
本文をピンクにします
本文を緑にします
本文を紫にします
256ビットSSL暗号化送信っぽいです
最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!
(http://fsmから始まる
ひらめアップローダ
からの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)
スポンサードリンク
Check
Tweet
荒巻@中の人 ★
VIP(Powered By VIP Service)
read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By
http://www.toshinari.net/
@Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)